JPH10152495A - 光重合開始剤、これを含有するエネルギー線硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

光重合開始剤、これを含有するエネルギー線硬化性組成物及びその硬化物

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JPH10152495A
JPH10152495A JP32486096A JP32486096A JPH10152495A JP H10152495 A JPH10152495 A JP H10152495A JP 32486096 A JP32486096 A JP 32486096A JP 32486096 A JP32486096 A JP 32486096A JP H10152495 A JPH10152495 A JP H10152495A
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sulfonium salt
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JP32486096A
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Nobuo Taniguchi
信雄 谷口
Minoru Yokoshima
実 横島
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Nippon Kayaku Co Ltd
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Nippon Kayaku Co Ltd
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/46Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation
    • C08F2/48Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation by ultraviolet or visible light
    • C08F2/50Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation by ultraviolet or visible light with sensitising agents

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Abstract

(57)【要約】 【課題】相容性、保存安定性が良好で、透明性に優れ、
硬化塗膜の光沢が良好で臭気が少なく、優れた物性の硬
化物を得ることができる新規な光重合開始剤、これを含
有する樹脂組成物を提供する。 【解決手段】カチオン重合性物質と式 【化1】 で示される特定のスルホニウム塩である光重合開始剤を
含有するエネルギー線硬化性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な特定の構造
を有するスルホニウム塩、それからなる光重合開始剤、
これを含有するエネルギー線の照射により硬化が可能な
エネルギー線硬化性組成物及びその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】光重合性組成物は印刷インキ、塗料、コ
ーティング、液状レジストインキ等の分野において、省
エネルギー、省スペース、無公害性等の要請から盛んに
研究され、実用化が検討されてきた。しかしこれらの研
究の大部分は二重結合のラジカル重合反応に基づくもの
であった。カチオン重合性物質、例えばエポキシ樹脂
は、物性的には優れた材料であるが光重合させることは
困難で、今までアクリル変性することにより二重結合を
導入した材料が主に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】光によりエポキシ樹脂
を硬化されるのに、例えば米国特許第3794576号
には感光性芳香族ジアゾニウム塩を光重合開始剤として
使用し光照射により光重合開始剤を分解し、ルイス酸を
放出することによりエポキシ樹脂を重合する方法が提案
されている。しかしながら芳香族ジアゾニウム塩は光分
解によりルイス酸と同時に窒素ガスを放出し、そのため
にエポキシ樹脂の膜厚が15μ以上になると塗膜が発泡
し、厚塗りの用途には適さない。更に、又、エポキシ樹
脂との混合物は光が存在しない時でも、徐々に硬化が進
行すに等、保存安定性に問題があり、一液性の組成物と
はいえない。上記のジアゾニウム塩系開始剤の欠点を克
服すべく、種々検討がなされ、厚塗り性及び保存安定性
の改良された技術として芳香族スルホニウム塩系や芳香
族ヨードニウム塩系開始剤及びそれらを含有する硬化性
樹脂組成物が特公昭52−14278号公報、特公昭5
2−14277号公報、特開昭54−53181号公
報、特公昭59−19581号公報等に開示されてい
る。しかしながら、これらの芳香族オニウム塩を含有す
る組成物はジアゾニウム塩に比較し硬化性が乏しいとい
う欠点を有し、又芳香族スルホウニム塩の場合は、硬化
物の臭気が問題となっていた。かかる欠点を克服するべ
く、特開昭56−55420号公報等に、特定の基を有
する芳香族スルホウニム塩が提案されている。しかし、
上記の欠点は、いくらか解消されるものの十分ではな
い。又、光重合組成物の使用される分野が拡大するにつ
れて、市場の要求に対応するために、新規な光重合開始
剤、それを含有する組成物の提供は重要である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは,前記の課
題を解決するため鋭意研究の結果、新規な光重合開始剤
を開発し、これを用いた組成物は、保存安定性、相容
性、硬化性に優れ、その硬化物は臭気が少ないエネルギ
ー線硬化性組成物を提供することに成功した。すなわ
ち、本発明は、(1)式(1)
【0005】
【化4】
【0006】{式中、Xは式(2)で示される基
【0007】
【化5】
【0008】(式中、R5 〜R14は、それぞれ水素原
子、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、C1 〜C
20の構造中に水酸基、エーテル基、エステル基、(メ
タ)アクリロイル基、エポキシ基あるいはアリル基を有
していても良い脂肪族基、フェニル基、フェノキシ基お
よびチオフェノキシ基のいずれかから選択された基であ
る。)R1 及びR2 は、それぞれC1 〜C20の構造中に
エーテル基、エステル基、カルバモイル基を有していて
も良い脂肪族基、シクロヘキシル基、ベンジル基、アル
キルベンジル基、アルコキシベンジル基、アルキルフェ
ニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、アルコ
キシフェニル基、および式(3)で示される基
【0009】
【化6】
【0010】(式中、R15は水素原子、C1 〜C5 のア
ルキル基、C1 〜C5 のアルコキシ基、ニトロ基および
シアノ基のいずれかから選択された基であり、Xは式
(1)中のXと同一である。)のいずれかから選択れた
基であり、R3 及びR4 は、それぞれ水素原子、C1
5 のアルキル基、C1 〜C5 のアルコキシ基、ニトロ
基及びシアノ基のいずれかから選択された基であり、n
は1〜3、Zは式(4)、式(5)または式(6)
【0011】MQP (4) MQP-1 (OH) (5) BYaRb (6)
【0012】(式中、Mは、リン原子、ホウ素原子、ヒ
素原子またはアンチモン原子であり、Qはハロゲン原子
であり、pは4〜6の整数であり、Bは、ホウ素原子、
a及びbは0〜4の範囲で整数であり、ここでa+bは
4であり、Yは、aが0〜3である場合にはハロゲン原
子(塩素又は弗素)を表わし、またaが0〜2である場
合にはOH基を表わすこともできる。Rは、CF3 、N
2 、CN等のような少なくとも1個の電子吸引基で置
換されたフェニル基又は少なくとも2個のハロゲン原子
(特に弗素)で置換されたフェニル基を表す。)で示さ
れる。}で示されるスルホニウム塩。(2)これらの塩
からなる光重合開始剤及び(3)カチオン重合性物質
(A)と(1)項記載の光重合開始剤(B)を含有する
ことを特徴とするエネルギー線硬化性組成物及びその硬
化物に関する。
【0013】本発明で用いるカチオン重合性物質(A)
としては、例えば、エポキシ樹脂、スチレン、ビニルエ
ーテル等のカチオン重合性化合物、更にはスピロオルソ
エステル、ビシクロオルソエステル、スピロオルソカー
ボナートのような環状エーテル類が挙げられる。エポキ
シ樹脂としては、従来、公知の芳香族エポキシ樹脂、脂
環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、更にはエポキ
シ単量体類、エピサルファイド単量体類が挙げられる。
ここで、芳香族エポキシ樹脂として例示すれば、少なく
とも1個の芳香族核を有する多価フェノールまたはその
アルキレンオキサイド付加体のポリグリシジルエーテル
であって、例えばビスフェノールA、ビスフェノール
F、ビスフェノールS等のビスフェノール化合物または
ビスフェノール化合物のアルキレンオキサイド(例え
ば、エチサンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチ
レンオキサイド等)付加体とエピクロロヒドリンとの反
応によって製造されるグリシジルエーテル類、ノボラッ
ク型エポキシ樹脂類(例えば、フェノール・ノボラック
型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹
脂、臭素化フェノール・ノボラック型エポキシ樹脂
等)、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル
等が挙げられる。また、脂環式エポキシ樹脂として、具
体的な例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)
アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−
5,5−スピロー3,4、エポキシ)シクロヘキサノン
−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペ
ンチル)エーテル、EHPE−3150(ダイセル化学
工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂、軟化点71℃)
等が挙げられる。
【0014】更に脂肪族エポキシ樹脂の例としては、脂
肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付
加物のポリグリシジルエーテルがあり、その代表例とし
ては、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテ
ル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテ
ル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロ
ールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレン
グリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコ
ールのジグリシジルエーテル、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコ
ールに1種または2種以上のアルキレンオキサイド(エ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド)を付加する
ことにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリ
シジルエーテルが挙げられる。更にエポキシド単量体類
の例としては、脂肪族高級アルコールのモノグリシジル
エーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール
またはこれらにアルキレンオキサイドを付加することに
より得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジル
エーテル等が挙げられる。
【0015】カチオン重合性ビニル化合物としては、例
えば、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テト
ラエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサ
ン−1,4−ジメチロールジビニルエーテル、1,4−
ブタンジオールジビニルエーテル、
【0016】
【化7】
【0017】及び
【0018】
【化8】
【0019】等が挙げられる。また、これらカチオン重
合性有機材料は単独でも2種以上の混合物でもかまわな
い。本発明で用いる一般式(1)で表されるスルホニウ
ム塩としては、例えば一般式(7)で表されるホスフィ
ンスルフィド化合物
【0020】
【化9】
【0021】(式中、R1 〜R4 は、前記一般式(1)
中のR1 〜R4 と同一である。)と置換または非置換ジ
フェニルスルホキシド化合物を公知のスルホニウム塩の
生成反応を利用する方法(以下1)法という)、2)相
当する置換及び非置換のスルホニウム塩をあらかじめ合
成し、その後、置換基を変換、導入する方法(以下2)
法という)のいずれかにより合成することができる。先
ず1)法を具体的に説明すると式(7)で表されるホス
フィンスルフィド化合物(具体例としては、例えば、ジ
ブチルフェニルホスフィンスルフィド、ジフェニルブチ
ルホスフィンスルフィド、ジイソオクチルフェニルホス
フィンスルフィド、ジフェニルイソオクチルホスフィン
スルフィド、ジオクチルフェニルホスフィンスルフィ
ド、ジフェニルオクチルホスフィンスルフィド、ジシク
ロヘキシルフェニルホスフィンスルフィド、ジフェニル
シクロヘキシルホスフィンスルフィド、トリオルソトリ
ルホスフィンスルフィド、ジフェニルオルソトリルホス
フィンスルフィド、ジオルソトリルフェニルホスフィン
スルフィド、ジパラトリルフェニルホスフィンスルフィ
ド、ジ(4−メトキシフェニル)フェニルホスフィンス
ルフィド、トリフェニルホスフィンスルフィド、ジ
(2,4−ジメチルフェニル)フェニルホスフィンスル
フィド、ジ(4−ニトロフェニル)フェニルホスフィン
スルフィド、ジ(4−メチルベンジル)フェニルホスフ
ィンスルフィド、ジベンジルフェニルホスフィンスルフ
ィド、ジ(4−メトキシベンジル)フェニルホスフィン
スルフィド、ジフェニルベンジルホスフィンスルフィ
ド、ジ(4−シアノフェニル)フェニルホスフィンスル
フィド、ジ(4−エチルフェニル)フェニルホスフィン
スルフィド、ジ(4−ブトキシフェニル)フェニルホス
フィンスルフィド、オクチルフェニル−N,N−ジイソ
ブチルカルバモイルメチルホスフィンスルフィド、ブチ
ル(フェニル)エチルオキシカルボニルメチルホスフィ
ンスルフィド等を挙げることができる。)と置換または
非置換ジフェニルスルホキシド化合物(例えば、ジフェ
ニルスルホキシド、4,4′−ジフルオロジフェニルス
ルホキシド、2,2′−ジフルオロジフェニルスルホキ
シド、3,3′−ジフルオロジフェニルスルホキシド、
4,2′−ジフルオロジフェニルスルホキシド、4,
4′−ジブロムジフェニルスルホキシド、4,4′−ジ
クロロジフェニルスルホキシド、2,2′,4,4′−
テトラクロロジフェニルスルホキシド、4,4′−ジメ
チルジフェニルスルホキシド、4,4′−ジエチルジフ
ェニルスルホキシド、4,4′−ジメトキシジフェニル
スルホキシド、4−メチルチオジフェニルスルホキシ
ド、4−スェニルチオジフェニルスルホキシド等)を公
知の方法、例えば、脱水剤(例えば、五酸化リン、無水
酢酸、濃硫酸等)と溶媒として、メタンスルホン酸やパ
ーフルオロメタンスルホン酸等を用いて常温〜100℃
で縮合反応を行ない、次いで、これらの反応液を式
(4)、式(5)又は式(6)をアニオン部分とするア
ルカリ金属塩(例えば、NaSbF6 、NaPF6 、N
aAsF6 、NaBF4 、NaSbF5 OH、KSbF
6 、KPF6 、KAaF6 、、KSbF5OH、LiB
(C6 5)4 、LiB(C6 4 CF3)4 、NaB(C
6 5)4 、LiBF3 (C6 5)、LiB(C6 3
2)4 、LiB(C6 5)2 2 等)の水溶液に滴下し、
スルホニウム塩を得ることができる。
【0022】2)法を具体的に説明すると、1)法で合
成したスルホニウム塩、例えば式(8)
【0023】
【化10】
【0024】(但し、式中R1 〜R4 は、式(1)中の
1 〜R4 と同一でAはハロゲン原子、Zは前記式
(4)、式(5)または式(6)で示される。)で示さ
れるハライド化合物等を公知の方法、例えば、塩基性化
合物(例えば、水酸ナトリウム、水酸化カリウム、、炭
酸カリウム等)の存在下、大過剰のモノ又はポリアルコ
ール類(例えば、メタノール、エタノール、カルビトー
ル、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロ
パン、1,4−ブタンジオール、グリシドール、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール等)
と室温〜150℃で、必要に応じて、ジメチルスルホキ
シド等の有機溶剤の存在下反応させることにより、前記
ハライド化合物のハライド部が例えば、
【0025】
【化11】
【0026】
【化12】
【0027】
【化13】
【0028】
【化14】
【0029】等の置換基に変換されたスルホニウム塩を
得ることができる。一般式(1)で示される化合物の代
表例としては、次表1及び表2の化合物を挙げることが
できるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
【表1】
【0031】本発明の硬化性組成物は、100重量部の
カチオン重合性物質(A)に対して0.01〜20重量
部より好ましくは0.1〜10重量部の前記の式(1)
で示されるスルホニウム塩(B)を必須の成分とするが
適当な割合は、カチオン重合性物質やエネルギー線の種
類、照射量、所望の硬化時間、温度、湿度、塗膜厚なと
さまざまな要因を考慮することによって決定される。カ
チオン重合性物質へのスルホニウム塩の溶解を容易にす
るため、あらかじめスルホニウム塩を溶剤類(例えば、
プロピレンカーボネート、カルビトール、カルビトール
アセテート、ブチロラクトン等)に溶解し使用すること
ができる。本発明の硬化性組成物は、カチオン重合性物
質及びスルホニウム塩を混合、溶解あるいは混練等の方
法により調製することができる。
【0032】本発明の硬化性組成物は、紫外線等のエネ
ルギー線を照射することにより0.1秒〜数分後に指触
乾燥状態あるいは溶媒不溶性の状態に硬化することかで
きる。適当なエネルギー線としては、スルホニウム塩ま
たはスルホキソニウム塩の分触を誘発するエネルギーを
有する限りいかなるものでもよいが、好ましくは、高、
低圧水銀ランプ、キセノンランプ,殺菌灯、レーザー光
などから得られる2000オングストローム〜7000
オングストロームの波長を有する電磁波エネルギーや電
子線、X線、放射線等の高エネルギー線を使用する。エ
ネルギー線への暴露は、エネルギー線の強度によるが、
通常は0.1秒〜10秒程度で十分である。しかし比較
的厚い塗装物についてはそれ以上の時間をかけるのが好
ましい。エネルギー線照射後0.1秒〜数分後には、ほ
とんどの組成物のカチオン重合により指触乾燥するが、
カチオン重合反応を促進するために加熱を併用すること
も場合によって好ましい。本発明の組成物には、さらに
カチオン重合を損わない範囲で希釈のための溶剤や、改
質のための非反応性の樹脂や(メタ)アクリル酸エステ
ル化合物(例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、
ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と(メタ)
アクリル酸の反応物であるエポキシ(メタ)アクリレー
ト、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ
(メタ)アクリレート等のオリゴマーや、2−ヒドロキ
シ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)
アクリレート等のモノマー等)を配合することができ
る。(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用する場合
には、光ラジカル重合開始剤(例えば、1−ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン、アセトフェノンジメチ
ルケタール、ベンゾイルメチルエーテル等)を使用する
のが好ましい。また例えば、電気特製を改良する目的な
どのため有機カルボン酸や酸無水物を使用したり、ある
いはゴム弾性をもたせるなどの目的でポリマールその他
の可とう性プレポリマーを混合することができる。
【0033】本発明の組成物は、通常透明な液状として
使用されるものであるが、用途によっては不活性な顔
料、染料、充填剤、静電防止剤、難燃剤、消泡剤、流動
調製剤、増感剤、促進剤、光安定剤等を混合して用いら
れる。本発明の組成物は金属、木材、ゴム、プラスチッ
ク、ガラス、セラミック製品等に使用することができ
る。さらに本発明の具体的な用途としては、塗料、コー
ティング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、接着
剤、成形材料、注型材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目
止め剤等が挙げられる。
【0034】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、実施例中の部は、重量部である。
【0035】(式(1)で表されるスルホニウム塩の合
成例) 実施例1 トリフェニルホスフィンスルフィド29.4部、4,
4′−ジフルオロジフェニルスルホキシド23.3部、
無水酢酸14部及びメタンスルホン酸90部を仕込み、
60℃に加熱し約5時間反応を行ない、次いでこの反応
液を水800部で希釈し、不溶解物をろ別し、水層にK
SbF6 27.5部を添加し、次に25%NaOH水溶
液でpH=7まで中和し白色の析出物67部を得た。白
色の析出物を溶剤(アセトン20部とメタノール80部
の混合溶剤)200部に溶解し、これに水400部を加
え白色固体59部を得た。生成物の融点は185〜18
7℃で元素分析値は次のとおりであった。 元素 実測値(重量%) 計算値(重量%) 炭素 47.89 47.96 水素 2.97 2.95 イオウ 8.50 8.53 リン 4.09 4.12 アンチモン 16.11 16.20 フッ素 20.15 20.23 この製造方法に基づいて、構造式
【0036】
【化15】
【0037】のスルホニウム塩を得た。
【0038】実施例2 トリフェニルホスフィスフルフィド29.4部、4,
4′−ジメチルジフェニルスルホキシド46.5部、無
水酢酸28部及びメタンスルホン酸180部を仕込み、
60℃に加熱し約5時間反応し、次いでこの反応液を水
800部で希釈し、不溶解物をろ別し水層にKPF6
6.8部を添加し、次に25%NaOH水溶剤でpH=
7まで中和し白色の析出物89.9部を得た。白色の析
出物を溶解(アセトン20部とメタノール80部の混合
溶剤)200部に溶解し、次にこれに水400部を加え
白色固体78.0部を得た。生成物の融点は179〜1
84℃で元素分析値は次のとおりであった。 元素 実測値(重量%) 計算値(重量%) 炭素 55.25 55.31 水素 2.88 2.93 イオウ 9.59 9.63 リン 9.10 9.03 フッ素 22.78 22.82 この製造方法に基づいて、構造式
【0039】
【化16】
【0040】のスルホニウム塩を得た。
【0041】実施例3 ジn−ブチルフェニルホスフィンスルフィド25.4
部、4,4′−ジフルオロジフェニルスルホキシド2
3.3部、無水酢酸14部及びメタンスルホン酸90部
を仕込み、60℃に加熱し、約5時間反応を行ない、次
いでこの反応液を水800部で希釈し、25%NaOH
水溶液でpH=7まで中和し、不溶解物をろ別し、水層
にテトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム
67.5部を添加し、30分間攪拌し、次いでろ過し
た。ろ液を決減圧下に水を蒸発し、残った固体をアセト
ン300部に溶解し不溶解物をろ別し、アセトン層のア
セトンを蒸発し、白色固体99.3部を得た。得られた
生成物の融点は、149〜155℃で元素分析値は、次
のとおりであった。 元素 実測値(重量%) 計算値(重量%) 炭素 52.13 52.01 水素 2.67 2.63 イオウ 5.50 5.55 リン 2.65 2.68 硼素 0.19 0.93 フッ素 36.13 36.20 この製造方法に基づいて構造式
【0042】
【化17】
【0043】のスルホニウム塩を得た。
【0044】実施剤1で得た化合物7.0部、水酸ナト
リウム0.8部、エチレングリコール100部を仕込
み、60℃で24時間反応し、その後、水中に注ぎ込み
析出した白色の固体をろ過し、乾燥し常温で固体の生成
物を得た。生成物の構造式は下記のものであり、元素分
析の結果は計算値にほぼ一致した。
【0045】
【化18】
【0046】(組成物の実施例) 実施例5〜8、比較例1〜4 表3に示す配合組成(数値の重量部である。)に従って
エネルギー線硬化性組成物を配合し、混合溶解した。こ
れを、アルミテストパネル上に5μの厚さに塗布し高圧
水銀灯(80w/cm)で8cmの距離から紫外線を照
射し、硬化させた。調整された組成物の透明性、保存安
定性、指触乾燥性、硬化塗膜の光沢、臭気について試験
した。これらの結果を表3に示す。
【0047】透明性:組成物の透明性を目視判定した。 ○・・・・完全に相容し透明である △・・・・わずかににごりあり ×・・・・白ダクしている ××・・・・すぐに分離する 保存安定性:組成物を40℃で3ケ月間保存し、安定性
を調査した。 ○・・・・全く変化していない △・・・・やや増粘している ×・・・・ゲル化している 指触乾燥性:指触乾燥するまでの照射量(mJ/cm2)
を測定した。 光沢:指触乾燥するまでの照射量(mJ/cm2)を照射
した後、硬化塗膜の表面を目視判定した。 ○・・・・光沢が良好である。 △・・・・ややくもりがある。 ×・・・・全く光沢がない。 臭気:塗布面に1000mJ/cm2 照射した後、硬化
塗膜の表面の臭気を観察した。 ○・・・・全く臭気がない △・・・・わずかに臭気がある ×・・・・臭気がある ××・・・・臭気が強い
【0048】
【表3】 表3 実 施 例 5 6 7 8 実施例1で得た光重合開始剤 1.5 実施例2で得た光重合開始剤 1.5 実施例3で得た光重合開始剤 1.5 実施例4で得た光重合開始剤 1.5 化合物1 *1 化合物2 *2 セロキサイド2021 *3 80 80 EHPE−3150 *4 20 20 ポリエステルジビニルエーテル*5 50 50 シクロヘキサンジメチロール ジビニルエーテル 50 50 透明性 ○ ○ ○ ○ 保存安定性 ○ ○ ○ ○ 指触乾燥性(mJ/cm2) 30 35 15 10 光沢 ○ ○ ○ ○ 臭気 ○ ○ ○ ○ 表3−2 比 較 例 1 2 3 4 実施例1で得た光重合開始剤 実施例2で得た光重合開始剤 実施例3で得た光重合開始剤 実施例4で得た光重合開始剤 化合物1 *1 1.5 1.5 化合物2 *2 1.5 1.5 セロキサイド2021 *3 80 80 EHPE−3150 *4 20 20 ポリエステルジビニルエーテル*5 50 50 シクロヘキサンジメチロール ジビニルエーテル 50 50 透明性 ○ ×× ○ ×× 保存安定性 ○ ── ○ ── 指触乾燥性(mJ/cm2) 75 ── 35 ── 光沢 ○ ── ○ ── 臭気 × ── △ ──
【0049】注) *1 化合物1:ジフェニル
−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフル
オロホスフェート *2 化合物2:4,4′−ビス〔ビスフェニルス
ルホニオ〕フェニルスルフィド、ビスヘキサフルオロホ
スフェート *3 セロキサイド2021:ダイセル化学工業
(株)製、脂環式エポキシ樹脂 *4 EHPE−3150:ダイセル化学工業
(株)製、脂環式エポキシ樹脂 *5 ポリエステルジビニルエーテル:構造式
【0050】
【化19】
【0051】表3の結果から明らかなように、本発明の
光重合開始剤を含有した組成物は、相容性、保存安定性
に優れ、透明で硬化性に優れ、硬化塗膜の光沢が良好で
あり、硬化塗膜の臭気も小さい。
【0052】
【発明の効果】本発明の光重合開始剤を含有したエネル
ギー線硬化性組成物は、相容性、保存安定性に優れ、透
明で硬化性に優れ、硬化塗膜の光沢が良好で、硬化塗膜
の臭気も小さく、優れた物性の硬化物をあたえる。
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(1) 【化1】 {式中、Xは式(2)で示される基 【化2】 (式中、R5 〜R14は、それぞれ水素原子、ハロゲン原
    子、ニトロ基、アルコキシ基、C1 〜C20の構造中に水
    酸基、エーテル基、エステル基、(メタ)アクリロイル
    基、エポキシ基あるいはアリル基を有していても良い脂
    肪族基、フェニル基、フェノキシ基およびチオフェノキ
    シ基のいずれかから選択された基である。)R1 及びR
    2 は、それぞれ、C1 〜C20の構造中にエーテル基、エ
    ステル基、カルバモイル基を有していても良い脂肪族
    基、シクロヘキシル基、ベンジル基、アルキルベンジル
    基、アルコキシベンジル基、アルキルフェニル基、ニト
    ロフェニル基、シアノフェニル基、アルコキシフェニル
    基、および式(3)で示される基 【化3】 (式中、R15は、水素原子、C1 〜C5 のアルキル基、
    1 〜C5 のアルコキシ基、ニトロ基およびシアノ基の
    いずれかから選択された基であり、Xは式(1)中のX
    と同一である。)のいずれかから選択された基であり、
    3 及びR4 は、それぞれ水素原子、C1 〜C5 のアル
    キル基、C1 〜C5 のアルコキシ基、ニトロ基及びシア
    ノ基のいずれかから選択された基であり、nは1〜3、
    Zは式(4)、式(5)または式(6) MQP (4) MQP-1 (OH) (5) BYaRb (6) (式中、Mは、リン原子、ホウ素原子、ヒ素原子または
    アンチモン原子であり、Qはハロゲン原子であり、p−
    4〜6の整数であり、Bは、ホウ素原子、a及びbは0
    〜4の範囲で整数であり、ここでa+bは4であり、Y
    は、aが0〜3である場合にはハロゲン原子(塩素又は
    弗素)を表わし、またaが0〜2である場合にはOH基
    を表わすこともできる。Rは、CF3 、NO2 、CN等
    のような少なくとも1個の電子吸引基で置換されたフェ
    ニル基又は少なくとも2個のハロゲン原子(特に弗素)
    で置換されたフェニル基を表す。)で示される。}で示
    されるスルホニウム塩。
  2. 【請求項2】前記式(1)で示されるスルホニウム塩か
    らなる重合開始剤(B)
  3. 【請求項3】カチオン重合性物質(A)と請求項2記載
    の光重合開始剤(B)を含有することを特徴とするエネ
    ルギー線硬化性組成物。
  4. 【請求項4】請求項3記載の組成物の硬化物。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004058699A3 (en) * 2002-12-23 2004-09-10 Aprilis Inc Fluoroarylsulfonium photoacid generators
WO2011040531A1 (ja) 2009-10-01 2011-04-07 日立化成工業株式会社 有機エレクトロニクス用材料、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、及びそれを用いた表示素子、照明装置、表示装置
WO2011132702A1 (ja) 2010-04-22 2011-10-27 日立化成工業株式会社 有機エレクトロニクス材料、重合開始剤及び熱重合開始剤、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置
WO2014136900A1 (ja) 2013-03-08 2014-09-12 日立化成株式会社 イオン性化合物を含有する処理液、有機エレクトロニクス素子、及び有機エレクトロニクス素子の製造方法

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