JPH10179817A - チタン製ゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents

チタン製ゴルフクラブヘッドの製造方法

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JPH10179817A
JPH10179817A JP8346381A JP34638196A JPH10179817A JP H10179817 A JPH10179817 A JP H10179817A JP 8346381 A JP8346381 A JP 8346381A JP 34638196 A JP34638196 A JP 34638196A JP H10179817 A JPH10179817 A JP H10179817A
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JP
Japan
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temperature
less
golf club
club head
titanium
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JP8346381A
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Hiroshi Iiizumi
浩志 飯泉
Atsushi Ogawa
厚 小川
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強度、耐久性等の機械的特性に優れているの
みならず、ゴルフボールを打った際に、6〜8kHz の周
波数帯域における打球音残響性が高く、高音に偏りすぎ
ず、軽やかな金属的打球音をも具備するチタン製ゴルフ
クラブヘッドの製造方法を提供する。 【解決手段】 チタン製ゴルフクラブヘッドの製造にお
いて、α+β型チタン合金に(β変態温度−100℃)
以上1100℃未満の範囲内の温度で加工を施し、次い
で、(β変態温度−100℃)以上1100℃未満の範
囲内の温度で熱処理を施し、次いで、450℃以上60
0℃未満の範囲内の温度で熱処理を施したものを少なく
ともフェース部に用いることにより、6〜8kHz の周波
数帯域において打球音残響性を高めることを特徴とす
る、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、チタン製ゴルフ
クラブヘッド、特に打球音残響性に優れたチタン製ゴル
フクラブヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ドライバー等のメタルウッドクラ
ブのヘッド部にチタン合金が用いられるようになった。
その理由は、チタン合金は比強度が高いので、ヘッド部
の薄肉大容量化が可能となって、スウィートスポットの
面積を広く取ることができ、その結果打球の方向が安定
する、また、スウィートスポットが拡大することによっ
てシャフトの長尺化が可能となって、飛距離の増大が望
めるといった利点があるからである。
【0003】特開昭63−154186号公報(以下、
先行文献1)、特開平4−367678号公報(以下、
先行文献2)、特公平7−98076号公報(以下、先
行文献3)には、種々のTi合金を用いたゴルフクラブ
ヘッドの製造方法が開示されている。先行文献1には、
Ti−6wt.%Al−4wt.%V製のシェル状部材を相互に
一体化接合して中空状のヘッドを組み立て、且つそのヘ
ッド内部後方にTiより比重の大きなバックウエイトを
固着する方法が開示されている。先行文献2には、Ti
−4.7wt.%Al−2.9wt.%V−2.0wt.%Mo−
2.1wt.%Fe薄板をプレスによってクラブヘッドのシ
ェル状の分割部品に成形し、溶接によってヘッドシェル
の形に組み立て、更に溶体化処理および時効処理を施す
方法が開示されている。先行文献3には、熱間プレスに
よって平均結晶粒径10μmとしたTi−6wt.%Al−
4wt.%V製クラウン部と、板から削りだしたTi−6w
t.%Al−4wt.%V製フェース部およびソール部とを溶
接によってヘッド形状に組み立て、且つクラウン部の剛
性がソール部のそれよりも低くする製造方法が開示され
ている。
【0004】ところで、ゴルフクラブは方向安定性や飛
距離といった単なる機械的な性能のみならず、ボールを
打った際の打球音といった個人の感性に訴える性能をも
要求される。この感覚的な好みは個々の人間によって異
なるものであるため、ゴルフクラブにおいては様々な打
球音が求められることとなる。しかしながら、これら先
行文献1〜3においてはゴルフクラブヘッドの耐久性あ
るいは飛距離といった機械的な性質にのみ着目してお
り、打球音については何ら言及されていない。また、日
本金属学会会報、vol.35(1996)P.8 (以下、先行文献
4)において、星らは、ゴルフクラブの打球音について
検討を行った結果、人間の感知し得るゴルフクラブの打
球音とはボールを打った後の残響音であり、これを特徴
づけるのは木材、ステンレス鋼、チタンといったゴルフ
クラブヘッドを構成する材料であることを開示してい
る。
【0005】従って、従来、ゴルフクラブの打球音を制
御するためにはヘッド部の材料を変更する以外に方法は
なく、チタンを用いることによって、飛距離の増大とい
った機械的特性は向上するものの、それと同時に打球音
を制御することは不可能とされていた。即ち、上述した
ように、先行文献1から3に開示された先行技術におい
ては、ゴルフクラブヘッドの耐久性あるいは飛距離とい
った機械的な性質のみが改善されているに過ぎないとい
う問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、この発明の目
的は、上述した先行技術の問題点を解決して、強度、耐
久性等の機械的特性に優れているのみならず、ゴルフボ
ールを打った際に、6〜8kHz の周波数帯域における打
球音残響性が高く、高音に偏りすぎず、軽やかな金属的
打球音をも具備するチタン製ゴルフクラブヘッドの製造
方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、チタ
ン製ゴルフクラブヘッドにおいては、その製造方法を工
夫して、金属組織の形態等を制御することによって、ゴ
ルフクラブヘッドの耐久性または飛距離といった機械的
な性質を改善し、同時に、打球音を変化させることがで
きることを知見した。即ち、α+β型チタン合金に(β
変態温度−100℃)以上β変態温度未満の範囲内の温
度で加工を施し、次いで、(β変態温度−100℃)以
上1100℃未満の範囲内の温度で熱処理を施し、次い
で、450℃以上600℃未満の範囲内の温度で熱処理
を施したものを少なくともフェース部に用いると、6〜
8kHz の周波数帯域において打球音残響性を高くするこ
とができることを知見した。更に、α+β型チタン合金
にβ変態温度以上1100℃未満の範囲内の温度で加工
を施し、次いで、(β変態温度−100℃)以上110
0℃未満の範囲内の温度で熱処理を施し、次いで、45
0℃以上600℃未満の範囲内の温度で熱処理を施した
ものを少なくともフェース部に用いると、6〜8kHz の
周波数帯域において打球音残響性を高くすることができ
ることを知見した。更に、β型チタン合金にβ変態温度
以上β変態温度+100℃未満の範囲内の温度で熱処理
を施し、次いで、450℃以上600℃未満の範囲内の
温度で熱処理を施したものを少なくともフェース部に用
いると、6〜8kHz の周波数帯域において打球音残響性
が高くすることができることを知見した。
【0008】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、この発明のチタン製ゴルフクラブヘッド
の製造方法は、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造にお
いて、α+β型チタン合金に(β変態温度−100℃)
以上1100℃未満の範囲内の温度で加工を施し、次い
で、(β変態温度−100℃)以上1100℃未満の範
囲内の温度で熱処理を施し、次いで、450℃以上60
0℃未満の範囲内の温度で熱処理を施したものを少なく
ともフェース部に用いることにより、6〜8kHz の周波
数帯域において打球音残響性を高めることを特徴とする
ものである。
【0009】更に、この発明のチタン製ゴルフクラブヘ
ッドの製造方法は、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造
において、α+β型チタン合金に(β変態温度−100
℃)以上1100℃未満の範囲内の温度で加工を施し、
次いで、(β変態温度−100℃)以上1100℃未満
の範囲内の温度で熱処理を施した後1℃/s以上の冷却
速度で冷却し、次いで、450℃以上600℃未満の範
囲内の温度で熱処理を施したものを少なくともフェース
部に用いることにより、6〜8kHz の周波数帯域におい
て打球音残響性を高めることを特徴とするものである。
【0010】更に、この発明のチタン製ゴルフクラブヘ
ッドの製造方法は、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造
において、α+β型チタン合金にβ変態温度以上110
0℃未満の範囲内の温度で加工を施し、次いで、450
℃以上600℃未満の範囲内の温度で熱処理を施したも
のを少なくともフェース部に用いることにより、6〜8
kHz の周波数帯域において打球音残響性を高めることを
特徴とするものである。 更に、この発明のチタン製ゴ
ルフクラブヘッドの製造方法は、チタン製ゴルフクラブ
ヘッドの製造において、α+β型チタン合金にβ変態温
度以上1100℃未満の範囲内の温度で加工を施し、次
いで、(β変態温度−100℃)以上1100℃未満の
範囲内の温度で熱処理を施し、次いで、450℃以上6
00℃未満の範囲内の温度で熱処理を施したものを少な
くともフェース部に用いることにより、6〜8kHz の周
波数帯域において打球音残響性を高めることを特徴とす
るものである。
【0011】更に、この発明のチタン製ゴルフクラブヘ
ッドの製造方法は、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造
において、α+β型チタン合金にβ変態温度以上110
0℃未満の範囲内の温度で加工を施し、次いで、(β変
態温度−100℃)以上1100℃未満の範囲内の温度
で熱処理を施した後1℃/s以上の冷却速度で冷却し、
次いで、450℃以上600℃未満の範囲内の温度で熱
処理を施したものを少なくともフェース部に用いること
により、6〜8kHz の周波数帯域において打球音残響性
を高めることを特徴とするものである。
【0012】更に、この発明のチタン製ゴルフクラブヘ
ッドの製造方法は、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造
において、β型チタン合金にβ変態温度以上β変態温度
+100℃未満の範囲内の温度で熱処理を施し、次い
で、450℃以上600℃未満の範囲内の温度で熱処理
を施したものを少なくともフェース部に用いることによ
り、6〜8kHz の周波数帯域において打球音残響性を高
めることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照し
ながら説明する。図1は、この発明の方法の1つによっ
て製造されるチタン製ゴルフクラブヘッドを示す概略説
明図である。図1において、1はフェース+フォーゼル
部、2はソール部、3はクラウン部を示す。
【0014】本発明の方法において、例えば、α+β型
チタン合金を2相域において熱間加工して得た部材をゴ
ルフクラブヘッドのフェース部に用いた場合、ゴルフク
ラブヘッドの打球音は、4〜6および8〜10kHz の周
波数帯域において打球音残響性が高くなる。このような
音響特性は、フェース部の金属組織等に起因したもので
ある。即ち、当該部材の金属組織は板厚と垂直方向に伸
長した2相混合組織形態であり、この組織形態は、8〜
10kHz の周波数帯域において打球音残響性を高める。
更に、α相には歪みが蓄積されて、4〜6kHz の周波数
帯域において打球音残響性を高める。このようにして得
られたゴルフクラブヘッドまたは部材に例えば約600
℃の温度で熱処理を施し、板厚と垂直方向に伸長した2
相混合組織を保ちつつα相の歪みを取り除くと、当該ゴ
ルフクラブヘッドは、8〜10kHz の周波数帯域のみに
おける打球音残響性が高くなる。約β変態温度±100
℃の温度で熱処理を施すと、板厚と垂直方向に伸長した
2相混合組織は等軸化または変態により消滅して、4〜
6kHz の周波数帯域における打球音残響性を低くする。
【0015】一方、板厚と垂直方向に伸長した2相混合
組織でもなく、α相中に歪みが蓄積されていないフェー
ス部材を、450℃以上600℃未満の範囲の温度で熱
処理を施すと、当該組織のβ相中には微細なα相が析出
する。この微細析出α相には、6〜8kHz の周波数帯域
における打球音残響性を高める効果がある。
【0016】本発明のゴルフクラブヘッドの少なくとも
フェース部はα+β型チタン合金またはβ型チタン合金
であるべきである。その理由は、6〜8kHz の周波数帯
域における打球音残響性を高める効果を有する微細α相
を析出させるためのβ相が、α+β型チタン合金または
β型チタン合金には存在するが、α型チタン合金にはそ
れが存在しないからである。
【0017】α+β型チタン合金の場合における、加工
温度はβ変態温度−100℃以上1100℃未満とすべ
きである。加工温度がβ変態温度−100℃未満である
と、塑性加工が困難であり、ゴルフクラブヘッドの形状
に成形できない。一方、加工温度が1100℃以上であ
ると、表層が著しく酸化し、その手入れに多大な労力を
必要とする。加工温度がβ変態温度未満であると、金属
組織は板厚と垂直方向に伸長した2相混合組織形態であ
り、8〜10kHz の周波数帯域における打球音残響性が
高い。更に、α相には歪みが蓄積されており、4〜6kH
z の周波数帯域における打球音残響性の高い。
【0018】上述した影響を取り除いて、4〜6kHz お
よび8〜10kHz の周波数帯域における打球音残響性を
低くするためには、当該部材を(β変態温度−100
℃)以上1100℃以下の範囲内の温度で熱処理を施す
ことが必要である。熱処理温度が(β変態温度−100
℃)未満で、且つ750℃未満のときは、組織形態の等
軸化が不十分であるので、8〜10kHz の周波数帯域に
おける打球音残響性を十分に低くすることができない。
また、熱処理温度が(β変態温度−100℃)未満で、
且つ750℃以上のときは、次に述べる後段の熱処理に
おいて微細なα相を析出させるために十分な残留β相体
積率を得ることができない。一方、熱処理温度が110
0℃以上であると、表層が著しく酸化し、その手入れに
多大の労力が必要であり、製造コストの上昇をもたら
す。
【0019】この際、熱処理後の冷却速度が速いものほ
ど残留β相の体積率が増すため、または、微細なα相を
析出するための前駆段階であるマルテンサイト相やω相
の生成も促されるため、後段の熱処理において微細なα
相をより析出させやすい。この場合、熱処理時間が30
分未満であると、上述した効果が期待できず、また、2
時間を超えるとゴルフクラブヘッド表層が著しく酸化し
その手入れに多大な労力を必要とする。従って、熱処理
時間は30分以上2時間以下が好ましい。
【0020】加工温度がβ変態温度以上1100℃未満
のときには、フェース部には8〜10kHz の周波数帯域
における打球音残響性を高める働きをする、板厚と垂直
方向に伸長した2相混合組織、および、4〜6kHz の周
波数帯域における打球音残響性を高める、歪みが蓄積さ
れたα相の何れも存在しない。よって、熱処理を施すこ
とによって次に述べる微細なα相が析出して、6〜8kH
z の周波数帯域における打球音残響性が高まる。このと
き、加工組織を均質化するために、β変態温度−100
℃以上1100℃以下の熱処理の後に、微細なα相を析
出するための熱処理を施しても、同様の効果が得られ
る。
【0021】次に、この発明の方法においては、α相に
歪みの蓄積のない等軸2相組織、または、β組織の残留
β相中に微細なα相を析出させるための熱処理を施す。
このような組織形態を付与することによって、6〜8kH
z の周波数帯域における打球音残響性を高めることがで
きる。このための熱処理温度が450℃未満では、微細
なα相の析出が不十分であり、600℃を超えると、析
出したα相が粗大化して、6〜8kHz の周波数帯域にお
ける打球音残響性を高めることができない。従って、熱
処理温度は450℃以上600℃未満とするべきであ
る。この場合、熱処理時間が30分未満では、上述した
効果が期待できず、また6時間を超えると、析出したα
相が粗大化して、6〜8kHz の周波数帯域における打球
音残響性を高めることができない。よって、熱処理時間
は30分以上6時間以下が好ましい。
【0022】次に、少なくともフェース部がβ型チタン
合金からなる場合について説明する。β型チタン合金
は、冷間加工性に優れている。その理由は、この発明に
おけるチタン合金が加工性に優れているbcc構造から
なるβ相のみによって構成されているからである。ま
た、板や棒などの通常市販されている素材は、塑性加工
が容易なように溶体化処理が施され、β単相となってい
る。よって、β型チタン合金素材をフェース部の形状に
成形するときには、加工は冷間でもよく、大きな塑性変
形を伴う場合は、熱間も好ましい。
【0023】このようにして得られたβ型チタン合金か
らなるフェース部には、8〜10kHz の周波数帯域にお
ける打球音残響性を高める働きをする、板厚と垂直方向
に伸長した2相混合組織、および、4〜6kHz の周波数
帯域における打球音残響性を高める、歪みが蓄積された
α相の何れも存在しない。このような部材に微細なα相
を析出させるための熱処理を施すと、6〜8kHz の周波
数帯域における打球音残響性を高めることができる。こ
のための熱処理温度が450℃未満では、微細なα相の
析出が不十分であり、600℃を超えると、析出したα
相が粗大化して、6〜8kHz の周波数帯域における打球
音残響性を高めることができない。従って、熱処理温度
は450℃以上600℃未満とするべきである。この場
合、熱処理時間が3時間未満では、上述した効果が期待
できず、また24時間を超えると、析出したα相が粗大
化して、6〜8kHz の周波数帯域における打球音残響性
を高めることができない。よって、熱処理時間は3時間
以上24時間以下が好ましい。このとき、加工されたフ
ェース部材にβ変態温度直上での熱処理を施し、加工組
織を等軸化させた後に、450℃以上600℃未満の温
度で熱処理を施しても、上述したと同様の効果が得られ
る。
【0024】この発明の方法によって製造したチタン製
ゴルフクラブヘッドは、強度、耐久性等の機械的特性に
優れているのみならず、ゴルフボールを打った際に、6
〜8kHz の周波数帯域における打球音残響性が高く、高
音に偏りすぎず、軽やかな金属的打球音をも具備してい
る。
【0025】
【実施例】次に、本発明のチタン製ゴルフクラブヘッド
の製造方法を実施例によって説明する。
【0026】表1に示すA〜Eの成分組成を有するチタ
ン合金A〜Eを用いて、チタン合金の丸棒、板材を調製
した。合金AおよびBはα型チタン合金、合金Cおよび
Dはα+β型チタン合金、合金Eはβ型チタン合金であ
る。次いで、上記チタン合金の丸棒から、表2および表
3に示す温度で、熱間加工によって、2.5〜3.0m
mの板厚を有するフェース+フォーゼル部を調製し、そ
して、上記チタン合金の板材から、熱間加工によって、
1.0〜1.5mmの板厚を有するクラウン部および
1.5〜2.0mmの板厚を有するソール部を調製し
た。
【0027】これらの各パーツは熱間加工後直ちに室温
まで空冷された。加工終了直後の温度から300℃の温
度までの平均冷却速度は、板厚に応じて3〜10℃/s
であった。表2および表3にフェース+フォーゼル部の
加工条件および成形結果を示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表2および表3から明らかなように、フェ
ース+フォーゼル部として、それぞれ、合金Aを用いた
供試体No.B1、合金Eを用いた供試体No.B3、
ならびに、フェース+フォーゼル部として、合金Cまた
はDを用いて、(β変態温度−100℃)以上の温度で
加工を施した供試体No.A1〜A12、A13、A1
4、B6およびB7は、割れを生じることなく成形が可
能であった。これに対して、フェース+フォーゼル部と
して、合金Bを用いた供試体No.B2、ならびに、フ
ェース+フォーゼル部として、合金CまたはDを用い
て、(β変態温度−100℃)未満の温度で加工を施し
た供試体No.B4およびB5においては、成形時に割
れを生じた。
【0032】次いで、上述したように、フェース+フォ
ーゼル部に割れを生じることなく成形が可能であった供
試体に対して、表2および表3に示すように、各素材か
らなる各部材を成形した後、3つの部材をTIG溶接に
よって、突き合わせ溶接して、ゴルフクラブヘッドを組
み立てた。この時、ゴルフクラブヘッドの容積は280
ccであった。次いで、このように組み立てたゴルフク
ラブヘッドに対して、表4に示す熱処理を施した後シャ
フトを取付けて供試体を調製した。このように調製した
供試体に対して、耐久試験を行った。耐久試験は、ヘッ
ドスピード50m/sでゴルフボールを5000回試打
して、ヘッド部に曲がりや割れが生じたか否かを調べ、
ヘッド部に曲がりや割れが生じなかったものを合格、ヘ
ッド部に曲がりや割れが生じたものを不合格とした。な
お、供試体No.A1−1〜A1−16、A7−1〜A
7−6は、それぞれ、供試体No.A1およびA7と同
一材料を用いて組み立てたクラブヘッドに対して、表4
に示す熱処理を施したものである。更に、供試体No.
B3−1、B3−2および供試体No.B7−2、B7
−3は、それぞれ、供試体No.B3および供試体N
o.B7と同一材料を用いて組み立てたクラブヘッドに
対して、表4に示す熱処理を施したものである。表4に
耐久試験の結果を合わせて示す。
【0033】
【表4】
【0034】表4から明らかなように、供試体No.B
3は変形または割れを生じて不合格であった。その他の
供試体は十分な耐久性を示して合格であった。次いで、
上述した耐久試験に合格したゴルフクラブの供試体に対
して、下記試験方法によって、音響試験を行った。即
ち、先ず、ゴルフボールをヘッドスピード45m/sで
試打して、打球音をデータレコーダに記録した。次にこ
れを再生し、FFTアナライザを用いて周波数分析を行
った。その際、周波数帯域を4〜6kHz 、6〜8kHz 、
8〜10kHz の3つに区分し、各帯域での音圧が60d
Bに減衰するまでの時間を測定して、それを残響時間と
した。表5にその結果を示す。表5において、残響時間
が30ms以上を○印、35ms以上を◎印でそれぞれ
示し、それ未満を×印で示した。
【0035】更に、音響試験終了後に、フェース断面の
ミクロ組織観察および硬さ試験を行った。表5にその結
果を合わせて示す。表5において、アスペクト比はフェ
ースの展伸方向ほ平均結晶粒径を板厚方向の平均結晶粒
径で除したものを示す。硬さ(ビッカース硬さ:HV、
単位は10kgf )は、組織観察面板厚中心部における5点
における測定値の平均で示す。
【0036】
【表5】
【0037】表5から明らかなように、本発明供試体N
o.A1−1からA1−9、A3からA6、A7−1か
らA7−6、A1−12、B3−1、B3−2およびB
7−2、B7−3においては、4〜6kHz および8〜1
0kHz の周波数帯域において、打球音残響性が低く、そ
して、6〜8kHz の周波数帯域のみにおいて、打球音残
響性が高かった。これに対して、比較用供試体No.A
1、A8からA12においては、4〜6kHz の周波数帯
域および8〜10kHz の周波数帯域における打球音残響
性が高かった。一方、比較用供試体No.A1−10、
A1−11は4〜6kHz の周波数帯域における打球音残
響性が低かったが、8〜10kHz の周波数帯域における
打球音残響性が高かった。更に、A1−13からA1−
16、B3、B6、B7においては、4〜6、6〜8お
よび8〜10kHz のすべての周波数帯域における打球音
残響性が低かった。
【0038】
【発明の効果】本発明の方法によると、強度、耐久性等
の機械的特性に優れているのみならず、ゴルフボールを
打った際に、6〜8kHz の周波数帯域における打球音残
響性が高く、高音に偏りすぎず、軽やかな金属的打球音
をも具備するチタン製ゴルフクラブヘッドの製造方法を
提供することができ、工業上有用な効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の方法の1つによって製造さ
れるチタン製ゴルフクラブヘッドを示す概略説明図であ
る。
【符号の説明】
1. フェース+フォーゼル部 2. ソール部 3. クラウン部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 684 C22F 1/00 684C 691 691B 693 693A 694 694B

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン製ゴルフクラブヘッドの製造におい
    て、α+β型チタン合金に(β変態温度−100℃)以
    上1100℃未満の範囲内の温度で加工を施し、次い
    で、(β変態温度−100℃)以上1100℃未満の範
    囲内の温度で熱処理を施し、次いで、450℃以上60
    0℃未満の範囲内の温度で熱処理を施したものを少なく
    ともフェース部に用いることにより、6〜8kHz の周波
    数帯域において打球音残響性を高めることを特徴とす
    る、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】チタン製ゴルフクラブヘッドの製造におい
    て、α+β型チタン合金に(β変態温度−100℃)以
    上1100℃未満の範囲内の温度で加工を施し、次い
    で、(β変態温度−100℃)以上1100℃未満の範
    囲内の温度で熱処理を施した後1℃/s以上の冷却速度
    で冷却し、次いで、450℃以上600℃未満の範囲内
    の温度で熱処理を施したものを少なくともフェース部に
    用いることにより、6〜8kHz の周波数帯域において打
    球音残響性を高めることを特徴とする、チタン製ゴルフ
    クラブヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】チタン製ゴルフクラブヘッドの製造におい
    て、α+β型チタン合金にβ変態温度以上1100℃未
    満の範囲内の温度で加工を施し、次いで、450℃以上
    600℃未満の範囲内の温度で熱処理を施したものを少
    なくともフェース部に用いることにより、6〜8kHz の
    周波数帯域において打球音残響性を高めることを特徴と
    する、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】チタン製ゴルフクラブヘッドの製造におい
    て、α+β型チタン合金にβ変態温度以上1100℃未
    満の範囲内の温度で加工を施し、次いで、(β変態温度
    −100℃)以上1100℃未満の範囲内の温度で熱処
    理を施し、次いで、450℃以上600℃未満の範囲内
    の温度で熱処理を施したものを少なくともフェース部に
    用いることにより、6〜8kHz の周波数帯域において打
    球音残響性を高めることを特徴とする、チタン製ゴルフ
    クラブヘッドの製造方法。
  5. 【請求項5】チタン製ゴルフクラブヘッドの製造におい
    て、α+β型チタン合金にβ変態温度以上1100℃未
    満の範囲内の温度で加工を施し、次いで、(β変態温度
    −100℃)以上1100℃未満の範囲内の温度で熱処
    理を施した後1℃/s以上の冷却速度で冷却し、次い
    で、450℃以上600℃未満の範囲内の温度で熱処理
    を施したものを少なくともフェース部に用いることによ
    り、6〜8kHz の周波数帯域において打球音残響性を高
    めることを特徴とする、チタン製ゴルフクラブヘッドの
    製造方法。
  6. 【請求項6】チタン製ゴルフクラブヘッドの製造におい
    て、β型チタン合金にβ変態温度以上β変態温度+10
    0℃未満の範囲内の温度で熱処理を施し、次いで、45
    0℃以上600℃未満の範囲内の温度で熱処理を施した
    ものを少なくともフェース部に用いることにより、6〜
    8kHz の周波数帯域において打球音残響性を高めること
    を特徴とする、チタン製ゴルフクラブヘッドの製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6645087B2 (en) 2000-10-20 2003-11-11 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Golf club head
US6929566B2 (en) 2003-01-15 2005-08-16 Sri Sports Limited Golf club head and method of manufacturing the same

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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