JPH10183884A - 金属成形板の接合構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固定部中間の風圧による持ち上がりを防止し
て接続部分の間隔を広くし、施工性とともに耐候性のよ
い金属成形板の接合構造を実現する。 【解決手段】 金属成形板４の幅方向両端のはぜ部4cと
隣接する金属成形板４のはぜ部4cおよび固定具２に係合
された吊子2bをはぜ締め方式で接合するとともに、金属
成形板４の幅方向中間位置に形成した中間嵌合リブ部4e
を下地部材１に取り付けた中間固定具３に嵌合リブ方式
で接合して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の屋根、壁
等に使用する金属成形板の接合構造に関し、さらに詳し
くは、取り付け面と反対側からの風圧等による耐負圧強
度を向上させた金属成形板の接合構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】工場、倉庫、住宅等の屋根や壁として、
薄鋼板を波状に折り曲げ加工した折版構造のものが知ら
れている。例えば帯状の薄鋼板を正弦波状、あるいは三
角波状に折り曲げ、山の部分をボルトで下地部材に固定
する長尺屋根などがその代表的なものであるが、特殊断
面の金属成形板を使用して雨漏りの原因となるボルト穴
をなくし耐候性を改善するとともに、ボルトの締付けや
防水材の挿入等の作業を削減し、施工性や外観性を向上
させたボルトレスの接合構造のものも種々提案されてい
る。

【０００３】一例として図３に示すのは実公昭57-34259
号公報に記載の屋根、壁等に使用する金属成形板の部分
正面図で、１は鉄骨等の下地部材、２はその上部に取り
付けられたタイトフレームとも呼ばれる金属製の固定
具、４は長尺状の薄い金属板を長手方向に延びる折り代
に沿って折り曲げ加工した金属成形板で、4aは金属成形
板４の幅方向両端および必要に応じて中間部分に折り曲
げ加工によって形成される嵌合リブ部である。下地部材
１は金属成形板４の幅方向に配置される。

【０００４】金属成形板４の嵌合リブ部4aの断面形状は
頂部が平坦で、すそが開いた山状であるが、頂部のやや
下方にくびれ部4bが設けられている。一方、固定具２の
形状も略同様であるが、頂部のやや下方に外側に開いた
翼部2aが設けられており、前記の嵌合リブ部4aに形成さ
れたくびれ部4bがこれに係合して金属成形板４を固定す
る。本明細書において以下この接合構造を「嵌合リブ方
式」という。

【０００５】嵌合リブ方式の施工に当たっては、金属成
形板４を所定の取り付け位置の下地部材１上まで搬入
し、嵌合リブ部4aを固定具２に向けて押しつけるだけで
金属板のスプリングバックにより嵌合リブ部4aが開いて
固定位置に嵌合し、簡単に固定が完了する。また、隣の
金属成形板４を接続するには、先行の金属成形板４の端
部にある嵌合リブ部4aに、つぎの金属成形板４の嵌合リ
ブ部4aをかぶせるようにして嵌合させるだけでよいか
ら、例えば作業者が足で踏みつける等の手段で簡単に取
り付けが出来、きわめて作業性がよい。

【０００６】ところで、このような嵌合リブ方式による
取り付けは、作業は簡単ではあるが、重なり部分からの
「すが漏れ」を起こしやすいという欠点がある。そこ
で、この点を改善するものとして、図４に示すように、
金属成形板４の幅方向両端部に設けたはぜ部4cを、固定
具２に取り付けた吊子2bとともにはぜ締め機を走行させ
て連続的に重ね曲げ加工して固定する「はぜ締め方式」
と呼ばれる接合構造もよく採用される。

【０００７】ところで、いずれの取り付け方式の場合に
おいても、金属成形板４の幅が広ければ広い程、同じ面
積の屋根に対して取り付け箇所が少なくなるので施工の
能率が向上するが、反面、底板部分の剛性が低下するの
で台風等の強風時に屋根部分に作用する局部的な風圧に
よって谷部が大きく持ち上げられ、図４の破線で示すよ
うに大きく変形して、断面性能が極端に低下し強度不足
になったり、嵌合が外れる等の問題が発生し、必然的に
ある妥協点を見い出さざるを得なくなる。

【０００８】そこで、実公昭57−2565号公報に記載され
ているように、金属成形板４の中間の平坦部に補強用と
して膨出突条4d（図５参照）を設けることも提案されて
いるが、この膨出突条はプレスで成形されるため、現地
成形で施工する長尺屋根には採用することができず、依
然として板厚を大きくするか、支持部の間隔をせばめて
強度を確保するなどの対策が必要であり、屋根の重量が
増したり、支持梁や固定具が増加するなどして、材料費
や人件費が増加するという問題点があり、改善が望まれ
ていた。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、固定部中間
の持ち上がりを防止して接続部分の間隔を広くし、施工
能率がよく、しかも強風時においても所定の断面性能を
維持できる金属成形板による屋根または壁構造を実現す
ることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、長尺状の薄金
属板を長手方向に延びる折り代に沿って折り曲げ加工し
てなる金属成形板をこの金属成形板の幅方向に配置した
下地部材に対して固定具を介して固定すると同時に隣接
の金属成形板とも接続する金属成形板の接合構造であっ
て、この金属成形板の幅方向両端のはぜ部と隣接する金
属成形板のはぜ部および前記固定具に係合された吊子を
はぜ締め方式で接合するとともに、金属成形板の幅方向
中間位置に形成した中間嵌合リブ部を下地部材に取り付
けた中間固定具に嵌合リブ方式で接合したことを特徴と
する金属成形板の接合構造である。

【００１１】

【発明の実施の形態】本発明によれば、金属成形板の幅
方向中間位置において施工性のよい嵌合リブ方式の中間
固定部を設けることにより、金属成形板の幅を広くして
も風圧による吹き上げ変形を抑制し、金属成形板の幅方
向両端においてはぜ締め方式によって隣接の金属成形板
と接続すると同時に下地部材に固定するようにしたの
で、耐候性にすぐれて耐風圧強度が高く、かつ施工性の
よい屋根あるいは壁構造が実現する。

【００１２】本発明の一実施例を図面により説明する。
図１はこの折版屋根の一部を示す正面図、図２は図１に
おけるＡ部を拡大して示す部分正面図で、１は鉄骨等の
下地部材、２は下地部材１上に所定間隔で取り付けられ
た固定具、2bは固定具２の接合部分に係合された吊子、
３は下地部材１に取り付けられた固定具２の中間位置に
設けられる中間固定部、3aはその頂部付近側面に設けら
れた翼部、４は金属成形板、4cはその幅方向両端に形成
されたはぜ部、4eは同じくその幅方向中間に形成された
中間嵌合リブ部である。

【００１３】この金属成形板４は鋼帯等の長尺状の薄金
属板を長手方向に延びる折り代に沿って折り曲げ加工し
てなり、幅方向両端にはぜ部4cを有し、一方はオス、他
方はメスとなっていて、隣接する金属成形板４につい
て、それぞれのはぜ部4cのオス、メスを固定具２の頂上
部分で吊子2bと３枚重ね合わせ、はぜ締め機によっては
ぜ締めして下地部材１に固定すると同時に金属成形板４
相互を接続する。この点については従来のはぜ締め方式
の取り付け構造と同様である。

【００１４】本発明では、さらに下地部材１に取り付け
られた固定具２の中間位置に中間固定具３が設けられて
いる。中間固定具３は両端の固定具２よりは低い一対の
突起で、その外側側面には下向きに開いた翼部3aが設け
られている。一方、金属成形板４側も、両端のはぜ部4c
の中間の、どぶ板と呼ばれる平坦部分における前記の中
間固定具３に対応する位置に、金属板を折り返して低い
中間嵌合リブ部4eが形成され、その頂部のやや下方にく
びれ部が形成されており、上方から軽く押圧するとスプ
リングバックにより前記の翼部3aに係合する。つまり、
この金属成形板４は両端および中間の複数箇所で下地部
材１に固定されるが、両端では気密性に優れたはぜ締め
方式、雨漏りのおそれのない中間部では嵌合作業の簡単
な嵌合リブ方式となっている。

【００１５】このように中間固定部を設けて中間位置に
おいても下地部材に固定したことにより、金属成形板を
広幅として両端の固定部の間隔を比較的大きくしても強
風によって吹き上げられることがない。かりに多少吹き
上げられても、図２の破線で示すとおり金属成形板４に
ついては従来のものと異なり翼部3aとの係合がより強固
になる方向に変形するから、中間固定部が外れるおそれ
はない。

【００１６】従来の折版では、働き幅が500mm でも負圧
強度を低減して使用しなければならなかったが、本発明
においては幅600mm 以上のパネルでも負圧強度を見込ま
なくても良いので、パネルおよび固定具の材料が10％程
度軽減される。また、屋根周辺部の局部風圧の大きい部
分でも母屋間隔が広くとれるため、パネルの施工性が30
％程度向上し、鉄骨重量も低減される。

【００１７】なお、上記実施例においては金属成形板４
の幅方向中間に１か所の中間固定部を設ける例について
説明したが、場合によっては１か所以上の中間固定部を
設けることも任意である。

【００１８】

【発明の効果】本発明によれば、耐候性にすぐれて耐風
圧強度が高く、かつ施工性のよい屋根あるいは壁構造が
実現するという、すぐれた効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す折版屋根の部分正面図で
ある。

【図２】図１のＡ部を拡大して示す部分正面図である。

【図３】従来の技術を示す金属成形板の部分正面図であ
る。

【図４】他の従来の技術を示す金属成形板の部分正面図
である。

【図５】さらに他の従来の技術を示す金属成形板の斜視
図である。

【符号の説明】

１ 下地部材 ２ 固定具 2a 翼部 2b 吊子 ３ 中間固定具 3a 翼部 ４ 金属成形板 4a 嵌合リブ部 4b くびれ部 4c はぜ部 4d 膨出突条 4e 中間嵌合リブ部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長尺状の薄金属板を長手方向に延びる折
   り代に沿って折り曲げ加工してなる金属成形板（４）を
   この金属成形板（４）の幅方向に配置した下地部材
   （１）に対して固定具（２）を介して固定すると同時に
   隣接の金属成形板（４）とも接続する金属成形板の接合
   構造であって、この金属成形板（４）の幅方向両端のは
   ぜ部（4c）と隣接する金属成形板のはぜ部（4c）および
   前記固定具（２）に係合された吊子（2b）をはぜ締め方
   式で接合するとともに、金属成形板（４）の幅方向中間
   位置に形成した中間嵌合リブ部（4e）を下地部材（１）
   に取り付けた中間固定具（３）に嵌合リブ方式で接合し
   たことを特徴とする金属成形板の接合構造。