JPH10170454A - ドライファントム - Google Patents

ドライファントム

Info

Publication number
JPH10170454A
JPH10170454A JP8328641A JP32864196A JPH10170454A JP H10170454 A JPH10170454 A JP H10170454A JP 8328641 A JP8328641 A JP 8328641A JP 32864196 A JP32864196 A JP 32864196A JP H10170454 A JPH10170454 A JP H10170454A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
phantom
rubber
dry
polymer material
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8328641A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihisa Futagawa
佳央 二川
Masaru Chino
勝 千野
Keiko Kurata
桂子 倉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Maxell Holdings Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Ltd filed Critical Hitachi Maxell Ltd
Priority to JP8328641A priority Critical patent/JPH10170454A/ja
Publication of JPH10170454A publication Critical patent/JPH10170454A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrotherapy Devices (AREA)
  • Magnetic Resonance Imaging Apparatus (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 任意の形状、構造及び寸法のものを容易に作
製でき、保存安定性に優れ、かつ成型後の加工も容易な
電磁波用ドライファントムを提供する。 【解決手段】 硬化後にゴム状弾性を有する高分子材料
と導電性フィラーとを含む高分子複合体を用いてドライ
ファントムを作製する。硬化後にゴム状弾性を有する高
分子材料としては、クロロプレンゴム、シリコーンゴ
ム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン共重合体、ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体、フッ素ゴム、ウ
レタン樹脂、弾性エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、シリコー
ン変性樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。ま
た、導電性フィラーとしては、非晶質のカーボンブラッ
ク又は結晶質のグラファイト若しくはこれらの複合体を
挙げることができる。高分子材料に対する導電性フィラ
ーの含有率は、0.1重量%以上50重量%以下とする
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイパーサーミア
(温熱療法)装置の開発や評価それに人体に対する電磁
波の影響を調査するための固形タイプの疑似人体模型、
即ちドライファントムに係り、特に、その構成材料に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話をはじめとする移動体通
信分野を中心に電磁波の利用が急増している。一方、パ
ーソナルコンピュータやマイコン搭載の民生用電子機器
類などは既に広く普及しており、一般の人々が電磁波に
接する機会は増加の一途をたどっている。このような状
況の中で、人体に対する電磁波の悪影響が懸念され始め
ており、これに関する研究が活発になってきている。一
般に、人体に対する電磁波の影響を調査するには、電磁
波に対する物理的特性が人体の組織と等価な物質からな
るファントムが使用される。また、ハイパーサーミア装
置のような電磁波を使用した医療器具の開発や評価にお
いても、電磁波による人体の加温状況などを調査するた
め、同様のファントムが使用されている。
【0003】電磁波用ファントムは、比誘電率(εr*
=εr'−jεr")、誘電損失(tanδ=εr"/εr' )、
比熱などの物理的特性が人体と等価であることが必要で
あり、比誘電率及び誘電損失については、一般に、複素
誘電率を測定してその実数部(εr')及び虚数部(ε
r")の値により評価される。複素誘電率の各部の値は周
波数により変化する。例えば人の筋肉の場合、400M
Hzにおいては、εr'=50,εr"=40程度である
が、1GHzにおいてはεr'=40,εr"=30程度に
なる。したがって、広い周波数範囲にわたって電磁波の
影響を調査するためには、広い周波数範囲で人体と複素
誘電率の各部の値が等価になるファントムが必要にな
る。なお、人の筋肉の比熱は約0.86 cal/g・℃、人
の脂肪の比熱は約0.24 cal/g・℃である。
【0004】従来より、かかる電磁波用ファントムとし
ては、寒天やゲル状物質などのウェットタイプが多く使
用されている。しかし、ウェットタイプのファントム
は、水分を多量に含んでいるため、水分の蒸発によって
特性が変化しやすい、カビやバクテリアが発生しやすい
などの理由から長期使用は不可能で、取り扱い上も問題
点が多い。そこで、近年に至って、特開平4−1095
08号公報及び特開平4−114631号公報に記載さ
れているように、導電性フィラー及び/又は誘電性フィ
ラーを含む高分子複合体からなるドライタイプの電磁波
用ファントムが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
4−109508号公報に記載のドライファントムは、
主剤としてポリフッ化ビニリデンのような熱可塑性のフ
ッ素樹脂を使用しているため、肉厚の薄いもの以外は成
型が難しく、例えば人体頭部形状のファントムのように
厚肉又は中実の立体を成型するとクラックや寸法変化そ
れに未硬化箇所が発生しやすいという問題がある。一
方、特開平4−114631号公報に記載のドライファ
ントムは、板状に成型した素材を積層して作製するた
め、人体頭部などの複雑な形状のものを得るのに多大の
労力を必要とし、また、接着剤を使用して積層するた
め、測定箇所により物理的特性にむらが発生する恐れが
ある。さらに、これらのドライファントムは、いずれも
硬度が高いため、成型後のファントムに加工を施すこと
が困難で、例えばファントム形状を種々変更しつつデー
タ測定を行うとか、測温プローブや感温フィルムの取付
位置を種々変更しつつデータ測定を行うといった測定方
法を実行することが困難で、使用方法が限定されるとい
う問題がある。
【0006】本発明は、かかる課題を解決するためにな
されたものであって、その目的は、任意の形状、構造及
び寸法のものを容易に作製でき、保存安定性に優れ、か
つ成型後の加工も容易な電磁波用ドライファントムを提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記の課題を
解決するため、導電性フィラーを含み、電磁波に対する
物理的特性が人体の組織と等価とみなせる高分子複合体
をもって形成されたドライファントムにおいて、前記高
分子複合体の主剤である高分子材料として、硬化後にゴ
ム状弾性を有するものを用いた。
【0008】カーボンブラックやグラファイト等の導電
性フィラーを含む高分子複合体をもってファントムを作
製すると、導電性フィラーの種類や含有率を調整するこ
とによって、電磁波に対する物理的特性が人体の各部と
等価、あるいは等価とみなせるものを作製することがで
きる。
【0009】この種のドライファントムは、水分を含ん
でいないため保存安定性に優れる。また、前記高分子複
合体の主剤である高分子材料として、硬化後にゴム状弾
性を有するものを用いると、成型後の加工が容易である
ため、例えば腕状に形成されたファントムを肘部から種
々の角度に折り曲げつつデータ測定を行うなどの測定を
容易に行うことができる。また、ファントムに切り込み
を入れて測温プローブや感温フィルム等のセンサを差し
込むだけでこれらのセンサの設定と固定とを終了するこ
とができ、かつ切り込みから引き抜くだけでセンサを破
壊することなく取り外すことができるので、各種のデー
タ測定を効率良くかつ安価に行うことができる。また、
この種の高分子複合体を用いると、注型法等によって任
意の形状及び寸法のファントムを容易に作製することが
できるので、人体のあらゆる部位に関する研究を行うこ
とができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のドライファントムは、導
電性フィラーを含み、電磁波に対する物理的特性が人体
の組織と等価とみなせる高分子複合体をもって形成され
る。
【0011】前記導電性フィラーとしては、作製しよう
とするファントムに要求される物理的特性に応じて適宜
選択できるが、結晶質のグラファイトと非晶質のカーボ
ンブラックからなる複合粒子を使用することが好まし
い。当該複合粒子は、カーボンブラックを高温で処理
し、粒子表面から徐々にグラファイトへと結晶化させる
ことによって得られる。この方法によって得られる複合
粒子は、非晶質から結晶質への結晶化の過程で体積減少
が生じ、一般的に粒子の中心部に空隙が存在する。
【0012】前記導電性フィラーの含有量は、作製しよ
うとするファントムに要求される物理的特性に合わせて
適宜設定できるが、0.1重量%以上50重量%以下の
範囲で調整すれば人体の全ての組織に対応するファント
ムを作製することが可能である。例えば、筋肉や皮膚な
どの高含水率組織用(以下、「筋肉用」という。)のフ
ァントムは、1重量%以上40重量%以下の範囲で作製
可能であり、脂肪や骨などの低含水率組織用(以下、
「脂肪用」という。)のファントムは、0.5重量%以
上20重量%以下の範囲で作製可能である。その際、グ
ラファイト化率の異なるカーボンブラックを2種類以上
混合してもよい。また、必要に応じてグラファイト粉
末、炭素繊維、活性炭繊維、カーボンビーズ、誘電性粉
末、および誘電性繊維などを添加することも可能であ
る。これら添加材料の量はカーボンブラックと合わせた
総含有量が全体の60重量%以下であることが望まし
い。カーボンブラック及び前記添加材料の総含有量が6
0重量%以下であれば、成型後のファントムに割れなど
の発生は見られず、弾性及び強度の低下も見られない。
【0013】前記導電性フィラーは、粒径が10nm以
上10μm以下のものを用いることが望ましい。粒径が
10nm以下であると樹脂への均一な分散が困難にな
り、反対に粒径が10μm以上であると単位面積当たり
に含有される粒子の数が少なくなって、測定場所による
物理的特性のむらが大きくなるためである。
【0014】また、導電性フィラーを含む高分子複合体
の主剤である高分子材料としては、用途に応じた強度、
耐熱性、粘度、成型性などの特性を有する樹脂を適宜選
択できる。例えば、クロロプレンゴム、シリコーンゴ
ム、アクリルゴム、エチレン−プロピレン−共重合体、
ブタジエン−アクリルニトリル−共重合体、フッ素ゴム
等の熱硬化タイプのゴム、ウレタン樹脂、男性エポキシ
樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン変性樹
脂などが挙げられるが、特にこれに限定されるものでは
なく、硬化後にゴム状弾性を有するものであればよい。
これらの高分子材料は、必要に応じて混合して使用する
ことも可能である。さらに、必要に応じて、分散剤、可
塑剤、架橋剤、老化防止剤、加硫促進剤、難燃化剤、希
釈剤などを添加することもできる。
【0015】高分子材料に導電性フィラー及びその他の
添加材料を配合する際の分散方法としては、一般にニー
ダー、バンバリーミキサー、ボールミル、サンドミル、
ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザーなどが用い
られるが、これらに限定するものではなく、その場に応
じて適宜使用することができる。
【0016】本発明のドライファントムは、導電性フィ
ラーの含有量、混合比率、添加材料などの配合条件を変
えることで物理的特性を調整することができる。
【0017】また、本発明のドライファントムは、成型
性が良好であることから、例えば人体の頭部形状などの
ように複雑な形状のものを容易に成型できる。勿論、フ
ァントムの製造コストを低減するため、立方体や円柱体
などの単純な形状に成型することも可能である。成型方
法としては、注型成型、射出成型、押し出し成型など各
種成型方法が適応可能である。その際、筋肉用と脂肪用
などのように組成が異なるものを2種類以上組み合わせ
て作製しても良い。
【0018】本発明のファントムは、主剤高分子材料と
して硬化後にゴム弾性を有するものを用いたので、必要
に応じて任意の部分に測温プローブや感温フィルムなど
のセンサを埋め込むことができる。この場合、ファント
ムの所要部分に切り込みを入れ、当該切り込み内にセン
サを差し込むだけでファントム自体のゴム弾性を利用し
てセンサを固定することができ、かつファントムと密着
させることができる。よって、接着剤を使用してセンサ
を固定する必要がないので、ファントムの物理的特性が
変化せず、高精度の測定を行うことができる。また、セ
ンサの取付位置を適宜変更することができるので、1つ
のファントムを繰り返し各種のデータ測定に供すること
ができ、データ測定を効率化できる。さらに、本発明の
ドライファントムは、折り曲げ力や捩じり力を加えて変
形させることができるので、例えば腕状に形成されたフ
ァントムを肘部から種々の角度に折り曲げつつデータ測
定を行うなどの測定を容易に行うことができる。
【0019】また、本発明のドライファントムはシリコ
ーン樹脂やフッ素樹脂など耐熱性に優れた樹脂を使用す
ることにより、ウェットタイプのファントムでは不可能
であった常温以外の温度でも使用可能となる。
【0020】以下、本発明に係るファントムの実施例と
比較例とを挙げ、本発明の効果を明らかにする。
【0021】〈実施例1〉カーボンブラック及びシリコ
ーン樹脂の主剤をバンバリーミキサーで混合、分散し、
十分均一になったところで、硬化剤を添加して再度20
分程度混合して分散体を作製した。その配合組成を以下
に示す。 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率30%,粒子径25nm) 5重量部 シリコーン樹脂(主剤) 86重量部 シリコーン樹脂(硬化剤) 9重量部 得られた分散体を型に流し込み、減圧下で脱泡を行った
後、100℃で1時間加熱硬化させて筋肉用のファント
ムを作製した。
【0022】〈実施例2〉カーボンブラック、炭素繊維
及び弾性エポキシ樹脂の主剤を加圧ニーダーで混合、分
散し、十分均一になったところで、硬化剤を添加して再
度20分程度混合して分散体を作製した。その配合組成
を以下に示す。 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率80%,粒子径20nm) 20重量部 炭素繊維(東邦レーヨン製 繊維径9μm,繊維長3mm) 5重量部 弾性エポキシ樹脂(主剤) 50重量部 弾性エポキシ樹脂(硬化剤) 25重量部 得られた分散体を型に流し込み、減圧下で脱泡を行った
後、150℃で4時間加熱硬化させて筋肉用のファント
ムを作製した。
【0023】〈実施例3〉カーボンブラック及びシリコ
ーンゴムを加圧ニーダーで混合、分散し、十分均一にな
ったところで、加硫剤を添加して再度5分程度混合して
分散体を作製した。その配合組成を以下に示す。 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率30%,粒子径25nm) 3重量部 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率80%,粒子径20nm) 3重量部 シリコーンゴム 93重量部 加硫剤 1重量部 得られた分散体を押出成型機で成型し、170℃で10
分一次加硫を行い、さらに200℃で5分二次加硫を行
って筋肉用のファントムを作製した。
【0024】〈実施例4〉カーボンブラック及びシリコ
ーンゴムを加圧ニーダーで混合、分散し、十分均一にな
ったところで、加硫剤を添加して再度5分程度混合して
分散体を作製した。その配合組成を以下に示す。 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率30%,粒子径25nm) 1重量部 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率80%,粒子径20nm) 1重量部 シリコーンゴム 97重量部 加硫剤 1重量部 得られた分散体を押出成型機で成型し、170℃で10
分一次加硫を行い、さらに200℃で5分二次加硫を行
って脂肪用のファントムを作製した。
【0025】〈実施例5〉カーボンブラック、炭素繊維
及びシリコーン樹脂を加圧ニーダーで混合、分散し、十
分均一になったところで、硬化剤を添加して再度20分
程度混合して分散体を作製した。その配合組成を以下に
示す。 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率80%,粒子径25nm) 1.5重量部 炭素繊維(東邦レーヨン製 繊維径9μm,繊維長3mm) 0.5重量部 シリコーン樹脂(主剤) 89重量部 シリコーン樹脂(硬化剤) 9重量部 得られた分散体を射出成型機で成型し、脂肪用のファン
トムを作製した。
【0026】〈比較例1〉カーボンブラック及びシリコ
ーン樹脂の主剤を加圧ニーダーで混合、分散し、十分均
一になったところで、硬化剤を添加して再度20分程度
混合して分散体を作製した。その配合組成を以下に示
す。 グラファイトとカーボンブラックから成る複合粒子 (グラファイト化率80%,粒子径25nm) 60重量部 シリコーン樹脂(主剤) 36重量部 シリコーン樹脂(硬化剤) 4重量部 得られた分散体を射出成型機により成型して筋肉用ファ
ントムを作製した。
【0027】〈比較例2〉炭素繊維及びシリコーン樹脂
の主剤を加圧ニーダーで混合、分散し、十分均一になっ
たところで、硬化剤を添加して再度20分程度混合して
分散体を作製した。その配合組成を以下に示す。 炭素繊維(東邦レーヨン製 繊維径9μm,繊維径3nm) 20重量部 シリコーン樹脂(主剤) 73重量部 シリコーン樹脂(硬化剤) 7重量部 得られた分散体を射出成型機により成型して脂肪用ファ
ントムを作製した。
【0028】〈比較例3〉ポリフッ化ビニリデン、チタ
ン酸バリウム及び炭素粉末を混合し、2軸混練押出機を
用いてペレットを作製した。その配合組成を以下に示
す。 炭素粉末(平均粒子径50μm) 5重量部 チタン酸バリウム 60重量部 ポリフッ化ビニリデン 35重量部 前記ペレットを射出成型により板状に成型し、さらにチ
タン酸バリウム及び炭素粉末を添加した接着剤を用いて
積層して筋肉用ファントムを作製した。
【0029】上記実施例及び比較例に係るファントムの
複素誘電率をネットワークアナライザを用いて、Sパラ
メーター法により100MHz〜10GHzの範囲で測
定した。その結果を図1〜8に示す。図1、図2、図
3、図6及び図8には人の筋肉の複素誘電率を、図4、
図5及び図7には人の脂肪の複素誘電率を合わせて示
す。また、実施例及び比較例に係るファントムの比熱、
硬さ、引っ張り強度及び伸びを図9に示す。硬さについ
ては、実施例1〜5及び比較例1,2についてはJIS
スプリング硬さ試験機A形を用い、比較例3については
デュロメーター硬さ試験機を用いて行った。
【0030】図1〜5から明らかなように、実施例に係
るファントムは、いずれも人の筋肉又は脂肪の複素誘電
率の値と広い周波数範囲で一致していた。これに対し、
図6及び7から明らかなように、比較例1及び比較例2
に係るファントムは、人の筋肉又は脂肪の複素誘電率の
値と一致する点は無かった。また、図8から明らかなよ
うに、比較例3に係るファントムは、900MHz付近
で人の筋肉と同程度の複素誘電率を示すが、それ以外の
周波数では一致しなかった。以上の結果より、本発明の
ファントムは広い周波数範囲で人の筋肉又は脂肪の複素
誘電率と等価であり、データ測定に使用する電磁波の周
波数ごとにファントムを変える必要が無く、1つのファ
ントムで広範囲の周波数の電磁波による人体への影響を
測定できることが判った。また。図9から明らかなよう
に、実施例に係るファントムは、いずれも人の筋肉又は
脂肪と同程度の比熱を有していることが判った。さら
に、比較例3に係るファントムに比べ柔軟であり、成型
後も用途に応じて加工できることが判った。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
硬化後にゴム状弾性を有する高分子材料と導電性フィラ
ーとを含む高分子複合体を用いてドライファントムを作
製したので、任意の形状、構造及び寸法を有するファン
トムを容易に成型することができ、人体のあらゆる部位
に関する研究を行うことができる。また、成型後の変形
が容易であることから、ファントム形状を種々変更しつ
つデータ測定を行うことができる。さらに、センサの取
り付け取り外しが容易で、しかもファントム及びセンサ
を繰り返し利用できるので、広範なデータ測定を低コス
トで行うことができる。また、センサの取り付けに接着
剤を使用しないので、接着剤の使用による特性変化がな
く、高精度の測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係るドライファントムの複素誘電率
と人の筋肉の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図2】実施例2に係るドライファントムの複素誘電率
と人の筋肉の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図3】実施例3に係るドライファントムの複素誘電率
と人の筋肉の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図4】実施例4に係るドライファントムの複素誘電率
と人の脂肪の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図5】実施例5に係るドライファントムの複素誘電率
と人の脂肪の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図6】比較例1に係るドライファントムの複素誘電率
と人の筋肉の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図7】比較例2に係るドライファントムの複素誘電率
と人の脂肪の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図8】比較例3に係るドライファントムの複素誘電率
と人の筋肉の複素誘電率の周波数特性を示すグラフ図で
ある。
【図9】実施例及び比較例に係るドライファントムの比
熱、硬さ、引っ張り強度及び伸びを示す表図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // A61N 1/40 A61N 1/40 (72)発明者 二川 佳央 神奈川県横浜市戸塚区上倉田町884番地1 戸塚ハイライズ229 (72)発明者 千野 勝 神奈川県横須賀市林1丁目2番3号 (72)発明者 倉田 桂子 大阪府茨木市丑寅一丁目1番88号 日立マ クセル株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性フィラーを含み、電磁波に対する
    物理的特性が人体の組織と等価とみなせる高分子複合体
    をもって形成されたドライファントムにおいて、前記高
    分子複合体の主剤である高分子材料として、硬化後にゴ
    ム状弾性を有するものを用いたことを特徴とするドライ
    ファントム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のドライファントムにお
    いて、前記硬化後にゴム状弾性を有する高分子材料とし
    て、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴ
    ム、エチレン−プロピレン共重合体、ブタジエン−アク
    リロニトリル共重合体、フッ素ゴム、ウレタン樹脂、弾
    性エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、シリコーン変性樹脂、フ
    ッ素樹脂から選択されるいずれか1種の高分子材料、又
    はこれらの高分子材料群から選択される2種以上の高分
    子材料の複合体を用いたことを特徴とするドライファン
    トム。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のドライファントムにお
    いて、前記導電性フィラーとして、非晶質のカーボンブ
    ラック又は結晶質のグラファイト若しくはこれらの複合
    体を用いたことを特徴とするドライファントム。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のドライファントムにお
    いて、高分子材料に対する前記導電性フィラーの含有率
    が、0.1重量%以上50重量%以下であることを特徴
    とするドライファントム。
JP8328641A 1996-12-09 1996-12-09 ドライファントム Withdrawn JPH10170454A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8328641A JPH10170454A (ja) 1996-12-09 1996-12-09 ドライファントム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8328641A JPH10170454A (ja) 1996-12-09 1996-12-09 ドライファントム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10170454A true JPH10170454A (ja) 1998-06-26

Family

ID=18212543

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8328641A Withdrawn JPH10170454A (ja) 1996-12-09 1996-12-09 ドライファントム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10170454A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004305745A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 Ge Medical Systems Global Technology Co Llc 導電性ポリマーを用いて無線周波数コイルに電気的負荷を与えるためのシステム及び方法
WO2008050749A1 (fr) 2006-10-25 2008-05-02 Kabushiki Kaisha Fine Rubber Kenkyuusho Fantôme de corps entier et procédé de fabrication de celui-ci
JP2015110770A (ja) * 2013-11-11 2015-06-18 三洋化成工業株式会社 水等価ファントム材用ポリウレタン樹脂

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004305745A (ja) * 2003-04-04 2004-11-04 Ge Medical Systems Global Technology Co Llc 導電性ポリマーを用いて無線周波数コイルに電気的負荷を与えるためのシステム及び方法
DE102004017044B4 (de) * 2003-04-04 2013-12-12 Ge Medical Systems Global Technology Company, Llc Vorrichtung zur elektrischen Belastung von Hochfrequenzspulen unter Verwendung von leitenden Polymeren
WO2008050749A1 (fr) 2006-10-25 2008-05-02 Kabushiki Kaisha Fine Rubber Kenkyuusho Fantôme de corps entier et procédé de fabrication de celui-ci
JP5312035B2 (ja) * 2006-10-25 2013-10-09 株式会社朝日Fr研究所 全身ファントム及びその製造方法
JP2015110770A (ja) * 2013-11-11 2015-06-18 三洋化成工業株式会社 水等価ファントム材用ポリウレタン樹脂

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9589698B2 (en) Conductive polymer material, use of same, and a method for the production of same
JP5186110B2 (ja) 比誘電率の制御方法、誘電体、携帯電話機及び人体ファントムモデル
Chen et al. Transparent, highly-stretchable, adhesive, and ionic conductive composite hydrogel for biomimetic skin
Quinsaat et al. Stretchable piezoelectric elastic composites for sensors and energy generators
Jiang et al. The fabrication of dielectric elastomers from silicone rubber and barium titanate: employing equi-biaxial pre-stretch to achieve large deformations
CN109651822A (zh) 一种高机械性能医用硅橡胶及其制备方法
CN103534298A (zh) 片状碳纳米管-聚合物复合材料
JP7170484B2 (ja) 導電性組成物およびそれを用いた導電体並びに積層構造体
NO326480B1 (no) Elektrisk ledende silikongummisammensetning og kontakt med lav motstand
JP2021062170A (ja) 超音波プローブ、超音波診断装置およびバッキング材の製造方法
CN104830072A (zh) 一种氟硅橡胶介电弹性体复合材料及其制备方法
JPH10170454A (ja) ドライファントム
Liang et al. Effect of multi-armed chain extender on microphase morphology, stress-strain behavior and electromechanical properties of polyurethane elastomers
CN114196373A (zh) 一种非水凝胶柔性电子封装材料及制备方法和应用
Cristofolini et al. Graphene materials strengthen aqueous polyurethane adhesives
KR102409205B1 (ko) 전도성 실리콘 전극의 제조 방법 및 전극 장치
Caba et al. A green and simple process to develop conductive polyurethane foams for biomedical applications
US20230312865A1 (en) Electrically conductive compositions
US20230009938A1 (en) Method for manufacturing biological electrode
JPH021382B2 (ja)
KR102085299B1 (ko) 압전식 에너지 하베스팅 신발 깔창 및 그 제조 방법
JPH04253109A (ja) 変形導電性エラストマー
JPH077608B2 (ja) 変形導電性エラストマー
CN113621236B (zh) 一种高性能复合介电弹性体及其制备方法和应用
CN106510639A (zh) 感觉神经定量检测仪及其压电材料

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20040302