JPH1018124A - レーヨンフィラメント糸とその製造方法 - Google Patents

レーヨンフィラメント糸とその製造方法

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JPH1018124A
JPH1018124A JP16991796A JP16991796A JPH1018124A JP H1018124 A JPH1018124 A JP H1018124A JP 16991796 A JP16991796 A JP 16991796A JP 16991796 A JP16991796 A JP 16991796A JP H1018124 A JPH1018124 A JP H1018124A
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JP
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yarn
rayon filament
filament yarn
whiteness
winding
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JP16991796A
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Inventor
Yoshinori Yanagida
好徳 柳田
Masanari Yasuda
勝成 安田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来、白色度が低いために、特に衣料分野や
資材分野などの使用には実用的でなかった低水膨潤度の
レーヨンフィラメント糸の特性を改善できる白色度が5
0以上、水膨潤度が60%以下のレーヨンフィラメント
糸、およびその製造方法の提供。 【解決手段】 白色度が50以上、水膨潤度が60%以
下のレーヨンフィラメント糸、およびレーヨンフィラメ
ント糸に15%〜35%の水分率を含有させた状態で処
理温度100℃以上140℃以下、処理時間60分以
下、バッチ式で蒸気処理する製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーヨンフィラメ
ント糸およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、
白色度が高く、水膨潤度が低いレーヨンフィラメント糸
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】レーヨンフィラメント糸は、水に馴染み
やすい性質をもっているので、吸水性が高く、静電気の
発生を防止するなどの有用な機能がある。しかし、反
面、水に馴染み易いレーヨンフィラメント糸は、湿潤時
の強度の低下、繊維断面積が乾燥時に比べて膨潤時に著
しく増加する等のため、用途の制約、加工段階で取扱い
が難しい等の問題を生じる原因となっている。例えば、
湿潤時には強力が低下し、繊維が伸び易くなるため、湿
潤時の取り扱い性に注意しないと、塑性変形を起こし、
風合い、光沢、洗濯収縮等の織物製品の形態や物性を悪
化させてしまう。
【0003】また、レーヨンフィラメント糸は、水を吸
って膨潤する度合い、すなわち水膨潤度が高いので、加
工工程では加工シワになり易い。また、チーズ染色、ケ
ーク染色等の先染め加工工程では、繊維の膨潤によって
染液の透過が阻害され、均一な染色が不可能となるため
にチーズ染色時の巻量を500g以上にできない等の問
題があった。
【0004】さらに、従来の遠心式法によって製造され
たいわゆるケーク糸などのレーヨンフィラメント糸は、
ケークの外層から内層にかけて物性や染色性に連続的な
差異を内在している。このため、加工には特別な操作を
要し、たとえば、ケークの糸層を物性、染色性の近似し
たグループに分け、それぞれのグループをまとめて使用
する方法や、ケークの外層→内層、内層→外層と交互に
反転させながら連続使用する方法などが行われる。しか
し、これらのケーク糸の使用方法は加工工程、加工時間
が増えること、加工に制限が生じること等の問題があっ
た。
【0005】以上の問題を解決するため、従来から、レ
ーヨンフィラメント糸の水膨潤度を低下させ、水に馴染
みやすい性質から生じる問題を改善しようとする提案が
なされている。例えば、特開昭47−44451号公報
などの蒸熱処理する方法が上げられるが、水膨潤度を6
0%以下に低下させることはできても、白色度が低下し
てしまい、通常のレーヨンフィラメント糸に比較して、
用途が限られてしまうという問題がある。
【0006】この白色度が低下する要因としては、蒸気
処理によって発生する着色物質がその主な原因として挙
げられる。この着色物質の生成については、蒸気処理時
の処理温度が高いほど、また処理時間が長いほど、着色
物質は多くなり、白色度を低下させることが知られてい
る。白色度の低下は、漂白処理等により改善が可能であ
るが、水膨潤度を低下させたレーヨンフィラメント糸を
漂白処理した場合、水膨潤度の増加、乾強度や乾伸度の
低下により加工段階の取り扱い性が悪くなるという問題
が生じてしまう。
【0007】以上のように、実用に耐え得る乾強度と乾
伸度とを有し、白色度が従来並みの水準に保ちながら、
低い水膨潤度を持ったレーヨンフィラメント糸はこれま
でなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、白色
度が50以上で水膨潤度が60%以下のレーヨンフィラ
メント糸、および製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の蒸
気処理による白色度の低下を改善するため、蒸気処理し
たレーヨンフィラメント糸の着色物質に着目し、着色物
質を生成させない蒸気処理法について鋭意研究を重ねて
きた結果、蒸気処理するレーヨンフィラメント糸の水分
率と相関関係があること突き止めた。
【0010】本発明者らが、白色度低下の原因となる蒸
気処理時に生成する物質を分析した結果、着色物質はレ
ーヨンフィラメント糸の主な構成物質であるセルロース
分子やヘミセルロース、油脂分等が炭化したものであ
り、そして蒸気処理温度が高く、蒸気処理時間が長い場
合には、これらの物質の炭化が加速され着色物質が増加
することがわかった。
【0011】レーヨンフィラメント糸の水分率を15%
以上にして蒸気処理すると、理由はよくわからないが、
レーヨンフィラメント糸中の水がセルロース分子やヘミ
セルロース、油脂分等を炭化させない抑制物質として作
用すると思われ、着色物質の発生が緩慢となり、白色度
が低下しないことを見出した。レーヨンフィラメント糸
の水分率を15%以上にして蒸気処理することで、水膨
潤度を60%以下に低下させ、白色度を50以上にする
ことができるという知見を得て、本発明を完成するに至
った。
【0012】すなわち、本発明は、白色度が50以上、
水膨潤度が60%以下のレーヨンフィラメント糸、であ
り、また、レーヨンフィラメント糸に15±2%〜35
±2%の水分を含有させた状態で100〜140℃の蒸
気処理を60分以下、バッチ式で行うことを特徴とする
レーヨンフィラメント糸の製造方法、である。先ず、本
発明のレーヨンフィラメント糸の製造方法を具体的に説
明する。
【0013】本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方
法は、通常のビスコース法によって製造された普通レー
ヨンフィラメント糸を蒸気処理する方法である。本発明
の製造方法に用いるレーヨンフィラメント糸は、巻形態
がケークで、巻密度が0.3〜0.5g/cm3 で、好
ましくは0.4〜0.5g/cm3 のケークである。巻
密度は低ければ、蒸気処理時に蒸気が侵入し易く、蒸気
処理前に行われる調湿においてもその時間を短縮でき
る。しかし、巻密度が低すぎると蒸気処理時に吹き込ま
れた蒸気等によって巻形態が保持することができず、ま
た通常の取扱いにおいても巻形態が乱れ、糸繰性が低下
する問題がある。また巻密度が高すぎると蒸気処理時に
蒸気がケーク内部に到達しなくなったり、蒸気処理の前
に行われる調湿に時間がかかるなどの問題がある。
【0014】本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方
法は、上記のケークの巻密度0.3〜0.5g/cm3
と同程度の巻き密度であれば、巻形態がチーズ、コー
ン、パーン、綛等その形態を問わず、いずれの形態でも
実施可能である。本発明のレーヨンフィラメント糸の製
造方法は、糸が紡糸されたままのレーヨンフィラメント
糸、これを撚加工した、単糸、双糸、引揃糸、三子糸、
S撚糸、Z撚糸、片撚糸、諸撚糸、強撚糸、甘撚糸等を
使用することができる。
【0015】本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方
法は、巻形態、または処理条件を選んで、1巻当たりの
巻量が3000gまでのものを使用することができる。
ケークでは巻量が1000g以下であり、さらに好まし
くは800g以下である。特に、チーズ巻やコーン巻の
糸巻形態では、巻量が1000g以上3000g以下の
場合には、巻密度を0.3〜0.5g/cm3とするこ
とが必要である。
【0016】従来は、レーヨンフィラメント糸に内在す
る糸長方向の歪みが、蒸気処理中に糸長方向へ収縮する
ことにより、巻密度を大幅に高め、蒸気を均一に進入す
ることを阻害するため、蒸気処理を均一に行うことが出
来なかった。また、この収縮によって発生する巻密度の
変化は巻量が小さいときには影響が少ないが、巻量が1
000gを越える大きさになるときには巻密度が部分的
に変化し、蒸気の進入が不均一となり、処理が均一に行
われないという問題があった。
【0017】しかし、本発明では、レーヨンフィラメン
ト糸の水分率を15%以上35%以下、そのバラツキを
±2%以下とすることによって、蒸気処理時の糸長方向
の歪みによる収縮を低減でき、巻密度の変化が小さくで
きるので、巻量が1000g以上3000g以下の場合
でも全糸長にわたって均一に処理することが可能であ
る。
【0018】また、チーズ巻やコーン巻の糸巻形態にお
いて、巻始めから総重量の1/3までを0.4g/cm
3以上0.5g/cm3以下とし、ついで、残りの2/3
のチーズ巻の巻密度を0.3g/cm3以上0.4g/
cm3以下とすることが好ましく、巻量増加による自重
による形態の崩れを抑制でき、糸全体にわたって均一に
処理することができる。
【0019】本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方
法は、レーヨンフィラメント糸に水分を水分率15%〜
35%、バラツキが±2%に付与してから蒸気処理す
る。15%以下であると白色度の低下が大きく、35%
以上であると白色度の低下は小さいが、水膨潤度を60
%以下に低下させることができず、好ましくない。さら
に、水分率が15%〜25%でバラツキが±2%である
ことが好ましい。上記の水分率であると、特に白色度の
低下が小さく、かつ水膨潤度が低く、しかも、より均一
な物性のものが得られる。
【0020】さらに水分率が15%〜20%でバラツキ
が±2%では、特に染色性が均一なケークを得ることが
できる。また、本発明のレーヨンフィラメント糸の製造
方法は、その水分率が35%以下では光沢度の低下は小
さいが、水分率が35%以上となると光沢度の低下は大
きくなる。光沢度を高く保ちながら、白色度の低下を小
さくし、かつ水膨潤度を低下させるためには、15〜2
5±2%であることが好ましい。
【0021】本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方
法は、水分率を付与する方法としては、例えば、内圧通
気法で一定温度下に、相対湿度80〜99%に調湿した
気体を一定時間循環させる方法や、一定の相対湿度に管
理した循環する気体中に放置する方法等を挙げることが
できる。本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方法
は、この水分率をもつ糸巻を通常の蒸気処理機を用い
て、蒸気処理温度100℃〜140℃の水蒸気で処理時
間60分以下のバッチ式の蒸気処理を行う。蒸気処理温
度が高く、蒸気処理時間が長ければ、水膨潤度は低下す
るが、着色物質の生成量が増えるため白色度が低下す
る。また蒸気処理温度が低く、蒸気処理時間が短けれ
ば、白色度の低下は起こらないが、水膨潤度を低下させ
ることができない。特に白色度を未処理糸並みとしなが
ら、水膨潤度を60%以下に低下させる条件としては、
蒸気処理温度は110℃〜135℃、蒸気処理時間は5
分〜30分が好ましい。
【0022】また、使用する糸巻の1巻当たりの巻量が
多い場合には、蒸気処理温度を高くし、蒸気処理時間を
長くすることで処理の不均一性を改善できる。本発明の
製造方法は、使用する水蒸気が、飽和水蒸気、あるいは
乾度が0.90以上の水蒸気であることが好ましい。ま
た、本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方法は、調
湿した処理糸の水分率が不均一にならない様に、糸の取
扱いには充分注意することが肝要である。また処理中の
水分率の変化をできるだけ小さくするために予め蒸気処
理機のジャケット温度を蒸気処理温度と等しいか又は0
〜10℃程度低く設定しておくことが好ましい。蒸気処
理後のレーヨンフィラメント糸は、室温、または70℃
以下の温風下で乾燥することが好ましい。
【0023】本発明のレーヨンフィラメント糸の製造方
法は、以上のように、レーヨンフィラメント糸の水分率
を15%〜35%として蒸気処理する簡単な操作で、従
来のレーヨンフィラメント糸の乾強伸度を損なわず、6
0%以下の水膨潤度と、白色度50以上、さらに従来の
方法では得られなかった白色度80以上の水膨潤度の高
い普通レーヨンフィラメント糸を工業的に生産できる有
利な方法である。
【0024】本発明のレーヨンフィラメント糸は、白色
度が通常糸と同程度を維持しながら、水膨潤度が低下し
て、水への馴染み易さが減っており、湿強度および湿弾
性率が増加し、熱水収縮率が改善され、乾燥時と湿潤時
との繊維断面積変化が小さい等の特徴がある。本発明の
レーヨンフィラメント糸は、従来のレーヨンフィラメン
ト糸に熱処理を加えた、架橋処理剤等の第3成分の添加
を行うものではないため、物性や品質、繊維の組成は通
常のレーヨンフィラメント糸と変わらない。また漂白等
の化学的処理を行わずに白色度を保つことができるた
め、水膨潤度の増加や乾強度、乾伸度等の低下がない。
【0025】さらに、本発明のレーヨンフィラメント糸
は、従来のチーズ状やケーク状等に巻かれた普通レーヨ
ンフィラメント糸がもつ繊維構造の歪みを蒸気処理によ
り均質化させる作用があるため、従来のレーヨンフィラ
メント糸に比較して染色性が極めて均一になるという効
果がある。特にケーク糸に本発明の製造方法を適応する
ことで、従来のケーク糸が持っていた外層から内層への
物性、染色性の連続的な変化が改善され、均一な物性、
染色性を示すようになる。
【0026】本発明のレーヨンフィラメント糸は、低水
膨潤度であり、内圧通液法によるチーズ染色、ケーク染
色等で、従来糸のように、染色時及び湿潤時の繊維断面
積の増加によって染液の液通性が悪くなることがなく、
染色時の均一性を維持させつつ、処理する糸の量や巻密
度等を大幅に増加させることができる。例えば、チーズ
染色の際に、巻糸量を従来の500gから約1kgに増
加させても染色の均一性を損なわず染色できる効果があ
る。
【0027】また、本発明のレーヨンフィラメント糸を
用いた織物は、低水膨潤度であるので、従来のものに比
較して、洗濯収縮率を低くすることができ、また、洗濯
収縮率を従来糸と同程度するならば樹脂加工剤等の使用
量を低減できる。また、特に撚糸織物においては、水膨
潤度の低下と湿弾性率の向上により緻密で均一なしぼ立
ち性を得ることが可能となる。
【0028】本発明のレーヨンフィラメント糸を用いた
織物や編地等の布帛は、染色、後加工(例えば樹脂加
工、柔軟加工等)を行う時の湿潤状態での取扱い性や、
薬液加工時の液通性の改善、薬液の付与量の制御が簡単
になるなど、従来のものに比較して、幅広い範囲で機能
が向上しているものである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、実施例により、本発明を具
体的に説明する。なお、物性測定は以下に詳述する方法
で行った。また、使用したレーヨンフィラメント糸は、
通常のビスコース法で製造された糸を使用した。 (1)試料の調湿 繊維、織地の諸物性を測定する前に、予め20℃、相対
湿度65%の雰囲気下に48時間以上放置、調湿し、供
試試料とした。 (2)白色度 JIS−L−1013(A法)によって測定した。 (3)光沢度 JIS−L−1013(A法)によって測定した。 (4)水膨潤度 測定する試料5cmの長さに切断した後、JIS−L−
1015(1994)によって測定した。 (5)乾強伸度、湿強伸度 JIS−L−1013によって測定した。すなわち試料
を自記記録装置付定速伸長形引張試験機装置により、試
験長20cm、引張速度20cm/min、試験回数3
0回で行った。また湿弾性率の測定は、湿強伸度測定の
荷重−伸長曲線よりJIS−L−1013の初期引張抵
抗度の測定を用いて求めた。 (6)水分率測定 基本的にJIS−L−1013によって測定を行った。
また測定試料のサンプリングについてはチーズ、ケー
ク、コーン等の巻形態の糸を外層から100gおきに巻
取り、これらの巻返した糸の外層部2gの糸の水分率を
測定した。
【0030】具体的には、始めに水分率測定を行うチー
ズ、ケーク、コーン等の巻形態の最外層の糸2gを通常
のワインダーを使用して巻取り、これを直ちにJIS−
L−1013によって測定を行った。つぎに水分率測定
を行うチーズ、ケーク、コーン等の巻形態の残りを10
0g通常のワインダーを用いて巻取り、この巻返した糸
100gの最外層の糸2gをサンプリングし、直ちにJ
IS−L−1013によって測定を行った。この操作を
水分率測定を行おうとする巻形態の糸がなくなるまで繰
返した。この水分率測定試料のサンプリングは水分率測
定を行う前にそれらの試料が置かれていた温度、相対湿
度と同じ条件で行った。 (7)熱水収縮率 JIS−L−1013のA法を用いて行った。 (8)洗濯収縮率 JIS−L−1042のG法を用いて行った。 (9)しぼ質性 JIS−L−1042のG法の洗濯試験後、しぼの大小
の均一度を基準(○)とし、次の4段階に評価した。 ◎:非常に良い、○:良い、△:しぼの大小が多く、均
一性にやや劣る、×:しぼの大小が多く、均一性に劣る (10)均染性 処理糸を最内層、中層、最外層毎に分割し、それぞれ一
口編し、これをJIS−L−1013のA法により、染
色した。処理糸外層部を基準として色差判定し、アダム
スーニッカーソンの色差式により、色差を算出した。色
差は正の数を濃染とし、負の数を淡染とする。 (11)チーズ染の色差 染色チーズをチーズ最内層、中層、最外層毎にコーン部
分割し、それぞれ一口編し、チーズ中層部を基準として
色差判定し、アダムスーニッカーソンの色差式により、
色差を算出した。色差は正の数を濃染とし、負の数を淡
染とする。 (12)加工時の取扱性 樹脂加工、柔軟加工などで濡らした状態での取扱におい
て、加工剤などの一定のピックアップ率となるようにマ
ングルで脱水した湿潤状態の布帛を熱風式のピンテンタ
ーにセットする際の取付け易さを良、悪の2段階に評価
した。
【0031】
【実施例1】ビスコース法レーヨンフィラメント糸(1
20d/26f、水膨潤度99%、白色度83.0)の
ケーク約720g、巻密度0.45g/cm3のものを
水分率が約18%、そのバラツキが±2%以内になるよ
うに調湿した。これを予備加熱を行った蒸気処理機(日
空工業(株)製、商品名、SBR−1型)中に入れ、蒸
気処理温度120℃、ジャケット温度は蒸気処理温度よ
り5℃下げて設定し、20分間蒸気処理を行った。蒸気
処理後、機内を脱気し、さらに真空度−650mmHg
で10秒の真空乾燥を行った後、50℃の温風下で72
時間乾燥させた。
【0032】表1に実施例1の蒸気処理条件、調湿後の
水分率の平均値、処理した糸の白色度、光沢度、水膨潤
度、均染性の結果を示す。調湿後の水分率の平均値と
は、所定の条件で調湿した糸巻きを水分率測定法で分割
し測定した水分率の平均値である。また、分割し測定し
た各部分の水分率の値は、それらの平均値から±2%以
内の範囲にすべてあった。
【0033】実施例1においては外観に着色はなく、白
色度の低下はほとんど見られないが、光沢度はわずかに
低下した。また乾強伸度は未処理糸とほとんど変化しな
かった。湿強度は未処理糸が0.8g/dであったのに
対し、実施例1においては1.0g/dへ増加し、これ
にともなって、湿弾性率は未処理糸が3g/dであった
のに対して、本発明のレーヨンフィラメント糸は7g/
dへ増加した。
【0034】また、熱水収縮率は外層、中層、内層均一
に2%以下に低下した。さらに均染性は未処理糸におい
ては最大で2.4NBSの色差が存在したが、実施例1
においては、0.5NBSに低下した。また処理糸の蒸
気処理を行う直前の平均水分率と蒸気処理直後の平均水
分率は±1%以内であった。
【0035】
【実施例2〜12、比較例1〜8】蒸気処理条件、調湿
後の水分率の平均値を表1に示すように変更した他は実
施例1と同様に行った。また実施例2〜12、比較例1
〜8の白色度、光沢度、水膨潤度、均染性の結果につい
て表1に示す。実施例2〜12、比較例1〜8のケーク
を調湿後に分割し測定した各部分の水分率の値は、それ
ぞれの実施例または比較例の水分率の平均値から、±2
%以内の範囲にすべて入っていた。
【0036】実施例2〜12のいずれの処理を行ったも
のにおいても外観に着色はなく、白色度の低下はほとん
ど見られないが、光沢度はわずかに低下した。また乾強
伸度は未処理糸とほとんど変化しなかった。湿強度は未
処理糸が0.8g/dであったのに対し、1.0g/d
へ増加した。また湿強度の増加によって湿弾性率は未処
理糸が3g/dであったのに対して7g/dに増加し
た。これに対し、比較例3〜6は、水膨潤度はほぼ60
%程度に低下させることができるが、外観に着色が見ら
れ、白色度は大きく低下した。また比較例1、2、7、
8は白色度は未処理糸とほぼ同じであるが、水膨潤度に
ついては70%以上を示した。
【0037】均染性は実施例1〜12で1NBS以下を
示すが、特に実施例1〜5、9〜12については0.5
NBS以下を示した。実施例1〜12、及び比較例1〜
8で明らかなように蒸気処理温度が100℃〜140℃
で蒸気処理時間が60分以下の場合、蒸気処理時の処理
糸の水分率が15%以上では、蒸気処理した後の白色度
が80以下に低下しないのに対して、15%以下の水分
率で蒸気処理したものは白色度が50以下に低下する。
また水膨潤度は蒸気処理時の処理糸の水分率が15%以
上35%以下の時60%以下に低下し、水分率が15%
以下の場合や35%以上の場合には60%以上になる。
【0038】
【実施例13】ビスコース法レーヨンフィラメント糸
(120d/26f、水膨潤度99%、白色度83.
0)のケーク糸約720gを繋ぎ合わせ、チーズ形態で
巻量3000g、巻密度0.45g/cm3となるよう
に巻上げ、これを水分率約18%、そのバラツキが±2
%以内になるように調湿した。これを予備加熱を行った
蒸気処理機(日空工業(株)製、商品名、SBR−1
型)中に入れ、蒸気処理温度120℃、ジャケット温度
は蒸気処理温度より5℃下げて設定し、20分間蒸気処
理を行った。蒸気処理後、機内を脱気し、さらに真空度
−650mmHgで10秒の真空乾燥を行った後、50
℃の温風下で72時間乾燥させた。
【0039】表2にチーズ層別に分割した後の色差の結
果を示す。実施例13の各層の白色度、光沢度、水膨潤
度、乾強伸度、湿強度、湿弾性率は実施例1とほぼ同じ
であった。また均染性は、未処理糸は、2.2NBSの
色差が存在したが、実施例13においては0.1NBS
に低下した。
【0040】
【実施例14〜18、比較例9,10】実施例14〜1
8、比較例9はチーズの巻密度、巻総重量を表2に示す
ように変更した他は実施例13と同様に行った。また実
施例14〜18、比較例9のチーズを層別に分割した後
の色差の結果を示す。実施例14〜18においては、各
層の白色度、光沢度、水膨潤度、乾強伸度、湿強度、湿
弾性率等は実施例1とほぼ同じであり、均染性はいずれ
の実施例においても約0.3NBSに低下した。
【0041】比較例9,10については、最内層側で濃
染化する傾向が見られ、約4NBSの色差が生じた。
【0042】
【実施例19】実施例1で得られた、本発明のレーヨン
フィラメント糸(120d/26f、水膨潤度52%、
白色度83.0)を撚糸数600T/Mに撚糸し、直径
5.5cm、長さ11cmの染色チューブに巻取った。
この片撚糸を巻密度0.35g/cm3、巻量1000
gで巻き、ついで、このチーズをチーズ染色機を用いて
下記の条件で染色後、乾燥した。 (染色処方と染色条件) C.I.Reactive Blue 27 1 %owf 硫酸ナトリウム 50 g/L 炭酸ナトリウム 15 g/L 染液方向は内から外で、染液温度を20℃より1℃/分
にて60℃まで昇温し、60℃で硫酸ナトリウムを10
分毎に3分割して添加した後、同温度にて30分間染色
し、中和、水洗した。
【0043】これをチーズ乾燥機にて脱水した後、80
℃で120分間乾燥した。このようにして得られた染色
チーズを色差判定し、色差を算出した。染色物の色差、
染色時のチーズ乾燥機での乾燥時間、染色時の取扱性の
結果を表3に示す。
【0044】
【比較例11】ビスコース法レーヨンフィラメント糸
(120d/26f、水膨潤度99%、白色度83.
0)を実施例19と同様に処理したが、染色後の乾燥に
ついては、80℃で360分行った。また染色チーズの
色差の評価は実施例19と同様に行った。染色チーズの
色差の評価の結果を表3に示す。
【0045】表3から明らかなように、本発明のレーヨ
ンフィラメント糸は、水膨潤度を58%に低下させたこ
とによって、チーズ染色時の染液の液通り性が改善さ
れ、その処理量を1000gにしてもチーズ最内層から
最外層にかけての染色性が均一で、色差の極めて少ない
チーズの染色物を提供できる。また、染色、脱水後の水
分率が低く乾燥時間を大幅に短縮でき、乾燥時のエネル
ギー効率も高い。水膨潤度を低くしたこと、湿潤物性を
向上させたことで染色加工時の取扱性も向上させること
ができる。
【0046】さらに本発明のレーヨンフィラメント糸
は、従来糸と同程度の白色度を持っているため、水膨潤
度が低いレーヨンフィラメント糸が有するこれらの機能
を従来糸の白色度、または発色性を損なうことなく実現
できる。
【0047】
【実施例20】実施例1で得られた、本発明のレーヨン
フィラメント糸(120d/26f、水膨潤度52%)
をイタリー撚糸機にて撚糸数2500T/Mに強撚(S
およびZ撚)となるように撚糸し、つぎに80℃の温水
にて30分間撚止セットを行った。つぎにこの撚止セッ
トされた強撚糸を緯糸、経糸として経密度71本/in
ch、でS・Z2本交互に平織に製織した。この布帛を
20℃、相対湿度65%の恒温恒湿槽で24時間放置し
繊維の絶乾重量に対して11%の水分を含有させた。つ
ぎにこの織物を20℃の水中で30分間浸漬し、ワッシ
ャーで振とうして、しぼ立てを行った。巾入り率はワッ
シャー前の寸法に対して緯方向に15%収縮し、経方向
には14%収縮した。
【0048】上記の方法で得られた織物の洗濯収縮率、
しぼ質性を表4に示す。
【0049】
【比較例12】ビスコース法レーヨンフィラメント糸
(120d/26f、水膨潤度99%)を用いて実施例
20と同様に行った。巾入り率はワッシャー前の寸法に
対して緯方向に14%収縮し、縦方向には14%収縮し
た。上記の方法で得られた織物の洗濯収縮率、しぼ質性
を表4に示す。
【0050】以上のように、本発明のレーヨンフィラメ
ント糸を使用した撚糸織物は従来のレーヨンフィラメン
ト糸を使用した撚糸織物に比較して洗濯収縮率を大幅に
低下させることができ、しぼ質やそのしぼの均一性で優
れる。また本発明のレーヨンフィラメント糸は従来糸と
同程度の白色度を持っているため、水膨潤度が低いレー
ヨンフィラメント糸が有するこれらの機能を従来糸の白
色度、または発色性を損なうことなく実現できる。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
【発明の効果】本発明のレーヨンフィラメント糸の製造
方法は、白色度が50以上、水膨潤度が60%以下のレ
ーヨンフィラメント糸をうることができ、従来、白色度
が低いために、特に衣料分野や資材分野などの使用には
実用的でなかった低水膨潤度のレーヨンフィラメント糸
の特性を改善できる。
【0056】また、本発明のレーヨンフィラメント糸
は、白色度を通常糸と同程度に維持しながら、水膨潤度
を低下させ、水への馴染み易さを改善させたことによ
り、従来糸に比較して、湿強度、及び湿弾性率の増加、
熱水収縮率の均一な低下等を実現し、また均染性に関し
ても改善することができる。さらに、本発明のレーヨン
フィラメント糸は、従来のレーヨンフィラメント糸と同
等の乾強伸度、発色性、耐静電気性、吸湿性、ドレープ
性等の特性を有しながら、高い湿弾性率と低い水膨潤度
を有するため、レーヨンフィラメント糸繊維製品の洗濯
収縮性、加工時の取扱性等の性能を高めることができ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白色度が50以上、かつ水膨潤度が60
    %以下のレーヨンフィラメント糸。
  2. 【請求項2】 乾伸度16%以上の請求項1のレーヨン
    フィラメント糸。
  3. 【請求項3】 乾強度が1.6g/d以上の請求項1の
    レーヨンフィラメント糸。
  4. 【請求項4】 レーヨンフィラメント糸に15±2%〜
    35±2%の水分を含有させた状態で100〜140℃
    の蒸気処理を60分以下、バッチ式で行うことを特徴と
    するレーヨンフィラメント糸の製造方法。
  5. 【請求項5】 レーヨンフィラメント糸が、チーズ巻ま
    たはコーン巻であって、巻密度が0.3〜0.5g/c
    m3、糸巻量が1000〜3000gであることを特徴
    とする請求項4のレーヨンフィラメント糸の製造方法。
  6. 【請求項6】 レーヨンフィラメント糸が、糸巻量60
    0〜1000gのケーク糸であることを特徴とする請求
    項4のレーヨンフィラメント糸の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1293242C (zh) * 2004-12-24 2007-01-03 唐山三友集团化纤有限公司 卫材用高白度粘胶短纤维及其生产工艺
CN100417764C (zh) * 2006-09-08 2008-09-10 唐山三友集团化纤有限公司 造纸用超短粘胶纤维的制造方法

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