JPH10156179A - 酸・アルデヒド吸収性重合体及びその製造方法ならびに該重合体を含有したシート状物 - Google Patents

酸・アルデヒド吸収性重合体及びその製造方法ならびに該重合体を含有したシート状物

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JPH10156179A
JPH10156179A JP8334915A JP33491596A JPH10156179A JP H10156179 A JPH10156179 A JP H10156179A JP 8334915 A JP8334915 A JP 8334915A JP 33491596 A JP33491596 A JP 33491596A JP H10156179 A JPH10156179 A JP H10156179A
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polymer
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nitrogen
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Ryosuke Nishida
良祐 西田
Yoko Yamamoto
葉子 山本
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Japan Exlan Co Ltd
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Japan Exlan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 酸及びアルデヒドの優れた吸収能力を有する
重合体及び該重合体の製造方法ならびに該重合体を含有
したシート状物を提供する。 【構成】 高ニトリル系重合体に含まれるニトリル基
を、特定の窒素含有化合物で処理した、アミン構造を有
する重合体よりなる。 【効果】 本発明の酸・アルデヒド吸収性重合体は、酸
・アルデヒド吸収性能に優れており、かつ、粒子、繊
維、シート、樹脂等各種形態を取ることが可能であるた
め、酸及びアルデヒドを吸収する必要のある各種の用途
に適応することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸・アルデヒド吸
収性重合体及びその製造方法ならびに該重合体を含有し
たシート状物に関する。より詳しくは、ニトリル基を有
するビニルモノマーよりなる高ニトリル系重合体を、1
分子中の窒素の数が2以上である窒素含有化合物で処理
して得られたアミン構造を有する酸・アルデヒド吸収性
重合体とその製造方法、ならびに該重合体を含有した
紙、不織布、発泡シートのいずれかによりなる酸・アル
デヒド吸収性重合体含有シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生活様式の変化、居住環境の高密
度化や気密性の高まり等により、悪臭や異臭など臭いに
関するニーズが高まっている。その中でも、最近嫌煙権
等で何かと問題視されるタバコ臭の主成分に含まれる酢
酸やアセトアルデヒドを吸収するものを望む声は高い。
しかし、アンモニア等の塩基性物質、或いは硫化水素等
の硫黄化合物に対して消臭性能を示すものは多くあって
も、酸や、特にアルデヒドに対して消臭性能を示すもの
は数少ないのが実状である。
【0003】これらの酸やアルデヒドを吸収する消臭材
は、他の多くの消臭材と同じように、化学的消臭性物質
を担体表面に付着固定させたものや、活性炭等の物理的
吸着を利用したものが知られている。しかし、前者は消
臭性能が低い、あるいは耐久性などに問題があり、一方
後者は再生に高温を要する、或いは化学再生の場合は薬
品を必要とするという欠点を有している。
【0004】また、活性炭繊維に代表される繊維状消臭
材料もあるが、この場合、次のような問題点を有してい
る。1.まず第一の大きな問題点としては、繊維状であ
るため樹脂等への添加の際、まりも状の塊となるなどし
て均一に分散することが困難であり、添加剤としては用
いることができない。2.後加工に耐え、また製品とし
た際の使用に耐えるだけの繊維物性を維持する必要があ
り、そのため消臭機能発現が犠牲になることがある。例
えば、繊維のポリマー骨格自体を化学変性させ消臭性を
付与したものでは、ある一定レベル以上の繊維物性を維
持するために、繊維形成性のポリマー骨格としてかなり
の部分が必要となり、消臭機能発現能が低下する、或い
は、消臭機能を有する無機微粒子等を繊維中に練り込ん
だものでは、繊維物性維持のために、繊維中に練り込め
る該微粒子の添加量には限界があり、消臭機能を十分に
発現しないといった問題がある。3.一般に工業的に得
られる繊維では、その繊維径は10μ程度以上であり、
このため単位重量あたりの表面積が小さく、消臭機能を
発現させようとするばあい機能発現の表面積が小さくな
り十分な消臭機能が発現されにくい。4.繊維製品の場
合、繊維製造から後加工、製品化に至るまでの工程が非
常に長く、活性炭のような黒い消臭材とした場合、工程
あるいは設備が汚染されるといった問題があり、また、
無機系の消臭性微粒子を添加するような場合では、表層
に該微粒子が出ているため、製造工程および後加工にお
ける機械、設備などの磨耗が起こる、あるいはそれらの
粒子が脱落して工程、設備汚染を引き起こすといった問
題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、酸・
アルデヒド吸収性特性に優れ、かつ上述のような問題の
ない酸・アルデヒド吸収性重合体及びその製造方法なら
びに該重合体を含有したシート状物を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、酸・アルデ
ヒド吸収性重合体について、鋭意研究を続けてきた。そ
の結果、高ニトリル系重合体に含まれるニトリル基を、
特定の窒素含有化合物で処理することにより、酸・アル
デヒド吸収性に優れるアミン構造を有する重合体が得ら
れることを見出し本発明を完成するに至った。即ち本発
明は、ニトリル基を有するビニルモノマーの含有量が2
0重量%以上よりなる高ニトリル系重合体を、1分子中
の窒素の数が2以上である窒素含有化合物で処理して得
られたアミン構造を有することを特徴とする酸・アルデ
ヒド吸収性重合体、および該重合体を含有したシート状
物よりなる。また、本発明の酸・アルデヒド吸収性重合
体を得るための製造方法は、ニトリル基を有するビニル
モノマーの含有量が20重量%以上よりなる高ニトリル
系重合体を、1分子中の窒素の数が2以上である窒素含
有化合物で処理し、アミン構造を含有せしめることを特
徴とする。以下本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】まず本発明にいう高ニトリル系重
合体とは、ニトリル基含有率の高い重合体の意であり、
具体的にはニトリル基含有ビニルモノマーの含有量が2
0重量%以上のものを言う。該高ニトリル系重合体の原
料であるニトリル基を有するビニルモノマーとしては、
ニトリル基を有する限りにおいては特に限定はなく、具
体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エ
タクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−
フルオロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等が挙
げられる。なかでも、コスト的に有利であり、また、単
位重量あたりのニトリル基量が多いアクリロニトリルが
好ましい。
【0008】また、本発明における高ニトリル系重合体
を構成するニトリル基を有するビニルモノマーの含有量
としては、20重量%以上よりなる必要がある。酸・ア
ルデヒド吸収性を発現するアミン構造は、高ニトリル系
重合体と反応させる窒素含有化合物そのものより由来す
るもの、および、該窒素含有化合物と高ニトリル系重合
体のニトリル基との反応により生じるものの2種類があ
る。前者の場合、高ニトリル系重合体と反応させる窒素
含有化合物に含まれる窒素含有極性基の1つ以上が、高
ニトリル系重合体のニトリル基と反応し、窒素含有化合
物が高ニトリル系重合体に固定化される、そして結果的
に、該窒素化合物が有する未反応の窒素含有極性基が該
高ニトリル系重合体に固定化されるものである。この場
合、窒素含有極性基を多く含有する窒素含有化合物を用
いることにより、多量の窒素含有極性基、即ち酸・アル
デヒド吸収性を発現するアミン構造を導入することがで
きるため、ニトリル基を有するビニルモノマーの含有量
として比較的少なくてもよい。ただし、ニトリル基が少
なすぎる場合、即ち20重量%に満たない場合、固定化
できる窒素含有化合物量が少なくなり、十分に酸・アル
デヒド吸収効果を発現させることができない。また、後
者の場合、高ニトリル系重合体のニトリル基と窒素含有
化合物の反応により生じるものであるので、ニトリル基
を有するビニルモノマーの含有量は出来るだけ高いほう
が好ましい。以上2つのいずれの場合においても、該モ
ノマーの含有量は多いほうが酸・アルデヒド吸収特性の
優れたものを得ることができ、ニトリル基を有するビニ
ルモノマーの含有量として好ましくは50重量%以上、
さらに好ましくは70重量%以上のとき良好な結果を得
ることができる。なお、前者のものおよび後者のものが
それぞれ単独の系、また共存する系のいずれの系もとる
ことができる。。
【0009】本発明に用いられる高ニトリル系重合体の
形態に限定は無く、粒子状、繊維状、樹脂成形体状、発
泡体状等適宜のものが採用し得る。また該重合体の組成
については、ニトリル基を有するビニルモノマーの含有
量が20重量%以上である限りにおいては、特に限定は
なく、ニトリル基を有するビニルモノマー単独または、
該モノマー含有量を20重量%以上とし残部が少なくと
も1種の他のエチレン系不飽和化合物である重合体であ
ればよい。ここでいう他のエチレン系不飽和化合物とし
ては、具体的には、上述のニトリル基を有するビニルモ
ノマーと共重合し得る公知の不飽和化合物、例えば塩化
ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン等
のハロゲン化ビニルおよびハロゲン化ビニリデン類;ア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の
不飽和カルボン酸およびこれらの塩類;アクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸
オクチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸フェ
ニル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エステ
ル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸
フェニル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル
酸エステル類;メチルビニルケトン、フェニルビニルケ
トン、メチルイソブテニルケトン、メチルイソプロペニ
ルケトン等の不飽和ケトン類;蟻酸ビニル、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル
等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチル
ビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリルアミド
およびそのアルキル置換体;ビニルスルホン酸、アリル
スルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸
等の不飽和スルホン酸およびこれらの塩類;スチレン、
メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレンおよびそ
のアルキルまたはハロゲン置換体;アリルアルコールお
よびそのエステルまたはエーテル類;ビニルピリジン、
ビニルイミダゾール、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート等の塩基性ビニル化合物;アクロレイン、メタクリ
ロレイン等の不飽和アルデヒド類;グリシジルメタクリ
レート、N−メチロールアクリルアミド、ヒドロキシエ
チルメタクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジ
ビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ビニル
化合物をあげることができる。
【0010】本発明では、かかる高ニトリル系重合体を
特定の窒素含有化合物で処理して、該重合体にアミン構
造を導入するのであるが、この窒素含有化合物としては
1分子中の窒素の数が2以上必要であり、そのような窒
素含有化合物の具体例としては、エチレンジアミン、ト
リエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペ
ンタエチレンヘキサミン、カルボヒドラジド、グアニジ
ンまたはその塩、グアニルチオ尿素、グアニル尿素また
はその塩、1,4ージアミノブタン、1,3ージアミノ
プロパン、1,2ージアミノプロパン、ジアミノマレオ
ニトリル、ジシアンジアミド、CTUグアナミン、チオ
カルボヒドラジド、テトラメチルー1,3ージアミノプ
ロパン、N,N,N’,N’ーテトラメチルー1,6ー
ヘキサメチレンジアミン、ドデカンジオヒドラジド、2
酸化チオ尿素、ヘキサメチレンテトラミン、ジアニシジ
ン、4,4’ージアミノー3,3’ージエチルジフェニ
ルメタン、1,4’ージアミノー2,3’ージクロロア
ントラキノン、テトラメチレンジアミン、3,3’ージ
メチルー4,4’ージアミノジフェニルメタン、トリジ
ンベース、トルイレンジアミン、フェニレンジアミン、
ロイコー1,4ージアミノアントラキノン、4ーアミノ
ーN,Nージエチルアミノーmートルイジンハイドロク
ロライド、アミドール、アクリログアナミン、アセトア
ルデヒドアンモニア、アセトグアナミン、3ーアミノー
1,2,4トリアゾール、アミノピリジン、1ー(2ー
アミノエチル)ピペラミン、αーアミノーεーカプロラ
クタム、Nー(3ーアミノプロピル)モルホリン、イソ
シアヌル酸、イミダゾール、メチルイミダゾール、1ー
アミノエチルー2ーメチルイミダゾール、2,4ージア
ミノー6ー(2ーメチルー1ーイミダゾリル)ーエチル
ー1,3,5ートリアジン、2,4ージアミノー6ー
(2ーウンデシルー1ーイミダゾリルエチル)ー1,
3,5ートリアジン、2,4ージアミノー6ー(2ーエ
チルー4ーメチルー1ーイミダゾリルエチル)ー1,
3,5ートリアジン、テトラメチレンジアミン、1,3
ージ(4ーピペリジル)プロパン、ジメチルピペラジ
ン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ピペラジン、
ピラジン、ベンゾグアナミン、メラミン、グアナゾール
またはその塩、メタキシレンジアミン、メンセンジアミ
ン、ビス(4ーアミノー3ーメチルシクロヘキシル)メ
タン、3,9ービス(3ーアミノプロピル)ー2,4,
8,10ーテトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、
メタフェニレンジアミン、4,4’ージアミノベンズア
ニリド、4,4’ーメチレンジアニリン、ジアミノジフ
ェニルスルホン、3,5ージアミノクロロベンゼン、ジ
アミノジフェニルエーテル、ジアミノプロパン、ジアミ
ノヘキサン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、ジアミノナフタレン、3,3’ーイミノビス
(プロピルアミン)、3ー(ジエチルアミノ)プロピル
アミン、3ー(ジブチルアミノ)プロピルアミン、セバ
シン酸ジヒドラジド、テトラメチルエチレンジアミン、
4,4’ーオキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、
チオカルボヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、ア
ゾジカーボンアミド、アゾビスアミジノプロパン、3ー
(ジメチルアミノ)プロピルアミン、Nーメチルー3,
3’ーイミノビス(プロピルアミン)、ヒドラジンの
塩、チオ尿素、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、
ポリエチレンイミン、ポリ(メタ)アクリル酸ジメチル
アミノエチルエステル、ポリエチル3ージメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、アジピン酸ジヒドラジ
ド、等の窒素含有数2以上の化合物が挙げられる。なか
でも、コスト的に有利で、単位重量あたりの、酸・アル
デヒド吸収に寄与するアミン構造の導入効率のよい、ヒ
ドラジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン等が好まし
い。なお、含有する窒素の数が2未満の場合ニトリル基
との反応が効率的に進まない。このため、導入されるべ
きアミン構造を十分導入できず、目的とする機能を発現
することができない。
【0011】本発明における、高ニトリル系重合体中の
ニトリル基を、上述の窒素含有化合物で処理して導入さ
れるアミン構造とは、酸・アルデヒド吸収性能を有する
構造であり、具体的には、アミノ基(1級ーNH2、2
級ーNHR、3級ーNRR’)、イミノ基、ヒドラジノ
基、ヒドラゾノ基、ヒドラゾ基、ジアゾアミノ基、ウレ
イド基、ウレイレン基、グアニジノ基、ヒドラジノカル
ボニル基、アミジノ基、カルバモイル基等であり、通常
はこれらの構造が混在する。中でも、酸・アルデヒドと
の反応が起こりやすい1級アミノ基、イミノ基、ヒドラ
ジノ基、ヒドラゾノ基が好ましい。また、該アミン構造
は、鎖状であっても、環状であってもよい。なお、これ
らのアミン構造の含有量は、アミノ基、イミノ基等の上
述の塩基性基の交換容量(ミリ当量/g)の総和として
あらわすことができる。
【0012】かかるアミン構造導入の処理は、酸・アル
デヒド吸収性能を有するアミン構造が得られる限りにお
いては特に制限はなく、使用される用途に応じた処理、
即ち反応条件を適宜選定することができる。例えば、高
ニトリル系重合体、および1分子中の窒素の数が2以上
である窒素含有化合物の反応状態としては、融点以上で
ある溶融状態、該反応物を有機系あるいは無機系の溶媒
に溶かした状態、あるいは、有機溶剤、水等の反応媒体
に分散させた状態など適宜選択することができる。この
際、溶剤で希釈する、あるいは溶媒に分散させる等の反
応における高ニトリル系重合体および窒素含有化合物の
濃度は、その反応において適宜選定することができる。
また、反応温度としては特に限定はなく、上述の各反応
状態に合わせた反応温度を適宜設定することができる。
ただし、あまり低温である場合は、反応速度が遅くなり
反応時間が長くかかりすぎるため、50℃以上の温度、
さらに好ましくは80℃〜150℃で反応させた場合好
ましい結果を得る場合が多い。
【0013】なお、処理される高ニトリル系重合体が湿
式または乾/湿式紡糸により得られる繊維状でなる場合
は、乾燥緻密化、湿熱緩和処理等の熱処理の施されてい
ない構造の比較的粗な繊維、具体的には、乾燥繊維重量
基準で表した含有又は付着水分量の百分率である水膨潤
度が30〜150%の繊維を使用することにより、反応
液中への繊維の分散性、繊維中への反応液の浸透性など
が改善され、以てアミン構造の導入等が均一且つ速やか
に行われるので望ましい。
【0014】また、高ニトリル系重合体への窒素含有化
合物を反応させる部位についても特に限定はなく、その
用途、重合体の形態に応じて適宜選択することができ
る。具体的には、高ニトリル系重合体の表面のみに反応
させるとか、または、全体にわたり芯部まで反応させ
る、特定の部位を限定して反応させる等適宜選択でき
る。
【0015】高ニトリル系重合体と反応させる、上述の
窒素含有化合物の量としては、目的とする用途に応じて
要求される酸・アルデヒド吸収性が発現される限りにお
いては特に限定はない。ただ、いかなる用途においても
十分に酸・アルデヒド吸収機能を発現させることができ
る素材のほうが、実用面において同一素材で広い用途に
使用し易すくすることができ、製造上、コストの点から
有利となる。そういった意味から、酸・アルデヒド吸収
性を有するアミン構造を多く有するもののほうが好まし
く、従って反応せしめる上述の窒素含有化合物量として
は、高ニトリル系重合体に対し5重量%以上、より好ま
しくは30重量%以上の場合良好な結果を与える場合が
多い。ただし、反応により生じたアミン構造は親水性が
つよいため、あまり多すぎると、用途によっては水に溶
けてしまうという問題が生じる場合もある。このような
問題の場合、反応せしめる高ニトリル系重合体自体に架
橋構造を導入させたもの、あるいは窒素含有化合物との
反応において架橋を導入させたものなど架橋構造を有し
ているものであれば、高濃度のアミン構造を有したもの
をつくることができ、酸・アルデヒド吸収特性の優れた
しかも水不溶性の重合体とすることができるので好まし
い。
【0016】この架橋構造としては、必要とされる重合
体の形態が保持できる限りにおいては特に限定はなく、
用途に応じて適宜選択できる。例えば、共有結合による
架橋、イオン架橋、ポリマー分子間相互作用または結晶
構造による架橋等いずれの構造のものでもよい。また、
架橋を導入する方法においても、特に限定はなく、高ニ
トリル系重合体の重合段階での架橋剤、即ち架橋性モノ
マーの共重合による架橋、ポリマー化後での後架橋、物
理的なエネルギーによる架橋構造の導入など一般に用い
られる方法によることができる。なかでも、容易に効率
よく架橋構造を導入することのできる、架橋剤による架
橋が好ましく、具体的な架橋剤としては、後に行われる
窒素含有化合物での処理においても変性をうけない、ジ
ビニルベンゼンあるいはトリアリルイソシアヌレートに
よる架橋が好ましい。また、後架橋の例としては、高ニ
トリル系重合体中のニトリル基を利用したホルムアルデ
ヒド、あるいはヒドラジンなどによるものがよく、なか
でもヒドラジンの使用は、本願発明が必須とする窒素含
有化合物での処理によるアミン構造の導入と同時に架橋
の形成もできるので特に好ましい。
【0017】高ニトリル系重合体をヒドラジンで処理
し、重合体にアミン構造の導入と後架橋形成を行う方法
としては特に限定はないが、重合体をヒドラジン濃度3
〜80重量%の水溶液中、温度50〜150℃で1〜1
5時間処理する手段が工業的に好ましい結果を与える。
ここに使用するヒドラジンとしては、既述したヒドラジ
ンであり、より具体的には、水加ヒドラジン、硫酸ヒド
ラジン、塩酸ヒドラジン、臭素酸ヒドラジン等を挙げる
ことができる。
【0018】該ヒドラジン処理では、原料高ニトリル系
重合体のニトリル基とヒドラジンのアミンとの反応によ
り上述のアミン構造を有する架橋構造の生成と、ヒドラ
ジン由来の同アミン構造の導入が行われるものと思われ
る。また、ニトリル基の加水分解によりカルボキシル基
も1部生じていると思われる。
【0019】このヒドラジンによる処理時に、ニトリル
基の加水分解により生じたカルボキシル基とイオン結合
しているヒドラジンが遊離し問題となる場合には、これ
を除去するための酸処理を行ってもよい。その方法とし
ては、上述したヒドラジン処理重合体を各種の酸性水溶
液、例えば塩酸、酢酸、硝酸、硫酸等に浸漬し、しかる
後に乾燥する方法が好適に用いられる。ただし、酸処理
を行うとアミン構造がイオン化し酸・アルデヒド吸収能
力は低下する傾向にある。この後、酸処理により低下し
た酸・アルデヒド吸収能力を復活させるために、pH調
整を行いイオン化したアミン構造を中性にすることが望
ましい。この場合には、アルカリ金属水酸化物、アンモ
ニア等の塩基性水溶液中に該重合体を浸漬した状態で所
望のpHに調整し、しかる後に乾燥する手段が挙げられ
る。
【0020】なお、酸・アルデヒド吸収性能を有するア
ミン構造の含有量としては、実際に使用される用途に応
じて要求される酸・アルデヒド吸収特性を発現すること
ができる限りにおいては特に制限はない。従って、その
機能が低いものでも良い場合は、含有量の低いものとす
ることができ、また逆に大きな機能発現能を要求される
場合は、含有量を多くする必要がある。ただ、実用的な
面からみて、同一素材で広い用途に使用でき、製造上、
コストの点から有利となるなどの点より、好ましくは、
酸・アルデヒド吸収特性を発現する重合体の塩基性基の
交換容量が0.5ミリ当量/g以上のもの、より好まし
くは2ミリ当量/g以上であるもので良好な結果を得る
ことができる。
【0021】本発明における酸・アルデヒド吸収性重合
体の形態としては特に限定はなく、実用に供される用途
に応じて適宜選択できる。具体的には、立体的なブロッ
ク、即ち、プラスチック、樹脂成形体、プラスチックフ
ォーム、平面状のフィルム、塗膜、紙、不織布、シート
状のプラスチックフォーム、直線状の繊維(この繊維と
しては短繊維、トウ、糸、編織物、不織布等いずれの形
態のものでも良く、また、製造工程中途品、廃繊維など
でも構わない)、または、粒子状の粉末等である。なか
でもとくに、粒子状の粉末の場合、上述の各形態に添加
剤として使用することができるため、その適応範囲が広
く有用である。また、粒子状の粉末では、他の形態に比
べ単位重量あたりの表面積が広いため、酸・アルデヒド
吸収速度が速くなる、また、酸・アルデヒド吸収性の塩
基性基の交換容量が同じであっても、該塩基性基は表面
近傍に位置する割合が多いので、有効にその交換容量を
利用することができるといったメリットがある。
【0022】なお、酸・アルデヒド吸収性重合体が粒子
状の粉末である場合、その形状としては特に限定はな
く、球状、針状、紡錘状、棒状、円柱状、多面体状、多
針状、平板状、鱗片状、不定形状、またそれらの各形状
体の凝集状態のもの等あらゆる形状をとることができ
る。また、これらの粒子の大きさとしては、用途に応じ
て適宜選定することができ、特に限定はないが、平均粒
子径が1000μm以下の微粒子状である場合、より好
ましくは100μm以下の場合表面積が大きくなり、酸
・アルデヒド吸収性能が向上し良好な結果を得ることが
出来る。
【0023】本発明により得られた重合体の使用形態の
うち、特に、紙、不織布または発泡シートとして使用し
た場合、酸・アルデヒド等との接触面積が大きく、かつ
形態保持性が優れていることより、酸・アルデヒドを吸
収する素材として有用である。この紙、不織布または発
泡シートを構成する方法としては、本発明の酸・アルデ
ヒド吸収性重合体を使用する限りにおいては特に限定は
なく、具体的には、繊維状の該重合体により形態を構成
するもの、あるいは粒子状の該重合体を担持させたもの
のいずれの方法でもよい。ただ、コストが安い、あるい
は単位重量当たりの表面積が大きく、酸・アルデヒド吸
収効率が高いといった点より、粒子状の酸・アルデヒド
吸収性重合体を担持させたものの場合、より良い結果を
得ることができる。
【0024】担持方法としては、素材を構成するマトリ
ックスに混入、含浸あるいは包含させるなど、特に制限
はなく、様々な方法を採用することができる。また、酸
・アルデヒド吸収性重合体粒子は該マトリックス内部に
存在するものでも、マトリックス表面に存在するもので
もよく、例えば、紙、不織布、発泡シート等の製造過程
で該重合体粒子を混入する方法、あるいはこれらに該重
合体粒子のスラリーを含浸させる方法などいかなる方法
も採用することができる。
【0025】具体的な例としては、酸・アルデヒド吸収
性重合体粒子を填料として抄紙技術により紙を製造する
場合には、多量の水中に分散した、パルプあるいは合成
繊維等の製紙用素材のスラリーに該重合体粒子及び他の
添加剤を添加した後、充分混合し通常の抄紙機を用いて
製造することがてきる。この際、必要に応じて、填料の
流失を抑制するために、定着剤を添加することができ、
この定着剤としては、ポリエチレンイミン変性物、ポリ
アクリルアミド変性物、アルギン酸ナトリウム、アラビ
アゴム、陽性デンプン、硫酸アルミニウム、カリ明バン
などを挙げることができる。なお、定着剤の使用量は、
その種類や該重合体粒子の使用量によって適宜選択する
ことができる。さらに、抄紙工程において一般に用いら
れているサイズ剤、染料、紙力増強剤なども適宜使用す
ることができる。また、界面活性剤としては、アニオン
系、カチオン系あるいはノニオン系から、他の添加物な
どを考慮して適宜選択して使用することができる。これ
ら抄紙に用いられる酸・アルデヒド吸収性重合体粒子と
しては特に限定はないが、粒子径l〜100μmの粉末
を用いる場合好ましい結果が得られる。粒子径が1μm
より小さいと、抄紙の際に抄紙機の網から水と共に落下
してしまい、一方100μmを超えると、大きすぎて、
均一に分散することが困難となるといった問題が起きる
場合がある。
【0026】また、不繊布として形成するような場合、
特に限定はなく各種の製造法でつくられた不織布に適応
することができる。具体的には、乾式法では、接着剤型
の浸漬法、プリント法、スプレー法、粉末法、接着繊維
法(サーマルボンド法)、機械的結合型のフェルト法、
スティッチ法、ニードルパンチ法、水流絡合型のスパン
レース法、紡糸型のスパンボンド法、網状法、メルトブ
ロー法、フィルム法、湿式法では、水流絡合型のスパン
レース法、紡糸型のスパンボンド法、フラッシュ紡糸
法、抄紙型の熱融着繊維法、熱圧法、接着剤法などを挙
げることができる。酸・アルデヒド吸収性重合体の担持
法としては特に限定はなく、例えば、これらの不織布の
中に挟み込む、不織布を構成する繊維素材に接着担持さ
せる、不織布表面に塗布するなど各種の方法により担持
することができる。また、これらの不織布の目付として
は特に限定はないが、目付が20−300g/m2 のも
のが良好な結果を与える場合が多く、目付が20g/m
2 未満では強度が低く、やぶれなどの原因となり易い。
また、300g/m2 を越えると、気液の通過性が低く
なる傾向があり好ましくない場合がある。特に、好まし
い不織布としては、ポリエチレンからなる鞘成分とポリ
プロピレン又ばポリエステルからなる芯成分からなる複
合繊維を使用して形成されているスパンボンド不織布
や、表面がポリエステル繊維ウエブ層で裏面がポリプロ
ピレンウエブ層である2層構造の不織布などが挙げら
れ、これらの不織布は、低融点のポリオレフィン成分に
由来して加工が容易に行えることからも好ましい素材を
得ることができる。またプラスチックフォームをマトリ
ックスとする場合には、通常の方法により、該重合体粒
子をプラスチックフォーム、例えば発泡ポリウレタン等
に混合する、あるいはの酸・アルデヒド吸収性重合体粒
子のスラリーを含浸する等の方法により目的とする該重
合体含有プラスチックフォームを得ることができる。。
【0027】
【作用】本発明に係る酸・アルデヒド吸収性重合体、並
びに該製造方法により酸・アルデヒド吸収能力が付与さ
れる理由は、充分に解明するには至っていないが、概ね
次のように考えられる。即ち、本発明に係る重合体は、
高ニトリル系重合体のニトリル基と窒素含有化合物との
反応により生成したアミノ基、イミノ基等のアミン構造
を有している。したがって、このアミン構造が、酸にお
いては酸・塩基反応を、アルデヒドにおいては縮合反応
を起こすことにより、酸・アルデヒド化合物の結合、固
定化、ひいては酸・アルデヒド化合物吸収を可能ならし
めていると考えられる。
【0028】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中の百分率および部は、断りのない限り重量
基準で示す。まずは各評価法および用語の定義を説明す
る。
【0029】酸・アルデヒド吸収能力は以下の方法によ
り測定した。乾燥した検体2.0gを20℃、相対湿度
65%で調温・調湿する。この後、テドラーバッグに検
体と1Lの20℃、相対湿度65%の空気を入れ、測定
するガス、酢酸、プロピオン酸、アセトアルデヒド、プ
ロピオンアルデヒドのいずれか1つのガスを濃度100
ppmとなるよう注入する。前記温度・湿度で2時間放
置した後、ガス検知管によってテドラーバッグ内のガス
濃度を測定した。従って、この残留ガス濃度の値が低い
ほうが吸収能力が高いことをあらわしている。
【0030】粒子状物の平均粒子径は、島津製作所製レ
ーザー回折式粒度分布測定装置「SALD2000」を
使用し、水を分散媒として測定した結果を、体積基準で
表し、そのメディアン径をもって平均粒子径とした。
【0031】また、反応により得られた酸・アルデヒド
吸収性重合体に含まれる塩基性基の量は、酸塩基滴定を
おこない、その滴定カーブから塩基性基の量を求めた。
【0032】窒素含有化合物濃度とは、高ニトリル系重
合体と窒素含有化合物との反応における窒素含有化合物
の重量を、反応系全体の重量で除した値に100を乗じ
た値を%で表したものである。また、窒素含有化合物量
とは、該反応における窒素含有化合物の重量を、高ニト
リル系重合体の重量で除した値に100を乗じた値を%
で表したものである。
【0033】実施例 1 メタクリル酸/p−スチレンスルホン酸ソーダ=70/
30の水溶性重合体300部及び硫酸ナトリウム30部
を6595部の水に溶解し、櫂型撹拌機付きの重合槽に
仕込んだ。次にアクリロニトリル2700部及びジビニ
ルベンゼン300部に2,2’−アゾビスー(2,4−
ジメチルバレロニトリル)15部を溶解して重合槽に仕
込み、400rpmの撹件条件下、60℃で2時間重合
し、重合率87%で平均粒子径52μmの高ニトリル系
架橋重合体を得た。該重合体を、表1に示す条件でグア
ニジン処理を行い、水洗、乾燥して酸・アルデヒド吸収
性重合体を得た。得られた重合体び吸収能力としては、
測定2時間後の濃度が酢酸12ppm、アセトアルデヒ
ド6ppmであり、優れた酸・アルデヒド吸収能力を有
するものであった。
【0034】
【表1】
【0035】実施例 2 実施例1で得られた高ニトリル系重合体を用い、表1の
条件でポリエチレンイミンと反応を行ったところ、表1
に示すとおり、実施例1と同様な優れた酸・アルデヒド
吸収能力を有する酸・アルデヒド吸収性重合体を得るこ
とができた。
【0036】実施例 3 ジビニルベンゼン300部をアクリル酸メチル300部
に変えた以外は実施例1と同様な方法により、重合率9
2%で平均粒子径78μmの高ニトリル系重合体を得
た。次に該重合体を、表1に示す条件でヒドラジンと反
応を行い、水洗、乾燥して酸・アルデヒド吸収性重合体
を得た。得られた重合体は、ヒドラジンによる架橋によ
って、水中に溶解することなく、もとの形態を保持して
おり扱い易いものであった。また、吸収特性も表1に示
すとおり良好であった。
【0037】実施例 4 アクリロニトリル2700部を、アクリロニトリル18
00部およびアクリル酸メチル900部に変えた以外は
実施例3と同様な方法により、酸・アルデヒド吸収性重
合体を得た。各特性値は表1に示す通りであり、吸収性
能はやや低いものの、酸・アルデヒド吸収性能を有して
いた。
【0038】実施例 5 実施例3で得られた高ニトリル系重合体を45%チオシ
アン酸ソーダ水溶液に溶解し、この液を直径3mmの針
より水中に滴下することにより、直径5mmの高ニトリ
ル系重合体粒子を得た。得られた粒子は実施例3と同様
な方法でヒドラジン処理を行い、直径5mmの酸・アル
デヒド吸収性重合体粒子を得た。該粒子の各特性は表2
に示すとおりであり、粒子径が大きく表面積が小さくな
ったため吸収性能はやや低いものの、酸・アルデヒド吸
収性能を有していた。
【0039】
【表2】
【0040】実施例 6 アクリロニトリル440部、アクリル酸メチル50部、
乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1
6部及び水1181部をオートクレイブ内に仕込み、更
に重合開始剤としてジtert−ブチルパーオキサイド
を単量体全量に対して0.5%添加した後、密閉し、次
いで撹拌下において130℃の温度にて23分間重合せ
しめた。反応終了後、撹拌を継続しながら約90℃まで
冷却し、平均粒子径0.2μmの高ニトリル系重合体微
粒子の水分散体(エマルジョン)を得た。得られたエマ
ルジョンは表2の反応条件でヒドラジンと反応を行った
後、スプレードライヤーにより乾燥粉末化することによ
り、平均粒子径8μmの酸・アルデヒド吸収性重合体微
粒子を得た。該微粒子の酸およびアルデヒド化合物の吸
収性は表2に示すとおりで、非常に優れた吸収特性を有
していることが確認できた。これは、粒子径が極めて小
さいため単位重量あたりの表面積が非常に大きくなり、
優れた吸収性能が発現されたものと考えられる。
【0041】比較例 1 アクリロニトリル2700部を、アクリロニトリル30
0部およびアクリル酸メチル2400部に変えた以外は
実施例3と同様な方法により、重合体粒子を得た。各特
性値は表2に示す通りでありが、酸・アルデヒド吸収性
能はほとんど認められなかった。これは、ヒドラジンと
反応させた重合体において、ニトリル基が少なすぎたた
め、酸・アルデヒドを吸収するためのアミン構造が十分
に導入されなかったためと考えられる。
【0042】比較例 2 実施例1で得られた高ニトリル系重合体を用い、表2の
条件でエチルアミンと反応を行ったが、得られたものは
表2に示すとおり、酸・アルデヒド吸収能力をほとんど
有していなかった。これは、ニトリル基と反応する窒素
含有化合物の窒素の数が2未満であるため、ニトリル基
と窒素含有化合物、エチルアミンの反応が十分起きなか
ったこと、および酸・アルデヒド吸収に有効なアミン構
造が十分導入されなかった結果と考えられる。
【0043】実施例 7 針葉樹パルプと広葉樹パルプを7:3の重量比で混合
し、カナダ標準ろ水度が360ccとなるように叩解し
た。このパルプを水に分散させ、濃度0.3重量%のパ
ルプスラリーを調製し、実施例6で得られた酸・アルデ
ヒド吸収性重合体微粒子を濃度0.7重量%添加し、J
IS−P8209に準拠して抄紙した。得られた製品紙
の該微粒子の含有率は、70%、坪量は85g/m2
あった。得られた紙について、酸・アルデヒド吸収性重
合体微粒子の量が2.0gとなるようにしたものを評価
用検体とし、上述の方法により酸・アルデヒド吸収能力
を測定した。下記実施例8から10も同様な方法により
酸・アルデヒド吸収能力を測定した。各測定結果は表3
まとめた。
【0044】
【表3】
【0045】実施例 8 針葉樹パルプと広葉樹パルプのかわりに、ポリエチレン
からなる鞘成分とポリプロピレン又はポリエステルから
なる芯成分からなる複合繊維を使用したこと以外は実施
例7と同様な方法により酸・アルデヒド吸収性重合体微
粒子を含有した紙を得た。
【0046】実施例 9 5デニールのポリプロピレン繊維でなる目付け量80g
/m2 のネツト状不織布の上面に、20g/m2 の目の
粗いホツトメルト不織布を載置し、その上面に実施例3
で得られた酸・アルデヒド吸収性重合体微粒子を60g
/m2 の分量でふりかけ、加熱して接合させることによ
り、酸・アルデヒド吸収性重合体微粒子を含有した不織
布を得た。該不織布は、通気性が高く、酸・アルデヒド
吸収性重合体微粒子の層を良く保持したものであった。
【0047】実施例 10 実施例6で得られた酸・アルデヒド吸収性重合体微粒子
を、下記処方によりウレタン樹脂に混合し、混合物を離
型紙上に流延して乾式発泡させ、該微粒子を合有する発
泡ウレタンシートを作製した。 ウレタン樹脂100部(UF−3A、セイコー化成製) 充填剤10部(FAD一30、セイコー化成製) 発泡剤1部(FAD−31、セイコー化成製) 酸・アルデヒド吸収性重合体微粒子13部 上記組成の薬剤をディスパーで30分撹拌してよく混合
し、離型紙上に厚み約0.15mmに流延し、130℃
で2分間キュアリングして発泡させた。出来上がり発泡
シート厚みは0.5mmであった。この発泡ウレタンシ
ートは1m2 あたり約10gの酸・アルデヒド吸収性重
合体微粒子を合有していた。
【0048】表3に示すとおり、実施例7から10おけ
る酸・アルデヒド吸収性重合体含有製品においても、優
れた酸・アルデヒド吸収性能が発現されていることが認
められる。さらに各製品においては、酸・アルデヒド吸
収性重合体の保持性も良好であるため各種の形に成形可
能であり、さらに通気性もあるので、フィルター等に好
適な素材となっていた。
【0049】実施例 11 実施例3で得られた高ニトリル系重合体を濃度45%の
チオシアン酸ナトリウム水溶液に溶解し、重合体濃度1
2%の紡糸原液を作成した。該原液を10%、−3℃の
チオシアン酸ナトリウム水溶液に押し出し、次いで水
洗、延伸、熱処理を行い、原料繊維を作製した。次に、
得られた原料繊維をヒドラジン処理濃度35%、103
℃で3時間ヒドラジン処理を行い、脱水、水洗、乾燥し
繊維状の酸・アルデヒド吸収性重合体を得た。得られた
繊維の酢酸、プロピオン酸、アセトアルデヒド、プロピ
オンアルデヒドの吸収能力は、2時間後の残留ガス濃度
としてそれぞれ、3、7、14、27であり微粒子状の
ものに比べるとやや低いながら、酸・アルデヒド吸収能
力を有していることが確認された。
【0050】
【発明の効果】酸・アルデヒド吸収能力を有する重合体
並びに該重合体を工業的有利に製造する手段を提供し得
た点が、本発明の特筆すべき効果である。また、本発明
の酸・アルデヒド吸収性重合体は、各種形状を取り得る
ものであり、例えば粉末状やビーズ状等の形状で添加剤
として利用したり、フィルム状、繊維状等の形状で利用
することができる。また、それぞれのものは、不織布、
織物、編物、紙などに加工したり、フィルター、壁紙、
布団の中綿、衣料用等、様々な形態に加工することが可
能である。
【0051】なお、ここで言う酸には酢酸、プロピオン
酸、酪酸、吉草酸等の有機酸の他、無機酸等酸性を示す
化合物一般が挙げられる。また、アルデヒドにはアセト
アルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド
等アルデヒド基を有する化合物一般が挙げられるが、発
明の重合体は特に分子量の低いものについて、優れた吸
収能力を有するものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D21H 17/34 D06M 13/36

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニトリル基を有するビニルモノマーの含
    有量が20重量%以上よりなる高ニトリル系重合体を、
    1分子中の窒素の数が2以上である窒素含有化合物で処
    理して得られたアミン構造を有することを特徴とする酸
    ・アルデヒド吸収性重合体。
  2. 【請求項2】 ニトリル基を有するビニルモノマーがア
    クリロニトリルであることを特徴とする請求項1記載の
    酸・アルデヒド吸収性重合体。
  3. 【請求項3】 重合体が架橋構造を有していることを特
    徴とする請求項1または2記載の酸・アルデヒド吸収性
    重合体。
  4. 【請求項4】 架橋構造が、高ニトリル系重合体の含有
    するニトリル基とヒドラジンとの反応により得られた構
    造であることを特徴とする請求項3記載の酸・アルデヒ
    ド吸収性重合体。
  5. 【請求項5】 窒素含有化合物が、ヒドラジン、エチレ
    ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンイ
    ミンの群より選ばれた1種以上であることを特徴とする
    請求項1から4のいずれかに記載の酸・アルデヒド吸収
    性重合体。
  6. 【請求項6】 重合体の塩基性基の交換容量が0.5ミ
    リ当量/g以上であることを特徴とする請求項1から5
    のいずれかに記載の酸・アルデヒド吸収性重合体。
  7. 【請求項7】 重合体が平均粒子径100μm以下の粒
    子であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに
    記載の酸・アルデヒド吸収性重合体。
  8. 【請求項8】 ニトリル基を有するビニルモノマーの含
    有量が20重量%以上よりなる高ニトリル系重合体を、
    1分子中の窒素の数が2以上である窒素含有化合物で処
    理し、アミン構造を含有せしめることを特徴とする酸・
    アルデヒド吸収性重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 窒素含有化合物が、ヒドラジン、エチレ
    ンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンイ
    ミンの群より選ばれた1種以上であることを特徴とする
    請求項8記載の酸・アルデヒド吸収性重合体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 ニトリル基を有するビニルモノマーが
    アクリロニトリルであることを特徴とする請求項8また
    は9記載の酸・アルデヒド吸収性重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1から6のいずれかに記載の酸
    ・アルデヒド吸収性重合体を含有した紙、不織布、発泡
    シートのいずれかであることを特徴とする酸・アルデヒ
    ド吸収性重合体含有シート。
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