JPH1017936A - プレス加工性及びめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

プレス加工性及びめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法

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JPH1017936A
JPH1017936A JP16772596A JP16772596A JPH1017936A JP H1017936 A JPH1017936 A JP H1017936A JP 16772596 A JP16772596 A JP 16772596A JP 16772596 A JP16772596 A JP 16772596A JP H1017936 A JPH1017936 A JP H1017936A
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JP
Japan
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steel sheet
hot
plating
strength
press workability
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Application number
JP16772596A
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English (en)
Inventor
Yoshitsugu Suzuki
善継 鈴木
Kazuaki Kyono
一章 京野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Si、Mn、Cr合計0.7wt%以上含有す
る鋼板を母材としてプレス加工性及びめっき密着性に優
れた高強度亜鉛めっき鋼板を得る。 【解決手段】巻取温度が780×(Si[%]+Mn
[%]/10+Cr[%]/10)0.148 (℃)以上で
巻取り、酸洗、冷間圧延、再結晶焼鈍し溶融亜鉛めっき
を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車車体用などに
用いられ、かつ必要に応じて合金化処理を施した高強度
溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、排気ガス規制の観点から自動車車
体の軽量化が必要となっている。車体の軽量化の有効な
手段の一つとして板厚を薄くするという方法があるが、
安全性確保のため板厚を薄くする分、板の強度を向上さ
せる必要がある。そのため、鋼中にSi、Mn、Crな
どの強化元素を複合することにより、鋼板の高強度化が
図られている。
【0003】このような鋼板はSi、Mn、Crを合わ
せて0.7wt%以上複合添加することにより鋼板の高
強度化を図るタイプの高強度鋼板であり、自動車車体の
軽量化を目的とした鋼板である。そのため、これらの鋼
板にめっきを施すことにより機械的特性並びに防錆性の
優れる表明処理鋼板が得られることになる。高強度鋼板
は冷間圧延後に優れた材質を確保するため通常800℃
以上の高温で焼鈍する必要がある。また、耐食性を付与
するためにはその後めっきや化成処理などを施す。通
常、還元焼鈍はN2-H2 雰囲気で行うが、この雰囲気は
Feにとっては還元性の雰囲気であっても、Si、M
n、Crなどにとっては酸化性の雰囲気である。そのた
め、これらの元素は選択的に酸化されて酸化物となり鋼
板表面に濃化する。この鋼板に溶融亜鉛めっきを施す場
合、これらの酸化物が溶融亜鉛との濡れ性を低下させ、
結果として鋼板表面でいわゆる不めっきをしばしば引き
起こす。また鋼板の脱脂、酸洗によってもこれらの酸化
物は完全には除去できないため、一度、連続焼鈍炉(C
ontinuous AnnealingLine:C
AL)を通した後に改めて溶融亜鉛めっきを施してもこ
れら不めっきの発生を完全には抑えることはできない。
その結果として、先に述べた高強度鋼板、すなわち強化
元素であるSi、Mn、Crを合わせて0.7wt%以
上複合添加した高強度鋼板に溶融亜鉛めっきを施すこと
は困難であるため、結果として、プレス加工性及びめっ
き密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板を製造する
ことは困難であった。
【0004】これらを改善する従来の方法の内の一つと
して、特公昭61−9386号公報のように、溶融めっ
きに先立って鋼板の表面にNiの下地めっきを施す方法
がある。しかしこの方法では、強化元素であるSi、M
n、Crを合わせて0.7wt%以上複合添加した鋼板
を対象とする場合、付着量が10g/m2 以上のNiめ
っきを施すことが必要になるためコストの上昇を招くほ
か、このような大量のNiめっきを施した場合には、溶
融亜鉛めっきの濡れ性は改善されるものの、合金化過程
でめっき表面にSi、Niに起因する欠陥が多発すると
いう問題が生じる。
【0005】このNiめっき以外にも、例えば特開昭5
7−70268号公報のように、溶融めっきに先立って
鋼板の表面にFeの下地めっきを施す方法がある。この
方法でも、下地めっきによってSi添加鋼の不めっきを
防止することは可能であるが、そのためには5g/m2
以上のFeのめっきをする必要があり、極めて不経済的
である。
【0006】さらに、他の方法としては、特開昭55−
122865号公報や特開平4−254531号公報の
ように、あらかじめ鋼板を酸化して鉄酸化膜を形成さ
せ、その後還元焼鈍することにより合金元素の酸化物皮
膜の形成を抑制してめっきする方法がある。この方法
は、還元焼鈍でめっき前に残存する鉄酸化膜厚量を一定
値以下に制御する方法であるため、還元焼鈍で還元され
すぎてしまい、合金元素が表面濃化してめっき性が不良
となる問題、すなわち酸化膜と還元量とのバランスが崩
れるという問題がある。それに、この還元されすぎを防
ぐには膨大な鉄酸化物量が必要になるため、ロールなど
によって鉄酸化物が剥離してしまい、その後の還元焼鈍
時に合金元素の選択酸化が起こってめっき性が阻害され
たり、剥離した鉄酸化物皮膜が炉内に散乱して操業に悪
影響を及ぼすという問題がある。
【0007】このようなことから、自動車用高強度材料
として魅力のある高強度鋼板も、これを溶融めっきする
ための実際的な手段を欠いているのが実状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような実
状に基づいてなされたもので、強化元素であるSi、M
n、Crを合わせて0.7wt%以上含有する鋼板を母
材として、溶融めっき時の不めっきを生じさせることな
くめっきすることができ、かつ、プレス加工性およびめ
っき密着性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板又は合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を提供することが本発明の課題で
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】Si、Mn、Cr等の強
化元素が複合添加されている高強度鋼をめっきする場
合、これらが表面濃化し皮膜を形成して溶融亜鉛との濡
れ性を阻害するため不めっきが発生する。そこで、高強
度鋼板にめっきを施す場合、この表面濃化を抑制するこ
とが必要となる。
【0010】表面濃化量とめっき性、合金化速度には相
関があり、表面濃化量の少ない方がめっき性がよくなる
し、合金化速度は速くなることが確認されている。表面
濃化を抑制するための鋼板の表層構造の詳細な検討を行
ったところ、強化元素であるSi、Mn、Crを合わせ
て0.7wt%以上含有する高強度鋼板を熱間圧延した
あと、巻取り温度が780×(Si[%]+Mn[%]
/10+Cr[%]/10)0.148 (℃)以上の条件、
より好ましくは780×(Si[%]+Mn[%]/1
0+Cr[%]/10)0.148 +50(℃)以上の条件
にて巻取りを行い、ついで酸洗、冷間圧延を行い、その
後に連続溶融亜鉛めっきライン内にて再結晶焼鈍を施し
た後、引き続き溶融亜鉛めっきを行うことにより不めっ
きの発生無しにプレス加工性及びめっき密着性に優れる
高強度溶融亜鉛めっき鋼板及び高強度合金化溶融亜鉛め
っき鋼板を得ることが可能となることを我々は見出し
た。
【0011】これらのことから、本発明の技術手段は、
強化元素であるSi、Mn、Crを合わせて0.7wt
%以上含有する高強度鋼を熱間圧延したあと、巻取り温
度が780×(Si[%]+Mn[%]/10+Cr
[%]/10)0.148 (℃)以上の条件にて巻取りを行
い、ついで酸洗、冷間圧延を行い、その後に連続溶融亜
鉛めっきライン内にて再結晶焼鈍を施した後、引き続き
溶融亜鉛めっきを行うことにより不めっきの発生無しに
プレス加工性及びめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛
めっき鋼板及び高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板を得る
ことが可能となるということにある。
【0012】鋼中に強化元素であるSi、Mn、Crを
合わせて0.7wt%以上含有する高強度鋼板を通常の
プロセスで溶融めっきすると、めっき前の焼鈍過程で鋼
中のSiやMnやCrが鋼板表面の加熱によって選択的
に酸化され鋼板表層に拡散されるため、SiやMnやC
rの酸化物が鋼板表面に形成する。このSiやMnやC
rの酸化物は還元焼鈍でも還元されないので、これら元
素の鋼中における含有量の増加に伴い溶融亜鉛との濡れ
性が急激に低下する。その結果、不めっきが発生するた
め高強度溶融亜鉛めっき鋼板製造が不可能となる。しか
し、本発明では巻取り温度が780×(Si[%]+M
n[%]/10+Cr[%]/10)0. 148 (℃)以上
の条件にて熱延鋼板を巻き取った後、熱延鋼板表面を覆
う、酸化鉄を主成分とする黒皮から解離する酸素により
熱延鋼板表層部が内部酸化されることにより、結果的に
表面濃化が抑制され、SiやMnやCrの酸化物が鋼板
表面に形成しないため、Si、Mn、Crを合わせて
0.7wt%以上含有する鋼板を母材とする溶融亜鉛め
っき鋼板でも、不めっきの発生がなく、かつプレス加工
性及びめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板
の製造が可能となる。そのため、特にSi、Mn、Cr
を合わせて0.7wt%以上含有する鋼板で、本発明の
効果が最もよく現れる。
【0013】溶融めっきは溶融亜鉛めっきに限らず、溶
融アルミニウムめっきや溶融アルミニウム−亜鉛めっき
である5%アルミニウム−亜鉛めっきや、いわゆるガル
バリウムめっき等の溶融めっきでも構わない。これはS
iやMnなどの酸化物の表面への濃化が抑制されるた
め、亜鉛に限らずアルミニウムなどの他の溶融金属との
濡れ性が改善されるため、同様に不めっきの発生がな
く、かつプレス加工性及びめっき密着性に優れる高強度
溶融めっき鋼板が製造可能となるのである。従って、結
局のところ、巻取り温度が780×(Si[%]+Mn
[%]/10+Cr[%]/10)0.148 (℃)以上、
より好ましくは、780×(Si[%]+Mn[%]/
10+Cr[%]/10)0.148 +50(℃)以上の条
件にて熱延鋼板を巻き取ることにより、熱延鋼板を酸
洗、冷間圧延を施した後の、溶融亜鉛めっき直前におけ
る、再結晶焼鈍時の、SiやMnやCrの酸化物の表面
への濃化が抑制されるため、SiやMnやCrの添加量
の多い高強度鋼板でも溶融めっきの金属種を問わず不め
っきの発生がなく、かつプレス加工性及びめっき密着性
に優れる高強度溶融亜鉛めっきを施すことが可能となる
わけである。
【0014】また、合金化についても同様で、表面濃化
量と相関があるのはめっき性だけでなく、合金化速度と
も相関があり、表面濃化量の少ない方がめっき性がよく
なるし、合金化速度は速くなることが確認されている。
従って、Si、Mn、Crなどの強化元素が添加された
高強度溶融亜鉛めっき鋼板を不めっきの発生無しに製造
し、かつプレス加工性及びめっき密着性を飛躍的に向上
させるためには、結局のところSi、Mn、Crなどの
表面酸化を顕著に抑制することが最も効果的かつ適切で
ある。焼鈍時にそのような効果を得るために、前述のよ
うな従来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、S
i、Mn、Crなどの強化元素が複合添加されている高
強度鋼を熱間圧延した後、巻取り温度が780×(Si
[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)0.148
(℃)以上、より好ましくは、780×(Si[%]+
Mn[%]/10+Cr[%]/10)0.148 +50
(℃)以上の条件にて巻取りを行い、次いで酸洗、冷間
圧延を行い、その後に連続溶融亜鉛めっきライン内にて
再結晶焼鈍を施した後、引き続き溶融亜鉛めっきを行う
ことにより、高強度溶融亜鉛めっき鋼板のプレス加工性
及びめっき密着性を飛躍的に向上させるという課題を解
決するに至った。
【0015】Si、Mn、Crの含有量の下限は0.7
wt%とした。これより少ない範囲では本発明を適用し
なくても通常のラジアントチューブ(RTH)型や無酸
化炉(NOF)型のCGLで溶融亜鉛めっきが可能であ
るからである。また、合金化反応についても特に合金化
反応速度の低下は見られず、従来と同様の合金化設備や
合金化温度、合金化時間、加熱時の昇温速度、冷却時の
冷却速度などにて合金化が可能であることから、Si、
Mn、Crの含有量の下限は0.7wt%未満とした。
【0016】一般に、Si、Mnなどの酸化物が表面濃
化していると、溶融亜鉛との濡れ性が劣化して不めっき
が発生することが知られているが、これは溶融亜鉛の表
層に極薄く生成している亜鉛酸化物とSi、Mnなどの
酸化物との接触角が大きくなるためであり、またこの現
象はZnOとこれら酸化物同士の生成自由エネルギー
(ΔG)との差が大きいほど顕著になることが知られて
いる。例えばZnOとSiO2 とのΔGの差は、850
℃の溶融めっき直前の最終焼鈍温度においては約200
kJ/molであり、その差が非常に大きいため、鋼板
表面にSiO2 が表面濃化していると不めっきが顕著に
発生してしまう。一方、MnやCrでは、酸化物同士の
ΔGの差がそれほど大きくなく、いずれも約100kJ
/molである。従ってその影響はSiO2 が表面濃化
している時の影響よりもかなり軽微であり、従ってMn
OやCr23 がSiO2 と同量だけ表面濃化していて
も、SiO2 が表面濃化していたときほどには不めっき
が発生しない。MnやCrの添加による不めっきへの影
響は、経験的にSiの添加のときに比べ1/10程度で
すむことがわかっている。この知見を利用して、Si、
Mn、Cr等を含有する鋼について、(Si[%]+M
n[%]/10+Cr[%]/10)の値と、めっき性
を確保するのに必要なCTとの関係を調査したところ、
めっき性を確保するのに必要なCTの自然対数値、In
[CT]とIn(Si[%]+Mn[%]/10+Cr
[%]/10)との間に比例関係が成立することがわか
り、そのときのy軸切片は6.66、即ちIn780、
傾きは0.148であることが明らかになった。以上の
根拠から、巻取り温度の下限値は、Si、Mn、Crの
各含有量に対して、熱間圧延時の熱延鋼板の巻取り温度
を780×(Si[%]+Mn[%]/10+Cr
[%]/10)0.148 (℃)以上の条件とした。こより
低い温度では鋼板表層部の結晶粒界及び結晶粒内の内部
酸化が充分ではなく、結果として溶融亜鉛めっき直前の
再結晶焼鈍時の表面濃化の抑制が充分ではないため、不
めっきが発生するだけでなく、プレス加工性、めっき密
着性に劣るためである。従って、熱間圧延時の熱延鋼板
の巻取り温度は780×(Si[%]+Mn[%]/1
0+Cr[%]/10)0.148 (℃)以上の条件とする
ことが必須である。
【0017】上記のように、Si、Mn、Crを含有す
る鋼板に対し特有の問題である不めっきを抑制するため
には780×(Si[%]+Mn[%]/10+Cr
[%]/10)0.148 (℃)以上の条件にて巻き取るこ
とによって問題の解決が可能である。しかし、より好ま
しいレベルのプレス加工性、めっき密着性を達成するた
めには、より高い巻取り温度、具体的には780×(S
i[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)
0.148 +50(℃)以上の条件にて巻取りを行うことが
好ましい。
【0018】その他の含有元素については特に限定する
限りではないが、Pは深絞り性の劣化が少なく鋼を硬化
できること、Bは鋼の二次加工脆性に絶大な効果を有す
ることから、高強度鋼板には必須の元素である。これら
は、焼鈍過程において鋼板表面の加熱によって選択的に
酸化され、鋼板表面に拡散されるが、溶融亜鉛との濡れ
性を著しく阻害することはない。また焼鈍後の脱脂酸洗
が十分でなく表層に残存したとしても不めっきやはじ
き、化成処理むらなどの原因にもなりにくい。しかし、
Pについては多量に含有すると合金化遅延を引き起こす
恐れがあることから0.10wt%以下が望ましい。B
については特に含有量の限定は必要ない。
【0019】また、Moの添加には鋼板の機械的特性を
向上させる効果がある。そのため含有量は0.5wt%
以下が望ましい。本特許中にて規定されている熱延鋼板
の巻取り温度にて、鋼板表層部が内部酸化された結果、
内部酸化層が生成するが、結果的に生成する内部酸化層
の厚みは0.1μm以上、100μm以下であることが
望ましい。これは0.1μm未満であると、酸化物の生
成そのものが少ないため、表面濃化を抑制することがで
きなくなるからであり、100μmを越えると、酸化物
は脆いため鋼板自身の機械的特性が低下する恐れがある
ためである。
【0020】巻取り温度が780×(Si[%]+Mn
[%]/10+Cr[%]/10) 0.148 (℃)以上、
より好ましくは、780×(Si[%]+Mn[%]/
10+Cr[%]/10)0.148 +50(℃)以上の条
件にて熱延鋼板を巻き取ることにより、結果として再結
晶焼鈍時の表面濃化が抑制される理由は、熱延鋼板表面
を覆う、酸化鉄を主成分とする黒皮が、高温時に酸素を
解離し、その酸素が鋼板表層から内部にかけて拡散、浸
透し、鋼中の易酸化性元素であるSi、Mn、Crを内
部酸化し、結晶粒界及び結晶粒内に粒界酸化物や粒内酸
化物等の、内部酸化物が生成することが原因であると考
えられる。特に内部酸化時に酸素ポテンシャルの比較的
高い結晶粒界部には、高位の酸化物であるFeSiO3
などが生成する。再結晶焼鈍時に鋼中から表面へと拡散
しようとするSi、Mn、Cr等の元素がこれら内部酸
化物により鋼中にて酸化させることにより、鋼内部にト
ラップされ、結果としてSi、Mn、Cr等の表面濃化
が抑制されることにより、不めっきの発生が無くなり、
かつめっきと地鉄の界面にプレス加工性、めっき密着性
を阻害するような表面濃化物が存在しなくなるためプレ
ス加工性及びめっき密着性に優れる高強度溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造が可能となるものと考えられる。 また、
不めっきを抑制し、プレス加工性、めっき密着性を改善
するためだけなら、巻取り温度が780×(Si[%]
+Mn[%]/10+Cr[%]/10)0.148 (℃)
以上の条件でも充分だが、より好ましいレベルのプレス
加工性、めっき密着性を達成するするためには、より高
い巻取り温度、具体的には780×(Si[%]+Mn
[%]/10+Cr[%]/10)0.148 +50(℃)
以上の条件にて巻取りを行うことが好ましい。これは、
巻取り温度を上げること、具体的には、780×(Si
[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10) 0.148
+50(℃)以上の条件にて熱延鋼板の巻取りを行うこ
とよって、プレス加工性、めっき密着性を劣化させる原
因となる、焼鈍時の鋼板表面における表面濃化を完全に
抑制し、結果的に鋼板めっき層との界面における表面濃
化物を除去することが達成可能であるからである。従っ
て、不めっきを抑制し、より好ましいレベルのプレス加
工性及びめっき密着性を達成するためには、780×
(Si[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)
0.148 +50(℃)以上の条件にて熱延鋼板の巻取りを
行うことが極めて好ましい。
【0021】本発明ではめっき層について特に限定する
ものではないが、耐食性等の観点から自動車用鋼板とし
ては、溶融亜鉛めっき鋼板を合金化した後の通常Zn−
Fe合金の付着量は25〜90g/m2 、めっき層中の
Fe含有率としては8〜13wt%が適当である。ま
た、同様に溶融亜鉛めっき条件についても特に限定する
ものではないが、めっき浴中のアルミ濃度は0.13〜
0.16wt%程度、Fe濃度0.01wt%〜飽和が
適当であると思われ、また、さらに浴中にPb、Mg、
Mn等を含有してもよい。
【0022】必要に応じて、その後直ちに加熱合金化処
理され、合金化溶融亜鉛めっき鋼板が製造される。合金
化に際しての加熱処理は、460℃の場合長時間の加熱
が必要であり、生産性が低下するための460℃以上と
する。またプレス成形時の密着性より上限としては60
0℃以下が適当である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づき本発明を説
明する。表1に示す組成の高強度鋼板を熱間圧延後、酸
洗し冷間圧延する。その後、Znを始めとする各種溶融
めっき方法にて表1に挙げたような表面処理鋼板を製造
した。その条件は、1200から1250℃でスラブ加
熱を実施し熱延を行った後、860〜900℃にて仕上
げ圧延し、580〜900℃で巻き取りを行った。つい
で、酸洗で黒皮を除去し、その後冷延、還元焼鈍、各種
表面処理を施した。冷間圧下率は70〜80%、還元焼
鈍温度は840〜900℃であった。
【0024】溶融めっき方法について説明する。溶融亜
鉛めっき浴はアルミ濃度を0.15wt%添加した浴
で、めっき温度は485℃とした。めっきの外観性につ
いては、目視で観察した上で良好か否か、不めっき発生
があるか否か等を判断した。合金化処理温度については
470℃から540℃で行った。合金化状態については
合金化後、目視で合金化ムラ、合金化遅延などが起こっ
ていないかどうか確認した上で評価した。
【0025】プレス加工性評価試験は、合金化溶融亜鉛
めっき鋼板を90度曲げ伸ばしを行い、圧着側をテープ
剥離して亜鉛の剥離量を蛍光X線にて測定した。プレス
加工性、めっき密着性のレベルのランクは5段階評価に
て行いレベル2以上をもって、良好とした。上記のよう
にして製造した各種表面処理の結果を表2に示す。本発
明の範囲外の場合、不めっきが発生した。しかし、本発
明の範囲内の場合、不めっきなどいかなる不具合も生じ
なかった。
【0026】また、同様にして製造した溶融亜鉛めっき
鋼板を加熱合金化処理して合金化溶融亜鉛めっき鋼板を
製造した結果を表3に示す。本発明の範囲外の場合不め
っきが発生し、密着性も不良であった。しかし、本発明
のの範囲外の場合、表面外観、密着性とも良好であっ
た。不めっきは巻取り温度が780×(Si[%]+M
n[%]/10+Cr[%]/10)0.148 (℃)以上
の条件にて抑制可能であったが、巻取り温度が780×
(Si[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)
0.148 +50(℃)以上にて、より好ましいプレス加工
性、めっき密着性のレベルを達成することができた。
【0027】これらの結果をプロットしたものを図1に
示す。横軸に(Si+Mn/10+Cr/10)(wt
%)を、縦軸に熱延鋼板の巻取り温度(℃)を取り、プ
レス加工性、めっき密着性への影響を併記した。また、
同図中に示した実線は、関数:y=780×(Si
[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)0.148
を表す。この図に示すように、巻取り温度が780×
(Si[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)
0.148 未満の条件にて熱延鋼板を巻き取った場合、プレ
ス加工性、めっき密着性は不良であったが、巻取り温度
が780×(Si[%]+Mn[%]/10+Cr
[%]/10)0.148 以上の条件にて熱延鋼板を巻き取
った場合には、プレス加工性、めっき密着性は極めて良
好であった。更に、鋼種No.1について、巻取り温度
とプレス加工性、めっき密着性のレベルとの関係を示し
たものを図2に示す。巻取り温度がy=780×(Si
[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)0.148
にて得られる必要温度、即ち610℃にて、プレス加工
性、めっき密着性のレベルが2になり、良好となるが、
更にy=780×(Si[%]+Mn[%]/10+C
r[%]/10)0.148 +50(℃)である660℃に
なると更に良好なプレス加工性、めっき密着性のレベル
を達成することが可能となることが判明した。このよう
に、プレス加工性、めっき密着性に優れた溶融亜鉛めっ
き鋼板を製造するためには、熱延鋼板の巻取り温度が7
80×(Si[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/
10)0.148 以上、より好ましくは、780×(Si
[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/10)0.148
+50(℃)以上にて巻き取ることが極めて効果的であ
る。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のように巻取
り温度が780×(Si[%]+Mn[%]/10+C
r[%]/10)0.148 (℃)以上の条件にて熱延鋼板
を巻き取ることにより、Si、Mn、Crなどを含有し
ていても、普通鋼と同様に、プレス加工性及びめっき密
着性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板/合金化溶融亜
鉛めっき鋼板が製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Si+Mn/10+Cr/10と巻取温度との
関係を示すグラフである。
【図2】巻取り温度とプレス加工性評価ランクとの関係
を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C23C 2/28 C23C 2/28

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高強度鋼板の溶融亜鉛めっき方法におい
    て、Si、Mn、Crを合わせて0.7wt%以上含有
    する高強度鋼を熱間圧延したあと、巻取り温度が780
    ×(Si[%]+Mn[%]/10+Cr[%]/1
    0)0.148 (℃)以上の条件にて巻取りを行い、ついで
    酸洗、冷間圧延を行い、その後に連続溶融亜鉛めっきラ
    イン内にて再結晶焼鈍を施した後、引き続き溶融亜鉛め
    っきを行うことを特徴とするプレス加工性及びめっき密
    着性に優れる高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1により得られた高強度溶融亜鉛
    めっき鋼板を引き続き加熱合金化処理することを特徴と
    するプレス加工性及びめっき密着性に優れる高強度合金
    化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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