JPH10176000A - 金属結合ラクトフェリン及びその用途 - Google Patents

金属結合ラクトフェリン及びその用途

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JPH10176000A
JPH10176000A JP8353347A JP35334796A JPH10176000A JP H10176000 A JPH10176000 A JP H10176000A JP 8353347 A JP8353347 A JP 8353347A JP 35334796 A JP35334796 A JP 35334796A JP H10176000 A JPH10176000 A JP H10176000A
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lactoferrin
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Toshiaki Uchida
俊昭 内田
Toshio Sakurai
稔夫 桜井
Hiroshi Oda
泰士 小田
Kazumasa Hamashita
一正 浜下
Akira Tomizawa
章 富澤
Hitoshi Aikawa
均 相川
Takeshi Takahashi
健 高橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多量の金属を含有せしめた金属結合ラクトフ
ェリンの提供。 【解決手段】 ラクトフェリン類と複数種の金属とを結
合させた多量の金属を含有する金属結合ラクトフェリ
ン。ラクトフェリンに代えてラクトフェリンの分解物を
用いることができる。また、金属として微量元素が用い
られる。ラクトフェリン類、炭酸(又は重炭酸) 及び金
属塩の溶液を混合することによって生成される。ミネラ
ル補給用医薬、飲食品又は飼料に含有せしめるとこれら
のなかに含まれる油脂を酸化させることなく微量元素を
補強することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、特に生体の
生理作用をつかさどる微量元素を多量に結合した金属結
合ラクトフェリンまたは金属結合ラクトフェリン分解物
に関する。また、本発明は、このような金属結合ラクト
フェリンまたは金属結合ラクトフェリン分解物を配合し
た金属、特に微量元素を多量に含有させた医薬、飲食品
及び飼料に関する。
【0002】
【従来の技術】生体に必要な微量元素であるといわれて
いる物質のうち、動物実験で必須の微量元素であること
が確認されている物質は27種類以上存在するといわれて
いる。そのうち、所要量の多い微量元素としては、ナト
リウム及びカリウムを除くと、一日当たり、カルシウム
が600g、マグネシウムが300g及び鉄が10mgである。ま
た、日本においては所要量の定めはないが、米国におい
て所要量の定めがある微量元素としては、一日当たり、
亜鉛が15mg、銅が 1.5〜3mg及びマンガンが2〜5mg等
である。
【0003】日常、これらの微量元素を飲食品から充分
量摂取することが望ましいといえるが、食習慣や地域
性、あるいは疾病等の要因により、これらの微量元素を
飲食品から充分量摂取することができないという事態も
起こり得る。そのような場合、これらの微量元素を補助
的に摂取させる必要が生じてくる。そして、現在、鉄を
始めとして、様々な微量元素を含む補助食品が開発さ
れ、市販もされている。しかし、これらの微量元素のう
ち、特に、鉄、亜鉛、銅等は独特の金属臭を有するの
で、そのままでは食用に適さないという問題があった。
また、これらの微量元素は油脂類の酸化を促進するの
で、油脂類を含有する飲食品の風味を劣化させてしまう
という問題もあった。
【0004】一方、乳中には鉄結合性蛋白質であるラク
トフェリンが存在することが知られている。そして、こ
のラクトフェリンには、細菌の増殖に必要な鉄をキレー
トして奪い去ることにより、細菌の増殖を抑制する効果
があることが知られている。また、ラクトフェリンの有
する鉄結合性を利用して、鉄を結合させたラクトフェリ
ンを調製し、これを鉄補給を目的とした飲食品の素材と
して使用することも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、炭酸や
重炭酸を介して鉄とラクトフェリン類を結合させた鉄−
ラクトフェリンを提案した (特開平7-304798号公報) 。
また、同様にして亜鉛とラクトフェリン類を結合させた
亜鉛−ラクトフェリンを提案した (特願平7-344831号)
。そして、さらに、各種の金属とラクトフェリン類と
の結合性について、鋭意研究を進めていたところ、単一
の金属をラクトフェリン類と反応させるよりも、複数種
の金属を同時にラクトフェリン類と反応させる方が、多
量の金属をラクトフェリン類に結合させることができる
ことを見出した。また、さらにラクトフェリン類分解物
についても同様の性質があることを見出した。
【0006】そして、この複数種の金属を結合したラク
トフェリン類や金属を結合したラクトフェリン類分解物
は、金属臭を呈さず、長期間安定で、耐熱性を有すると
いう性質を示し、これらを微量元素補給の目的で、医薬
や飲食品、あるいは飼料に配合しても劣化しないことを
見出し、本発明を完成するに至った。したがって、本発
明は、複数種の金属を多量に結合した金属結合ラクトフ
ェリンまたは金属結合ラクトフェリン分解物を提供する
ことを課題とする。さらに、本発明は、複数種の金属を
多量に結合した金属結合ラクトフェリンや金属結合ラク
トフェリン分解物を配合したミネラル補給用医薬、飲食
品及び飼料を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、種々の金属、
特に微量元素とラクトフェリン類やラクトフェリン類分
解物とを簡便に結合させる方法を検討する中で、単一の
金属を結合させるよりも複数種の金属を結合させる方が
ラクトフェリン類やラクトフェリン類分解物に多量の金
属を結合させることができることを見出しなされたもの
である。
【0008】本発明の金属結合ラクトフェリンは、例え
ば、ラクトフェリン類を含む溶液に複数種の金属を含む
溶液を加えて混合することにより調製することができ
る。また、炭酸イオン、重炭酸イオン、又は炭酸イオン
及び重炭酸イオンを含有する溶液、複数種の金属を含む
溶液及びラクトフェリン類を含む溶液を混合することに
より調製することができる。
【0009】本発明において使用するラクトフェリン類
としては、ヒトやウシ等の哺乳類の乳等の分泌液から分
離されるラクトフェリンを例示することができる。さら
に、血液や臓器等から分離されるトランスフェリンや卵
等から分離されるオボトランスフェリン等もラクトフェ
リンと同様に使用することができる。これらのラクトフ
ェリン類については、既に大量に調製する方法がいくつ
も知られており、どのような方法で調製されたラクトフ
ェリン類であっても良い。また、ラクトフェリン類は完
全に単離されている必要はなく、他の成分が含まれてい
ても構わない。さらに、遺伝子操作により、微生物、動
物細胞、トランスジェニック動物等から生産されたラク
トフェリン類を使用することも可能である。
【0010】また、本発明の金属結合ラクトフェリン分
解物は、例えば、ラクトフェリン類分解物を含む溶液に
複数種の金属を含む溶液を加えて混合することにより調
製することができ、あるいは、炭酸イオン、重炭酸イオ
ン、又は炭酸イオン及び重炭酸イオンを含有する溶液、
複数種の金属を含む溶液及びラクトフェリン類分解物を
含む溶液を混合することにより調製することができる。
ラクトフェリン類分解物とは、ラクトフェリン類をトリ
プシン、ペプシン、キモトリプシン等の蛋白分解酵素に
より、あるいは、酸やアルカリにより分解したものであ
る。これらは、分子量 1,000以上70,000以下程度の分解
物が好適である。
【0011】一方、本発明において使用することができ
る金属としては、塩化第二鉄、塩化亜鉛、塩化銅、塩化
マンガン、塩化ニッケル、塩化アルミニウム、塩化コバ
ルト等を使用することができ、また、各種金属の硫酸塩
や燐酸塩等を使用することもできる。そして、添加する
金属量は、ラクトフェリン類1Mに対し、それぞれの金属
イオンが好ましくは3M以上、より好ましくは 15M以上で
あり、上限は500M以下である。添加する金属の一種類の
量が前記した上限を越えると、製造中あるいは保存中に
沈澱が生じたり、完全に結合せずに金属がイオンの状態
で残存したりする。
【0012】さらに、本発明において使用することがで
きる炭酸、重炭酸、又は炭酸及び重炭酸を含む溶液とし
ては、炭酸水、重炭酸アンモニウム溶液、重炭酸ナトリ
ウム溶液、重炭酸カリウム溶液、炭酸ナトリウム溶液、
炭酸カルシウム溶液等であり、これらの溶液を混合して
使用しても良い。また、これらの溶液には、その他の成
分、例えば、糖質、蛋白質、脂肪等が含まれていても構
わない。
【0013】調製された金属結合ラクトフェリンや金属
結合ラクトフェリン分解物は、金属に特有の金属臭が無
く、長期間に安定で、しかも耐熱性を有しており、さら
に、金属に起因する酸化作用も抑制されているという性
質を有するので、医薬、飲食品及び飼料等に配合するミ
ネラル補給用素材として有用である。 本発明者らは、
複数種の金属をラクトフェリン類やラクトフェリン類分
解物に同時に結合させることにより、単一の金属を結合
させるよりも多量の金属をラクトフェリン類やラクトフ
ェリン類分解物に結合させることができることを初めて
見出した。
【0014】以下に試験例を示し、本発明の金属結合ラ
クトフェリン及び金属結合ラクトフェリン分解物の特性
を説明する。
【試験例1】以下の溶液を調製した後、混合して金属結
合ラクトフェリンを製造し、ラクトフェリンに結合する
各金属量を調べた。 (A溶液)1M重炭酸ナトリウムを含む溶液1L (B1溶液) 100mM各金属塩を含む溶液0.2L 但し、2種の金属を含む溶液の場合は、各金属塩を等量
混合し、金属塩 200mMを含む溶液を調製した。また、3
種の金属を含む溶液の場合は、各金属塩を等量混合し、
金属塩 300mMを含む溶液を調製した。 (B2溶液)1mMラクトフェリンを含む溶液0.8L
【0015】まず、A溶液に、B1溶液とB2溶液を混
合したB溶液を加えて撹拌し、各金属が結合したラクト
フェリンを含む溶液を調製した。そして、この溶液300m
l を分子量10,000カットの透析膜で超純水に対して透析
し、結合しなかった金属を除去して完全に脱塩した後、
凍結乾燥し、ラクトフェリンに結合している各金属量を
誘導結合プラズマ発光分光分析器(ICP)で測定し
た。その結果を表1に示す。この結果、金属結合ラクト
フェリンをラクトフェリンに対し、90%以上の収率で得
ることができた。
【0016】
【表1】 ─────────────────────────── 金属塩 金属/ラクトフェリン(モル比) ─────────────────────────── 鉄 101 銅 32 マンガン 9 コバルト 7 ニッケル 8 アルミニウム 1 鉄+銅 98+62 鉄+マンガン 92+31 鉄+ニッケル 94+24 鉄+アルミニウム 81+ 8 鉄+コバルト 87+12 銅+亜鉛 67+31 銅+マンガン 62+11 鉄+銅+亜鉛 96+60+29 ─────────────────────────── 表中、2種の金属塩を用いた場合は、そのモル比は、金
属塩の順に記載した。例えば鉄+銅の項の98+62は鉄9
8、銅62の意味である。以下の表も同様である。
【0017】なお、本試験で使用した金属塩は、鉄が塩
化第二鉄、銅が塩化銅(II)、亜鉛が塩化亜鉛(II)、マン
ガンが塩化マンガン(II)、コバルトが塩化コバルト、ニ
ッケルが塩化ニッケル、アルミニウムが塩化アルミニウ
ムである。なお、使用した各金属塩を300mM 溶解した水
溶液300ml をそれぞれ分子量10,000カットの透析膜で超
純水に対して透析し、1週間脱塩したものを凍結乾燥
し、試料の対照とした。これを同様にICPで分析した
ところ、これら全ての対照試料は、金属量が透析前の量
の 0.3%以下であり、遊離の金属は透析で全て除去され
ることを確認した。上記の結果より、複数種の金属をラ
クトフェリンと同時に結合させる方が、各金属を単独で
結合させるよりも多量の金属をラクトフェリンと結合さ
せることができることが判った。
【0018】
【参考例1】50mMリン酸緩衝液(pH 7.5)に溶解したラク
トフェリンに対してトリプシン(TYPEIII、シグマ社製)
1重量%を添加し、37℃で24時間加水分解した。そし
て、さらにトリプシン1重量%を添加し、37℃で24時間
加水分解してラクトフェリンを完全に加水分解した。な
お、この加水分解反応を行うに際し反応液は、除菌フィ
ルターにより除菌して菌の増殖を抑制し、さらに、トル
エン一滴を滴下した状態で反応に供した。次に、分子量
1,000カットの透析膜で透析し、凍結乾燥して、分子量
が主として55,000及び30,000及び10,000からなり、その
他分子量 1,000以上のペプチドからなるラクトフェリン
分解物を得た。
【0019】
【試験例2】以下の溶液を調製した後、混合して金属結
合ラクトフェリン分解物を製造し、ラクトフェリン分解
物に結合する各金属量を調べた。 (A溶液)1M重炭酸ナトリウムを含む溶液1L (B1溶液) 100mM各金属塩を含む溶液0.2L 但し、2種の金属を含む溶液の場合は、各金属塩を等量
混合し、金属塩 200mMを含む溶液を調製した。また、3
種の金属を含む溶液の場合は、各金属塩を等量混合し、
金属塩 300mMを含む溶液を調製した。 (B2溶液)ラクトフェリン換算で13.2μM/L となるよ
うラクトフェリン分解物を水に溶解した溶液0.8L
【0020】なお、ラクトフェリン分解物は、参考例1
で得られたものを使用した。まず、A溶液に、B1溶液
とB2溶液を混合したB溶液を加えて撹拌し、各金属が
結合したラクトフェリン分解物を含む溶液を調製した。
そして、この溶液を4℃で90時間、分子量 1,000カット
の透析膜で超純水に対して透析し、完全に脱塩した後、
凍結乾燥し、ラクトフェリン分解物に結合している各金
属量をICPで測定した。その結果を表2に示す。な
お、この各金属が結合したラクトフェリン分解物を調製
する操作の過程で沈澱は全く生じなかったが、対照とし
て、ラクトフェリン分解物に代えてトリプシンを使用し
たものについては、沈澱が生じ、異なった挙動を示し
た。
【0021】
【表2】 ──────────────────────────── 金属塩 金属/ラクトフェリン分解物(モル比) ──────────────────────────── 鉄 101 銅 33 鉄+銅 93+75 銅+亜鉛 66+35 鉄+銅+亜鉛 94+55+27 ────────────────────────────
【0022】なお、本試験で使用した金属塩は、鉄が塩
化第二鉄、銅が塩化銅(II)、亜鉛が塩化亜鉛(II)、マン
ガンが塩化マンガン(II)、コバルトが塩化コバルト、ニ
ッケルが塩化ニッケル、アルミニウムが塩化アルミニウ
ムである。上記の結果より、複数種の金属をラクトフェ
リン分解物と同時に結合させる方が、各金属を単独で結
合させるよりも多量の金属をラクトフェリン分解物と結
合させることができることが判った。
【0023】
【試験例3】以下の溶液を調製した後、混合して金属結
合ラクトフェリンを製造し、耐熱性を調べた。 (A溶液)1M重炭酸ナトリウムを含む溶液1L (B1溶液)50mM各金属塩を含む溶液0.2L 但し、2種の金属を含む溶液の場合は、各金属塩を等量
混合し、金属塩 100mMを含む溶液を調製した。また、3
種の金属を含む溶液の場合は、各金属塩を等量混合し、
金属塩 150mMを含む溶液を調製した。 (B2溶液)1mMラクトフェリンを含む溶液0.8L
【0024】まず、A溶液に、B1溶液とB2溶液を混
合したB溶液を加えて撹拌し、各金属が結合したラクト
フェリンを含む溶液を調製した。また、B1溶液とB2
溶液を混合したB溶液を撹拌し、各金属が結合したラク
トフェリンを含む溶液を調製した。得られた水溶液は分
子量10,000カットの限外濾過膜で0.1mS/cmまで脱塩し
た。そして、これらの金属結合ラクトフェリンを含む溶
液を、0.2M食塩を含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH 7.5)
の模擬緩衝液で希釈して総金属濃度を 3.6mM/Lとし、90
℃で10分間の加熱による沈澱の生成を観察した。その結
果を表3に示す。
【0025】
【表3】 ────────────────── 金属塩 沈澱の有無 ────────────────── 鉄 無 銅 無 亜鉛 無 マンガン 無 ニッケル 無 アルミニウム 無 鉄+銅 無 鉄+ニッケル 無 鉄+マンガン 無 鉄+アルミニウム 無 亜鉛+銅 無 銅+マンガン 無 鉄+銅+亜鉛 無 ──────────────────
【0026】なお、本試験で使用した金属塩は、鉄が塩
化第二鉄、銅が塩化銅(II)、亜鉛が塩化亜鉛(II)、マン
ガンが塩化マンガン(II)、ニッケルが塩化ニッケル、ア
ルミニウムが塩化アルミニウムである。上記の結果よ
り、複数種の金属が結合したラクトフェリンも耐熱性を
有することが判った。
【0027】
【試験例4】試験例1と同様の方法により、ラクトフェ
リン1分子当たり、鉄96分子、銅60分子及び亜鉛29分子
が結合した金属結合ラクトフェリンを調製し、魚油に対
する酸化安定性を調べた。また、対照として、上記の金
属結合ラクトフェリンと同様のモル比を有する塩化第二
鉄、塩化銅(II)及び塩化亜鉛(II)の混合物を調製し、魚
油に対する酸化安定性を調べた。なお、各試料の組成は
以下に示す通りであり、金属結合ラクトフェリン又は金
属塩混合物をウルトラディスパーサー (ヤマト社製) で
魚油に分散させた。 試料1:魚油 6,000mg 試料2:魚油 6,000mg+金属結合ラクトフェリン20nM 試料3:魚油 6,000mg+金属結合ラクトフェリン200nM 試料4:魚油 6,000mg+金属結合ラクトフェリン2,000n
M 試料5:魚油 6,000mg+金属塩混合物(鉄 1.9μM,銅
1.2μM,亜鉛0.58μM) 試料6:魚油 6,000mg+金属塩混合物(鉄19μM,銅12μ
M,亜鉛 5.8μM) 試料7:魚油 6,000mg+金属塩混合物(鉄 190μM,銅 1
20μM,亜鉛58μM) なお、試料5は試料2に相当する金属量であり、試料6
は試料3に相当する金属量であり、試料7は試料4に相
当する金属量である。そして、各試料の自動酸化に対す
る安定性については、基準油脂分析試験法のCDM試験
(基準油脂分析試験法 Cd2.4.28.2-93) に従って行い、
測定温度80℃でランシマット装置 (メトローム社製) に
よりCDM試験で定義される酸化誘導期の長さを測定し
て評価した。その結果を表4に示す(酸化誘導期が長け
れば長い程、酸化安定性は高い)。
【0028】
【表4】 ──────────── 試料 酸化誘導期 ──────────── 1 5.2(時間) 2 5.1 3 5.3 4 5.4 5 <0.1 6 <0.1 7 <0.1 ────────────
【0029】金属塩混合物を添加した魚油では、測定開
始直後から激しい劣化が認められたが、金属結合ラクト
フェリンを添加した魚油では、金属無添加の魚油と酸化
誘導期は変わらなかった。したがって、金属結合ラクト
フェリンとして魚油に金属を添加することにより、金属
による魚油の劣化を完全に抑制することができることが
判った。また、同様にして調製した試料について、40℃
でオーブン保存試験を行い、経時的にサンプリングして
過酸化物価(POV)を測定したが、ランシマット試験
と同様の傾向が見られた。
【0030】
【試験例5】試験例1と同様の方法により、ラクトフェ
リン1分子当たり、鉄98分子及び銅62分子が結合した金
属結合ラクトフェリンを調製し、大豆油に対する酸化安
定性を調べた。また、対照として、上記の金属結合ラク
トフェリンと同様のモル比を有する塩化第二鉄及び塩化
銅(II)の混合物を調製し、大豆油に対する酸化安定性を
調べた。なお、各試料の組成は以下に示す通りであり、
金属結合ラクトフェリン又は金属塩混合物をウルトラデ
ィスパーサー(ヤマト社製)で大豆油に分散させた。 試料1:大豆油 6,000mg 試料2:大豆油 6,000mg+金属結合ラクトフェリン20nM 試料3:大豆油 6,000mg+金属結合ラクトフェリン200n
M 試料4:大豆油 6,000mg+金属結合ラクトフェリン2,00
0nM 試料5:大豆油 6,000mg+金属塩混合物(鉄 2μM,銅
1.2μM) 試料6:大豆油 6,000mg+金属塩混合物(鉄20μM,銅12
μM) 試料7:大豆油 6,000mg+金属塩混合物(鉄 200μM,銅
120μM) なお、試料5は試料2に相当する金属量であり、試料6
は試料3に相当する金属量であり、試料7は試料4に相
当する金属量である。そして、各試料の自動酸化に対す
る安定性については、基準油脂分析試験法のCDM試験
(基準油脂分析試験法 Cd2.4.28.2-93) に従って行い、
測定温度 120℃でランシマット装置 (メトローム社製)
によりCDM試験で定義される酸化誘導期の長さを測定
して評価した。その結果を表5に示す。
【0031】
【表5】 ──────────── 試料 酸化誘導期 ──────────── 1 4.9(時間) 2 5.2 3 5.1 4 4.8 5 <0.1 6 <0.1 7 <0.1 ────────────
【0032】金属塩混合物を添加した大豆油では、測定
開始直後から激しい劣化が認められたが、金属結合ラク
トフェリンを添加した大豆油では、金属無添加の大豆油
と酸化誘導期は変わらなかった。したがって、金属結合
ラクトフェリンとして大豆油に金属を添加することによ
り、金属による大豆油の劣化を完全に抑制することがで
きることが判った。また、同様にして調製した試料につ
いて、40℃でオーブン保存試験を行い、経時的にサンプ
リングしてPOVを測定したが、ランシマット試験と同
様の傾向が見られた。
【0033】
【発明の実施の形態】本発明の金属結合ラクトフェリン
は、複数種の金属を含む溶液及びラクトフェリン類を含
む溶液を混合することにより得られ、あるいは、炭酸、
重炭酸、又は炭酸及び重炭酸を含む溶液、複数種の金属
を含む溶液及びラクトフェリン類を含む溶液を混合する
ことにより得ることができる。また、本発明の金属結合
ラクトフェリン分解物は、複数種の金属を含む溶液及び
ラクトフェリン類分解物を含む溶液を混合することによ
り得られ、あるいは、炭酸、重炭酸、又は炭酸及び重炭
酸を含む溶液、複数種の金属を含む溶液及びラクトフェ
リン類分解物を含む溶液を混合することにより得ること
ができる。なお、本発明の金属結合ラクトフェリン及び
金属結合ラクトフェリン分解物は熱に安定であるので、
これらの粉末を大量に製造する場合は噴霧乾燥を行うと
良い。
【0034】本発明の金属結合ラクトフェリンや金属結
合ラクトフェリン分解物を飲食品や飼料に配合するに際
しては、配合量等に特に制限はなく、物理的に可能な量
を配合することができる。また、本発明の金属結合ラク
トフェリンや金属結合ラクトフェリン分解物は、油脂を
含む食品1kgに対し50〜300g程度配合してもこの食品の
劣化は見られないので、油脂や油脂を含む飲食品、飼料
等に直接配合しても問題はない。したがって、大豆油、
菜種油、綿実油、ゴマ油、サフラワー油、オリーブ油、
トウモロコシ油等の植物油や魚油、乳脂、豚脂等の動物
油等、さらにはビタミンA、ビタミンE、ビタミンD等
の脂溶性ビタミン等の酸化され易い物質に直接配合する
ことも可能である。そして、本発明の金属結合ラクトフ
ェリンや金属結合ラクトフェリン分解物を配合した飲食
品や飼料を製造するに際しては、加熱殺菌や滅菌を行う
ことが可能である。また、医薬として用いる場合は、金
属結合ラクトフェリンや金属結合ラクトフェリン分解物
自体を粉末または溶液の形にして用いてもよいが、通常
は、医薬の配合剤として知られている補助剤、ビタミ
ン、その他の栄養補給成分等と混合し、粉剤、顆粒剤、
錠剤、カプセル剤あるいは液剤として用いられる。な
お、金属にはそれ自体に過剰症が存在するので、過剰摂
取の状況を避けるよう栄養学的見地から適性な配合量を
決定する必要がある。
【0035】以下に実施例を示し、本発明を詳しく説明
する。
【実施例1】200μM ウシラクトフェリン(DMV社製) 溶
液(A溶液)10Lと10mM塩化第二鉄、10mM塩化銅(II)及び
10mM塩化亜鉛(II)を含む溶液(B溶液)10Lを調製した
後、A溶液にB溶液を加えて撹拌、混合した。そして、
この混合溶液をさらに1M炭酸水素ナトリウム水溶液20L
に混合し、分子量50,000カットの限外濾過膜で脱塩及び
濃縮し、噴霧乾燥して、鉄、銅及び亜鉛を結合した金属
結合ラクトフェリン172gを製造した。得られた金属結合
ラクトフェリンは、ラクトフェリン1μM あたり鉄50μ
M 、銅50μM 及び亜鉛50μM が結合していた。この金属
結合ラクトフェリンについて、総金属濃度が5mg/100ml
となるよう希釈し官能評価試験を実施したところ、金属
味を感じたパネラーは10名中1名もいなかった。
【0036】
【実施例2】1.2M重炭酸ナトリウムと10μM ウシラクト
フェリン(DMV社製) を含む溶液(A溶液)1Lと 1.0mM塩
化第二鉄及び 0.5mM塩化銅(II)を含む溶液(B溶液)1L
を調製した後、A溶液にB溶液を加えて撹拌、混合し
た。そして、この混合溶液を分子量 5,000カットの限外
濾過膜で脱塩、濃縮して鉄及び銅を結合した金属結合ラ
クトフェリンを含む溶液を製造した。得られた金属結合
ラクトフェリンは、ラクトフェリン1μM あたり鉄99μ
M 及び銅49μM が結合していた。この金属結合ラクトフ
ェリンを含む溶液について、総金属濃度が10mg/100mlと
なるよう0.2M食塩を含む50mMトリス−塩酸緩衝液(pH 8.
0)で希釈した。そして、ネジ口付き試験管に密封して90
℃で10分間加熱し、室温まで自然冷却した後、室温で1
ヶ月保存して沈澱の有無を肉眼で判定したところ、沈澱
は全く認められなかった。また、官能評価試験を実施し
たところ、金属味を感じたパネラーは10名中1名もいな
かった。
【0037】
【実施例3】1.2M重炭酸ナトリウムと10μM ウシラクト
フェリン(DMV社製) を含む溶液(A溶液)1Lと 5.0mM塩
化第二鉄及び 1.0mM塩化銅(II)を含む溶液(B溶液)1L
を調製した後、A溶液にB溶液を加えて撹拌、混合し
た。そして、この混合溶液を分子量 5,000カットの限外
濾過膜で脱塩、濃縮して鉄及び銅を結合した金属結合ラ
クトフェリンを含む溶液を製造した。この金属結合ラク
トフェリンを含む溶液について、総金属濃度が10mg/100
mlとなるよう0.2M食塩を含む50mMトリス−塩酸緩衝液(p
H 8.0)で希釈した。そして、ネジ口付き試験管に密封し
て90℃で10分間加熱し、室温まで自然冷却した後、室温
で1ヶ月保存して沈澱の有無を肉眼で判定したところ、
沈澱は全く認められなかった。また、官能評価試験を実
施したところ、金属味を感じたパネラーは10名中1名も
いなかった。なお、この金属結合ラクトフェリンを含む
溶液を分子量10,000カットの透析膜で超純水に対して透
析し、完全に脱塩した後、凍結乾燥し、ラクトフェリン
に結合している各金属量をICPで測定したところ、ラ
クトフェリン1分子当たり、鉄 382分子及び銅70分子が
結合していることが判った。
【0038】
【実施例4】1.0mM硫酸銅及び 0.2mM塩化亜鉛(II)を含
む溶液(A溶液)0.2Lと50μM トランスフェリン(アポ
型、和光純薬工業製)を含む溶液(B溶液)0.8Lを調製
した後、A溶液にB溶液を加えて撹拌、混合した。そし
て、この混合溶液を分子量 5,000カットの限外濾過膜で
脱塩、濃縮して銅及び亜鉛を結合した金属結合トランス
フェリンを含む溶液を製造した。得られた金属結合ラク
トフェリンは、ラクトフェリン1μM あたり鉄70μM 及
び亜鉛18μM が結合していた。この金属結合トランスフ
ェリンを含む溶液について、総金属濃度が10mg/100mlと
なるよう0.2M食塩を含むイミダゾール緩衝液(pH 6.8)で
希釈した。そして、ネジ口付き試験管に密封して90℃で
10分間加熱し、室温まで自然冷却した後、37℃で1ケ月
保存して沈澱の有無を肉眼で判定したところ、沈澱は全
く認められなかった。
【0039】
【実施例5】0.5M炭酸ナトリウム及び0.7M重炭酸カリウ
ムを含む溶液1Lを酢酸でpH 8.3に調整した溶液(A溶
液)、 1.0mM塩化第二鉄及び 0.5mM塩化アルミニウムを
含む溶液(B1溶液)0.2L、 0.01N塩酸溶液中でペプシ
ン (シグマ社製) によりオボトランスフェリン(タイプ
IV、シグマ社製)を37℃で1時間加水分解したオボトラ
ンスフェリン分解物800mg(トランスフェリン換算で10μ
M 相当) を含む溶液(B2溶液)0.8Lを調製した後、ま
ず、B1溶液とB2溶液を混合してB溶液を調製し、さ
らに、A溶液にB溶液を加えて撹拌、混合した。そし
て、この混合溶液を分子量 1,000カットの透析膜で脱塩
して鉄及びアルミニウムを結合した金属結合トランスフ
ェリン分解物を含む溶液を製造した。この金属結合トラ
ンスフェリン分解物を含む溶液について、総金属濃度が
30mg/200mlとなるよう50mMリン酸緩衝液(pH 7.0)で希釈
した。そして、ネジ口付き試験管に密封して90℃で10分
間加熱し、室温まで自然冷却した後、37℃で1ヶ月保存
して沈澱の有無を肉眼で判定したところ、沈澱は全く認
められなかった。なお、この金属結合トランスフェリン
分解物を含む溶液を分子量10,000カットの透析膜で超純
水に対して透析し、完全に脱塩した後、凍結乾燥し、オ
ボトランスフェリン分解物に結合している各金属量をI
CPで測定したところ、オボトランスフェリン分解物1
mg当たり、鉄0.05mg及びアルミニウム 0.002mgが結合し
ていることが判った。
【0040】
【実施例6】実施例2で得られた鉄及び銅を結合した金
属結合ラクトフェリンを含む溶液20L を鉄濃度が5mg/2
00ml及び銅濃度が3mg/200mlとなるよう生乳に添加して
均質化した後、 150℃で2秒間滅菌し、直ちに4℃に冷
却して無菌的に 250ml容紙容器に充填した。そして、37
℃で3ヶ月保存した後、遠心分離して沈澱物の有無を調
べたが、沈澱は全く認められなかった。また、大腸菌数
及び一般細菌数共に0であった。さらに、生乳を同様の
条件で殺菌し保存したものを対照として官能評価試験を
実施したところ、金属味や味及び香り等に異常を感じた
パネラーは10名中1名もいなかった。
【0041】
【実施例7】参考例1に示した方法に従い、ウシラクト
フェリン分解物を調製した。一方、1.3M重炭酸ナトリウ
ムを含む溶液(A溶液)1L、 0.9mM塩化第二鉄及び0.6m
M塩化マンガンを含む溶液(B1溶液)0.2L、ラクトフ
ェリン換算で10μM相当の上記ウシラクトフェリン分解
物を含む溶液(B2溶液)0.8Lを調製した後、まず、B
1溶液とB2溶液を混合してB溶液を調製し、さらに、
A溶液にB溶液を加えて撹拌、混合して鉄及びマンガン
を結合した金属結合ラクトフェリン分解物を含む溶液を
製造した。この金属結合ラクトフェリン分解物を含む溶
液をネジ口付き試験管に密封して90℃で10分間加熱し、
室温まで自然冷却した後、37℃で1ヶ月保存して沈澱の
有無を肉眼で判定したところ、沈澱は全く認められなか
った。また、官能評価試験を実施したところ、金属味を
感じたパネラーは10名中1名もいなかった。
【0042】
【実施例8】ウシラクトフェリン500g、塩化第二鉄6水
和物250g及び硫酸銅 50gを水50L に溶解した溶液に、重
炭酸ナトリウム 25gを撹拌しながら加え混合した。そし
て、この混合溶液を分子量 5,000カットの限外濾過膜で
脱塩及び濃縮し、噴霧乾燥して鉄及び銅を結合した金属
結合ラクトフェリン410gを製造した。この金属結合ラク
トフェリン410gを55℃に加熱して溶解した純製ラード20
kgに加え、ホモミキサーで激しく撹拌して分散化処理を
行い、鉄及び銅を強化したラードを製造した。
【0043】
【実施例9】実施例2と同様にして得られた鉄及び銅を
結合した金属結合ラクトフェリンの凍結乾燥粉末を使用
し、以下の配合のビタミンEを含有する 150mgカプセル
を打ち抜き法により製造した。 配合比(%) カプセル用溶液 ゼラチン 45 グリセリン 22 水 33 原料組成 ビタミンE 35 (200IU) 金属結合ラクトフェリン 20 小麦胚芽油 40 乳化剤 5 このカプセル剤は、健康食品として用いられる。なお、
このカプセル剤について、37℃で3ヶ月保存して官能評
価試験を実施したが、油脂の異臭及び金属味を感じたパ
ネラーは10名中1名もいなかった。
【0044】
【実施例10】実施例2と同様にして得られた鉄及び銅
を結合した金属結合ラクトフェリンの凍結乾燥粉末を使
用し、以下の配合のマーガリンを製造した。 配合比(%) 大豆硬化油(融点42℃) 10 大豆白絞油 40 パーム油 25 グリセリン脂肪酸エステル (ヨウ素価60) 0.5 脱脂粉乳 1 金属結合ラクトフェリン 0.5 乳酸 0.1 水 22.9
【0045】また、比較例として、金属結合ラクトフェ
リンに代えて塩化第二鉄及び塩化銅(II)を使用し、以下
の配合のマーガリンを製造した。 配合比(%) 大豆硬化油(融点42℃) 10 大豆白絞油 40 パーム油 25 グリセリン脂肪酸エステル (ヨウ素価60) 0.5 脱脂粉乳 1 塩化第二鉄 0.2 塩化銅(II) 0.15 乳酸 0.1 水 23.05
【0046】さらに、対照として、以下の配合のマーガ
リンを製造した。 配合比(%) 大豆硬化油(融点42℃) 10 大豆白絞油 40 パーム油 25 グリセリン脂肪酸エステル (ヨウ素価60) 0.5 脱脂粉乳 1 乳酸 0.1 水 23.4 そして、これらのマーガリンについて、製造直後及び15
℃で6ヶ月保存後のPOVを測定した。その結果を表6
に示す。
【0047】
【表6】 上記の結果より、金属結合ラクトフェリンを使用すると
金属によるマーガリンの劣化が完全に抑制されることが
判った。
【0048】
【実施例11】乳清蛋白濃縮物(WPC)890g及び乳糖
5.2kgを温湯60kgで溶解した後、牛乳7.5kg及びカゼイ
ン400gを加え、さらに、水溶性ビタミン類 (ビタミンB
1 、ビタミンB2 、ビタミンB6 、ビタミンB12、ビタ
ミンC、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、ビオチン、
コリン、イノシトール) 75g 及び鉄、銅、亜鉛以外のミ
ネラル類 (炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸マグネ
シウム) 75g を加えて溶解した。次に、この溶液に実施
例1と同様にして得られた鉄、銅及び亜鉛を結合した金
属結合ラクトフェリン 10.3gを加えて溶解した。そし
て、脂溶性ビタミン類 (ビタミンA、ビタミンD、ビタ
ミンE、ビタミンK、βカロチン) を溶解、混合した調
製脂肪 2.5kgを加えて混合した後、殺菌し、濃縮及び噴
霧乾燥して乳児用調製粉乳10kgを製造した。そして、こ
の乳児用調製粉乳について官能評価試験を実施したとこ
ろ、金属味を感じたパネラーは10名中1名もいなかっ
た。また、この乳児用調製粉乳については、POVの上
昇も見られず安定した品質の製品であることが判った。
なお、この乳児用調製粉乳は、100g当たり鉄6mg、銅0.
31μg 及び亜鉛 2.6mgが含まれており、特殊栄養食品の
規格やFAO/WHOをはじめとする各種の勧告値や推
奨値を満足するものであった。
【0049】
【実施例12】実施例2と同様にして得られた鉄及び銅
を結合した金属結合ラクトフェリン2kg、大豆粕 120k
g、脱脂粉乳 140kg、大豆油40kg、コーン油20kg、パー
ム油 280kg、トウモロコシ澱粉 148kg、小麦粉90kg、フ
スマ20kg、ビタミン混合物90kg、セルロース30kg、鉄及
び銅を除くミネラル混合物20kgを配合し、イヌ飼育用飼
料1,000kgを製造した。
【0050】
【発明の効果】本発明の金属結合ラクトフェリン及び金
属結合ラクトフェリン分解物は、一種の金属を結合させ
た金属結合ラクトフェリンまたは金属結合ラクトフェリ
ン分解物にくらべて多量の金属を含有せしめることがで
き、しかも複数種の金属が多量に結合しているにも拘わ
らず、金属味が発現せず、また、金属に起因する酸化作
用も抑制されているので、金属を強化する目的で医薬、
飲食品、飼料等に配合することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年1月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正内容】
【0045】また、比較例として、金属結合ラクトフェ
リンに代えて塩化第二鉄・6水和物及び塩化銅(11)
・2水和物を使用し、以下の配合のマーガリンを製造し
た。 配合比(%) 大豆硬化油(融点42℃) 10 大豆白絞油 40 パーム油 25 グリセリン脂肪酸エステル(ヨウ素価60) 0.5 脱脂粉乳 1 塩化第二鉄・6水和物 0.2 塩化銅(11)・2水和物 0.15 乳酸 0.1 水 23.05
フロントページの続き (72)発明者 浜下 一正 埼玉県川越市南大塚2−11−4 南台ハイ ツ401 (72)発明者 富澤 章 埼玉県入間市豊岡5−3−33 アーデン 710 (72)発明者 相川 均 埼玉県東松山市五領町12−89 パークタウ ン五領5−503 (72)発明者 高橋 健 埼玉県所沢市松葉町25−19 メゾン松葉 302

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラクトフェリン類またはその分解物に複
    数種の金属が結合した金属結合ラクトフェリンまたは金
    属結合ラクトフェリン分解物。
  2. 【請求項2】 ラクトフェリン類またはその分解物1分
    子に複数種の金属がそれぞれ3〜 500分子結合した金属
    結合ラクトフェリンまたは金属結合ラクトフェリン分解
    物。
  3. 【請求項3】 複数種の金属を含む溶液及びラクトフェ
    リン類またはその分解物を含む溶液を混合することによ
    り得られる請求項1又は2に記載の金属結合ラクトフェ
    リンまたは金属結合ラクトフェリン分解物。
  4. 【請求項4】 炭酸、重炭酸、又は炭酸及び重炭酸を含
    む溶液、複数種の金属を含む溶液及びラクトフェリン類
    又はその分解物を含む溶液を混合することにより得られ
    る請求項1又は2に記載の金属結合ラクトフェリンまた
    は金属結合ラクトフェリン分解物。
  5. 【請求項5】 複数種の金属が、生体の生理作用をつか
    さどる微量元素である請求項1〜4のいずれかに記載の
    金属結合ラクトフェリンまたは金属結合ラクトフェリン
    分解物。
  6. 【請求項6】 複数種の微量元素が、鉄、銅、亜鉛、マ
    ンガン、コバルト、ニッケル及びアルミニウムのなかか
    ら選択される2種以上のミネラルである請求項5に記載
    の金属結合ラクトフェリンまたは金属結合ラクトフェリ
    ン分解物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の金属結
    合ラクトフェリンまたは金属結合ラクトフェリン分解物
    を配合したミネラル補給用医薬、飲食品又は飼料。
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