JPH10168000A - クラスレート生成媒体およびそれを含む熱エネルギー貯蔵装置 - Google Patents

クラスレート生成媒体およびそれを含む熱エネルギー貯蔵装置

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JPH10168000A
JPH10168000A JP8314755A JP31475596A JPH10168000A JP H10168000 A JPH10168000 A JP H10168000A JP 8314755 A JP8314755 A JP 8314755A JP 31475596 A JP31475596 A JP 31475596A JP H10168000 A JPH10168000 A JP H10168000A
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clathrate
refrigerant
pressure
temperature
medium
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JP8314755A
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Yuji Yoshida
雄二 吉田
Mitsuharu Matsuo
光晴 松尾
Yoji Akitani
鷹二 秋谷
Masaru Owa
優 大輪
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オゾン層に対する有害な影響が少ないとされる
HFC系の冷媒に関するクラスレートの生成条件が明ら
かでない。 【解決手段】ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子と
してR32および/またはR125を含み、各組合わせ
や重量割合に応じて、臨界分解点である特定温度および
圧力以下であると同時に、R32および/またはR12
5の飽和液圧力線とクラスレート生成限界線で挟まれた
範囲に制御されたクラスレート生成媒体と、それを利用
した熱エネルギー貯蔵装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なクラスレー
ト生成媒体、および該クラスレート生成媒体を含む熱エ
ネルギー貯蔵装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】夏季シーズン中の空調機の使用は、主に
日中、多量のエネルギーを要求するため、オフピークで
ある夜間の電力を利用できる熱エネルギー貯蔵装置が望
まれている。熱エネルギー貯蔵装置は、夜間、オフピー
クの間、冷凍されている作動媒体を含む。水および冷媒
から作られたクラスレート(包接化合物またはハイドレ
ードともいう)は、熱エネルギー貯蔵装置の適当な蓄冷
材や作動媒体として、提案されている。
【0003】クラスレートとは、「原子または分子が結
合してできた三次元構造の内部に適当な大きさの空孔が
あって、その中に他の原子または分子が入り込んで特定
の結晶構造を形成する物質」とされている。ホスト溶液
は、三次元構造の骨格を作る物質であり、一般的には水
が用いられる。ゲスト分子は、骨格の内部を満たし、ク
ラスレートの氷構造を安定化させ、氷生成温度(0℃)
よりもはるかに高い温度での生成を可能とする。クラス
レートの構造は、通常、ゲスト分子の大きさに依存する
が、その生成条件(温度と圧力)や消滅条件(臨界分解
点)は個別のゲスト分子によって異なる。
【0004】例えばゲスト分子としては、米国特許4,
540,501号明細書は、CFC冷媒やHCFC冷媒
の使用を開示している。しかしながら近年の冷凍サイク
ル装置における作動媒体は、オゾン層に対する有害な影
響があるとされる従来のCFC冷媒やHCFC冷媒か
ら、代替冷媒とされるHFC系の単一冷媒や混合冷媒に
移行されつつある。それに伴い、クラスレートのゲスト
分子としては、オゾン層に対する脅威がないHFC冷媒
の使用が望ましいものとなる。
【0005】これに対して、WO特許93/04139
号明細書は、R32(ジフルオロメタン、CH2F2、沸点
−51.66℃)、R125(ペンタフルオロエタン、
CF3-CHF2、沸点−48.14℃)、R134a(1,
1,1,2−テトラフルオロエタン、CF3-CH2F、沸点−
26.07℃)等のHFC冷媒の使用を開示している
が、水およびR32、R125、R134a等の各単一
冷媒や混合冷媒から作られるクラスレートの生成条件を
明らかにしていない。
【0006】我々の知る所では、水とR134aから作
られるクラスレートについては、M.Oowa et al.:"Form
ulation of CFC Alternative R134a Gas Hydrate", Pro
c.25th IECEC, Vol.4, 269 (1990)において、臨界分解
点が温度10.05℃、圧力0.415MPaであるこ
とや、生成条件(温度と圧力)が開示されている。また
水とR32から作られるクラスレートについては、Feli
x Franks:"Water - AComprehensive Treatise", Plenu
m Press (1973)の第123頁の表1において、臨界分解
温度が17.6℃であることのみが開示され、臨界分解
圧力や生成条件(温度と圧力)は開示されていない。一
方水とR125から作られるクラスレートについては、
開示された例は見当たらない。ましてR32/R125
混合冷媒や、これにR134aを加えたR32/R12
5/R134a混合冷媒の生成条件や消滅条件を開示し
た例も見当たらない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ホスト溶液
として水を含み、ゲスト分子として、R32、R125
の各単一冷媒、R32/R125からなる混合冷媒、R
32/R125/R134aからなる混合冷媒を含む新
規なクラスレートの生成条件(温度と圧力)と消滅条件
(臨界分解点)を明らかにするものである。
【0008】また、水および上記HFC冷媒を含むクラ
スレート生成媒体を含む熱エネルギー貯蔵装置や、貯蔵
熱エネルギーを転移するための方法をも開示する。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の新規なクラスレート生成媒体は、ホスト溶
液として水を含み、ゲスト分子としてR32および/ま
たはR125を含み、各組合わせや重量割合に応じて、
臨界分解点である特定温度および圧力以下であると同時
に、R32および/またはR125の飽和液圧力線とク
ラスレート生成限界線で挟まれた範囲に制御することを
特徴とするものである。
【0010】ここでゲスト分子としては、R32および
/またはR125を含み、これにR134aを加えた混
合冷媒でもよい。R32、R125、R134aの沸点
はいずれも0℃以下であり、水とこれらHFC冷媒の各
単一冷媒や混合冷媒で生成されるクラスレート(0℃以
上)の蒸気圧は、いずれも大気圧より高くなる。
【0011】具体的には、R125やR134aよりも
高い臨界分解温度をもつR32を含む、R32単一冷
媒、R32/R125混合冷媒、R32/R134a混
合冷媒、R32/R125/R134a混合冷媒をホス
ト分子とする場合には、R32の臨界分解点である温度
を20.21℃以下、圧力を1.455MPa以下であ
ると同時に、R32を含む単一冷媒や混合冷媒の飽和液
圧力線とクラスレート生成限界線で挟まれた範囲に制御
することを特徴とするものである。
【0012】またR32よりも低く、R134aよりも
高い臨界分解温度をもつR125を含む、R125単一
冷媒やR125/R134a混合冷媒をホスト分子とす
る場合には、R125の臨界分解点である温度を10.
87℃以下、圧力を0.939MPa以下であると同時
に、R125を含む単一冷媒や混合冷媒の飽和液圧力線
とクラスレート生成限界線で挟まれた範囲に制御するこ
とを特徴とするものである。
【0013】該クラスレート生成媒体は、クラスレート
生成を助けるCO2、N2等の助ガスもしくは水とゲスト
分子との間の接触を増加させることができる界面活性剤
等の他の化合物が存在していてもよい。また融点を低下
させるためにメタノール、エタノール、食塩、エチレン
グリコール等を添加したり、融点を上昇させるためにテ
トラエチレングリコールジメチルエーテル等を添加して
もよい。
【0014】該クラスレート生成媒体を含む熱エネルギ
ー貯蔵装置は、ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子
としてR32および/またはR125を含み、噴霧ノズ
ルを含む貯蔵タンク兼晶析装置を、圧縮機、凝縮器、絞
り装置等からなる蒸気圧縮冷凍サイクルと、間接または
直接接続し、晶析装置の温度および圧力を、臨界分解点
である特定温度および圧力以下であると同時に、R32
および/またはR125の飽和液圧力線とクラスレート
生成限界線で挟まれた範囲に制御することを特徴とする
ものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明における実施の形態
を、図面を参照して説明する。
【0016】(実施の形態1)冷却された恒温槽内に設
置し、上部に若干の空間を残して水を封入した小さなベ
ッセル内を真空引きした後に、R32を混合し、クラス
レートの生成を確認した。恒温槽の温度をモニターしな
がら上昇させると、水とR32のクラスレートは、温度
20.21℃、圧力1.455MPa(臨界分解点)に
て消滅した。
【0017】図1の○印は、測定されたクラスレート生
成のほぼ限界の測定点であり、測定点の中で圧力の最も
低いR32のクラスレートの測定点は、温度1.24
℃、圧力0.190MPaであった。図1の縦軸はlo
gスケール表示された圧力、横軸は温度であり、このと
きクラスレート生成範囲は2本のほぼ直線で挟まれた斜
線の範囲である。上側の線は、R32の飽和液圧力線
(飽和ガス圧力線とも一致)とほぼ一致し、下側の線
は、一定圧力で最も高温となる測定点を結んだ水とR3
2のクラスレート生成限界線である。斜線の範囲は、一
定圧力においては、R32の飽和温度よりも過熱された
温度に相当する。例えば、ほぼR32の飽和液圧力線上
の最も低い圧力測定点は、圧力0.698MPa(飽和
温度−4.68℃相当)であり、このとき過熱度が約2
0degの範囲までクラスレートが生成しうることにな
る。上限温度である2本の線の交点の臨界分解温度は2
0.21℃であり、0℃よりもはるかに高い温度に相当
する。
【0018】(実施の形態2)同様に、冷却された恒温
槽内に設置し、上部に若干の空間を残して水を封入した
小さなベッセル内を真空引きした後に、R125を混合
し、クラスレートの生成を確認した。恒温槽の温度をモ
ニターしながら上昇させると、水とR125のクラスレ
ートは、温度10.87℃、圧力0.939MPa(臨
界分解点)にて消滅した。
【0019】この水とR125のクラスレートの臨界分
解点は、温度・圧力ともにR32より低く、R134a
より高いものである。測定点の中で圧力の最も低いR1
25のクラスレートの測定点は、温度1.38℃、圧力
0.128MPaであった。この場合も、R125の飽
和液圧力線(飽和ガス圧力線とも一致)と、水とR12
5のクラスレート生成限界線で挟まれた斜線の範囲にお
いて、クラスレートを生成した。
【0020】(実施の形態3)実施の形態1および2に
おいて、水とR32単一冷媒およびR125単一冷媒の
クラスレート生成条件が明かとなったため、次に水とR
32/R125混合冷媒のクラスレート生成をテストし
た。冷却された恒温槽内に設置し、上部に若干の空間を
残して水を封入した小さなベッセル内を真空引きした後
に、R32/R125混合冷媒を混合し、クラスレート
の生成を確認した。R32/R125混合冷媒は、50
/50重量%(R410Aと呼ばれる)のボンベを準備
し、液側からベッセル内に導入した。R32/R125
混合冷媒は、疑似共沸混合冷媒であり、一定温度におけ
る飽和液圧力は飽和ガス圧力よりも若干高くなる。恒温
槽の温度をモニターしながら上昇させると、水と50/
50重量%のR32/R125混合冷媒(R410A)
のクラスレートは、温度19.76℃、圧力1.430
MPa(臨界分解点)にて消滅した。
【0021】この温度・圧力は、50/50重量%のR
32/R125混合冷媒(R410A)の飽和液圧力線
上にほぼ乗る。測定点の中で圧力の最も低い50/50
重量%のR32/R125混合冷媒(R410A)のク
ラスレートの測定点は、温度5.16℃、圧力0.25
5MPaであった。
【0022】(実施の形態4)実施の形態3において、
水とR32/R125混合冷媒のクラスレート生成条件
が明かとなったため、次に水とR32/R125/R1
34a混合冷媒のクラスレート生成をテストした。冷却
された恒温槽内に設置し、上部に若干の空間を残して水
を封入した小さなベッセル内を真空引きした後に、R3
2/R125/R134a混合冷媒を混合し、クラスレ
ートの生成を確認した。R32/R125/R134a
混合冷媒は、23/25/52重量%(R407Cと呼
ばれる)のボンベを準備し、液側からベッセル内に導入
した。R32/R125/R134a混合冷媒は、非共
沸混合冷媒であり、一定温度における飽和液圧力は飽和
ガス圧力よりも高くなる。従ってベッセル中の上部空間
をできるだけ極小として、実験を行った。恒温槽の温度
をモニターしながら上昇させると、水と23/25/5
2重量%のR32/R125/R134a混合冷媒(R
407C)のクラスレートは、温度14.0℃、圧力
0.762MPa(臨界分解点)にて消滅した。
【0023】この温度・圧力は、23/25/52重量
%のR32/R125/R134a混合冷媒(R407
C)の飽和液圧力線上にほぼ乗る。測定点の中で圧力の
最も低い23/25/52重量%のR32/R125/
R134a混合冷媒(R407C)のクラスレートの測
定点は、温度1.30℃、圧力0.821MPaであっ
た。
【0024】図2は、縦軸をlogスケール表示された
圧力、横軸を温度としたときの、水と、R32単一冷
媒、R125単一冷媒、R134a単一冷媒、R32/
R125混合冷媒(R410A)、R32/R125/
R134a混合冷媒(R407C)、のそれぞれのクラ
スレート臨界分解点を表示したものである。
【0025】実施の形態3でテストされた50/50重
量%のR32/R125混合冷媒(R410A)の臨界
分解点は、R32とR125の各臨界分解点を結ぶ直線
上で、R32単一冷媒の臨界分解点に近い位置にある。
従って水と他の任意の重量割合のR32/R125混合
冷媒の臨界分解点も、R32とR125の各臨界分解点
を結ぶ直線上に位置すると考えられ、温度や圧力を制御
するための重量割合を、これらの臨界分解点から予測す
ることが可能となるものである。
【0026】実施の形態4でテストされた23/25/
52重量%のR32/R125/R134a混合冷媒
(R407C)の臨界分解点は、R32とR125とR
134aの各臨界分解点を結ぶ三角形の内部に位置して
いる。また23/25/52重量%のR32/R125
/R134a混合冷媒(R407C)の臨界分解点は、
R134aの臨界分解点と、実施の形態3でテストされ
た50/50重量%のR32/R125混合冷媒(R4
10A)の臨界分解点を結ぶ直線上にほぼ位置してい
る。従って水と他の任意の重量割合のR32/R125
/R134a混合冷媒の臨界分解点も、R32とR12
5とR134aの各臨界分解点を結ぶ三角形の内部に位
置すると考えられ、温度や圧力を制御するための重量割
合を、これらの臨界分解点から予測することが可能とな
るものである。
【0027】従って、R32/R125混合冷媒やR3
2/R125/R134a混合冷媒のクラスレート生成
条件が明かとなったため、クラスレート生成が確認され
たR32とR125の各単一冷媒に、既にクラスレート
生成が確認されているR134aを混合したR32/R
134a混合冷媒とR125/R134a混合冷媒も、
水とクラスレートを生成することは当然のこととなり、
その重量割合に応じた生成条件を予測することが可能と
なるものである。
【0028】(実施の形態5)熱エネルギー貯蔵装置に
用いるための好ましいクラスレート生成装置および該装
置を用いるための方法は、図3に示される。クラスレー
トが生成貯蔵される貯蔵タンク兼晶析装置1は、水で満
たされており、蓄冷槽として用いられる。ゲスト分子と
しては、R32および/またはR125を含む。
【0029】蓄冷運転時においては、夜間の電力等を利
用した間接接続の2次循環ループ8のポンプ9、熱交換
器7によって、水は冷却される。熱は、0℃以上で、ク
ラスレート生成の臨界分解温度に到達するまで除去され
る。R32および/またはR125を含むゲスト分子
は、ゲスト分子チャンバ2内で冷凍コイル4によって、
ゲスト分子溶液が晶析装置1内のホスト溶液である水と
ほぼ同じ温度になるまで冷却される。ゲスト分子溶液
は、ライン5を介してゲスト分子チャンバ2から導出さ
れて、噴霧ノズル6を貫通する。噴霧ノズル6は、超音
波等を利用して、約100ミクロンより小さい直径を有
する粒子として、ゲスト分子を晶析装置1内に導入す
る。ゲスト分子の小滴は、水と混合して、水に近い密度
を有する雪状のフレークに似ている場合、クラスレート
を生成する。
【0030】放冷運転時においては、日中、周囲を取り
巻く領域の負荷10からの熱が、間接接続の2次循環ル
ープ8のポンプ9、熱交換器7を介して熱交換されて、
クラスレートは分解される。クラスレートを生成しない
ゲスト分子(あるいは加熱によるクラスレートの分解の
結果として解放されるゲスト分子)はいずれも、貯蔵タ
ンク1の底部に沈下し、1次循環ループ3を介して、ゲ
スト分子チャンバ2に再循環される。
【0031】(実施の形態6)図4は、別の熱エネルギ
ー貯蔵装置で用いるクラスレート生成過程を示してい
る。この熱エネルギー貯蔵装置は、圧縮機11、凝縮器
12、絞り装置13、噴霧ノズル6を、蒸発器に置き換
えられたクラスレートが生成貯蔵される貯蔵タンク兼晶
析装置1と直接接続し、貯蔵タンク兼晶析装置1のガス
域は整流器14を介して、圧縮機11の吸入ラインに接
続した蒸気圧縮冷凍サイクルで構成されている。圧縮機
11としては、オイルフリー型が望ましい。これはシリ
ンダー(図示せず)の潤滑にオイルを使う圧縮機の場
合、圧縮機11の吐出口から微量ながらオイルが排出さ
れ、貯蔵タンク兼晶析装置1中に溜まって圧縮機11へ
戻せなくなるからである。オイルフリー型圧縮機として
は、小型ではレシプロ型やスクリュー型、大型ではター
ボ型を利用できる。晶析装置1は、液冷媒および水とガ
ス冷媒を含む。冷媒はR32および/またはR125を
含み、冷凍サイクルの冷媒であると同時に、クラスレー
トのゲスト分子として機能する。
【0032】蓄冷運転時においては、晶析装置1内のゲ
スト分子は、圧縮機11により吸引され圧縮された後、
凝縮器12に導かれて凝縮液化する。この凝縮液は絞り
装置13を経由して特定圧力以下まで圧力が下り、噴霧
ノズル6による気化膨張の際に液冷媒が蒸発する。この
際の蒸発潜熱で晶析装置1の熱は除かれ、温度が低下し
て臨界分解温度以下になると、クラスレートが生成され
る。クラスレート生成が完了するとき、晶析装置1はク
ラスレートとガス冷媒と過剰な液冷媒または水のみとな
る。
【0033】ここでR32を含む、R32単一冷媒や、
R32/R125混合冷媒、R32/R134a混合冷
媒、R32/R125/R134a混合冷媒、をゲスト
分子とするときには、R32の臨界分解温度が0℃より
もはるかに高いため、蓄冷運転時の圧縮機11の圧縮エ
ネルギーを低減でき、蓄冷効率を高めることができる。
【0034】放冷運転時においては、貯蔵タンク1と直
接接続され、負荷10とポンプ9を介して結ぶ2次循環
ループ8が、熱エネルギー貯蔵装置に熱を伝えるために
使われる。液冷媒および/または水は、負荷10に循環
され、蒸気または液状態で貯蔵タンク1に帰還し、クラ
スレートは特定された臨界分解温度以上に加温されて分
解される。
【0035】実施の形態6においては、貯蔵タンク兼晶
析装置1を蒸気圧縮冷凍サイクルと直接接続することが
要点であり、貯蔵タンク兼晶析装置1側に配置された噴
霧ノズル6は、2次循環ループ8側に配置してもよい。
この場合は、負荷10から帰還する蒸気または液を、別
の絞り装置(図示せず)を介した噴霧ノズル(図示せ
ず)から貯蔵タンク1内に噴出させるように構成しても
よい。
【0036】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように、
本発明は、ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子とし
て、オゾン層に対する有害な影響があるとされるCFC
冷媒やHCFC冷媒を用いず、オゾン層に対する脅威が
ないHFC冷媒であるR32および/またはR125を
含み、クラスレートの生成条件を特定した新規なクラス
レート生成媒体であり、蓄冷材として利用することがで
きる。
【0037】また本発明は、ホスト溶液として水を含
み、ゲスト分子としてR32および/またはR125を
含む該クラスレート生成媒体を含み、噴霧ノズルを含む
貯蔵タンク兼晶析装置を、蒸気圧縮冷凍サイクルと間接
または直接接続し、晶析装置の温度および圧力を、臨界
分解点である特定温度および圧力以下であると同時に、
R32および/またはR125の飽和液圧力線とクラス
レート生成限界線で挟まれた範囲に制御した熱エネルギ
ー貯蔵装置であり、蓄冷装置として利用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の望ましい実施態様の1つの実施例であ
る水とR32のクラスレート生成条件を示す。
【図2】本発明の望ましい実施態様の1つの実施例であ
る水とR32、R125、R134a、R410A、R
407Cのそれぞれのクラスレート臨界分解点を示す。
【図3】本発明の望ましい実施態様の1つの実施例であ
る熱エネルギー貯蔵装置を示す。
【図4】本発明の望ましい実施態様の別の実施例である
熱エネルギー貯蔵装置を示す。
【符号の説明】
1 貯蔵タンク兼晶析装置 2 ゲスト分子チャンバ 3 1次循環ループ 4 冷凍コイル 5 ライン 6 噴霧ノズル 7 熱交換器 8 2次循環ループ 9 ポンプ 10 負荷 11 圧縮機 12 凝縮器 13 絞り装置 14 整流器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋谷 鷹二 茨城県つくば市東1丁目3番1号 工業技 術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 大輪 優 茨城県つくば市東1丁目3番1号 工業技 術院 物質工学工業技術研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子と
    してR32および/またはR125を含み、R32およ
    び/またはR125の臨界分解点以下であると同時に、
    R32および/またはR125の飽和液圧力線とクラス
    レート生成限界線で挟まれた範囲に制御されたクラスレ
    ート生成媒体。
  2. 【請求項2】ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子と
    してR32を含み、R32の臨界分解点である温度を2
    0.21℃以下、圧力を1.455MPa以下であると
    同時に、R32を含む単一冷媒や混合冷媒の飽和液圧力
    線とクラスレート生成限界線で挟まれた範囲に制御され
    た請求項1のクラスレート生成媒体。
  3. 【請求項3】ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子と
    してR125を含み、R125の臨界分解点である温度
    を10.87℃以下、圧力を0.939MPa以下であ
    ると同時に、R125を含む単一冷媒や混合冷媒の飽和
    液圧力線とクラスレート生成限界線で挟まれた範囲に制
    御された請求項1のクラスレート生成媒体。
  4. 【請求項4】ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子と
    してR32およびR125の混合冷媒からなり、R32
    とR125の重量割合に応じて、R32とR125の臨
    界分解点から決定された臨界分解点以下であると同時
    に、R32およびR125の混合冷媒の飽和液圧力線と
    クラスレート生成限界線で挟まれた範囲に制御された請
    求項1のクラスレート生成媒体。
  5. 【請求項5】ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子と
    してR32、R125およびR134aの混合冷媒から
    なり、R32とR125とR134aの重量割合に応じ
    て、R32とR125とR134aの臨界分解点から決
    定された臨界分解点以下であると同時に、R32、R1
    25およびR134aの混合冷媒の飽和液圧力線とクラ
    スレート生成限界線で挟まれた範囲に制御された請求項
    1のクラスレート生成媒体。
  6. 【請求項6】ホスト溶液として水を含み、ゲスト分子と
    してR32および/またはR125を含む請求項1のク
    ラスレート生成媒体を格納し、噴霧ノズルを有する貯蔵
    タンク兼晶析装置と、その貯蔵タンク兼晶析装置に直接
    又は間接的に接続された、少なくとも圧縮機、凝縮器、
    絞り装置を有する蒸気圧縮冷凍サイクルと、前記貯蔵タ
    ンク兼晶析装置の温度および圧力を、臨界分解点である
    特定温度および圧力以下であると同時に、R32および
    /またはR125の飽和液圧力線とクラスレート生成限
    界線で挟まれた範囲に制御する制御手段とを備えたこと
    を特徴とする熱エネルギー貯蔵装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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