JPH10153185A - アルミニウム合金製部材 - Google Patents
アルミニウム合金製部材Info
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- JPH10153185A JPH10153185A JP31063796A JP31063796A JPH10153185A JP H10153185 A JPH10153185 A JP H10153185A JP 31063796 A JP31063796 A JP 31063796A JP 31063796 A JP31063796 A JP 31063796A JP H10153185 A JPH10153185 A JP H10153185A
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F04—POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
- F04C—ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
- F04C18/00—Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
- F04C18/02—Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents
- F04C18/0207—Rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids of arcuate-engagement type, i.e. with circular translatory movement of co-operating members, each member having the same number of teeth or tooth-equivalents both members having co-operating elements in spiral form
- F04C18/0246—Details concerning the involute wraps or their base, e.g. geometry
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- Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 引張応力に対しても、圧縮応力に対しても十
分な疲労強度を有し、優れた静的強度や加工性を有する
アルミニウム合金製部材、及び、高い疲労強度を備えた
スクロール流体機械用スクロール部材を提供しようとす
るものである。 【解決手段】 部材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形
状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金を、また、
圧縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金
を配置し、これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるん
でなるアルミニウム合金製部材、及び、スクロール流体
機械用スクロール部材である。
分な疲労強度を有し、優れた静的強度や加工性を有する
アルミニウム合金製部材、及び、高い疲労強度を備えた
スクロール流体機械用スクロール部材を提供しようとす
るものである。 【解決手段】 部材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形
状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金を、また、
圧縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金
を配置し、これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるん
でなるアルミニウム合金製部材、及び、スクロール流体
機械用スクロール部材である。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度アルミニウ
ム合金製部材に関し、特に、高い疲労強度を必要とする
スクロール流体機械用スクロール部材に関する。
ム合金製部材に関し、特に、高い疲労強度を必要とする
スクロール流体機械用スクロール部材に関する。
【０００２】
【従来の技術】アルミニウム合金製部品の疲労強度の向
上を図るために、ＳｉＣウィスカー強化アルミニウム合
金やＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金を
アルミニウム合金で鋳ぐるむ部品が開発されている。
〔特開昭６２─２７１７３６号公報、特開平６─２７８
２３５号公報、特開平８─１７６７０２号公報参照〕
上を図るために、ＳｉＣウィスカー強化アルミニウム合
金やＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金を
アルミニウム合金で鋳ぐるむ部品が開発されている。
〔特開昭６２─２７１７３６号公報、特開平６─２７８
２３５号公報、特開平８─１７６７０２号公報参照〕
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】図４は、ＳｉＣウィス
カー強化アルミニウム合金製の芯金０１を、アルミニウ
ム合金０２で鋳ぐるんだ高強度アルミニウム部品の従来
例を示したものである。このような高強度アルミニウム
部品は、構成材料の熱膨張係数が大きく異なることや、
ＳｉＣウィスカー強化アルミニウム合金の破壊靱性値が
低いことなどから、鋳ぐる時や熱処理時に接合境界層０
４に剥離や割れを生ずることがある。また、ＮｉＴｉ形
状記憶合金繊維強化アルミニウム合金製の芯金をアルミ
ニウム合金０２で鋳ぐるんむ場合は、圧縮応力に対して
ある領域で強度が不足することがある。
カー強化アルミニウム合金製の芯金０１を、アルミニウ
ム合金０２で鋳ぐるんだ高強度アルミニウム部品の従来
例を示したものである。このような高強度アルミニウム
部品は、構成材料の熱膨張係数が大きく異なることや、
ＳｉＣウィスカー強化アルミニウム合金の破壊靱性値が
低いことなどから、鋳ぐる時や熱処理時に接合境界層０
４に剥離や割れを生ずることがある。また、ＮｉＴｉ形
状記憶合金繊維強化アルミニウム合金製の芯金をアルミ
ニウム合金０２で鋳ぐるんむ場合は、圧縮応力に対して
ある領域で強度が不足することがある。
【０００４】そこで、本発明は、上記の欠点を解消し、
引張応力に対しても、圧縮応力に対しても十分な強度を
有するアルミニウム合金製部材、及び、高い疲労強度を
備えたスクロール流体機械用スクロール部材を提供しよ
うとするものである。
引張応力に対しても、圧縮応力に対しても十分な強度を
有するアルミニウム合金製部材、及び、高い疲労強度を
備えたスクロール流体機械用スクロール部材を提供しよ
うとするものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は、次の構成を採
用することにより、上記の課題の解決に成功した。 (1) 部材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形状記憶合金
繊維強化アルミニウム合金の芯金を、また、圧縮応力領
域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金を配置し、
これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるんでなること
を特徴とするアルミニウム合金製部材。
用することにより、上記の課題の解決に成功した。 (1) 部材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形状記憶合金
繊維強化アルミニウム合金の芯金を、また、圧縮応力領
域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金を配置し、
これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるんでなること
を特徴とするアルミニウム合金製部材。
【０００６】(2) 前記ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化ア
ルミニウム合金の芯金を前記アルミニウム合金の表面に
露出させて鋳ぐるみ、また、前記ＳｉＣ粒子強化アルミ
ニウム合金の芯金を前記アルミニウム合金層中に鋳ぐる
んでなることを特徴とする上記(1) 記載のアルミニウム
合金製部材。
ルミニウム合金の芯金を前記アルミニウム合金の表面に
露出させて鋳ぐるみ、また、前記ＳｉＣ粒子強化アルミ
ニウム合金の芯金を前記アルミニウム合金層中に鋳ぐる
んでなることを特徴とする上記(1) 記載のアルミニウム
合金製部材。
【０００７】(3) 端板の一面に渦巻き状のラップを立設
してなるスクロール流体機械用スクロール部材におい
て、前記スクロール部材のうち、引張応力領域にＮｉＴ
ｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金を、ま
た、圧縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の
芯金を配置し、これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐ
るんでなることを特徴とするスクロール流体機械用スク
ロール部材。
してなるスクロール流体機械用スクロール部材におい
て、前記スクロール部材のうち、引張応力領域にＮｉＴ
ｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金を、ま
た、圧縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の
芯金を配置し、これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐ
るんでなることを特徴とするスクロール流体機械用スク
ロール部材。
【０００８】(4) 前記渦巻き状のラップの中央先端部の
引張応力領域と圧縮応力領域とに前記芯金をそれぞれ鋳
ぐるんでなることを特徴とする上記(3) 記載のスクロー
ル流体機械用スクロール部材。
引張応力領域と圧縮応力領域とに前記芯金をそれぞれ鋳
ぐるんでなることを特徴とする上記(3) 記載のスクロー
ル流体機械用スクロール部材。
【０００９】
【発明の実施の形態】本発明は、アルミニウム合金製部
材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強
化アルミニウム合金の芯金を、また、圧縮応力領域にＳ
ｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金を配置し、これら
の芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるむことにより、引張
応力に対しても、圧縮応力に対しても十分に高い強度を
有することを可能にした。
材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強
化アルミニウム合金の芯金を、また、圧縮応力領域にＳ
ｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金を配置し、これら
の芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるむことにより、引張
応力に対しても、圧縮応力に対しても十分に高い強度を
有することを可能にした。
【００１０】本発明で使用するＮｉＴｉ形状記憶合金繊
維強化アルミニウム合金の製造方法の一例を示すと以下
のとおりである。水冷円筒形ドラムにＮｉＴｉ形状記憶
合金繊維を規則的に巻き付け、その上にアルミニウム合
金粉末を溶射する。このように作成された単層の円筒形
素材からテープ状のプリフォームを切出し、これを積層
して熱間静水圧プレス法（ＨＩＰ法）で成形して複合材
を得る。形状記憶処理を施すために、ＮｉＴｉ形状記憶
合金繊維を母相（オーステナイト相）が現される高温状
態とし、その後、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維をマルテン
サイト相にするために急冷し、低温状態とする。
維強化アルミニウム合金の製造方法の一例を示すと以下
のとおりである。水冷円筒形ドラムにＮｉＴｉ形状記憶
合金繊維を規則的に巻き付け、その上にアルミニウム合
金粉末を溶射する。このように作成された単層の円筒形
素材からテープ状のプリフォームを切出し、これを積層
して熱間静水圧プレス法（ＨＩＰ法）で成形して複合材
を得る。形状記憶処理を施すために、ＮｉＴｉ形状記憶
合金繊維を母相（オーステナイト相）が現される高温状
態とし、その後、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維をマルテン
サイト相にするために急冷し、低温状態とする。
【００１１】ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維にマルテンサイ
ト相が現れている低温状態で、引張りの予歪みを与えた
後、使用温度状態に戻すことにより、高強度の形状記憶
合金繊維強化アルミニウム合金となる。また、急冷処理
後に使用温度状態で本材料に十分に大きな予引張応力を
加えた後、除荷することも、高強度の形状記憶合金繊維
強化アルミニウム合金を製造する有効な手段である。
ト相が現れている低温状態で、引張りの予歪みを与えた
後、使用温度状態に戻すことにより、高強度の形状記憶
合金繊維強化アルミニウム合金となる。また、急冷処理
後に使用温度状態で本材料に十分に大きな予引張応力を
加えた後、除荷することも、高強度の形状記憶合金繊維
強化アルミニウム合金を製造する有効な手段である。
【００１２】図２は、本発明のアルミニウム合金製部材
の製造工程を示した図である。高強度のＮｉＴｉ形状記
憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金１４を、引張応
力の加わる前記部材の付け根部に相当する鋳型２２内に
配置し、また、ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金
１５を圧縮応力の加わる鋳型２２内の中心部に配置し、
アルミニウム合金２１の溶湯を鋳型２２に注いで前記芯
金を鋳ぐるんだ後２３、表面のアルミニウム合金を加工
してアルミニウム合金製部品２４を得る。
の製造工程を示した図である。高強度のＮｉＴｉ形状記
憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金１４を、引張応
力の加わる前記部材の付け根部に相当する鋳型２２内に
配置し、また、ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金
１５を圧縮応力の加わる鋳型２２内の中心部に配置し、
アルミニウム合金２１の溶湯を鋳型２２に注いで前記芯
金を鋳ぐるんだ後２３、表面のアルミニウム合金を加工
してアルミニウム合金製部品２４を得る。
【００１３】一般に、アルミニウム又はアルミニウム合
金で鋳ぐるんだ複合材料の割れは、種々の因子が関係し
ているが、複合材料中の強化材料とマトリックスとの境
界や、複合材料とその周囲のアルミニウム母材との境界
は、鋳ぐるみ工程やその後の溶体化処理において、高温
状態からの冷却によって熱応力が発生する。熱応力の大
きさは、両者の材料の熱膨張係数の差に支配される。
金で鋳ぐるんだ複合材料の割れは、種々の因子が関係し
ているが、複合材料中の強化材料とマトリックスとの境
界や、複合材料とその周囲のアルミニウム母材との境界
は、鋳ぐるみ工程やその後の溶体化処理において、高温
状態からの冷却によって熱応力が発生する。熱応力の大
きさは、両者の材料の熱膨張係数の差に支配される。
【００１４】例えば、６０６１アルミニウム合金と従来
使用されているＳｉＣウィスカー、６０６１アルミニウ
ム合金と本発明で使用するＮｉＴｉ形状記憶合金繊維の
熱膨張係数を比較すると、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維を
強化材料として用いる方が熱膨張係数の差が少なく、発
生応力も小さくなるので、鋳ぐるみ工程や溶体化処理工
程などにおいて剥離や割れの発生を防止することが可能
になる。
使用されているＳｉＣウィスカー、６０６１アルミニウ
ム合金と本発明で使用するＮｉＴｉ形状記憶合金繊維の
熱膨張係数を比較すると、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維を
強化材料として用いる方が熱膨張係数の差が少なく、発
生応力も小さくなるので、鋳ぐるみ工程や溶体化処理工
程などにおいて剥離や割れの発生を防止することが可能
になる。
【００１５】また、強化材料であるＳｉＣウィスカーと
ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維の塑性変形挙動の違いによ
り、複合材料化した後の破断延性や靱性も大きく異な
る。ＳｉＣウィスカー強化アルミニウム合金の破断伸び
が３〜４％程度であるのに比べて、ＮｉＴｉ形状記憶合
金繊維強化アルミニウム合金の破断伸びは１０〜４０％
程度と良好である。
ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維の塑性変形挙動の違いによ
り、複合材料化した後の破断延性や靱性も大きく異な
る。ＳｉＣウィスカー強化アルミニウム合金の破断伸び
が３〜４％程度であるのに比べて、ＮｉＴｉ形状記憶合
金繊維強化アルミニウム合金の破断伸びは１０〜４０％
程度と良好である。
【００１６】さらに、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化ア
ルミニウム合金の破壊靱性値は、ＳｉＣウィスカー強化
アルミニウム合金の３〜４倍であり、破壊に対する抵抗
力の大きい。
ルミニウム合金の破壊靱性値は、ＳｉＣウィスカー強化
アルミニウム合金の３〜４倍であり、破壊に対する抵抗
力の大きい。
【００１７】機械構造部材では、破壊に直接影響する引
張応力領域の他に、圧縮応力状態となる領域が存在す
る。ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の
形状記憶効果によって発生するマトリックスの圧縮残留
応力によるものであり、アルミニウム合金製部品に曲げ
応力が負荷された場合に生ずる圧縮応力領域の強度向上
には効果が少ない。
張応力領域の他に、圧縮応力状態となる領域が存在す
る。ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の
形状記憶効果によって発生するマトリックスの圧縮残留
応力によるものであり、アルミニウム合金製部品に曲げ
応力が負荷された場合に生ずる圧縮応力領域の強度向上
には効果が少ない。
【００１８】一方、ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金は
引張強度向上には効果が少ないが、耐圧縮性が富む高弾
性率材料である。ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金は加
工性に難があり、表層部をアルミニウム合金としておく
必要があるが、ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金が有す
る高弾性率によりアルミニウム合金表層部の応力低減を
図ることが可能となる。
引張強度向上には効果が少ないが、耐圧縮性が富む高弾
性率材料である。ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金は加
工性に難があり、表層部をアルミニウム合金としておく
必要があるが、ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金が有す
る高弾性率によりアルミニウム合金表層部の応力低減を
図ることが可能となる。
【００１９】ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウ
ム合金は、強化材料が延性金属であるため、加工が比較
的容易であり、種々の形状に加工して鋳ぐるむことが可
能である。また、アルミニウム合金製部品の応力集中部
において、局部的な最大応力の方向に平行になるように
ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維を配向させることにより、強
度向上効果を有利に作用させることが好ましい。ＮｉＴ
ｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の疲労強度
は、繊維の体積含有率が５０％程度の場合に６割程度向
上する。
ム合金は、強化材料が延性金属であるため、加工が比較
的容易であり、種々の形状に加工して鋳ぐるむことが可
能である。また、アルミニウム合金製部品の応力集中部
において、局部的な最大応力の方向に平行になるように
ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維を配向させることにより、強
度向上効果を有利に作用させることが好ましい。ＮｉＴ
ｉ形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の疲労強度
は、繊維の体積含有率が５０％程度の場合に６割程度向
上する。
【００２０】以上のように、アルミニウム合金製部品の
引張応力領域にＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アルミニ
ウム合金の芯金を、圧縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アル
ミニウム合金の芯金をそれぞれ配置し、アルミニウム合
金で鋳ぐるむことにより、引張側及び圧縮側の発生応力
の低減、強度や加工性の向上が可能となり、鋳ぐるみ時
や熱処理時における剥離や割れの発生を防ぎながら、最
終的に疲労強度を向上させたアルミニウム合金製部品の
製造を可能にした。
引張応力領域にＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アルミニ
ウム合金の芯金を、圧縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アル
ミニウム合金の芯金をそれぞれ配置し、アルミニウム合
金で鋳ぐるむことにより、引張側及び圧縮側の発生応力
の低減、強度や加工性の向上が可能となり、鋳ぐるみ時
や熱処理時における剥離や割れの発生を防ぎながら、最
終的に疲労強度を向上させたアルミニウム合金製部品の
製造を可能にした。
【００２１】
【実施例】本発明の具体的な実施例であるスクロール型
コンプレッサー部品について説明する。図１はスクロー
ル型コンプレッサー部品の説明図であり、左図は正面
図、右図は正面図のａ−ａ断面図である。従来、この種
の部品は端板に渦巻き状のラップ１１を立設した形状を
有し、６０６１アルミニウム合金やＡＣ８Ａアルミニウ
ム合金鋳物で作られる。このラップ１１は繰り返し曲げ
荷重を受け、特に、その先端部１２は発生応力が高く、
応力低減のためにラップ高さを制限する必要があった。
逆に、ラップ高さを高くするためには、ラップ先端の付
け根の応力集中部１３の疲労強度を向上させる必要があ
った。
コンプレッサー部品について説明する。図１はスクロー
ル型コンプレッサー部品の説明図であり、左図は正面
図、右図は正面図のａ−ａ断面図である。従来、この種
の部品は端板に渦巻き状のラップ１１を立設した形状を
有し、６０６１アルミニウム合金やＡＣ８Ａアルミニウ
ム合金鋳物で作られる。このラップ１１は繰り返し曲げ
荷重を受け、特に、その先端部１２は発生応力が高く、
応力低減のためにラップ高さを制限する必要があった。
逆に、ラップ高さを高くするためには、ラップ先端の付
け根の応力集中部１３の疲労強度を向上させる必要があ
った。
【００２２】そこで、図１に示すように、ラップ先端１
２にＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化６０６１アルミニウ
ム合金１４の芯金と、ＳｉＣ強化アルミニウム合金１５
の芯金を、６０６１アルミニウム合金で鋳ぐるむことに
より疲労強度の向上を図ったものである。
２にＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化６０６１アルミニウ
ム合金１４の芯金と、ＳｉＣ強化アルミニウム合金１５
の芯金を、６０６１アルミニウム合金で鋳ぐるむことに
より疲労強度の向上を図ったものである。
【００２３】図３は、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化６
０６１アルミニウム合金１４の芯金とＳｉＣ強化アルミ
ニウム合金１５の芯金を有するラップ先端部の断面図で
あり、矢印の方向に曲げモーメントによる引張応力が作
用する領域ＡにＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化６０６１
アルミニウム合金１４の芯金を配置する。
０６１アルミニウム合金１４の芯金とＳｉＣ強化アルミ
ニウム合金１５の芯金を有するラップ先端部の断面図で
あり、矢印の方向に曲げモーメントによる引張応力が作
用する領域ＡにＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化６０６１
アルミニウム合金１４の芯金を配置する。
【００２４】ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化６０６１ア
ルミニウム合金は機械加工が可能であるため、図３に示
すように、段付形状を有するＮｉＴｉ形状記憶合金繊維
強化６０６１アルミニウム合金の芯金を表面に露出させ
た状態で配置し、繊維の配向方向をラップ先端付け根Ａ
の形状に合わせて曲げることにより、強度向上効果を有
利に作用させることができる。応力集中部Ａに発生した
亀裂は、ＡＢ断面、ＡＣ断面のいずれの方向にもその進
展は阻止される。疲労亀裂の発生は引っ張り応力が作用
するコーナー部Ａに限定されるので、このような使用法
も有効である。
ルミニウム合金は機械加工が可能であるため、図３に示
すように、段付形状を有するＮｉＴｉ形状記憶合金繊維
強化６０６１アルミニウム合金の芯金を表面に露出させ
た状態で配置し、繊維の配向方向をラップ先端付け根Ａ
の形状に合わせて曲げることにより、強度向上効果を有
利に作用させることができる。応力集中部Ａに発生した
亀裂は、ＡＢ断面、ＡＣ断面のいずれの方向にもその進
展は阻止される。疲労亀裂の発生は引っ張り応力が作用
するコーナー部Ａに限定されるので、このような使用法
も有効である。
【００２５】一方、曲げモーメントによる圧縮応力が作
用する領域Ｂには、ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金１
５を配置する。ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金は加工
性が悪いが、芯金の表面に６０６１アルミニウム合金層
を残して６０６１アルミニウム合金製部品と同等の加工
性を確保することができる。そして、表面近傍には高弾
性率のＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金が存在す
ることにより、表層部Ｂの応力が低減する。
用する領域Ｂには、ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金１
５を配置する。ＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金は加工
性が悪いが、芯金の表面に６０６１アルミニウム合金層
を残して６０６１アルミニウム合金製部品と同等の加工
性を確保することができる。そして、表面近傍には高弾
性率のＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金が存在す
ることにより、表層部Ｂの応力が低減する。
【００２６】以上のようにして、図１のＮｉＴｉ形状記
憶合金繊維強化アルミニウム合金芯金とＳｉＣ粒子強化
アルミニウム合金芯金を使用したスクロール型コンプレ
ッサー部品は、６０６１アルミニウム合金のみで製造さ
れたものより、部品全体の健全性を確保しながら、疲労
強度を大幅に向上させることが可能になった。
憶合金繊維強化アルミニウム合金芯金とＳｉＣ粒子強化
アルミニウム合金芯金を使用したスクロール型コンプレ
ッサー部品は、６０６１アルミニウム合金のみで製造さ
れたものより、部品全体の健全性を確保しながら、疲労
強度を大幅に向上させることが可能になった。
【００２７】
【発明の効果】本発明は、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強
化アルミニウム合金芯金と、ＳｉＣ粒子強化アルミニウ
ム合金芯金とを、アルミニウム合金で鋳ぐるむことによ
り、鋳ぐるむ時や熱処理時に発生する応力を低減させ、
また、静的強度や加工性を向上させることができ、引張
応力領域や圧縮応力領域に最適な複合材料を配置するこ
とにより、鋳ぐるむ時や熱処理時における剥離や割れを
防止し、部品全体の健全性を確保しながら疲労強度を向
上させたスクロール型コンプレッサー部品の提供を可能
にした。
化アルミニウム合金芯金と、ＳｉＣ粒子強化アルミニウ
ム合金芯金とを、アルミニウム合金で鋳ぐるむことによ
り、鋳ぐるむ時や熱処理時に発生する応力を低減させ、
また、静的強度や加工性を向上させることができ、引張
応力領域や圧縮応力領域に最適な複合材料を配置するこ
とにより、鋳ぐるむ時や熱処理時における剥離や割れを
防止し、部品全体の健全性を確保しながら疲労強度を向
上させたスクロール型コンプレッサー部品の提供を可能
にした。
【図１】本発明にかかるスクロール型コンプレッサー部
品の構成図である。
品の構成図である。
【図２】図１の部品を製造する手順を示した工程図であ
る。
る。
【図３】本発明にかかるスクロール型コンプレッサー部
品のラップ先端部に、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化ア
ルミニウム合金芯金とＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金
芯金を挿入する説明図である。
品のラップ先端部に、ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化ア
ルミニウム合金芯金とＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金
芯金を挿入する説明図である。
【図４】従来のＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金を鋳ぐ
るんだ部材の説明図である。
るんだ部材の説明図である。
Claims (4)
- 【請求項１】 部材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形
状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金を、また、
圧縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金
を配置し、これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるん
でなることを特徴とするアルミニウム合金製部材。 - 【請求項２】 前記ＮｉＴｉ形状記憶合金繊維強化アル
ミニウム合金の芯金を前記アルミニウム合金の表面に露
出させて鋳ぐるみ、また、前記ＳｉＣ粒子強化アルミニ
ウム合金の芯金を前記アルミニウム合金層中に鋳ぐるん
でなることを特徴とする請求項１記載のアルミニウム合
金製部材。 - 【請求項３】 端板の一面に渦巻き状のラップを立設し
てなるスクロール流体機械用スクロール部材において、
前記スクロール部材のうち、引張応力領域にＮｉＴｉ形
状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の芯金を、また圧
縮応力領域にＳｉＣ粒子強化アルミニウム合金の芯金を
配置し、これらの芯金をアルミニウム合金で鋳ぐるんで
なることを特徴とするスクロール流体機械用スクロール
部材。 - 【請求項４】 前記渦巻き状のラップの中央先端部の引
張応力領域と圧縮応力領域とに前記芯金をそれぞれ鋳ぐ
るんでなることを特徴とする請求項３記載のスクロール
流体機械用スクロール部材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31063796A JPH10153185A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | アルミニウム合金製部材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP31063796A JPH10153185A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | アルミニウム合金製部材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10153185A true JPH10153185A (ja) | 1998-06-09 |
Family
ID=18007658
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP31063796A Withdrawn JPH10153185A (ja) | 1996-11-21 | 1996-11-21 | アルミニウム合金製部材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH10153185A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7393595B2 (en) * | 2001-12-07 | 2008-07-01 | Qinetiq Limited | Composite comprising a metal or alloy and a shape memory alloy |
| JP2014237300A (ja) * | 2013-06-10 | 2014-12-18 | 三菱重工業株式会社 | 樹脂構造体並びに該樹脂構造体を含む樹脂製スクロール流体機械 |
-
1996
- 1996-11-21 JP JP31063796A patent/JPH10153185A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US7393595B2 (en) * | 2001-12-07 | 2008-07-01 | Qinetiq Limited | Composite comprising a metal or alloy and a shape memory alloy |
| JP2014237300A (ja) * | 2013-06-10 | 2014-12-18 | 三菱重工業株式会社 | 樹脂構造体並びに該樹脂構造体を含む樹脂製スクロール流体機械 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20040203 |