JPH10169303A - 便器における蓋体の緩閉止機構 - Google Patents

便器における蓋体の緩閉止機構

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JPH10169303A
JPH10169303A JP33393796A JP33393796A JPH10169303A JP H10169303 A JPH10169303 A JP H10169303A JP 33393796 A JP33393796 A JP 33393796A JP 33393796 A JP33393796 A JP 33393796A JP H10169303 A JPH10169303 A JP H10169303A
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rotor
toilet
lid
friction
housing
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JP33393796A
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English (en)
Inventor
Kuniaki Shinohara
邦彰 篠原
Masahiro Kayano
雅弘 茅野
Masatoshi Tanida
雅敏 谷田
Shingo Tanaka
真吾 田中
Takayuki Irie
隆之 入江
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Toto Ltd
Sugatsune Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
Sugatsune Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 便器本体に備える便座や便蓋の閉止時の緩衝
を確実にすると共に閉止後の便座や便蓋の浮き上がりも
ない緩閉止機構を提供すること。 【解決手段】 便器本体に被せる便座及び便蓋等の蓋体
を緩やかに閉じるための緩衝ユニットを、便器本体に対
して蓋体を開閉可能に連接するヒンジ軸を受けて一体に
回転可能な回転子と、この回転子を蓋体が起立する方向
に付勢する弾性体と、回転子の回転に抵抗を作用させる
摩擦体とから構成する。また、蓋体が起立した姿勢から
閉じる間のヒンジ軸に作用するトルクの変化特性に対し
て、弾性体と摩擦体による蓋体に対する起立方向への付
勢トルクの変化特性をほぼ等しいか少し大とすることに
よって、蓋体が閉止するときには弾性体による開く方向
への付勢力を摩擦体による制動によって相殺する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、便器に取り付ける
便座や便蓋等の蓋体を閉じるときの動作を緩やかにして
便器本体との間での衝撃がないようにするための緩閉止
機構に関する。
【0002】
【従来の技術】腰掛け式の便器に取り付ける便座や便蓋
は、ピン等を利用したヒンジ機構によって便器本体に対
して上下に開閉できるように連結したものが一般的であ
る。そして、便座や便蓋を起立させた姿勢からこれらを
閉じるときに便器本体との間での衝突を避けるため、便
座と便蓋が緩やかに閉じるように動きを緩衝するダンパ
機構を持つヒンジ機構も従来から利用されている。
【0003】このダンパ機構の一つの例としては、たと
えば特公平7−23660号公報に記載のように、便器
本体側に設けるケースの中にオイルやグリース等の粘性
流体を充填しておき、便座や便蓋側に連接したピンをこ
のケースの中に差し込む構成としたものがある。この例
では、ピンが回転するときにはその周面周りでの粘性流
体の粘性剪断抵抗が作用するので、便座や便蓋が閉じる
ときの動作を緩衝することができる。
【0004】また、ピン周りに捩じりコイルスプリング
を配置してこのピンを便座や便蓋が開く方向に付勢する
ようにし、この弾性付勢力を便座や便蓋が閉じるときの
抵抗として作用させることで緩衝する構成としたものも
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、粘性流体を
ケースの中に充填するものでは、粘性流体がケースから
漏れ出ないようにすることが必要であり、ケース及びピ
ンの加工精度を高くする必要があるほか、ピンがケース
を貫通する部分のシールも同様に高い精度での組み立て
とする必要がある。このため、ヒンジ機構の部材数を増
やしたりしてシールを保つ設計で対応することになり、
部品点数の増加や組み立て精度の点からコスト面での障
害が大きい。また、シール部分を最適化しても、長期間
の使用によってピン周りのシール部材が摩耗してシール
が劣化してしまい、粘性流体の漏れ出が避けられないと
いう問題もある。
【0006】一方、捩じりコイルスプリングを利用する
ものでは、便座や便蓋が閉じるときのピンのトルクに対
する制動力はリニアにしか作用しない。このため、便座
や便蓋が閉じ始めた後の自然落下時の加速度運動に対し
て制動することができず、便座及び便蓋の便器本体への
衝突が避けられないことがある。
【0007】これに対し、捩じりコイルスプリングの発
生トルクを大きくして制動力を増やすようにすれば、便
座及び便蓋に対する制動によって便器本体の上面に被さ
るときの衝撃は軽減される。しかしながら、捩じりコイ
ルスプリングのトルクが大きすぎると、便座と便蓋を閉
じても便器本体から浮き上がってしまうという不都合を
生じる。
【0008】本発明において解決すべき課題は、便器本
体に備える便座や便蓋の閉止時の緩衝を確実にすると共
に閉止後の便座や便蓋の浮き上がりもない緩閉止機構を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、便器本体に被
せる便座及び便蓋等の蓋体を緩やかに閉じるための緩衝
ユニットを備える緩閉止機構であって、緩衝ユニット
は、便器本体に対して蓋体を開閉可能に連接するヒンジ
軸を受けて一体に回転可能な回転子と、この回転子を蓋
体が起立する方向に付勢する弾性体と、回転子の回転に
抵抗を作用させる摩擦体とを備えてなることを特徴とす
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明において、蓋体が起立した
姿勢から閉じる間のヒンジ軸に作用するトルクの変化特
性に対して、弾性体と摩擦体による蓋体に対する起立方
向への付勢トルクの変化特性をほぼ等しいか少し大とし
た構成とすることができる。
【0011】また、緩衝ユニットは、便器本体側に固定
配置されるハウジングを備えるとともにこのハウジング
の中に回転子を回転可能に収納し、このハウジングと回
転子との間にそれぞれ弾性体と摩擦体とを介在させたも
のとすることができる。
【0012】弾性体は、回転子の軸線とほぼ同軸上に配
置されたコイルスプリングであって、その巻線方向の両
端を回転子の回転方向と交叉する向きとしてハウジング
と回転子とに連接したものとすることができる。
【0013】この場合、コイルスプリングの巻線方向の
両端に軸線方向に突き出した折曲部とし、回転子または
ハウジングの少なくとも一方には折曲部を差し込み可能
であって且つその位置をコイルスプリングの軸線周りの
任意の位置に変更可能な複数の係合孔を備えたものとし
てもよく、ハウジング側と連接されるコイルスプリング
の折曲部に対して巻線方向にこの折曲部を押圧する調整
ネジをハウジングの外部から操作可能に備えるようにし
てもよい。
【0014】また、摩擦体は、回転子とハウジングとに
それぞれ同軸上に設けた摩擦孔に嵌合されその半径方向
の断面を拡縮変形可能としたフリクションピンとするこ
とができ、このフリクションピンは、少なくとも摩擦孔
に嵌入される部分の周面の一部に半径方向の拡縮変形を
可能とするスリットを切開した構成とすることができ
る。
【0015】更に、摩擦体は、回転子とハウジングとの
間に介装されこれらの外周面及び内周面にそれぞれ密着
する弾性変形可能なパッキンとしてもよい。
【0016】そして更に、弾性体は、回転子の軸線とほ
ぼ同軸上に配置されたコイルスプリングであって、その
巻線方向の両端を回転子の回転方向と交叉する向きとし
てハウジングと回転子とに連接し、摩擦体として、回転
子に対して軸線方向に弾性付勢されたフリクションプレ
ートと、このフリクションプレートと重合する位置にハ
ウジングに固定したシューとを備える構成とすることも
できる。
【0017】
【実施例】図1は本発明の緩閉止機構の要部を分解して
示す斜視図である。
【0018】図において、便器本体1に対して開閉自在
に取り付ける便蓋2と便座3のそれぞれの基端には、互
いに幅方向に重なり合う取付け座2a,3aを設け、こ
れらの取付け座2a,3aを貫通するヒンジ軸4を備え
る。そして、便器本体1の上面には幅方向に軸線を持つ
取付けベース1aを設け、この取付けベース1aの一端
に開けた支持孔1bの中に便蓋2が閉じるときの動作を
緩衝するための緩衝ユニット5を組み込む。
【0019】図2は緩衝ユニット5と便蓋2及び便座3
との連接構造を示す要部の切欠正面図、図3の(a)及
び(b)は図2のA−A線及びB−B線矢視による縦断
面図である。
【0020】図3に示すように、ヒンジ軸4は直線部4
aと曲線部4bを持つほぼ長円状の断面形状を持ち、便
蓋2の取付け座2aに開けた連接孔2bはこの長円状の
断面形状のヒンジ軸4に嵌合する長円状の開口形状とな
っている。一方、便座3の取付け座3aの連接孔3bは
ヒンジ軸4の曲線部4bの径とほぼ同じ内径を持つ円形
の開口として形成されている。このようなヒンジ軸4と
連接孔2b,3bの関係によって、便蓋2とヒンジ軸4
とは互いに一体となって回転し、ヒンジ軸4は便座3と
は無関係に自由に回転する。
【0021】ここで、図1及び図2においては、便器本
体1を正面側から見て右側に位置する取付け座2a,3
aの緩衝ユニット5への連接構造を示しているが、左側
配置の取付け座2a,3aについても同様に緩衝ユニッ
トにこれらを連接する。この場合、ヒンジ軸4は共通の
部品とし、便蓋2及び便座3の取付け座2a,3aの連
接孔2b,3bは図3で示したものと逆の形状の関係と
なるようにする。すなわち、便座3側の連接孔は長円状
としてヒンジ軸4と一体に回転できるようにするととも
に、便蓋2側の連接孔は円形開口としてヒンジ軸に対し
て便蓋2が自由に回転できるようにする。そして、左側
配置のヒンジ軸に対しても同様の構成を持つ緩衝ユニッ
ト5に連接することによって、便蓋2については右側配
置の緩衝ユニット5を利用し、便座3については左側配
置の緩衝ユニットを利用することで、これらの便蓋2と
便座3のそれぞれについて独立して緩衝機能を作用させ
ることができる。
【0022】図4は便蓋2用の緩衝ユニット5を分解し
て示す斜視図、図5はヒンジ軸4の差し込み方向から見
た図である。
【0023】緩衝ユニット5は、取付けベース1aの支
持孔1bの中に差し込まれその姿勢を一定に保つハウジ
ング6と、このハウジング6に形成した保持孔6aの中
に同軸上で回転可能に差し込んだ回転子7と、これらの
ハウジング6と回転子7との間を連接するコイルスプリ
ング8及びフリクションピン9とから構成されたもので
ある。
【0024】ハウジング6は、図2に示すように、保持
孔6aの奥側を二重管状に形成し、その外周側を環状凹
部6bとすると共に中心部にはフリクションピン9を差
し込むための摩擦孔6cを形成したものである。環状凹
部6bはその中にコイルスプリング8を差し込むと共
に、その奥側にコイルスプリング8の一端の折曲部8a
を差し込むための係合孔6dを軸線方向に切開したもの
である。
【0025】回転子7はその一端側にヒンジ軸4を嵌合
する長円形断面の結合孔7aを開けると共に他端側には
フリクションピン9を嵌合するための摩擦孔7bを同軸
上に設けたものである。また、摩擦孔7bを開けた側の
端部であってその外周には、ハウジング6の環状凹部6
bにほぼ整合する外径を持ちコイルスプリング8の一端
側を保持する保持座7cを形成し、この保持座7cの一
端側にはコイルスプリング8の折曲部8bを差し込むた
めの係合孔7dを軸線方向に切開している。そして、回
転子7の外周面には溝7eを刻み、この溝7eにはハウ
ジング6の内周面との間をシールするためのOリング1
0を設ける。
【0026】ここで、コイルスプリング8の巻線方向を
図4に示すとおりであり、便蓋2をその起立位置から倒
すときには回転子7は図中の矢印方向に回転する。この
ため、コイルスプリング8はその一端の折曲部8bが同
様に矢印方向に回されることになり、他端の折曲部8a
はハウジング6に対して一定の位置に保持されているの
で、コイルスプリング8は捩じりを受けることになり、
この捩じりの反作用によって便蓋2を開く方向に付勢し
閉じる方向に対しての抵抗を作用させる。
【0027】一方、コイルスプリング8の両端の折曲部
8a,8bが入り込んでいる係合孔6d,7dの少なく
とも一方は、コイルスプリング8の巻き方向に一致した
向きに開口長さを持つようにし、これらの折曲部8a,
8bのいずれか一方がコイルスプリング8の捩じれ方向
に或る程度自由に動けるようにする。これにより、便蓋
2を開位置から閉位置へ回動させたときには、図6に示
すように、便蓋2が開いた位置からほぼ垂直になる90
°の回動位置までの間は、コイルスプリング8は捩じら
れることがない。このため、コイルスプリング8には便
蓋2をその起立姿勢側へ付勢する付勢力が作用すること
はないが、便蓋2を90°回動位置から更に倒す位置側
に回動させると、コイルスプリング8が捩じられて便蓋
2を開く位置側への付勢力が作用する。
【0028】ハウジング6及び回転子7のそれぞれの摩
擦孔6c,7bの内径は同じであってそれぞれ同軸上に
配置され、これらの摩擦孔6c,7bにフリクションピ
ン9が嵌合されている。このフリクションピン9はその
周面の軸線方向の全長にスリット9aを切開した円柱状
のもので、このスリット9aを備えることによって半径
方向の形状を弾性的に拡縮変形可能としたものである。
そして、フリクションピン9は、これに対して外力が作
用しない無負荷のときにはその外径が摩擦孔6c,7b
の内径よりも少し大きくなるような寸法関係とする。し
たがって、固定されたハウジング6に対して回転子7が
回転するときには、フリクションピン9と摩擦孔6c,
7b内周面との間の回転子7の回転を阻止しようとする
摩擦抵抗が発生する。
【0029】このようなフリクションピン9を備える場
合、ハウジング6と回転子7との間の相対回転を阻止し
ようとするフリクションピン9による摩擦抵抗が作用す
るのは、二つの摩擦孔6c,7bのいずれか一方であ
る。すなわち、フリクションピン9とハウジング6側の
摩擦孔6cとの間の摩擦抵抗が、フリクションピン9を
回転子7の摩擦孔7bとの間に作用する摩擦抵抗よりも
大きい場合には、フリクションピン9はハウジング6に
対しては固定され、回転子7に対しては相対回転可能で
ある。したがって、フリクションピン9と回転子7の摩
擦孔7bとの間に、ハウジング6と回転子7との間の相
対回転を阻止しようとする摩擦抵抗が作用する。逆の場
合には、フリクションピン9が回転子7に固定され、摩
擦孔6cとの間にハウジング6と回転子7の相対回転を
阻止しようとする摩擦抵抗が作用する。
【0030】ここで、本発明においては、フリクション
ピン9と摩擦孔6c,7bとの間に作用する摩擦抵抗及
びコイルスプリング8による便蓋2に対する開方向への
トルクと、便蓋2の自重による閉方向へのトルクとの関
係は、図6に示すように、摩擦トルクとコイルスプリン
グ8によるトルクを合計したときの合計トルクが、便蓋
2の回動位置に関わらず、自重によるトルクより大きく
なるように設定されたものとする。図6において、想像
線で示すように、便蓋2の回動途中において合計トルク
が自重によるトルクより小さくなるようにしてもよい。
いずれの場合においても、便蓋2を小さな力で開閉でき
るよう、合計トルクを自重によるトルクにできるだけ近
い大きさにするのが望ましい。
【0031】なお、図面に示した実施例では、フリクシ
ョンピン9と摩擦孔6c,7bとの間にそれぞれ作用す
る摩擦抵抗が同一に設定されているので、フリクション
ピン9がハウジング6または回転子7のいずれか一方に
固定され、いずれに対して相対回転するかは各開閉機構
毎に異なるが、たとえばフリクションピン9と摩擦孔6
c,7bとの嵌合長さを互いに異なる長さとすることに
より、フリクションピン9が固定されるハウジング6と
回転子7とを特定してもよい。
【0032】以上の構成において、便蓋2を開閉すると
きには、合計トルクと便蓋2の自重によるトルクの差の
分の力だけで便蓋2を回動させることができ、便蓋2を
軽く開閉動作させることができる。
【0033】また、緩衝ユニット5では、粘性流体を用
いないで固体であるコイルスプリング8を利用するの
で、粘性流体の漏れの恐れがなく、したがって緩衝ユニ
ット5の各部を高精度に製造することが不要となる。な
お、この実施例では、パッキン10を回転子7の外周に
取り付けているが、ハウジング6の中に水等が侵入した
としても、緩衝ユニット5の緩衝機能に対する影響は小
さく、したがってOリング10の経時的な摩耗が問題に
なることはない。
【0034】なお、実施例においては、ハウジング6の
中に回転子7を収納するようにしているので、コンパク
トで取扱いやすく、必要に応じての交換も容易である。
しかも、フリクションピン9をコイルスプリング8の内
側に配置しているので、全体を小型化することができ
る。また、便器本体1に緩衝ユニット5を設け、便蓋2
にヒンジ軸を設けているが、これに代えて便器本体1側
にヒンジ軸4を設けて便蓋2側に緩衝ユニット5を備え
るようにしてもよい。
【0035】図7は緩衝ユニット5の別の例を示す要部
の縦断面図である。
【0036】この例は、ハウジング11に組み込んだス
プリング受け12と回転子13との間をコイルスプリン
グ14によってのみ連接し、先の例におけるフリクショ
ンピンがない構成としたものである。回転子13はその
一端側に先の例と同様にヒンジ軸4を差し込んで一体に
回転可能とするための結合孔13aを形成したもので、
その周面の2個所には溝13bを全周に刻んでこれらの
溝13bにハウジング11の内周面との間をシールする
パッキン13cを取り付けている。
【0037】コイルスプリング14は、図4の例で示し
たように、巻線方向の両端に軸線方向に突き出る折曲部
14a,14bを形成したもので、一方の折曲部14b
は回転子13がスプリング受け12に対向する端面に開
けた係合孔13dの中に差し込まれている。一方、スプ
リング受け12には図8の正面図に示すように、複数の
係合孔12aを同心円上に開け、これらの係合孔12a
のいずれかに折曲部14aを差し込めるようにしてい
る。
【0038】このように複数の係合孔12aを設けてお
けば、回転子13の1個の係合孔13dに差し込まれる
折曲部14bに対する折曲部14aの位置関係を変える
ことができる。すなわち、図7の状態では図8に示す係
合孔12a−1の位置に回転子13の係合孔13dが対
応し、コイルスプリング14の折曲部14aは下端の係
合孔12a−2に差し込まれている。ここで、コイルス
プリング14が図4に示すような巻き方向であれば、図
8において係合孔12a−2よりも右側の係合孔12a
に折曲部14aを差し込むと、コイルスプリング14の
捩じりが緩くなる。また、係合孔12a−2よりも左側
の係合孔12aに折曲部14aを位置させれば、コイル
スプリング14の捩じりが強くなる。
【0039】このようにスプリング受け12に複数の係
合孔12aを設けておくことによって、コイルスプリン
グ14の初期負荷を簡単に変更することができる。この
ため、回転子13に対する制動の条件に影響する各部材
の寸法加工精度及び組み立て精度にばらつきがあるよう
な場合でも、コイルスプリング14の初期負荷を調整す
ることで精度の誤差を吸収することができる。また、コ
イルスプリング14の疲労による負荷の減衰について
も、捩じり度を強くするように折曲部14aを差し込む
係合孔12aの位置を選択することによって、制動効果
の低下を防止することができる。
【0040】図7に示した例では、回転子13の周りに
設けたOリング13cがハウジング11の内周面との間
で摩擦を作用させ、この摩擦を利用して便蓋2を閉じる
ときの制動に利用することができる。この場合、パッキ
ン13cはハウジング11の内周面に接触している部分
が回転子13が回転する方向と逆向きに弾性変形する。
すなわち、パッキン13cは回転子13の回転速度にほ
ぼ比例する関係でその弾性変形量が大きくなり、その歪
変形によってハウジング11の内周面に対する摩擦も大
きくなる。したがって、便蓋2が急に閉じられるときに
はパッキン13cによる制動力が強くなり、便蓋2の閉
止速度が遅くなるにつれて制動力も小さくなっていく。
このため、便蓋2がその起立位置から閉じる位置まで回
動する期間を通じて、パッキン13cによる制動が無駄
なく作用することになり、便蓋2の緩やかな閉止が実現
できる。
【0041】また、先に述べたように、コイルスプリン
グ14の初期負荷を変更できるように複数の係合孔12
aをスプリング受け12に設けることによって、パッキ
ン13cの摩耗による制動力の減衰についても、コイル
スプリング14の捩じり負荷の調整によってこの摩耗を
補償することができる。
【0042】図9及び図10はコイルスプリングの初期
負荷を調整するための別の構成を示す例である。
【0043】これらの例においても、ハウジング15の
内部に回転子16とコイルスプリング17を収納し、図
7に示したように回転子16には先の例におけるヒンジ
軸4を差し込む結合孔(図示せず)を右端部側に形成す
るとともに、ハウジング15の内周面に密着して便蓋2
を閉じるときの制動力を作用させるためのOリング(図
示せず)を備えたものである。そして、コイルスプリン
グ17の右端の折曲部は図7の例と同様に回転子16の
係合孔に差し込まれ、左端の折曲部17aは自由端とな
って回転子16の左端部の周面に沿って軸線方向に突き
出ている。
【0044】ハウジング15にはコイルスプリング17
の折曲部17aの位置に対応させてネジ孔15aを設け
これに捩じり負荷を調整するための調整ネジ18を外部
から操作可能にねじ込む。この調整ネジ18は、図示の
ように、その下端をコイルスプリング17の折曲部17
aに突き当たり、上下に移動させることによってコイル
スプリング17の初期負荷を変えることができる。
【0045】すなわち、図9の状態においても、一端が
回転子16側に拘束されているコイルスプリング17に
対して調整ネジ18が折曲部17aを巻線方向に押して
いるので、これによってコイルスプリング17に対して
初期負荷が設定される。そして、図10に示すように調
整ネジ18をハウジング15の中に進ませて折曲部17
aを押し下げるようにすると、コイルスプリング17は
その巻き方向に捩じりを加えられ、これによってコイル
スプリング17の初期負荷を調整することができる。
【0046】図11は緩衝ユニットの更に別の例を示す
要部の縦断面図である。
【0047】図において、ハウジング21に組み込んだ
回転子22をコイルスプリング23に連接し、回転子2
2の外周面にはハウジング21の内周面に密着するOリ
ング24を取り付けている。このOリング24は先の例
とは異なって、ほぼT字状の断面形状を持たせたものと
し、ハウジング21の内周面に対する摺動抵抗を小さく
したものである。なお、コイルスプリング23のハウジ
ング21への組み込み構造及び回転子22に対する連接
構造は図2及び図4に示したものとほぼ同様である。
【0048】回転子22の軸線方向の一端にはコネクタ
ロッド25を同軸上に結合し、このコネクタロッド25
をハウジング21の外側まで突き出し、その先端にはナ
ット25aを螺合する。コネクタロッド25が突き出し
ている側のハウジング21の端面には環状のシュー26
を回転できないように固定し、更にコネクタロッド25
にはこのシュー26に重合する環状のフリクションプレ
ート27を外挿する。そして、コネクタロッド25には
ナット25aとフリクションプレート27との間に皿バ
ネ28を介装する。
【0049】このような構成では、ナット25aの回転
によってこの皿バネ28に対する圧縮力を調整すること
により、シュー26とフリクションプレート27との間
の摩擦力を調整することができ、図9及び図10の例と
同様に回転子22の回動に対する初期負荷の設定が可能
である。
【0050】また、この実施例では、回転子22に対す
る負荷はコイルスプリング23の捩じり方向の復元力及
びシュー26とフリクションプレート27との間での摩
擦力の合成を利用することによって、図2に示した例と
同様に便蓋2及び便座3が閉じるときの緩閉止が可能で
ある。
【0051】なお、以上の例においては便蓋2の緩衝ユ
ニット5について説明したが、便座3に連接するヒンジ
軸を結合する左配置の緩衝ユニットも全く同様の構成で
同等の機能を果たすことができる。
【0052】
【発明の効果】本発明では、従来のように抵抗を与える
ための粘性流体に代えて弾性体と摩擦体とによって便座
や便蓋に対する緩閉止のための抵抗を作用させることが
できるので、シールのための構成が不要となる。このた
め、各部材の加工精度や組立て精度を緩くすることがで
き、加工及び組み立ての簡略化及びこれに基づく製作費
用の低減が可能となる。
【0053】また、蓋体が閉止した後に弾性体によって
蓋体を開く方向に付勢していても、摩擦体による抵抗が
作用して便器本体からの浮き上がりもなくなるので、蓋
体の緩閉止だけでなく便器本体の上にきっちりと被さっ
た状態で閉止させることができる。そして、蓋体を開く
ときには、摩擦体による抵抗が作用するが、弾性体が蓋
体を開く方向に付勢しているので、蓋体を持ち上げる負
荷は小さいままとなり、軽快に蓋体を開くことができ
る。さらに、摩擦体としてOリングを使用した場合は、
粘性流体に近い緩閉止フィーリングを得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の緩衝機構を備えた便座と便蓋の要部
を示す分解斜視図である。
【図2】 緩衝ユニットと便座及び便蓋との連接構造を
示す要部の切欠正面図である。
【図3】 ヒンジ軸に対する便蓋と便座の連接構造であ
って、同図の(a)及び(b)は図2のA−A線及びB
−B線矢視による縦断面図である。
【図4】 緩衝ユニットの部材を分解して示す斜視図で
ある。
【図5】 緩衝ユニットをヒンジ軸の差込み方向から見
た正面図である。
【図6】 便蓋の回動角度と便蓋に作用するトルクとの
関係を示す特性図である。
【図7】 回転子に設けるパッキンの摩擦力を制動に利
用する例を示す緩衝ユニットの要部縦断面図である。
【図8】 コイルスプリングの初期負荷を変更できるよ
うに複数の係合孔を開けたスプリング受けの正面図であ
る。
【図9】 コイルスプリングの初期負荷の調整機構の別
の例であって、同図の(a)はハウジングを軸線方向に
見た縦断面図,同図の(b)は軸線を含む面で切った要
部の縦断面図である。
【図10】 図9の例において調整ネジによりコイルス
プリングの初期負荷を大きく設定した状態を示す断面図
である。
【図11】 回転子に対する摩擦抵抗をこの回転子に連
接したフリクションプレートとハウジング側のシューと
の間で作用させるようにした緩衝ユニットの例を示す要
部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 :便器本体 2 :便蓋 2b:連接孔 3 :便座 3b:連接孔 4 :ヒンジ軸 5 :緩衝ユニット 6 :ハウジング 6c:摩擦孔 6d:係合孔 7 :回転子 7a:結合孔 7b:摩擦孔 7d:係合孔 8 :コイルスプリング 9 :フリクションピン 9a:スリット 10 :パッキン 11 :ハウジング 12 :スプリング受け 12a:係合孔 13 :回転子 13a:結合孔 13c:パッキン 13d:係合孔 14 :コイルスプリング 15 :ハウジング 16 :回転子 17 :コイルスプリング 17a:折曲部 18 :調整ネジ 21 :ハウジング 22 :回転子 23 :コイルスプリング 24 :Oリング 25 :コネクタロッド 25a:ナット 26 :シュー 27 :フリクションプレート 28 :皿バネ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茅野 雅弘 北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東 陶機器株式会社内 (72)発明者 谷田 雅敏 北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東 陶機器株式会社内 (72)発明者 田中 真吾 北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東 陶機器株式会社内 (72)発明者 入江 隆之 東京都千代田区東神田1丁目8番11号 ス ガツネ工業株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 便器本体に被せる便座及び便蓋等の蓋体
    を緩やかに閉じるための緩衝ユニットを備える緩閉止機
    構であって、緩衝ユニットは、便器本体に対して蓋体を
    開閉可能に連接するヒンジ軸を受けて一体に回転可能な
    回転子と、この回転子を蓋体が起立する方向に付勢する
    弾性体と、回転子の回転に抵抗を作用させる摩擦体とを
    備えてなる便器における蓋体の緩閉止機構。
  2. 【請求項2】 蓋体が起立した姿勢から閉じる間のヒン
    ジ軸に作用するトルクの変化特性に対して、弾性体と摩
    擦体による蓋体に対する起立方向への付勢トルクの変化
    特性をほぼ等しいか少し大としてなる請求項1記載の便
    器における蓋体の緩閉止機構。
  3. 【請求項3】 緩衝ユニットは、便器本体側に固定配置
    されるハウジングを備えるとともにこのハウジングの中
    に回転子を回転可能に収納し、このハウジングと回転子
    との間にそれぞれ弾性体と摩擦体とを介在させてなる請
    求項1または2記載の便器における蓋体の緩閉止機構。
  4. 【請求項4】 弾性体は、回転子の軸線とほぼ同軸上に
    配置されたコイルスプリングであって、その巻線方向の
    両端を回転子の回転方向と交叉する向きとしてハウジン
    グと回転子とに連接してなる請求項3記載の便器におけ
    る蓋体の緩閉止機構。
  5. 【請求項5】 コイルスプリングの巻線方向の両端に軸
    線方向に突き出した折曲部とし、回転子またはハウジン
    グの少なくとも一方には折曲部を差し込み可能であって
    且つその位置をコイルスプリングの軸線周りの任意の位
    置に変更可能な複数の係合孔を備えてなる請求項4記載
    の便器における蓋体の緩閉止機構。
  6. 【請求項6】 ハウジング側と連接されるコイルスプリ
    ングの折曲部に対して巻線方向にこの折曲部を押圧する
    調整ネジをハウジングの外部から操作可能に備えてなる
    請求項5記載の便器における蓋体の緩閉止機構。
  7. 【請求項7】 摩擦体は、回転子とハウジングとにそれ
    ぞれ同軸上に設けた摩擦孔に嵌合されその半径方向の断
    面を拡縮変形可能としたフリクションピンとしてなる請
    求項3から6のいずれかに記載の便器における蓋体の緩
    閉止機構。
  8. 【請求項8】 フリクションピンは、少なくとも摩擦孔
    に嵌入される部分の周面の一部に半径方向の拡縮変形を
    可能とするスリットを切開してなる請求項7記載の便器
    における蓋体の緩閉止機構。
  9. 【請求項9】 摩擦体は、回転子とハウジングとの間に
    介装されこれらの外周面及び内周面にそれぞれ密着する
    弾性変形可能なパッキンとしてなる請求項3から8のい
    ずれかに記載の便器における蓋体の緩閉止機構。
  10. 【請求項10】 弾性体は、回転子の軸線とほぼ同軸上
    に配置されたコイルスプリングであって、その巻線方向
    の両端を回転子の回転方向と交叉する向きとしてハウジ
    ングと回転子とに連接し、摩擦体として、回転子に対し
    て軸線方向に弾性付勢されたフリクションプレートと、
    このフリクションプレートと重合する位置にハウジング
    に固定したシューとを備えてなる請求項3記載の便器に
    おける蓋体の緩閉止機構。
JP33393796A 1996-12-13 1996-12-13 便器における蓋体の緩閉止機構 Pending JPH10169303A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007090998A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Meiwa Kogyo Kk 車両用収納装置
CN107049120A (zh) * 2017-02-28 2017-08-18 乐清市中兴阻尼电子有限公司 一种新型马桶盖板阻尼器
CN108175327A (zh) * 2018-02-01 2018-06-19 厦门瑞尔特卫浴科技股份有限公司 一种马桶盖板的翻转装置

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