JPH10183427A - 加工材用セラミック繊維とその製造方法並びに加工材 - Google Patents

加工材用セラミック繊維とその製造方法並びに加工材

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JPH10183427A
JPH10183427A JP35526296A JP35526296A JPH10183427A JP H10183427 A JPH10183427 A JP H10183427A JP 35526296 A JP35526296 A JP 35526296A JP 35526296 A JP35526296 A JP 35526296A JP H10183427 A JPH10183427 A JP H10183427A
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求仁 勝岡
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通常のアルミナ繊維よりも更に繊維強度の大
きな加工性に優れたセラミック繊維並びにこのセラミッ
ク繊維を含む加工材を提供する。 【解決手段】 加工材の加工要素として用いられるセラ
ミック繊維であって、アルミナ成分80〜90重量%と
シリカ成分20〜10重量%とによって形成され、該セ
ラミック繊維の結晶構造が主としてムライト結晶と中間
アルミナとで構成され、該ムライト結晶の平均粒径が2
5〜70ナノメータである加工材用セラミック繊維を樹
脂バインダで結着して加工材に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属或いは非金属を
切断、穿孔、研磨等の加工をするために用いるのに好適
な加工材並びにこの加工材の加工要素として用いられる
アルミナ系セラミック繊維とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の加工材として、例えば、
特開平1ー222865号公報に開示されるように、ア
ルミナ繊維を一方向に引き揃えて、これをエポキシ樹脂
等の熱硬化性樹脂で結着してなるラッピング材が知られ
ている。また、特開平2ー232174号公報に開示さ
れるように、アルミナ繊維を一方向に引き揃えて、これ
をエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂で結着してなる切削、
研磨用回転工具が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の加工材に使用されているアルミナ繊維は繊維強度が
大きく且つ柔軟性にも優れているものの、例えば研磨材
として使用した場合には、研磨性が必ずしも満足できる
ものでなく、更なる加工性の向上が望まれていた。そこ
で、本発明は、通常のアルミナ繊維よりも更に繊維強度
の大きな加工性に優れたセラミック繊維並びにこのセラ
ミック繊維を含む加工材を提供することを目的とする。
また、本発明は、このような加工性に優れたセラミック
繊維の製造方法を提供することも目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の加工材用セラミ
ック繊維は、加工材の加工要素として用いられるセラミ
ック繊維であって、アルミナ成分80〜90重量%とシ
リカ成分20〜10重量%とによって形成され、該セラ
ミック繊維の結晶構造が主としてムライト結晶と中間ア
ルミナとで構成され、該ムライト結晶の平均粒径が25
〜70ナノメータであることを特徴とする。また、請求
項2記載の加工材用セラミック繊維は、前記アルミナ成
分が85重量%以上であることを特徴とする。また、請
求項3記載の加工材用セラミック繊維の製造方法は、ア
ルミナ繊維の前駆体繊維を焼成してセラミック繊維とす
る加工材用セラミック繊維の製造方法であって、前記前
駆体繊維を1200℃以下で焼成してセラミックス化し
た後、1300℃以上の高温で30秒間以内加熱処理す
ることを特徴とする。また、請求項4記載の加工材用セ
ラミック繊維の製造方法は、前記前駆体繊維は塩基性塩
化アルミニウムとコロイダルシリカとポリビニルアルコ
ールからなる水性の紡糸原液を乾式紡糸して得られたも
のであることを特徴とする。また、請求項5記載の加工
材は、加工要素として、アルミナ成分80〜90重量%
とシリカ成分20〜10重量%とによって形成され、該
セラミック繊維の結晶構造が主としてムライト結晶と中
間アルミナとで構成され、該ムライト結晶の平均粒径が
25〜70ナノメータであるセラミック繊維を含むこと
を特徴とする。また、請求項6記載の加工材は、前記ア
ルミナ繊維のアルミナ成分が85重量%以上であること
を特徴とする。また、請求項7記載の加工材は、前記セ
ラミック繊維を樹脂バインダで結着してなることを特徴
とする。また、請求項8記載の加工材は、前記セラミッ
ク繊維を結着する樹脂バインダがエポキシ樹脂であるこ
とを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の加工材用セラミック繊維
は平均粒径が25〜70ナノメータであるムライト結晶
で構成され、本発明の加工材は前記平均粒径が25〜7
0ナノメータであるムライト結晶で構成されるセラミッ
ク繊維を含む。前記ムライト結晶は、通常の中間アルミ
ナ質の製品に比べて硬度が高く、また、平均結晶粒径が
約10倍程度大きいために良好な加工性を示す。
【0006】一般に、アルミナ繊維と呼ばれるものは7
0〜85重量%のAl23と15〜30重量%のSiO
2 を主成分とする多結晶質の繊維であって、繊維径は5
〜40μm程度である。その結晶状態は主として中間ア
ルミナで、平均結晶径はせいぜい5ナノメーター程度の
極めて微細な結晶粒子からなる焼結体である。このた
め、適度な柔軟性と高い機械的強度を示し、各種の繊維
強化材料(FRP,FRM)への利用が期待されてい
る。このようなアルミナ繊維は1400℃以上の高温で
長い時間加熱されると中間アルミナの他にムライトやコ
ランダムといった粗大な結晶が生成し、その結果、収縮
や脆化が進み繊維としての機能が著しく低下する。
【0007】本発明の加工性のよいセラミック繊維は、
従来のアルミナ繊維に比べて結晶の成長を進めてある点
が特徴である。しかし、上記の説明のように過度の熱処
理は繊維の強度特性を著しく低下させる。本発明のセラ
ミック繊維はこの点を考慮し、1300℃以上の高い温
度で短時間、具体的には30秒以内の熱処理をすること
でムライトとしては微細な粒径の結晶を生成させること
により繊維の脆化を抑制しながら硬度を高め、加工性の
よいセラミック繊維を製造することに特徴がある。
【0008】本発明の製造方法によって加工性のよいセ
ラミック繊維を得ることができるが、この場合ムライト
結晶の粒径を25ナノメーター以上にすると、特に加工
性に優れたセラミック繊維が得られる。しかし、100
ナノメーター以上に成長させてしまうと脆化が著しく進
行するので好ましくない。従って、ムライト結晶の粒径
は25〜70ナノメーターの範囲にする必要がある。
【0009】また、本発明のセラミック繊維の成分組成
は、高い高度を得るために、アルミナ成分が少なくとも
80重量%以上含まれることが必要で、85重量%以上
含まれることが特に好ましい。尚、その他の残部は主と
してシリカ成分である。
【0010】本発明の加工材用セラミック繊維の製造方
法は、アルミナ繊維の前駆体繊維を焼成してセラミック
繊維とするときの焼成温度と、その後の加熱処理に特徴
があるものであって、前駆体繊維を製造するための出発
原料等については従来のアルミナ繊維の製造方法と特に
異なるものではない。具体的には、塩基性塩化アルミニ
ウムとコロイダルシリカとポリビニルアルコールから成
る水性の紡糸原液を乾式紡糸して前駆体繊維を得、この
前記前駆体繊維を1200℃以下で焼成してセラミック
ス化した後、1300℃以上の高温で30秒間以内加熱
処理すればよい。
【0011】加工要素として前記セラミック繊維を含む
加工材は、これら繊維を適当に引き揃え、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂に含浸して硬化す
ることにより簡単に製造することができる。
【0012】
【実施例】以下本発明の実施例を比較例と共に説明す
る。先ず、アルミニウムイオン13.2重量%、塩素イ
オン11.45重量%含有する塩基性塩化アルミニウム
の水溶液を34kg、二酸化ケイ素を20重量%含有す
るコロイダルシリカ7.5kgに、平均重合度1700
の部分ケン化ポリビニルアルコール2.5kgを溶解し
て粘度が約1000ポイズ/20℃の紡糸原液を調製し
た。
【0013】これを1000ホールの紡糸ノズルから押
し出して乾式紡糸し、さらに1200℃まで焼成してセ
ラミック繊維束を得た。更に、このセラミック繊維束を
1400℃のパイプ炉に通して連続的に巻き取った。こ
の時、1400℃での加熱時間が2秒および5秒となる
ように繊維束の通過速度を調整して実施例1,2として
2種類の繊維束を得た。尚、比較例1として1200℃
で焼成しただけで1400℃での加熱処理を行わない繊
維束を得た。
【0014】得られた繊維束の繊維径、X線回折による
結晶構造、2θが約26°付近に現れるムライトの(2
10)面の回折線の半減値巾(β1/2 )から下記の一般
式によって求めた平均粒径(Dhkl)を表1に示した。 Dhkl=0.9λ/β1/2・COSθ (但し、Dhkl:(210)面の平均粒径,λ:X線の
波長,θ:X線の視斜角)
【0015】次に、上記各繊維束とエポキシ樹脂による
一方向強化材(以下「UDーFRP」と略記する)を作
成し、金属に対する研磨性を調べた。UDーFRPの作
成は次のようにして行った。先ず、定法に従って、繊維
束をドラムに平行巻きし、下記の組成の樹脂を塗布し、
余剰の樹脂を絞り取り、ドラムから切り開いて繊維が一
方向配列した樹脂含浸シートを得た。これを温風乾燥機
内で95℃、1時間乾燥した後、ポリエステルフィルム
で上下から挟み込み、約60℃に加熱したローラープレ
スにかけてUDプリプレグシートを得た。 エポキシ樹脂(エピコート828 油化シェルエポキシ社製) 60重量部 エポキシ樹脂(エピコート1001 油化シェルエポキシ社製) 40重量部 三弗化ホウ素モノエチルアミン 2.5重量部 MEK 35重量部 このUDプリプレグシートを積み重ね、20Kg/cm
2 の圧力下で170℃、1時間加熱して硬化させ、厚さ
3.7mmのUDーFRPを得た。
【0016】次に、これらUDーFRPの研削性を試験
し、表1にその結果を示した。各試験片はL×W×T=
20mm×5mm×3.7mmの立方体とし、UDーF
RPから切り出すに当たり、辺L(20mm)が繊維の
配列方向と60℃の角度をなすようにした。図1は試験
片(加工材)の斜視図を示すもので、図中1はセラミッ
ク繊維を示す。尚、研削性の試験方法については、次の
ようにした。被研削材として、L×W×T=80mm×
15mm×2mmの鉄板を用意し、これをしかりと固定
して、この鉄板のLW面を被研削面とし、UD−FRP
の各試験片のLT面を乗せ、上から一定の荷重(137
5g)をかけながら試験片を往復運動させた。この時、
運動巾は45mm、運動速度は125往復/分、総往復
運動回数は10000回とした。この時、初めの被研削
材の重さをA、研削後の被研削材の重さをBとして、次
の式から研削率を求めた。 研削率(重量%)=(AーB/A)×100
【0017】
【表1】
【0018】次に実施例1と比較例1のUD−FRPか
ら得られた前記試験片を、鉄製の金型磨きを専門とする
5社に持ち込み、研磨性の評価をしたところ、表2に示
すような結果が得られた。
【0019】
【表2】
【0020】表2から明らかなように、粒径が25〜7
0ナノメータと大きなムライト結晶を含むセラミック繊
維が非常に研磨性に優れていることが確認できた。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、通常のア
ルミナ繊維よりもさらに繊維強度の高い加工性に優れた
セラミック繊維並びにこのセラミック繊維を含む加工材
を得ることができるとともに、このような加工性の優れ
たセラミック繊維を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の加工材の一実施例の斜視図
【符号の説明】
1 セラミック繊維

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加工材の加工要素として用いられるセラ
    ミック繊維であって、アルミナ成分80〜90重量%と
    シリカ成分20〜10重量%とによって形成され、該セ
    ラミック繊維の結晶構造が主としてムライト結晶と中間
    アルミナとで構成され、該ムライト結晶の平均粒径が2
    5〜70ナノメータであることを特徴とする加工材用セ
    ラミック繊維。
  2. 【請求項2】 前記アルミナ成分が85重量%以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載の加工材用セラミック
    繊維。
  3. 【請求項3】 アルミナ繊維の前駆体繊維を焼成してセ
    ラミック繊維とする加工材用セラミック繊維の製造方法
    であって、前記前駆体繊維を1200℃以下で焼成して
    セラミックス化した後、1300℃以上の高温で30秒
    間以内加熱処理することを特徴とする加工材用セラミッ
    ク繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記前駆体繊維は塩基性塩化アルミニウ
    ムとコロイダルシリカとポリビニルアルコールからなる
    水性の紡糸原液を乾式紡糸して得られたものであること
    を特徴とする請求項3記載の加工材用セラミック繊維の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 加工要素として、アルミナ成分80〜9
    0重量%とシリカ成分20〜10重量%とによって形成
    され、該セラミック繊維の結晶構造が主としてムライト
    結晶と中間アルミナとで構成され、該ムライト結晶の平
    均粒径が25〜70ナノメータであるセラミック繊維を
    含むことを特徴とする加工材。
  6. 【請求項6】 前記セラミック繊維のアルミナ成分が8
    5重量%以上であることを特徴とする請求項5記載の加
    工材。
  7. 【請求項7】 前記セラミック繊維を樹脂バインダで結
    着してなることを特徴とする請求項5または6記載の加
    工材。
  8. 【請求項8】 前記樹脂バインダがエポキシ樹脂である
    ことを特徴とする請求項7記載の加工材。
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