JPH10158855A - 耐黒変性および表面外観に優れた電解クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

耐黒変性および表面外観に優れた電解クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

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JPH10158855A
JPH10158855A JP31674296A JP31674296A JPH10158855A JP H10158855 A JPH10158855 A JP H10158855A JP 31674296 A JP31674296 A JP 31674296A JP 31674296 A JP31674296 A JP 31674296A JP H10158855 A JPH10158855 A JP H10158855A
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hot
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dip galvanized
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JP31674296A
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Yoshiharu Sugimoto
芳春 杉本
Mikio Kaihara
巳樹雄 貝原
Satoru Hashimoto
哲 橋本
Masaaki Yamashita
正明 山下
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐黒変性に優れ、表面外観の均一で美麗な電
解クロメート処理溶融亜鉛系めっき鋼板およびその製造
方法を提供する。 【解決手段】 溶融亜鉛めっき皮膜が形成された溶融亜
鉛めっき鋼板の前記溶融亜鉛めっき皮膜の表面に、金属
Alとして5〜40mg/m2のAl酸化物を含む酸化物
層を有し、そして、前記酸化物層の表面に、金属換算で
0.5〜25mg/m2のCoおよび/またはNiと、そ
して、金属クロム換算で5〜80mg/m2のクロメート
とを含むクロメート皮膜を有することを特徴とする、耐
黒変性および表面外観に優れた電解クロメート処理溶融
亜鉛めっき鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、耐黒変性および
表面外観に優れた電解クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼
板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、クロメート処理された溶融亜鉛
めっき鋼板は、耐食性に優れているので、建材、家庭用
電気機器の構成材料、電動モータのカバー等の広い分野
で用いられている。溶融亜鉛めっき鋼板は外観および表
面形状を向上するために、スキンパス圧延が施される。
スキンパス圧延が施され、クロメート処理が行われたク
ロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板は、倉庫等での保管中
にめっき表面の一部または全面が灰黒色に変色する、い
わゆる、黒変という問題が生じる。この黒変現象は、溶
融亜鉛めっき鋼板におけるめっき表面の腐食初期に表れ
る現象であって、高温多湿雰囲気下で加速され、スキン
パス圧延されたクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板にお
いて多く見られる。
【0003】このクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板に
おける耐黒変性を改善する方法として、特開平2−10
1151には、溶融亜鉛めっき浴の組成をコントロール
して、溶融亜鉛めっき鋼板を調製し、、必要に応じて伸
び率0.3〜1.5%のスキンパス処理を溶融亜鉛めっ
き鋼板に施し、そして、クロメート処理を施すクロメー
ト処理溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されている
(以下、先行技術1という)。更に、特開平5−816
73には、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に伸び率0.3〜
1.5%のスキンパス処理を施し、Ni、Coイオンの
一方または両者の溶液で処理した後、クロメート処理す
ることからなるクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法が開示されている(以下、先行技術2という)。
更に、特開平6−57392には、溶融亜鉛(合金)め
っき鋼板を、モリブデン酸塩水溶液で処理した後、クロ
メート処理することからなるクロメート処理溶融亜鉛め
っき鋼板の製造方法が開示されている(以下、先行技術
3という)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1から3には
次の問題点がある。即ち、先行技術1においては、めっ
き浴の組成を制御することによって、めっき皮膜の改善
を図ろうとしている。しかしながら、先行技術1の方法
によると、耐黒変性の改善効果は不十分である。先行技
術2においては、溶融亜鉛めっき鋼板の表面に伸び率
0.3〜1.5%のスキンパス処理を施すことによっ
て、表面酸化物層が部分的に破壊されるが、Co、Ni
が表面酸化物層の破壊部に濃化して析出する。この析出
したCo、Niにより黒変が防止されると推定される。
しかしながら、先行技術2によると、先行技術1に比べ
て部分的に耐黒変性と表面外観の均一性が改善されるけ
れども、先行技術2においてもその改善効果は必ずしも
十分ではなく、また、その耐黒変性に大きなばらつきが
生じる。
【0005】先行技術3においては、モリブデン酸ナト
リウム、モリブデン酸アンモニウム中のモリブデンが、
先行技術2における析出した金属Co、Niと同様の役
割を果たすと推定されるが、その効果は、Co、Niに
比べて若干劣っており、また、先行技術2と同様にその
耐黒変性に大きなばらつきが生じる。上述したように、
先行技術1〜3の方法は、めっき浴組成を制御するこ
と、および、スキンパスやめっき後処理等を施すことに
よる改善対策であり、耐黒変性の改善効果が一部観察さ
れているが、その改善効果は必ずしも十分ではないとい
う問題点があった。
【0006】また、表面外観に関しては、従来、クロメ
ート皮膜の付着量が大きくなると、クロメート皮膜の不
均一性が強まって、外観ムラが発生し易くなるという傾
向があった。更に、溶融亜鉛めっきにおいては、スキン
パス等によって表面酸化物の表面に不可避的に発生する
クラックの影響によって、付着したクロメートに厚い部
分と薄い部分とが不均一に生じる。更に、このような表
面酸化物は、クロメート処理液のぬれ性が悪いためクロ
メートの厚い部分、薄い部分が共存することになる。こ
のように生じたクロメート処理ムラによって表面外観の
均一性が、低下してしまうことがわかった。また、この
クロメートの不均一性により耐黒変性もまた、低下する
ことがわかった。即ち、溶融亜鉛めっきでは、表面酸化
層が耐黒変性や表面外観に極めて重要な影響を与えてい
ることがわかる。
【0007】従って、この発明の目的は、耐黒変性に優
れ、表面外観の均一で美麗な電解クロメート処理溶融亜
鉛系めっき鋼板およびその製造方法を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、溶融亜
鉛めっき鋼板の溶融亜鉛めっき皮膜の表面に、金属Al
として5〜40mg/m2のAl酸化物を含む酸化物層を
形成し、次いで、酸化物層の表面に、Co塩および/ま
たはNi塩を含有する水溶液を使用して接液処理を施し
て、金属換算で0.5〜25mg/m2のCoおよび/ま
たはNiからなる皮膜を形成し、そして、次いで、pH
が2〜6であるクロメート処理液を使用して電解クロメ
ート処理を施すことによって、耐黒変性および表面外観
に優れた電解クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板が得ら
れることを知見した。
【0009】本発明の、耐黒変性および表面外観に優れ
たクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板は、上記知見に基
づいてなされたものであって、溶融亜鉛めっき皮膜が形
成された溶融亜鉛めっき鋼板の前記溶融亜鉛めっき皮膜
の表面に、金属Alとして5〜40mg/m2のAl酸化
物を含む酸化物層を有し、そして、前記酸化物層の表面
に、金属換算で0.5〜25mg/m2のCoおよび/ま
たはNiと、そして、金属クロム換算で5〜80mg/
m2のクロメートとを含むクロメート皮膜を有することを
特徴とするものである。
【0010】更に、本発明の、耐黒変性および表面外観
に優れたクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板は、溶融亜
鉛めっき皮膜が形成された溶融亜鉛めっき鋼板の前記溶
融亜鉛めっき皮膜の表面に、金属Alとして5〜40m
g/m2のAl酸化物を含む酸化物層を有し、前記酸化物
層の表面に、金属換算で0.5〜25mg/m2のCoお
よび/またはNiを含む皮膜を有し、そして、前記Co
および/またはNiを含む皮膜の表面に、金属クロム換
算で5〜80mg/m2のクロメートを含むクロメート皮
膜を有することを特徴とするものである。
【0011】更に、本発明の、耐黒変性および表面外観
に優れたクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
は、鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっ
き鋼板を調製し、次いで、前記溶融亜鉛めっき鋼板の溶
融亜鉛めっき皮膜の表面に、金属Alとして5〜40m
g/m2のAl酸化物を含む酸化物層を形成し、次いで前
記酸化物層を有する前記溶融亜鉛めっき鋼板に、Co塩
および/またはNi塩を含有する水溶液を使用して接液
処理を施して、金属換算で0.5〜25mg/m2のCo
および/またはNiからなる皮膜を形成し、そして、次
いで、このようにその表面にCoおよび/またはNiか
らなる皮膜が形成された、前記酸化物層を有する前記溶
融亜鉛めっき鋼板に、pHが2〜6であるクロメート処
理液を使用して電解クロメート処理を施すことからなる
ことを特徴とするものである。
【0012】更に、本発明の、耐黒変性および表面外観
に優れたクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法
は、鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっ
き鋼板を調製し、次いで、前記溶融亜鉛めっき鋼板の溶
融亜鉛めっき皮膜の表面に、金属Alとして5〜40m
g/m2のAl酸化物を含む酸化物層を形成し、次いで前
記酸化物層を有する前記溶融亜鉛めっき鋼板に、Co塩
および/またはNi塩を含有し、pHが2〜6であるク
ロメート処理液を使用して電解クロメート処理を施すこ
とからなることを特徴とする、耐黒変性および表面外観
に優れた電解クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、この発明の耐黒変性および
表面外観に優れたクロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板お
よびその製造方法について詳細に説明する。本発明にお
いて使用される溶融亜鉛めっき鋼板は、鋼板を溶融めっ
きしたものであればよく、材質、厚さ等に関して特に制
限はない。
【0014】本発明の溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜
の表面に形成される、Al酸化物を含む酸化物層におけ
るアルミニウムの金属酸化物の量が、金属換算で、5〜
40mg/m2の範囲内であるとき、優れた耐黒変性を得
ることができる。アルミニウム(の金属)酸化物の量
が、金属換算で、5mg/m2未満のときは、耐黒変性が
劣化して、顕著な効果が得られない。一方、アルミニウ
ム酸化物の量が、金属換算で、40mg/m2を超える
と、酸化物層の密着性が低下して、脱離し、耐食性、外
観均一性、耐黒変性が劣化する。従って、上記アルミニ
ウム酸化物の量は、金属換算で、5〜40mg/m2の範
囲内に限定すべきである。
【0015】上記酸化物層の厚さは、溶融めっきが凝固
する時の雰囲気ガス中の酸素濃度、溶融めっきの浴温、
ならびに、めっき後のアルカリ性溶液へのディップまた
はアルカリ性溶液のスプレーなどによって制御される
が、本発明において、酸化物層の厚さの制御は他の方法
によって行ってもよく、これに限定されるものではな
い。
【0016】Coおよび/またはNiを含む皮膜は、次
の2つの方法によって形成される。即ち、Coおよび/
またはNiを含む皮膜は、クロメート処理の前にこれ等
の金属イオンを溶解させた水溶液をスプレー、ディップ
等によって接触させ、付着させる方法、または、ディッ
プ時に電解によって付着させる方法等によって、Al酸
化物を含む酸化物層の上に形成され、そして、Coおよ
び/またはNiを含む皮膜の表面にクロメート処理が施
される。Coおよび/またはNiを含む皮膜は、他の方
法、即ち、電解クロメート液にCoおよび/またはNi
を添加して、クロメート処理によって、Al酸化物を含
む酸化物層の上に形成される。
【0017】CoまたはNiの付着量、または、それ等
の合計付着量が、金属換算で0.5〜25mg/m2のと
き、優れた耐黒変性を得ることができる。CoまたはN
iの付着量、または、それ等の合計付着量が、0.5m
g/m2未満のときには、耐黒変性に関して所望の効果を
得ることができない。一方、CoまたはNiの付着量、
または、それ等の合計付着量が、25mg/m2を超える
と、耐黒変性に関する効果が飽和して、不経済であり、
かつ耐食性の低下が生じるようになる。
【0018】本発明の方法において、クロメート処理
は、電解クロメートに限られるが、塗布型クロメートが
不利である理由は、このような表面酸化物が存在する上
層に塗布型クロメートを行うと、酸化物上で塗布したク
ロメートがはじいてしまい易いことや酸化物のクラック
に液がたまり、クロメート付着に不均一が生じ、耐食
性、耐黒変性、均一外観性が劣ることからである。また
反応型クロメートにおいてもまた酸化物のクラック部に
おいてクロメート形成反応が進行しやすく、クロメート
の付着性に不均一が生じる。また、本発明の電解クロメ
ート処理を施すと、塗布または反応型クロメート処理に
よる場合よりも、表面に付着したCo、Niが脱離しに
くいので、Co、Niの添加効果が十分に生かされる。
電解クロメート処理は、陰極電解処理によって、溶融亜
鉛めっき層の上に形成された酸化物層の表面にクロメー
ト皮膜を形成することができるものであればよく、pH
以外は特に限定されない。クロメート処理液のpHが、
2〜6であるとき、優れた耐黒変性および表面外観を得
ることができる。pHが2未満では、エッチング力が強
すぎるので、金属亜鉛層(溶融亜鉛めっき皮膜)が溶解
し、その結果、その上に形成された酸化物層が脱離して
しまって、耐黒変性、外観均一性が低下する。一方、p
Hが6を超えると、クロメート皮膜の生成速度が低下
し、または、緻密なクロメート皮膜が形成されにくく、
表面外観、耐食性が大きく低下する。従って、クロメー
ト処理液のpHは、2〜6の範囲内に限定すべきであ
る。
【0019】電解クロメート処理によって形成されるク
ロメート皮膜が、金属クロム換算で5〜80mg/m2
範囲内の付着量を有するとき、優れた耐黒変性および表
面外観を得ることができる。クロメート皮膜が、金属ク
ロム換算で5mg/m2未満の付着量を有するとき、耐食
性が低く、実用上十分な耐食性が得られない。一方、ク
ロメート皮膜が、金属クロム換算で80mg/m2を超え
る付着量を有するとき、クロメート皮膜の干渉色が非常
に目立ち、外観均一性が大きく低下する。従って、クロ
メート皮膜の付着量は、金属クロム換算で5〜80mg
/m2の範囲内に限定すべきである。
【0020】
【実施例】本発明の耐黒変性および表面外観に優れたク
ロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を
実施例によって、説明する。Al:0.13%、Pb:
0.01%を含有し、残部が亜鉛と不可避的不純物から
なる溶融亜鉛めっき浴によって、亜鉛付着量が90g/
m2の溶融亜鉛めっき鋼板を調製した。次いで、このよう
に調製した溶融亜鉛めっき鋼板のめっき皮膜の表面に、
熱処理条件等によって、金属換算で、本発明の範囲内の
5〜40mg/m2の範囲内の量の亜鉛、アルミニウムの
酸化物からなる酸化物層を形成した。次いで、このよう
にその表面に酸化物層が形成された溶融亜鉛めっき鋼板
に対して、下記の本発明の範囲内の条件で電解クロメー
ト処理を行った。
【0021】電解クロメート処理の条件は次の通りであ
った。即ち、電解クロメート処理液として、クロム成分
として CrO3 を含み、6価のクロム酸を主成分とし、水
酸化ナトリウムを添加することにより、pHを本発明の
範囲内の2〜6とした電解クロメート浴に、硫酸Niお
よび/または硫酸Coを金属イオンとして最大10g/
l添加した処理液を用いた。溶融亜鉛めっき鋼板を上記
電解クロメート浴中に浸漬し、溶融亜鉛めっき鋼板を陰
極として、50℃の温度、電流密度10A/dm 2 で電解
処理を行って、クロム付着量が本発明の範囲内である5
〜80mg/m2の範囲内の電解クロメート処理溶融亜鉛
めっき鋼板のサンプルNo.1〜14を調製した。な
お、クロム付着量は通電時間を変化させることにより、
所望の付着量を得た。上述したように、電解クロメート
処理液中に硫酸塩として硫酸Niおよび/または硫酸C
oを添加した処理液を使用して、酸化物層の表面に、N
iおよび/またはCoおよびクロメートを含む層を形成
する方法をA処理法という。
【0022】次いで、上述した、その表面に酸化物層が
形成された溶融亜鉛めっき鋼板に対して、Coおよび/
またはNiの硫酸塩をこれらの金属イオンとして最大1
0g/l添加したpH3の水溶液による接液処理(スプ
レー処理を主とし、陰極電解も一部実施)を施して、酸
化物層の表面に、金属換算で、0.5〜25mg/m2
範囲内のCoおよび/またはNiの層を形成した。更
に、上述したCoおよび/またはNiの層および酸化物
層を有する溶融亜鉛めっき鋼板に対して、下記の本発明
の範囲内の条件で電解クロメート処理を行った。
【0023】電解クロメート処理の条件は次の通りであ
った。即ち、電解クロメート処理液として、クロム成分
として CrO3 を含み、6価のクロム酸を主成分とし、水
酸化ナトリウムを添加することにより、pHを本発明の
範囲内の2〜6とした電解クロメート浴を用いた。溶融
亜鉛めっき鋼板を上記電解クロメート浴中に浸漬し、溶
融亜鉛めっき鋼板を陰極として、50℃の温度、電流密
度10A/dm2 で電解処理を行って、クロム付着量が本
発明の範囲内である5〜80mg/m2の範囲内の電解ク
ロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板のサンプルNo.15
〜19を調製した。なお、クロム付着量は通電時間を変
化させることにより、所望の付着量を得た。上述したよ
うに、酸化物層の表面にCoおよび/またはNiの層を
形成し、そして、更に、クロメート処理を施す方法をB
処理法という。
【0024】次いで、比較のために、Al:0.13
%、Pb:0.01%を含有し、残部が亜鉛と不可避的
不純物からなる溶融亜鉛めっき浴によって、亜鉛付着量
が90g/m2の、上述した本発明の電解クロメート処理
溶融亜鉛めっき鋼板において使用したと同一の溶融亜鉛
めっき鋼板を調製した。次いで、溶融亜鉛めっき鋼板の
めっき皮膜の表面に、熱処理条件等によって、金属換算
で、表1に示す量のアルミニウムの酸化物からなる酸化
物層を形成した。次いで、このようにその表面に酸化物
層が形成された溶融亜鉛めっき鋼板に対して、下記条件
で電解クロメート処理を行った。
【0025】電解クロメート処理の条件は次の通りであ
った。即ち、電解クロメート処理液として、クロム成分
として CrO3 を含み、6価のクロム酸を主成分とし、水
酸化ナトリウム、および、硫酸Niおよび/または硫酸
Coを添加することにより、表1に示すpH、金属イオ
ンとして添加した硫酸Niおよび/または硫酸Coの量
の、電解クロメート浴を用いた。溶融亜鉛めっき鋼板を
上記電解クロメート浴中に浸漬し、溶融亜鉛めっき鋼板
を陰極として、50℃の温度、電流密度10A/dm2
電解処理を行って、表1に示すクロム付着量を有する、
電解クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の比較用サンプ
ルNo.1〜11を、A処理法によって調製した。な
お、クロム付着量は通電時間を変化させることにより、
所望の付着量を得た。
【0026】次いで、上述した、その表面に酸化物層が
形成された溶融亜鉛めっき鋼板に対して、Coおよび/
またはNiの硫酸塩を添加したpH3の水溶液による接
液処理(スプレー処理を主とし、陰極電解も一部実施)
を施して、酸化物層の表面に、表1に示すように、Co
および/またはNiの層を形成した。更に、上述したC
oおよび/またはNiの層および酸化物層を有する溶融
亜鉛めっき鋼板に対して、下記の条件で電解クロメート
処理を行った。
【0027】電解クロメート処理の条件は次の通りであ
った。即ち、電解クロメート処理液として、クロム成分
として CrO3 を含み、6価のクロム酸を主成分とし、水
酸化ナトリウムを添加することにより、pHを本発明の
範囲内の2〜6とした電解クロメート浴を用いた。溶融
亜鉛めっき鋼板を上記電解クロメート浴中に浸漬し、溶
融亜鉛めっき鋼板を陰極として、50℃の温度、電流密
度10A/dm2 で電解処理を行って、表1に示すクロム
付着量の電解クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の比較
用サンプルNo.12および13を、B処理法によっ
て、調製した。なお、クロム付着量は通電時間を変化さ
せることにより、所望の付着量を得た。その結果を表1
に示す。
【0028】
【表1】
【0029】なお、溶融めっき皮膜の表面に形成される
酸化物の量は、オージェ電子分光法(AES)によって
測定した。標準サンプル(Al2O3)は、真空蒸着法にて作
製し、化学分析によってAl2O3 として存在するAlを定
量して用いた。標準サンプル(Al2O3) をAl2O3 として存
在するAlが無くなるまで、AESによりスパッタし、
測定されるAl強度が酸化物量に対応するとして、酸化
物量に対する検量線を作成した。試料測定では、試料を
深さ方向にスパッタリングし、Al2O3 としてのAlのピ
ークが観測されなくなるまでスパッタリングを継続し
て、検量線との比較からAl2O3 としての酸化物量を算出
した。
【0030】上述した本発明および比較用のクロメート
処理溶融亜鉛めっき鋼板の耐黒変性、表面外観および耐
食性を調査した。クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の
耐黒変性は、相対湿度90%、温度50℃の恒温恒湿環
境において、24時間放置し、その後の外観で、下記の
基準に従って評価した。 ○目視観察により、黒変が認められない △目視観察により、若干黒変が観察される ×目視観察により、黒変が認められる クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の外観均一性は、下
記の基準に従って評価した。 ○目視観察により、不均一な部分が認められない △目視観察により、わずかに不均一な部分が認められる ×目視観察により、明らかに不均一な部分が認められる クロメート処理溶融亜鉛めっき鋼板の耐食性は、塩水噴
霧試験(JIS C2550)を用い、48時間後の白
錆発生面積によって下記の基準に従って評価した。 ○全く錆が発生しない △錆の発生面積が10%以下である ×錆の発生面積が10%を超える それ等の結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、本発明の方法に
よって調製された本発明のクロメート処理溶融亜鉛めっ
き鋼板のサンプルNo.1〜19は、何れも、優れた耐
黒変性、表面外観および耐食性を有している。これに対
して、比較用サンプルNo.1、4または6は、Coお
よび/またはNiの付着量が本発明の範囲外であること
に起因して耐黒変性が劣っていた。比較用サンプルN
o.2は、アルミニウムの酸化物の量が、金属換算で、
5mg/m2未満であることに起因して、耐黒変性が劣っ
ていた。比較用サンプルNo.3は、アルミニウムの酸
化物の量が、金属換算で、40mg/m2を超えることに
起因して、耐黒変性および表面外観が劣っていた。比較
用サンプルNo.5および7は、Coおよび/またはN
iの付着量が本発明の範囲外である30mg/m2である
ことに起因して、耐食性が低下した。比較用サンプルN
o.8または9は、pHが本発明の範囲外であることに
起因して、耐黒変性または表面外観が劣っている。比較
用サンプルNo.10または11は、クロム付着量が本
発明の範囲外であることに起因して、比較用サンプルN
o.10は耐食性が低く、そして、比較用サンプルN
o.11は表面外観が劣っていた。比較用サンプルN
o.12または13は、Ni、Co付着量が本発明の範
囲外であることに起因して、耐黒変性が劣っていた。
【0033】
【発明の効果】本発明によると、耐黒変性に優れ、表面
外観の均一で美麗な、電解クロメート処理溶融亜鉛系め
っき鋼板およびその製造方法が提供され、工業上有用な
効果がもたらされる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融亜鉛めっき皮膜が形成された溶融亜
    鉛めっき鋼板の前記溶融亜鉛めっき皮膜の表面に、金属
    Alとして5〜40mg/m2のAl酸化物を含む酸化物
    層を有し、そして、前記酸化物層の表面に、金属換算で
    0.5〜25mg/m2のCoおよび/またはNiと、そ
    して、金属クロム換算で5〜80mg/m2のクロメート
    とを含むクロメート皮膜を有することを特徴とする、耐
    黒変性および表面外観に優れた電解クロメート処理溶融
    亜鉛めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 溶融亜鉛めっき皮膜が形成された溶融亜
    鉛めっき鋼板の前記溶融亜鉛めっき皮膜の表面に、金属
    Alとして5〜40mg/m2のAl酸化物を含む酸化物
    層を有し、前記酸化物層の表面に、金属換算で0.5〜
    25mg/m2のCoおよび/またはNiを含む皮膜を有
    し、そして、前記Coおよび/またはNiを含む皮膜の
    表面に、金属クロム換算で5〜80mg/m2のクロメー
    トを含むクロメート皮膜を有することを特徴とする、耐
    黒変性および表面外観に優れた電解クロメート処理溶融
    亜鉛めっき鋼板。
  3. 【請求項3】 鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施して溶
    融亜鉛めっき鋼板を調製し、次いで、 前記溶融亜鉛めっき鋼板の溶融亜鉛めっき皮膜の表面
    に、金属Alとして5〜40mg/m2のAl酸化物を含
    む酸化物層を形成し、次いで前記酸化物層を有する前記
    溶融亜鉛めっき鋼板に、Co塩および/またはNi塩を
    含有する水溶液を使用して接液処理を施して、金属換算
    で0.5〜25mg/m2のCoおよび/またはNiから
    なる皮膜を形成し、そして、次いで、 このようにその表面にCoおよび/またはNiからなる
    皮膜が形成された、前記酸化物層を有する前記溶融亜鉛
    めっき鋼板に、pHが2〜6であるクロメート処理液を
    使用して電解クロメート処理を施すことからなることを
    特徴とする、耐黒変性および表面外観に優れた電解クロ
    メート処理溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】 鋼板の表面に溶融亜鉛めっきを施して溶
    融亜鉛めっき鋼板を調製し、次いで、 前記溶融亜鉛めっき鋼板の溶融亜鉛めっき皮膜の表面
    に、金属Alとして5〜40mg/m2のAl酸化物を含
    む酸化物層を形成し、次いで前記酸化物層を有する前記
    溶融亜鉛めっき鋼板に、Co塩および/またはNi塩を
    含有し、pHが2〜6であるクロメート処理液を使用し
    て電解クロメート処理を施すことからなることを特徴と
    する、耐黒変性および表面外観に優れた電解クロメート
    処理溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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