JPH10168022A - ケトンの製造法 - Google Patents

ケトンの製造法

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JPH10168022A
JPH10168022A JP27476397A JP27476397A JPH10168022A JP H10168022 A JPH10168022 A JP H10168022A JP 27476397 A JP27476397 A JP 27476397A JP 27476397 A JP27476397 A JP 27476397A JP H10168022 A JPH10168022 A JP H10168022A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】2級アルコールから効率よく、ケトンを得る。 【解決手段】2級アルコールを水溶媒中で次亜ハロゲン
酸アルカリ金属塩または次亜ハロゲン酸アルカリ土類金
属塩と反応させて、ケトンを製造するに際し、原料2級
アルコールの20℃ における分配比が水に対して1以
上であり、かつ40℃における水への溶解度が5重量%
以下である脂肪族化合物と、2級アルコールに対して
0.1〜2当量の鉱酸を共存させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬や農薬の原料
として重要な脂環式ケトン、特に光学活性脂環式ケトン
の製造法に関するものであり、更に詳しくは脂環式アル
コールを水溶媒中にて次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩な
どと反応させて脂環式ケトンを製造するに当たり、特定
の物性を持つ有機化合物と、特定量の鉱酸を共存させる
事により、高収率で脂環式ケトンを得る方法である。更
に、光学活性脂環式アルコールを原料とした場合には、
ラセミ化を併発する事なく光学活性脂環式ケトンを製造
する方法である。
【0002】
【従来の技術】従来から脂環式アルコールを次亜ハロゲ
ン酸で酸化して脂環式ケトンを得る方法は種々知られて
いる。例えば、(1)4級アンモニウム塩を共存下、シク
ロヘプタノールと次亜塩素酸ナトリウムを反応させる方
法(Tetrahedron Letter (1976),20,1641)、(2)氷酢
酸溶媒中、光学活性メントールを次亜塩素酸ナトリウム
と反応させて光学活性メントンを得る方法(J.Org.Che
m.,(1980),45,2030)、(3)水と水混和性溶媒中で、シク
ロアルカノールと次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩又は次
亜ハロゲン酸アルカリ土類金属塩と、pH6以下で反応
させて脂環式アルコールを得る方法(特開平4−211
629号公報)(4)光学活性2ーアルコキシシクロヘキ
サノールを次亜ハロゲン酸、或いは次亜ハロゲン酸の発
生源で酸化させて光学活性2ーアルコキシシクロアルカ
ノンを得る方法(GB 2283971)等が知られている。
【0003】しかしながら、(1)の方法は4級アンモニ
ウム塩を加えるためにコストが高くなる事、及び単離操
作が煩雑になる事、等の欠点がある。(2)の方法は光学
純度を低下させる事なく光学活性メントンを得る方法と
して優れているが、氷酢酸を溶媒として使用する為に、
生成物の単離操作が煩雑になる欠点がある。(3)の方法
は水と混和する溶媒中で反応する為に、生成物の単離操
作が煩雑となる欠点がある。また、(4)の方法の最も好
ましい実施態様であるケトン共存下の反応では、添加し
たケトンのαー位がクロル化された副生物が生成する。
例えば、アセトンやメチルエチルケトン等をを使用した
場合には、催涙性があり、人体に毒性の高いαーハロケ
トンが副生する為に生成物の純度が悪化する上に、工業
生産した場合には作業員の健康上に問題が発生する恐れ
がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は脂環式アルコ
ールを次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩または次亜ハロゲ
ン酸アルカリ土類金属塩と反応させるに当たり、短時間
で、高収率で、しかも人体に有害な副生物を発生させる
ことなく脂環式ケトンを製造するする工業的方法を提供
する事である。更に、光学活性脂環式アルコールを使用
した場合には、ラセミ化を併発しない光学活性脂環式ケ
トンの工業的製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らはケトンの製
造法を鋭意検討した結果、驚くべき事に2級アルコール
と次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩または次亜ハロゲン酸
アルカリ土類金属塩を水溶媒中で反応させる際に、特定
の物性を持つ脂肪族化合物と特定量の鉱酸を共存させる
事で、短時間に、高収率で、操作性が良好で、且つ人体
に有害な副生物を発生させる事なくケトンを製造でき、
特に、脂環式アルコールから脂環式ケトンを製造する際
に有効であること、更に光学活性脂環式アルコールを出
発原料に使用した場合には、ラセミ化を抑制して光学活
性脂環式ケトンを製造できることを見出し本発明を完成
させた。
【0006】すなわち、本発明は2級アルコールと次亜
ハロゲン酸アルカリ金属塩または次亜ハロゲン酸アルカ
リ土類金属塩を水溶媒中で反応させてケトンを製造する
に際し、特定の物性を持つ脂肪族化合物と特定量の鉱酸
を共存させるケトンの製造法である。ここで特定の物性
を持つ脂肪族化合物とは、原料2級アルコールの20℃
に於ける水に対する分配比が1以上であり、かつ40℃
に於ける水への溶解度が5重量%以下である脂肪族化合
物を意味する。また、ここで共存させる鉱酸の使用量
は、脂環式アルコールに対して0.1〜2当量であるこ
とを意味する。更に、光学活性脂環式アルコールを出発
原料とした場合には、光学活性脂環式ケトンの製造法で
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】原料に使用する2級アルコールと
しては、脂環式アルコールが好ましく、シクロペンタノ
ール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シク
ロオクタノール等のシクロアルカノール類、2ーメチル
シクロヘキサノール、3ーメチルシクロオクタノール等
のアルキル置換シクロアルカノール類、2ーメトキシシ
クロヘキサノール等のアルコキシシクロアルカノール類
がさらに好ましく使用できる。また、光学活性脂環式ア
ルコールとは光学活性2ーメチルシクロヘキサノール、
光学活性3ーメチルシクロオクタノール等の光学活性ア
ルキル置換シクロアルカノール類、光学活性2ーメトキ
シシクロヘキサノール等の光学活性アルコキシシクロア
ルカノール類が好ましく使用できる。
【0008】もう一方の原料である次亜ハロゲン酸アル
カリ金属塩または次亜ハロゲン酸アルカリ土類金属塩は
次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜塩
素酸カリウム、次亜臭素酸カリウム、次亜塩素酸カルシ
ウム、または次亜臭素酸カルシウムなどが挙げられる
が、好ましくは次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナト
リウム、次亜塩素酸カリウム、次亜臭素酸カリウムであ
り、特に好ましくは次亜塩素酸ナトリウムである。次亜
塩素酸ナトリウムは通常市販されている水溶液を使用す
れば良い。何れの濃度でも使用できるが、通常市販され
ている5〜14%水溶液が好ましく使用できる。5%以
下の希薄水溶液では反応液濃度が低くなるために、製造
コストが増加するので好ましくない。また、次亜ハロゲ
ン酸ナトリウム水溶液中の食塩含有量が多くても反応に
支障はないが、遊離のアルカリ、例えば水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウムの混入量は1%未満が好ましい。遊
離アルカリが多い場合には事前に遊離アルカリを中和す
るか、或いは酸化反応液に加える鉱酸量を調節する必要
がある。
【0009】次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩の使用量は
有効塩素量から求めるが、反応系の組成、脂環式アルコ
ールの種類、反応温度等により影響される。通常は原料
の脂環式アルコールの1〜2当量程度であり、好ましく
は1〜1.3当量である。1当量より少ないと反応が未
熟となり、また2当量より多いと原料費が高くなるばか
りでなく、過剰の次亜ハロゲン酸により副反応が生じた
り、反応の後処理工程で次亜ハロゲン酸の分解操作をし
なくてはならず、有利とは云えない。尚、本発明の方法
で反応が良好に進行している場合には、次亜ハロゲン酸
使用量は1〜1.15当量である。
【0010】添加する特定の物性を持つ脂肪族化合物と
しては、20℃における2級アルコールの分配比が水に
対して1以上であり、かつ40℃に於ける水への溶解度
が5重量%以下である有機化合物であれば何れでも良
い。ここで分配比とは、脂肪族化合物と同重量の水に2
級アルコールを加えて10分間攪拌してから静置分液し
て両層の濃度を分析した有機層と水層それぞれの2級ア
ルコールの濃度の比であり、有機溶媒中の濃度が水中の
濃度より高い場合を分配比が1以上であると定義する。
好ましい脂肪族化合物の種類は原料の2級アルコールに
よって多少異なるが、例えばジクロロメタン、クロロホ
ルム、テトラクロロメタン、モノクロロエタン、1,1
−ジクロロエタン、1、2ージクロロエタン、1、1、
1ートリクロロエタン等のアルキルクロライド類やジエ
チルエーテル等のエーテル類が好ましい。特に好ましく
はジクロロメタン、クロロホルム、モノクロロエタン、
1,1−ジクロロエタン、1、2ージクロロエタンであ
る。脂肪族化合物の使用量は脂環式アルコールの種類に
もよるが、通常は2級アルコールの0.1〜3重量倍、
好ましく0.2〜同重量である。添加量が0.1重量倍
以下では効果が発揮されず反応速度が遅くなり、副生物
も増加する。また、3重量倍以上でも反応速度は遅くな
るので好ましくない。
【0011】添加する鉱酸は、硫酸、塩酸、燐酸が好ま
しい。使用量は原料の2級アルコールの0.1〜2当量
であり、好ましくは0.2〜0.8当量である。0.1
当量より少なくなると、添加する次亜ハロゲン酸アルカ
リ金属塩により反応液のpHが3以上になり、反応速度
が遅くなるばかりでなく、副生物も増加する。また2当
量以上になると次亜ハロゲン酸の分解を促進し、2級ア
ルコールの転化率を100%にする為に必要な次亜ハロ
ゲン酸アルカリ金属塩の量が多くなり、コストアップと
なり好ましくない。但し、使用した次亜ハロゲン酸アル
カリ金属塩水溶液中に遊離のアルカリが多く含まれる場
合には、あらかじめ混入しているアルカリ量に見合った
酸を反応初期に添加するか、或いは反応途中で逐次添加
する。ここで、酸の当量とは脂環式アルコール1モルに
対して硫酸を使用する場合は1モルが2当量、塩酸であ
れば1モルが1当量、また燐酸であれば1モルが3当量
を意味する。ここで使用する鉱酸は水溶液で使用しても
よい。濃度は2〜25重量%水溶液が好ましく、さらに
好ましくは5〜15重量%である。2%以下では反応液
濃度が低下し、生産効率が悪くなり、また25%以上で
は反応初期の反応液が少なくて操作性が悪く、反応温度
の制御が難しくなり、副生物が増加するので好ましくな
い。
【0012】反応様式は、2級アルコール、有機化合
物、及び鉱酸を一括して仕込み、攪拌しながら次亜ハロ
ゲン酸アルカリ金属塩、或いは次亜ハロゲン酸アルカリ
土類金属塩の水溶液を滴下すればよい。また、鉱酸水溶
液の初期仕込み濃度が高い場合や、添加する有機化合物
量が少ない場合には、2級アルコールや鉱酸水溶液を反
応途中で逐次添加して反応する事もできる。
【0013】反応温度は反応液中で生成する次亜ハロゲ
ン酸の安定性から0〜30℃、好ましくは15〜25℃
である。0℃より低いと酸化反応が遅くなり、30℃
より高いと次亜ハロゲン酸が分解する。特に、光学活性
脂環式アルコールを使用する場合には、ラセミ化反応を
抑制する為にも30℃以下で反応させる事が好ましい。
添加された次亜ハロゲン酸アルカリ金属塩は鉱酸と接触
して即座に次亜ハロゲン酸となり、次いで脂環式アルコ
ールと接触すると瞬時に反応する。従って、反応時間は
実質的には次亜ハロゲン酸アルカリ水溶液の添加時間で
あり、熟成時間は30分程度で十分である。
【0014】反応が終了した事を確認した後、過剰の次
亜ハロゲン酸を分解する。例えば、ヨウ化カリウム澱粉
試験紙が青紫色に変色しなくなるまで亜硫酸水素ナトリ
ウムまたは亜硫酸ナトリウムなどを添加すればよい。
【0015】かくして得られたケトンは通常の方法で反
応液から単離する。例えば、反応混合物から有機溶媒で
抽出した後、溶媒を除去してから蒸留・精製する方法、
或いは抽出液をカラムクロマトグラフィーで精製・単離
する方法等が挙げられる。
【0016】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、
脂環式ケトンの化学純度はThermon3000を液層としたG
C分析で、光学純度はキラルカラムを使用したGC分析
で、それぞれ求めた。
【0017】実施例1 温度計、滴下ロート、コンデンサー、攪拌機を装着した
500mlの4つ口フラスコに、(RS)ー2ーメトキシ
シクロヘキサノール13.0g(0.1モル)、ジクロ
ロメタン7g、10%硫酸水溶液30g(30ミリモ
ル)を仕込み、20〜25℃にて攪拌した。有効塩素1
2.1%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液60gを約1時間
で添加し、更に30分間攪拌を継続した。反応液をGC
で分析し、(RS)−2−メトキシシクロヘキサノール
のピークが消滅したのを確認した後、攪拌しながら亜硫
酸水素ナトリウム2gを添加し、ヨウ化カリウム澱粉試
験紙が青紫色に変色しない事を確認した。ジクロロメタ
ン50gで2回抽出し、ジクロロメタン層を合わせ、3
0gの飽和食塩水で洗浄した後、濃縮・蒸留して(R
S)−2−メトキシシクロヘキサノン11.5g(90
ミリモル)を得た。化学純度は99.8%であった。こ
こで使用したジクロロメタンは20℃ に於ける水との
分配比は1以上であり、40℃ の水への溶解度は5w
t%以下である。
【0018】実施例2 実施例1と同様の装置に(RS)−2−メチルシクロヘ
キサノール11.4g(0.1モル)、1,2−ジクロ
ロエタン7g、10%硫酸水溶液20g(20ミリモ
ル)を仕込み、20〜25℃ にて攪拌した。有効塩素
5.6%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液145gを約3
時間で添加し、更に30分間攪拌を継続した。反応液を
GCで分析した結果、(RS)−2ーメチルシクロヘキ
サンが95%生成していた。ここで使用した1,2−ジ
クロロエタンは20℃ に於ける水との分配比は1以上
であり、40℃ の水への溶解度は5wt%以下であ
る。
【0019】実施例3 実施例1と同様の装置に(RS)−4−メチルシクロヘ
キサノール11.4g(0.1モル)、クロロホルム1
0g、10%硫酸水溶液20g(20ミリモル)を仕込
み、20〜25℃ にて攪拌した。有効塩素5.6%の
次亜塩素酸ナトリウム水溶液145gを約3時間で添加
し、更に30分間攪拌を継続した。反応液をGCで分析
した結果、(RS)−4ーメチルシクロヘキサノンが9
4%生成していた。ここで使用したクロロホルムは20
℃ に於ける水との分配比は1以上であり、40℃ の水
への溶解度は5wt%以下である。
【0020】実施例4 光学純度99%eeの(S)−2−メトキシシクロヘキ
サノール13.0g(0.1モル)を使用して実施例1
と同様に反応し、(S)−2−メトキシシクロヘキサノ
ン11.2g(88ミリモル)得た。化学純度は99.
8%、光学純度は99%eeであり、反応でラセミ化は
併発していなかった。
【0021】実施例5 実施例1と同様の装置に、(RS)−2−メトキシシク
ロヘキサノール3.9g(30ミリモル)、10%塩酸
7g(19ミリモル)、ジエチルエーテル2gを仕込
み、12.3%次亜塩素酸水溶液を23g滴下し、実施
例1と同様にして反応させた。反応液をGCで分析した
結果、(RS)−2−メトキシシクロヘキサノンが95
%生成していた。ここで使用したジエチルエーテルは2
0℃ に於ける水との分配比は1以上であり、40℃ の
水への溶解度は5wt%以下である。
【0022】比較例1 10%硫酸を添加せず、その他は実施例1と同様にして
反応させた。反応液をGCで分析すると(RS)−2−
メトキシシクロヘキサノールは1.7%生成していた。
【0023】比較例2〜6 実施例1と同様の装置に(RS)−2−メトキシシクロ
ヘキサノール11.4g(0.1モル)、表1に示した
化合物、及び10%硫酸水溶液40g(41ミリモル)
を仕込み、20〜25℃ にて攪拌した。有効塩素1
2.5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液65gを約2時
間で添加し、更に30分間攪拌を継続した。結果を表1
に示した。ここで添加した有機化合物のメタノールとア
セトニトリルは40℃ での水に対する溶解度は5wt
%以上であり、またシクロヘキサンと水に対する20℃
での(RS)−2−メトキシシクロヘキサノールの分配
は水に大きく偏っており、シクロヘキサンへの分配比は
1以下である。
【0024】
【表1】 何れも(RS)−2−メトキシシクロヘキサノールの転
化率が低く、(RS)−2−メトキシシクロヘキサノン
の選択率の低かった。
【0025】比較例7 実施例1と同様の装置に(RS)−2−メトキシシクロ
ヘキサノール11.4g(0.1モル)、メチルエチル
ケトン7g、及び10%硫酸水溶液25g(26ミリモ
ル)を仕込み、20〜25℃ にて攪拌した。有効塩素
12.5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液61gを約2
時間で添加し、更に30分間攪拌を継続した。GCで分
析した結果、(RS)−2ーメトキシシクロヘキサノー
ルの転化率は98%であり、(RS)−2−メトキシシ
クロヘキサノンが93%生成していた。次いで実施例1
と同様にしてクロロホルムで(RS)−2−メトキシシ
クロヘキサノンを抽出したが、メチルエチルケトンがク
ロル化された催涙性の強い化合物が副生物しており、後
処理の操作性に支障があった。ここで使用したメチルエ
チルケトンの40℃ に於ける水への溶解度は5wt%
以上である。
【0026】比較例8 メチルエチルケトンに替えてトルエンを使用し、比較例
6と同様に反応させた。GC分析した結果、(RS)−
2−メトキシシクロヘキサノンの転化率は45%、(R
S)−2−メトキシシクロヘキサノールの収率は42%
と低かった。更に、トルエンのクロル化物が副生する為
に、(RS)−2−メトキシシクロヘキサノールの精製
には高段数の精留塔が必要であった。ここで使用したト
ルエンと水に対する20℃ での(RS)−2−メトキシ
シクロヘキサノールの分配は水に大きく偏っており、ト
ルエンへの分配比は1以下である。
【0027】比較例9 25%硫酸を40g添加し、その他は実施例1と同様に
して反応させた。反応液をGCで分析すると(RS)−
2−メトキシシクロヘキサノールが24%残存してい
た。
【0028】
【発明の効果】
1.本発明によれば、2級アルコールを次亜ハロゲン酸
アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩で酸化する際
に、有機化合物と鉱酸を共存させる事により、高収率
で、容易にケトンを製造することができる。ここで、有
機化合物とは水と混合せず、且つ原料2級アルコールの
分配比が水に対して1以上である化合物を意味する。
【0029】2.更に光学活性脂環式アルコールを原料
に使用すれば、ラセミ化を併発する事なく光学活性脂環
式ケトンを製造することができる。
【0030】3.原料の2級アルコールと生成物である
ケトンは近接した沸点を持つ化合物である事が多いが、
本発明の方法では原料の2級アルコールの転化率を10
0%にする事が容易であり、従って高純度のケトンを容
易に得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 49/517 C07C 49/517 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07M 7:00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2級アルコールを水溶媒中で次亜ハロゲン
    酸アルカリ金属塩または次亜ハロゲン酸アルカリ土類金
    属塩と反応させて、ケトンを製造するに際し、原料の2
    級アルコールの20℃ における分配比が水に対して1
    以上であり、かつ40℃における水への溶解度が5重量
    %以下である脂肪族化合物と、2級アルコールに対して
    0.1〜2当量の鉱酸を共存させることを特徴とするケ
    トンの製造法。
  2. 【請求項2】2級アルコールが下記一般式(I) 【化1】 (ここで、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素
    数1〜4のアルコキシル基を表し、置換基の結合位置は
    水酸基の結合位置と異なる炭素原子である。また、nは
    0〜3を表す)で示される脂環式アルコールであり、ケ
    トンが、下記一般式(II) 【化2】 (ここで、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素
    数1〜4のアルコキシル基を表す。また、nは0〜3を
    表す)で示される脂環式ケトンであることを特徴とする
    請求項1記載のケトンの製造法。
  3. 【請求項3】脂環式アルコールが光学活性脂環式アルコ
    ールであり、脂環式ケトンが光学活性脂環式ケトンであ
    ることを特徴とする請求項2に記載のケトンの製造法。
  4. 【請求項4】脂環式アルコールが下記一般式(III) 【化3】 (ここで、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素
    数1〜4のアルコキシル基を表し、置換基の結合位置は
    水酸基の結合位置と異なる炭素原子である。)で示され
    るシクロヘキサノール誘導体であり、脂環式ケトンが下
    記一般式(IV) 【化4】 (ここで、Rは水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素
    数1〜4のアルコキシル基を表す。)で示されるシクロ
    ヘキサノン誘導体であることを特徴とする請求項2また
    は3記載のケトンの製造法。
  5. 【請求項5】脂環式アルコールが2ーメトキシシクロヘ
    キサノールであり、脂環式ケトンが2−メトキシシクロ
    ヘキサノンであることを特徴とする請求項4記載のケト
    ンの製造法。
  6. 【請求項6】共存させる脂肪族化合物が脂肪族ハロゲン
    化合物であることを特徴とする請求項1から5のいずれ
    か1項記載のケトンの製造法。
  7. 【請求項7】脂肪族ハロゲン化合物がアルキルクロライ
    ドまたはアルキルブロマイドであることを特徴とする請
    求項6記載のケトンの製造法。
  8. 【請求項8】アルキルクロライドがジクロロメタン、ク
    ロロホルム、テトラクロロメタン、モノクロロエタン、
    1、1−ジクロロエタン、1、2−ジクロロエタンまた
    は1、1、1−トリクロロエタンであることを特徴とす
    る請求項7記載のケトンの製造法。
  9. 【請求項9】鉱酸が硫酸、塩酸または燐酸であることを
    特徴とする請求項1から8のいずれか1項記載のケトン
    の製造法。
JP27476397A 1996-10-07 1997-10-07 2−メトキシシクロヘキサノンの製造法 Expired - Fee Related JP3852083B2 (ja)

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