JPH101747A

JPH101747A - 快削鋼

Info

Publication number: JPH101747A
Application number: JP14765896A
Authority: JP
Inventors: Tadayuki Kajima; 嶋忠幸鹿; Hajime Takahashi; 橋元高
Original assignee: Daido Steel Co Ltd
Current assignee: Daido Steel Co Ltd
Priority date: 1996-06-10
Filing date: 1996-06-10
Publication date: 1998-01-06

Abstract

(57)【要約】【課題】極く微細なブローホールを介して圧漏れを生じ
るような不具合をなくして、空圧部品の素材として使用
した場合の信頼性をより一層向上させることが可能であ
ると共に、実用の切削条件下で切削加工を行った場合に
常に良好な仕上面あらさを得る。【解決手段】重量％で、Ｃ：０．０５〜０．１５％、Ｓ
ｉ：０．０５％以下、Ｍｎ：０．８０〜１．５０％、
Ｐ：０．０９０％以下、場合によっては０．０４０〜
０．０９０％、Ｓ：０．１００〜０．４００％、Ｂｉ：
０．００５〜０．１５０％、Ｐｂ：０．１０〜０．３５
％、Ｎ：０．０１５０％以下、場合によっては０．００
６５〜０．０１５０％、Ｏ：０．００４〜０．０３０
％、Ａｌ：０．００２超過〜０．００５％、場合によっ
てはさらにＰ＋６Ｎ：０．０８〜０．１３％、残部Ｆｅ
および不純物よりなる快削鋼。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、自動車，
工作機械，産業機械，農業機械，家電製品等々の幅広い
分野において使用される精密小物部品や空圧部品などの
素材として利用される快削鋼に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記に例示した自動車，工作機
械，産業機械，農業機械，家電製品等々において使用さ
れる精密小物部品や空圧部品などの素材としては、形状
が複雑で精度の高い切削加工を必要とし加工コストが増
大しやすいことから、低炭素の快削鋼を使用することが
多く、このような快削鋼としては、鉛（Ｐｂ）系，カル
シウム（Ｃａ）系，いおう（Ｓ）系およびいおう複合
系，いおう−特殊元素複合系，鉛−いおう複合系，テル
ル（Ｔｅ）系，四元（Ｐｂ＋Ｓ＋Ｔｅ＋Ｘ）系などのも
のがあった。

【０００３】そして、具体的には、例えば、低炭素のい
おう快削鋼の被削性を改善するためにＰｂとＢｉとを複
合添加した快削鋼があった。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような低炭素のい
おう快削鋼にＰｂとＢｉとを複合添加した快削鋼におい
ては、一般的には、脱酸元素の量が少ないリムド鋼を使
用していることから、鋼中に極く微細なブローホールが
形成され、圧延後の製品にそのまま残るものとなってい
た。

【０００５】したがって、空圧部品などのごとく圧力が
加わる部品の素材として使用した場合には、上記極く微
細なブローホールを介して圧漏れを生じることがあると
いう問題点があり、とくに空圧部品の素材として使用す
る場合には信頼性があまり高くなく、用途の拡大を妨げ
ているという課題があった。

【０００６】また、とくに低炭素の快削鋼で重要視され
る仕上面あらさに注目するときには、構成刃先の付着の
有無が重要な因子となるが、従来の場合には、同じ量の
ＳとＰｂおよびＢｉとを複合添加した快削鋼であって
も、切削加工時に構成刃先が付着して仕上面あらさが悪
くなったり、反対に切削加工時に構成刃先が付着せずに
仕上面あらさが良好なものとなったりして、仕上面あら
さが一定しないことがあるという問題点があり、仕上面
あらさを一定にできるようにすることが課題としてあっ
た。

【０００７】

【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題を解決す
るためになされたものであって、従来のように極く微細
なブローホールを介して圧漏れを生じるような不具合を
なくして、空圧部品の素材として使用した場合の信頼性
をより一層向上させることが可能であると共に、実用の
切削条件下で切削加工を行った場合に常に良好な仕上面
あらさを得ることが可能である快削鋼を提供することを
目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による快削鋼は、
重量％で、Ｃ：０．０５〜０．１５％、Ｓｉ：０．０５
％以下、Ｍｎ：０．８０〜１．５０％、Ｐ：０．０９０
％以下、場合によっては０．０４０〜０．０９０％、
Ｓ：０．１００〜０．４００％、Ｂｉ：０．００５〜
０．１５０％、Ｐｂ：０．１０〜０．３５％、Ｎ：０．
０１５０％以下、場合によっては０．００６５〜０．０
１５０％、Ｏ：０．００４〜０．０３０％、Ａｌ：０．
００２超過〜０．００５％、場合によってはさらにＰ＋
６Ｎ：０．０８〜０．１３％、残部Ｆｅおよび不純物よ
りなる化学成分組成のものとしたことを特徴としてい
る。

【０００９】次に、本発明による快削鋼の成分範囲（重
量％）の限定理由について説明する。

【００１０】Ｃ：０．０５〜０．１５％Ｃは例えば自動車や工作機械や産業機械や農業機械や家
庭電化製品などの精密小物部品や空圧部品の強度および
耐摩耗性等を確保するのに必要な元素であり、このため
に０．０５％以上とした。

【００１１】しかし、Ｃ量が多くなれば強度および耐摩
耗性は向上するものの被削性が低下してくると共に酸素
量が低くなりすぎて硫化物が細くなって工具摩耗を増大
させ、この結果被削性が低下してくるので０．１５％以
下とした。

【００１２】Ｓｉ：０．０５％以下Ｓｉは脱酸元素であるが、多すぎると酸素量が低くなり
すぎて硫化物が細くなり、工具の摩耗が大となって被削
性が低下するので０．０５％以下とした。

【００１３】Ｍｎ：０．８０〜１．５０％Ｍｎが少なすぎると熱間加工性が低下すると共に、Ｍｎ
Ｓ量が少なくなって被削性が低下するので０．８０％以
上とした。しかし、多すぎると脱酸量が多くなり、鋼中
の酸素量が少なくなりすぎて被削性を低下させるので
１．５０％以下とした。

【００１４】Ｐ：０．０９０％以下Ｐは切削加工時における構成刃先の付着の有無に対して
Ｎと共に影響を及ぼす元素であると共に被削性を向上さ
せる効果を有しているので、場合によっては０．０４０
％以上とするが、多すぎると熱間加工性を低下させるの
で０．０９０％以下とした。

【００１５】Ｓ：０．１００〜０．４００％Ｂｉ：０．００５〜０．１５０％Ｐｂ：０．１０〜０．３５％Ｓ，Ｂｉ，Ｐｂはいずれも鋼の被削性を向上させるのに
有効な元素であり、切削抵抗を小さくして工具寿命を増
大させるのに有効な元素である。そして、これらの元素
のうちＳは高速側の切削条件下で有効に作用し、Ｐｂは
低速側の切削条件下で有効に作用するので、広い切削条
件下で安定した切削を行うことができるように、Ｓ，Ｂ
ｉ，Ｐｂの三元素を複合で添加した。そして、このよう
な被削性向上の効果を得るためには、Ｓは０．１００％
以上、Ｂｉは０．００５％以上、Ｐｂは０．１０％以上
とした。

【００１６】しかし、これらの被削性向上元素の含有量
が多すぎると熱間加工性を害するのでＳは０．４００％
以下、Ｂｉは０．１５０％以下、Ｐｂは０．３５％以下
とした。

【００１７】Ｎ：０．０１５０％以下Ｎは鋼の溶製時に含まれやすい元素であり、前記Ｐとと
もに切削加工時における構成刃先の付着に影響を及ぼす
元素であり、Ｎ含有量が低すぎるとＰ＋６Ｎの値を確保
するためのＰ含有量が多くなってしまうので、Ｐ含有量
を適切なものとできるように場合によっては０．００６
５％以上とする。しかし、Ｎ量が多すぎると製鋼上の支
障をきたすことがありうるので０．０１５０％以下とし
た。

【００１８】Ｏ：０．００４〜０．０３０％Ｏ含有量が少なすぎると硫化物が細くなり工具の摩耗を
増大させて被削性を低下させるので０．００４％以上と
した。しかし、多すぎると酸化物の生成量が増大して工
具寿命を低下させるので０．０３０％以下とした。

【００１９】Ａｌ：０．００２超過〜０．００５％Ａｌは脱酸作用を有する元素であり、適量含有させるこ
とが望ましいが、０．００２％以下では鋼中での微細な
ブローホールの発生を抑えることができがたくなって、
例えば空圧部品の素材として使用した場合に上記微細な
ブローホールを介して圧漏れを生じる場合があって空圧
部品の信頼性を低下させることにもなる。そして、Ａｌ
残留量を０．００２％超過とした場合には肉眼で判定困
難な微細なブローホールが発生しがたくなり、微細なブ
ローホールを介した圧漏れを生じなくなることから、Ａ
ｌ量は０．００２％超過とした。そして、Ａｌ量が０．
００２％超過〜０．００５％の範囲では被削性の低下の
程度が少ないが、０．００５％を超えると被削性に悪影
響を及ぼすのでＡｌ量は０．００２超過〜０．００５％
とした。

【００２０】Ｐ＋６Ｎ：０．０８〜０．１３％工具寿命，切削抵抗，切り屑破砕性，仕上面あらさなど
で評価される被削性のうち、とくに低炭素の快削鋼で重
要視される仕上面あらさを改善するためには切削時にお
ける構成刃先の付着が重要な因子となり、鋼中に含まれ
るＰとＮとが切削加工時における構成刃先の付着の有無
に大きく作用して仕上面あらさに大きな影響を与える。
そして、Ｐ＋６Ｎが０．０８％よりも低いときには切削
加工時に構成刃先が付着して仕上面あらさを悪くするの
で０．０８％以上とすることが場合によっては望まし
く、反対にＰ＋６Ｎ量が多くなり過ぎると構成刃先の付
着はあまりないものの工具の摩耗が大きくなって仕上面
あらさが悪くなるので０．１３％以下とすることが場合
によっては望ましい。

【００２１】そして、Ｐ＋６Ｎが０．０８〜０．１３％
の範囲を満たすために、Ｐ量を多くしてＮ量を少なくす
るときには、Ｐは脱酸作用を有していて、Ｓｉ，Ａｌと
同様に酸素量を少なくすると共に、Ｎは鋼中に入り込み
やすい元素であって少なくすることはコスト高を招き、
さらにＮは６倍で作用するため、むしろＰ量を少な目に
してＮ量で上記範囲に調整するようになす方が望まし
い。

【００２２】

【実施例】表１に示す化学成分の低炭素鋼を２ｔｏｎア
ーク炉にて溶解・溶製したのち２ｔｏｎ鋼塊に鋳造し、
熱間圧延を行って直径１２ｍｍの線材コイルとし、引抜
きおよび矯正を行って直径１２ｍｍの丸棒とした。

【００２３】次に、前記各化学成分の鋼よりなる丸棒に
対してそれぞれ表２に示す条件で切削加工を行って、被
削性（比較鋼５を基準とする指数）を評価すると共に微
細なブローホール発生の有無を調べた。その結果を同じ
く表１に示す。

【００２４】

【表１】

【００２５】

【表２】

【００２６】表１に示すように、本発明による快削鋼の
成分規定を満足する本発明鋼Ｎｏ．１〜４ではいずれも
Ａｌ含有量を少なくした比較鋼Ｎｏ．５，６と同程度の
優れた被削性を有していると共に、Ａｌ含有量を適切な
ものとしているため比較鋼Ｎｏ．５，６のようなブロー
ホールの発生がみられず、空圧部品の素材として使用し
たときでも圧力漏れのおそれがない信頼度の高い圧力部
品用の快削鋼として適したものであることが認められ
た。

【００２７】また、比較鋼Ｎｏ．７ではＡｌ含有量が本
発明の上限を超えて含有しており、微細なブローホール
の発生はないものの、被削性にかなり劣るものとなって
いた。

【００２８】

【発明の効果】以上説明してきたように、本発明による
快削鋼は、重量％で、Ｃ：０．０５〜０．１５％、Ｓ
ｉ：０．０５％以下、Ｍｎ：０．８０〜１．５０％、
Ｐ：０．０９０％以下、場合によっては０．０４０〜
０．０９０％、Ｓ：０．１００〜０．４００％、Ｂｉ：
０．００５〜０．１５０％、Ｐｂ：０．１０〜０．３５
％、Ｎ：０．０１５０％以下、場合によっては０．００
６５〜０．０１５０％、Ｏ：０．００４〜０．０３０
％、Ａｌ：０．００２超過〜０．００５％でかつ場合に
よってはＰ＋６Ｎ：０．０８〜０．１３％、残部Ｆｅお
よび不純物よりなるものであるから、鋼中における微細
なブローホールの発生を抑制することが可能であって例
えば空圧部品の素材として使用したときに空気漏れの発
生を防止することができ、空圧部品の信頼性を著しく向
上させたものとすることが可能であり、かつまた、加工
部品の仕上面あらさを常に良好なものとすることが可能
であるという著しく優れた効果がもたらされる。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】重量％で、Ｃ：０．０５〜０．１５％、
Ｓｉ：０．０５％以下、Ｍｎ：０．８０〜１．５０％、
Ｐ：０．０９０％以下、Ｓ：０．１００〜０．４００
％、Ｂｉ：０．００５〜０．１５０％、Ｐｂ：０．１０
〜０．３５％、Ｎ：０．０１５０％以下、Ｏ：０．００
４〜０．０３０％、Ａｌ：０．００２超過〜０．００５
％、残部Ｆｅおよび不純物よりなることを特徴とする快
削鋼。
【請求項２】重量％で、Ｃ：０．０５〜０．１５％、
Ｓｉ：０．０５％以下、Ｍｎ：０．８０〜１．５０％、
Ｐ：０．０４０〜０．０９０％、Ｓ：０．１００〜０．
４００％、Ｂｉ：０．００５〜０．１５０％、Ｐｂ：
０．１０〜０．３５％、Ｎ：０．００６５〜０．０１５
０％、Ｏ：０．００４〜０．０３０％、Ａｌ：０．００
２超過〜０．００５％でかつＰ＋６Ｎ：０．０８〜０．
１３％、残部Ｆｅおよび不純物よりなることを特徴とす
る快削鋼。