JP2000204360A - 直膨式直接接触型製氷用の冷媒 - Google Patents

直膨式直接接触型製氷用の冷媒

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JP2000204360A
JP2000204360A JP11003062A JP306299A JP2000204360A JP 2000204360 A JP2000204360 A JP 2000204360A JP 11003062 A JP11003062 A JP 11003062A JP 306299 A JP306299 A JP 306299A JP 2000204360 A JP2000204360 A JP 2000204360A
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ice
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ice making
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Toshiyuki Hino
俊之 日野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】オゾン破壊や地球温暖化のおそれがない直膨式
直接接触型製氷用の冷媒を提供する。 【解決手段】製氷容器1内で冷媒液体を水との直接接触
下で蒸発させることにより水を冷却又は製氷する氷蓄熱
システムにおいて、炭素原子の数が3、4若しくは5の
分子組成である含フッ素エーテル類及び/又は炭素原子
の数が2、3又は4の分子組成である含フッ素ポリエー
テル類を冷媒として用いる。好ましくは、含フッ素エー
テル類を分子式CF3OCH2CF3、CHF2OCH2CF3、CHF2OCHFC
F3、CH3OCF(CF3)2、CF3CH2OCF2CF3、CH3OCF2CF2CF3、及
び(CF3)2CFOCH3で示す含フッ素エーテルからなる群のう
ちから選ばれた1以上のものとし、含フッ素ポリエーテ
ル類を分子式CHF2OCF2OCHF2で示す含フッ素ポリエーテ
ルとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は直膨式直接接触型製
氷用の冷媒に関し、とくに水との直接接触下で蒸発する
ことにより水を冷却又は製氷する直膨式直接接触型製氷
に用いる冷媒であってオゾン層破壊及び地球温暖化の原
因となり難いものに関する。
【0002】本発明の冷媒を用いた直膨式直接接触型氷
蓄熱システムは、建物の冷房、産業プロセス冷却などの
広範な用途に供することができる。
【0003】
【従来の技術】夏期昼間の電力消費ピークを夜間にシフ
トして電力供給施設の負荷率を改善する観点から、氷蓄
熱システムを用いた冷房が注目されており、その広い普
及が期待されている。
【0004】しかし従来の氷蓄熱システムは、価格が高
く運転性能が低いという問題を抱えている。こうした問
題は、主に製氷用の熱交換器に起因していることが指摘
できる。すなわち従来の氷蓄熱システムの製氷方式で
は、スタティック製氷方式やダイナミック製氷方式を問
わず、冷媒の蒸発または不凍液の循環により冷却される
製氷用熱交換器の伝熱面を介して製氷を行うため、この
熱交換温度差によって冷媒蒸発温度が低くなり、冷凍能
力や成績係数が悪化する。さらに、製氷用熱交換器は氷
蓄熱システムを構成する高コスト部品であるため、価格
を高くする原因ともなっているのである。
【0005】こうした問題を解決する製氷方式として、
製氷用の熱交換器を用いずに、水と冷媒の直接接触熱交
換により製氷する氷蓄熱システムの研究開発が進められ
ている。この氷蓄熱システムの一例として、本発明者
は、水と冷媒の混合液をノズルから減圧散布する方式の
「冷媒噴出式氷利用蓄熱方法及び装置」を開発し、特公
平7-104083号公報に開示した。
【0006】図1を参照することにより、同公報の氷利
用蓄熱方法を本発明の理解に必要な限度において説明す
る。断熱された耐圧性の気密製氷容器1内に、脱気され
た(空気等の不凝縮性ガスが存在しない)状態で液相の
冷媒と水とが封入されている。圧縮機7により製氷容器
1内を減圧すると、冷媒が蒸発することにより冷却作用
を生じ、これに接する水を冷却し、さらには氷にする。
生じた氷は不定形、すなわちシャーベット状である。冷
媒蒸気は、圧縮機7により圧力と温度を上げ、凝縮器9
で熱を捨てて液化し、ガストラップ10又は膨脹弁を通っ
て混合器4へ送られて冷水戻り管17からの水と混合され
た後、ノズル5により再び容器1の減圧された上部空間
3へ水と共に放出され、水を冷却し氷を作る。図1の製
氷方式は、伝熱性能が高く冷媒蒸発温度が下がらないた
め、運転性能は良好である。また製氷用熱交換器は不要
になるため、コストダウンも可能になる。
【0007】なお直接接触型製氷技術には、冷媒を用い
ずに水に不溶の不凍液をブラインチラーによりマイナス
5℃前後に冷却して水と接触させて製氷する技術も開発
されている。以下、この製氷技術と区別するために、図
1に示すように冷媒を直に蒸発させる方式を「直膨式直
接接触型」製氷方式という。
【0008】直膨式直接接触型製氷技術の開発上の問題
点の一つに冷媒がある。これは直膨式直接接触型製氷で
は、直膨式直接接触型以外の通常の冷凍に求められる要
件に加えて、水と混ぜて用いることに起因して、特有の
要件を持つことによる。通常の冷凍機では、水が冷媒系
に入ることは厳禁とされている。これは、通常の冷凍機
で冷媒中に水が混入すると、低温部で氷結して膨張弁や
キャピラリーチューブを詰まらせるおそれがあり、また
冷媒が加水分解して酸性物質を生成し金属部品を腐食す
るからである。
【0009】通常の冷凍機の冷媒に求められる特性は、
以下の(1)〜(4)のように要約することができる。
【0010】(1)熱物性 a)融点が低く、液体の領域が広い。 b)用途に適した沸点および臨界点をもち、使用条件下
で蒸気圧が適している。 c)蒸発潜熱が大きい。 d)蒸気の比熱が小さい。 e)気相と液相の粘性率が小さい。 f)気相と液相の熱伝導率が大きい。 g)液体の表面張力が小さい。
【0011】(2)化学的性質 h)使用条件下で、長期間にわたり分解や変質を起こさ
ない。 i)装置材料の各種金属を腐食しない。 j)電気絶縁材料やシール材を侵さない。 k)潤滑油(冷凍機油)と反応しない。 l)冷凍機油との相溶性が大きい。 m)電気絶縁耐力が大きく、誘電損失が小さい。
【0012】(3)人体安全性 n)急性および慢性の毒性がない。 o)可燃性や爆発性がない。
【0013】(4)環境間題 p)オゾン破壊係数(Ozone Depletion Potential。以
下、ODPという。)がない。 q)地球温暖化係数(Global Warming Potential。以
下、GWPという。)が低い。
【0014】直膨式直接接触型製氷を行う冷凍サイクル
用の冷媒では、水と混合状態で使われることから、さら
に次の要件が加わる。
【0015】(5)水との共存における安定性 r)水への溶解度が低い。 s)加水分解しない。 t)クラスレート(clathrate)を作らない。
【0016】なお、この他に価格も重要であるが、新規
の冷媒では生産規模や需給状態も大きく絡むため、ここ
では要件から除外している。
【0017】上記(1)〜(3)の各要件は従来から専
門家には自明の事柄であるが、上記(4)の要件は近年
になって顕在化した問題であるため、その要件を満たす
冷媒の開発が急がれている。上記(5)の要件r)は、
直膨式直接接触型製氷の冷媒として機能するために必要
であり、冷媒が水に溶けてしまっては蒸発が難しくな
る。すなわち、アルコールやアンモニア等の水に溶ける
物質は直膨式直接接触型製氷の冷媒に適さない。また上
記要件s)は、冷媒を容器内に密閉して長期間使用する
ために必要な要件である。すなわち、従来の代表的な冷
媒であるCFC(Chlorofluorocarbon)やHCFC(Hydrochlo
rofluorocarbon)等は、徐々に加水分解により塩酸やフ
ッ酸を生じ金属を腐食するため、直膨式直接接触型製氷
用の冷媒として用いることができない。
【0018】上記(5)の要件t)のクラスレートと
は、水の包接化合物とも呼ばれ、水和物のかご状格子の
隙間にゲスト(この場合は冷媒)分子が取り込まれてで
きる氷状の物質である。冷媒が氷の結晶分子内に取り込
まれてクラスレート化すると冷媒としての活性を失うの
で、製氷機能達成に必要な量の活性冷媒を確保するため
には封入すべき冷媒の量が膨大(水の10から40重量%)
になり、小規模のビルでもトン単位の冷媒を封入する必
要があるためコストが高くなり、装置の修理や廃棄時に
問題を生じることから望ましくない。水和物のかご状格
子が作る空孔径には、0.69nm以上のものが見出されてい
ないため、分子サイズがこれよりも大きい冷媒を選ぶ必
要がある。
【0019】直膨式直接接触型製氷の冷媒としては、こ
れ迄に次のような冷媒を用いたことが知られている。 (イ)R-114(Dichlorotetrafluoroethane) (ロ)RC-318(Octafluorocyclobutane) (ハ)ペンタン(Pentane) (ニ)パーフロロペンタン(Perfluoropentane)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記R-114、R
C-318、ペンタン、パーフロロペンタンには各々次のよ
うな問題が存在する。先ず上記(イ)のR-114は、CFCの
一種であり分子構造に塩素原子を含むことから、成層圏
のオゾン層を破壊するおそれ、すなわちODPがある。ま
たGWPも大きい。さらに遅い反応ではあるが、使用条件
下で徐々に加水分解することが避けられない。
【0021】上記(ロ)のRC-318は、塩素原子を含まな
いためODPはないが、大気中における寿命の長いPFC(Pe
rfluorocarbon)の一種であることから、GWPが大きい問
題を持つ。上記(ハ)のペンタンは、炭化水素の一種で
あり、ODPはなくGWPも小さいが、可燃物であるため安全
対策を講じなければならない問題がある。上記(ニ)の
パーフロロペンタンは、ODPはなく可燃性もないが、RC-
318と同様にPFCの一種であることから、GWPが大きいと
いう問題を持つ。
【0022】従って本発明の目的は、オゾン破壊や地球
温暖化のおそれがない直膨式直接接触型製氷用の冷媒を
提供するにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】オゾン層破壊及び地球温
暖化の原因となり難い物質として、本発明者は、含フッ
素エーテル(Hydrofluoroether。以下、HFEということ
がある。)類および含フッ素ポリエーテル(Hydrofluor
opolyether。以下、HFPEということがある。)類に注目
した。すなわちこれらの物質は、塩素原子を含まないこ
とからODPを持たず、大気中の寿命が短いことからGWPも
小さいため、上記(4)の各要件を満たす。またHFE類
は次世代の洗浄剤や冷媒として、HFPE類は洗浄剤として
実用化が検討されている物質であり、上記(1)〜
(3)の各要件を満たす。
【0024】さらに本発明者は、従来の冷媒を用いた直
膨式直接接触型製氷の研究成果とHFE類及びHFPE類の上
記性質とに基づいて研究開発の結果、HFE類及びHFPE類
を直膨式直接接触型製氷用の冷媒として用いることに成
功した。
【0025】本発明の直膨式直接接触型製氷用の冷媒
は、冷凍サイクルにおいて水との直接接触下で蒸発して
水を冷却又は製氷するものであり、炭素原子の数が3、
4又は5の分子組成である含フッ素エーテル類及び/又
は炭素原子の数が2、3又は4の分子組成である含フッ
素ポリエーテル類を主成分とするものである。
【0026】好ましくは含フッ素エーテル類を分子式CF
3OCH2CF3、CHF2OCH2CF3、CHF2OCHFCF3、CH3OCF(CF3)2
CF3CH2OCF2CF3、CH3OCF2CF2CF3、及び(CF3)2CFOCH3で示
す含フッ素エーテルからなる群のうちから選ばれた1以
上のものとし、含フッ素ポリエーテル類を分子式CHF2OC
F2OCHF2で示す含フッ素ポリエーテルとする。
【0027】なお、HFE類及びHFPE類をフロン冷媒の代
替として適用できることは従来から検討されている(エ
ネルギー・資源、Vol.16 No.5(1995)、「ヘテロ原子を
含むフッ素系のフロン代替物の開発」、関谷・三崎、p
p.45-51)。しかし、直膨式直接接触型製氷技術そのも
のが未だ一般的ではないことから、HFE類及びHFPE類の
直膨式直接接触型製氷用冷媒への適用性の検討ないし適
用の可能性が示唆されたことはない。従って、炭素原子
の数が3、4又は5の分子組成であるHFE類及び/又は
炭素原子の数が2、3又は4の分子組成であるHFPE類が
上記(5)の各要件を満たし、直膨式直接接触型製氷用
の冷媒として適するという知見は、本技術分野の研究開
発を長年に渡って手掛けて来た本発明者が新規に見い出
したものである。
【0028】またHFE類及びHFPE類には各種の物質が存
在するが、従来実用化が検討されているのは主にCFC-11
4(沸点3.6℃)またはCFC-11(沸点23.6℃)の代替冷媒
となり得るものであり、大気圧における沸点が比較的低
い物質である。しかし、大気圧における沸点が低いHFE
類及びHFPE類は、運転停止時等に製氷容器内の圧力が上
がり過ぎることから、直膨式直接接触型製氷用の冷媒と
しての実用化が難しい。後述するように、本発明の好ま
しいHFE類及びHFPE類は、大気圧における沸点が室温よ
りも高い25〜30℃前後の物質である。
【0029】さらにフロン冷媒の代替として用いるHFE
類及びHFPE類は、完全脱水(水分のない)状態で冷凍機
に封入され、潤滑油と共存状態で使われるものである。
そのため、冷媒と潤滑油との相溶性が重要な課題とな
る。これに対して、直膨式直接接触型製氷用の冷媒では
水との共存使用が前提になること、圧縮機はオイルフリ
ー型を用いるため潤滑油との相溶性については考慮する
必要がない点で異なっている。
【0030】
【発明の実施の形態】炭素原子の数が3、4又は5の分
子組成であるHFE類について、これまでに知られている
物質の分子式と大気圧沸点を次に示す。 [炭素原子の数が5のHFE類] (α)C4F9OCH3(沸点60℃) [炭素原子の数が4のHFE類] (β)CH3OCF2CF2CF3、すなわち、n-C3F7CH3(沸点34.2
℃) (γ)(CF3)2CFOCH3、すなわち、i-C3F7OCH3(沸点29.4
℃) (δ)CH3OCF(CF3)2(沸点29.5℃) (ε)CF3CH2OCF2CF3(沸点27.76℃) [炭素原子の数が3のHFE類] (ζ)CF3OCH2CF3(沸点31.6℃) (η)CHF2OCH2CF3(沸点29.0℃) (θ)CHF2OCHFCF3(沸点23.31℃) (ι)CF3CF2OCH3(沸点5.6℃) (κ)CF3CHFOCF3(沸点-9.6℃)
【0031】また、炭素原子の数が2、3又は4の分子
組成であるHFPE類について、これまでに知られている物
質の分子式と大気圧沸点を次に示す。 [炭素原子の数が4のHFPE類] (λ)CHF2OCF2OCF2OCHF2(沸点68℃) (μ)CHF2OCF2CF2OCHF2(沸点58℃) [炭素原子の数が3のHFPE類] (ν)CHF2OCF2OCHF2(沸点35℃) [炭素原子の数が2のHFPE類] (ξ)CHF2OCHF2(沸点5℃)
【0032】以上に示したHFE類及びHFPE類は、何れも
直膨式直接接触型製氷の冷媒として求められる上記
(5)の各要件を全て満たす。すなわち、要件r)水へ
の溶解度については、実質的に不溶と看傲すことができ
る。一例として上記(β)CH3OCF 2CF2CF3のHFEの水への
溶解度は23℃で60ppm(wt.)と極めて低い。上記の他の
HFE類およびHFPE類についても同様である。また、要件
s)の加水分解については、製氷運転では高温とならな
いため、実質的に加水分解しないことが予想できる。
【0033】要件t)のクラスレート化については、前
述したようにクラスレート化しない分子サイズは0.69nm
以上であり、例えば分子長0.75nmのノルマルブタン(分
子式n-C4H10)は、水和物を形成しないことが明らかに
されている。このことから推定して、炭素原子の数が3
以上のHFE類では、さらに酸素分子が一つ加わること
と、フッ素原子が水素原子よりも大きいことから、クラ
スレートを作らない大きさになることは明らかである。
【0034】但し、分子式C4F9OC2H5で示す炭素原子の
数が6のHFEでは沸点が78℃になり、製氷時(0℃以
下)には飽和圧力が下がり過ぎるため、圧縮機の性能面
で不利が生ずる。すなわち、炭素原子の数が6以上のHF
E類では、圧縮機7(図1参照)の吸入ガス比体積が大
きいため圧縮機シリンダ容積を大きくする必要があり、
吸入ガス管6及び吐出冷媒ガス管8(図1参照)を太く
する必要があり、圧縮機7等の機械的損失も増えるの
で、効率のよい冷凍サイクルを構成することが難しく、
直膨式直接接触型製氷用の冷媒として実用化が困難にな
る。
【0035】他方、炭素原子の数が2以下のHFE類で
は、クラスレート化の問題が生じるおそれがあるのみな
らず、沸点が低いため製氷容器1(図1参照)内の圧力
が上がり過ぎることから、耐圧性の高い丈夫な容器1が
必要となり、運転管理時の安全対策も必要となるので、
直膨式直接接触型製氷用の冷媒には使い難いものとな
る。
【0036】HFPE類に関しては、HFE類に比し酸素原子
の数が1つ多い分子構造をもつため、炭素原子の数はHF
E類のそれに比し1つ少ない2から4までの範囲が直膨
式直接接触型製氷用冷媒の候補となる。例えば、分子式
CHF2OCF2OC2F4OCHF2で示す炭素原子の数が5のHFPEでは
沸点が85℃になり、製氷時(0℃以下)には飽和圧力が
下がり過ぎるため、圧縮機の性能面等で不利が生ずる。
すなわち炭素原子の数が5以上のHFPE類では、直膨式直
接接触型製氷用の冷媒として実用化が不利になる。
【0037】以上、炭素原子の数が3、4又は5の分子
組成のHFE類及び炭素原子の数が2、3又は4の分子組
成のHFPE類がそれぞれ単独で直膨式直接接触型製氷の冷
媒となり得ることを説明したが、これらのHFE類及びHFP
E類の混合物も、直膨式直接接触型製氷の冷媒として使
用することができる場合もある。ただし、混合物の特性
については現状では不明である。
【0038】こうして本発明の目的である「オゾン破壊
や地球温暖化のおそれがない直膨式直接接触型製氷用の
冷媒」の提供が達成される。
【0039】建物冷房用等の氷蓄熱システムでは大容量
の貯氷容器が必要とされる場合があり、直膨式直接接触
型製氷では気密耐圧容器が必要になることから、容器の
製作費が高いものとなる。特に容器内部の圧力が大気圧
以上に上がる場合は、破裂の危険性も考慮されなければ
ならない。また容器破損時に、冷媒が外部へ吹き出すこ
とも避けることが望ましい。
【0040】こうした見地から、本発明においても、容
器内部が大気圧よりも上がらない冷媒を使用することが
好ましい。ただし上述したように、製氷時(0℃以下)
の飽和圧力が低過ぎると圧縮機の性能面で不利になる。
本発明者は、上記のHFE類およびHFPE類のうちで沸点が2
5〜30℃前後の冷媒を選定すれば、運転停止状態でも容
器内部は負圧に保つことができ、かつ圧縮機の性能低下
を避けることができることを見出した。
【0041】すなわち、上記(ζ)CF3OCH2CF3、(η)
CHF2OCH2CF3、(θ)CHF2OCHFCF3、(δ)CH3OCF(C
F3)2、(ε)CF3CH2OCF2CF3、(β)CH3OCF2CF2CF3、及
び(γ)(CF3)2CFOCH3の分子式で示すHFE、又は上記
(ν)CHF2OCF2OCHF2の分子式で示すHFPEを冷媒とする
ことにより、地球環境に望ましく且つ格別強固な製氷容
器を必要としない直膨式直接接触型製氷が実現でき、氷
蓄熱システムの一層の普及を図ることができる。
【0042】
【実施例】図1に本発明の冷媒を用いる直膨式直接接触
型氷蓄熱システムの一例を示す。気密な製氷容器1に水
を入れて脱気し、炭素原子の数が3、4又は5の分子組
成のHFE類及び/又は炭素原子の数が2、3又は4の分
子組成のHFPE類を冷媒として封入する。水と冷媒を接触
状態にして、容器1内を圧縮機7で減圧すると冷媒が蒸
発し、冷媒の蒸発潜熱により水が冷却され、さらに0℃
以下では氷となる。この場合、氷は不定形、すなわち氷
滴と水とからなるシャーベット状である。図中の符号2a
は、氷と水との混在を示す。
【0043】蒸発した冷媒は、容器1の上部空間3から
冷媒ガス管6を介して圧縮機7へ吸引される。直膨式直
接接触型氷蓄熱システムの圧縮機7としては、オイルフ
リー型を使う。潤滑油を使う圧縮機では吐出冷媒ガス管
8からミスト状潤滑油が少しずつ排出されるが、直膨式
直接接触型製氷では、排出した潤滑油が製氷容器1内に
溜まって圧縮機7へ戻らず、圧縮機7の焼付け、容器1
内の冷水汚染等の好ましくない結果を招くからである。
好ましくは圧縮機7を、水封止型の圧縮機とする。
【0044】圧縮機7で圧縮された冷媒ガスは、圧力を
上げて吐出冷媒ガス管8から凝縮器9へ吐出され、凝縮
器9で放熱して液化する。凝縮器9は、空気(空冷)ま
たは水(水冷)により冷媒を冷やすものとすることがで
き、凝縮温度としては、通常の冷凍機と同様に、30〜45
℃程度を想定できる。図1ではガストラップ10で未凝集
ガスの通過を遮断し、液化した冷媒のみを冷媒液管12へ
送っている。
【0045】図1の氷蓄熱システムでは、液体冷媒と水
との取入口及び液体冷媒と水との混合液の噴射口を有す
る絞り機構5(例えばノズル)が、冷媒を水との直接接
触下で蒸発させる接触・蒸発手段を構成する。すなわ
ち、冷媒液管12からの液体冷媒は絞り機構で冷水と混合
され、絞り機構から容器1内へ噴出する際に例えば0℃
における冷媒の飽和圧力未満に減圧され、容器1内の上
部空間3において水との接触下で蒸発することにより、
シャーベット状氷をつくる。
【0046】他方、容器1底部の冷水2bは、冷水出口管
14を介して冷水循環ポンプ15により吸引され、冷水熱交
換器16及び冷水戻り管17を介して、絞り機構へ戻され
る。冷媒液管12からの液体冷媒と冷水戻り管17からの冷
水との混合を良くするため、絞り機構の取入口に、案内
羽根又は回転羽根などを有する混合器4を設けることが
できる。
【0047】上記圧縮機7による冷媒ガスの吸引から、
上記接触・蒸発手段による混合液の噴出までのサイクル
を繰り返すことにより、製氷容器1内にシャーベット状
氷を蓄積することができる。生成したシャーベット状氷
は、図1に示すように容器1の水面上に浮かび、さらに
その上部に層状に堆積し、ついには容器1の底部まで氷
が充填される。容器1が氷で一杯になったときは、何ら
かの方法でこれを検知し、圧縮機7を停止する。
【0048】氷の融解(冷房・冷凍)時には、例えば空
調機18の空調機冷水ポンプ19が負荷配管20を介して空調
コイル21の冷水を冷水熱交換器16へ送り、製氷容器1か
らの冷水と熱交換する。図中の符号22は、冷風を作るた
めに、空気を空調コイル21へ吹き付ける送風機を示す。
ただし本発明の直膨式直接接触型氷蓄熱システムからの
冷熱供給方法は、図示例に何ら限定されない。
【0049】また本発明の冷媒は、氷蓄熱システムでの
使用を主目的とするものであるが、これに限定されな
い。例えば本発明の冷媒を、上述した直膨式直接接触型
製氷方式の蒸発器を設けたチラー(冷水機)に使うこと
ができる。チラー動作時に氷が生成しても問題はない。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の直膨式直
接接触型製氷用の冷媒は、炭素原子の数が3、4又は5
の分子組成の含フッ素エーテル類及び/又は炭素原子の
数が2、3又は4の分子組成の含フッ素ポリエーテル類
を主成分とするので、次の顕著な効果を奏する。
【0051】(イ)冷凍能力や成績係数がよく、しかも
オゾン破壊や地球温暖化等の地球環境破壊のおそれがな
い直膨式直接接触型製氷を実現できる。 (ロ)沸点が25〜30℃前後の適当な含フッ素エーテル類
及び/又は含フッ素ポリエーテル類を選択することによ
り、格別強固な製氷容器を必要としない直膨式直接接触
型氷蓄熱システムが実現できる。 (ハ)また沸点が25〜30℃前後の適当な含フッ素エーテ
ル類及び/又は含フッ素ポリエーテル類を用いれば、圧
縮機の性能低下を招かない直膨式直接接触型製氷が実現
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の冷媒を用いる直膨式直接接触型氷
蓄熱システムの一例の説明図である。
【符号の説明】
1…製氷容器 2a…水と氷との混合物 2b…冷水 2c…水(氷)滴と冷媒 3…上部空間 4…混合器 5…絞り機構 6…冷媒ガス管 7…圧縮機 8…吐出冷媒ガス管 9…凝縮器 10…ガストラップ 11…逆止弁 12…冷媒液管 14…冷水出口管 15…冷水循環ポンプ 16…冷水熱交換器 17…冷水戻り管 18…空調機 19…空調機冷水ポンプ 20…負荷配管 21…空調コイル 22…送風機

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素原子の数が3、4又は5の分子組成で
    ある含フッ素エーテル類を主成分とし、冷凍サイクルに
    おいて水との直接接触下で蒸発して水を冷却又は製氷す
    る直膨式直接接触型製氷用の冷媒。
  2. 【請求項2】炭素原子の数が2、3又は4の分子組成で
    ある含フッ素ポリエーテル類を主成分とし、冷凍サイク
    ルにおいて水との直接接触下で蒸発して水を冷却又は製
    氷する直膨式直接接触型製氷用の冷媒。
  3. 【請求項3】炭素原子の数が2、3又は4の分子組成で
    ある含フッ素ポリエーテル類と炭素原子の数が2、3又
    は4の分子組成である含フッ素ポリエーテル類とを主成
    分とし、冷凍サイクルにおいて水との直接接触下で蒸発
    して水を冷却又は製氷する直膨式直接接触型製氷用の冷
    媒。
  4. 【請求項4】請求項1又は3の冷媒において、前記含フ
    ッ素エーテル類を、分子式CF3OCH2CF3、CHF2OCH2CF3、C
    HF2OCHFCF3、CH3OCF(CF3)2、CF3CH2OCF2CF3、CH3OCF2CF
    2CF3、及び(CF3)2CFOCH3で示す含フッ素エーテルからな
    る群のうちから選ばれた1以上のものとしてなる直膨式
    直接接触型製氷用の冷媒。
  5. 【請求項5】請求項2又は3の冷媒において、前記含フ
    ッ素ポリエーテル類を分子式CHF2OCF2OCHF2で示す含フ
    ッ素ポリエーテルとしてなる直膨式直接接触型製氷用の
    冷媒。
  6. 【請求項6】製氷容器内で液体冷媒を水との直接接触下
    で蒸発させることにより水を冷却又は製氷する氷蓄熱シ
    ステムにおいて、前記冷媒を、炭素原子の数が3、4若
    しくは5の分子組成である含フッ素エーテル類及び/又
    は炭素原子の数が2、3又は4の分子組成である含フッ
    素ポリエーテル類としてなる直膨式直接接触型氷蓄熱シ
    ステム。
  7. 【請求項7】請求項6の氷蓄熱システムにおいて、前記
    含フッ素エーテル類を、分子式CF3OCH2CF3、CHF2OCH2CF
    3、CHF2OCHFCF3、CH3OCF(CF3)2、CF3CH2OCF2CF3、CH3OC
    F2CF2CF3、及び(CF3)2CFOCH3で示す含フッ素エーテルか
    らなる群のうちから選ばれた1以上のものとしてなる直
    膨式直接接触型氷蓄熱システム。
  8. 【請求項8】請求項6の氷蓄熱システムにおいて、前記
    含フッ素ポリエーテル類を分子式CHF2OCF2OCHF2で示す
    含フッ素ポリエーテルとしてなる直膨式直接接触型氷蓄
    熱システム。
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