JPH10172568A - リチウム二次電池用正極活物質及びその正極活物質を用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質及びその正極活物質を用いたリチウム二次電池

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JPH10172568A
JPH10172568A JP8353570A JP35357096A JPH10172568A JP H10172568 A JPH10172568 A JP H10172568A JP 8353570 A JP8353570 A JP 8353570A JP 35357096 A JP35357096 A JP 35357096A JP H10172568 A JPH10172568 A JP H10172568A
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electrode active
secondary battery
lithium secondary
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JP8353570A
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Shunichi Murazaki
俊一 村崎
Akihiko Murakami
彰彦 村上
Seiji Yasui
政治 安井
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Aichi Steel Corp
Original Assignee
Aichi Steel Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期容量の高い割にサイクル劣化率の小さい
リチウム電池の得られる正極活物質を提供すること。 【解決手段】 立方密充填の構造単位を持ち、LiM2
4 (Mは1種以上の遷移金属)で表されるスピネル型
の複合酸化物であって、前記複合酸化物のスピネル構造
の8aサイト内に、充放電によってスピネル構造内から
Li+ イオンが出入りすることにより変化するLi層の
間隔を小さく抑えるための元素X(XはLi以外の1種
以上の元素)を、スピネル構造の8aサイト内に含ませ
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非水電解液を用い
たリチウム二次電池の使用に適した正極活物質及びそれ
を用いたリチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】充電により繰り返し使用が可能な二次電
池として、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電
池、リチウム電池の3種類が良く知られている。その中
で、特にリチウム二次電池は、前記3種類の二次電池の
中で最も高い重量エネルギー密度及び体積エネルギー密
度と、3Vを超える高電圧を得ることができ、パソコ
ン、携帯電話等の機器の小型軽量化及び長時間駆動を可
能にする電池として期待され、90年代以降活発な研究
開発が進められている。
【0003】リチウム二次電池の正極活物質としては、
LiCoO2 を用いたものが既に市販されており、それ
以外にLiNiO2 、LiMn24 等の金属酸化物が
使用できることが知られている。一方負極活物質として
は、リチウム金属、リチウム合金、もしくはリチウムイ
オンを吸蔵・放出可能な炭素体等を用いるものがある
(例えば特開昭63−114065号)。
【0004】ところで、上記正極活物質は、一般にLi
(リチウム)金属、Liの酸化物、水酸化物、炭酸化物
等のリチウム原料の粉末と、Mn、Ni、Co等の金属
或いはこれらの酸化物、水酸化物、炭酸化物等の粉末と
を混合し、これらを600〜900℃の温度で長時間加
熱焼成する、固相反応法により製造されている。
【0005】しかしながら、上記方法で製造された従来
の正極活物質を用いて得られるリチウム二次電池は、充
放電を繰り返すと、初期に得られる電池容量がサイクル
数の増加と共に低下するという問題があり、希望する性
能の得られるリチウム二次電池を得ることができないで
いた。
【0006】リチウム二次電池は高容量、高電圧という
他の二次電池では得られない長所を有しており、前記し
た容量低下を少しでも小さく抑えるための開発が活発に
行われ、多数の研究成果が報告されている。
【0007】例えば、前記した酸化物中に含まれるN
i、Co、Mn等の一部を他の元素に置換した活物質
(例えば、第31回電池討論会 2A16,126(1990)、36th P
ower Conference,76(1994)) 、Ni、Co、Mnの量に
対するLi量を増加し、Li過剰の組成とした活物質
(例えば、J,Electrochem.Soc.,143,P825(1996) 、特開
平2−37665号)等の研究成果が報告されている。
【0008】また、製造方法の面からサイクル特性を改
善する方法としては、原料を溶媒に溶解した溶液を液滴
状に噴霧し、加熱処理して反応させると共に前記溶媒を
蒸発させることにより製造する新しい製造方法について
も試みられている(特開平8−236112号)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前記した公開特許、研
究報告に記載された研究成果等、最近のサイクル特性改
善の試みにより、改善前のリチウム二次電池に比べ、若
干のサイクル特性改善を図ることができた。しかしなが
ら、初期容量を高めれば容量低下が大きくなり、容量低
下を小さくしようとすると初期容量が小さくならざるを
えず、希望する性能が得られないという従来のリチウム
電池の問題を根本的に解決するまでには到っていなかっ
た。
【0010】また、原料溶液を噴霧するという新しい製
造方法の開発は、均一性の高い粉末を製造するという点
では非常に効果的であったが、優れたサイクル特性を保
有する活物質が見出されていない段階で、方法のみの改
善を行っても、性能向上には限界があり、サイクル特性
に関する問題を完全に解決することができず、さらなる
改善が強く望まれていた。
【0011】本発明は、このような従来の問題点を解決
することを目的として成された発明であり、その目的と
するところは、従来のリチウム二次電池に比べ、繰り返
し充放電に伴う電池容量の低下を著しく抑制することの
可能なリチウム二次電池用正極活物質を提供し、優れた
性能を有するリチウム二次電池の製造を可能にすること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記した通り、リチウム
二次電池の電池容量は、初期容量が低い場合を除き、充
放電のサイクル数の増加とともに、少しずつ低下してい
く。この原因は現在完全には究明されていないが、活物
質はLi+ イオンの出入りによって結晶格子の膨張、収
縮を伴うこと、Liを含む複合酸化物を正極活物質とし
て用いた場合、充電によりある一定量以上(例えば、L
iMn24 を正極活物質として用いた場合には約80%
以上)のLi+ イオンが放出された時点で不可逆的な格
子定数変化が生じること等が確認されており(図1に正
極活物質としてLiMn24 を用いた場合の充放電に
伴う格子定数の変化を示す)、電池容量の低下原因とこ
の不可逆的格子定数変化との間に何らかの関係があるも
のと推定されていた。
【0013】しかしながら、充放電を繰り返し行った場
合のフルの充電時とフルの放電時における格子定数につ
いては、電池容量が低下していくにもかかわらずほとん
ど変化がなく、不可逆的格子定数の変化のみでは、電池
容量の低下を明確に説明することができないでいた。
【0014】本発明者等は、前記課題を解決するため
に、正極活物質の結晶構造と得られる電池容量との関係
について、特に活物質としてスピネル型の酸化物を用い
た場合について詳細に検討した。
【0015】前記した図1に示される通り、充電時に
は、Li+ イオンの放出とともに格子定数が低下してい
き、ある一定量、すなわち図1のA点を超えて充電を行
うと、格子定数の不可逆変化が起きる。A点におけるL
iの放出割合は、全Li量の約80%となっている(X線
回折のリトベルト解析により、A点における8aサイト
のLi占有率が約20%であることを確認) 。
【0016】また、図2には、スピネル型Li−Mn酸
化物のLiとMn原子数比を変化させた場合の初期容量
とサイクル劣化率を示すが、サイクル劣化率が0となる
Li/Mn値が0.55となっており、この場合に得ら
れる電池容量と計算上得られる理論容量の比からLiの
放出量を計算すると、前記Li放出量とほぼ一致するこ
とがわかった。
【0017】さらに、従来電池容量低下を防止するため
に試みられていたMn、Co、Ni等の元素の一部を他
の元素に置換する方法については、添加元素による影響
によって、Mn、Co、Ni等の遷移金属のイオンの平
均価数が変化し、その結果、フル充電してもLi原子の
完全放出が妨げられ、Li層内の格子定数の変化が抑え
られることによるものであることがわかった。そして、
この方法ではLi放出が妨げられるため、劣化率低下に
は効果があるが、初期容量の低下を避けることができな
いことを見出した。
【0018】本発明者等は、これらの情報から、電池容
量の低下と格子定数の不可逆変化との間には、従来考え
られていた知見と同様に密接な関係があるものと推定
し、電池容量の低下を防止するためには、不可逆変化を
防止することが重要であると考えた。そこで、Li層内
の不可逆変化を防止しつつ初期容量を大きく低下しない
方策について検討した結果、Li層内、すなわちスピネ
ル構造の8aサイト内にLiとは異なった1種以上の元
素を含ませることが、サイクル特性の向上に顕著に効果
のあることを見出したものである。
【0019】以上説明した知見から得られた本発明の請
求項1の発明は、立方密充填の構造単位を持ち、LiM
24 (Mは1種以上の遷移金属)で表されるスピネル
型の複合酸化物であって、前記複合酸化物のスピネル構
造の8aサイト内に、充放電によってスピネル構造内か
らLi+ イオンが出入りすることにより変化するLi層
の間隔を小さく抑えるための元素X(XはLi以外の1
種以上の元素)を含むことを特徴とするリチウム二次電
池用正極活物質にある。
【0020】なお、請求項1に記載のLiM24
は、Li/M、Li/O、M/Oの原子数比がそれぞれ
1/2、1/4、1/2に固定されることを意味するも
のではなく、それぞれの原子数比を若干調整してサイク
ル特性の改善を図った場合についても含む意味であるこ
とは勿論である。
【0021】本発明において最も注目すべき点は、スピ
ネル型Li複合酸化物において、本来Liが占有するス
ピネル構造の8aサイト内に、Li以外の元素を含ませ
たことにある。8aサイト内にLi以外の元素を含ませ
たことによって、Li+ イオンの出入りに伴い変化する
Li層の面間隔の変化を安定化させ、不可逆的格子定数
変化を防止し、電池容量の劣化を防止することができ
る。ここで、Li層とは、結晶構造中でLiが存在する
層のことであり、具体的には、図3で示されるように、
スピネル構造の8aサイトと16cサイトで構成される
面のことを意味している。
【0022】すなわち、本発明の正極活物質において
は、充電しLi+ イオンを放出させても、Li層内には
8aサイト内に含ませたLiとは異なる1種以上の元素
が残存した状態となる。従って、この元素の存在によっ
て、Li+ イオンを放出した時点においてもLi層の面
間隔の減少を小さく抑えられるとともに、不可逆的格子
定数の変化を防止できる。
【0023】なお、本発明は、スピネル型のリチウム酸
化物であれば、全ての酸化物に同様に効果を得ることが
でき、表1に示される様々な酸化物に対して同様に効果
を得ることができる。但し、高い容量を得るためには、
スピネル構造の8aサイト内にLi元素のみで占有でき
る酸化物を基本に元素Xを含ませることが必要である。
【0024】
【表1】
【0025】また、請求項2の発明のように、8aサイ
ト内に含ませる元素は、Li+ イオンよりイオン半径の
大きい陽イオンになりえる元素を使用することが望まし
い。なお、前記イオン半径とは、各元素が四配位サイト
を占めた時のイオン半径の平均値の意味である。平均値
とは、元素Xが1種の場合は、その元素のイオン半径で
あり、元素Xを2種以上用いた場合には、各元素の含有
比率から求められる平均値のことである。Li+ イオン
よりイオン半径の小さい元素であっても、Li+ イオン
が放出された際にLi層内に残存するので、前記した効
果を得ることができるが、得られる効果は小さい。Li
+ イオンよりイオン半径の大きい元素を残存させた場合
には、Li+ イオンの出入りの際の膨張収縮の変化を小
さく抑えることができるとともに、Li+ イオン放出後
においてもLi層の間隔をLi+イオンよりも大きい状
態に保つことができ、容量低下の防止効果をより向上さ
せることができる。
【0026】また、請求項3の発明のように、スピネル
構造の8aサイト内に含まれるLi+ イオンと元素Xか
らなる陽イオンの原子数比が、X/Li=0.01〜
0.25の範囲内とすることが好ましい。これは、X/
Liが0.01未満である場合には、元素Xによる添加
効果が十分に得られないためであり、一方、元素Xの量
を増加しすぎると、容量低下率は非常に小さく抑えるこ
とができるが、移動できるLi+ イオンの量が減少し、
初期容量が低下するためである。
【0027】なお、添加する元素Xとしては、スピネル
構造の8aサイト内を含ませた状態で酸化物が安定に存
在できるものであれば、なんでも良い。但し、Li+
オンよりイオン半径の大きい陽イオンとなりえる元素で
ある方が好ましいことは、前記した通りである。例え
ば、請求項4の発明のように、元素XとしてAg、A
u、Ba、Ca、Cd、Co、Cs、Cu、Fe、F
r、Ge、Hg、K、Mn、Na、Ni、Pb、Pd、
Ra、Rb、Sn、Sr、Tl、V、Znから選択され
る1種以上の元素を含むように選択して使用することが
できる。しかしながら、六配位及び四配位の状態により
イオン半径が変化するので、この点では注意する必要が
あり、その点を考慮して元素を選択することが必要であ
る。
【0028】なお、元素Xを2種以上含む場合には、使
用する元素Xのうちの1種以上として本発明で指定した
前記元素のうちの1種以上を用い、元素X全体の平均イ
オン半径がLi+ イオンより大きくなるようにすれば、
好ましい結果を得ることができる。
【0029】また、本発明の正極活物質は、請求項5の
発明のように、活物質の原料を溶媒に溶解した原料溶液
を液滴上に噴霧し、次いで、上記液滴を加熱処理して、
該液滴中の原料を反応させると共に、該液滴中の上記溶
媒を蒸発させて製造することにより得られた活物質を用
いることが望ましい。
【0030】上記加熱処理とは、原料溶液と略同じ組成
を有する液滴を加熱することにより熱分解して、該液滴
中の原料成分を溶液反応させると共に、液滴中の溶媒を
蒸発させる操作をいう。この加熱処理により、粉末状の
正極活物質と溶媒蒸気とが発生するので、捕集器等によ
り分離し、正極活物質を得ることができる。
【0031】なお、この加熱処理における加熱温度は製
造する正極活物質にもよるが、300〜1200℃とす
れば良く、好ましくは下限については600℃、上限に
ついては1000℃とするのが良い。加熱温度が300
℃未満であると、原料溶液の反応が不十分となる可能性
があり、1200℃を超えると、装置の設計、稼働が困
難となるという問題がある。
【0032】また、噴霧する際には、製造する活物質に
目的とする量の酸素を含有させるため、酸素ガスを量を
調節しつつ供給しながら噴霧することが必要である。具
体的には、液滴が加熱処理される雰囲気の酸素分圧を
0.2〜1気圧にコントロールすれば良い。
【0033】また、上記原料溶液を液滴状に噴霧する方
法としては、原料溶液に超音波振動を付与する方法、圧
縮した溶液をノズルから噴霧する方法、二流体ノズルを
用いて溶液とガスを噴霧する方法等がある。
【0034】また、本発明の正極活物質の原料として
は、リチウム化合物と使用する遷移金属及びその化合物
とよりなり、上記リチウム化合物はLiの酸化物、水酸
化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩又は蓚酸塩のうちの1種
以上であることが好ましい。これらのものは、比較的、
溶液中でイオン化しやすく均一性向上の点で優れてい
る。
【0035】また、上記金属化合物は、使用する金属元
素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩又は蓚
酸塩のうちの1種以上であることが好ましい。これらの
ものは、比較的、溶液中でイオン化しやすく均一性向上
の点で優れている。
【0036】また、上記溶媒は、例えば、水、酸水溶
液、アルカリ水溶液、有機溶媒のうちの1種以上を用い
ることができる。
【0037】また、上記加熱処理は、上記原料を噴霧す
る容器の外部からの加熱、上記容器への加熱ガスの注入
による加熱、溶媒の燃焼熱による加熱のうちいずれかの
1種以上を用いることができる。
【0038】上記噴霧容器の外部からの加熱の場合に
は、加熱温度の調整を容易に行うことができる。また、
上記への加熱ガスの注入の場合には、加熱効率を向上さ
せることができる。また、溶媒の燃焼による加熱の場合
には、一次粒子を瞬時に合成することができ、組成の均
一性が向上するという効果が得られる。
【0039】本発明は、スピネル構造の8aサイト内に
Li以外の1種以上の元素Xを含ませることにより、そ
の効果が得られるものであり、その製造する方法に関係
なく、元素Xを含ませた効果を得ることは可能である。
しかしながら、本発明の正極活物質の性能は、8aサイ
ト内に含ませる元素Xの割合によって大きく左右され、
その性能を最大限に引き出すためには、従来知られてい
る活物質に比べ高い均一性を持った粉末の製造技術が要
求されるものである。正極活物質の製造方法として従来
から最も広く知られている方法は、原料粉末を混合し、
600〜900℃の高温で長時間加熱焼成し、その後粉
砕するという方法であるが、この方法では粉末の均一度
を高めることが難しいという問題がある。そこで、請求
項5の発明では、原料溶液をあらかじめ良く混合してお
き、噴霧し加熱処理させて反応させる方法により粉末を
製造するという製造肯定を選択したものである。従っ
て、製造方法として、他の従来知られている方法を選択
し本発明の正極活物質を製造した場合に比べ、より優れ
た性能を有する活物質の製造が可能となる。
【0040】また、請求項6の発明は、正極と、リチウ
ムイオンを吸蔵・放出可能な活物質を用いた負極と、両
者間に介設されるセパレータと、リチウムイオン導電性
の非水電解液とを有するリチウム二次電池として、前記
した正極活物質を用いたことを特徴とするものである。
本発明の正極活物質を用いることにより、初期容量を高
めても容量低下率の低い二次電池を製造することができ
る。
【0041】本発明において正極を構成するに当たって
は、上記正極活物質に加え、例えば、導電材としてアセ
チレンブラック等を用い、また、結着材としてPTFE
等を用いて行う。
【0042】また、上記負極に用いる活物質としては、
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な物質を用いることが
必要であり、例えばリチウム(金属リチウム)、リチウ
ム合金、炭素体等が使用できる。
【0043】また、両者間に介設されるセパレータとし
ては、例えば、ポリプロピレン等の多孔質フィルムやガ
ラスフィルタ等を用いることができる。
【0044】また、上記セパレータに含浸させる非水電
解液としては、有機溶媒に適量の電解質を溶解したもの
がある。上記有機溶媒としてはエチレンカーボネート、
ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、プチ
レンカーボネート、テトラヒドロフラン、2−メチルテ
トラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキソラン及
びγ−プチロラクトンから選ばれた1種又は2種以上の
溶媒が好適である。また、上記電解質としては、LiP
6 、LiClO4 、LiBF4 、LiAsF6 等を用
いることができる。これらの正極、負極、セパレータ、
非水電解液から構成されたリチウム二次電池により、優
れた性能を得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態例にかかるリチ
ウム二次電池用正極活物質で得られる性能を、以下に実
施例で示すことにより明らかにする。まず、本発明の実
施例として用いる正極活物質の製造装置及び製造方法に
ついて説明する。製造装置は特開平8−236112号
にて開示した装置とほぼ同様である。まず粉末状活物質
の原料を溶媒に溶解し、均一となるようによく攪拌した
原料溶液を準備する。この原料溶液を溶液タンクに入
れ、超音波振動を与えつつ加熱処理炉内に噴霧する。噴
霧された液滴は、 800℃に加熱された電気炉内で加熱処
理され、熱分解する。この加熱処理により原料溶液が反
応するとともに、該液滴中の溶媒が蒸発して粉末状活物
質が製造される。製造された活物質は捕集器により沈降
捕集し、本発明の実施例として使用した(以下、この方
法を噴霧法と記載)。
【0046】製造した正極活物質の性能を把握するため
の試験は、図4に示すコイン型電池を作製することによ
って行った。
【0047】実験に使用したコイン型電池の作製方法に
ついて説明する。まず、正極104は、前記した方法に
より得られた粉末状正極活物質40mgと、導電材としてア
セチレンブラック 1mg、結着剤としてPTFE(ポリ四フッ
化エチレン)10mgを用い、直径15mm、厚さ1.0mm の円盤
状にプレス成形することにより作製した。
【0048】負極にはLi金属箔102を用い、厚さ
0.5mmのガラスフィルタ103をセパレータとして
使用した。そして、上蓋101および下蓋106からな
る直径20mmのステンレス製のコイン型電池内に、パ
ッキン105を用いて密閉し、コイン型電池を作製し
た。
【0049】非水電解液107としては、有機溶媒とし
てPC(プロピレンカーボネート)と、DEC(ジエチ
ルカーボネート)を用い、電解質としてLiClO
4 (過塩素酸リチウム)を使用した。
【0050】このコイン型電池を用いてサイクル特性の
試験を行った。サイクル特性の試験は、カットオフ電圧
3.5−4.5V、電流密度4mA/cm2 の条件で実
施した。以下に実験結果について説明する。
【0051】実施形態例1 リチウム化合物として硝酸リチウムを、マンガン化合物
として硝酸マンガンを用い、Li量、Mn量が表2に示
す量となる配合比率で混合し、溶媒として水を混合する
ことにより原料溶液を準備し、前記した噴霧法により、
粉末状で、かつスピネル構造を有するLi−Mn酸化物
を製造した。
【0052】
【表2】
【0053】製造後、X線回折のリトベルト解析を行っ
た結果から、LiとMnのモル比が1:2の配合比から
Liを減らし、増加した分のMnの量だけ、スピネル構
造の8aサイト内、すなわちLi層内にMnの陽イオン
として存在していることが確認できた。すなわち、X線
回折ピークの(220)ピークはスピネル構造内の8a
サイトで規定される原子情報のみで決まる回折線強度を
示しており、最強線(111)は、スピネル構造のL
i、Mn、Oで与えられる全ての8a、16d、32e
サイトの原子情報を反映しているので、X線強度を詳細
に解析することによって、スピネル構造内の原子位置を
同定することができる。このLi−Mn酸化物を用いて
実施したサイクル特性の試験結果を図5に、得られた容
量劣化率のデータを横軸にLi/Mnをとって整理した
グラフを前記した図2に示す。なお、図2には、既に説
明したように、Li/Mn比を逆に増加した場合のサイ
クル特性試験結果も合わせて示してある。
【0054】この図5から明らかなように、Mnの量を
増量し、スピネル構造の8aサイト内にMnを含ませた
活物質(Li/Mn<0.5)とすると、放出できるL
i量の減少によって初期容量は若干減少するが、急激に
劣化率が低下することがわかる。但し、試験No.5の
ように、8aサイト内に含ませるLi以外の元素を増量
しすぎると、移動できるLi+ イオンが減少し、容量が
低下し好ましくないこともわかる。従って、添加する元
素X(本実施形態例ではMn)の量は前記したように、
Li層内においてX/Liが0.01〜0.25の範囲
内とするのが良い。
【0055】また、本発明の効果をよりわかりやすく示
すため、Li/Mnの値が0.5以上と0.5未満に分
けて、初期容量とサイクル劣化率を比較した図を図6に
示す。この図から初期容量を同じとした場合、本発明の
範囲内であるLi/Mnの値を0.5未満とした場合の
方が、サイクル劣化率を低く抑えることができることが
確認できた。
【0056】実施形態例2 実施形態例1では、スピネル構造の8aサイト内に含ま
せる元素としてMnを用いたが、次の実施形態例とし
て、元素XとしてMn以外の元素を用いた場合の実験結
果を示す。各々の活物質の製造時に用いた原料は、Li
化合物、Mn化合物、溶媒については実施形態例1と同
様であり、元素Xを添加するための原料は表3に示す通
り(表4に示す試験条件のうち、Mg以外の元素は表3
と同じ。)である。なお、基本となる酸化物の組成は実
施形態例1と同様にLiMn24である。表3、表4に
元素Xとして用いた元素の種類とイオン半径等を示す。
表3に示した試験条件のうち、試験No.16であるA
l以外のイオンは、全てLi+ イオンに比べイオン半径
の大きい陽イオンとなり得る元素である。
【0057】また、表4は、元素Xを複数用いた場合の
試験条件であり、このうちAl3+、Mg2+はLi+ よりも
イオン半径が大きくないが、Li+ イオンよりもイオン
半径の大きいCd2+、Ag+ 、Cu2+ 又はFe2+を用
いることにより、平均イオン半径では、全てLi+ イオ
ンのイオン半径より大きくなる条件となっている。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】表3、表4に示す元素Xを8aサイト内に
含ませた活物質を噴霧法により製造し、サイクル特性に
ついて調べた結果を図7、図8に示す。なお、8aサイ
ト内(Li層内)に含ませた元素Xの量(2種の元素X
を用いた場合は、2種の元素Xの合計量)はLi量の
0.053倍(=1/19、原子数比)に固定して実験
を行った。また、比較のために元素Xを全く含ませずに
製造した活物質(試験No.17、前記試験No.1と
同じ)のサイクル特性も合わせて図7、図8に示した。
【0061】図7、図8から明らかなように、本発明の
実施例のうち試験No.11〜15及び試験No.21
〜24は、初期容量が約120mAh/gとかなり高い
にもかかわらず、100サイクル後においても、ほとん
ど変わらない電池容量を確保している。また、イオン半
径がLi+ イオンより小さいAl3+イオンを8aサイト
内に含ませた実験例である試験No.16はある程度電
池容量は低下していくが、全く元素Xを用いていない活
物質による実験例である試験No.17に比べると、か
なりサイクル特性が改善されていることがわかる。
【0062】なお、以上の実施形態例は全てLi−Mn
複合酸化物に関し行った結果について示したが、前記し
た表1に示される通り、他のスピネル型リチウム複合酸
化物であっても同様な効果を得られることが確認でき
た。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、充電によりLi+ イオ
ンを放出しても、Li層の間隔の変化を小さく抑えるこ
とができ、不可逆的格子定数変化が防止される。その結
果、初期容量の高い割に容量低下の小さいリチウム二次
電池の得られる正極活物質が製造でき、優れたリチウム
二次電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】正極活物質LiMn24 のLiの出入りに伴
う格子定数変化を示す図。
【図2】正極活物質としてLi−Mn複合酸化物を用い
た場合のLi/Mn比による初期容量とサイクル劣化率
を示す図。
【図3】スピネル構造内のLi層を説明する図。
【図4】実験に使用したコイン型電池の製造方法を説明
する図。
【図5】実施形態例1における各正極活物質を用いた場
合のサイクル特性を示す図。
【図6】実施形態例1における各正極活物質の初期容量
とサイクル劣化率を示す図。
【図7】実施形態例2における各正極活物質を用いた場
合のサイクル特性を示す図。
【図8】実施形態例2における各正極活物質を用いた場
合のサイクル特性を示す図。
【符号の説明】
101 上蓋 102 Li金属箔 103 ガラスフィルタ 104 正極 105 パッキン 106 下蓋 107 非水電解液

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 立方密充填の構造単位を持ち、LiM2
    4 (Mは1種以上の遷移金属)で表されるスピネル型
    の複合酸化物であって、前記複合酸化物のスピネル構造
    の8aサイト内に、充放電によってスピネル構造内から
    Li+ イオンが出入りすることにより変化するLi層の
    間隔を小さく抑えるための元素X(XはLi以外の1種
    以上の元素)を含むことを特徴とするリチウム二次電池
    用正極活物質。
  2. 【請求項2】 Li層の間隔の変化を小さく抑えるため
    の元素Xとして、Li+ イオンよりイオン半径(元素X
    が四配位サイトを占めた時のイオン半径の平均値)の大
    きい陽イオンになりえる元素を使用することを特徴とす
    る請求項1記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  3. 【請求項3】 スピネル構造の8aサイト内に含まれる
    Li+ イオンと元素Xからなる陽イオンの原子数比が、
    X/Li=0.01〜0.25の範囲内であることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用正
    極活物質。
  4. 【請求項4】 前記元素Xとして、Ag、Au、Ba、
    Ca、Cd、Co、Cs、Cu、Fe、Fr、Ge、H
    g、K、Mn、Na、Ni、Pb、Pd、Ra、Rb、
    Sn、Sr、Tl、V、Znから選ばれる元素のうち1
    種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  5. 【請求項5】 活物質の原料を溶媒に溶解した原料溶液
    を液滴状に噴霧し、次いで、上記液滴を加熱処理して、
    該液滴中の原料を反応させると共に、該液滴中の上記溶
    媒を蒸発させて製造することにより、均一性の高い粉末
    からなる活物質としたことを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1項に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
  6. 【請求項6】 正極と、リチウムイオンを吸蔵・放出可
    能な活物質を用いた負極と、両者間に介設されるセパレ
    ータと、リチウムイオン導電性の非水電解液とを有する
    リチウム二次電池において、請求項1から5のいずれか
    1項に記載の正極活物質を用いたことを特徴とするリチ
    ウム二次電池。
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