JPH10176746A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JPH10176746A
JPH10176746A JP35243396A JP35243396A JPH10176746A JP H10176746 A JPH10176746 A JP H10176746A JP 35243396 A JP35243396 A JP 35243396A JP 35243396 A JP35243396 A JP 35243396A JP H10176746 A JPH10176746 A JP H10176746A
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JP
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deviation
displacement
voltage value
controller
control valve
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JP35243396A
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Inventor
Eiji Inoue
英司 井上
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Isuzu Motors Ltd
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Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、傾転軸の軸方向変位及び角度変
位の合成変位量と目標合成変位量との偏差が変速比制御
弁の最小分解能に対応する値に満たない場合でも偏差を
無くす方向に制御可能なトロイダル型無段変速機を提供
する。 【解決手段】 目標変速比に対応する目標電圧値V0
求め、トラニオンの傾転軸方向変位及びパワーローラの
傾転角度変位の合成変位量に対応する電圧値Vを検出し
(S2)、両者の偏差の絶対値が変速比制御弁の最小分
解能に対応するフィードバック量Vs と比較し(S
4)、偏差の絶対値がVs に満たなければ、偏差をVs
に切り上げて(S5)、ソレノイド弁の制御信号に反映
する(S6)。偏差は常に無くなる方向に制御され、変
速比はハンチングを生じないように制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、対向して配置さ
れた入力ディスクと出力ディスク、及び前記両ディスク
に対する傾転角度に応じて入力ディスクの回転を無段階
に変速して出力ディスクに伝達する一対のパワーローラ
から成る変速ユニットを備えたトロイダル型無段変速機
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車に搭載されるトロイダル型無段変
速機は、上記変速ユニットが同一軸上に2つ配置された
ダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速機が一般的
である。上記トロイダル型無段変速機は、概ね、図3に
エンジンEと一方の変速ユニット1とが模式的に示され
ているように、エンジンEの出力が入力される入力軸2
1、入力軸21に対して回転可能に支持された入力ディ
スク3、入力ディスク3に対向して配置され且つ入力軸
21に対して回転可能に支持された出力ディスク23、
対向する入力ディスク3と出力ディスク23の間に配置
され且つ入力ディスク3から出力ディスク23へトルク
を伝達する傾転可能な一対のパワーローラ2、入力軸2
1に設けた一対のフランジ部25と入力ディスク3との
間に配置され且つ入力ディスク3に作用して入力トルク
の大きさに応じてパワーローラ2の圧接力を変化させる
ローディングカムのような押圧手段22を有しており、
パワーローラ2を傾転させることにより、その傾転角度
に応じて入力ディスク3の回転を出力ディスク23に無
段階に変速して伝達するように構成されている。パワー
ローラ2が図示のように傾転すると、パワーローラ2の
入力ディスク3に対する摩擦接触位置が半径r1 の位置
となり、出力ディスク23に対する摩擦接触位置が半径
2 の位置となる。入出力ディスク間の変速比はr1
2 となる。なお、符号4で示す部材は、パワーローラ
2を傾転可能に支持するトラニオンであり、後に詳述す
る。また、他方の変速ユニットとの間で、一対の前記出
力ディスク23同士は連結部材(図示せず)によって一
体的に連結されて、出力軸24にトルクを出力する。上
記のようなトロイダル型無段変速機では、前記パワーロ
ーラ2の傾転はコントローラによって制御される。
【0003】このようなトロイダル型無段変速機におい
て、車速やスロットル開度等の変速制御情報に対応した
変速位置を変換記憶テーブルに基づいて算出して変速比
を制御し、前記変換記憶テーブルの分割数を小さくして
も、変速ショックを伴わず応答性の良好な変速動作量を
得るように小刻みに変速動作量を設定して見かけ上の分
割数を増加させたもの(特開昭61−55448号公
報)がある。
【0004】しかしながら、この公報に記載のトロイダ
ル型無段変速機は、変換記憶テーブルの分割数を考慮し
たものではあるが、変速制御情報に対応した変速位置の
偏差の分解能と変速動作を行うアクチュエータの分解能
とのマッチングを考慮したものではない。したがって、
このような制御では、分解能以下の不感帯の範囲内で変
速比が変動することが避けられない。
【0005】更に、上記のコントローラを含むトロイダ
ル型無段変速機としては、図4に示すものが知られてい
る(特開平7−151218号公報参照)。図4にはト
ロイダル型無段変速機の一方の変速ユニット1の制御シ
ステムが示されている。図示のように、一対のパワーロ
ーラ2は、対向して配置された入力ディスク3と出力デ
ィスク(図示省略)の間に挟まれるようにして対向して
配置され、それぞれトラニオン4と称する支持部材に回
転自在に支持されている。即ち、パワーローラ2はトラ
ニオン4に偏心軸5によって支持されている。また、そ
れぞれのトラニオン4は変速機ケーシング(図示省略)
に回動可能で且つ軸方向に移動可能に支持されている。
即ち、各トラニオン4は傾転軸6を有しており、傾転軸
6の軸方向に移動可能であり、且つ傾転軸6を中心とし
て回動可能である。トラニオン4の傾転軸6にはピスト
ン7が固定され、ピストン7は変速機ケーシングに形成
された油圧シリンダ8内を摺動可能に設けられている。
油圧シリンダ8内にはピストン7によって区画された2
つのシリンダ室、即ち増速側シリンダ室8aと減速側シ
リンダ室8bが形成されている。
【0006】油圧シリンダ8の各シリンダ室8a,8b
は油路9a,9bによってスプール弁10に連通してい
る。スプール弁10内に摺動自在に配設されたスプール
11は、軸方向両端に配置されたスプリング12によっ
て中立位置に保持されている。スプール弁10は一端に
Saポートが形成され、他端にSbポートが形成され、
Saポートにはソレノイド弁13aを介して油圧Saが
供給され、Sbポートにはソレノイド弁13bを介して
油圧Sbが供給される。スプール弁10は、ライン圧
(油圧源)へ連通するPLポート、油路9aを介して増
速側シリンダ室8aへ連通するAポート、油路9bを介
して減速側シリンダ室8bへ連通するBポート、リザー
バへ連通する2つのRポートを備えている。ソレノイド
弁13a,13bは、コントローラ14から出力された
制御信号に応じて作動するように構成されている。スプ
ール弁10とソレノイド弁13a,13bは、トロイダ
ル型無段変速機の変速比制御弁を構成している。
【0007】一方の傾転軸6の先端にはプリセスカム1
5が連結され、中央部を枢着されたレバー16の一端が
プリセスカム15に当接し、レバー16の他端がポテン
ショメータ17に接続している。プリセスカム15は、
トラニオン4の傾転軸6の軸方向変位量Yに応じて変位
すると共に傾転角変位量θに応じても変位するので、両
変位量が存在する場合には両変位量の合成変位量を検出
することになる。ポテンショメータ17は、この合成変
位量に対応して電圧値Vを出力し、出力信号をコントロ
ーラ14に入力する。また、このコントローラは、その
他にも出力軸回転数センサ18、エンジン回転数センサ
19、アクセルペダル踏込み量センサ20等の各種セン
サを備えており、これらのセンサで検出された出力軸回
転数、エンジン回転数、アクセルペダル踏込み量等の変
速情報信号がコントローラ14に入力される。なお、出
力軸回転数センサ18は車速センサであってもよく、ア
クセルペダル踏込み量センサ20はスロットル開度セン
サであってもよい。
【0008】トロイダル型無段変速機では、トラニオン
4を中立位置からいずれか一方へ傾転軸方向(即ち、傾
転軸6の軸方向)に変位させると、その方向と変位量に
応じた向きと速さでトラニオン4が傾転軸6の回りで傾
転するという性質を利用して、該傾転を制御することに
より変速制御が行われる。
【0009】次に、このトロイダル型無段変速機の変速
動作について、図5のフローチャートに基づいて説明す
る。変速動作が開始される時点では、トラニオン4は、
パワーローラ2の回転軸線と入力ディスク3及び出力デ
ィスクの回転軸線とが交差する中立位置にある。エンジ
ンEが始動してから停止するまで、コントローラ14は
メインルーチンの変速制御を行う。まず、コントローラ
14は、変速情報を基にトラニオンの傾転軸方向変位量
Yがゼロ(Y=0)で、且つパワーローラ2の目標傾転
角がθ0 〔基準となるパワーローラ2の姿勢(例えば、
変速比が1の状態での姿勢)から目標となる変速比を得
るパワーローラ2の姿勢までの傾転角度差〕であるとき
の電圧値V0 (目標変速比e0 に対応する。以下、「目
標電圧値」という)を算出する。また、ポテンショメー
タ17からは、傾転軸方向変位量Yと傾転角変位量θと
の合成変位量に相当する電圧値V(変速動作開始前であ
れば、上記中立位置にあった状態での変速比に相当)が
検出され(S1−1)、検出された電圧値はコントロー
ラ14に入力される。
【0010】コントローラ14は、電圧値Vと目標電圧
値V0 とに基づいて電圧の偏差Veを求める(S1−
2)。コントローラ14は、次に、スプール弁10の両
端に作用する圧力Pa,Pbの差圧ΔPが、この偏差V
e に比例するようにソレノイド13a,13bに出力す
べきduty(デューティ)AとdutyBとを演算す
る。即ち、コントローラ14は、電圧偏差Ve に応じ
て、ソレノイド弁13aへ出力するdutyA、及びソ
レノイド弁13bへ出力するdutyBを、それぞれ次
式により算出する(S1−3)。 dutyA=50%+GVe dutyB=50%−GVe ここで、Gはフィードバックゲインとしての比例定数で
ある。また、dutyとはパルス幅変調制御におけるO
NとOFFの時間比率をいう。即ち、duty(%)は
次式で与えられる。 duty=(一周期のソレノイドON時間/ソレノイド
作動周期)×100 次に、dutyA及びdutyBをそれぞれソレノイド
弁13a,13bへ出力する(S1−4)。スプール弁
10のスプール11は、差圧ΔPとスプール11の両端
に配設されたスプリング12のばね力とが釣り合う位置
にまで移動する。即ち、スプール11の変位量は、偏差
e に比例した変位量となる。
【0011】例えば、トラニオン4がある中立位置にあ
るときの電圧値Vが目標電圧値V0よりも大である(V
>V0 )場合、即ち、減速比が大である状態にあるので
増速側に変速しようとする場合には、上記の式で算出さ
れたdutyA及びdutyBがソレノイド弁13a,
13bに出力される結果、スプール弁10の両端に作用
する油圧Sa及び油圧Sbの関係がSa<Sbの関係と
なり、スプール11は図で左側に移動する。油路9aは
PLポートを介して圧力源へ連通し、油路9bはRポー
トを介してリザーバへ連通して、油路9aの圧力Paが
油路9bの圧力Pbよりも大きくなる(Pa>Pb)。
その結果、シリンダ室8a,8bの圧力差により、図3
においてトラニオン4は傾転軸方向変位量Yが負の方
向、即ち、左側のトラニオン4は上方へ変位し、右側の
トラニオン4は下方へ変位する。このとき、傾転軸方向
変位量Yが負(Y<0)であれば、パワーローラ2の傾
転特性によってパワーローラ2の傾転角変位量θが負
(θ<0)の方向(増速側)へトラニオン4は傾転を開
始し、傾転軸方向変位量Y及び傾転角変位量θは共に減
少していくので電圧値Vも減少して目標電圧値V0 に接
近していく。この変位に伴って、トラニオン4はそれぞ
れ傾転軸6の回りで傾転し、増速側へ変速動作が開始さ
れる。このように、パワーローラ2の傾転特性は、トラ
ニオン4が傾転軸6の軸方向に変位することによって傾
転角の変位が生じるものであるから、トラニオン4の傾
転軸方向変位量Yとパワーローラ2の傾転角変位量θと
の合成変位量を検出することで傾転軸方向変位量Yを含
んだ制御情報を得て、変速比の変化の方向性を知った上
でのパワーローラ2の傾転角の制御が可能となる。
【0012】更にトラニオン4の傾転が続くと、電圧値
Vは目標電圧値V0 以下に低下し(V<V0 )、上記の
式での算出の結果、大きさが逆転したdutyA及びd
utyBがソレノイド弁13a,13bに出力される。
スプール11は右側に変位し、油路9aの圧力Paは油
路9bの圧力Pbよりも小さくなり(Pa<Pb)、ト
ラニオン4は傾転軸方向変位量Yが正(Y>0)の方向
へ変位するので、トラニオン4の増速側への傾転にブレ
ーキがかかる。しかし、傾転軸方向変位量Yの値自体は
まだ負であるので、変速比は増速側に変化し続ける。ト
ラニオン4の傾転軸方向変位量Yがゼロ(Y=0)とな
った時点においても尚、偏差Ve が残っている場合に
は、傾転角が目標傾転角θ0 よりも増速側へオーバーシ
ュートしていることを意味しており、トラニオン4は更
に変位し、傾転軸方向変位量Yが正のち(Y>0)とな
って減速側に傾転する。そして、以上の変速動作を繰り
返して電圧値Vは目標電圧値V0 に収束し、やがて変速
比は目標変速比e0 に一致し、そのときには、トラニオ
ン4の傾転軸方向変位量Yもゼロになっており、変速動
作が終了する。コントローラ14はメインルーチンの変
速制御に戻る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術における変速比の制御に見られるように、傾転
軸方向変位量Yと傾転角変位量θとの合成変位量に対応
する電圧値Vと目標電圧値V0 の偏差Ve を電気的に検
出してソレノイド弁13a,13bにフィードバックを
かける制御態様では、コントローラ14がデジタル制御
を行っているような場合、偏差Ve を量子化する際に、
偏差Ve に不感帯が生じるのを避けることができない。
したがって、コントローラは、目標変速比付近ではこの
不感帯を超える偏差Ve が生じるまでは、偏差Ve がゼ
ロと判断するので、変速比は不感帯の範囲内で変動して
しまうことがある。
【0014】この対策として、プリセスカムが検出した
合成変位量に対応する電圧値と目標電圧値との偏差を量
子化する際の分解能に着目することが考えられる。ソレ
ノイド弁には、コントローラから入力される制御信号が
ある大きさよりも小さな量であると出力としての油圧が
対応して変化できないこととなる分解能が存在する。そ
のため、コントローラが偏差を量子化する際の分解能と
ソレノイド弁の分解能とを対応するように、偏差のフィ
ードバックゲインが定められる。そこで、偏差を検出す
る検出幅を更に細分化して偏差の量子化の分解能を向上
すると、コントローラ側の不感帯を減少させることがで
きる。しかしながら、ソレノイド弁側の分解能を変えな
いとすると、両者の分解能を対応付けようとすれば、偏
差の検出幅を細分化すればするほどフィードバックゲイ
ンを高くする必要がある。このようにフィードバックゲ
インが高くなると、目標変速比が大きく変化した場合に
は変速比の収束が悪化し、変速比が振動的になるという
問題がある。このような問題点を、図2の二点鎖線Nで
示す偏差と制御信号との関係を参照して説明すると、コ
ントローラ14の偏差Vに対する量子化分解能Vr が、
ソレノイド弁の最小分解能に対応するフィードバック量
に対応している。コントローラ14の量子化分解能Vr
が2Vr ,3Vr と順次増加していくにしたがって、d
utyが急増して変化しているように、フィードバック
ゲインが高い制御内容であり、このような制御では、偏
差が大である状態では変速比が振動的になり、変速比の
収束が悪化する。なお、一点鎖線Mは、ソレノイド弁の
最小分解能に対応するフィードバック量Vs をコントロ
ーラ14の偏差Vに対する量子化分解能とした従来の制
御態様における偏差と制御信号との関係を示している。
【0015】例えば、コントローラが有する偏差の量子
化分解能を8ビット(1/256)としフィードバック
ゲインを1とした場合に、ソレノイド弁の分解能が1%
であるとする。この状態で、コントローラの偏差の量子
化分解能を12ビット(1/4096)に向上したとす
る。分解能は16倍に向上しているから、不感帯は16
分の1に減少しているので、コントローラは偏差をより
きめ細かく検出することができる。コントローラが検出
できる最小検出幅を、ソレノイド弁の最小分解能に対応
するフィードバック量となるように定めたとすると、フ
ィードバックゲインは分解能向上前のフィードバックゲ
インと比較して16倍になっており、目標変速比が大き
く変化した場合等には、前記合成変位量に対応する電圧
値と目標電圧値との偏差も大きくなり、変速比が振動的
になると共に変速比が目標変速比に収束する時間が長く
なり、最悪の場合、変速比が発散することも有り得る。
【0016】上記のようにコントローラの偏差の量子化
分解能を向上したトロイダル型無段変速機において、フ
ィードバックゲインを16分の1にすれば、制御システ
ム全体のフィードバックゲインは分解能向上前と変わら
ないので目標変速比が大きく変化した場合には、従来と
同様に動作する。しかしながら、ソレノイド弁の分解能
は従来と同様であるから、変速比が目標変速比に接近し
てきた状態では、コントローラは細分化された偏差を識
別することができるにもかかわらず、偏差が4ビット未
満の間はソレノイド弁は対応して作動することができな
い。結果として、コントローラの偏差の量子化分解能を
向上させたことによる技術的効果が得られないという問
題がある。
【0017】したがって、プリセスカムが検出した合成
変位量に対応する電圧値と目標電圧値との偏差が大きい
状態では、フィードバックゲインが高くなることに起因
して変速比が振動的になるというような事態を回避し、
且つ変速比が目標変速比に接近した状態でも、偏差を小
さくする方向にソレノイド弁を作動させて目標変速比付
近での変速比の変動を実用上問題のない程度まで抑制す
ることができるトロイダル型無段変速機が望まれてい
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】この発明の目的は、上記
課題を解決することであり、プリセスカムが検出した合
成変位量に対応する電圧値と目標電圧値との偏差が、コ
ントローラのフィードバックゲインでは変速比制御弁を
最小分解能でさえも作動させることができない程の小さ
い値である場合には、偏差を切り上げて前記変速比制御
弁を最小分解能で作動させることにより、偏差が前記フ
ィードバック量以上の状態では変速比が振動的に制御さ
れるのを防ぎ、且つ変速比が目標変速比付近にある状態
でも、変速比の変動を常に偏差を小さくする方向に制御
することを可能にするトロイダル型無段変速機の変速制
御装置を提供することである。
【0019】この発明は、上記の目的を解決するため、
以下のように構成されている。即ち、この発明は、対向
して配置された入力ディスクと出力ディスク、前記両デ
ィスクに対する傾転角度の変化に応じて前記入力ディス
クの回転を無段階に変速して前記出力ディスクに伝達す
る一対のパワーローラ、前記パワーローラを回転自在に
支持した傾転軸方向に変位可能な一対のトラニオン、前
記各トラニオンを傾転軸方向に変位させる二つのシリン
ダ室を有する油圧シリンダ、変速比を制御するため前記
シリンダ室への油圧を調整する変速比制御弁、前記トラ
ニオンの傾転軸方向変位量と前記パワーローラの傾転角
変位量との合成変位量を検出するプリセスカム、前記合
成変位量を対応する電圧値に変換するポテンショメー
タ、及び前記電圧値と目標変速比に対応する目標電圧値
との偏差に応答して前記変速比制御弁を制御するコント
ローラを具備し、前記コントローラは、前記偏差の絶対
値が前記変速比制御弁の最小分解能に対応するフィード
バック量に満たないことに応答して、前記偏差を前記変
速比制御弁の前記最小分解能に対応する前記フィードバ
ック量に切り上げることから成るトロイダル型無段変速
機に関する。
【0020】この発明によれば、センサで検出したトラ
ニオンの傾転軸方向変位量とパワーローラの傾転角変位
量との合成変位量がポテンショメータによって対応する
電圧値に変換され、前記電圧値と目標変速比に対応する
目標電圧値との偏差の絶対値が変速比制御弁の最小分解
能に対応するフィードバック量に満たない状態では、コ
ントローラは、偏差を変速比制御弁の最小分解能に対応
するフィードバック量に切り上げる。したがって、変速
比制御弁は、前記フィードバック量に切り上げられた偏
差に応答して最小分解能で作動することになる。変速比
制御弁は、油圧シリンダの各シリンダ室に供給される油
圧を調整して、各トラニオンを傾転軸方向に変位させ
る。トラニオンに回転自在に支持されたパワーローラは
入力ディスクと出力ディスクに対して接触する位置を変
え、センサで検出した前記合成変位量がポテンショメー
タによって変換される電圧値と目標変速比に対応する目
標電圧値との偏差が、常に小さくなるように、したがっ
て変速比が目標変速比に向かうように制御される。
【0021】前記変速比制御弁は、スプールが中立位置
にある状態でシリンダ室を遮断し且つスプールが中立位
置から変位した状態で各シリンダ室を油圧源とリザーバ
とにそれぞれ選択的に連通させるスプール弁と、前記コ
ントローラによって制御され且つスプールの両端に作用
する油圧を調整するソレノイド弁とから構成される。こ
の場合、変速比制御弁の最小分解能に対応するフィード
バック量はソレノイド弁の最小分解能に対応するフィー
ドバック量とされる。
【0022】変速比制御弁を上記のように構成した場
合、コントローラに入力される電圧値と目標変速比に対
応する目標電圧値との偏差の絶対値がソレノイド弁の最
小分解能に対応するフィードバック量に満たない状態で
は、コントローラは、偏差を変速比制御弁の最小分解能
に対応するフィードバック量に切り上げる。したがっ
て、ソレノイド弁は、前記フィードバック量に切り上げ
られた偏差に応答して最小分解能で作動することにな
る。ソレノイド弁は、スプール弁のスプールの両端に作
用する油圧を調整し、スプール弁はスプールが中立位置
から変位した状態では油圧シリンダの各シリンダ室に供
給される油圧を調整する。即ち、油圧シリンダの各シリ
ンダ室は油圧源とリザーバとにそれぞれ選択的に連通さ
れ、各トラニオンは傾転軸方向に変位する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しつつ、こ
の発明の実施例を説明する。図1はこの発明によるトロ
イダル型無段変速機の変速制御を示すフローチャートで
ある。この発明によるトロイダル型無段変速機の変速機
構としての構造は、図3及び図4に示した構造と同じ構
造を有するものであるので、再度の説明を省略する。
【0024】このトロイダル型無段変速機のコントロー
ラ14が行う変速制御の手順(1)〜(8)を、図1の
フローチャートを参照して以下に説明する。 (1)変速動作が開始される時点では、トラニオン4は
中立位置にある。エンジンEが始動した後停止するま
で、コントローラ14はメインルーチンの変速制御を行
う(S1)。コントローラ14は、目標変速比e0 に対
応する目標電圧値V0 との変換テーブルを内部に備えて
いる。コントローラ14は、出力軸回転数センサ18、
エンジン回転数センサ19及びアクセルペダル踏込み量
センサ20で検出した出力軸回転数、アクセルペダル踏
込み量及びエンジン回転数等の変速情報に関する検出値
を受け取り、これらの変速情報に基づいて最適な変速
比、即ち、目標変速比e0 を得て、前記変換テーブルに
よって目標変速比e0 に対応する目標電圧値V0 を求め
る。 (2)次に、プリセスカム15は、トラニオン4の傾転
軸6の軸方向変位量であるトラニオン4の傾転軸方向変
位量Yと、傾転軸6の傾転角変位量であるパワーローラ
2の傾転角変位量θとの合成変位量を検出し、ポテンシ
ョメータ17は、この合成変位量を対応する電圧値Vに
変換する。コントローラ14は、この変換された電圧値
Vを取り込む(S2)。 (3)目標電圧値V0 とS2で求めた電圧値Vとの偏差
e を次の式で求める(S3)。 Ve =V0 −V (4)S3で求めた偏差Ve の絶対値が、ゼロでなく且
つ変速比制御弁を構成するソレノイド弁の最小分解能に
対応するフィードバック量Vs よりも小さいか否かが判
断される(S4)。ここで、Vs は正の値として定めら
れる。また、フィードバック量Vs とは、フィードバッ
クゲインの変更や偏差の切上げを何ら行わないとの前提
で、偏差Ve がゼロからVs にまで増加したときに初め
てソレノイド弁が最小分解能で応答する偏差を指す。 (5)S4での判断の結果、偏差Ve の絶対値がゼロよ
り大であり且つソレノイド弁の最小分解能に対応するフ
ィードバック量Vs よりも小さいと判断された場合に
は、偏差Ve がフィードバック量Vs に切上げられる
(S5)。 Ve =+Vs (0<Ve の場合) Ve =−Vs (0>Ve の場合) (6)S5において切り上げられた偏差Ve に基づいた
制御量でソレノイド弁を作動して変速動作が行われる。
即ち、ソレノイド弁13aへ出力するduty(デュー
ティ)A、及びソレノイド弁13bへ出力するduty
Bは、それぞれ次式により算出される(S6)。 dutyA=50%+GVe dutyB=50%−GVe ここで、Gはフィードバックゲインとしての比例定数で
ある。また、S4での判断の結果、偏差Ve の絶対値が
ゼロ又はソレノイド弁の最小分解能に対応するフィード
バック量Vs 以上の値であると判断された場合には、S
5の処理、即ち、偏差Ve に対して切上げ等の処置は行
われず、ソレノイド弁に対しては従来と同様のduty
制御が行われる。 (7)S6で算出されたdutyA及びdutyBは、
それぞれソレノイド弁13a,13bへ出力される(S
7) (8)最後に、メインルーチンのスタート(S1)へ戻
って再び変速動作が繰り返される(S8)。
【0025】次に、上記のフローチャートによるこの発
明のトロイダル型無段変速機の制御内容を、偏差Ve
ソレノイド弁への制御信号との関係を示す図2に図示さ
れたグラフに基づいて説明する。横軸に示す偏差V
r は、コントローラ14の偏差Vに対する量子化分解能
を示しており、コントローラ14は、偏差Vr 未満の偏
差を識別できない。偏差Vs は、上記のとおり、ソレノ
イド弁13a,13b(以下、13と略す)の最小分解
能に対応するフィードバック量である。図示の場合、コ
ントローラ14の偏差Vに対する量子化分解能は、ソレ
ノイド弁13の最小分解能に対して2ビット高くされて
いる。また、縦軸はソレノイド弁13への制御信号の大
きさを示し、Sr は、ソレノイド弁13の最小分解能に
対応する制御信号(50%を基準にしたduty)であ
り、前記フィードバック量Vs に対応している。図2で
の横軸方向の変化に対する縦軸の変化の割合は、フィー
ドバックゲインを表している。なお、図2に示すグラフ
は縦軸と横軸とがいずれも正の領域の場合のみを示して
いるが、偏差の正負に応じてdutyAとdutyBと
は、50%を基準にしてその上下の値を有することにな
るのは、既に式で示したように明らかである。
【0026】電圧値の偏差Vが、Vr ≦V<4Vr (=
s )の範囲内の偏差である状態(デジタル値の場合で
あれば、コントローラ14が識別する値としては、
r ,2Vr 又は3Vr の状態)では、偏差Ve は、ソ
レノイド弁13の最小分解能に対応するフィードバック
量Vs に切り上げられ、その結果、上記の範囲内の偏差
に応答して、ソレノイド弁13への制御信号は、実線で
示すように、Sr となる。偏差VがVs よりも大である
状態では、制御信号は、実線J又は破線Kで示すような
階段状の信号、或いは両者の中間の適宜の信号が設定さ
れる。
【0027】
【発明の効果】この発明は、上記のように構成されてい
るので、次のような効果を奏する。即ち、このトロイダ
ル型無段変速機においては、コントローラは、プリセス
カムが検出した合成変位量に対応する電圧値と目標電圧
値との偏差の絶対値が変速比制御弁の最小分解能に対応
するフィードバック量に満たないことに応答して、偏差
を変速比制御弁の最小分解能に対応するフィードバック
量に切り上げる制御を行うので、偏差が変速比制御弁の
最小分解能に対応するフィードバック量に達していない
場合には、偏差は変速比制御弁の最小分解能に対応する
フィードバック量にまで切り上げられ、その結果、コン
トローラから変速比制御弁への制御信号は変速比制御弁
を最小分解能で作動させることが可能となる値となり、
偏差が常に無くなる方向に制御させることができる。即
ち、偏差が前記フィードバック量以上の状態では変速比
の制御が振動的になるのを防ぎ、且つ変速比が目標変速
比付近にあって偏差が変速比制御弁の最小分解能に対応
するフィードバック量よりも小さい状態では、変速比の
制御は、常に偏差を小さくする方向に制御され、前記フ
ィードバック量に対応する範囲内で変速比がハンチング
するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるトロイダル型無段変速機の変速
制御を示すフローチャートである。
【図2】トロイダル型無段変速機の変速制御における偏
差とソレノイド弁に対するdutyの関係を示すグラフ
である。
【図3】従来のトロイダル型無段変速機を模式的に示し
た図である。
【図4】従来のトロイダル型無段変速機の制御システム
を示す概略図である。
【図5】従来のトロイダル型無段変速機における変速制
御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 変速ユニット 2 パワーローラ 3 入力ディスク 4 トラニオン 6 傾転軸 7 ピストン 8 油圧シリンダ 8a,8b シリンダ室 10 スプール弁 11 スプール 13 ソレノイド弁 14 コントローラ 15 プリセスカム 17 ポテンショメータ 23 出力ディスク Y 傾転軸方向変位量 θ 傾転角変位量 V 電圧値 V0 目標電圧値 Vs フィードバック量 Vr 量子化分解能 e0 目標変速比

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して配置された入力ディスクと出力
    ディスク、前記両ディスクに対する傾転角度の変化に応
    じて前記入力ディスクの回転を無段階に変速して前記出
    力ディスクに伝達する一対のパワーローラ、前記パワー
    ローラを回転自在に支持した傾転軸方向に変位可能な一
    対のトラニオン、前記各トラニオンを傾転軸方向に変位
    させる二つのシリンダ室を有する油圧シリンダ、変速比
    を制御するため前記シリンダ室への油圧を調整する変速
    比制御弁、前記トラニオンの傾転軸方向変位量と前記パ
    ワーローラの傾転角変位量との合成変位量を検出するプ
    リセスカム、前記合成変位量を対応する電圧値に変換す
    るポテンショメータ、及び前記電圧値と目標変速比に対
    応する目標電圧値との偏差に応答して前記変速比制御弁
    を制御するコントローラを具備し、前記コントローラ
    は、前記偏差の絶対値が前記変速比制御弁の最小分解能
    に対応するフィードバック量に満たないことに応答し
    て、前記偏差を前記変速比制御弁の前記最小分解能に対
    応する前記フィードバック量に切り上げることから成る
    トロイダル型無段変速機。
  2. 【請求項2】 前記変速比制御弁はスプールが中立位置
    にある状態で前記シリンダ室を遮断し且つ前記スプール
    が前記中立位置から変位した状態で前記各シリンダ室を
    油圧源とリザーバとにそれぞれ選択的に連通させるスプ
    ール弁と前記コントローラによって制御され且つ前記ス
    プールの両端に作用する油圧を調整するソレノイド弁と
    から成り、前記変速比制御弁の前記最小分解能に対応す
    る前記フィードバック量は前記ソレノイド弁の最小分解
    能に対応するフィードバック量である請求項1に記載の
    トロイダル型無段変速機。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2013145971A1 (ja) * 2012-03-28 2015-12-10 ジヤトコ株式会社 油圧制御回路及びその制御方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2013145971A1 (ja) * 2012-03-28 2015-12-10 ジヤトコ株式会社 油圧制御回路及びその制御方法

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