JPH10158733A - レーザ切断性に優れた鋼板及びその製造方法 - Google Patents

レーザ切断性に優れた鋼板及びその製造方法

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JPH10158733A
JPH10158733A JP8331511A JP33151196A JPH10158733A JP H10158733 A JPH10158733 A JP H10158733A JP 8331511 A JP8331511 A JP 8331511A JP 33151196 A JP33151196 A JP 33151196A JP H10158733 A JPH10158733 A JP H10158733A
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雅紀 大村
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亨 海津
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真事 樺澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼構造物に使用される熱間圧延鋼板のレーザ
切断において、良好な切断品質を維持しつつ高速切断を
可能とする鋼板及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 鋼板表面に生成するスケール中にマグネ
タイトが15vol%以上含むことを特徴とするレーザ
切断性に優れた鋼板である。この様な鋼板を製造する方
法は、鋼板の熱間圧延において、その圧延前および圧延
中にデスケーリングを行い、かつ、仕上げ圧延温度を9
50〜650℃、仕上げ圧延の最終圧下率を5〜25
%、仕上げ圧延直後の冷却速度を5〜60℃/s、およ
び巻取り温度を550〜250℃の範囲とし、更にこれ
らの条件を所定の関係式で制御することが必要である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板のレーザ切断
に関するものであり、良好な切断品質を維持しつつ高速
な切断を可能ならしめる鋼板及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来技術】造船、建築、橋梁等には多量の熱間圧延鋼
板が使用されている。ここでいう鋼板とは板厚が1.5 〜
25mmの鋼板である。これら鋼構造物の工作においては
コスト・工数の多くが溶接と切断に占められている。最
近では、これら工作の合理化のため溶接に関しては自動
化が相当に進展しているが、切断の合理化に関しては開
発が端緒についたばかりである。
【0003】鋼板の切断方法としては、従来よりシヤリ
ング、ガス切断、プラズマ切断或いはレーザ切断等の方
法が使用されているが、これらの自動化への適性と生産
性を以下に概括する。シヤリングは自動化が容易であり
生産性も高いが、単純形状の直線切断に限られるため、
素材を準備する手段としてはよいが、部品切断には適さ
ない。
【0004】ガス切断は切断板厚に実質上上限がなく装
置が簡単であるため、最も一般的に使用される切断方法
である。しかしながら、燃焼炎の制御、監視の点で完全
自動化の技術が完成されていない。また、切断幅が広い
ため熱変形が大きいこと、切断速度が低速であることな
どの欠点がある。
【0005】プラズマ切断は板厚が50mm以下の場合に
は高速切断が可能なため、ガス切断に代わり普及しつつ
ある切断方法である。この方法は開先切断には適する
が、ベベル角の精度が悪く、大板から小物部品を多数切
り出す場合には、切断精度の確保が難しいという欠点が
ある。またトーチ寿命が数時間しかなく、その交換のた
め生産性が低下するとともに、完全自動化が容易ではな
い。
【0006】一方、レーザ切断は約20年前より実用化
した切断方法であり、板厚が3.2mm以下の薄板加工業
を中心に普及してきたが、近年のレーザ発振器の高出力
化、低価格化により、板厚のより厚い熱間圧延鋼板の切
断にもその用途が拡がりつつある。
【0007】レーザ切断は装置価格が比較的高価である
点と、現在入手可能な装置の出力が低いために対象板厚
の上限が20mm程度に限定される点を除くと、技術的に
は理想的な切断方法である。その特徴は次のようなもの
である。
【0008】第1 に、切断幅が非常に狭いことである。
このため、切断入熱による熱変形が小さい、切り抜き切
断に加え共通切断が可能である、切断機の出力の割には
高速切断が可能であるなどの長所を有する。
【0009】第2 の特徴として、切断品質が良好であ
る。切断面のベベル角の精度の確保が容易であるととも
に、コーナー部の角度精度の管理も容易である。また、
切断上縁部のスラグ付着が少なく、切断下縁部のスラグ
付着有無が明瞭であり、適性条件設定の判断が容易であ
る。
【0010】第3 に、レーザの光学系、切断トーチの寿
命が長く、レーザの出力が容易であるため、切断作業の
完全自動化が容易であることも大きな特徴である。そこ
で、レーザ切断法は、鋼板切断の合理化に対し最も有力
な方法といえる。
【0011】以上のごとく、レーザ切断は鋼板切断の合
理化に有力な方法であるものの、次の問題点によりその
普及が必ずしも拡大しなかった。すなわち、装置価格が
比較的高価なことである。これは、切断コスト、すなわ
ち単位切断長さ当たりの費用として考える必要がある。
【0012】このためには、装置価格を支配するレーザ
発振器が与えられた場合に、より生産性の高い切断を可
能ならしめる対策が必要である。具体的には、切断機の
運転に消費されるエネルギー効率を高めるとともに、特
に、ノッチ(部分的な切断幅拡大)などの切断不良部の
発生による歩留まり低下を抑える必要がある。
【0013】以上の問題は、切断装置の面からあるいは
鋼板の面からの双方或いはいずれかの改善が必要であ
る。しかしながら、切断装置がすでに相当量使用されて
いる現状では、鋼板特性の改善が有効であり、強く要望
されている。即ち、より生産性の高いレーザ切断が可能
な熱間圧延鋼板を製造することが重要な課題である。
【0014】このような要望に対して、熱間圧延で製造
した鋼板の表面性状、特に表面に生成するスケールがレ
ーザ切断性改善に重要な役割を果たすことが知られてい
る。例えば、特開平7-48622号公報、特開平7-48623号公
報では、鋼板の製造条件を制御することにより、スケー
ルの組成が主としてマグネタイト(Fe3 4)であ
る、均一で密着性の優れた薄いスケールを生成し、鋼板
の二次加工時のスケール疵の発生を抑えるとともに、レ
ーザ切断性も向上するとしている。
【0015】しかし、これらの技術では、薄くて密着性
の高いスケールを生成させる方法が、熱間圧延鋼板の限
られた製造条件、すなわち、仕上げ圧延温度または、及
び仕上げ圧延後の鋼板表面温度の制御のみに依存してい
るため、製造できる鋼板の材質の範囲が極めて狭い範囲
に限られてしまう問題がある。また、その結果として、
生成するスケールの厚さが5 μm以下と極めて薄いこと
がレーザ切断性向上の条件となっている。
【0016】また、特開平8ー218119号公報においては、
鋼板の化学成分と製造条件を同時に制御して、スケール
の密着性とレーザ切断性に優れた鋼板の製造方法が開示
されている。当該発明においては、スケール組成と製造
条件にも言及し、圧延後鋼板表面温度を600〜700
℃まで冷却することにより、スケールがウスタイト(F
eO)からマグネタイト(Fe3 4)への恒温変態に
近ずけるとしている。しかし、鋼板の強度に有効な化学
成分の添加が抑えられることや、上記のように製造条件
が限定されるため、製造できる鋼板の材質の範囲が極め
て狭い範囲に限られる問題がある。
【0017】一方、スケール層の構造・組成について
は、これまでも多くの研究がなされ、例えば、第3版鉄
鋼便覧(I)「圧延基礎・鋼板」((社)日本鉄鋼協
会、丸善)には、次のように報告されている。すなわ
ち、570℃以下の温度で生成されるスケールは、地鉄
界面からの内層の大部分はウスタイト(FeO)であ
り、その上の中間層はマグネタイト(Fe3 4)、外
層はヘマタイト(Fe2 3)である。
【0018】高温で生成したウスタイト(FeO)は冷
却過程において、約570℃以下の温度で共析反応によ
り、鉄(Fe)とマグネタイト(Fe3 4)に分解す
る。また常温における鉄のスケールの破壊強度は、Fe
O、Fe2 3、Fe3 4の順に高くなる。
【0019】このように、従来技術では、スケールの密
着性の観点からスケールの組成は、特にマグネタイト
(Fe3 4)が好ましいとして、この点にも触れたレ
ーザ切断性に優れた鋼板の製造方法が開示されている。
しかし、レーザ切断性とスケール組成そのもの定量的な
関係は明らかでなく、従って熱間圧延鋼板において、マ
グネタイトの生成量を定量的に制御する方法について
は、まだ技術が確立されていない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱間圧延鋼
板の表面に生成する、スケール中のマグネタイト(Fe
3 4)の生成量を制御することを特徴とする、レーザ
切断性に優れた鋼板を提供することを課題とする。
【0021】そのため、熱間圧延鋼板の製造において、
仕上げ圧延の最終圧下率、仕上げ圧延温度、仕上げ圧延
直後の鋼板の冷却速度、巻取り温度からなる総合的な製
造条件のパラメータを制御することにより、一般の鋼板
の材質の範囲でレーザ切断時にノッチの発生を抑制し
た、レーザ切断性に優れた鋼板及びその製造方法を提供
するものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】発明者らは、熱間圧延鋼
板のスケール厚さとスケール組成に与える種々の条件を
研究した結果、下記の発明をするに至った。
【0023】第1の発明は、鋼板表面にスケール層を有
し、該スケール中にマグネタイト(Fe3 4)を15
vol%以上を含み、残部が実質的にウスタイト(Fe
O)であることを特徴とする、レーザ切断性に優れた鋼
板を提供する。
【0024】この発明によれば、鋼板表面に生成するス
ケールは密着性が高く、切断時にノッチが発生し難いレ
ーザ切断性に優れた鋼板が得られる。
【0025】第2の発明は、連続鋳造で得られた熱間鋼
片を直接あるいは再加熱後に熱間圧延を行うに際して、
その圧延前および圧延中にデスケーリングを行い、か
つ、仕上げ圧延温度を950〜650℃、仕上げ圧延の
最終圧下率を5〜25%、仕上げ圧延直後の冷却速度を
5〜60℃/s、および巻取り温度を550〜250℃
の各々の範囲において、更に該最終圧下率、圧延温度、
冷却速度、巻取り温度が下記(1)および(2)式を満
足する条件で熱間圧延することにより、生成するスケー
ルの厚さとスケール中のマグネタイト(Fe3 4)の
生成量を制御することを特徴とするレーザ切断性に優れ
た鋼板の製造方法を提供する。 FT×(1−R/100)×(7.5FT−4.5CR −13.5CR・CT+1800CT) ≦6.21×108 ---(1) 794×(CT/100)ー230×(CT/100)2 +28.96 ×(CT/100)3 −1.343 ×(CT/100)4 −1000≧0 ---(2) ただし、 R:仕上げ圧延の最終圧下率(%) FT:仕上げ圧延温度(℃) CR:仕上げ圧延直後3秒間の平均冷却速度(℃/s) CT:巻取り温度(℃)
【0026】レーザ切断性には、前述のように、仕上げ
圧延条件等が大きく影響する。前述の条件の中でも特
に、スケールの厚さを15μm程度以下に抑え、かつ、
スケール中のマグネタイト(Fe3 4)の生成量を1
5%以上含む条件が望ましく、上記(1)式、(2)式
の範囲内に圧延条件を制御することにより、これらの条
件を満たす鋼板が製造できる。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の基本となる考え方を以下
に述べる。発明者らは、様々な製造条件により製造した
数種類の鋼板をレーザ切断し、その切断面の評価を行っ
た。その結果、鋼板表面に生成する、主としてウスタイ
ト(FeO)とマグネタイト(Fe3 4)からなる酸
化鉄層であるスケールのうち、特にマグネタイト(Fe
3 4)の生成量が、レーザ切断性に大きな影響を及ぼ
し、その生成量が増大するほど、レーザ切断における切
断面の品質が向上することを見出だした。
【0028】一方、スケール厚さが厚くなると、切断中
の熱衝撃により部分的にスケールの剥離が生じることに
より、ノッチ(部分的な切断幅拡大)が発生しやすい。
しかしながら、スケールの組成を制御しない場合は、ス
ケール厚さが薄い方がレーザ切断性が良好となり、スケ
ール厚さは、例えば10μm以下程度が必要となる。
【0029】これに対し、前述のスケール中のマグネタ
イト(Fe3 4)の生成量を制御した場合は、レーザ
切断性を悪化させないスケール厚さの制限が緩和され、
例えばスケール厚さが20μm程度以下であれば、切断
面の品質が確保できることが判明した。
【0030】以下、本発明の詳細と限定理由について述
べる。まず、レーザ切断性に及ぼすスケール中のマグネ
タイト(Fe3 4)の生成量の影響について検討した
結果、マグネタイトの生成量が減少すると、スケールの
密着性が良好でないウスタイト(FeO)が増加し、切
断中にノッチが発生しやすくなる。
【0031】スケール中のマグネタイト(Fe3 4
の分率で表した生成量(残部は実質的にFeO)とレー
ザ切断性の関係を、図1に示す。図1は、マグネタイト
の分率が増加すると、スケールの密着性が向上し、切断
中の熱衝撃による部分的なスケールの剥離が防止でき、
ノッチ(部分的な切断幅拡大)の発生が抑制されるの
で、レーザ切断性が向上することを示している。この結
果、スケール中のマグネタイト(Fe3 4)の生成量
が、約15vol%以上であれば、レーザ切断性評点は
3以上となり、望ましい鋼板が得られる。
【0032】一方、レーザ切断性に及ぼすスケール厚さ
の影響を検討した結果、図2に示す関係が得られた。図
2は、スケールの厚さが厚くなると、切断中の熱衝撃に
より、部分的にスケールの剥離を生ずることにより、ノ
ッチの発生頻度が増加するので、レーザ切断性が劣るこ
とを示している。
【0033】これらの結果より、スケールの厚さとスケ
ール中のマグネタイト(Fe3 4)の生成量を同時に
制御することで、レーザ切断性に優れた鋼板の安定的な
製造が可能となる。図3は、スケール厚さとスケール中
のマグネタイトの生成量及びレーザ切断性との関係を示
した図である。ここで、レーザ切断性良好とは、評点4
以上のものをいう。図3から、スケール厚さが15μm
以下、スケール中のマグネタイトの生成量が15vol
%以上となる範囲で、レーザ切断性の評点4以上の鋼板
が得られる。
【0034】従って、熱間圧延においてスケールの厚さ
とスケール中のマグネタイトの生成量を同時に制御する
ためには、連続鋳造して得た熱間鋼片を直接あるいは再
加熱して熱間圧延する際に、圧延前および圧延中にデス
ケーリングを行って、加熱中及び圧延中に生成したスケ
ールを除去するのみならず、圧延中および圧延後の冷却
中に生成するスケールの生成・成長と組成を制御する必
要がある。
【0035】熱間圧延における仕上げ圧延の最終圧下率
について検討した結果、仕上げ圧延の各パス間において
生成するスケールは、仕上げ圧延の最終圧下率が高いほ
ど剥離し難い。また、最終圧下率が高いほどスケール厚
さが減少する。これを利用することで、過剰な仕上げ温
度の低下を招かずに済むので、より広範な材質の熱間圧
延鋼板が製造可能である。ただし圧延機の能力及び製造
した鋼板の形状から5〜25%の範囲が望ましい。
【0036】仕上げ圧延温度について検討した結果、仕
上げ圧延温度が高温ほどスケールの成長速度が速く、生
成したスケールが剥離し易く、またスケールの薄肉化が
困難である。したがって、機械的特性などの他の材質が
確保される限り、スケールの薄肉化に対しては、仕上げ
圧延温度は低温の方が有利である。ただし圧延機の能力
及び製造した鋼板の形状から950〜650℃の範囲が
望ましい。
【0037】仕上げ圧延直後の冷却速度について検討し
た結果、冷却速度が大きいほど熱衝撃に弱いスケールは
脱落し、切断時にノッチを発生し易いスケールは除かれ
る。更に、スケールの成長が抑制され、スケール厚さが
薄くなる。したがって、レーザ切断性に対しては、圧延
直後の冷却速度は大きい方が有利である。ただし冷却能
力及び冷却速度の制御性の点から、5〜60℃/sの範
囲が望ましい。
【0038】巻取り温度についてついて検討した結果、
巻取り温度が低いほどスケールの成長が抑制され、かつ
マグネタイトの生成量が増加し、密着性の高い薄いスケ
ールが生成する。ただし冷却能力及び制御性の点から5
50〜250℃の範囲が望ましい。
【0039】更に、より厳密に熱間圧延鋼板のスケール
の厚さとスケール中のマグネタイト(Fe3 4)の生
成量を、定量的に制御するには、下式(1)、(2)の
諸条件を総合的に制御することが必要である。これらの
式は、スケールの厚さ及びスケール中のマグネタイト
(Fe3 4)の生成量と圧延条件のパラメータの関係
を、重回帰により求めたものである。
【0040】 FT×(1−R/100)×(7.5FT−4.5CR −13.5CR・CT+1800CT) ≦6.21×108 ---(1) 794×(CT/100)ー230×(CT/100)2 +28.96 ×(CT/100)3 −1.343 ×(CT/100)4 −1000≧0 ---(2) ただし、R:仕上げ圧延の最終圧下率(%) FT:仕上げ圧延温度(℃) CR:仕上げ圧延直後3秒間の平均冷却速度(℃/s) CT:巻取り温度(℃)
【0041】式(1)の左辺と生成されるスケールの厚
さとの関係を、図4に示す。両者の関係は直線関係にあ
り、この式の左辺が、6.21×108 以下では、スケ
ールの厚さが15μm以下となる。また、(2)式の左辺
と生成するスケール中のマグネタイトの量との関係を、
図5に示す。両者の関係は直線関係にあり、左辺がゼロ
(零)以上であれば、マグネタイト(Fe3 4)の生
成量が15vol%以上となる。
【0042】本発明に際して、スケールの厚さ及びスケ
ール中のマグネタイト(Fe3 4)の生成量に及ぼ
す、鋼板の化学成分の影響について、事前に検討した。
すなわち、数種類の化学成分を有する鋼(化学成分の範
囲は、C:0.02ー0.15%、Si:0.01ー
0.30%、Mn:0.25ー1.25%、P:0.0
05ー0.030%、S:0.001ー0.030%、
Sol.Al:0.005ー0.050%)を、実験室
で溶製し、板厚10mmに熱間圧延したのち、熱処理を
行いスケールの諸特性を測定した。
【0043】その結果、いずれの成分の鋼でも、スケー
ル厚さとマグネタイトの生成量に差異が認められなかっ
た。そこで、本発明鋼では、化学成分は特に限定しない
が、例えばJIS規格に規定するG3101,310
6,3113,3114,3125,3131,313
2等の各種熱間圧延鋼材に適用できる。
【0044】
【実施例】表1に示す成分組成の鋼を溶製した後、連続
鋳造によりスラブとし、これを直ちにまたは再加熱後熱
間圧延し、板厚5〜15mmの鋼板を製造した。このと
きの熱間圧延の条件を図6で示す表2において変化させ
た。
【0045】
【表1】
【0046】熱間圧延にて製造後常温まで冷却したの
ち、各鋼板からサンプル採取し、スケールの厚さを光学
顕微鏡または走査型電子顕微鏡を用いて測定した。ま
た、スケール中のマグネタイト(Fe3 4)の分率を
X線回析から測定した。更に、各鋼板について各々50
mずつレーザ切断を行って、不良箇所(ノッチの個数)
の個数を測定することにより、レーザー切断性を評価し
た。その評価基準は以下の通りである。
【0047】 評点1:ノッチ31個以上 評点2: 〃 11〜30個 評点3: 〃 3〜10個 評点4: 〃 1〜2個 評点5: 〃 なし ここで、ノッチとは切断幅が50%以上拡大した箇所を
いう。図6で示す表2にこれらの結果も合わせて示す。
【0048】図6で示す表2において示されるように、
仕上げ圧延の最終圧下率、仕上げ圧延温度、仕上げ圧延
直後の冷却速度および巻取り温度を適切な範囲に制御し
本発明の製造条件で製造した鋼板は、スケール厚みが1
5μm程度以下で、かつ、スケール中のマグネタイト
(Fe3 4)の生成量が15vol%以上であり、レ
ーザ切断性が良好なことがわかる。これに対して、比較
例では、熱間圧延条件が適切ではないため、スケールが
切断時に剥離し易く、またマグネタイトの生成量が十分
でないためにレーザ切断性が劣る。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るレー
ザ切断性に優れた鋼板及びその製造方法によれば、密着
性に優れたスケールを有する鋼板が安定して確実に製造
できるため、様々な長所をもつレーザ切断が従来以上に
適用可能となる。すなわち、第1の発明により、密着性
の高いスケールを有するレーザ切断性の優れた鋼板が得
られる。
【0050】また、第2の発明により、スケール厚さが
15μm以下であるより優れた鋼板が製造できる。ま
た、この方法によれば、従来工業的にレーザ切断可能な
板厚が約20mm程度に限定されていたが、これが約2
5mm程度にまで拡大することが可能となり、広範囲の
熱間圧延鋼板にレーザ切断の適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】マグネタイトの生成量とレーザ切断性との関係
を示す図である。
【図2】スケール厚さとレーザ切断性との関係を示す図
である。
【図3】スケール厚さとマグネタイトの生成量及びレー
ザ切断性との関係を示す図である。
【図4】(1)式の左辺の値とスケール厚さとの関係を
示す図である。
【図5】(2)式の左辺の値とマグネタイトの生成量と
の関係を示す図である。
【図6】熱間圧延条件とスケール厚さ、マグネタイトの
生成量、レーザ切断性との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22C 38/00 301 C22C 38/00 301W (72)発明者 海津 亨 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 樺澤 真事 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面にスケール層を有し、該スケー
    ル中にマグネタイト(Fe3 4)を15vol%以上
    を含み、残部が実質的にウスタイト(FeO)であるこ
    とを特徴とする、レーザ切断性に優れた鋼板。
  2. 【請求項2】 連続鋳造で得られた熱間鋼片を直接ある
    いは再加熱後に熱間圧延を行うに際して、その圧延前お
    よび圧延中にデスケーリングを行い、かつ、仕上げ圧延
    温度を950〜650℃、仕上げ圧延の最終圧下率を5
    〜25%、仕上げ圧延直後の冷却速度を5〜60℃/
    s、および巻取り温度を550〜250℃の各々の範囲
    において、更に該最終圧下率、圧延温度、冷却速度、巻
    取り温度が下記(1)および(2)式を満足する条件で
    熱間圧延することにより、生成するスケールの厚さとス
    ケール中のマグネタイト(Fe3 4)の生成量を制御
    することを特徴とするレーザ切断性に優れた鋼板の製造
    方法。 FT×(1−R/100)×(7.5FT−4.5CR −13.5CR・CT+1800CT) ≦6.21×108 ----(1) 794×(CT/100)ー230×(CT/100)2 +28.96 ×(CT/100)3 −1.343 ×(CT/100)4 −1000≧0 ----(2) ただし、 R:仕上げ圧延の最終圧下率(%) FT:仕上げ圧延温度(℃) CR:仕上げ圧延直後3秒間の平均冷却速度(℃/s) CT:巻取り温度(℃)
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