JPH10158120A - 痩身用皮膚化粧料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】全身あるいは局所の脂肪組織の減少を促進する
ことによる肥満体質の改善、または同組織の増大を防止
することによる肥満の抑制もしくは防止に有効な痩身用
皮膚化粧料を提供する。 【構成】オウゴン抽出エキスとゴボウ抽出エキスとを含
有する痩身用皮膚化粧料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、全身あるいは局所
の脂肪組織の減少を促進することによる肥満体質の改
善、または同組織の増大を防止することによる肥満の抑
制もしくは防止に有効な痩身用皮膚化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】体内の脂肪は、消費エネルギーに対し、
過剰分の摂取エネルギーが、白色脂肪細胞の中性脂肪と
して蓄積して生じる。体脂肪としての蓄積が大きい肥満
は、美容上好ましくないばかりでなく、動脈硬化等の様
々な疾病を引き起こす。したがって、過度の脂肪の蓄積
は、健康上も好ましくなく、皮下脂肪等の減少、あるい
は蓄積の防止が重要な問題となっている。このため、食
欲抑制剤等の経口薬、食事制限および運動等によるアプ
ローチが種々なされているが、皮下脂肪等を抑制または
減少させる満足な結果はなかなか得られず、また痩身用
皮膚化粧料等（特開平５−２２１８４２号公報等）も提
供されているが、同じく満足な結果は得られていない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、全身あるいは局所の脂肪組織の減少を促進すること
による肥満体質の改善、または同組織の増大を防止する
ことによる肥満の抑制もしくは防止に有効な痩身用皮膚
化粧料を提供することを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者等は、肥満防止に関わる中性脂肪分解の
活性化において中心的役割を果しているサイクリックア
デノシンモノホスフェート（以下、サイクリックＡＭＰ
と略する）自身の分解に強く関与する細胞内サイクリッ
クＡＭＰ分解酵素「サイクリックＡＭＰ−ホスホジエス
テラーゼ」を阻害することにより中性脂肪の分解を促す
素材を鋭意検討した結果、オウゴン抽出エキスとコボウ
抽出エキスとを併用することによって、脂肪組織に蓄積
された中性脂肪の分解を促進することにより肥満の抑制
もしくは防止、または肥満体質の改善に有効であること
を見出し、本発明を完成するに至った。

【０００５】すなわち、本発明は、オウゴン抽出エキス
とゴボウ抽出エキスとを含有する痩身用皮膚化粧料に関
するものである。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。

【０００７】本発明に用いられる上記エキスの製造方法
等について以下に述べるが、これらのみに限定されるも
のではない。

【０００８】本発明に用いられるオウゴンエキスとして
は、中国産オウゴン〔コガネバナ、Ｓｃｕｔｅｌｌａｒ
ｉａ ｂａｉｃａｌｅｎｓｉｓ Ｇｅｏｒｇｉ（Ｌａｂ
ｉａｔａｅ）〕の周皮を除いた根を、エタノール、精製
水、プロピレングリコール、１，３−ブチレングリコー
ル、またはこれらの混液にて抽出して得られるエキス、
または市販品、具体的には丸善製薬社製オウゴン抽出
液、一丸ファルコス社製オウゴンリキッド等が挙げられ
る。

【０００９】本発明に用いられるゴボウエキスとして
は、以下に示す抽出方法で得られる水溶性ゴボウエキス
や油溶性ゴボウエキス、または市販品、具体的には丸善
製薬社製ゴボウ抽出液Ｗ、ゴボウ抽出液ＰＧ等が挙げら
れる。水溶性ゴボウエキスは、ゴボウ〔Ａｒｃｔｉｕｍ
ｌａｐｐａ Ｌ．（Ｃｏｍｐｏｓｉｔａｅ）〕の根か
らエタノール、精製水、プロピレングリコール、１，３
−ブチレングリコール、またはこれらの混液にて抽出し
て得られるエキスであり、油溶性ゴボウエキスは、上記
ゴボウの根より、パーシック油と流動パラフインの混液
で抽出して得られる。

【００１０】なお、本発明で言うエキスとは、上記方法
で得られたエキスの他に、エキスから抽出溶媒を蒸発、
または凍結乾燥して得られる粉末であってもよい。ま
た、別の溶媒によって再抽出したもの、または上記方法
によって得られる粉末でもよい。

【００１１】上記の各種植物エキスの配合量としては、
痩身用皮膚化粧料の形態によっても異なるが、例えば、
組成物中の総量を基準としてエキス乾燥重量換算で０．
０１〜３０重量％配合するのが好ましい。

【００１２】本発明の痩身用皮膚化粧料には、必須成分
である上記植物エキスの他に通常の皮膚化粧料において
使用される、油分、顔料、界面活性剤、保湿剤、紫外線
吸収剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、色素等の他に、ブ
トパミン、イソプロテレノール等のβアドレナリン作用
興奮剤、ヨヒンビン、エルゴトキシン等のα₂ アドレナ
リン作用抑制剤、テオフィリン、カフェイン等のキサン
チン誘導体、ミルリノン、アムリノン等のビピリジン誘
導体等、肥満の抑制または防止作用を有する公知物質等
を配合することができる。

【００１３】本発明の痩身用皮膚化粧料の剤型としては
特に限定されるものではなく、皮膚塗布用、浴用、洗浄
用等のクリーム、乳液、ジェル、スティック、シート、
パップ、粉末、液体、顆粒等とすることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明を実施例、比較例に基づき、更
に詳説する。なお、脂肪分解促進効果の評価としては、
下記のホスホジエステラーゼ阻害試験、皮下脂肪分解試
験にて評価した。

【００１５】（１）ホスホジエステラーゼ阻害試験 二階堂ら〔Ｐｌａｎｔａ ｍｅｄｉｃａ ４３，１８
（１９８１年）〕の方法に基本的に準じ、基質量、酵素
量に関しては一部改良し、下記の試験方法に従い評価し
た。５ｍｌ用ポリエチレン製チューブに、５ｍＭ塩化
マグネシウム溶液、２．５ｍｇ／ｍｌボバイン・シー
ラム・アルブミン溶液（ＳＩＧＭＡ社製、ＢＳＡｆｒａ
ｃｔｉｏｎ Ｖ Ａ−７０３０使用）、基質として、
０．０２ＭＢｑ／ｍｌ〔２，８− ³Ｈ〕アデノシン
３’，５’−サイクリックホスフェートアンモニウム塩
溶液｛〔２，８− ³Ｈ〕ａｄｅｎｏｓｉｎｅ ３’，
５’−ｃｙｃｌｉｃ ｐｈｏｓｐｈａｔｅ ａｍｍｏｎ
ｉｕｍ ｓａｌｔ（第一製薬社製、ＮＥＴ−２７５）使
用｝、酵素として、１０ｍＵ／ｍｌ３’，５’−サイ
クリックヌクレオチドホスホジエステラーゼ溶液
｛３’，５’−ｃｙｃｌｉｃ ｎｕｃｌｅｏｔｉｄｅ
ｐｈｏｓｐｈｏｄｉｅｓｔｅｒａｓｅ（ＳＩＧＭＡ社
製、Ｐ−０１３４）使用｝、各種濃度の検体溶液を、
各０．１ｍｌ加え、３７℃、３０ｍｉｎの条件下でイン
キュベーションする〔各検体溶液は５０ｍＭトリス−塩
酸緩衝液（ｐＨ７．５）にて調整する〕。反応液は８０
℃、３ｍｉｎで酵素失活させ、冷却後、５ｍｇ／ｍｌ蛇
毒溶液０．１ｍｌ｛ｓｎａｋｅ ｖｅｎｏｍｓ（ＳＩＧ
ＭＡ社製、Ｖ−７０００）使用｝を加え、再度３７℃、
３０ｍｉｎインキュベーションする。その後、氷浴中に
て５０ｍＭトリス−塩酸緩衝液（ｐＨ７．５）１ｍｌを
加え攪拌する。更に、予めイオン交換樹脂（Ｂｉｏ−Ｒ
ａｄ社製 ＡＧ１−Ｘ８）約３００ｍｇを詰めたチュー
ブに反応液１ｍｌを移し換え、よく攪拌し、３００ｒ．
ｐ．ｍで２５ｍｉｎ遠心分離で溶液と樹脂とを分離す
る。この反応液０．５ｍｌを液体シンチレータにて、
〔２，８− ³Ｈ〕アデノシン｛〔２，８− ³Ｈ〕Ａｄｅ
ｎｏｓｉｎｅ｝生成量を測定（放射活性測定）する。対
照液として、ウシ心臓由来のサイクリックＡＭＰホスホ
ジエステラーゼ（ｃｙｃｌｉｃ ＡＭＰ ｐｈｏｓｐｈ
ｏｄｉｅｓｔｅｒａｓｅ）およびブランク（無添加）も
上記方法に従い測定し、下記に示した式より阻害率を算
出する。なお、検体溶液調整はＤＭＳＯを使用し、終濃
度は０．２重量％とする。

【００１６】阻害率（％）＝〔１−（Ａ−Ｃ）／（Ｂ−
Ｃ）〕×１００ Ａ：検体液中のアデノシン生成量（ｄｐｍ） Ｂ：対照液中のアデノシン生成量（ｄｐｍ） Ｃ：ブランク中のアデノシン生成量（ｄｐｍ） そして、評価は、上記阻害率が５０％の時の濃度（μｇ
／ｍｌ）である、ＩＣ₅₀値で評価した。

【００１７】（２）皮下脂肪分解試験 ウィスター系ラット（雄、７〜９週齢）の腹部を刈毛
後、同部皮膚を皮下脂肪組織とともに摘出し、直径２ｃ
ｍのフランツ型拡散セルに装着する。角質層側の上部セ
ルに皮膚化粧料０．５ｇを均一に塗布し、皮下脂肪組織
側の下部セルにｐＨ７．２リン酸緩衝生理食塩水を満た
す。セルを３７℃に保ち、６時間放置後、下部セルより
緩衝溶液を採取し、溶液中に遊離したグリセロール量を
酵素法（ベーリンガー・マンハイム社製 Ｆ−キット；
グリセロール）にて測定する。なお、測定は５回行い、
その平均値で示す。

【００１８】実施例１、比較例１〜５ 各植物エキス等について、上記のホスホジエステラーゼ
阻害試験で評価した結果を表１に示す。なお、各植物エ
キスは、粉砕した乾燥試料を、等重量の含水５０％エタ
ノールにて一昼夜抽出し、抽出液を凍結乾燥して得られ
た物を用いた。

【００１９】

【表１】

【００２０】表１に示すように、実施例１のオウゴンエ
キスとゴボウエキスを混合したものは、ホスホジエステ
ラーゼ阻害率５０％の濃度が低く、細胞内に存在するサ
イクリックＡＭＰ分解酵素「サイクリックＡＭＰ−ホス
ホジエステラーゼ」を低濃度で阻害することが可能であ
り、中性脂肪の分解を促進することが判った。

【００２１】実施例２、比較例６〜８（ジェル状痩身用
皮膚化粧料） 表２に示す、Ｂ成分をＡ成分に添加し攪拌することによ
り、ジェル状皮膚化粧料を常法により調製した。なお、
オウゴンエキスとゴボウエキスは、乾燥試料を粉砕し、
等重量の含水５０％エタノールで一昼夜抽出した物を使
用した。尚、各エキスは乾燥残分を、２．０重量％（オ
ウゴンエキス）、１．４重量％（ゴボウエキス）含む。

【００２２】

【表２】

【００２３】上記ジェル状痩身用皮膚化粧料について、
前記の皮下脂肪分解試験にて評価した結果を表３に示
す。

【００２４】

【表３】

【００２５】実施例３、比較例９〜１０（ローション状
痩身用皮膚化粧料） 表４に示す、Ｂ成分をＡ成分に添加し攪拌することによ
り、ローション状皮膚化粧料を常法により調整した。な
お、オウゴンエキスとゴボウエキスは、実施例２で用い
た物を使用した。

【００２６】

【表４】

【００２７】上記ローション状痩身用皮膚化粧料につい
て、前記の皮下脂肪分解試験で評価した結果を表５に示
す。

【００２８】

【表５】

【００２９】実用試験（ローション状痩身用皮膚化粧
料） 表４記載のローション状痩身用皮膚化粧料を用いて、肥
満度を示すＢＭＩ〔ｂｏｄｙ ｍａｓｓ ｉｎｄｅｘ＝
体重（ｋｇ）／｛身長（ｍ）×身長（ｍ）｝〕が３０±
３の１０人のパネラー（男女各５名）に対し、三週間毎
日入浴後に腹部（前、横）、大腿部内側に塗布しマッサ
−ジを行った後、表６記載の評価項目で効果があると感
じた人数で評価した。

【００３０】

【表６】

【００３１】

【発明の効果】以上の如く、本発明は、全身あるいは局
所の脂肪組織の減少を促進することによる肥満体質の改
善、または同組織の増大を防止することによる肥満の抑
制もしくは防止に有効な痩身用皮膚化粧料を提供できる
ことは明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 和良 神奈川県小田原市寿町５丁目３番28号 鐘 紡株式会社化粧品研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 オウゴン抽出エキスとゴボウ抽出エキス
   とを含有する痩身用皮膚化粧料。