JPH11343541A - レーザ切断性に優れた厚鋼板 - Google Patents

レーザ切断性に優れた厚鋼板

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JPH11343541A
JPH11343541A JP10151762A JP15176298A JPH11343541A JP H11343541 A JPH11343541 A JP H11343541A JP 10151762 A JP10151762 A JP 10151762A JP 15176298 A JP15176298 A JP 15176298A JP H11343541 A JPH11343541 A JP H11343541A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れたレーザ切断性を有する厚鋼板を提案す
る。 【解決手段】 スケール層と地鉄との界面に、Cr、Al、
Cu、Niのいずれかが富化した富化層を有し、富化層の厚
さを1μm 以上、あるいは富化層が、Cr、Al、Cu、Niの
うちの1種以上を、それらの濃度の最大値の和が3重量
%以上含有するか、界面の粗さを、中心線平均粗さRa
で4μm 以上とすることによりレーザ切断性が向上す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般溶接構造物、
海洋構造物、ラインパイプ、圧力容器、橋梁等の使途に
好適な厚鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板の切断加工は、従来よりガス切断
が主流であった。しかし、近年、レーザ加工技術の進歩
がめざましく、大出力(3〜6kW)発振器を有するレー
ザ加工機も実用化され、レーザ切断が厚鋼板の切断加工
に利用されるようになってきた。レーザ切断は、切断面
の精度に優れ、切断幅、熱影響部が小さく、自動化、無
人化が可能なこと、騒音および粉塵が小さいことなどの
利点があるが、厚鋼板の切断加工においては、従来のガ
ス切断に比べ切断品質の安定性が低いという問題があっ
た。しかし、最近では、光学機器の進歩や出力の増加に
よりレーザ切断の切断品質安定性は、かなり改善され、
厚鋼板の切断加工におけるレーザ切断の利用はさらに拡
大されつつある。
【0003】レーザによる切断は、レーザの集光性、使
用するガスの純度、ガス流量、鋼板の表面状態により大
きく影響されると言われているが、厚鋼板のレーザ切断
では、薄鋼板の場合に比べ、レーザ出力、レンズ焦点距
離、切断速度等の切断条件の適正範囲が狭く安定した切
断が行いにくく、さらに鋼板の表面状態とくにスケール
性状に強く影響されることが明らかになってきている。
【0004】このような問題に対し、例えば、特開平5-
112821号公報には、レーザ切断性を劣化させるSi、Mn、
Alを適正量に制限し、さらにスラブ加熱温度を1050〜13
00℃とし、800 ℃以上で圧延を終了し冷却する、レーザ
切断性に優れた厚鋼板の製造方法が提案されている。こ
の方法によれば、鋼板表面のスケール密着性が良好とな
らないためレーザ切断のピアス性、切断持続性が良くな
るとしている。
【0005】また、特開平7-155975号公報、特開平8-36
92号公報には、レーザ切断用鋼板が提案され、スケール
表面の粗さをRa:3.0 μm 以下とすることにより、鋼
板表面での乱反射が少なくなりレーザー切断効率が向上
するとしている。一方、特開平7-48622 号公報には、各
圧下直後または2パス圧下直後に高圧水で水冷しながら
熱間圧延を行い、圧延終了温度を850 ℃以下とする、ス
ケールが黒色で薄くタイト性の優れた鋼板の製造方法が
提案されている。また、特開平7-48623 号公報には、各
圧下直後に高圧水で水冷しながら熱間圧延を行い、圧延
終了後直ちに800 〜700 ℃の温度まで水冷する、スケー
ルが黒色で薄くタイト性の優れた鋼板の製造方法が提案
されている。鋼板にこのような薄くて、タイト性の良好
なスケールを形成することによりレーザ切断性が良好に
なるとしている。
【0006】また、特開平8-218119号公報には、レーザ
切断性に悪影響を及ぼすC、Si量を低く抑え、さらにデ
スケーリング条件と圧延後水冷条件を調整し、スケール
を薄肉化し、さらにスケール組成を制御するレーザ切断
性とスケール密着性に優れた鋼板の製造方法が提案され
ている。また、特開平9-20962 号公報、特開平9-20963
号公報には、鋼成分と鋼板表面性状を制御してレーザ切
断性を向上させた厚鋼板およびその製造方法が提案され
ている。この方法は、鋼板組成を低C系とし、Si+Mn量
を所定の範囲に制御し、デスケーリング条件と圧延終了
温度を調整することにより、鋼板表面の光沢を15%以下
とするものであり、これにより、レーザ光の吸収率が増
加し、切断時の酸化反応熱が最適となって、レーザ切断
性が向上するとしている。
【0007】また、特開平9-194988号公報には、レーザ
切断性に悪影響を及ぼす鋼成分と鋼板表面性状を制御し
て、レーザ切断性を向上させた高張力鋼板およびその製
造方法が提案されている。この方法は、鋼板組成を低C
−低Si−低Mn系とし、適正量のCu、Cr、Moを含有させ
て、デスケーリング条件と圧延終了温度を調整するとと
もに、圧延終了後500 ℃以上の任意の温度まで水冷する
ことにより、レーザ切断性に優れた高張力鋼板を得よう
とするものである。
【0008】また、特開平9-217145号公報には、レーザ
切断性に悪影響を及ぼす鋼成分と鋼板表面性状を制御し
て、レーザ切断性を向上させた高張力鋼板およびその製
造方法が提案されている。この方法は、鋼板組成を中C
−中Si−中Mn系とし、適正量のCu、Cr、Moを含有させ
て、デスケーリング条件と圧延終了温度を調整するとと
もに、圧延終了後500 ℃以上の任意の温度まで水冷する
ことにより、レーザ切断性に優れた高張力鋼板を得よう
とするものである。
【0009】また、特開平9-279305号公報には、0.005
〜0.1 wt%の微量Moを含有させスケール層の厚みを10〜
60μm とした、安定したレーザー切断性を有する鋼材が
提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5-112821号公報に記載された技術では、スケール密着性
が低く、スケールの部分的剥離等により鋼板の美麗性が
低下し外観不良となる場合があり問題があった。また、
特開平7-155975号公報、特開平8-3692号公報に記載され
た技術では、レーザ切断を安定して行うにはまだ不十分
であり、さらにスケールの表面粗さを調整するために頻
繁なロール替えを必要とし、また高価な合金元素であ
る、Cu、Ni、Crの比較的多量添加を必要とするなど、製
造上の制約や経済的な問題があった。また、特開平7-48
622 号公報、特開平7-48623 号公報に記載された技術で
は、圧延中の水冷強化や、鋼板温度の厳密な制御を必要
とし製造上の制約が多く、また水冷や温度制御のために
設備を新設あるいは増強する必要があり、コスト高とな
るなど問題があった。
【0011】また、特開平8-218119号公報、特開平9-19
4988号公報、特開平9-217145号公報に記載された技術で
は、圧延中のデスケーリング強化や、鋼板温度の厳密な
制御、圧延後水冷を必要とし製造上の制約が多く、また
水冷や温度制御のために設備を新設あるいは増強する必
要があり、コスト高となるなど問題があった。特開平9-
20962 号公報、特開平9-20963 号公報に記載された技術
では、圧延中のデスケーリング強化や、鋼板温度の厳密
な制御を必要とし製造上の制約が多く生産性が低下する
という問題があった。さらに、上記した従来技術を用い
た鋼板では、圧延後出荷までの鋼板保管中に、鋼板表面
スケールに疵、錆、あるいは剥離等の欠陥が発生し、製
品として出荷できない等の問題があった。
【0012】さらに、特開平9-279305号公報に記載され
た技術では、スケール厚さを調整するために、圧下条件
や冷却条件を微妙に調整する必要があり、また微量とは
いえ高価な合金元素であるMoを含有させる必要があるな
ど、製造上の制約やコスト的な問題が残されていた。本
発明は、上記した状況に鑑み、安定したレーザ切断を可
能とする、安価で、優れたレーザ切断性を有する厚鋼板
を提案することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、厚鋼板のレーザ切断性について鋭意
検討した。厚鋼板のレーザ切断においては、レーザビー
ムのエネルギーを効率よく熱エネルギーに変換し鋼板を
急速加熱するとともに、酸化反応により発生する熱をも
効率的に用いることが、切断を安定して継続するために
重要となる。しかし、レーザビーム幅は極めて狭く、照
射面積が狭いためレーザビーム照射により鋼板に負荷さ
れる熱衝撃は大きく、発生する熱応力により従来の状態
の表面スケールではスケールが破壊され剥離する。この
スケールの破壊剥離が発生すると、鋼板の切断を安定に
維持することが困難となる。
【0014】そこで、本発明者らは、このスケールの破
壊剥離を防止するためには、鋼板表面のスケールを熱衝
撃に対し耐剥離性の優れた強固なスケール層とするのが
重要であることに想到し、さらに鋭意検討した。その結
果、スケール層と地鉄との界面の地鉄側にCr、Al、Cu、
Niのいずれかが濃化した濃化層を形成し、あるいはさら
にスケール層と地鉄との界面粗さを粗くすることにより
鋼板表面のスケールが強固なスケール層となり、レーザ
切断性が顕著に向上することを新規に見い出した。
【0015】本発明は、上記知見に基づき構成されたも
のである。すなわち、本発明は、表面にスケール層を有
する厚鋼板であって、前記スケール層と地鉄との界面の
地鉄側に、Cr、Al、Cu、Niの1種または2種以上が濃化
した濃化層を有し、前記濃化層の厚さが1.0 μm 以上で
あることを特徴とするレーザ切断性に優れる厚鋼板であ
り、また本発明では、前記スケール層と地鉄との界面の
粗さを、中心線平均粗さRaで4.0 μm 以上とするのが
レーザ切断性の向上には好適である。
【0016】また、本発明は、表面にスケール層を有す
る厚鋼板であって、前記スケール層と地鉄との界面の地
鉄側に、Cr、Al、Cu、Niの1種または2種以上が濃化し
た濃化層を有し、前記濃化層が、厚さ1.0 μm 以上で、
かつCr、Al、Cu、Niのうちの1種以上を、それらの合計
量(Cr+Al+Cu+Ni)で3.0 重量%以上含有することを
特徴とするレーザ切断性に優れる厚鋼板であり、また本
発明では、前記スケール層と地鉄との界面の粗さを、中
心線平均粗さRaで4.0 μm 以上とするのが好ましい。
【0017】また、本発明は、表面にスケール層を有す
る厚鋼板であって、前記スケール層と地鉄との界面の地
鉄側に、Cr、Al、Cu、Niのの1種または2種以上が濃化
した濃化層を有し、かつ前記スケール層と地鉄との界面
の粗さが中心線平均粗さRaで4.0 μm 以上であること
を特徴とするレーザ切断性に優れる厚鋼板である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の厚鋼板は、表面にスケー
ル層を有し、スケール層と地鉄との界面の地鉄側に、濃
化層を有する。本発明でいう、スケール層とは、鉄酸化
物を主とする鉄酸化物層をいい、濃化層は、Cr、Al、C
u、Niの1種または2種以上が濃化した酸化物層をい
う。濃化層は、スケール層である鉄酸化物層の下の地鉄
側に位置し、スケール層と地鉄との界面を形成してい
る。
【0019】鋼中に含まれるCr、Al、Cu、Niは、スラブ
加熱、あるいは熱間圧延中、あるいは熱間圧延後に形成
されるFeO 、Fe3O4 等を主とする鉄酸化物層内には含ま
れず、スケール層(鉄酸化層)と地鉄との間に濃化され
る。地鉄内にこのような濃化層を形成することにより、
スケール層と地鉄との密着性が向上する。本発明におい
ては、Cr、Al、Cu、Niの1種または2種以上が濃化した
濃化層はつぎのようにして決定する。
【0020】鋼板表面に形成されたスケール層(鉄酸化
物層)を機械的に剥離したのち、スケール層が剥離した
鋼板面を基準表面として、グロー放電発光分析装置を用
いて、Fe、O、Cr、Al、Cu、Niの時間−強度変化を測定
し、図1に示すような基準表面からの深さ−濃度変化に
換算する。測定された時間−強度変化から深さ−濃度変
化への換算は、特開平9-273992号公報に示される表面酸
化層の定量分析方法により行うものとする。具体的に
は、この方法は、目的元素の濃度が既知でかつ試料中の
濃度が均一な合金を標準試料として、Oについては、純
金属の熱処理酸化膜を有し、酸化物組成がX線回折によ
り決定された試料を標準試料とし、目的元素とマトリッ
クス元素(Fe)との濃度比、およびグロー放電により得
られる両元素の強度比により検量線を作成し、ついで被
測定試料の目的元素とマトリックス元素との発光強度比
を測定して、検量線から目的元素の濃度を決定する方法
である。
【0021】図1では、Fe濃度は、最表面から深くなる
にしたがい増加し、最終的には最大値となったのち一定
となる。Oは、最表面が最も高く、表面から深くなるに
従い減少する。Cr、Al、Cu、Niは、最大値を示したのち
減少する。本発明では、図1に示すような表面からの深
さ−濃度曲線から、最表面からのFe濃度が、Fe濃度の最
大値の90%となるまでの深さを決定し、濃化層の厚さと
する。
【0022】濃化層内では、Cr、Alは、鉄酸化物層(ス
ケール層)からの酸素の供給を受けて酸化物を形成して
いる。Cr、Alの酸化物は、酸化物粒子が小さく、空隙の
少ない極めて安定した緻密な酸化物であり、地鉄との密
着性が優れている。一方、Cu、Niは、一部酸化物として
Cr、Alと同様に緻密な酸化物を形成するが、殆どはこの
濃化層内に固溶状態で濃化し、濃化層が多孔化し地鉄と
の密着性が劣化するのを防止する作用を有している。
【0023】レーザ光照射による熱衝撃により、スケー
ル層(鉄酸化物層)は簡単に剥離するが、地鉄との密着
性の優れた濃化層は剥離することなく残存する。残存し
た濃化層はレーザ光のエネルギーを効率的に地鉄に吸収
させる。このような濃化層の存在により、安定したレー
ザ切断性が得られる。レーザ切断性向上に寄与する濃化
層の厚さは、1.0 μm 以上とするのが好ましい。濃化層
の厚さが1.0 μm 未満では、濃化層の分布が場所により
不均一となり、レーザ切断性向上効果が認められない。
なお、好ましくは2.0 μm 以上である。
【0024】また、濃化層におけるCr、Al、Cu、Niの1
種または2種以上の濃化量は、それらの合計量(Cr+Al
+Cu+Ni)で、3.0 重量%以上とするのが好ましい。濃
化層内にCr、Al、Cu、Niのうちの1種以上が濃化すれ
ば、本発明の目的とするレーザ切断性の向上が期待でき
る。なかでも、Cr、Alが濃化するのが好ましい。(Cr+
Al+Cu+Ni)量が3.0 重量%未満では、濃化層内形成さ
れる酸化物が緻密とならず、レーザ切断性が劣化する。
なお、好ましくは4.0 重量%以上である。なお、本発明
では、濃化層内の(Cr+Al+Cu+Ni)量は濃化層内での
各元素の最大濃度の和で表すものとする。
【0025】本発明では、濃化層の厚さが1.0 μm 以上
でかつ濃化層内の(Cr+Al+Cu+Ni)量が3.0 重量%で
あれば、レーザ切断性が著しく向上する。また、本発明
では、レーザ切断性向上の観点から、さらにスケール層
と地鉄との界面の粗さを中心線平均粗さRaで4.0 μm
以上とするのが好ましい。スケール層と地鉄との界面の
粗さがRaで4.0 μm 未満では、スケールの密着性が低
下しレーザ切断性が劣化する。なお、好ましくは中心線
平均粗さRaで5.0 μm 以上である。スラブの加熱工程
あるいは熱間圧延工程で形成される酸化物が、表面層か
ら地鉄に向かって筋状あるいは粒状に形成されると、ス
ケールと地鉄の界面性状が複雑で界面の粗さが粗くな
り、楔止め効果(キー効果)、あるいは釘付け効果(ペ
ギング効果)によりスケール層を地鉄に固着させる作用
を有し、レーザ光照射の熱衝撃でスケール層が剥離しに
くくレーザ切断が安定する。
【0026】上記した濃化層は、Cr、Al、Cu、Niのうち
1種以上を添加した鋼スラブを用い、スラブ加熱工程、
および/または熱間圧延工程でスケール層(鉄酸化物
層)と地鉄との間に形成するのが好ましい。スラブ加熱
は1000〜1300℃で1〜3hr加熱するのが好ましく、さら
にその後の熱間圧延工程で熱間圧延終了温度を800 〜11
00℃とするのが好ましい。熱間圧延工程中に 950〜1050
℃の間で圧延途中の鋼板を100 sec 以上滞留させてもよ
い。さらに、圧延終了後、徐冷するのがより好ましい。
これにより、スケール層と地鉄との界面の地鉄側に、C
r、Al、Cu、Niのうち1種以上が濃化した濃化層が形成
される。
【0027】つぎに、Cr、Al、Cu、Niのうち1種以上を
添加した鋼の好適な組成について説明する。 Cr、Al、Cu、Niのうち1種以上をそれらの含有量の合計
量(Cr+Al+Cu+Ni)で0.1 〜2.0 wt% Cr、Alは、濃化層内に、スケール層(鉄酸化物層)から
の酸素の供給を受けて酸化物を形成して濃化し、空隙の
少ない極めて安定した緻密な酸化物を形成し、地鉄との
密着性を向上させる。Cu、Niは、殆どは濃化層内に固溶
状態で濃化し、濃化層が多孔化し地鉄との密着性が劣化
するのを防止する作用を有し、レーザ切断性を改善す
る。合計量(Cr+Al+Cu+Ni)が、0.1wt %を未満で
は、濃化層の形成が促進されず、一方、2.0wt %を超え
ると濃化層の形成が飽和し、添加量に見合う効果が期待
できない。
【0028】C:0.25wt%以下 Cは、レーザ切断性にはほとんど影響しないが、強度を
確保するために必要な元素であり所望の鋼板強度に応じ
含有される。しかし、0.25%を超えると、溶接性が劣化
するため、0.25%以下とするのが好ましい。 Si:0.05〜0.3 wt%以下 Siは、脱酸剤として作用するとともに、強度を向上させ
る元素であり、スケールの密着性をわずかに向上させ
る。これらの効果は0.05%以上の含有で顕著に認められ
るが、しかし、0.3 %を超える含有は、溶接性を劣化さ
せる。このため、Siは0.05〜0.3 %とするのが好まし
い。
【0029】Mn:0.2 〜1.5wt % Mnは、強度および靱性を確保するために必要な元素であ
り、スケールの密着性をわずかに向上させる。これらの
効果は0.2 %以上の含有で顕著に認められるが、1.5 %
を超える含有は、溶接割れ感受性が高くなる。このた
め、Mnは0.2 〜1.5 %以下とするのが好ましい。
【0030】N:0.01%以下 Nは、レーザ切断性に影響する元素ではないが、多すぎ
ると溶接性を劣化させるため、0.01%以下に限定した。 Nb:0.005 〜0.01%、V:0.005 〜0.01%、Mo:0.05〜
0.5 %、Ti:0.005 〜0.1 %から選ばれた1種または2
種以上 Nb、V、Mo、Tiは、いずれも、レーザ切断性に影響する
元素ではないが、鋼の機械的性質、とくに強度、靱性を
向上させるための組織制御に効果のある元素であり、必
要に応じ、これら元素のうちから1種または2種以上含
有できる。Nb:0.005 %未満、V:0.005 %未満、Mo:
0.05%未満、Ti:0.005 %未満では、これらの効果が顕
著に認められないため、それぞれ下限とする。一方、N
b:0.01%、V:0.01%、Mo:0.5 %、Ti:0.1 %を超
えると、溶接熱影響部の靱性劣化や溶接硬化性の増加な
どの要因となるためそれぞれ上限とするのが好ましい。
【0031】本発明では、上記した化学成分以外は残部
Feおよび不可避的不純物である。不可避的不純物とし
て、P、Sはそれぞれ0.05%以下とするのが好ましい。
P、Sがそれぞれ0.05%を超えるとレーザ切断性を劣化
させる恐れがある。上記した組成の鋼を、通常公知の溶
製方法で溶製し、造塊法または連続鋳造法で凝固させた
のち、圧延素材(鋼スラブ)とするのが好ましい。
【0032】
【実施例】(実施例1)表1に示す組成の鋼スラブ(20
0 〜310 mm厚)に、表2に示す熱間圧延条件で熱間圧延
を施し板厚20mmの厚鋼板とした。これら厚鋼板につい
て、濃化層の厚さ、(Cr+Al+Cu+Ni) 量の測定、スケール
層と地鉄との界面粗さおよびレーザ切断性を調査した。
【0033】濃化層の平均厚さ、濃化層内の(Cr+Al+Cu+
Ni) 量の測定はつぎのように行った。厚鋼板を幅方向に
20〜30mm、圧延方向に150 〜200mm の大きさに切断し、
捩じり試験機に固定して45度以上の捩り角を付与し、ス
ケール層(鉄酸化物層)を機械的に剥離させる。剥離が
起こらなくなったのち、反対方向の捩りを付与し元の位
置まで戻した。ついで、スケール層(鉄酸化物層)を剥
離させた試験片から、20〜30mm×50mmの大きさの分析用
試験片を採取し、この分析用試験片のスケール層(鉄酸
化物層)剥離面を基準表面とし、グロー放電発光分析装
置を用いて、Cr、Al、Cu、Ni、Fe、O各元素の時間−強
度変化を測定した。この時間- 強度変化曲線から、特開
平9-273992号公報に開示された表面酸化層の定量分析方
法により深さ−濃度変化曲線に換算した。深さ−濃度変
化曲線の各元素の最大値を求め、基準表面からFe元素の
最大値の90%の濃度となる深さを濃化層厚さとした。ま
た、Cr、Al、Cu、Ni各元素の最大濃度をもとめそれら元
素の最大濃度の和(合計量)を計算し、濃化層中の(Cr+
Al+Cu+Ni) 量とした。なお、含有されない元素は計算か
ら除外するものとする。濃化層厚さ、濃化層中の(Cr+Al
+Cu+Ni) 量を表2に併記する。
【0034】また、スケール層と地鉄との界面粗さは、
つぎのように測定した。スケール層を上記したように鋼
板に捩りを付加させて機械的に剥離させたのち、スケー
ル層が剥離した鋼板表面を、表面粗さ計で測定し中心線
粗さRaを求めた。各厚鋼板の界面粗さを表2に併記す
る。レーザ切断性は、5.5kW 出力の炭酸ガスレーザを用
い、酸素圧力0.3kgf/cm2として、切断速度を変化して厚
鋼板をレーザ切断した。レーザ切断長さは400 mmとし
た。切断後鋼板裏面側でドロスの付着が見られない限界
切断速度を求め、0、1、2の3段階に区分して評価し
た。レーザ切断性の評価0は限界切断速度が0.8mm/min
以下の場合であり、評価1は限界切断速度が0.8mm/min
超1.1mm/min 以下、評価2は限界切断速度が1.1mm/min
超の場合である。
【0035】レーザ切断性の評価結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】本発明例鋼板のレーザ切断性は、本発明の
範囲を外れる比較例に比べ、優れている。なかでも、濃
化層の厚さが1.0 μm 以上でかつ、濃化層内の(Cr+Al
+Cu+Ni量)が本発明の範囲内であり、界面粗さRaが4.
0 μm 以上である鋼板(鋼板No.1、No.2、No.4、No.5、
No.9、No.10 、No.13 )、および濃化層の厚さあるいは
濃化層内の(Cr+Al+Cu+Ni量)が本発明の範囲外であ
るが、界面粗さRaが4.0 μm 以上である鋼板(鋼板No.1
1 、No.20 、No.21 、No.22 、No.24 、No.27)は、レ
ーザ切断性の評価は2であり、レーザ切断性がもっとも
優れている。また、濃化層の厚さが1.0 μm 以上でか
つ、濃化層内の(Cr+Al+Cu+Ni量)が3.0 重量%以上
と本発明の範囲内である鋼板も、レーザ切断性の評価は
2である。一方、本発明の範囲を外れる鋼板(No.3、N
o.6、No.7、No.8、No.12 、No.14 〜No.19 、No.23 、N
o.28 )は、レーザ切断性の評価は1または0となり、
レーザ切断性が劣化している。 (実施例2)表1に示す組成の鋼Aのスラブ(300 mm
厚)に、表3に示す熱間圧延条件で熱間圧延を施し板厚
20mmの厚鋼板とした。これら厚鋼板について、実施例1
と同様に、濃化層の厚さ、(Cr+Al+Cu+Ni) 量の測定、ス
ケール層と地鉄との界面粗さの測定を行った。ついで、
これら厚鋼板について、捩り試験機で機械的にスケール
層を剥離したのち、実施例1と同様な条件でレーザ切断
を行い、レーザ切断性を評価した。なお、評価方法は、
実施例1と同様とした。
【0039】濃化層の厚さ、(Cr+Al+Cu+Ni) 量、界面粗
さRaおよびレーザ切断性の評価結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表3から本発明例は、スケール層を剥離し
ても強固な濃化層が残存し、レーザ切断性が良好となっ
ている。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、
レーザ切断性の評価が1または0でありレーザ切断性が
劣化している。なお、本発明の範囲内でも、濃化層の厚
さが1.0 μm 以上で、かつ濃化層内の(Cr+Al+Cu+Ni)量
が3.0 重量%以上および界面粗さRaが4.0 μm 以上で
ある鋼板(鋼板No.2-1〜No.2-4) 、または界面粗さRa
が4μm 以上である鋼板(鋼板No.2-19 ) はレーザ切断
性がとくに良好となっている。さらに、濃化層の厚さが
2.0 μm 以上で、かつ濃化層内の(Cr+Al+Cu+Ni) 量が4.
0 重量%以上の鋼板(鋼板No. 2-1 、No. 2-3 ) のレー
ザ切断性は極めて良好となっている。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、良好なレーザ切断性を
有する厚鋼板が得られ、レーザ切断加工の品質、精度が
向上し、しかも安定したレーザ切断が可能となるうえ、
切断効率が大幅に向上し、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】スケール層を機械的に剥離した鋼板表面のグロ
ー放電発光分析による各元素の濃度の深さ方向変化を示
すグラフである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面にスケール層を有する厚鋼板であっ
    て、前記スケール層と地鉄との界面の地鉄側に、Cr、A
    l、Cu、Niの1種または2種以上が濃化した濃化層を有
    し、前記濃化層の厚さが1.0 μm 以上であることを特徴
    とするレーザ切断性に優れる厚鋼板。
  2. 【請求項2】 表面にスケール層を有する厚鋼板であっ
    て、前記スケール層と地鉄との界面の地鉄側に、Cr、A
    l、Cu、Niの1種または2種以上が濃化した濃化層を有
    し、前記濃化層が、厚さ1.0 μm 以上で、かつCr、Al、
    Cu、Niのうちの1種以上を、それらの合計量(Cr+Al+
    Cu+Ni)で3.0 重量%以上含有することを特徴とするレ
    ーザ切断性に優れる厚鋼板。
  3. 【請求項3】 前記スケール層と地鉄との界面の粗さ
    が、中心線平均粗さRaで4.0 μm 以上であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の厚鋼板。
  4. 【請求項4】 表面にスケール層を有する厚鋼板であっ
    て、前記スケール層と地鉄との界面の地鉄側に、Cr、A
    l、Cu、Niのの1種または2種以上が濃化した濃化層を
    有し、かつ前記スケール層と地鉄との界面の粗さが中心
    線平均粗さRaで4.0 μm 以上であることを特徴とする
    レーザ切断性に優れる厚鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011184741A (ja) * 2010-03-09 2011-09-22 Kobe Steel Ltd 表面性状に優れた高Si含有鋼板およびその製造方法
CN102712976A (zh) * 2010-07-29 2012-10-03 住友金属工业株式会社 采用了氧的热切断用钢材
JP2014005504A (ja) * 2012-06-25 2014-01-16 Jfe Steel Corp レーザ切断性に優れた厚鋼板およびその製造方法
JP2014005505A (ja) * 2012-06-25 2014-01-16 Jfe Steel Corp 塗装密着性に優れた厚鋼板およびその製造方法

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