JPH10166439A - ポリプロピレン系2軸延伸フィルム - Google Patents

ポリプロピレン系2軸延伸フィルム

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JPH10166439A
JPH10166439A JP8330981A JP33098196A JPH10166439A JP H10166439 A JPH10166439 A JP H10166439A JP 8330981 A JP8330981 A JP 8330981A JP 33098196 A JP33098196 A JP 33098196A JP H10166439 A JPH10166439 A JP H10166439A
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propylene
film
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ultrasonic transmission
biaxially stretched
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JP8330981A
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Inventor
Yuzo Sugita
裕三 杉田
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性、熱収縮性、フィルムの流れ方向への直
線的な引裂き性、開封性に優れたポリプロピレン系2軸
延伸フィルムを開発すること。 【解決手段】a)ポリプロピレン成分、またはプロピレ
ンに基づく単量体単位を90モル%より多く含むプロピ
レン系ランダム共重合体成分1〜70重量% b)エチレンに基づく単量体単位を10〜40モル%、
プロピレンに基づく単量体単位を90〜60モル%含む
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分30〜99
重量% を含むプロピレン系ブロック共重合体よりなり、フィル
ムの流れ方向の超音波伝達時間/流れ方向と直角方向の
超音波伝達時間が0.85〜1.3であることを特徴と
するポリプロピレン系2軸延伸フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、引裂き性に優れた
ポリプロピレン系2軸延伸フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在熱収縮包装分野において利用されて
いるシュリンクフィルムとしては、ポリエチレン系、ポ
リプロピレン系、或はポリ塩化ビニル系樹脂等からなる
フィルムがあり、各種市販されている。これらの中で
も、ポリプロピレン系樹脂よりなるシュリンクフィルム
は、ポリプロピレンが本来有している透明性、表面光
沢、耐熱性、或は無公害性等の優れた特性によって広く
一般に利用されている。しかし、ポリ塩化ビニル系樹脂
からなるフィルムに比較して、低温での熱収縮性、熱収
縮温度範囲において劣るという問題があった。さらに、
一般的にシュリンクフィルムは、熱収縮により商品をタ
イトに包装した状態において、溶断シール部やピローシ
ール部よりフィルムをその製造時の流れ方向に引裂いて
開封しようとすると、直線的にカットし難い問題があっ
た。従って、こうした場合には、開封して内容物を取り
出し難かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上の背景にあり、本
発明者らは、特定のプロピレン系ブロック共重合体を用
い、特にシュリンクフィルムとして好適なポリオレフィ
ン系延伸フィルムを提案した(特開平7−304882
号公報)。このポリオレフィン系延伸フィルムは、透明
性や低温での熱収縮性に優れ、熱収縮温度範囲も広く、
シュリンクフィルムとして極めて有用である。しかし、
上記公報においてポリオレフィン系延伸フィルムは、上
記特定のプロピレン系ブロック共重合体をフィルムの流
れ方向(以下MD方向と略する)に2〜7倍、流れ方向
と直角方向(以下TD方向と略する)に2〜12倍の各
広い延伸倍率で、それぞれ60〜160℃の広い延伸温
度で通常製造できることが開示されているにすぎない。
そして、該公報の実施例で具体的に製造されている各ポ
リオレフィン系延伸フィルムは、それぞれMD方向に対
するTD方向の延伸倍率が大きすぎたり、各方向での延
伸温度が高すぎたりして、上記MD方向への直線カット
性については依然、十分に満足できるものではなく、開
封性についてはさらに改良することが望まれるものであ
った。
【0004】以上の背景にあって本発明は、ポリプロピ
レン系樹脂が本来有している透明性、表面光沢、耐熱
性、さらに無公害性等の特性を損なう事なく、さらに引
裂き性(直線カット性)に優れ、シュリンクフィルムに
好適なポリプロピレン系延伸フィルムを提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意研究を重ねてきた。その結果、特
定のプロピレン系ブロック共重合体よりなり、フィルム
の流れ方向と、流れ方向と直角方向の超音波伝達時間の
比が特定の値にあるポリプロピレン系延伸フィルムによ
り、上記課題が解決できることを見い出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、a)ポリプロピレン成
分、またはプロピレンに基づく単量体単位を90モル%
より多く含むプロピレン系ランダム共重合体成分1〜7
0重量% b)エチレンに基づく単量体単位を10〜40モル%、
プロピレンに基づく単量体単位を90〜60モル%含む
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分30〜99
重量% を含むプロピレン系ブロック共重合体よりなり、フィル
ムの流れ方向の超音波伝達時間/流れ方向と直角方向の
超音波伝達時間が0.85〜1.3であることを特徴と
するポリプロピレン系2軸延伸フィルムである。
【0007】本発明のプロピレン系ブロック共重合体
は、a)ポリプロピレン成分、またはプロピレンに基づ
く単量体単位を90モル%より多く含むプロピレン系ラ
ンダム共重合体成分と、b)エチレンに基づく単量体単
位を10〜40モル%、プロピレンに基づく単量体単位
を90〜60モル%含むプロピレン−エチレンランダム
共重合体成分とを含んでいる。ここで、上記a)ポリプ
ロピレン成分、またはプロピレン系ランダム共重合体成
分とb)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の
成分割合は、前者が1〜70重量%好適には3〜60重
量%、後者が30〜99重量%好適には40〜97重量
%である。このa)ポリプロピレン成分、またはプロピ
レン系ランダム共重合体成分が1重量%よりも少ない
と、得られるフィルムの機械的強度が低下し、また、7
0重量%を越えると、得られるフィルムの透明性が低下
するために好ましくない。
【0008】a)のプロピレン系ランダム共重合体成分
における、プロピレンに基づく単量体単位以外の単量体
単位としては、プロピレンと共重合可能な他の公知の単
量体に基づく単位が制限なく採用できる。好適には、エ
チレンおよび炭素数が4〜12のα−オレフィンに基づ
く単量体単位が挙げられ、これらは1種または2種以上
を組み合わせて採用しても良い。特に、エチレンおよび
炭素数4〜8のα−オレフィンに基づく単量体単位が好
ましい。このプロピレンに基づく単量体単位以外の単量
体単位の含有割合は、10モル%未満であることが必要
である。該含有割合が10モル%以上であり、プロピレ
ンに基づく単量体単位の含有割合が90モル%以下の場
合、得られる樹脂の粘着性が強くなり、取扱いが困難に
なる。
【0009】b)のプロピレン−エチレンランダム共重
合体成分において、エチレンに基づく単量体単位及びプ
ロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの含有割合は、
エチレンに基づく単量体単位10〜40モル%、好まし
くは15〜35モル%であり、プロピレンに基づく単量
体単位90〜60モル%、好ましくは85〜65モル%
である。
【0010】エチレンに基づく単量体単位の含有割合が
10モル%未満であり、プロピレンに基づく単量体単位
の含有割合が90モル%を越える場合、得られるフィル
ムの熱収縮性が充分でなくなり好ましくない。一方、エ
チレンに基づく単量体単位の含有割合が40モル%を越
え、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合が60モ
ル%未満である場合、得られる樹脂の粘着性が強くな
り、取扱いが困難になるため好ましくない。
【0011】なお、このプロピレン−エチレンランダム
共重合体成分には、本発明に関するプロピレン系ブロッ
ク共重合体の物性を阻害しない限り、他のα−オレフィ
ンが少量、例えば5モル%以下の範囲で共重合されて含
まれていてもよい。他のα−オレフィンとしては、特に
制限されないが、炭素数が4〜12のα−オレフィンの
1種または2種以上が挙げられ、炭素数4〜8のα−オ
レフィンが好ましい。
【0012】また、本発明のプロピレン系ブロック共重
合体は、上記a)ポリプロピレン成分、またはプロピレ
ン系ランダム共重合体成分及びb)プロピレン−エチレ
ンランダム共重合体成分の他に、好ましくは10重量%
以下の範囲で、他のα−オレフィンの重合体成分が含有
されていても良い。このα−オレフィンとしては、前記
したものが制限なく使用される。好適には、ポリブテン
成分が良好である。
【0013】本発明で使用するプロピレン系ブロック共
重合体は、通常、a)ポリプロピレン成分、またはプロ
ピレン系ランダム共重合体成分及びb)プロピレン−エ
チレンランダム共重合体成分が一分子鎖中に配列したい
わゆるブロック共重合体の分子鎖と、a)ポリプロピレ
ン成分、またはプロピレン系ランダム共重合体成分及び
b)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のそれ
ぞれ単独よりなる分子鎖とが機械的な混合では達成でき
ない程度にミクロに混合しているものと考えられる。
【0014】本発明において、上記のプロピレン系ブロ
ック共重合体は、分子量分布が特定の値に狭くなってい
ることが好適である。具体的には、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(以下「GPC」と略す)で測定
した重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が
1〜4であることが好ましく、1.2〜3.5であるこ
とがより好ましい。この範囲において得られるフィルム
は、引裂き性に優れたものとなり、また、べたつき等が
ない性状の好ましいものとなる。
【0015】このプロピレン系ブロック共重合体は、通
常、重量平均分子量(Mw)が10万以上、さらには1
5万以上のものを用いるのが一般的である。メルトフロ
ーレート(以下MFRと略す)は、製膜性を勘案する
と、0.5〜20g/10分、好ましくは1.0〜15
g/10分が好適である。また、示差走査熱分析(DS
C)における主ピークは、延伸加工性、耐熱性等を勘案
すると120〜160℃、好ましくは130〜155℃
の範囲にあることが良好である。
【0016】本発明において、こうしたプロピレン系ブ
ロック共重合体は、上記性状を有するものであれば、公
知の如何なる方法によって重合したものを用いても良
い。また、重合したプロピレン系ブロック共重合体を有
機過酸化物で分解させて得たものであっても良い。
【0017】本発明において、上記ポリプロピレン系2
軸延伸フィルムは、2軸延伸されてなり、且つMD方向
とTD方向における超音波伝達時間の比が、特定の範囲
になければならない。ここで、フィルムの超音波伝達時
間とは、温度23℃下、フラット状試料の一定距離間
(150±0.5mm)を超音波が伝播するのに要する
時間(μ秒)である。本発明では、フィルムを重ねて測
定可能な厚みとして、測定を実施すればよい。なお、超
音波としては、15kHz以上の周波数のものが適宜採
用できる。
【0018】この超音波伝達時間は、測定方向における
フィルムの分子の配向性と関係し、一般に配向性が高い
ものほど値が小さくなる。本発明において、このフィル
ムの超音波伝達時間の比は、MD方向の超音波伝達時間
/TD方向の超音波伝達時間において、0.85〜1.
3の範囲であることが必要であり、さらに0.88〜
1.2であることがより好ましい。この比が0.85よ
り小さい場合は、フィルムの製膜時等に破断が発生し易
くなり、一方、この比が1.3より大きい場合は、MD
方向の引裂き性(直線カット性)が低下するために好ま
しくない。
【0019】また、本発明においてポリプロピレン系2
軸延伸フィルムは、MD方向への延伸により、該方向へ
の分子配向性が一定以上高くなっているものが好まし
い。好適には、MD方向における前記測定距離での超音
波伝達時間が、130μ秒以下、好ましくは110μ秒
以下であるのが良好である。
【0020】本発明のポリプロピレン系2軸延伸フィル
ム中には、さらに必要に応じて帯電防止剤、防曇剤、ア
ンチブロッキング剤、滑剤、酸化防止剤、光安定剤、結
晶核剤等の公知の添加剤を配合させても良い。また、本
発明に関する物性を阻害しない程度、他の樹脂を混合す
ることができる。混合する樹脂としては特に制限されな
いが、例えばプロピレン、エチレン、ブテン等のオレフ
ィンの単独重合体または共重合体、或いはこれらの2種
以上の混合物が好適である。配合量は引裂き性、低温で
の熱収縮性を勘案すると、プロピレン系ブロック共重合
体100重量部に対して、40重量%以下、さらには3
0重量%以下、さらには20重量%以下が好ましい。
【0021】本発明において、フィルムの厚みは特に制
限されるものではないが、通常は、5〜100μmであ
る。
【0022】本発明において、上記ポリプロピレン系2
軸延伸フィルムの他、少なくとも1層が前記プロピレン
系ブロック共重合体よりなり、且つ2軸延伸されてなる
フィルム層からなる、2層以上の積層フィルムも提供す
る。その場合、この積層ポリプロピレン系2軸延伸フィ
ルムは、十分なMD方向への引き裂き性を得るために
は、該プロピレン系ブロック共重合体フィルム層の全フ
ィルム中の構成比が50容量%以上、好適には60容量
%以上であり、積層フィルムとして測定したMD方向の
超音波伝達時間/TD方向の超音波伝達時間が、0.8
5〜1.3の範囲であるのが好適である。プロピレン系
ブロック共重合体フィルム層以外の層も、少なくともフ
ィルムの流れ方向に延伸されていることが好ましい。
【0023】積層ポリプロピレン系2軸延伸フィルムに
おいて、各層を構成する樹脂は、要求性能に応じて種々
の組み合わせが用いられる。プロピレン系ブロック共重
合体フィルム層以外のフィルム層を構成する素材樹脂と
しては、製膜性、回収使用等を勘案すると、プロピレ
ン、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜8のα−
オレフィンの単独重合体またはこれらの共重合体、或い
は該α−オレフィンと共重合可能なα−オレフィン以外
の単量体と該α−オレフィンとの共重合体、これらの混
合物等の中より選択して使用すればよい。
【0024】ここで、上記のα−オレフィン以外の単量
体としては、酢酸ビニル、マレイン酸、ビニルアルコー
ル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸
エチル等を挙げることができる。また、該単量体の割合
は、ポリオレフィンの特性を著しく低下させない範囲、
一般には、10モル%以下が好ましい。
【0025】シュリンクフィルムとして用いる場合、基
材層がプロピレン系ブロック共重合体フィルム層とし、
表層がプロピレンの単独重合体や、プロピレン−エチレ
ン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン
−エチレン−ブテン共重合体等のプロピレン−α−オレ
フィン共重合体であるのが好ましい。その場合、プロピ
レン−α−オレフィン共重合体は、α−オレフィンに基
づく単量体単位が、20モル%以下、さらには15モル
%以下であることが好ましい。
【0026】本発明のポリプロピレン系2軸延伸フィル
ムは、上記性状を有するものであれば如何なる方法によ
り製造しても良い。即ち、前記プロピレン系ブロック共
重合体からなるフィルムを、MD方向の超音波伝達時間
/TD方向の超音波伝達時間の値が前記範囲になるよう
に、2軸延伸する方法であれば、逐次2軸延伸、同時2
軸延伸等のいずれの方法で製造しても良い。延伸手段
も、フラット状のフィルムを延伸する方式や、チューブ
状フィルムをインフレ方式により延伸する方法等が制限
なく採用できる。しかしながら、これらの延伸方法で汎
用されている多くの延伸条件で延伸を行っても、MD方
向の延伸が強すぎてフィルムの該方向への分子配向性が
強くなりすぎたり、或いはTD方向の延伸が強すぎてフ
ィルムの該方向への分子配向性が強くなりすぎたり、さ
らにはTD方向への延伸時にMD方向への延伸で高めら
れた該方向への分子配向性が温度条件等により弱められ
たりして、得られる2軸延伸フィルムは、上記超音波伝
達時間に関する物性値を満足するものにならない。
【0027】本発明において、最も好適に採用される製
造方法を具体的に示せば次の方法が挙げられる。即ち、
まず、単層のポリプロピレン系2軸延伸フィルムの場
合、前記プロピレン系ブロック共重合体からなる無延伸
シートを、MD方向に60〜78℃、好適には60〜7
5℃の延伸温度で3〜7倍、好適には3.5〜7倍の延
伸倍率で1軸延伸し、次いで、TD方向に110〜13
0℃、好適には115〜130℃の延伸温度で3〜6.
5倍、好適には3〜6倍の延伸倍率で且つMD方向とT
D方向の延伸倍率比(MD/TD)が、0.6〜1.
3、好適には0.6〜1.2であるように延伸する方法
により、良好に製造することができる。これらの各製造
方法において、それぞれの延伸段階での、延伸温度や延
伸倍率が上記各範囲にない場合、TD方向への分子の配
向性が強くなりすぎたり、MD方向への分子の配向性が
弱められたりして、本発明のフィルムは通常、得られ難
くなる。
【0028】また、前記プロピレン系ブロック共重合体
よりなる2軸延伸フィルム層を少なくとも1層有する積
層ポリプロピレン系2軸延伸フィルムの場合、該プロピ
レン系ブロック共重合体フィルム層以外の層を構成する
樹脂の種類及び各層の厚み比などに延伸条件がかなり影
響され製造方法を一律には決定できないが、上記要件を
勘案して、得られる積層フィルムのMD方向の超音波伝
達時間/TD方向の超音波伝達時間の値が前記範囲にな
るように適宜延伸条件等を調整して製造すればよい。一
般には、前記ブロピレン系ブロック共重合体からなるフ
ィルム層を少なくとも1層有する共押出し積層無延伸シ
ートを、MD方向に60〜100℃、好適には60〜9
5℃の延伸温度で3〜7倍、好適には3.5〜7倍の延
伸倍率で1軸延伸し、次いで、TD方向に110〜14
0℃、好適には115〜140℃の延伸温度で3〜6.
5倍、好適には3〜6倍の延伸倍率で且つMD方向とT
D方向の延伸倍率比(MD/TD)が、0.6〜1.
3、好適には0.7〜1.3であるように延伸する方法
において、各延伸温度や延伸倍率の条件を、前記要件に
応じてさらに調整することにより得ることができる。
【0029】
【発明の効果】本発明のポリプロピレン系2軸延伸フィ
ルムは、透明性、熱収縮性、MD方向への引裂き性(直
性カット性)、易開封性に優れるため、例えばシュリン
クフィルムとして商品を包装した際に、良好な包装仕上
がりが得られると共に、良好な開封性を兼ね備えたもの
となる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。
【0031】実施例及び比較例において使用した樹脂
は、表1に示すものである。
【0032】
【表1】
【0033】また、以下の実施例及び比較例において用
いた測定方法は次の方法により実施した。
【0034】(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分
子量(Mw) GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法
により測定した。ウォーターズ社製GPC−150Cに
よりO−ジクロルベンゼンを溶媒とし、135℃で行っ
た。用いたカラムは、東ソー製TSK gel GMH
6−HT、ゲルサイズ10〜15μmである。較正曲線
は標準試料として重量平均分子量が950、2900、
1万、5万、49.8万、270万、675万のポリス
チレンを用いて作成した。
【0035】(2)プロピレン−エチレンランダム共重
合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロ
ピレンに基づく単量体単位のそれぞれ割合の測定13 C−NMRスペクトルのチャートを用いて算出した。
即ち、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分にお
けるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づ
く単量体単位のそれぞれの割合は、まず、ポリマー(P
olymer)第29巻(1988年)1848頁に記
載された方法により、ピークの帰属を決定し、次にマク
ロモレキュールズ(Macromolecules)第
10巻(1977年)773頁に記載された方法によ
り、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づ
く単量体単位のそれぞれの割合を算出した。
【0036】次いで,プロピレンに基づいて単量体単位
中のメチル炭素に起因するピークと、ポリブテン成分中
のメチル炭素に起因するピークとの積分強度比からポリ
ブテン成分の重量と割合を算出した。
【0037】(3)メルトフローレート(MFR) JIS K7210に準じて測定した。
【0038】(4)DSCによる主ピークの測定 約5〜6mgの試料を評量後、アルミパンに封入し、示
差熱量計にて20ml/minの窒素気流中で室温から
235℃まで昇温し、この温度で10分間保持し、次い
で10℃/minで室温まで冷却する。この後、昇温速
度10℃/minで得られる融解曲線により、主ピーク
の温度を測定した。
【0039】(5)透明性 JIS−K6714に準じ、フィルムのヘイズ値を測定
した。
【0040】(6)超音波伝達時間 野村商事(株)社製ソニック・シート・テスターSST−
210Aを用い、縦横25cm×25cmのフィルムサ
ンプルを約100μmとなるように重ねて、ターンテー
ブル式の測定板上にセットし、送り角度を5度刻み、2
3℃下で、150±0.5mmの測定距離間の超音波伝
達時間測定した。また、MD方向とTD方向の超音波伝
達時間の比を算出した。
【0041】(7)熱収縮率(面積収縮率) フィルムのMD方向またはTD方向を長さ方向とし、長
さ20cm、幅15cmに切り取ったフィルムを、10
0℃のグリセリン浴中に10秒間浸漬した後取り出し、
水中で急冷後長さを測定し、熱収縮率を算出した。
【0042】(8)引裂き性(直線カット性) フィルムのMD方向に平行に幅2cmとなるように長さ
1cmの切り込みを入れ、切り込み間をつかみ、フィル
ム面に垂直方向に引っ張り、30cm引裂いた時のフィ
ルムの幅(Lcm)を測定した。判定は、下記の基準に
従った。
【0043】 L≧25 ◎ 25>L≧20 ○ 20>L≧15 △ 15>L × (9)開封性 縦、横、高さがそれぞれ、20×15×10cmの樹脂
製容器をフィルムで包み、容器の縦方向の前後部と底部
の3方をインパルスシールにより密封した後、150℃
にセットした収縮トンネルを通して熱収縮包装した。そ
の後、容器の縦方向前部のインパルスシール部分に幅2
cm、長さ2〜3mm程度の切り込みを入れ、切り込み
間をつかみ容器上部の方向に引裂いた。容器上部全体に
おいて、フィルムが途中で切れないで開封可能がどうか
で、開封性を判断した。
【0044】実施例1〜3 表2に示す基材層の樹脂を、Tダイ押出し機を用いて、
260℃で加熱溶融下押出し、テンター法2軸延伸機に
より、表2に示した延伸条件で延伸し、フィルムを得
た。得られたフィルムの厚み、ヘイズ、超音波伝達時間
の比、熱収縮率、引裂き性、開封性を測定し、結果を表
3に示した。
【0045】実施例4、5 表2に示す基材層、及び表面層の樹脂を、3層Tダイ押
出し機を用いて、260℃で加熱溶融下共押出しし、テ
ンター法2軸延伸機により、表2に示した延伸条件で延
伸し、積層フィルムを得た。得られたフィルムの厚み、
ヘイズ、超音波伝達時間の比、熱収縮率、引裂き性、開
封性を測定し、結果を表3に示した。
【0046】比較例1〜2 基材層、及び表面層の樹脂として表2に示したものを用
い、表2に示した延伸条件で延伸したこと以外は、実施
例1と同様にして積層フィルムを得た。得られたフィル
ムの厚み、ヘイズ、超音波伝達時間の比、熱収縮率、引
裂き性、開封性を測定し、結果を表3に示した。
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B29K 23:00 B29L 9:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)ポリプロピレン成分、またはプロピレ
    ンに基づく単量体単位を90モル%より多く含むプロピ
    レン系ランダム共重合体成分1〜70重量% b)エチレンに基づく単量体単位を10〜40モル%、
    プロピレンに基づく単量体単位を90〜60モル%含む
    プロピレン−エチレンランダム共重合体成分30〜99
    重量% を含むプロピレン系ブロック共重合体よりなり、フィル
    ムの流れ方向の超音波伝達時間/流れ方向と直角方向の
    超音波伝達時間が0.85〜1.3であることを特徴と
    するポリプロピレン系2軸延伸フィルム。
  2. 【請求項2】2層以上の積層フィルムであって、少なく
    とも1層は請求項1記載のプロピレン系ブロック共重合
    体よりなる2軸延伸フィルム層からなり、該プロピレン
    系ブロック共重合体フィルム層の全フィルム中の構成比
    が50容量%以上であり、フィルムの流れ方向の超音波
    伝達時間/流れ方向と直角方向の超音波伝達時間が0.
    85〜1.3であることを特徴とする積層ポリプロピレ
    ン系2軸延伸フィルム。
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