JPH10184625A - パイプ用結合金具及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パイプ構造体における複数のパイプの結合
を、簡単かつ精度よく行えるようにすることである。 【解決手段】 結合されるパイプＰの内周面に嵌合する
円柱状の嵌合部５と該嵌合部５よりも外径が小さくて結
合中心Ｏへ向かって延びる支持柄部６とを一体に有する
挿入支持体２を複数本備えている。各挿入支持体２は結
合中心Ｏからそれぞれ所定の方向に向けて突出するよう
に結合中心部分で一体に溶着され、各嵌合部５にはパイ
プ固定用のねじ孔１２が形成されている。各挿入支持体
２にパイプＰの端部を嵌め込み、ねじにより固定する。
パイプＰはその先端縁及び嵌合部５の２カ所で支持され
ることになり、これにより強度を保てると共に、挿入支
持体２への嵌合作業においてもその組付作業性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、各種パイプ構造
体、たとえばパイプ組立式棚、パイプ組立式テーブル、
ドーム型天井の骨組み又は建築現場の足場の骨組み等の
パイプ結合部に用いるパイプ用結合金具及びその製造方
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、色々な方向に向くパイプを一か所
で結合する場合に、パイプの端部同士を直接溶接する方
法があるが、組付精度及び強度を高く保つためには、溶
接作業に非常に手間がかかり、熟練を要する。特に、パ
イプ同士が直角以外の各種角度で交叉する場合には、現
場での溶接作業は非常に困難なものとなる。

【０００３】これに対して複数本の継手を蛸足状に有す
る結合金具を利用すると、現場での組付作業が容易にな
る。そのような結合金具としては、複数のパイプ状継手
を一体に有し、該パイプ状継手の内周に結合される各パ
イプの端部を差し込む内嵌め方式や、図７に示すように
結合中心部に球状部３０を備え、該球状部３０の表面に
複数の柱状の突起３１を一体に備え、各突起３１の外周
にパイプＰの端部を嵌める外嵌め方式がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前者のパイプ状継手を
用いた内嵌め方式では、組付後も結合金具全体が外部に
露出するために、結合されるパイプに合わせた材質を使
用したり色調を合わせたりしなければならず、結合金具
の加工に手間とコストがかかる。しかも、多数のパイプ
状継手を１つの結合中心を中心として放射状に溶接する
にも熟練を要し、溶接中の歪みを修正して、精度よく製
造することは難しい。また、保管あるいは輸送中にパイ
プ状継手の入口開口部が容器等に当たり、入口開口部が
変形してパイプが差し込めなくなることも考えられる。

【０００５】図７に示す外嵌め方式では、各突起３１の
全長に亙ってパイプＰを嵌合するようになっていること
から、パイプＰの支持強度を向上させるために突起３１
を長くした場合には、嵌合部全長が延びることによりパ
イプを嵌合しにくくなる。すなわち、パイプＰの組付作
業性が低下する。一方、組付作業性を向上させるために
突起３１を短くすれば、支持強度に問題が生じてくる。
さらに、組立後も球状部３０は外部に露出するため、パ
イプに合わせた材質を使用したり色調を合わせたりしな
ければならず、この点で加工に手間がかかり、部品コス
トもかかる。

【０００６】

【発明の目的】本願発明の目的は、組み付けられるパイ
プが多数本であって、かつ、パイプ同士の交叉角度が９
０°以外の区々の角度であっても、組付作業性及び強度
を十分に保つことができ、かつ、製造し易いパイプ用結
合金具及びその製造方法を提供することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本願請求項１記載の発明による結合金具は、結合さ
れるパイプの内周面に嵌合する円柱状の嵌合部と該嵌合
部よりも外径が小さくて結合中心へ向かって延びる支持
柄部とを一体に有する挿入支持体を複数本備え、各挿入
支持体は結合中心からそれぞれ所定の方向に向けて突出
するように結合中心部分で一体に溶着され、各嵌合部に
はパイプ固定用のねじ孔又はねじ挿通孔が形成されてい
ることを特徴としている。

【０００８】請求項２記載の発明は、請求項１記載のパ
イプ用結合金具において、各支持柄部のうちの幾つかあ
るいは全部の長さを異ならせていることを特徴としてい
る。

【０００９】請求項３記載の発明は、パイプ用結合金具
の製造方法において、パイプの内周面に嵌合する円柱状
の嵌合部と該嵌合部よりも外径が小さい支持柄部とを一
体に有すると共に支持柄部先端に円錐部を形成してなる
挿入支持体を複数本成形加工し、各支持柄部の円錐部尖
端を結合中心に合わせると共に各挿入支持体をそれぞれ
所定の方向に向けて配置し、円錐部同士を溶接により結
合することを特徴としている。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は本願発明を適用したパイプ
用結合金具の平面図であり、三次元的に配置される７本
のパイプＰ（Ｐ1 ,Ｐ2 ,…,Ｐ7)を一か所で結合するた
めのものである。

【００１１】結合金具１は、結合中心Ｏからそれぞれ所
定の方向に直線的に延びる７本の挿入支持体２からなっ
ており、それらは結合中心部分において一体に溶着され
ている。各挿入支持体２は、各パイプＰの内周面に嵌合
する直径を有する円柱状の嵌合部５と、該嵌合部５と一
体に形成されると共に前記結合中心Ｏに向かって延びる
支持柄部６とから構成されており、たとえばアルミ合金
で作られている。支持柄部６は嵌合部５と同一軸芯Ｃ１
上に形成されると共にその直径は嵌合部５の直径よりも
小さくなっており、嵌合部５の直径の２／３程度、たと
えば嵌合部５の直径が３２mmであるのに対し、支持柄部
６の直径は２０mmに設定されている。

【００１２】各挿入支持体２の嵌合部５の長さは統一し
た寸法（たとえば５０mm）に設定されているが、各挿入
支持体２の支持柄部６の長さは、対応するパイプＰの長
さあるいは挿入支持体２の配置密度等の条件によって異
ならせてある。たとえば嵌合相手のパイプが長い場合に
支持柄部６を長くしたり、また、嵌合部同士が近接する
ような場合には、結合中心Ｏから各嵌合部５までの距離
を異ならせるべく各支持柄部６の長さを異ならせてい
る。嵌合部５の外周面には、軸方向に適当な間隔をおい
てパイプ固定用のねじ孔１２が形成されている。ねじ孔
１２は、図示のように嵌合部５の片面に１対形成するだ
けでもよいが、両側面に１対ずつ形成してもよい。

【００１３】各パイプＰの先端面は、先に組んだパイプ
Ｐの外周面形状に後から組み付けるパイプＰの先端面
（カット面）が合致するように、傾斜状あるいは円弧状
等の適宜の形状にカットされており、組付完了時におい
て、各パイプＰは、支持柄部６及び結合中心部分を完全
に覆うと共に、後から組み付けたパイプＰが先に組み付
けたパイプＰの一部を覆うようになっている。たとえ
ば、真っ先に組み付けられる左右幅中央部の上下１対の
パイプＰ1 ，Ｐ2 の先端縁は、上下の先端縁が互いに突
き合わされるように直線状に形成されると共に左右両側
が円弧状に切り落とされ、かつ、結合中心Ｏを覆うよう
に側方から見て円弧状に形成されている。次に組み付け
られるパイプＰ3 はパイプＰ1 の一部を覆うと共に該パ
イプＰ1 の外周面に合致する曲面あるいは傾斜面に形成
され、さらに、次に組み付けられるパイプＰ4 ,Ｐ5 は
パイプＰ2 の一部及びパイプＰ3 の一部を覆うと共に該
パイプＰ2 及びＰ3 の外周面に合致するように曲面ある
いは傾斜面に形成されている。残りのパイプＰ6 ，Ｐ7
も順次先組のパイプの一部を覆うと共にそれらの外周面
に合致するようにカットされている。

【００１４】パイプ組付作業を簡単に説明する。まず、
パイプＰ1,2を、対応する挿入支持体２の外周に嵌合
し、図２に示すようにねじ１３により固着する。この
時、各パイプＰ1,2はそれぞれ先端部と該先端部から適
当距離をおいた嵌合部５の２カ所で支持された状態で固
定されていることになる。

【００１５】次にパイプＰ3,4,5,6,7を、それぞれ先組
のパイプの一部を覆い、かつ、先組パイプの外周面に合
致するように順次嵌合してゆく。最終的に結合金具１は
全パイプＰにより完全に覆われた状態で結合される。ま
た、パイプ同士は順次先端部が重なり合った状態で強固
に結合される。

【００１６】次に結合金具１の製造方法を説明する。図
３に示すように、同一長さを有する嵌合部５と各種長さ
を有する支持柄部６とをそれぞれ同軸一体に備えてなる
挿入支持体２を所定本数加工して揃えておく。これら挿
入支持体２の支持柄部６の先端部には円錐部１０を形成
してあり、嵌合部５にはねじ孔１２を加工してある。

【００１７】各挿入支持体２の円錐部１０の先端を結合
中心Ｏに合致させると共に、各挿入支持体２を所定の方
向に向けた状態とし、スポット溶接等により、作業員が
手によって角度修正可能な強度で結合中心Ｏ部分を仮結
合する。

【００１８】仮溶接後、各挿入支持体２の姿勢を最終的
に修正し、円錐部同士の合わせ目をビーム溶接などで強
固に本溶接する。

【００１９】各パイプの先端部のカット方法の一例を簡
単に説明する。図６に示すように、未カットのゲージ用
パイプ２０の先端部に先端突出状にフイルム２１を巻き
付け、カッターナイフにより、相手側パイプＰの外周面
と現物合わせで曲面２３に沿ってフイルム２１を切り取
る。

【００２０】カットしたフイルム２１をそのままゲージ
用パイプ２０側へと引き込み、フイルム２１の切り取り
曲面２３をポンチによりゲージ用パイプ表面に移し、ゲ
ージ用パイプ２１を削り、現物合わせでゲージ用パイプ
２０の先端カット面形状を仕上げる。

【００２１】該ゲージ用パイプ２０を倣用のゲージとし
て利用し、パイプを加工する。

【００２２】

【その外の実施の形態】

（１）図４は、挿入支持体２の変形例を示しており、１
つの挿入支持体２の支持柄部６の途中に、別の挿入支持
体２２の支持柄部２６を一体に溶接した例である。枝側
の支持柄部２６は先端部が湾曲しているが、嵌合部２５
及び支持柄部２６の主部分の軸芯Ｃ２は、結合中心Ｏに
向かうように配置されている。また、両嵌合部５，２５
同士が互いに邪魔にならないように、幹側の嵌合部５よ
りも枝側の嵌合部２５は結合中心Ｏ側に位置している。

【００２３】（２）図５に示すように、嵌合部５にねじ
孔を形成する代わりに径方向に貫通するねじ挿通孔２８
を形成し、一方、パイプＰにも上記ねじ挿通孔２８の両
端に対応するねじ挿通孔２９を形成し、長いボルト２７
をパイプＰ及び嵌合部５のねじ挿通孔２９，２８に貫通
して、ナット２９ａにより締付固定するようにしてもよ
い。

【００２４】

【発明の効果】

（１）以上説明したように本願発明によるパイプ用接合
金具は、結合されるパイプＰの内周面に嵌合する円柱状
の嵌合部５と該嵌合部５よりも外径が小さくて結合中心
へ向かって延びる支持柄部６とを一体に有する挿入支持
体２を複数本備えており、各挿入支持体２は結合中心Ｏ
からそれぞれ所定の方向に向けて突出するように結合中
心部分で一体に溶着されているので、各挿入支持体２に
各パイプＰを嵌合し、ねじ止めするだけで、簡単かつ精
度よく、しかも強固にパイプ同士を一か所で結合するこ
とができる。

【００２５】（２）結合されるパイプＰにより結合金具
全体を覆うことができるので、結合金具自体の表面の色
合いや装飾は考慮する必要はなく、結合金具の加工コス
トを抑えることができる。

【００２６】（３）挿入支持体２は、嵌合部５とこれよ
りも外径が小さい支持柄部６とから構成されているの
で、各パイプＰは、嵌合部５と該嵌合部５から離れたパ
イプ先端部とで２点支持されることになり、これにより
支持強度が向上し、一方、パイプＰの内周面に実際に嵌
合する部分の長さは嵌合部５の長さに留まるので、パイ
プを挿入支持体２に嵌合する時の組付作業性は向上す
る。

【００２７】（４）請求項２記載の発明のように、各支
持柄部６の長さを変化させるようにしていると、挿入支
持体２の数が増えて挿入支持体２同士が近接配置される
ようになっても、嵌合部５の位置を結合中心からの距離
の差で互いにずらすことができ、組付作業性の向上に役
立つ。また、対応するパイプの長さに応じて支持柄部６
の長さを変化させることにより、パイプ長さに応じた支
持強度を保つことができ、好都合である。

【００２８】（５）結合金具を製造する方法として、支
持柄部６の先端に円錐部１０を形成した挿入支持体２を
複数本用意し、円錐部尖端を結合中心に合わせると共に
各挿入支持体２をそれぞれ所定の方向に向けて配置し、
円錐部同士を溶接により結合するようにしているので、
色々な方向に向く複数の挿入支持体２でも、それらを１
つの結合中心に合わせて簡単にセットして結合すること
ができる。特に、パイプ同士が９０°以外の複雑な角度
関係にある場合でも、簡単に精度よく挿入支持体同士を
溶接することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本願発明を適用した結合金具の平面図であ
る。

【図２】 パイプ組付時の状態を示す図１と同じ結合金
具の平面図である。

【図３】 本願発明による製造方法の途中の工程を示す
平面図である。

【図４】 挿入支持体の変形例を示す平面図である。

【図５】 嵌合部の変形例を示す断面図である。

【図６】 結合金具の製造方法におけるゲージ形成工程
を示す正面図である。

【図７】 従来例の平面図である。

【符号の説明】

２ 挿入支持体 ５ 嵌合部 ６ 支持柄部 １０ 円錐部 １２ ねじ孔 ２８ ねじ挿通孔

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 結合されるパイプの内周面に嵌合する円
   柱状の嵌合部と該嵌合部よりも外径が小さくて結合中心
   へ向かって延びる支持柄部とを一体に有する挿入支持体
   を複数本備え、各挿入支持体は結合中心からそれぞれ所
   定の方向に向けて突出するように結合中心部分で一体に
   溶着され、各嵌合部にはパイプ固定用のねじ孔あるいは
   ねじ挿通孔が形成されていることを特徴とするパイプ用
   結合金具。
2. 【請求項２】 各支持柄部のうちの幾つかあるいは全部
   の長さを異ならせていることを特徴とする請求項１記載
   のパイプ用結合金具。
3. 【請求項３】 パイプの内周面に嵌合する円柱状の嵌合
   部と該嵌合部よりも外径が小さい支持柄部とを一体に有
   すると共に支持柄部先端に円錐部を形成してなる挿入支
   持体を複数本成形加工し、 各支持柄部の円錐部尖端を結合中心に合わせると共に各
   挿入支持体をそれぞれ所定の方向に向けて配置し、 円錐部同士を溶接により結合することを特徴とするパイ
   プ用結合金具の製造方法。