JPH06278235A - 形状記憶合金繊維強化金属 - Google Patents

形状記憶合金繊維強化金属

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JPH06278235A
JPH06278235A JP6836693A JP6836693A JPH06278235A JP H06278235 A JPH06278235 A JP H06278235A JP 6836693 A JP6836693 A JP 6836693A JP 6836693 A JP6836693 A JP 6836693A JP H06278235 A JPH06278235 A JP H06278235A
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JP
Japan
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shape memory
memory alloy
alloy fiber
fiber reinforced
composite material
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JP6836693A
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English (en)
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Dee Aamusutorongu Uiriamu
デー アームストロング ウィリアム
Tetsuo Yuhara
哲夫 湯原
Hironori Kii
博徳 紀
Minoru Taya
稔 田谷
Yasubumi Furuya
泰文 古屋
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 引張強度、剛性、破壊靱性、疲労き裂伝播抵
抗に優れた繊維強化金属を得る。 【構成】 5〜60体積%のNi−Ti形状記憶合金繊
維を、アルミニウム合金中に一方向に配向させた形状記
憶合金繊維強化金属。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高強度アルミニウム合
金に代表される重量軽減や機械的な強度向上を必要とす
る構造部材に有利に適用できる形状記憶合金繊維強化合
金に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金の強度を向上させるた
めに、SiCウィスカーやSiC粒子をアルミニウム合
金母材中に分散・配向させた複合材が製造されており、
このようなウイスカー強化アルミニウム合金や粒子強化
アルミニウム合金は強度向上に効果的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来法では実用上重要な破壊靭性値が低いという問
題があった。本発明は、このような従来のウィスカー強
化アルミニウム合金や粒子強化アルミニウム合金の欠点
である破壊靭性値の低さを改善すると共に、その他の強
度特性を良好に保った高強度合金の提供を目的とするも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】そのため本発明は次の構
成とした。
【0005】(1)5〜70体積%の形状記憶合金繊維
を、金属母材中に一方向に配向させていることを特徴と
する形状記憶合金繊維強化金属。
【0006】(2)15〜70体積%の形状記憶合金繊
維を配向させた事を特徴とする上記(1)の形状記憶合
金繊維強化金属。
【0007】(3)25〜70体積%の形状記憶合金繊
維を配向させた事を特徴とする上記(1)の形状記憶合
金繊維強化金属。
【0008】(4)形状記憶合金繊維がNi−Ti系形
状記憶合金からなる事を特徴とする上記(1)乃至
(3)のいずれかからなる形状記憶合金繊維強化金属。
【0009】(5)母材がアルミニウム合金であること
を特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれかからなる
形状記憶合金繊維強化金属。
【0010】(6)形状記憶合金繊維が溶射法または熱
間静水圧プレス法(HIP法)で母材に配向された事を
特徴とする上記(1)乃至(5)の形状記憶合金繊維強
化金属。
【0011】(7)形状記憶合金繊維が鋳造法で母材に
配向された事を特徴とする上記(1)乃至(5)の形状
記憶合金繊維強化金属。
【0012】
【作用】形状記憶合金繊維を用いた繊維強化金属の製造
の際に、熱処理を施して、母相(オーステナイト相)に
おいて形状記憶合金繊維に形状記憶処理を行うと、その
時の形状記憶合金繊維の長さが「記憶された長さ」とな
る。その後、この材料の温度を、形状記憶合金繊維がマ
ルテンサイト相となる温度まで下げて、引っ張りの予ひ
ずみを与えたのち、形状記憶合金繊維の母相変態完了温
度(Af点)以上に材料の温度を上げると、形状記憶合
金繊維は母相で「記憶された長さ」に戻ろうとする。し
かし、本材料では、形状記憶合金繊維の周囲に金属母材
があるので、その拘束のため、金属母材の中に圧縮の残
留応力が生じる。この圧縮残留応力のために、形状記憶
合金繊維強化金属中の金属母材の引張降伏応力は、形状
記憶合金繊維のない金属母材の引張降伏応力より大きく
なり、形状記憶合金繊維強化金属全体の降伏応力も向上
する。さらに、形状記憶合金繊維の強い引張特性により
形状記憶合金繊維強化金属の引張強度や剛性も向上す
る。
【0013】形状記憶合金繊維強化金属が繰返し荷重下
にあるとき、疲労破壊を防止するためには、金属母材の
応力を弾性限度以内とする必要がある。形状記憶合金繊
維を金属母材に配向させたのち、図1及び図2の種々の
処理を施すことにより生じた圧縮残留応力(図2
(c))は、作用応力を低減させるので、形状記憶合金
繊維と金属母材の界面の結合が強い限り、疲労強度向上
に有効に作用する。また、強化繊維の疲労強度も重要で
あるが、マルテンサイト相にある形状記憶合金繊維は高
い疲労強度を有しているので、本材料は理想的な材料で
ある。
【0014】金属母材内に圧縮残留応力が形状記憶合金
繊維強化金属の破壊靱性や疲労き裂伝播に与える効果を
図3に示す。図3(a)に示すように予ひずみを与えた
形状記憶合金繊維強化金属(23)にき裂が存在する場
合を考えると、図3(b)に示すように、き裂先端周囲
の金属母材にも前記のような圧縮応力が存在しており、
き裂を閉じる方向に作用する。このような圧縮残留応力
による破壊靱性値の増加量(△KIC)は式(1)によっ
て与えられる。(参考文献(1))
【0015】
【数1】
【0016】ここで、σr は圧縮応力の絶対値、dは繊
維に挟まれた金属母材の幅である。式(1)によれば圧
縮応力が高いほど、KICは大きくなり、形状記憶合金繊
維強化金属の破壊靱性値が向上することが分かる。ま
た、疲労き裂伝播速度(da/dN)は一般的に式
(2)で与えられている。
【0017】
【数2】
【0018】ここで、aはき裂長さ、Nは繰返し数、A
及びpは材料定数である。△Kは式(3)で定義され
る。
【0019】
【数3】△K=Kmax - Kmin ------------(3)
【0020】ここで、Kは応力拡大係数とよばれ、σ√
(πa)に等しく、Kmax min はσmax (最大荷
重)、σmin (最小荷重)に相当するK値である。0〜
σmax の片振り条件下の荷重繰返しを考えると、金属母
材中の圧縮残留応力のために、式(3)のKmax は低下
する。一方、き裂伝播に対しては0以下の圧縮応力領域
は無効であり、Kmin は0以下にはならず、ΔKは減少
し、そのために、疲労き裂伝播速度(da/dN)も低
下するとの効果を生じる。さらに、図3(c)に示した
形状記憶合金繊維の持つ超弾性効果により、き裂後方の
繊維にき裂31を閉じる方向の作用を生じ、き裂伝播速
度を低下させるとの効果も有する。
【0021】形状記憶合金繊維は、上述の効果をねらっ
て含有させるものであるが、5%未満の含有では図8の
とおり、疲労強度の向上率が不充分であり、逆に70%
を越えて含有しても疲労強度が頭打ちとなる。従って、
形状記憶合金繊維は、5%以上70%以下とするのがよ
い。尚、実用的に好ましいのは15%以上であり、更に
高強度部材としては50%以上の含有が望ましい。
【0022】また、形状記憶合金繊維としては、強度、
化学的安定性及び形状記憶特性からNi−Ti合金が好
ましく、金属母材とししては軽量性、耐食性等の実用的
特性上アルミニウム合金が望ましい。
【0023】更に母材への配向の仕方としては、溶射
法、熱間静水圧プレス法、鋳造法が好ましい。
【0024】以上のような作用により、本発明で得られ
たNi−Ti形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金
は、引張強度や剛性のみならず、破壊靱性、疲労き裂伝
播抵抗にも優れた特性を有する。
【0025】
【実施例】本発明の形状記憶合金繊維強化アルミニウム
合金の製造方法の一例として、溶射法による製造方法を
図1及び図2によって説明する。
【0026】水冷されている円筒(ドラム)11に形状
記憶合金繊維12,21を規則的に巻き付け、その上に
アルミニウム合金粉末13,22を溶射する。ここで、
水冷円筒11には回転を与えておく。このようにして作
成された単層の円筒状素材14からテープ状のプリフォ
ーム15を所定の枚数だけ切出す。これを積層16して
熱間静水圧プレス法(HIP法)により成型し複合材と
すると共に、形状記憶処理を施すために、Ni−Ti形
状記憶合金繊維を母相(オーステナイト相)が現れる高
温状態とする(図2(a))。先に記したように、図2
において、21はNi−Ti形状記憶合金繊維、22は
アルミニウム合金である。その後、Ni−Ti形状記憶
合金繊維をマルテンサイト相とするために急冷し、低温
状態とする。
【0027】Ni−Ti形状記憶合金繊維にマルテンサ
イト相が現れている低温状態で、第2図(b)に示すよ
うに、引張りの予ひずみを与えたのち、使用温度状態に
戻すことにより、高強度の形状記憶合金繊維強化アルミ
ニウム合金23となる。また、急冷処理後に、使用温度
状態で、本材料に十分に大きな予引張応力を加えたの
ち、除荷することも、高強度の形状記憶合金繊維強化ア
ルミニウム合金を製造する有効な手段である。
【0028】本発明により製造されたNi−Ti形状記
憶合金繊維強化アルミニウム合金の適用例として、引張
外力がピン部に負荷された機械構造部材の例を図4に示
す。
【0029】本発明によるNi−Ti形状記憶合金繊維
強化アルミニウム合金23は、形状記憶効果を示し高い
引張強度や疲労強度を有しているNi−Ti形状記憶合
金繊維21と、6061アルミニウム合金母材22から
構成されている。Ni−Ti形状記憶合金繊維強化アル
ミニウム合金中のNi−Ti繊維の体積比は、5%から
60%まで変化させることが可能である。本発明による
Ni−Ti形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金は、
次に示す二つのプロセスの何れかによって製造する必要
がある。
【0030】(Aプロセス)まず、図1及び図2に示す
とおり、鋳造法、溶射法、熱間静水圧プレス法(HIP
法)などにより、高温で複合材の形に成形される。高温
におけるNi−Ti形状記憶合金繊維強化アルミニウム
合金の製造過程では、本材料を490℃から510℃の
範囲において1時間から2時間保持することにより、形
状記憶処理と溶体化処理を同時に施こす。形状記憶処理
と溶体化処理の最終段階で、本複合材は−30℃から−
78℃の温度範囲まで急冷される。本複合材の熱処理
は、174℃から179℃において6時間から10時間
の保持を有する析出硬化処理によって終了する。その後
は室温まで適度な速度で冷却する。ここで製造された複
合材は再び−30℃から−78℃の範囲の温度まで冷却
し、2%から8%の範囲の引張予ひずみを与えることに
より、本発明によるNi−Ti形状記憶合金繊維強化ア
ルミニウム合金の製造は完了する。
【0031】周囲の温度を、本発明によるNi−Ti形
状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の使用温度である
80℃から120℃の範囲まで高めると、Ni−Ti形
状記憶合金繊維は「記憶された長さ」に戻ろうとするの
で、アルミニウム合金母材は圧縮残留応力を受け、Ni
−Ti形状記憶合金繊維は引張残留応力を受ける。
【0032】(Bプロセス)同様に鋳造法、溶射法、熱
間静水圧プレス法(HIP法)などにより、高温で複合
材の形に成形したのち、形状記憶処理と溶体化処理、析
出硬化処理を行い、室温まで冷却する工程については、
Aプロセスと同様である。
【0033】その後、本材料の周囲温度を、使用温度で
ある80℃から120℃の範囲まで高める。図5に、1
00℃において得られたNi−Ti形状記憶合金繊維の
応力ひずみ挙動を示す。Ni−Ti形状記憶合金繊維強
化アルミニウム合金に対して、図5に示すNi−Ti形
状記憶合金繊維の超弾性の降伏点に達するような十分に
大きな予引張応力を加えると、アルミニウム合金母材中
に大きな塑性ひずみを生じる。その後、このような予引
張応力を解放すると、Ni−Ti形状記憶合金繊維とア
ルミニウム合金母材の応力状態が平衡し、アルミニウム
合金母材は圧縮残留応力を受け、Ni−Ti形状記憶合
金繊維は引張残留応力を受ける。Ni−Ti形状記憶合
金繊維強化アルミニウム合金が外部から引張荷重を受け
る場合には、Ni−Ti形状記憶合金繊維やアルミニウ
ム合金母材中の応力は、図6に示すように外部応力の関
数として表示される。
【0034】図7に示す完全両振疲労特性を有するNi
−Ti形状記憶合金繊維と6061−T6アルミニウム
合金を使用して製造されたNi−Ti形状記憶合金繊維
強化アルミニウム合金について、O−引張条件下の疲労
限度を求めた結果を図8に示す。Ni−Ti形状記憶合
金繊維の含有率が増加するに従い疲労強度が著しく向上
することが分かる。また、図9に示すように破壊靱性値
の向上も著しく、繊維含有率55%の本発明のNi−T
i形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金の破壊靱性
は、SiCウィスカー強化6061アルミニウム合金及
びSiC粒子強化6061アルミニウム合金に比較し
て、3〜4倍の値を有する。
【0035】
【発明の効果】本発明により、中温域での引張強度、疲
労強度、破壊靱性などの機械的性質を向上させたNi−
Ti形状記憶合金繊維強化アルミニウム合金を得ること
が可能となり、重量軽減や機械的な強度向上を必要とさ
れる構造部材に有利に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による材料の製造方法を示す工程図。
【図2】本発明による材料に圧縮残留応力を形成させる
方法を示す図。
【図3】本発明による材料が疲労き裂伝播抵抗の向上に
有効であることを示す説明図。
【図4】本発明による材料の機械構造部材への適用例を
示す図。
【図5】Ni−Ti形状記憶合金繊維の応力−ひずみ挙
動を示す説明図。
【図6】本発明による材料が引張外力を受ける際に発生
する応力を示す説明図。
【図7】本発明による材料の基本要素であるNi−Ti
形状記憶合金繊維と6061アルミニウム合金の疲労特
性を示す説明図。
【図8】本発明による材料の疲労強度特性を示す図。
【図9】本発明による材料の破壊靱性値の優位性を示す
図。
【符号の説明】
21 Ni−Ti形状記憶合金繊維 22 アルミニウム合金 23 形状記憶合金繊維強化金属
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田谷 稔 アメリカ合衆国ワシントン州マーサーアイ ランドサウスイースト93番街 6825 (72)発明者 古屋 泰文 宮城県仙台市青葉区三条町14−1−33

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5〜70体積%の形状記憶合金繊維を、
    金属母材中に一方向に配向させていることを特徴とする
    形状記憶合金繊維強化金属。
  2. 【請求項2】 15〜70体積%の形状記憶合金繊維を
    配向させた事を特徴とする請求項1の形状記憶合金繊維
    強化金属
  3. 【請求項3】 25〜70体積%の形状記憶合金繊維を
    配向させた事を特徴とする請求項1の形状記憶合金繊維
    強化金属。
  4. 【請求項4】 形状記憶合金繊維がNi−Ti系形状記
    憶合金からなる事を特徴とする請求項1乃至請求項3の
    いずれかからなる形状記憶合金繊維強化金属。
  5. 【請求項5】 母材がアルミニウム合金であることを特
    徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかからなる形状
    記憶合金繊維強化金属。
  6. 【請求項6】 形状記憶合金繊維が溶射法または熱間静
    水圧プレス法で母材に配向された事を特徴とする請求項
    1乃至請求項5の形状記憶合金繊維強化金属。
  7. 【請求項7】 形状記憶合金繊維が鋳造法で母材に配向
    された事を特徴とする請求項1乃至請求項5の形状記憶
    合金繊維強化金属。
JP6836693A 1993-03-26 1993-03-26 形状記憶合金繊維強化金属 Withdrawn JPH06278235A (ja)

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