JPH10182969A - コントロールケーブルライナー - Google Patents

コントロールケーブルライナー

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JPH10182969A
JPH10182969A JP30421997A JP30421997A JPH10182969A JP H10182969 A JPH10182969 A JP H10182969A JP 30421997 A JP30421997 A JP 30421997A JP 30421997 A JP30421997 A JP 30421997A JP H10182969 A JPH10182969 A JP H10182969A
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JP
Japan
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control cable
resin
epoxy group
pps resin
liner
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Pending
Application number
JP30421997A
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English (en)
Inventor
Yukio Shimizu
幸夫 清水
Katsuya Ono
勝也 大野
Norio Shimasaki
周夫 嶋▲さき▼
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱性、耐摩擦摩耗性、経済性、成形加工
性および層間の密着性が均衡して優れたコントロールケ
ーブルライナーを提供する。 【解決手段】 本発明のコントロールケーブルライナ
ーは、(A)ポリフェニレンサルファイド樹脂100重
量部に対し、(B)エポキシ基含有化合物0.1〜50
重量部および(C)エポキシ基を含有しないエラストマ
ーを0〜50重量部を配合した樹脂組成物を内層側に配
置し、(D)ポリエステル樹脂を外層側に配置した多層
構造であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】本発明は、高温環境、高荷重下における耐
久性、摺動性および成形加工性を顕著に向上せしめた多
層構造コントロールケーブルライナーに関するものであ
る。
【従来の技術】従来、内索とこの内索を摺動自在に案内
するためのライナーからなるコントロールケーブルにお
いて、このライナー(導管)の素材として、ポリブチレ
ンテレフタレート樹脂を使用することにより、荷重効率
を向上した方法については、特公昭52−4302号公
報、特公昭55−1449号公報および特公平5−77
916号公報などにより既に提案されている。
【0003】しかし、ポリブチレンテレフタレート樹脂
(以下PBT樹脂と略称する)などの飽和ポリエステル
樹脂は、その耐熱性や耐摩擦摩耗性が不十分であるた
め、特に内索として金属線が摺動するコントロールケー
ブルの導管として使用した場合には、摺動抵抗が大きい
など欠点を発現することから、必ずしも適していない。
【0004】一方、ポリフェニレンサルファイド樹脂
(以下PPS樹脂と略称する)は、耐熱性、耐摩擦摩耗
性、耐薬品性、難燃性および電気特性などが優れたエン
ジニアリングプラスチックであり、電気、電子部品、自
動車用部品などの用途に対し、近年その需要が高まりつ
つある。
【0005】なお、PPS樹脂は溶融流動性がきわめて
高いことから、成形加工方法は殆ど射出成形法に限られ
ていたが、近年、変性ポリオレフィンなどの他のポリマ
ーとのアロイ化により、チューブ、パイプなどの押出成
形用途への応用が可能になった。
【0006】そして、PPS樹脂の押出成形への応用例
としては、たとえば特公平4−92112号公報に記載
されたコントロールケーブルライナーへの適用が知られ
ているが、この方法で得られるPPS樹脂単層導管は、
押出成形面での安定性にやや難があり、平滑な摺動面が
得られにくいばかりか、経済性の面においても好ましも
のではなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、PPS樹脂の
耐熱性、耐摩擦摩耗性などの特性と、PBT樹脂などの
飽和ポリエステル樹脂の成形性、経済性を持つ成形品を
得るために、両材料を積層して多層化することが考えら
れるが、PPS樹脂層と他の飽和ポリエステル樹脂層を
単純に積層しても両材料に密着性がないため、各樹脂層
間で剥離が生じ、目的とする特性を備えた成形品を得る
ことができなかった。
【0008】また、積層成形品におけるPPS樹脂層と
飽和ポリエステル樹脂層との密着性を改良するために、
各層間に接着剤層を介在させることが考えられるが、こ
の場合には、例えば共押出により多層積層成形品を製造
する際に押出機の数が多くなるため、加工設備が複雑化
し、加工に手間がかかるばかりか、得られる多層成形品
の耐熱性や成形性などが低下してしまうという問題があ
った。
【0009】本発明は、上述した従来技術における問題
点の解決を課題として検討した結果、達成されたもので
ある。
【0010】したがって、本発明の目的は、耐熱性、耐
摩擦摩耗性、経済性、成形加工性および層間の密着性が
均衡して優れたコントロールケーブルライナーを提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明は次のとおりである。
【0012】(1)(A)ポリフェニレンサルファイド
樹脂100重量部に対し、(B)エポキシ基含有化合物
0.1〜50重量部および(C)エポキシ基を含有しな
いエラストマーを0〜50重量部を配合した樹脂組成物
を内層側に配置し、(D)飽和ポリエステル樹脂を外層
側に配置した多層構造であることを特徴とするコントロ
ールケーブルライナー。
【0013】(2)(B)エポキシ基含有化合物がエポ
キシ基含有重合体であることを特徴とする上記(1)記
載のコントロールケーブルライナー。
【0014】(3)重合体がα−オレフィンとα、β−
不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとを共重合して
なる変性ポリオレフィンであることを特徴とする上記
(2)記載のコントロールケーブルライナー。
【0015】(4)変性ポリオレフィンが、α−オレフ
ィンに対しα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエス
テルを1〜50重量%共重合したものであることを特徴
とする上記(3)記載のコントロールケーブルライナ
ー。
【0016】(5)(A)ポリフェニレンサルファイド
樹脂が、脱イオン化処理されたものであることを特徴と
する上記(1)〜(4)のいずれか1項記載のコントロ
ールケーブルライナー。
【0017】(6)(D)ポリエステル樹脂が、ポリブ
チレンテレフタレートおよび/またはその共重合体であ
ることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれか1項
記載のコントロールケーブルライナー。
【0018】(7)内層/外層を含めたその他の層の肉
厚比が、5〜45/95〜5の範囲にあることを特徴と
する上記(1)〜(6)のいずれか1項記載のコントロ
ールケーブルライナー。
【0019】(8)上記(1)〜(7)のいずれか1項
記載のコントロールケーブルライナーの管内に摺動自在
に内索を設けたことを特徴とするのコントロールケーブ
ル。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。
【0021】本発明で使用する(A)PPS樹脂とは、
下記構造式で示される繰り返し単位を70モル%以上、
好ましくは90モル%以上含む重合体であり、下記繰り
返し単位が70モル%未満では耐熱性が損なわれるため
好ましくない。
【0022】
【化1】 PPS樹脂は、一般に特公昭45−3368号公報に代
表される製造法により得られる比較的分子量の小さい重
合体と、特公昭52−12240号公報に代表される製
造方法により得られる本質的に線状で比較的高分子量の
重合体などがあり、前記特公昭45−3368号公報記
載の方法で得られた重合体においては、重合後酸素雰囲
気下において加熱することにより、あるいは過酸化物な
どの架橋剤を添加して加熱することにより高重合化して
用いることも可能である本発明においては、いかなる方
法により得られたPPS樹脂を用いることも可能である
が、本質的に線状で比較的高分子量の重合体が好ましく
使用される。
【0023】また、PPS樹脂は、その繰り返し単位の
30モル%未満を、下記の構造式を有する繰り返し単位
などで構成することが可能である。
【0024】
【化2】 本発明で用いる(A)PPS樹脂は、上記重合工程を経
て生成した後、酸水溶液洗浄処理、熱水洗浄処理または
有機溶剤洗浄処理により、脱イオン化処理を施されたも
のであることが望ましい。
【0025】上記の酸水溶液洗浄処理について具体的に
説明すれば次のとおりである。すなわち、本発明でPP
S樹脂の酸水溶液洗浄処理に用いる酸としては、PPS
樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限は
なく、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプ
ロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がよ
り好ましく用いられるが、硝酸のようなPPS樹脂を分
解、劣化させるものの使用は好ましくない。
【0026】酸水溶液洗浄処理の方法は、酸の水溶液に
PPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要によ
り適宜撹拌または加熱することも可能である。たとえ
ば、酢酸を用いる場合、pH4の水溶液を80〜90℃
に加熱した中に、PPS樹脂粉末を浸漬し、30分間撹
拌することにより十分な効果が得られる。酸処理を施さ
れたPPS樹脂は、残留している酸または塩などを物理
的に除去するために、水または温水で数回洗浄すること
が必要である。
【0027】洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹
脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸
留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
【0028】また、熱水洗浄処理について具体的に説明
すれば次のとおりである。すなわち、本発明において使
用するPPS樹脂を熱水処理するにあたり、熱水の温度
を100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに
好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃以上
とすることが重要であり、100℃未満ではPPS樹脂
の好ましい化学的変性効果が小さいため好ましくない。
【0029】本発明の熱水洗浄処理によるPPS樹脂の
好ましい化学的変性の効果を発現するため使用する水
は、蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
【0030】熱水処理の操作は、通常、所定量のPPS
樹脂を投入し、圧力容器内で熱水と共に加熱、撹拌する
ことにより行なわれる。PPS樹脂と水の割合は、水が
多い方が好ましいが、通常、水1リットルに対し、PP
S樹脂200g以下の浴比が選択される。
【0031】なお、熱水処理の雰囲気として、末端基の
分解が生じる雰囲気は好ましくないので、これを回避す
るために不活性雰囲気下とすることが好ましい。さら
に、この熱水処理操作を終えたPPS樹脂を、残留して
いる成分を物理的に除去するために温水で数回洗浄する
のが好ましい。
【0032】さらに、有機溶媒洗浄処理について具体的
に説明すれば次のとおりである。すなわち、本発明でP
PS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒としては、PPS樹脂
を分解する作用などを有しないものであれば特に制限は
なく、例えばNーメチルピロリドン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、1,3ージメチルイミダ
ゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピベラジ
ノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、
ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド、ス
ルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチ
ルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチ
ルエーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラ
ヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩
化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パ
ークロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタ
ン、テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベ
ンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、フェノール、ク
レゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、および
ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系
溶媒などが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、
Nーメチルピロリドンアセトン、ジメチルホルムアミド
およびクロロホルムなどの使用が特に好ましい。また、
これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合系
で使用される。
【0033】有機溶媒による洗浄方法としては、有機溶
媒中にPPS樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必
要により適宜撹拌または加熱することも可能である。
【0034】有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄
温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の
任意の温度が選択できる。ここで、洗浄温度が高くなる
ほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜1
50℃の洗浄温度で十分効果が得られる。
【0035】また、圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上
の温度で加圧下に洗浄することも可能である。洗浄時間
についても特に制限はなく、洗浄条件にもよるが、バッ
チ式洗浄の場合には、通常5分間以上洗浄することによ
り十分な効果が得られる。また、連続式で洗浄すること
も可能である。
【0036】重合により生成したPPS樹脂を有機溶媒
で洗浄するのみで十分であるが、本発明の効果をさらに
発揮させるために、水洗浄または温水洗浄と組み合せる
のが好ましい。また、Nーメチルピロリドンなどの高沸
点水溶性有機溶媒を用いた場合は、有機溶媒洗浄後、水
または温水で洗浄することにより、残存有機溶媒の除去
が容易に行なわれるため好ましい。これらの洗浄に用い
る水は蒸留水、脱イオン水であることが好ましい。
【0037】このような方法で脱イオン化処理したPP
S樹脂を使用することにより、耐熱性、耐摩擦摩耗性お
よび層間接着性などをさらに向上させることができる。
【0038】本発明で用いられる(A)PPS樹脂の溶
融粘度はとくに制限なく、配合する変性ポリオレフィン
などとの混練が可能であればいかなる溶融粘度のもので
も用いることができるが、通常は320℃、剪断速度1
0sec-1における溶融粘度が100〜10,000ポ
イズのものが用いられる。
【0039】本発明で用いられる(B)エポキシ基含有
化合物としてはエチレングリコールのビスエポキシジシ
クロペンタジエチルエーテル、ブタジエンジエポキシノ
イド等の脂肪族ジエポキシ化合物、ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル等の芳香族ジエポキシ化合物、α−
オレフィンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエ
ステルとを共重合してなる変性ポリオレフィン等のエポ
キシ基含有重合体(この時のα−オレフィンの具体例と
しては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチ
ルペンテン−1、1−ヘキセン、1−デセン、および1
−オクテンなどが挙げられるが、中でもエチレンが好ま
しく用いられる)等が挙げられるが、好ましくはエポキ
シ基含有重合体であり、さらに好ましくはα−オレフィ
ンとα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルと
を共重合してなる変性ポリオレフィンである。
【0040】また、変性ポリオレフィンにおけるα、β
−不飽和カルボン酸のグリシジルエステルとは、一般的
に下記一般式で表される化合物であり、具体的にはアク
リル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびエタ
クリル酸グリシジルなどが挙げられるが、中でもとくに
メタクリル酸グリシジルが好ましく用いられる。
【0041】
【化3】 (ただし、式中のRは水素原子または炭素数1〜6のア
ルキル基を示す。) 変性ポリオレフィンにおけるα、β−不飽和カルボン酸
のグリシジルエステルの共重合量は、1〜50重量%、
好ましくは3〜40重量%の範囲が好適である。 さら
に、変性ポリオレフィンには、その特性を損なわない範
囲で、共重合可能な他の不飽和モノマ、たとえばビニル
エーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビ
ニルエステル類、メチル、エチルプロピルなどのアクリ
ル酸およびメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル
およびスチレンなどを共重合することもできる。
【0042】本発明で使用される樹脂組成物における
(A)PPS樹脂、(B)エポキシ基含有化合物の配合
割合は、(A)PPS樹脂100重量部に対して(B)
エポキシ基含有化合物0.1〜50重量部、好ましくは
3〜40重量部の範囲である。
【0043】ここで、(B)エポキシ基含有化合物の配
合量が0.1重量部に満たない場合には、押出成形性が
低下し成形品に肉厚のムラが生じ易くなり、また、層間
の密着強度が十分得られないため好ましくない。
【0044】また、(B)エポキシ基含有化合物の配合
量が配合量が50重量部を超える場合には、(A)PP
S樹脂との溶融混練時にゲルが生じ、押出安定性、成形
性、機械的強度、耐熱性、および耐摩擦摩耗性が著しく
低下するため好ましくない。
【0045】本発明において、(C)エポキシ基を含有
しないエラストマーは必須成分ではないが、必要に応じ
てPPS樹脂100重量部に対して、50重量部を超え
ない範囲で配合することが可能であり、通常5〜40重
量部の範囲で配合することにより、特に表面外観および
成形性の向上の面で有効である。
【0046】かかる(C)エポキシ基を含有しないエラ
ストマーの具体例としては、オレフィン系エラストマ
ー、ジエン系エラストマーないしはその水添物、アクリ
ル系エラストマーなどが挙げられるが、特にエチレン−
プロピレン共重合体、エチレンーブテン共重合体、ポリ
ブテン、エチレンープロピレンージエン共重合体、およ
びエチレンー酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン
系エラストマーが好ましく使用される。
【0047】一方、本発明において上記PPS樹脂組成
物との積層に使用する(D)ポリエステル樹脂の具体例
としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレ
ンテレフタレート、PBT、およびポリヘキサメチレン
テフタレートなどが挙げられるが、中でも適度な機械的
強度を有するPBT樹脂またはテレフタル酸を60モル
%以上好ましくは70モル%以上とドデカンジカルボン
酸および/またはイソフタル酸を含有するジカルボン酸
成分と、1,4−ブタンジオール成分からなる共重合ポ
リエステルが特に好ましい。
【0048】PBT樹脂および共重合ポリエステルの重
合度には特に制限はなく、0.5%オルトクロロフェノ
ール溶液を25℃で測定した相対粘度が0.5〜2.5
の範囲、特に0.8〜2.0の範囲のものが好ましく使
用される。
【0049】本発明で用いる(A)PPS樹脂、(B)
エポキシ基含有化合物、(C)エラストマーからなる樹
脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれ
ば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、結晶核剤、紫外線防
止剤、着色剤および難燃剤などの通常の添加剤および少
量の他種ポリマを添加することができる。
【0050】本発明で用いられる樹脂組成物の調整方法
には特に制限がなく、(A)PPS樹脂、(B)エポキ
シ基含有化合物および必要に応じて(C)エラストマー
を、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサーおよびVブ
レンダーなどを用いてドライブレンドした後、バンバリ
ーミキサー、ミキシングロール、単軸または2軸の押出
機およびニーダーなどを用いて溶融混練する方法などが
挙げられる。中でも十分な混練力を有する単軸または2
軸の押出機を用いて溶融混練する方法が代表的である。
【0051】次に、本発明のコントロールケーブルライ
ナーの製造方法の一例を、図1に基づき説明する。
【0052】図1において、符号1,2はずれも押出機
を示し、本発明の例えば2層構造コントロールケーブル
ライナーを製造するに際てしは、まず上記のようにして
得られた樹脂組成物を一方の押出機1にて、またポリエ
ステル樹脂を他方の押出機2でそれぞれ溶融混練する。
【0053】次に、おのおの押出機内1,2にて溶融混
練されたPPS樹脂組成物とポリエステル樹脂は、共押
出ダイ3に供給され、共押出ダイ3内の接合部4にて多
層状に溶融接合し、その先端のダイフェイス5から2層
環状体6として押し出される。
【0054】こうして押し出された2層環状体6を、通
常のサイジング装置7、冷却槽8に供給することにより
所定の寸法になるように賦形、冷却固化した後、引取機
9によって2層構造のコントロールケーブルライナー
(導管)を得ることができる。また、このコントロール
ケーブルライナーはその管内に公知の内策を摺動自在に
設けることによりコントロールケーブルを得ることがで
きる。
【0055】本発明のコントロールケーブルライナーの
層構成は、内層が(A)PPS樹脂と(B)エポキシ基
含有化合物との樹脂組成物であり、外層を含めたその他
の層が(D)ポリエステル樹脂であることが必要であ
る。積層の数については、(A)PPS樹脂と(B)エ
ポキシ基含有化合物との樹脂組成物と、(D)ポリエス
テル樹脂との2層における順番を間違えなければ、内層
とその他の層の他に、さらにもう1層設けることがで
き、3層以上の多層構造であってもよい。
【0056】また、内層と、外層を含めたその他の層と
の割合は、内層/その他の層の重量比が、5〜45/9
5〜5、特に10〜30/90〜70の範囲にあること
が好ましい。内層の肉厚が55未満の場合には耐摩耗性
の低下および成形加工性の面で好ましくなく、45%を
越えると柔軟性の低下および経済性の面で好ましくな
い。
【0057】このように得られた多層環状体は、高温環
境、高荷重下での耐久性、摺動性を顕著に向上したもの
であり、特に金属線からなる内索が中空部分に滑動、摺
動するコントロールケーブル用のライナー(導管)とし
て適用した場合に理想的な性能を発揮する。
【0058】したがって、本発明のコントロールケーブ
ルライナーは、耐熱性、耐摩擦摩耗性、経済性、成形加
工性および層間の密着性が均衡して優れており、各種の
用途に適用が期待される。
【0059】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳し
く説明する。
【0060】なお、以下に述べる実施例および比較例に
記されたPPS樹脂組成物層とPBT樹脂層のチューブ
表面および内表面外観、層間密着性、摩擦摩耗特性(摺
動荷重効率)は、以下の方法により測定した。
【0061】まず、PPS樹脂組成物、PBT樹脂を上
記した押出成形法により各々押出機内部で溶融混練し、
共押出ダイ内へ圧力供給して、共押出ダイ内の接合部に
て多層状に融着接合し、その先端のダイフェイスから多
層環状体として共押出する。これを真空冷却サイジング
装置により賦形、冷却固化後引取り、外径φ6mm、内
径φ4mmの2層チューブを成形し、得られた2層チュ
ーブの評価を、次の方法にしたがって行った。
【0062】[チューブ表面および内表面外観]上記の
方法で得られた2層チューブを切断し、その内外表面の
平滑性を観察し、良好な順に「優(びびりなし)」、
「良(びびり中)」、「可(びびり大)」と等級付けし
た。
【0063】[2種2層チューブ層間の密着性]同チュ
ーブを短冊状にカットし、短冊の端部のPPS樹脂組成
物層とPBT樹脂層の一部を剥離させ、各層を引張試験
機のチャックに挟み、下記の測定条件で180度剥離強
さ(gf/10mm)を測定した。 密着強度測定条件(Tピール180度剥離試験) イ.引張速度:10mm/min ロ.テストピースサイズ:幅5mm、長さ100mm [耐摩擦摩耗特性(摺動荷重効率)]外径φ6mm、内
径φ4mmの2層チューブを1m長に切断し、チューブ
内にφ3.8mmのスチールワイヤーを通し、シリコー
ン系グリスを充填した。次いで半径100mmRで36
0°巻(1重巻)し、ワイヤーの一端に10kgfの荷
重(W)をかけ、他端ワイヤーから3cm/secの速
度で引張/押しの摺動を100回繰り返た後、他端から
の引張力(F)を測定し、次式より摺動荷重効率を求め
た。
【0064】摺動荷重効率(%)=(W/F)×100 次に、本実施例で用いたPPS樹脂の製法について以下
に説明する。
【0065】[参考例1(PPSの重合)]オートクレ
ーブに硫化ナトリウム3.20kg(25モル、結晶水
40%含む)、水酸化ナトリウム4g、酢酸ナトリウム
三水和物1.36kg(約10モル)およびN−メチル
−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)7.9k
gを仕込み、撹拌しながら徐々に205℃まで昇温し、
水1.36kgを含む留出物1.5リットルを除去し
た。
【0066】残留混合物に1,4−ジクロルベンゼン
3.75kg(25.5モル)およびNMP2kgを加
え、265℃で3時間加熱した。反応生成物を70℃の
温水で5回洗浄し、80℃24時間減圧乾燥して、溶融
粘度約1,500ポイズ(320℃、剪断速度10se
c-1)の粉末状PPS樹脂(P−1)約2kgを得た。
同様な操作を繰り返し、以下に記載の実施例に供した。
【0067】[参考例2(PPS樹脂の酸水溶液洗浄処
理)]参考例1で得られたPPS樹脂粉末約2kgを、
90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液20リットル中
に投入し、約30分間撹拌した後、内容物をろ過、イオ
ン交換水で十分水洗浄し、さらに120℃で24時間減
圧乾燥して粉末状とし、酸溶液洗浄処理PPS樹脂(P
−2)を得た。
【0068】[参考例3(PPS樹脂の熱水洗浄処
理)]参考例1で得られたPPS樹脂粉末約2kgと、
脱イオン水10リットルとをオートクレーブに仕込み、
常圧で密封した後、175℃まで昇温し、撹拌しながら
約30分間保温した後冷却した。内容物を取り出してろ
過し、さらに、70℃の脱イオン水約10リットルの中
にPPS樹脂を浸漬、撹拌し、ろ過する操作を5回繰り
返した。その後120℃で24時間減圧乾燥して熱水洗
浄処理PPS樹脂(P−3)を得た。
【0069】[参考例4(PPS樹脂の有機溶媒洗浄処
理)]参考例1で得られたPPS樹脂粉末約2kgを、
100℃に加熱したNMP20リットル中に投入し、約
30分間撹拌した後ろ過し、続いて約90℃のイオン交
換水で洗浄した。このものを120℃で24時間減圧乾
燥してNMP洗浄処理PPS樹脂(P−4)を得た。
【0070】[実施例1]参考例2で得られた酸水溶液
洗浄処理PPS樹脂(P−2)100重量部、エチレン
/グリシジルメタクリレート(E/GMA=88/12
重量%)共重合体25重量部、エポキシ基を含有しない
エラストマー(三井石油化学(株)製 “タフマー”A
4085)を25重量部をヘンシェルミキサーでドライ
ブレンドした後、φ40mm単軸押出機のホッパーに供
給し、シリンダー温度300℃、スクリュー回転80r
pmの条件で溶融混練を行ないペレット化した。
【0071】このペレット化したPPS樹脂組成物を1
30℃で4時間乾燥した後、図1に示すような押出成形
方式により、φ30mm押出機に供給し、シリンダー温
度300℃にて溶融混練し、共押出ダイ内で内層を形成
させた。
【0072】また、PBT樹脂(東レ(株)製 140
1×04)をφ40mm押出機に供給し、シリンダー2
50℃にて溶融混練し、共押出ダイ内で外層を形成させ
た。
【0073】この2種のポリマーが共押出ダイ内で積層
してできた2層環状体を、市販の押出成形装置を用いる
共押出法により成形することにより、外径φ6mm、内
径φ4mmの2層チューブを成形した。なお、この2層
チューブの肉厚は外層0.80mm、内層0.20mm
であった。
【0074】得られた2層チューブの内表面外観、層間
密着強度および摩擦摩耗特性(摺動荷重効率)を測定し
た結果を表1に示す。表1の結果から明らかなように、
この2層チューブは、チューブ内表面外観に優れ、さら
に10mm幅当り1.2kgの良好な層間密着強度が得
られた。また、摩擦摩耗特性(摺動荷重効率)について
も83%と高い効率が得られ、コントロールケーブルラ
イナーとしての理想的な性能を有していた。
【0075】[実施例2〜6]内層を形成するPPS樹
脂組成物中のPPS樹脂、エチレン/グリシジルメタク
リレート共重合体、エポキシ基を含有しないエラストマ
ーの配合量を表1に示したように変更し、実施例1と同
様の手順で成形を行ない、得られた2層チューブのチュ
ーブ内表面外観、層間密着強度、摩擦摩耗特性(摺動荷
重効率)を測定した。
【0076】表1の結果から明らかなように、PPS樹
脂組成物にエチレン/グリシジルメタクリレート共重合
体、エラストマーを併用して配合すると、PPS樹脂組
成物からなる内層と、PBT樹脂からなる外層間に良好
な密着強さが認められ、配合するエチレン/グリシジル
メタクリレート、エラストマーの配合量が増加するにつ
れ密着強度の向上が認められた。また、チューブ内表面
外観、摩擦摩耗特性(摺動荷重効率)が均衡して優れて
おり、コントロールケーブルライナーとしての理想的性
能を備えた高機能のチューブが得られた。
【0077】[比較例1]実施例1において、PPS樹
脂組成物中のエチレン/グリシジルメチタクリレート共
重合体を省略した以外は、実施例1と同様に成形を行な
った。得られた2層チューブを評価した結果、表1に示
したように、層間の密着性が十分ではなく、摺動荷重効
率の測定で層間の剥離が認められ、実用評価ができなか
った。
【0078】[比較例2〜3]PBT単独で成形したチ
ューブは、表1に示したように、チューブ内表面外観は
優れるものの、摩擦摩耗特性(摺動荷重効率)が不十分
であり満足なチューブではなかった。
【0079】また、PPS樹脂組成物単独で成形したチ
ューブは、表1に示したように、摩擦摩耗特性(摺動荷
重効率)は優れるものの、チューブ内表面外観にやや劣
るものであった。
【0080】
【表1】
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のコントロ
ールケーブルライナーは、特定の多層構造チューブを使
用したため、接着層を介在させずとも、PPS樹脂組成
物からなる内層とPBT樹脂からなる外層間に良好な密
着性を持ち、併せてPPS樹脂の優れた耐薬品性、耐熱
性、耐摩擦摩耗性(摺動荷重効率)と、ポリエステル樹
脂の優れた成形性、経済性を均衡に具備するものであ
り、理想的な性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコントロールケーブルライナーの製造
方法の一例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 押出機 2 押出機 3 共押出ダイ 4 接合部 5 ダイフェイス 6 2層環状体 7 サイジングダイ 8 真空冷却槽 9 引取機
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F16G 9/04 F16G 9/04 F16L 11/06 F16L 11/06 // B29K 67:00 81:00 B29L 9:00 23:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリフェニレンサルファイド樹
    脂100重量部に対し、(B)エポキシ基含有化合物
    0.1〜50重量部および(C)エポキシ基を含有しな
    いエラストマーを0〜50重量部を配合した樹脂組成物
    を内層側に配置し、(D)ポリエステル樹脂を外層側に
    配置した多層構造であることを特徴とするコントロール
    ケーブルライナー。
  2. 【請求項2】 (B)エポキシ基含有化合物がエポキ
    シ基含有重合体であることを特徴とする請求項1記載の
    コントロールケーブルライナー。
  3. 【請求項3】 重合体がα−オレフィンとα、β−不
    飽和カルボン酸のグリシジルエステルとを共重合してな
    る変性ポリオレフィンであることを特徴とする請求項2
    記載のコントロールケーブルライナー。
  4. 【請求項4】 変性ポリオレフィンが、α−オレフィ
    ンに対しα、β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステ
    ルを1〜50重量%共重合したものであることを特徴と
    する請求項3記載のコントロールケーブルライナー。
  5. 【請求項5】 (A)ポリフェニレンサルファイド樹
    脂が、脱イオン化処理されたものであることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか1項記載のコントロールケー
    ブルライナー。
  6. 【請求項6】 (D)ポリエステル樹脂が、ポリブチ
    レンテレフタレートおよび/またはその共重合体である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のコ
    ントロールケーブルライナー。
  7. 【請求項7】 内層/外層を含めたその他の層の肉厚
    比が、5〜45/95〜5の範囲にあることを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか1項記載のコントロールケー
    ブルライナー。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載のコ
    ントロールケーブルライナーの管内に摺動自在に内索を
    設けたことを特徴とするのコントロールケーブル。
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