JPH10159834A - 導電性ゴムローラおよびその製造方法 - Google Patents

導電性ゴムローラおよびその製造方法

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JPH10159834A
JPH10159834A JP8313891A JP31389196A JPH10159834A JP H10159834 A JPH10159834 A JP H10159834A JP 8313891 A JP8313891 A JP 8313891A JP 31389196 A JP31389196 A JP 31389196A JP H10159834 A JPH10159834 A JP H10159834A
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JP
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layer
conductive
foam layer
rubber roller
electric resistance
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JP8313891A
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English (en)
Inventor
Yuji Yamazaki
裕司 山崎
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低硬度で、永久歪みが小さい導電性ゴムロー
ラを提供することである。 【解決手段】 導電性ゴムローラは、円柱状の導電性支
持体と、この導電性支持体表面を環状に包む導電性発泡
体層と、この導電性発泡体層外周面に積層された非発泡
性電気抵抗層とを備え、前記導電性発泡体層は、その大
部分が発泡層からなり、導電性支持体に接する面が内周
側スキン層、前記非発泡性電気抵抗層と接する面が外周
側スキン層となっている導電性ゴムローラであって、前
記発泡層がローラの両側端面で露出し、前記導電性発泡
体層の吸水率が15〜100%であり、前記外周側スキ
ン層の平均厚みが5〜300μmの範囲内であることを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機等に用いら
れ、硬度が適当であって柔軟性に優れる導電性ゴムロー
ラとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複写機、レーザープリンター、ファクシ
ミリ等の電子写真複写装置においては、導電性ゴムロー
ラの外周面を被帯電体と接触させることにより、帯電ま
たは放電を行なわせている。近年、OA機器の高速化に
応じて、導電性ゴムローラと被帯電体との接触を確実に
行わせ、接触時における振動を低減させるために、導電
性ゴムローラの硬度を低下させ、柔軟性を高めることが
要求されている。
【0003】特開平5−331307号公報には、金属
シャフトの周りに導電性発泡体層が形成された導電性ゴ
ムローラが開示されている。このゴムローラは、多量の
カーボンブラックが配合されているため、硬度が高すぎ
る。その硬度を低下させるためには、オイル、可塑剤等
の軟化剤を多量に配合する必要があるが、軟化剤を多量
に配合すると、軟化剤がゴムローラからブリードして感
光体を汚染するという別の問題が生じる。
【0004】特開平8−69154号公報には、上記ブ
リード等の問題を生じないようにした導電性ゴムローラ
が開示されている。この導電性ゴムローラは、金属シャ
フトの周りに導電性発泡体層を形成し、この導電性発泡
体層の外周面を所定の外径が得られるまで研磨したの
ち、ディッピング方法で導電性発泡体層の外周面に電気
抵抗層を形成するようにしている。前記導電性発泡体層
により柔軟性を出すとされている。しかし、前記導電性
発泡体層の発泡セルが連通状であるため、ディッピング
の際に、この連通状の発泡セルを通じて、コーティング
剤が導電性発泡体層の内部に深く浸透し硬化して、導電
性発泡体層全体の柔軟性を低下させる恐れがある。他
方、導電性発泡体層における研磨しただけの外周面は粗
面となっているが、コーティング剤が前述の理由で導電
性発泡体層の内部に吸収され易く、導電性発泡体層の外
周面粗面に残りにくいので、導電性発泡体層の外周面の
凹凸が滑らかになるようにするには、何度もコーティン
グを行う必要があり、導電性ゴムローラの製造コストの
上昇が避けられない。また、研磨が必須となるので、こ
の面での製造コストの上昇も避けられない。
【0005】コーティング剤を導電性発泡体層内部にし
み込みにくくするためには、発泡体を独立気泡のものに
することが考えられる。しかし、発泡構造を独立気泡に
すると、発泡セル内の空気の逃げ場がないため、導電性
発泡体層が圧力を受けたときに発泡体自身に大きな永久
歪みが残り易くなり、比較的短時間でヘタリ(座屈)や
変形等が生じ、使用できなくなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】特開平5−80650
号公報には、コーティング剤を導電性発泡体層内部にし
み込みにくくするために、導電性発泡体層の外周側にス
キン層を備えた導電性ゴムローラが開示されている。こ
のゴムローラでは前記スキン層の表面にコーティング剤
を塗布して電気抵抗層を形成する。その際に前記スキン
層がコーティング剤のしみ込みを防止する。このゴムロ
ーラを製造する際は、円柱状の導電性支持体(シャフ
ト)と導電性発泡体層の一体成形を筒状金型内で行い、
金型の内径寸法によって導電性ゴムローラの外径を所定
のものに整える。しかし、この方法で得られた導電性ゴ
ムローラでも低硬度化が十分にできていないことが分か
った。さらに、ゴム組成物が発泡し体積膨張する際に、
膨張ムラやひずみが発生し易い、永久歪みが大きいため
に脱型作業がしにくい、歪みによって硬度ムラが生じ易
い等の問題があることも分かった。
【0007】そこで、本発明が解決しようとする課題
は、低硬度で、永久歪みが小さい導電性ゴムローラを提
供することである。本発明が解決しようとする別の課題
は、低硬度で、永久歪みが小さい導電性ゴムローラを、
脱型作業が容易で、効率よく製造することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために、種々の実験を重ねた結果、導電性ゴム
ローラの外周側スキン層の厚みと導電性発泡体層の発泡
セル構造が、前記課題の解決に重要な関係を持っている
ことを知り、さらに研究を進めて本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の導電性ゴムローラは、
円柱状の導電性支持体と、この導電性支持体表面を環状
に包む導電性発泡体層と、この導電性発泡体層外周面に
積層された非発泡性電気抵抗層とを備え、前記導電性発
泡体層は、その大部分が発泡層からなり、前記導電性支
持体に接する面が内周側スキン層、前記非発泡性電気抵
抗層と接する面が外周側スキン層となっている導電性ゴ
ムローラであって、前記発泡層がローラの両側端面で露
出し、前記導電性発泡体層の吸水率が15〜100%で
あり、前記外周側スキン層の平均厚みが5〜300μm
の範囲内であることを特徴とする。
【0010】本発明の導電性ゴムローラの製造方法は、
円柱状の導電性支持体に密着状に発泡性ゴム組成物のチ
ューブを被せ接着させてなる挿入物を筒状金型に入れて
前記チューブを加硫発泡させることにより、大部分が発
泡層からなり、前記導電性支持体に接する面が内周側ス
キン層、前記非発泡性電気抵抗層と接する面が外周側ス
キン層となった導電性発泡体層に変換する成形工程と、
前記成形工程で得られた成形体を前記筒状金型から取り
出して前記導電性発泡体層外周面に前記非発泡性電気抵
抗層を形成する電気抵抗層形成工程とを備えた導電性ゴ
ムローラの製造方法において、前記チューブの加硫発泡
を、前記導電性発泡体層の吸水率が15〜100%とな
るとともに前記外周側スキン層の平均厚みが5〜300
μmの範囲内となる条件で行い、前記成形体の両側端部
を切断して前記発泡層を露出させることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい実施の
形態を説明するが、本発明の範囲は下記の実施形態に限
定されない。導電性ゴムローラ導電性ゴムローラは、図
1〜3に示すように、円柱状(棒状)の導電性支持体
(シャフト)1を回転中心にして回転可能になってお
り、この導電性支持体を軸心としてその周囲に環状のロ
ーラ本体2を備えている。
【0012】導電性支持体1としては、導電性を有し、
円柱状のものであれば、特に限定はない。導電性を有す
る材料としては、たとえば、銅、アルミニウム、炭素
鋼、ステンレス等を挙げることができる。なお、導電性
支持体2は、その表面部分のみが上記例示から選ばれる
材質からなるものであっても良い。また、円柱内部に空
隙がある円筒形状等であってもよいのである。したがっ
て、導電性を有し、円柱状のものであれば、従来から用
いられているものそのまま使用することも可能である。
【0013】ローラ本体2は、導電性支持体1の表面を
環状に包む導電性発泡体層3と、この導電性発泡体層3
の外周面に積層された非発泡性電気抵抗層4とを備えて
いる。導電性発泡体層3は、その大部分が発泡層31か
らなり、導電性支持体1に接する面が内周側スキン層3
2、非発泡性電気抵抗層4と接する面が外周側スキン層
33となっている。導電性発泡体層3は通常、導電性支
持体1に接着固定されているが、この接着固定に用いら
れる接着剤としては特に限定はないが、たとえば、ケム
ロック220等のエポキシ系硬化型接着剤等を挙げるこ
とができる。
【0014】内周側スキン層32は、発泡層31の内側
にあって、300倍に拡大した断面写真を撮影して、発
泡層31中の気泡の平均径の1/2以上の大きさの気泡
がない層である。また、外周側スキン層33は、発泡層
31の外側にあって、同様に300倍に拡大した断面写
真を撮影して、発泡層31中の気泡の平均径の1/2以
上の大きさの気泡がない層である。内周側スキン層32
と外周側スキン層33は、いずれも、発泡層31と同一
の素材からなっているが、単位体積中に含まれる気泡の
合計体積で定義される気泡密度については、導電性発泡
体層3において、内周側スキン層32と外周側スキン層
33の気泡密度は発泡層31の気泡密度よりも非常に小
さいのが特徴である。しかし、内周側スキン層32と外
周側スキン層33に気泡が全くないわけではない。
【0015】このように、気泡密度が、発泡層31と内
周側スキン層32および外周側スキン層33とで相違す
るのは、導電性発泡体層3が後述のように筒状金型中で
形成される際に、導電性発泡体層3の内周側面が導電性
支持体1に圧接し、外周側面が筒状金型内面に圧接する
することによって、これらの圧接部分(内周側スキン層
32と外周側スキン層33)で、発泡よりも加硫が先行
するため気泡密度が低下し、表皮状となるからであると
考えられる。外周側スキン層33表面の平均粗さRz
は、0〜100μmであり、0μmであるのが最も好ま
しい。平均粗さRzが100μmを超えると、非発泡性
電気抵抗層4を形成した後でも十分に表面が滑らかにな
らず、画像に影響を及ぼすことがある。
【0016】導電性発泡体層3は、たとえば、発泡剤を
含む発泡性ゴム組成物を加硫発泡させて得られる。この
発泡性ゴム組成物は、硬化ゴムとなる成分と導電性付与
剤を含む材質であることが必要であり、通常は発泡剤を
含有して発泡性を備える。加硫して硬化ゴムとなるゴム
成分としては、たとえば、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重
合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ムの水素化物、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴ
ム、ウレタンゴム等のゴム等を挙げることができ、これ
らのゴム成分は1種または必要に応じて2種以上を用い
ることができる。
【0017】導電性付与剤としては、たとえば、チャン
ネルブラック、ファーネストブラック、アセチレンブラ
ック等のカーボンブラック等を挙げることができ、これ
らの導電性付与剤は1種または必要に応じて2種以上を
用いることができる。カーボンブラックとしては、IS
AF、HAF、FEF等のグレードのものが好ましい。
導電性付与剤として、さらに、金属酸化物、グラファイ
ト等を補助的に用いてもよい。
【0018】発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、
ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4’−オキ
シビスベンゼンスルホニルヒドラジッド等を挙げること
ができ、これらの発泡剤は1種または必要に応じて2種
以上を用いることができる。導電性発泡体層3は、導電
性ゴムローラの両側端面5、5(図1、図3参照)で露
出しており、その発泡層33の内部と外界とで空気の交
換が効率よく行えるようになっている。このため、導電
性発泡体層3に永久歪みが生じにくく、長期間使用して
もへこみが生じることがないようになっている。
【0019】導電性発泡体層3は、連通気泡と独立気泡
が混在しており、電気抵抗層形成用コーティング剤に対
する適正な吸収性を有する。本発明では、この吸収性を
吸水率で表す。すなわち、導電性発泡体層3の吸水率は
導電性発泡体層中の連続気泡の割合を示す指標である。
この吸水率(A)は以下に示す測定方法で計算される。
すなわち、導電性発泡体層試料の重量(W1 )を測定
し、水温20℃の水を入れたデシケーター中に、試料を
水面下50mm浸漬させ、デシケーター内を125mm
Hgで3分間保持する。減圧状態から常圧に戻し、さら
に3分間浸漬を続け、試料を取り出し、その表面をロ紙
で拭き取り、浸漬後の試料の重量(W3 )を測定して、
下式で吸水率を計算した。 A=100(W3 −W1 )/W1 (%) 吸水率は、15〜100%の範囲にあって連続気泡の割
合がやや多いため、永久歪みと硬度との釣り合いがとれ
て収縮率が小さくなる。吸水率は、好ましくは15〜8
0%、さらに好ましくは15〜60%である。導電性発
泡体層3の吸水率が15%未満であると、連続気泡が少
なく独立気泡が多くなり過ぎるため、導電性発泡体層3
内部に多量のガスが蓄積された状態となり、製造時に筒
状金型からぬけにくく、導電性発泡体層3の外径精度が
低くなり、収縮率が大きくて導電性発泡体層3の永久歪
みが大きくなる。一方、導電性発泡体層3の吸水率が大
きすぎて100%を超えると、連続気泡が多くなり過
ぎ、内周側スキン層32や外周側スキン層33に開孔部
が多くなり、電気抵抗層形成用コーティング剤を吸収し
過ぎて、導電性発泡体層3の硬度が高くなってしまう。
【0020】外周側スキン層33の平均厚みは5〜30
0μmの範囲内であり、好ましくは5〜100μm、さ
らに好ましくは5〜50μmである。外周側スキン層3
3の平均厚みが5μm未満であると、外周側スキン層3
3が薄すぎて、外周側スキン層33中にわずかに残って
いる連続気泡を通じてコーティング材が発泡層31にま
で侵入し、導電性ゴムローラの硬度が高くなってしまい
好ましくない。一方、外周側スキン層33の平均厚みが
300μmを超えると、外周側スキン層33の厚みに起
因して、この場合も導電性ゴムローラ全体の硬度が高く
なってしまうため好ましくない。
【0021】内周側スキン層32の平均厚みは、好まし
くは5〜500μmの範囲内であり、さらに好ましくは
5〜300μmである。内周側スキン層32の平均厚み
が5μm未満であると、発泡層31に接着剤がしみ込
み、抵抗ムラが生じ、画像ムラを引き起こすことがあ
る。一方、内周側スキン層32の平均厚みが500μm
を超えると、ゴムローラ自体の硬度が高くなり好ましく
ない。導電性発泡体層3、発泡層31の平均厚みについ
ては、製品ごとにことなるため特に限定はない。
【0022】非発泡性電気抵抗層4は、導電性発泡体層
3の外周面に積層されており、非発泡性で電気抵抗性を
有する層であれば、特に限定はない。その材料は、たと
えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等である。非発泡性
電気抵抗層4の平均厚みは3〜20μm、電気抵抗は5
〜12LogΩ・cmである。導電性ゴムローラは、そ
の導電性支持体1に電圧を印加し、ローラ本体2の外周
面を被帯電体に接触させることにより、被帯電体の帯電
または放電を行う。導電性ゴムローラの電気抵抗R
(Ω)は、103 〜1010Ωであり、104 〜10 9 Ω
であると、得られる画質と帯電効率が良好となるため好
ましい。電気抵抗が103 Ω未満であると、リーク、紙
汚れ等の画像における問題が発生することがある。一
方、電気抵抗が1010Ωを超えると、帯電効率が悪化
し、実用に適さなくなることがある。
【0023】電気抵抗の測定は、図4に示す概略図に従
って行われる。すなわち、ローラ本体2の外周面がアル
ミニウム板6に接触するように、導電性ゴムローラを配
置し、導電性支持体1両端に500gづづ荷重Wを加
え、100Vの電圧を印加した時の電流値(A)を測定
し、オームの法則で電気抵抗R(Ω)を求めるのであ
る。
【0024】導電性ゴムローラの硬度は、従来のものよ
りも低く、アスカーCで20〜50の範囲であり、好ま
しくは25〜45の範囲である。アスカーCで20未満
であると、硬度があまり低すぎて、ローラの永久歪み
(へこみ)が生じやすくなり、また、摩耗しやすくて耐
久性に欠けるため好ましくない。一方、硬度がアスカー
Cで50を超えると、帯電ロール等に用いた場合、被帯
電体との十分な接触面積が得られず、帯電不良の問題が
生じることがある。なお、硬度(アスカーC)測定は、
高分子計器製のゴム硬度計「DD2型、形式C」を用い
て、ローラの表面に荷重500gで硬度計を垂直に押し
あてて、5秒後の値を読んで硬度とした。
【0025】導電性ゴムローラ3の圧縮永久歪みは20
%以下が好ましい。圧縮永久歪みが20%を超えると、
永久歪みが大きく、へこみが生じて、接触圧ムラ、抵抗
ムラが生じるおそれがあるため好ましくない。導電性ゴムローラの製造方法 本発明の導電性ゴムローラの製造方法は、成形工程と電
気抵抗層形成工程とを備えている。
【0026】まず、成形工程について説明する。成形工
程では、最初に、円柱状の導電性支持体を用意する。発
泡性ゴム組成物のチューブも用意しておく。このチュー
ブを導電性支持体に密着状に被せ接着させて、挿入物を
作製する。クロスヘッド押出等でチューブを作製する時
に同時に導電性支持体の挿入を行ってもよい。チューブ
と導電性支持体との接着に用いられる接着剤としては、
両者を強く密着させることができる接着剤であれば、特
に限定はない。
【0027】発泡性ゴム組成物は、これを加硫発泡させ
て得られる導電性発泡体層が、導電性を有し、しかも気
泡を内部に有した発泡物となるものであれば特に限定は
ないが、たとえば、ゴム成分と、導電性付与剤と、発泡
剤と、加硫剤と、加硫促進剤とを含むゴム組成物を挙げ
ることができる。ここで、ゴム成分および導電性付与剤
については前述のものを挙げることができる。
【0028】発泡性ゴム組成物に含まれる発泡剤として
は、たとえば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペン
タメチレンテトラミン、4,4’−オキシビスベンゼン
スルホニルヒドラジッド等を挙げることができ、これら
の発泡剤は1種または必要に応じて2種以上を用いるこ
とができる。発泡性ゴム組成物に含まれる加硫剤として
は、たとえば、イオウ、有機過酸化物等を挙げることが
でき、これらの加硫剤は1種または必要に応じて2種以
上を用いることができる。
【0029】発泡性ゴム組成物に含まれる加硫促進剤と
しては、たとえば、2−メルカプトベンゾチアゾール、
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェン
アミド、ジメチルジチオカルバミン酸第二鉄等を挙げる
ことができ、これらの加硫促進剤は1種または必要に応
じて2種以上を用いることができる。発泡性ゴム組成物
には、必要に応じて、たとえば、ナフテン系プロセスオ
イル等の軟化剤;酸化亜鉛、ステアリン酸等の加硫助
剤;老化防止剤;補強剤;充填剤;ワックス等の添加剤
を配合することができる。
【0030】発泡性ゴム組成物中に含まれる、ゴム成
分、導電性付与剤、発泡剤、加硫剤および加硫促進剤の
配合割合については、特に限定はないが、たとえば、ゴ
ム成分100重量部に対して、導電性付与剤10〜60
重量部、発泡剤3〜25重量部、加硫剤0.5〜5重量
部および加硫促進剤0.3〜5重量部であり、導電性付
与剤10〜40重量部、発泡剤3〜10重量部、加硫剤
1〜4重量部および加硫促進剤0.5〜2重量部である
と、低硬度で、電気抵抗が適度な導電性ゴムローラが得
られるため好ましい。なお、添加剤の配合量は特に限定
はなく、必要量を適宜使用することができる。
【0031】次に、ゴム成分、導電性付与剤、発泡剤、
加硫剤および加硫促進剤を必須成分として含んだ発泡性
ゴム組成物を、混練後、円筒状に押出成形して、チュー
ブを作製する。チューブの作製条件については、特に限
定はないが、たとえば、混練温度30〜140℃、混練
時間3〜20分間の混練条件;押出温度30〜70℃、
押出圧100〜300kg/cm2 の押出成形条件を挙
げることができる。
【0032】押出成形して得られるチューブの寸法(外
径および長さ)については、特に限定はないが、たとえ
ば、 外径={(円筒状金型内寸法)−(押出内径)}×0.
3〜1.0+押出内径 長さ=(導電性支持体に沿った導電性発泡体層の長さ)
×0.7〜1.1 (但し、円筒状金型内寸法は、チューブを加硫発泡させ
るのに用いられ、後述で述べる円筒状金型の内寸法であ
る。また、押出内径は、押出成形して得られるチューブ
の内径である。)を挙げることができる。チューブの外
径および長さが上記に範囲に設定されていると、作業性
がよく、発泡性ゴム組成物の損失が少ないため好まし
い。
【0033】このようにして得られた挿入物を筒状金型
に入れてチューブを加硫発泡させると、チューブは導電
性発泡体層に成形される。筒状金型としては、たとえ
ば、パーティングがなく両端が開放されている円筒状の
金型が用いられる。筒状金型内では、少なくとも加硫発
泡が行われ、必要に応じて、2次加硫が行われる。得ら
れた導電性発泡体層は、大部分が発泡層からなり、導電
性支持体に接する面が内周側スキン層、非発泡性電気抵
抗層と接する面が外周側スキン層となっている。
【0034】内周側スキン層は、イオウ等の加硫剤の使
用量を増やすと、その厚みが厚くなる。また、導電性発
泡体層の吸水率は、発泡剤の使用量を増やすと、高くな
る。加硫発泡方法については特に限定はないが、たとえ
ば、加硫発泡が加硫缶加硫発現法であると、低硬度の導
電性ゴムローラが得られやすくなるため好ましく、無圧
オーブン加硫発泡、プレス加硫発泡等の加硫発泡方法で
あってもよい。加硫発泡条件および2次加硫条件につい
ては、発泡性ゴム組成物の配合、チューブの形状等によ
って変化するが、通常、加硫発泡温度140〜170
℃、加硫発泡時間0.5〜6時間程度;2次加硫温度1
40〜200℃、2次加硫時間0.5〜4時間程度であ
る。
【0035】筒状金型内径寸法については、特に限定は
ないが、たとえば、 筒状金型内径寸法=導電性ゴムローラ外径+導電性発泡
体層収縮代+非発泡性電気抵抗層 となるように設定される。なお、導電性発泡体層の収縮
代は、通常、加硫発泡後の導電性発泡体層の収縮率が、
発泡性ゴム組成物の配合、チューブの形状等によって変
化するので、数度の実験を行って収縮代の実験値から決
定される。
【0036】次に、電気抵抗層形成工程について説明す
る。電気抵抗層形成工程は、上記成形工程で得られた成
形体を筒状金型から取り出して、導電性発泡体層外周面
に非発泡性電気抵抗層を形成する工程である。非発泡性
電気抵抗層は、たとえば、コーティング材をスプレー等
で塗装することによって形成される。コーティング材と
しては、たとえば、カルボキシル基変性ウレタンと、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキ
シ系シランカップリング剤(硬化剤)とを含む組成物を
挙げることができる。
【0037】一方、非発泡性電気抵抗層を形成させた
後、成形体の両側端部を幅カットする。このようにする
と、導電性発泡体層中の発泡層が外部に露出するように
なる。
【0038】
【実施例】以下に、本発明の具体的な実施例および比較
例を示すが、本発明は、以下の実施例に限定されない。
以下、「部」は「重量部」示す。 (実施例1〜3)表1に示す配合割合で配合し、15分
間混練した後、40℃に温度調節された押出機で押出成
形してチューブを得た。得られたチューブの寸法は外径
20mm、内径8.5mm、長さ300mmであった。
接着剤を塗布した直径8mm、長さ330mmの芯金
(導電性支持体)を、上記チューブに挿入して、両者を
接着させて挿入物を得た。室温まで冷却した後、最終的
に得られる導電性ゴムローラの外径寸法に合わせて、内
径寸法を決めた、パーティングのない両端開放の筒状金
型の内部に挿入物を入れ、160℃で30分間加硫発泡
させ、さらに熱風オーブンに入れ160℃で2時間2次
加硫を行って、導電性支持体と導電性発泡体層とからな
る成形体を得た。
【0039】導電性支持体に沿った導電性発泡体層部分
の長さを、314mmになるように切断し、導電性発泡
体層の外周面に、エムラロン345ESD(日本アチソ
ン)100部と、硬化剤としてエポキシ系シランカップ
リング剤5.5部とを含むコーティング材を塗布して、
160℃のオーブンで20分間焼成して、図2に示す構
造を有する導電性ゴムローラを得た。
【0040】得られた導電性ゴムローラについて、電気
抵抗、硬度、圧縮永久歪みおよび画質ムラを以下に示す
方法で測定した。なお、成形加工性は、得られた導電性
ゴムローラを目視で判定した。内周側スキン層および外
周側スキン層の厚みは、前述の300倍に拡大した断面
写真から、内周側スキン層と発泡層との境界、外周側ス
キン層と発泡層との境界を決定して厚みを算出した。以
上の結果を表1に示す。電気抵抗 電気抵抗の測定は、図4に示す概略図に従って前述と同
様に行われる。電気抵抗Rは100Vを印加した場合の
値であり、対数値(Log R)で表示した。 硬度 硬度はローラに硬度計を荷重500gで押し当てて読み
取った値である。圧縮永久歪み 圧縮永久歪みは、「加硫ゴム物理試験方法」(JIS
K 6301)の圧縮永久歪み試験に基づいて測定し
た。圧縮した部分の割合は試験片の25%であり、熱処
理温度70℃、処理時間22時間で行った。画質ムラ 富士ゼロックス社製Able3321のカートリッジ内
の帯電ロールを導電性ゴムローラに置き換えて、絵出し
(灰ベタプリント)して、画質ムラの有無を調べた。画
質ムラのないものを○、画質ムラのあるものを×と評価
した。
【0041】(比較例1〜5)表2に示す配合割合で配
合し、以下の操作については表2に記載された例外を除
いて上記実施例と同様に行って、比較導電性ゴムローラ
を得た。得られた比較導電性ゴムローラについて、電気
抵抗、硬度、圧縮永久歪みおよび画質ムラを測定した。
その結果を表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】表1および表2に示した各成分の詳細は以
下のとおり。 NBR:日本ゼオン(株)製、ニッポールDN401L
L。 EPDM:三井石油化学工業(株)製、EPT402
1。 カーボンブラック:三菱化学(株)製、ダイヤブラック
H。 酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製、酸化亜鉛2種。
【0045】ステアリン酸:日本油脂(株)製、ステア
リン酸(ビーズ)桐。 イオウ:鶴見化学製、粉末イオウ(メッシュ#20
0)。 加硫促進剤:三新化学工業(株)製、サンセラーCM。 発泡剤:永和化成工業(株)製、ビンホールAC#3お
よびセルペーストの1:1混合物。
【0046】表1より、実施例1〜3では、低硬度で、
永久歪みが小さく、外観良好で画像ムラが発生しない導
電性ゴムローラが得られることがわかった。表2より、
比較例1では、導電性発泡体層の吸水率が15%未満で
あるため、連続気泡が少なく、独立気泡が多くなるた
め、導電性発泡体層の内部に多量のガスが蓄積された状
態となり、製造時に筒状金型からぬけにくく、導電性発
泡体層の外径精度が低く、収縮率が小さく、永久歪みが
大きかった。比較例2では、導電性発泡体層の吸水率が
あまり大きすぎて100%を超えているため、連続気泡
が多くなるが、導電性発泡体層を形成する際に、発泡ガ
スが抜けてしまうため導電性発泡体層の硬度が高くな
り、導電性ゴムローラ全体の硬度が高かった。比較例3
では、導電性ゴムローラの両側端面で発泡層が露出せ
ず、スキン層で覆われたままであるため、発泡層内部と
外界との空気の交換が効率よく行うことができず、長期
間使用すると、永久歪みが大きいため、へこみが生じや
すく、画像に影響があった。比較例4では、外周側スキ
ン層の平均厚みが5μm未満である。外周側スキン層中
にわずかな気泡があり、外周側スキン層の外周面にコー
ティング材を塗布して非発泡性電気抵抗層を形成する
際、コーティング材が外周側スキン層に侵入し、さらに
外周側スキン層を通過して発泡層にまで侵入している。
このようにコーティング材が侵入して硬化したため、導
電性ゴムローラの硬度が高くなってしまった。比較例5
では、外周側スキン層の平均厚みが300μmを超えて
いるため、外周側スキン層の硬度が高くなり、導電性ゴ
ムローラ全体の硬度が高くなってしまった。
【0047】
【発明の効果】本発明の導電性ゴムローラは、低硬度
で、永久歪みが小さい導電性ゴムローラを提供すること
ができる。本発明の導電性ゴムローラの製造方法は、低
硬度で、永久歪みが小さい導電性ゴムローラを、容易か
つ効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の導電性ゴムローラの外観を表す斜視図
である。
【図2】本発明の導電性ゴムローラの縦断面を表した縦
断面図である。
【図3】本発明の導電性ゴムローラの片方の端部を拡大
した横断面図である。
【図4】本発明の導電性ゴムローラの電気抵抗を測定す
る方法を示す概略図である。
【符号の説明】
1 導電性支持体 2 ローラ本体 3 導電性発泡体層 31 発泡層 32 内周側スキン層 33 外周側スキン層 4 非発泡性電気抵抗層 5 端面 6 アルミ板
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B65H 27/00 B65H 27/00 A G03G 15/02 101 G03G 15/02 101 15/20 103 15/20 103

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円柱状の導電性支持体と、この導電性支持
    体表面を環状に包む導電性発泡体層と、この導電性発泡
    体層外周面に積層された非発泡性電気抵抗層とを備え、
    前記導電性発泡体層は、その大部分が発泡層からなり、
    前記導電性支持体に接する面が内周側スキン層、前記非
    発泡性電気抵抗層と接する面が外周側スキン層となって
    いる導電性ゴムローラであって、 前記発泡層がローラの両側端面で露出し、前記導電性発
    泡体層の吸水率が15〜100%であり、前記外周側ス
    キン層の平均厚みが5〜300μmの範囲内であること
    を特徴とする導電性ゴムローラ。
  2. 【請求項2】円柱状の導電性支持体に密着状に発泡性ゴ
    ム組成物のチューブを被せ接着させてなる挿入物を筒状
    金型に入れて前記チューブを加硫発泡させることによ
    り、大部分が発泡層からなり、前記導電性支持体に接す
    る面が内周側スキン層、前記非発泡性電気抵抗層と接す
    る面が外周側スキン層となった導電性発泡体層に変換す
    る成形工程と、 前記成形工程で得られた成形体を前記筒状金型から取り
    出して前記導電性発泡体層外周面に前記非発泡性電気抵
    抗層を形成する電気抵抗層形成工程と、を備えた導電性
    ゴムローラの製造方法であって、 前記チューブの加硫発泡を、前記導電性発泡体層の吸水
    率が15〜100%となるとともに前記外周側スキン層
    の平均厚みが5〜300μmの範囲内となる条件で行
    い、前記成形体の両側端部を切断して前記発泡層を露出
    させることを特徴とする導電性ゴムローラの製造方法。
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