JPH10179202A - 通風防水性履物、その製法及びその部品 - Google Patents

通風防水性履物、その製法及びその部品

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JPH10179202A
JPH10179202A JP34879096A JP34879096A JPH10179202A JP H10179202 A JPH10179202 A JP H10179202A JP 34879096 A JP34879096 A JP 34879096A JP 34879096 A JP34879096 A JP 34879096A JP H10179202 A JPH10179202 A JP H10179202A
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boots
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Koji Okuda
幸爾 奥田
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  • Footwear And Its Accessory, Manufacturing Method And Apparatuses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 浅い水では漏水せず、通気性がよくて蒸れな
い履物、その製法及びその部品を提供すること。 【解決手段】 目の細かい金網等を撥水処理して、数セ
ンチ程度の水圧では漏水せず、通気量の大きい通風防水
材とし、これを履物に設けた窓に気密に付ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水深が浅い場合は
水が漏らず、通気量が多い通風防水性(通気量が多く限
度以下の水圧下では水が漏らない性質。詳細説明後記)
を有する履物、その製法及びその部品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来履物の蒸れ防止については、いろい
ろなものが提案されている。長靴(以下本明細書では雨
靴等ブーツ類一切を含むものとする。)、短靴(ブーツ
類に対し普通の革靴や運動靴等のことで、以下本明細書
では単に靴と称する。)共にポンプで内外の空気を交換
するもの、通気口や換気道を有するもの、水蒸気は通す
が水は通さないような微小な孔を多数有するものを胛被
に使用したもの、本底に小さな穴を多数設け中底との間
に水蒸気は通すが水は通さない膜を挟んだもの、吸汗材
を使用するもの等非常に多くのものが知られている。な
お、本明細書では、長靴と靴を合わせて履物と称する。
【0003】胴部や胛被の一部に欠落部を設けた窓付き
の履物も提案されている。窓付きの履物では、古いもの
ではUSP 2,147,197号ARTICLE OF FOOTWEAR(1939年。
以下USPと略称する。)があり、新しいものでは、実
開平 7-30702号の「射出成形ブーツ」(以下実開平と略
称する。)がある。前記USPは、窓付の靴で窓の下
は、靴下状である。甚だしいものは、下の靴下状のもの
の方が面積が大である。前記実開平は、胴部に窓付の射
出成形長靴で窓の下は、靴下素材であるが、編布、織布
から人工皮革等いろいろなものが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように非常に多
くのものが提案されているが、通気量としては少なく、
実用上蒸れを十分防止できるものはなかった。窓付きの
ものは、蒸れ防止には効果があるが、該窓から水が漏れ
るという欠点がある。又、長靴は、全体が漏水しないよ
うにゴムやビニール等で作られており、前記ポンプ、通
気口、換気道等をもったものもその効果は十分でなく、
蒸れ易い。しかし、長靴を使用する場合、深い水の中に
入ることは少なく、鮮魚店や厨房等のように水中に入る
のではなく、水が掛かったり、跳ねが掛かるのを防ぐた
めに履くものも多く、通常、水溜まりがあっても浅い場
合が多い。雨の日に履く場合も、道路の水溜まりは浅い
のが通常である。
【0005】従来、水深の浅い所では漏水せずに、通風
性のある長靴はなかった。靴にも水溜まり程度では漏水
せずに、通風性のあるものはなかった。前記実開平は、
窓付で通気性はあるが、窓を水の中に入れれば、漏水す
る。また、明細書によると、大量の重量軽減と内部の湿
気の放散を目的としている。窓の部分は、靴下素材を通
して通気性があるが、このブーツを実際に履くと蒸れる
ものと考えられる。明細書には、「……ブーツ窓の作成
位置、個数、形状、大きさなどは任意に選定することが
可能である。」と書いてあるが、靴下素材は、水を通す
ので胴部の下部には設けられない。「ブーツ窓に現れた
靴下素材の表面に撥水剤を塗布すれば、水しぶきなどの
内部への侵入を阻止することができ好都合である。」と
記載されているが、あくまでも水圧のかからない「水し
ぶきなど」であって、水圧のかかる水の侵入阻止ではな
い。汗は主に足の裏から出るので、ブーツの下部の湿度
が高く、窓が上部にあったのでは、その効果は期待でき
ない。
【0006】実開平の考案者や明細書作成者には、靴下
素材の表面に撥水剤を塗布して、水圧のかかった水の侵
入を阻止するという認識はなかったと考えられる。その
裏付けとして、上記「水しぶきなど」の記載の外、図面
のブーツ窓が胴部の上部に設けられていることが挙げら
れる。明細書中に「ブーツ窓の作成位置……などは任意
に選定することが可能」と書きながらも、ブーツ窓から
漏水するという認識があったため、図面のブーツ窓を上
部に設けたのであり、「任意に選定することが可能」の
「任意」は、漏水の恐れのない範囲の中の「任意」と解
すべきであり、ブーツ全体の「任意」ではないと解すべ
きであると考えられる。更に、靴下素材の材質は、前記
のようにいろいろなものが列記されてはいるが、粗布や
網目体等目の粗いものは挙げられていない。又、最近、
胛被を撥水処理して撥水や汚れ防止を目的とした靴が販
売されているが、通気量は少なく、通風性を付与する目
的はないし、限られた水圧下での防水の目的もない。
【0007】胛被が布1枚のいわゆる1枚物に撥水処理
を施した靴があったかもしれないが、1枚物は腰を出す
ため、ある程度厚くて密な布にする必要があるので、貼
り合わせ物に比べると通気性はよいにしても、通気量は
多くない。長靴の防水性という機能を浅い水の場合だけ
に限定し、その代わり通気量を大きくして、蒸れを防止
するというのが、本発明の目的である。このような目的
の履物は今までなかった。靴の場合も水溜まりくらいで
は漏水せず、通気性がよくて蒸れない方がよい。本発明
は、従来の技術とは目的が異なるし、技術的思想も異な
る。この発明が解決しようとする課題は、水深が浅い場
合に漏水せず、通風性のある履物及びその製法を提供す
ることである。又、水深が浅い場合に漏水せずに通風性
を付与する部品を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る通風防水性
履物は、前記の課題を解決したものであって、次のよう
なものである。すなわち、請求項1記載の発明は、外周
面の一部に窓2を設け、この窓2に通風防水材3を気密
に付けた通風防水性履物である。本明細書では、長靴の
胴部又は靴の胛被(アッパー)と底部とを合わせて外周
面とする。窓2は、外周面の一部に、空気が通るように
貫通して設けた欠落部のことである。通風防水材は、本
発明を説明するために作った用語で、次のように定義す
る。肉眼で認められる小さい孔を多数有する材料に撥水
処理を施して、ある限度以下の水圧下では水を通さず、
空気をよく通す材料をいう。
【0009】例えば、#100のステンレス金網や#100のポ
リエチレン網に市販の防水スプレーを塗布したものは、
約7.5cm の水圧以下では水を通さず、空気をよく通す。
#60のものでは、約 4cmの水圧以下では水を通さない。
防水スプレーを塗布することにより、金網等に撥水性を
与え、水の表面張力により、水を通さないものにすると
考えられる。上記以上の水圧では、表面張力では耐えら
れず、水が漏るものと考えられる。耐水圧の測定は、図
14のように透明な容器9の底に通風防水材3を貼り付
け、容器9の中に水91を徐々に入れてゆき、水91が
漏り始めた時の水柱の高さhを耐水圧とした。通風防水
材は、前記金網等の外、ステンレス、銅、アルミニウム
等の金属箔(薄板を含む)やプラスチックの薄いシート
に針先で突いたような小さな孔を多数あけたものを撥水
処理したものや、目の粗い(前記金網相当)布や不織布
を撥水処理したものでもよい。フッ素樹脂等撥水性のプ
ラスチックで作った目の細かい網や薄いシートに小さな
孔を多数あけたものでもよい。孔の大きさは、肉眼で認
められるものであるが、小さい方が耐水圧は大きい。通
風量と耐水圧との兼ね合いで孔の大きさは決まってく
る。径の大きな孔のものは、耐水圧の点で実用上不利で
ある。
【0010】材料が入手できないので実験はしていない
が、文献によると最近撥水剤のよいものが開発されてい
る。撥水性は、水滴が固体表面上で形成する接触角θで
表され、一般にθが90°を越えると撥水性であり、 150
°を越えると超撥水性といわれている。例えば、日刊工
業新聞社発行の雑誌「工業材料」1996年 7月号p.36に
は、θが約 180°の超撥水性材料が記載され、p.45で
は、日本電信電話 (株) が開発した超撥水性材料が紹介
されている。また、金網も#100より目の細かいものがあ
れば、耐水圧はいくらか上がるものと考えられる。両者
を合わせて、#100よりもさらに細かい金網に接触角の大
きい撥水剤を塗布したものや、接触角の大きい材料で作
った更に目の細かい網は、どの程度かは分からないが、
更に耐水圧が向上するものと考えられる。
【0011】通常、空気を通す性質を通気性と称してい
るが、一般の通気性と称されるものの通気量は少ない。
本明細書では、空気の通る量が多いものを、通気性と区
別するため通風性と称し、限度以下の水圧下では水を通
さない性質を兼ね備えたものを通風防水性と称する。通
気量を、数値的に測定はしていないが、前記#100のステ
ンレス金網や#100ポリエチレン網は、扇風機やヘアード
ライヤーの風を通し、反対側においた糸をなびかせるほ
どである。ヘアードライアーの方が、なびかせる程度は
大きい。勿論#60の方が風をよく通す。
【0012】従来、防水透湿布等水は通さず、湿気は通
すものが知られている。例えば、ゴアテックス(登録商
標)は、0.2 ミクロンの極めて微細な孔を1平方センチ
に14億個も持っていると説明されている。孔の大きさ
は、水滴の5,000 〜20,000分の1、水蒸気の分子の 700
倍で水は通さないのに水蒸気は透過させるといわれてい
る。透湿性は、15,000g/m2 ・24hrと書いてある。(ジ
ャパンゴアテックス (株) 発行の小冊子「THIS IS GORE
-TEX」p.9 p.11)これらも本発明の通風防水材とは、通
気量が全くちがうし、目的やメカニズムも異なり、別の
ものである。窓2は、外周面のどこに設けてもよいが、
通常胴部や胛被の下部や底部に設ける。汗は、足の裏か
ら主に出るので、上記部分に設けると効果的である。
【0013】請求項2記載の発明は、外周面の一部に必
要な孔21をあけ)、ここに通風防水具5を付けた通風
防水性履物である。通風防水具5には、貫通通風防水具
と表面取付通風防水具とがある。貫通通風防水具5は、
鳩目の孔部分に通風防水材3を気密に付けたものであ
る。鳩目51は、通常、脚をかしめて(先端を折り曲げ
て)使用するが、本明細書では脚をかしめないものも鳩
目とする。図5に示すように、脚の短いものや長いもの
でもよい。図5(J)のものは、脚53の外側に断面が
鋸の歯状の抜け防止片54を設けたもので、はめ易く、
抜けにくい。脚の短いものに適用してもよい。抜け防止
片54は、単に小さな山形(V字形)や波形(曲線)の
ものでもよいし、平行に設ける外、ネジのように、らせ
ん状に設けてもよい。細かい凹凸(ザラザラ)状のもの
でもよい。脚の長いものは、抜け防止片のないものでも
よい。窓2の径と鳩目の径とが合っていると、抜けにく
いし、気密性もある。使用中は、通常鳩目を押し込むよ
うに力が働くものである。
【0014】脚の長いものは、底部など厚みのある部分
に使うとよい。図6のように鳩目頭部はめ込み用の凹部
13を設けると、頭部が出っ張らなくてよい。鳩目の形
状は、円の外に楕円、小判型、三角形を含む多角形、L
字形、U字形、Y字形、星型、亜鈴型(中央がくびれた
もの)等他の形状にしてもよい。貫通通風防水具 は、
このように鳩目類似のものであるから、取り付けが容易
で、使い易く、簡単に通風防水性を付与できる便利なも
のである。
【0015】次に表面取付通風防水具は、周囲がつなが
った外枠部55 の上に通風防水材3を気密に付けたも
のである。表面取付の「表面」は、表側、裏側の「表」
ではなく、ものの外側の面を意味するものである。従っ
て、胛部(胛被と胴部とを合わせて、胛部と称する。)
の裏側に取り付けてもよい。金属、プラスチック等の薄
い板を適宜の形状に裁断し、周辺部を必要な幅だけ残し
て、外枠部55とし、その内側に小さな孔を多数設け
て、撥水処理したものでもよい。この場合、後の接着を
考えると、外枠部55を残して内側だけを撥水処理して
もよいし、胛部に取り付け後、撥水処理してもよい。内
側の通風防水材3の部分は、デザイン上の必要があれば
曲面にしてもよい。表面取付通風防水具の形状、大きさ
は、自由に変えてよい。鳩目に比べ、制約が少ない。
又、網体や薄板が主体で全体が薄いものであるので、柔
軟性があり、広い面積のものでも長靴等の変形に追随す
ることができる。
【0016】外枠部55の下側に接着剤を塗布して、胛
部や底部に設けた窓2に接着させる。接着には、プラス
チックの高周波ウェルダーによるものも含む。この場合
には、接着剤は不要である。外枠部55の下側には、予
めホットメルト、熱活性接着剤、溶剤活性接着剤等の接
着剤を塗布しておいてもよい。表面取付通風防水具は、
貫通通風防水具よりも形状、大きさの自由度が大きく、
柔軟性もあり、応用範囲が広い。貫通通風防水具、表面
取付通風防水具共に、靴等水深が浅い所で使用するもの
の場合は、通風防水材3は目の少し粗いものでもよい。
例えば、#100の金網を #60の金網にしてもよい。又、紳
士靴等のように外観上、窓は小さく、その数も少ない方
がよく、その代わり水の中には余り入らず、入っても水
が浅いものの場合は、通風性をよくするため、 #60より
更に目の粗い金網等にしてもよい。
【0017】請求項3記載の発明は、胛部と本底との接
合部に空隙部6を設け、この空隙部6の当たる中底に窓
2を設け、この窓2に通風防水材3を気密に付けた履物
である。履物は、通常、胛被又は胴部と本底とが全面的
に接着されているが、必ずしも全面を接着させる必要は
なく、爪先部と踵部において接着されておれば、実用に
は十分耐え得るものである。図8に示すように、不踏部
に接着していない空隙部6を設け、この部分の中底に窓
2を設ける。窓2は、大きなもの1個でもよいし、2個
以上にしてもよいし、小さなものを多数設けてもよい。
【0018】窓2を設けた中底のどちらかの面には、通
風防水材3を付ける。この通風防水材3の周辺を水が漏
らないように接着させる。空隙部6の部分の中底の通風
防水材3が付いてない部分は、防水処理が必要である。
図8に示すように、空隙部6を(Q)のように踏付部ま
で広げてもよい。さらに、(R)のように空隙部6を爪
先部近くまで広げてもよいし、踵部の内部まで広げても
よい。空隙部6は、通常目立ちにくい内胛部に設ける
が、外胛部でもよいし、(S)のように内胛部から外胛
部まで貫通させてもよい。空隙部6を設けることによ
り、中底と本底間に空隙が生じる。中底は薄いので、窓
2からの空気の流通がよくなる。空隙部6がなく、窓2
が本底まで貫通したものは、本底の厚み分だけ窓2が厚
くなり、径が小さい時は、空気が通りにくくなる。
【0019】空隙部6には、図10に示すような、空隙
形成材を挿入してもよい。空隙形成材は、断面がロの字
形の薄い箱形をしたもので、一方が開口したものであ
る。上板61と下板62を支持壁63で支え、その間に
支柱64を設けてもよい。支柱64の代わりに、上板6
1の強度を強くしたものでもよい。支柱64を弾性体で
作った弾性支柱にしてもよい。弾性支柱64は、ゴムや
スプリングで作ってもよいし、上板の弾性に依ってもよ
い。支柱64は、複数個設けてもよい。上板61には、
空気が通りやすいように窓2を多数設ける。空隙形成材
を挿入することにより、空隙部6が確保され、空気の流
通がよくなる。弾性支柱64にしたものは、歩行の度に
上板61が上下し、ポンプに似たような働きをする。
【0020】空隙形成材には、図10のように開口部6
5に、弁67を設けてもよい。弁67により空気の流れ
は、一方向だけとなり、弾性支柱64を用いた空隙形成
材は、ポンプの働きをする。すなわち、体重がかかる
と、空隙形成内部の空気は外に出され、足を上げると、
外の空気が内部へはいる。弁67の向きは、どちらでも
よい。弁67を透明にしたものは、内部が見え、視覚的
効果がある。
【0021】請求項4記載の発明は、鳩目51の孔部分
に通風防水材3を気密に付けた貫通通風防水具である。
前記請求項2記載の発明のところで説明したように、鳩
目51にはいろいろなものを含む。通風防水材3も前記
請求項1記載の発明のところで説明したように、いろい
ろなものを含む。
【0022】請求項5記載の発明は、周囲がつながった
外枠部55の上に通風防水材3を気密に付けた表面取付
通風防水具である。前記請求項2記載の発明ところで説
明したように、金属、プラスチック等の薄板を適宜の形
状、大きさに裁断し、周辺部を必要な幅だけ残して外枠
部55とし、この外枠部55の内側に小さな孔を多数設
けものを撥水処理したものでもよい。外枠部55の下側
を接着剤、高周波ウェルダー等の取付手段により、胛部
に設けた窓2に取り付ける。
【0023】請求項6記載の発明は、上板61と下板6
2とを支持壁63により支えた、断面がロの字形の薄い
箱体を作り、前記上板61と下板62との間に弾性支柱
64を設け、前記支持壁63の一つに開口部65を設
け、この開口部65に弁67を設け、前記上板61に窓
2を設けた、空隙形成材である。前記請求項3記載の発
明のところで説明したように、この空隙形成材は、ポン
プの働きをする。
【0024】請求項7記載の発明は、手貼の長靴の製法
において、金属製通風防水材を付けた窓2を設けた長靴
を作る製法である。手貼(伝統的なゴム長靴の製法で、
ラストの上にゴムシートを貼るもの)のゴム長靴の製法
において、胴部に窓2を未加硫時に形成するに際し、ラ
スト7にメリヤス等の裏布8を吊り込んだ後、所定の場
所に金属製通風防水材(金網、薄い金属シートに小さな
孔を多数あけたもの等)3を仮貼りする。この上に胴ゴ
ムシート81を通常通り貼り付ける。ゲージ等で所定の
場所を定め、加熱した裁断型82を押しつけたり、焼き
鏝でゴムシートを窓2の形状に切り取る。これらの加熱
裁断具82は、金属製通風防水材3を切らない程度の力
で押しつける。
【0025】胴ゴムシート81に予め窓2の孔をあけて
おいてもよいが、胴ゴムシート81を貼る時に伸びやす
く、窓2が変形したり、場所がずれ易いので、加熱した
裁断具82の方が正確である。金属製通風防水材3は、
予め撥水処理しておいてもよいが、接着しにくくなるの
で、加硫後に撥水処理した方が作りやすい。金属製通風
防水材3は、周辺部に接着剤を塗布しておいた方がよ
い。窓(2)の形状や大きさ、数、場所は、図面のもの
に限らず適宜変えてよい。窓2は、小さなものを多数ま
とめて設けてもよい。この場合、金属製通風防水材3は
個々の窓毎に用意しなくても、まとまった窓全体を覆う
ような大きさのものを用意すればよい。各窓の周囲を接
着しなくても、大きな金属製通風防水材3の周囲を接着
しておけば、漏水しない。
【0026】請求項8記載の発明は、長靴を射出成形で
成形する製法において、磁性金属製通風防水材3を付け
た窓2を設けた長靴の製法である。長靴を射出成形で成
形する製法において、ラスト7の所定の場所に磁石73
を埋め込んでおき、トリコット等の裏布を吊り込んだ
後、所定の場所に磁性金属(ステンレス、鉄、鋼等)製
通風防水材3を仮付けする。この際、場所定め用のスポ
ットライトを当ててもよいし、ラスト上に小さな突起を
設けてもよいし、ゲージを当ててもよい。ラスト7に埋
め込まれた磁石73により、磁性金属製通風材3は、吸
い付けられ固定される。磁石73は、通常、永久磁石を
使用するが、電磁石を使用してもよい。
【0027】窓2に相当する場所のサイドモールド71
上に窓形成凸部72が設けてあるので、ここには胴ビニ
ールが流れ込まず、窓2が形成される。窓形成凸部72
の表面(磁性金属製通風材に当たる面)には、ゴム等の
クッション材を付けてもよい。胴ビニールが入り込みに
くくなるし、通風防水材3や裏布の押さえ過ぎを防ぐ。
胴ビニールが注入される前に通風防水材3を押さえてい
るので、胴ビニールの注入時に通風防水材3が動くのを
防止する。磁性金属製通風材3は、予め撥水処理してお
いてもよいが、接着しにくくなるので、成形後に撥水処
理した方が作りやすい。磁性金属製通風材3は、周辺部
に接着剤材を塗布しておいてもよい。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の通風防水性履物は、胛部
又は底部の一部に窓2を設け、この窓2に通風防水材3
を気密に付けたものである。この通風防水材3は、肉眼
で認められる小さい孔を多数有してので、通風性がよ
く、足が蒸れない。又、これらの孔は、撥水処理がして
あるので、水をはじき数センチ程度の浅い水では、漏水
しない。従って、数センチ程度の浅い水の中であれば、
通常の履物と同様に履くことができる。又、このような
通風防水性履物の製法及びこのような通風防水性を付与
する部品についても、以下実施例を挙げて実施の形態を
説明する。
【0029】
【実施例】
実施例1 実施例1を図1に基づいて説明する。図1の(A)は、
長靴に適用した例を示す斜視図である。(B)は、
(A)のA−A線で切り開いた断面図である。1は胴
部、2は胴部の下部に設けた窓、3は窓2に貼り付けた
通風防水材、4は接着剤である。窓2は、長靴成形後裁
断型等通常の方法で、胴部1に孔をあけて形成する。通
風防水材3は、#100のステンレス金網に撥水処理したも
のである。撥水処理すると接着しにくいので、窓2の裏
側に金網を接着剤で接着してから撥水剤を塗布した方が
よい。撥水剤は、市販の防水スプレーを使用する。水深
約7.5cm (窓2の下端から)までは、漏水しない。金網
なので通風性はよい。窓2は、反対側の胴部や底部に設
けてもよい。なお、通風材3に銅網を用い中底に設けた
ものは、抗菌、防臭効果がある。
【0030】実施例2 実施例2を図2および図3に基づいて説明する。図2の
(C)は、長靴に適用した例を示す斜視図、(D)は同
底面図である。図3の(E)は通風防水材を示す平面
図、(F)は同じく通風防水材を示す平面図である。実
施例2の通風防水性長靴は、実施例1のものの窓2を、
胴部の踏み付け部下部や底部にも増やし、通風防水材3
を、アルミニウムシートに小さな孔を多数あけ、撥水処
理したものに変えたものである。アルミニウムシート
は、箔まで薄くなくてもよく、屈曲できればよいので、
例えば0.05mm程度の厚みでもよい。針先で突いたような
小さな孔を多数あけ、撥水剤を塗布する。図3に示すよ
うに、通風防水材3の周辺に固着材41を付けてもよ
い。通風防水材3と胴部1との接着をしやすくし、窓2
からの漏水を防止するためである。又、通風防水材3の
周辺部に、接着をしやすくするための固着孔31をあけ
てもよい。汗は、主に足の裏にかくので、胴部の下部や
底部に窓2を設けた方が蒸れにくくてよい。銅箔を通風
防水材に用い中底に設けたものは、抗菌、防臭効果があ
る。
【0031】実施例3 実施例3を図4に基づいて説明する。図4の(G)は、
靴に適用した例を示す斜視図、(H)は同じく底面図で
ある。実施例3は、靴に適用したものである。胛被の内
胛部下部および底部に窓2を設けている。胛部の窓2に
付ける通風防水材3は、#100のポリエチレン製網を撥水
処理したものを使用する。ポリエチレンは接着しないの
で、粘着剤で窓2の裏側に付けてもよいし、通風材3の
周辺部に固着用の固着穴31をあけておき、両面に粘着
剤か接着剤を塗り、固着穴31を介して窓2に固着させ
てもよい。周辺部を押さえる押さえ材を用いてもよい。
予め撥水処理をしたものは、粘着しにくいので、固着し
た後撥水処理をした方がよい。この靴は、浅い水に入っ
ても漏水(水が浸入)せず、通風性がよい。
【0032】実施例4 実施例4を図5および図6に基づいて説明する。図5の
(I)は、貫通通風防水具の断面斜視図、(J)は同じ
く断面斜視図である。図6の(K)は鳩目頭部はめ込み
用の凹部を示す断面斜視図、(L)は凹部に貫通通風防
水具をはめた状態を示す断面斜視図である。実施例4
は、鳩目頭部の孔部分に通風防水材3を付けた、貫通通
風防水具を靴に適用したものである。貫通通風防水具
は、通常の鳩目の孔部分に通風防水材を気密に付けたも
のである。通風防水材3には、 #60ステンレス金網を使
用する。鳩目の形状は、円、楕円、小判型、三角形を含
む多角形、星形、亜鈴形等いろいろな形にしてよい。胛
被の内胛部下部に孔をあけ、貫通通風防水具をはめ、脚
をかしめて装着する。
【0033】底部の不踏部にも孔21をあけ、脚をかし
めない貫通通風防水具を装着する。不踏部は、足の裏が
浮いているので、鳩目の頭部が中底の面から出ていても
よいが、図6のように鳩目頭部はめ込み用凹部13を中
底面に設けると、頭部が出っ張らなくてよい。不踏部
は、底面も床面から浮いているので、窓を設けるのに丁
度よい。不踏部以外にも踏付部や踵部に貫通通風防水具
を装着してもよい。中底面に鳩目頭部はめ込み用凹部1
3を設けると、鳩目の頭部が邪魔にならない。汗は、主
に足の裏から出るので、底部に窓を設けると効果的であ
る。胛被にも不踏部以外に貫通通風防水具を装着しても
よい。この靴は、蒸れなくて、水溜まりに入っても漏水
しない。貫通通風防水具は、装着が簡単で、使いやすく
簡単に通風防水性を付与できる効果がある。
【0034】実施例5 実施例5を図7に基づいて説明する。図7の(M)及び
(N)は、表面取付通風防水具を示す断面斜視図であ
る。実施例5は、表面取付通風防水具を長靴に適用した
ものである。長靴の胴部1下部に、課題を解決するため
の手段の欄の請求項2記載の発明で説明した表面取付通
風防水具の形状に合わせた窓2を設け、この窓2の裏側
に表面取付通風防水具を接着剤で気密に取り付ける。表
面取付通風防水具の形状は、円、楕円、小判型、三角、
多角形、星形、曲線で囲まれた形、等自由に選んでよい
し、大きさも大小自由に選んでよい。柔軟性があるの
で、広い面積のものが使用できる。取り付ける窓2の位
置もどこでもよい。底部に設けてもよい。表側に取り付
けてもよい。又、靴に適用してもよい。表面取付通風防
水具は、柔軟性があり、形状、大きさ、装着箇所が自由
に選べ、通風防水性を付与するという効果がある。
【0035】実施例6 実施例6を図8に基づいて説明する。図8の(O)は、
靴の空隙部を示す斜視図、(P)〜(S)は空隙部の場
所を示す概念図である。(T)は空隙部の断面図であ
る。実施例6は、靴の胛被と本底とを爪先部と踵部にお
いては十分接着させ、中間の不踏部又は不踏部と踏付部
では接着させずに空隙部を設け、この部分の中底に通風
防水材付窓2を設けたものである。
【0036】課題を解決するための手段の欄の請求項3
記載の発明で説明した通風防水材3に、撥水処理付きの
目の粗い平織りの布3を使用する。布3の周辺を水が漏
らないように接着させる。空隙部6の部分の中底は、防
水処理が必要である。中底は薄いので、窓2からの空気
の流通がよくなるという効果がある。勿論この靴は、浅
い水に入っても漏水しない効果がある。
【0037】実施例7 実施例7を図9に基づいて説明する。図9は、長靴の空
隙部を示す斜視図である。実施例7は、実施例6を長靴
に適用したものである。基本的には実施例6と同じであ
るが、通風防水材を撥水処理した不織布にしている。不
織布は、目の大きさにばらつきのあるものがあるので、
注意が必要である。目の大きさにばらつきがあると、目
の大きい所から漏水する。手貼の場合は、靴と同様にし
て内胛部に空隙部6を設けるが、外胛部に設けてもよ
い。射出成形の場合は、モールドの構造が複雑になる。
本底のない状態で射出成形し、後から本底を付ける場合
は、手貼の場合に準じて作られる。貫通通風防水具を空
隙部6のある中底に取り付けてもよい。手貼の場合と同
様、空隙部6のある中底は薄いので、通風性がよくなる
という効果がある。
【0038】実施例8 実施例8を図10に基づいて説明する。図10の(U)
は、弁のない空隙形成材を示す斜視図、(V)は弁を設
けた空隙形成材を示す断面図である。実施例8は、課題
を解決するための手段の欄の請求項3記載の発明で説明
した空隙形成材を靴に適用したものである。内胛部に弁
のない空隙形成材を挿入したものは、空隙部が確保さ
れ、中底からの空気の通りがよくなる。弁のある空隙形
成材を挿入したものは、ポンプ作用により、更に空気の
流通がよくなるという効果がある。挿入する箇所は、外
胛部でもよい。また、長靴に適用してもよい。
【0039】実施例9 実施例9を図11に基づいて説明する。図11は、手貼
の長靴に金属製通風防水材を適用する工程を示す斜視図
である。実施例9は、手貼の長靴に金属製通風防水材を
適用したものである。課題を解決するための手段の欄の
請求項7記載の発明で説明したように、ラスト7に吊り
込んだ裏布8の上に金属製通風防水材3を仮貼りし、そ
の上に未加硫の胴ゴムシート81を貼り付け、金属製通
風防水材の上の胴ゴムシート81を加熱した裁断具82
で切り取る。
【0040】エナメルを塗布する場合は、金属製通風防
水材例えばステンレス金網3が目詰まりするので、酢酸
ビニル樹脂等の溶液を塗布乾燥した後、エナメルを塗布
した方がよい。加硫後酢酸ビニル樹脂等は、剥がす。長
靴完成後に窓をあけるのではなく、未加硫時に窓をあけ
る方法である。この方法は、工程を簡略化し、金属製通
風防水材3を裏布8と胴ゴムシート81との間に挿入で
きるという効果がある。
【0041】実施例10 実施例10を図12に基づいて説明する。図12の
(W)は、射出成形のラストとサイドモールドを示す斜
視図、(X)はサイドモールドの断面図である。実施例
10は、射出成形製法による長靴に適用したものであ
る。課題を解決するための手段の欄の請求項8記載の発
明で説明したように、ラスト7に磁石73を埋め込んで
おき、裏布を吊り込んだ後、磁石73の上にステンレス
金網を置き、仮止めする方法である。
【0042】窓の形状や大きさ、数は、図面のものに限
らず適宜変えてよい。窓2は、小さなものを多数まとま
って設けてもよい。この場合、ステンレス金網3は個々
の窓に用意しなくても、まとまった窓全体を覆うような
大きさのものを用意すればよい。各窓の周囲を接着しな
くても、大きなステンレス金網3の周囲を接着しておけ
ば、漏水しない。
【0043】窓2は、底面に設けてもよい。窓形成凸部
72は、ボトムモールド(図示せず)に設ける。不踏部
に窓2を設けると、常時外気に触れているし、目詰まり
も起こりにくいので、効果的である。中底を使用すると
きは、窓2に相当する部分に予め窓2と同じかやや大き
い孔をあけておく。この方法は、工程を簡略化し、ステ
ンレス金網を裏布と胴ビニールとの間に挿入できるとい
う効果がある。
【0044】実施例11 実施例11を図13に基づいて説明する。図10は、窓
2を形成した本底を成形するに際して使用する圧縮成形
用モールドで、本底生地を仕込む所を示す断面斜視図で
ある。実施例11は、靴に適用したものである。モール
ド下部の本底形成用凹部には、窓形成用突起75を設け
る。予め窓2に相当する箇所に孔をあけた未加硫の本底
生地111を本底形成用凹部に仕込み、所定の位置にス
テンレス金網3を乗せて加硫する。窓形成用突起75の
上部にゴム片76を付けてもよい。窓2のステンレス金
網3にゴムが入り込むのを防止し、又ステンレス金網3
が傷つくのを防止する。ステンレス金網3の撥水処理
は、加硫後にした方がやり易い。このゴム片76付きモ
ールドを使用する製法は、工程を簡略化できる効果があ
る。
【0045】
【発明の効果】本発明の通風防水性履物は、水深の浅い
水の中に入っても漏水せず、通気量が大きく、履物の中
が蒸れないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1を示す斜視図及び断面図である。
【図2】実施例2を示す斜視図及び底面図である。
【図3】実施例2を示す平面図である。
【図4】実施例3を示す斜視図及び底面図である。
【図5】実施例4を示す断面斜視図である。
【図6】実施例4を示す断面斜視図及び断面図である。
【図7】実施例5を示す断面斜視図である。
【図8】実施例6を示す斜視図、概念図及び断面図であ
る。
【図9】実施例7を示す斜視図である。
【図10】実施例8を示す斜視図及び断面図である。
【図11】実施例9を示す斜視図である。
【図12】実施例10を示す斜視図及び断面図である。
【図13】実施例11を示す断面斜視図である。
【図14】耐水圧の測定法を示す断面斜視図である。
【符号の説明】
1 胴部 11 本底 111 本底生地 12 中底面 13 凹部 2 窓 21 孔 3 通風防水材 31 固着孔 4 接着剤 41 固着材 5 貫通通風防水具 51 鳩目 52 頭部 53 脚 54 抜け防止片 55 外枠部 6 空隙部 61 上板 62 下板 63 支持壁 64 支柱 65 開口部 67 弁 7 ラスト 71 サイドモールド 72 窓形成凸部 73 磁石 74 本底モールド 75 窓形成用突起 76 ゴム 8 裏布 81 胴ゴム 82 加熱裁断具 9 容器 91 水
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年2月3日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項6
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項8
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正内容】
【0002】
【従来の技術】従来履物の蒸れ防止については、いろい
ろなものが提案されている。長靴(以下本明細書では雨
靴等ブーツ類一切を含むものとする。)、短靴(ブーツ
類に対し普通の革靴や運動靴等のことで、以下本明細書
では単に靴と称する。)共にポンプで内外の空気を交換
するもの、通気口や換気道を有するもの、水蒸気は通す
が水は通さないような微小な孔を多数有するものを胛被
に使用したもの、本底に小さなを多数設け中底との間
に水蒸気は通すが水は通さない膜を挟んだもの、吸汗材
を使用するもの等非常に多くのものが知られている。な
お、本明細書では、長靴と靴を合わせて履物と称する。
例えば、下記のようなものがある。実開昭61−179
902「換気穴付き靴」(以下実開昭と略称する。)
は、靴に穴を設け、この穴に液体をはじく通気性のある
層を取り付けた換気穴付き靴(図面では長靴の胴部下部
に穴)である。実公平3−52404「長靴用の換気カ
バー」(以下実公平と略称する。)は、長靴のむれ防止
のため、側面にあけた換気穴の覆いで、下側のみ開口す
る通気口を形成し、この通気口に連続気泡のスポンジ又
は毛状、繊維等の通気性撥水部材を被着した換気カバー
である。特公平3−81364「鳩目」(以下特公平と
略称する。)は、鳩目の穴部分に、水をはじく網や発泡
体で作られた防水層、逆止弁を着脱自在に取り付けられ
た鳩目である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように非常に多
くのものが提案されているが、通気量としては少なく、
実用上蒸れを十分防止できるものはなかった。又、通気
性を向上させたものの中には、水の中に入ると漏水する
問題点のあるものもあった。前記実開昭の考案が解決し
ようとする問題点は、「……水がかかっても長靴の中に
水が入らない程度の防水効果をもち、且つ靴内の換気を
よくすることでむれの少ない長靴や雨靴を提供……」と
記載されている。実施例には、「……換気層はフェルト
にシリコンなどの撥水性薬剤を処理したものや、連続気
泡の発泡体に撥水性のある毛を植毛したものなど、ふり
かかる水に対して防水性があればよい。……」と記載さ
れている。考案の効果では、「……水がかかる程度の水
仕事においては本考案による換気穴付き長靴で十分対応
できるので、……」と記載されている。実開昭は、ふり
かかる水を対象にしており、水圧のかかった水の漏水を
防ぐという目的はなく、実開昭の考案者や明細書作成者
には、水圧のかかった水の漏水を防ぐという認識はなか
ったと考えられる。次に、前記実公平の考案が解決しよ
うとする課題は、「……従来のものより空気を通り易く
し、かつ、水の入らない構造の、長靴に設けた換気用穴
にカバーを作ること……」と記載されている。実施例に
は、通気性撥水部材は、「……撥水性をもたせ、水の表
面張力を利用して水が侵入しないようにしておく……」
と記載されている。考案の効果では、「……水の中で作
業する場合を除けば、雨降りの中や、水のかかるメッキ
工場や厨房で使用するのに効果を発揮出来る。……」と
記載されている。実公平は、その効果に「水の中で作業
する場合を除けば、」とあるように、課題の「水の入ら
ない」や実施例の「水が侵入しない」は、雨や水しぶき
等の水圧のない水が入らない、の意味と解される。実公
平の考案者や明細書作成者には、水圧のかかった水を通
さないという認識はなかったと考えられる。次に、前記
特公平の発明が解決しようとする課題は、「鳩目の穴を
おおう鳩目カバーや鳩目カバーの下に設けられる部品が
容易に取り外しができるように、しかも、自然にはずれ
にくく周辺で押圧し上部に取り付けられているような構
造の鳩目を提供することである。」と記載されている。
第1の実施例に水をはじく網は、「金網に弗素樹脂やパ
ラフィン等で撥水処理された防水網」とされているが、
金網の目の大きさは記載されておらず、水圧のかかった
水の浸入を防止するという類の記載もない。第2の実施
例の防水層は、発泡体で作られているが、撥水処理はさ
れていない。このことからこの防水層は、接触した水を
空気から分離する働きをするものと考えられ、圧力のか
かった水の浸入を防止する働きはないものと考えられ
る。発明の効果にも、圧力のかかった水の浸入を防止す
ることに関する記載はない。特公平の発明者や明細書作
成者には、金網の目の大きさの調整や撥水処理により、
圧力のかかった水の浸入を防止するという認識はなかっ
たと考えられる。窓付きのものは、蒸れ防止には効果が
あるが、該窓から水が漏れるという欠点がある。又、長
靴は、全体が漏水しないようにゴムやビニール等で作ら
れており、前記ポンプ、通気口、換気道等をもったもの
もその効果は十分でなく、蒸れ易い。しかし、長靴を使
用する場合、深い水の中に入ることは少なく、鮮魚店や
厨房等のように水中に入るのではなく、水が掛かった
り、跳ねが掛かるのを防ぐために履くものも多く、通
常、水溜まりがあっても浅い場合が多い。雨の日に履く
場合も、道路の水溜まりは浅いのが通常である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】従来、水深の浅い所では漏水せずに、通風
性のある長靴はなかった。靴にも水溜まり程度では漏水
せずに、通風性のあるものはなかった。前記実開平は、
窓付で通気性はあるが、窓を水の中に入れれば、漏水す
る。また、明細書によると、大量の重量軽減と内部の湿
気の放散を目的としている。窓の部分は、靴下素材を通
して通気性があるが、このブーツを実際に履くと蒸れる
ものと考えられる。明細書には、「……ブーツ窓の作成
位置、個数、形状、大きさなどは任意に選定することが
可能である。」と書いてあるが、靴下素材は、水を通す
ので胴部の下部には設けられない。「ブーツ窓に現れた
靴下素材の表面に撥水剤を塗布すれば、水しぶきなどの
内部への入を阻止することができ好都合である。」と
記載されているが、あくまでも水圧のかからない「水し
ぶきなど」であって、水圧のかかる水の入阻止ではな
い。汗は主に足の裏から出るので、ブーツの下部の湿度
が高く、窓が上部にあったのでは、その効果は期待でき
ない。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】実開平の考案者や明細書作成者には、靴下
素材の表面に撥水剤を塗布して、水圧のかかった水の
入を阻止するという認識はなかったと考えられる。その
裏付けとして、上記「水しぶきなど」の記載の外、図面
のブーツ窓が胴部の上部に設けられていることが挙げら
れる。明細書中に「ブーツ窓の作成位置……などは任意
に選定することが可能」と書きながらも、ブーツ窓から
漏水するという認識があったため、図面のブーツ窓を上
部に設けたのであり、「任意に選定することが可能」の
「任意」は、漏水の恐れのない範囲の中の「任意」と解
すべきであり、ブーツ全体の「任意」ではないと解すべ
きであると考えられる。更に、靴下索材の材質は、前記
のようにいろいろなものが列記されてはいるが、粗布や
網目体等目の粗いものは挙げられていない。目の大きさ
に関しても記載されていない。又、通風防水の目的はな
かった。目的にも通風防水に関することは、記載されて
いない。又、最近、胛被を撥水処理して撥水や汚れ防止
を目的とした靴が販売されているが、通気量は少なく、
通風性を付与する目的はないし、限られた水圧下での防
水の目的もない。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る通風防水性
履物は、前記の課題を解決したものであって、次のよう
なものである。すなわち、請求項1記載の発明は、外周
面の一部に窓2を設け、この窓2に通風防水材3を気密
に付けた通風防水性履物である。本明細書では、長靴の
胴部又は靴の胛被(アッパー)と底部とを合わせて外周
面とする。窓2は、外周面の一部に、空気が通るように
貫通して設けた欠落部のことである。通風防水材は、本
発明を説明するために作った用語で、次のように定義す
る。肉眼で認められる小さい孔を多数有するシート状
に撥水処理を施して、ある限度以下の水圧下では水を
通さず、空気をよく通すものをいう。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】例えば、#100のステンレス金網や#1
00のポリエチレン網に市販の防水スプレーを塗布した
ものは、水柱約7.5cmの水圧以下では水を通さず、
空気をよく通す。#60のものでは、水柱約4cmの水
圧以下では水を通さない。防水スプレーを塗布すること
により、金網等に撥水性を与え、水の表面張力により、
水を通さないものにすると考えられる。上記以上の水圧
では、表面張力では耐えられず、水が漏るものと考えら
れる。耐水圧の測定は、図14のように透明な容器9の
底に通風防水材3を貼り付け、容器9の中に水91を徐
々に入れてゆき、水91が漏り始めた時の水柱の高さh
を耐水圧とした。通風防水材は、前記金網等の外、ステ
ンレス、銅、アルミニウム等の金属箔(薄板を含む)や
プラスチックの薄いシートに針先で突いたような小さな
孔を多数あけたものを撥水処理したものや、目の粗い
(前記金網相当)布や不織布を撥水処理したものでもよ
い。フッ素樹脂等撥水性のプラスチックで作った目の
細かい網や薄いシートに小さな孔を多数あけたものでも
よい。孔の大きさは、肉眼で認められるものであるが、
小さい方が耐水圧は大きい。通風量と耐水圧との兼ね合
いで孔の大きさは決まってくる。径の大きな孔のもの
は、耐水圧の点で実用上不利である。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】請求項2記載の発明は、外周面の一部に必
要な孔21をあけ、ここに通風防水具を付けた通風防水
性履物である。通風防水具には、貫通通風防水具と表
面取付通風防水具とがある。貫通通風防水具5は、鳩目
の孔部分に通風防水材3を気密に付けたものである。鳩
目51は、通常、脚をかしめて(先端を折り曲げて)使
用するが、本明細書では脚をかしめないものも鳩目とす
る。図5に示すように、脚の短いものや長いものでもよ
い。図5(J)のものは、脚53の外側に断面が鋸の歯
状の抜け防止片54を設けたもので、はめ易く、抜けに
くい。脚の短いものに適用してもよい。抜け防止片54
は、単に小さな山形(V字形)や波形(曲線)のもので
もよいし、平行に設ける外、ネジのように、らせん状に
設けてもよい。細かい凹凸(ザラザラ)状のものでもよ
い。脚の長いものは、抜け防止片のないものでもよい。
窓2の径と鳩目の径とが合っていると、抜けにくいし、
気密性もある。使用中は、通常鳩目を押し込むように力
が働くものである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】脚の長いものは、底部など厚みのある部分
に使うとよい。図6のように鳩目頭部はめ込み用の凹部
13を設けると、頭部52が出っ張らなくてよい。鳩目
の形状は、円の外に楕円、小判型、三角形を含む多角
形、L字形、U字形、Y字形、星型、亜鈴型、(中央が
くびれたもの)等他の形状にしてもよい。貫通通風防水
は、このように鳩目類似のものであるから、取り付
けが容易で、使い易く、簡単に通風防水性を付与できる
便利なものである。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】次に表面取付通風防水具は、図7に示す
ように周囲がつながった外枠部55の上に通風防水材3
を気密に付けたものである。表面取付の「表面」は、表
側、裏側の「表」ではなく、ものの外面を意味するもの
である。従って、胛部(胛被と胴部とを合わせて、胛部
と称する。)の裏側に取り付けてもよい。金属、プラス
チック等の薄い板を適宜の形状に裁断し、周辺部を必要
な幅だけ残して、外枠部55とし、その内側に小さな孔
を多数設けて、撥水処理したものでもよい。この場合、
後の接着を考えると、外枠部55を残して内側だけを撥
水処理してもよいし、胛部に取り付け後、撥水処理して
もよい。内側の通風防水材3の部分は、デザイン上の必
要があれば曲面にしてもよい。表面取付通風防水具の形
状、大きさは、自由に変えてよい。鳩目に比べ、制約が
少ない。又、網体や薄板が主体で全体が薄いものである
ので、柔軟性があり、広い面積のものでも長靴等の変形
に追随することができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】外枠部55の下側に接着剤を塗布して、胛
部や底部に設けた窓2に接着させる。接着には、プラス
チックの高周波ウェルダーによるものも含む。この場合
には、接着剤は不要である。外枠部55の下側には、予
めホットメルト、熱活性接着剤、溶剤活性接着剤等の接
着剤を塗布しておいてもよい。表面取付通風防水具は、
貫通通風防水具よりも形状、大きさの自由度が大き
く、柔軟性もあり、応用範囲が広い。貫通通風防水具
、表面取付通風防水具共に、靴等水深が浅い所で使用
するものの場合は、通風防水材3は目の少し粗いもので
もよい。例えば、#100の金網を#60の金網にして
もよい。又、紳士靴等のように外観上、窓は小さく、
その数も少ない方がよく、その代わり水の中には余り入
らず、入っても水が浅いものの場合は、通風性をよくす
るため、#60より更に目の粗い金網等にしてもよい。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】窓2を設けた中底のどちらかの面には、通
風防水材3を付ける。この通風防水材3の周辺を水が漏
らないように接着させる。空隙部6の部分の中底の
風防水材3が付いてない部分は、防水処理が必要であ
る。図8に示すように、空隙部6を(Q)のように踏付
部まで広げてもよい。に、(R)のように空隙部6を
爪先部近くまで広げてもよいし、踵部の内部まで広げて
もよい。空隙部6は、通常目立ちにくい内胛部に設ける
が、外胛部でもよいし、(S)のように内胛部から外胛
部まで貫通させてもよい。空隙部6を設けることによ
り、中底と本底間に空隙が生じる。中底は薄いので、窓
2からの空気の流通がよくなる。空隙部6がなく、窓2
が本底まで貫通したものは、本底の厚み分だけ窓2が厚
くなり、径が小さい時は、空気が通りにくくなる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】空隙部6には、図10に示すような、空隙
形成材を挿入してもよい。空隙形成材は、断面がロの字
形の薄い箱形をしたもので、一方が開口したものであ
る。上板61と下板62を支持壁63で支え、その間に
支柱64を設けてもよい。支柱64の代わりに、上板6
1の強度を強くしたものでもよい。支柱64を弾性体で
作った弾性支柱641にしてもよい。弾性支柱64
は、ゴムやスプリングで作ってもよいし、上板61の弾
性に依ってもよい。支柱64は、複数個設けてもよい。
上板61には、空気が通りやすいように通風孔66を多
数設ける。空隙形成材を挿入することにより、空隙部6
が確保され、空気の流通がよくなる。弾性支柱64
したものは、歩行の度に上板61が上下し、ポンプに似
たような働きをする。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】空隙形成材には、図10(V)のように開
口部65に、弁67を設けてもよい。弁67により空気
の流れは、一方向だけとなり、弾性支柱64を用いた
空隙形成材は、ポンプの働きをする。すなわち、体重が
かかると、空隙形成内部の空気は外に出され、足を上
げると、履物内の空気が空隙形成材内部へる。弁67
の向きは、どちらでもよい。弁67を透明にしたもの
は、内部が見え、視覚的効果がある。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】請求項4記載の発明は、鳩目51の孔部分
に通風防水材3を気密に付けた貫通通風防水具であ
る。前記請求項2記載の発明のところで説明したよう
に、鳩目51にはいろいろなものを含む。通風防水材3
も前記請求項1記載の発明のところで説明したように、
いろいろなものを含む。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】請求項5記載の発明は、周囲がつながった
外枠部55の上に通風防水材3を気密に付けた表面取付
通風防水具である。前記請求項2記載の発明ところで
説明したように、金属、プラスチック等の薄板を適宜の
形状、大きさに裁断し、周辺部を必要な幅だけ残して外
枠部55とし、この外枠部55の内側に小さな孔を多数
設けものを撥水処理したものでもよい。外枠部55の
下側を接着剤、高周波ウェルダー等の取付手段により、
外周面に設けた窓2に取り付ける。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】請求項6記載の発明は、上板61と下板6
2とを支持壁63により支えた、断面がロの字形の薄い
箱体を作り、前記上板61と下板62との間に弾性支柱
64を設け、前記支持壁63の一つに開口部65を設
け、この開口部65に弁67を設け、前記上板61に
風孔66を設けた空隙形成材である。前記請求項3記載
の発明のところで説明したように、この空隙形成材は、
ポンプの働きをする。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】請求項7記載の発明は、手貼の長靴の製法
において、金属製通風防水材を付けた窓2を設けた長
靴を作る製法である。手貼(伝統的なゴム長靴の製法
で、ラストの上にゴムシートを貼るもの)のゴム長靴の
製法において、胴部に窓2を未加硫時に形成するに際
し、ラスト7にメリヤス等の裏布8を吊り込んだ後、所
定の場所に金属製通風防水材(金網、薄い金属シートに
小さな孔を多数あけたもの等。図11では金網)3を仮
貼りする。この上に胴ゴムシート81を通常通り貼り付
ける。ゲージ等で所定の場所を定め、加熱した裁断型8
2を押しつけたり、焼き鏝でゴムシートを窓2の形状に
切り取る。これらの加熱裁断具82は、金属製通風防水
材3を切らない程度の力で押しつける。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】胴ゴムシート81に予め窓2の孔をあけて
おいてもよいが、胴ゴムシート81を貼る時に伸びやす
く、窓2が変形したり、場所がずれ易いので、加熱した
裁断具82の方が正確である。金属製通風防水材3は、
予め撥水処理しておいてもよいが、接着しにくくなるの
で、加硫後に撥水処理した方が作りやすい。金属製通風
防水材3は、周辺部に接着剤を塗布しておいた方がよ
い。窓2の形状や大きさ、数、場所は、図面のものに限
らず適宜変えてよい。窓2は、小さなものを多数まとめ
て設けてもよい。この場合、金属製通風防水材3は
々の窓毎に用意しなくても、まとまった窓全体を覆うよ
うな大きさのものを用意すればよい。各窓の周囲を接着
しなくても、大きな金属製通風防水材3の周囲を接着し
ておけば、漏水しない。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】請求項8記載の発明は、長靴を射出成形で
成形する製法において、磁性金属製通風防水材3を付け
た窓2を設けた長靴の製法である。長靴を射出成形で成
形する製法において、ラスト7の所定の場所に磁石73
を埋め込んでおき、トリコット等の裏布を吊り込んだ
後、所定の場所に磁性金属(ステンレス、鉄、鋼等)製
通風防水材3を仮付けする。この際、場所定め用のスポ
ットライトを当ててもよいし、ラスト上に小さな突起
を設けてもよいし、ゲージを当ててもよい。ラスト7に
埋め込まれた磁石73により、磁性金属製通風防水材3
は、吸い付けられ固定される。磁石73は、通常、永
久磁石を使用するが、電磁石を使用してもよい。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】窓2に相当する場所のサイドモールド71
上に、胴部とほぼ同じ厚みで所望の形状をした窓形成凸
部72が設けてあるので、ここには胴ビニールが流れ込
まず、窓2が形成される。窓形成凸部72の表面(磁性
金属製通風防水に当たる面)には、ゴム等のクッシ
ョン材を付けてもよい。胴ビニールが入り込みにくくな
るし、通風防水材3や裏布の押さえ過ぎを防ぐ。胴ビニ
ールが注入される前に通風防水材3を押さえているの
で、胴ビニールの注入時に通風防水材3が動くのを防止
する。磁性金属製通風防水材3は、予め撥水処理してお
いてもよいが、接着しにくくなるので、成形後に撥水処
理した方が作りやすい。磁性金属製通風防水材3は、周
辺部に接着剤を塗布しておいてもよい。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の通風防水性履物は、胛部
又は底部の一部に窓2を設け、この窓2に通風防水材3
を気密に付けたものである。この通風防水材3は、肉眼
で認められる小さい孔を多数有しているので、通風性が
よく、足が蒸れない。又、これらの孔は、撥水処理がし
てあるので、水をはじき数センチ程度の浅い水では、漏
水しない。従って、数センチ程度の浅い水の中であれ
ば、通常の履物と同様に履くことができる。又、このよ
うな通風防水性履物の製法及びこのような通風防水性を
付与する部品についても、以下実施例を挙げて実施の形
態を説明する。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】
【実施例】 実施例1 実施例1を図1に基づいて説明する。図1の(A)は、
長靴に適用した例を示す斜視図である。(B)は、
(A)のA−A線で切り開いた断面図である。1は胴
部、2は胴部の下部に設けた窓、3は窓2に貼り付けた
通風防水材、4は接着剤である。窓2は、長靴成形後裁
断型等通常の方法で、胴部1に孔をあけて形成する。通
風防水材3は、#100のステンレス金網に撥水処理し
たものである。撥水処理すると接着しにくいので、窓2
の裏側に金網を接着剤で接着してから撥水剤を塗布した
方がよい。撥水剤は、市販の防水スプレーを使用する。
水深約7.5cm(窓2の下端から)までは、漏水しな
い。金網なので通風性はよい。窓2は、反対側の胴部や
底部に設けてもよい。なお、通風防水材3に銅網を用
中底に設けたものは、抗菌、防臭効果がある。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】実施例3 実施例3を図4に基づいて説明する。図4の(G)は、
靴に適用した例を示す斜視図、(H)は同じく底面図で
ある。実施例3は、靴に適用したものである。胛被の内
胛部下部および底部に窓2を設けている。窓2に付ける
通風防水材3は、#100のポリエチレン製網を撥水処
理したものを使用する。ポリエチレンは接着しないの
で、粘着剤で窓2の裏側に付けてもよいし、通風防水
3の周辺部に固着用の固着31をあけておき、両面に
粘着剤か接着剤を塗り、固着31を介して窓2に固着
させてもよい。周辺部を押さえる押さえ材を用いても
よい。予め撥水処理をしたものは、粘着しにくいので、
固着した後撥水処理をした方がよい。この靴は、浅い水
に入っても漏水(水が浸入)せず、通風性がよい。
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】実施例4 実施例4を図5および図6に基づいて説明する。図5の
(I)は、貫通通風防水具の断面斜視図、(J)は同じ
貫通通風防水具の断面斜視図である。図6の(K)は
鳩目頭部はめ込み用の凹部を示す断面斜視図、(L)は
凹部に貫通通風防水具をはめた状態を示す断面図であ
る。実施例4は、鳩目頭部52の孔部分に通風防水材3
を付けた、貫通通風防水具を靴に適用したものであ
る。貫通通風防水具は、通常の鳩目の孔部分に通風防
水材を気密に付けたものである。通風防水材3には、
#60ステンレス金網を使用する。鳩目の形状は、円、
楕円、小判型、三角形を含む多角形、星、亜鈴等い
ろいろな形にしてよい。胛被の内胛部下部に孔21をあ
け、貫通通風防水具をはめ、脚53をかしめて装着す
る。
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正内容】
【0033】底部の不踏部にも孔21をあけ、脚をかし
めない貫通通風防水具を装着する。不踏部は、足の裏
が浮いているので、鳩目の頭部52が中底の面から出て
いてもよいが、図6のように鳩目頭部はめ込み用凹部1
3を中底面に設けると、頭部52が出っ張らなくてよ
い。不踏部は、底面も床面から浮いているので、窓
設けるのに丁度よい。不踏部以外にも踏付部や踵部に
貫通通風防水具を装着してもよい。中底面に鳩目頭部
はめ込み用凹部13を設けると、鳩目の頭部52が邪魔
にならない。汗は、主に足の裏から出るので、底部に窓
を設けると効果的である。胛被にも不踏部以外に貫
通通風防水具を装着してもよい。この靴は、蒸れなく
て、水溜まりに入っても漏水しない。貫通通風防水具
は、装着が簡単で、使いやすく簡単に通風防水性を付
与できる効果がある。
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】実施例9 実施例9を図11に基づいて説明する。図11は、手貼
の長靴に金属製通風防水材を適用する工程を示す斜視図
である。実施例9は、手貼の長靴に金属製通風防水材を
適用したものである。課題を解決するための手段の欄の
請求項7記載の発明で説明したように、ラスト7に吊り
込んだ裏布8の上に金属製通風防水材(図11では金
網)3を仮貼りし、その上に未加硫の胴ゴムシート81
を貼り付け、金属製通風防水材の上の胴ゴムシート8
1を加熱した裁断具82で切り取る。
【手続補正32】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】窓2は、底面に設けてもよい。窓形成凸部
72は、ボトムモールド(図示せず)に設ける。不踏部
に窓2を設けると、常時外気に触れているし、目詰まり
も起こりにくいので、効果的である。中底を使用すると
きは、窓2に相当する部分に予め窓2と同じかやや大き
い孔をあけておく。底面に窓2を設ける製法は、靴に適
用してもよい。この方法は、工程を簡略化し、ステンレ
ス金網を裏布と胴ビニールとの間に挿入できるという効
果がある。
【手続補正33】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正内容】
【0044】実施例11 実施例11を図13に基づいて説明する。図1は、窓
2を形成した本底を成形するに際して使用する圧縮成形
用モールドで、本底生地を仕込む所を示す断面斜視図で
ある。実施例11は、靴に適用したものである。本底
ールド74下部の本底形成用凹部77には、窓形成用突
起75を設ける。予め窓2に相当する箇所に孔21をあ
けた未加硫の本底生地111を本底形成用凹部77
仕込み、所定の位置にステンレス金網(図13では金
網)3を乗せ、本底モールド74の蓋部(図示せず)で
押さえて、プレス加硫する。窓形成用突起75の上部に
ゴム片76を付けてもよい。窓2のステンレス金網3に
未加硫ゴムが入り込むのを防止し、又ステンレス金網
3が傷つくのを防止する。ステンレス金網3の撥水処理
は、加硫後にした方がやり易い。この窓形成用突起75
付きモールドを使用する製法は、工程を簡略化できる効
果がある。
【手続補正34】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】
【発明の効果】本発明の通風防水性履物は、水深の浅い
水の中に入っても漏水せず、通気量が大きく、履物の中
が蒸れないという効果がある。又、製法は、工程を簡略
化し、金属製通風防水材を裏布と胴ゴム、胴ビニールと
の間に挿入できるという効果がある。貫通通風防水具
は、取り付け容易で使い易く、簡単に通風防水性を付与
できるという効果がある。表面取付通風防水具は、形
状、大きさ、装着箇所が自由に選べて、通風防水性を付
与できるという効果がある。空隙形成材は、空隙部を確
保し、中底からの空気の通りをよくし、弁を設けたもの
は、ポンプ作用により、更に空気の通りをよくするとい
う効果がある。
【手続補正35】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】符号の説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【符号の説明】 1 胴部 11 本底 111 本底生地 12 中底面 13 凹部 2 窓 21 孔 3 通風防水材 31 固着孔 4 接着剤 41 固着材 5 貫通通風防水具 51 鳩目 52 頭部 53 脚 54 抜け防止片 55 外枠部 6 空隙部 61 上板 62 下板 63 支持壁 64 支柱641 弾性支柱 65 開口部66 通風孔 67 弁 7 ラスト 71 サイドモールド 72 窓形成凸部 73 磁石 74 本底モールド 75 窓形成用突起 76 ゴム 77 本底形成用凹部 8 裏布 81 胴ゴム 82 加熱裁断具 9 容器 91 水
【手続補正36】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正37】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図13
【補正方法】変更
【補正内容】
【図13】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周面の一部に窓(2)を設け、該窓
    (2)に通風防水材(3)を気密に付けた通風防水性履
    物。
  2. 【請求項2】 外周面の一部に孔(21)をあけ、該孔
    (21)に通風防水具(5)を気密に付けた通風防水性
    履物。
  3. 【請求項3】 胛部と本底との接合部に空隙部(6)を
    設け、該空隙部(6)が当たる部分の中底に窓(2)を
    設け、該窓(2)に通風防水材(3)を気密に付けた通
    風防水性履物。
  4. 【請求項4】 鳩目の孔部分に通風防水材(3)を気密
    に付けた貫通通風防水具。
  5. 【請求項5】 周囲がつながった外枠部(55)の上に
    通風防水材(3)を気密に付けた表面取付通風防水具。
  6. 【請求項6】 上板(61)と下板(62)とを支持壁
    (63)により支えた箱体を形成し、前記上板(61)
    と下板(62)との間に弾性支柱(64)を設け、前記
    支持壁(63)の一つに開口部(65)を設け、該開口
    部(65)に弁(67)を設け、前記上板(61)に通
    風孔(66)を設けた、空隙形成材。
  7. 【請求項7】 手貼りの長靴の製法において、ラスト
    (7)にメリヤス等の裏布(8)を吊り込み、該裏布
    (8)の上の所定の場所に金属製通風材(3)を仮貼り
    し、その上に未加硫ゴムシート(81)を貼り、前記金
    属製通風材(3)の上の前記未加硫ゴムシート(81)
    を加熱裁断具(82)により切り取り、窓(2)を形成
    し、該窓(2)の金属製通風材(3)を撥水処理した、
    通風防水性長靴の製法。
  8. 【請求項8】 長靴を射出成形により成形する製法にお
    いて、ラスト(7)の所定の場所に磁石(73)を埋め
    込み、磁性金属製通風材(3)を前記磁石(73)によ
    り所定の場所に固定して、成形した後、前記磁性金属製
    通風材(3)を撥水処理する、通風防水性長靴の製法。
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