JPH10147541A - スーパー抗原除去用あるいは解毒用の材料 - Google Patents

スーパー抗原除去用あるいは解毒用の材料

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JPH10147541A
JPH10147541A JP8308053A JP30805396A JPH10147541A JP H10147541 A JPH10147541 A JP H10147541A JP 8308053 A JP8308053 A JP 8308053A JP 30805396 A JP30805396 A JP 30805396A JP H10147541 A JPH10147541 A JP H10147541A
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hydrogen bond
forming
superantigen
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JP8308053A
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Mayumi Fukuyama
真弓 福山
Takashi Miwa
敬史 三和
Rumiko Sakai
ルミ子 酒井
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Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】中性領域の高蛋白質濃度溶液中においてもスー
パー抗原との選択的結合性に優れ、滅菌が可能で、かつ
安価である水素結合形成可能な基を含む材料を提供する
ことを課題とする。さらに、該材料を用いたスーパー抗
原除去用あるいは解毒用の材料、特にスーパー抗原除去
用の体液浄化カラムおよびスーパー抗原吸着性の創傷被
覆材料を提供することを課題とする。 【解決手段】水素結合形成可能な基(但し、尿素結合お
よびチオ尿素結合を除く)を少なくとも一つ有すること
を特徴とするスーパー抗原除去用あるいは解毒用の材料
を作製した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、黄色ブドウ球菌外
毒素や連鎖球菌外毒素等のスーパー抗原を解毒あるいは
除去する材料に関するものである。特にヒト血液中等の
高濃度の蛋白質溶液中に存在するスーパー抗原と結合す
ることによってスーパー抗原の毒素活性を失わせる(解
毒)薬剤として、スーパー抗原を除去する浄化カラムあ
るいは創傷被覆材料として、あるいはスーパー抗原を検
出あるいは定量する測定材料として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】スーパー抗原とは、従来の抗原と異な
り、抗原提示細胞内におけるプロセッシング過程を経る
ことなく、抗原提示細胞上の主要組織適合性抗原クラス
II蛋白質(以下、「MHCクラスII」と言うことがあ
る)に直接結合し、さらにはこのMHCクラスIIおよび
T細胞と複合体を形成することにより、特定のVβ領域
を有するT細胞を活性化させる一群の蛋白質である。従
来の抗原ではT細胞との結合には多くの制約があるた
め、これに反応するT細胞の数は通常1万個に1個以下
であるが、スーパー抗原ではT細胞のVβ領域のみに結
合するため、ある種のスーパー抗原は5個のうち1個の
T細胞を活性化する。この結果、スーパー抗原は免疫系
を異常に活性化させ、敗血症時の発熱、発疹、血圧低下
や食中毒時の嘔吐あるいは自己免疫疾患等を引き起こす
と考えられている(D.L.Murrayら American Society of
Microbiology News. 61(5) p229 (1995) )。スーパー
抗原としては黄色ブドウ球菌外毒素や連鎖球菌外毒素、
エルシニア菌外毒素、あるいはある種のウイルス蛋白質
やヒートショック蛋白質が確認されているが、今後も特
定化されていく可能性がある。
【0003】これまで、これらスーパー抗原と親和性の
ある物質としては、スーパー抗原に対する抗体(P.M.Ro
stenら Journal of Clinical Microbiology 25(2) p327
(1987) )、主要組織適合性抗原クラスII蛋白質および
その一部( J.K.Russell etal. Biochemical and Bioph
ysical Research Communications 168 p696 (1990))、
イオン交換樹脂(H.Igarashiら Infection and Immunit
y 44(1) p175 (1984) )等が知られており、血液中や培
養液上清中のスーパー抗原を吸着する結合物質として用
いられてきた。しかし、これら結合物質の多くは蛋白質
あるいはペプチドであり、高価である、滅菌により失活
しやすい等の欠点を有していた。また、イオン交換樹脂
とスーパー抗原の親和性は溶液のpHの影響を受けやす
く、中性領域においては特異性が低くなる。このため、
血液や食品等pHを中性に保つ必要性がある高蛋白質濃
度の溶液中でスーパー抗原と十分な親和性を有する材料
としては不適当であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技
術の欠点を解消しようとするものであり、中性領域の高
蛋白質濃度の溶液中においてもスーパー抗原との選択的
親和性に優れ、滅菌が可能で、かつ安価である材料を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは以前に尿素
結合あるいはチオ尿素結合を含む材料が黄色ブドウ球菌
外毒素等のスーパー抗原と親和性を有することを見出し
たが、さらに鋭意検討した結果、尿素結合およびチオ尿
素結合以外の水素結合形成可能な基を有する材料にもス
ーパー抗原との親和性があることを見出し、本発明に至
った。すなわち、本発明の第一の要件は水素結合形成可
能な基(尿素結合およびチオ尿素結合を除く)を含むこ
とを特徴とする、スーパー抗原を除去あるいは解毒する
ための材料である。また、本発明の第二の要件は上述し
た材料を用いた体液浄化カラムあるいは創傷被覆材料で
ある。
【0006】
【発明の実施の形態】すなわち、本発明材料はスーパー
抗原と高い親和性を有するため、血液、尿などの体液や
食料品、飲料物中、医薬品中に存在するスーパー抗原と
結合することができる。この結合により、例えば、スー
パー抗原の3次元構造などの性質を変化させること、あ
るいはMHCクラスIIあるいは/およびT細胞との結合
部位を遮蔽すること等によって、スーパー抗原に毒素と
しての活性を失わせる(解毒)ことができる。すなわ
ち、本発明材料を医薬品として用いれば、食中毒、敗血
症や自己免疫疾患の治療や発症の予防が可能になる。ま
た、この材料が水不溶性であるならば、これを用いて、
血液、尿などの体液や食料品、飲料物中、医薬品中から
スーパー抗原を除去することが可能となり、食中毒、敗
血症や自己免疫疾患の治療や発症の予防が可能になる。
特に、スーパー抗原除去用の体液浄化カラムおよびスー
パー抗原吸着性の創傷被覆材料として好適である。ま
た、スーパー抗原を検出あるいは定量する測定材料とし
て用いれば、食中毒、敗血症や自己免疫疾患の診断が可
能となる。本発明はこのような疾患の診断や治療、およ
び発症の予防を可能とする材料を提供するものである。
【0007】本発明においては、水素結合形成可能な基
を少なくとも1つ含むことが必要である。但し、尿素結
合あるいはチオ尿素結合以外の水素結合を少なくとも1
つ有していることが必要であって、その場合に尿素結合
あるいはチオ尿素結合を含んでいてもよい。水素結合形
成可能な基としては特に限定はなく、例えば、アミド
基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド
基、メルカプト基などが挙げられるが、アミド基を少な
くとも一つ有することがより好ましい。水素結合形成可
能な基に続く構造としては特に限定はなく、プロパン、
ヘキサン、オクタン、ドデカンなどの脂肪族化合物やシ
クロヘキサン、シクロペンタンのような脂環族化合物を
用いることができるが、親和性の高さを考慮するとベン
ゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物がよ
り好ましく用いられる。ブロモヘプタン、クロロシクロ
ヘキサン、メチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベ
ンゼン、ジフェニルメタン、クロロナフタレン等の誘導
体も好適に用いられる。また、水素結合形成可能な基を
二つ以上有することがより好ましく、この場合、水素結
合形成可能な基は同じものでも異なるものでも良い。特
にアミド基に続く構造として例えば、アミノ基、水酸
基、カルボキシル基等を有する構造が好ましく用いられ
る。例えばアミノ基を有する構造としては、アミノヘキ
サン、モノメチルアミノヘキサン、ジメチルアミノヘキ
サン、アミノオクタン、アミノドデカン、アミノジフェ
ニルメタン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾー
ル、3−アミノ−1−プロペン、アミノピリジン、アミ
ノベンゼンスルホン酸、トリス(2−アミノエチル)ア
ミン等や、より好ましくは、ジアミノエタン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレ
ンペンタミン、ジプロピレントリアミン、ポリエチレン
イミン、N’−メチル−2, 2’−ジアミノジエチルア
ミン、N−アセチルエチレンジアミン、1, 2−ビス
(2−アミノエトキシエタン)等のようなアミノ基を複
数有する化合物(ポリアミン)が用いられる。また、水
酸基を有する構造としては、ヒドロキシプロパン、2−
エタノールアミン、1, 3−ジアミノ- 2- ヒドロキシ
プロパン、ヒドロキシブタノン、ヒドロキシ酪酸、ヒド
ロキシピリジン等や、グルコース、グルコサミン、ガラ
クトサミン、マルトース、セルビオース、スクロース、
アガロース、セルロース、キチン、キトサン等の単糖、
オリゴ糖、多糖等の糖質あるいはそれらの誘導体を用い
ることができる。さらに、カルボキシル基を有する構造
としては例えば、β−アラニン、n−カプロン酸、イソ
酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸等を用いること
ができる。最も好ましくは、本発明材料はアミド基に続
く構造として芳香族化合物と水素結合形成可能な化合物
の両方を有することができる。
【0008】さらに、アミド基を分子構造内に複数個有
するようなポリアミドも本発明材料として用いることが
できる。この場合にも、アミド結合に続く構造として上
記構造のいずれをも用いることができるが、最も好まし
くは、水酸基、アミノ基やカルボキシル基を有する化合
物(糖質あるいはその誘導体を含む)のような水素結合
形成可能な基と芳香族化合物の両方を用いることができ
る。
【0009】また、本発明材料としては、モノマ、オリ
ゴマ、ポリマのいずれでも良いため、上記構造あるいは
その一部が重合されているものも本発明材料に含まれ
る。すなわち、上記構造あるいはその一部として、ナイ
ロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリ
スチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ
テトラフルオロエチレンなどの合成高分子や、セルロー
ス、コラーゲン、キチン、キトサンおよびそれらの誘導
体を含む天然高分子などの繰り返し単位が好適に用いら
れる。つまり、単独重合、共重合あるいはブレンドされ
たこれら合成高分子や天然高分子などに、水素結合形成
可能な基を導入することが好適に行われる。さらに、金
属、セラミックス、ガラスなどの無機材料を基材として
適当な高分子で被覆したものも好適に用いられる。特に
ポリスチレン、ポリスルホン、ポリメチルメタクリレー
ト等は、表面修飾が容易に行えるため、好ましく用いら
れる。また、ポリスチレン/ポリプロピレン海島繊維
は、ポリスチレンの修飾のしやすさと、ポリプロピレン
による強度補強による扱い易さを持つためより好まし
い。
【0010】本発明材料は一般に公知の方法で合成する
ことができる。例えば脂肪族化合物や芳香族化合物にア
ミド基を導入する場合には、酸塩化物あるいは酸無水物
とアミノ化合物とを反応させる方法を用いることができ
る。また、酸とアミノ化合物をカルボジイミドのような
縮合剤存在下で反応させることも可能である。アミノ化
合物と酸塩化物あるいは酸無水物の混合比は任意に選択
でき、通常、酸塩化物あるいは酸無水物1モルに対して
0.1〜5モルのアミノ化合物が好ましく用いられる。
酸塩化物としては例えば、イソバレリルクロライド、ス
テアロイルクロライド、シクロヘキサンカルボニルクロ
ライド、6−クロロニコチン酸クロライド等の脂肪族酸
塩化物のいずれをも用いることができるが、より好まし
くはベンゾイルクロライド、3, 4−ジクロロベンゾイ
ルクロライド、ニトロベンゾイルクロライド、4−クロ
ロベンゾイルクロライド、4−トルオイルクロライド、
ベンゾ−[b]チオフェン−2−カルボニルクロライド
等の芳香族酸塩化物を用いることができる。また、酸無
水物としては例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水フ
タル酸等を好ましく用いることができる。また、本発明
に用いるアミノ化合物のアミノ基としては1級アミノ
基、2級アミノ基、3級アミノ基のいずれでも良く、ア
ミノ化合物としては例えば、アンモニア、sec−オク
チルアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾー
ル、3−アミノ−1−プロペン、アミノピリジン、アミ
ノベンゼンスルホン酸、トリス(2−アミノエチル)ア
ミン等を好ましく用いることができる。また、アミド基
に加えて水素結合形成可能な基を導入できるような、ポ
リアミノ化合物や水酸基あるいはカルボキシル基を有す
るアミノ化合物も好ましく用いることができる。ポリア
ミノ化合物としては例えば、ジアミノエタン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレ
ンペンタミン、ジプロピレントリアミン、N’−メチル
−2,2' −ジアミノジエチルアミン、ポリエチレンイ
ミン、N−アセチルエチレンジアミン、1,2−ビス
(2−アミノエトキシ)エタン等のいずれをも用いるこ
とができる。水酸基を有するアミノ化合物としては、2-
エタノールアミン、3-プロパノールアミン、6-ヘキサノ
ールアミン、1,3 −ジアミノ-2- ヒドロキシプロパン、
2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−ア
ミノエチルアミノ)エタノール、グルカミン等の脂肪族
アミン及びN-メチル−1,3-ジアミノプロパノール等の誘
導体、あるいは、4-アミノフェノール、ジアミノフェノ
ール、アミノヒドロキシピリミジン、ジアミノヒドロキ
シピリミジン、ジアミノヒドロキシピラゾール等の芳香
族アミン、あるいはセリン、チロシン等のアミノ酸類が
用いられる。また、エピクロロヒドリンおよびアミノ化
合物、あるいは1,3 −ジブロモ-2- ヒドロキシプロパン
を反応させることによって水酸基のみを有する化合物あ
るいはアミノ基のみを有する化合物から水酸基を有する
アミノ化合物を合成することも好ましく行われる。ま
た、糖質に水素結合形成可能な基を導入する場合も上記
と同様な方法を用いることができる。すなわち、キトサ
ンやグルコサミンのようなアミノ基を有する糖質の場合
には、上述したような酸塩化物あるいは酸無水物を反応
させることができる。セルロースのようなアミノ基を有
さない糖質の場合には、糖質の水酸基をエピクロロヒド
リン、トレシルクロライドなどを用いて活性化させた後
に、アンモニアやジアミノエタンなどと反応させてアミ
ノ基を導入し、このアミノ基を利用して、糖質にアミド
基を導入することができる。カルボキシル基を有するア
ミノ化合物としては例えば、β−アラニン、4−アミノ
−n−酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ−n−酪酸、
6−アミノ−n−カプロン酸等を用いることができる。
【0011】さらに、本発明材料がオリゴマあるいはポ
リマの場合には、例えば、酸塩化物基、酸無水物基を有
するオリゴマあるいはポリマに、水素結合形成可能な基
を有する化合物のアミノ基を反応させる方法が好ましく
用いられる。また、アミノ基を有するオリゴマ、ポリ
マ、あるいはアンモニア、ジアミノエタン、1,3 −ジア
ミノプロパン、1,3 −ジアミノ-2- ヒドロキシプロパ
ン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、トリ
ス(2−アミノエチル)アミン、2−(2−アミノエチ
ルアミノ)エタノールなどによりアミノ基を導入したオ
リゴマ、ポリマに上述したような酸塩化物あるいは酸無
水物を反応させることも好ましい方法である。アミノ
基、酸塩化物基、酸無水物基などの官能基は、必要に応
じてオリゴマ、ポリマに導入することができる。
【0012】さらに、本発明材料がポリアミドの場合に
は、例えばポリカルボン酸とポリアミンを重縮合させる
方法を用いることができる。また、ポリカルボン酸など
を用いずに、各々の官能基を一つずつ順次導入すること
によって最終的にポリアミドを得る方法も好ましく行わ
れる。また、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド等
の縮合剤を反応促進に用いることも可能である。
【0013】上記すべての反応条件は、限定されるもの
ではないが、標準的には、反応温度は例えば0〜150
℃、反応時間は例えば0.1〜24時間で行われる。ま
た、反応溶媒は必ずしも必要ではないが、一般的には溶
媒の存在下に行われる。使用しうる溶媒としては、メタ
ノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブ
タノール、ヘキサン、アセトン、N,Nジメチルホルム
アミド、ジメチルスルホキシド等の脂肪族炭化水素類、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、
ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハ
ロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。反
応終了後の反応液は、必要に応じ、ろ過、濃縮などの通
常の後処理の後、カラムクロマトグラフィー、再結晶な
どの操作により、精製されることができる。また、水不
溶性の材料の場合、ガラスフィルター等を用いて洗浄す
ることも好ましい方法である。
【0014】本発明材料の中で水不溶性のものは、スー
パー抗原除去カラム、創傷被覆材、スーパー抗原検出あ
るいは定量用の測定材料などとして好ましく用いられ
る。その形状としては特に限定はないが、カラムとして
用いる場合には、ビーズ、繊維、中空繊維、糸束、ヤー
ン、ネット、編み地、織物等が好ましく、創傷被覆材料
の場合は、織物あるいはフィルム等の形状が好ましく、
また、測定材料の場合には、ビーズ、プレート、チュー
ブ等の形状が好ましい。また、本材料は単独での使用の
みならず、適当な基材にさらに固定化したり、他材料と
混合して一つのカラム、創傷被覆材料あるいは測定材料
として用いることもできる。固定化あるいは混合などの
操作は、前記形状に加工する前に行っても良いし、加工
した後に行っても良い。本発明の材料を用いたカラムを
体外循環用カラムとして用いる場合には、体外に導出し
た血液を直接カラムに通しても良いし、血漿分離膜など
と組み合わせて使用しても良い。
【0015】以下に実施例を用いて詳細に説明を加える
が、発明の内容が実施例に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
実施例1 セルロースビーズへのアミド基の導入および
スーパー抗原除去試験 粒径約0. 2mmのアミノ化セルロースビーズ(チッソ
(株)製、”アミノ−セルロファイン”)12ml(沈
降時体積)を50mlのN,N−ジメチルホルムアミド
(以下DMFと略す)中で撹拌し、ガラスフィルターに
よって、ビーズと溶液の分離を行った。この操作を1回
5分間、20回繰り返し、含有水分をDMFと完全に置
換させた。
【0017】このビーズを0.1gの4−クロロベンゾ
イルクロライドを溶解させた100mlのDMF中に徐
々に添加し、撹拌しながら室温で1時間反応させた。そ
の後、ガラスフィルターを用いて、ビーズと溶液とを分
離し、このビーズを50mlのDMF中で5分間撹拌す
ることによって洗浄を行った。この洗浄操作を20回繰
り返し、未反応の塩化4−クロロベンゾイルクロライド
を完全に除去した。次いで、蒸留水による洗浄操作を同
様に行い、DMFを蒸留水と置換することによって、ア
ミド基を有するセルロースビーズを得た。
【0018】このアミド基導入セルロースビーズおよび
コントロールとしての未修飾セルロースビーズを用い
て、4種のスーパー抗原、黄色ブドウ球菌外毒素A(S
EA)、外毒素B(SEB)、外毒素C(SEC)、及
びトキシックショックシンドロームトキシン−1(TS
ST−1)の吸着除去をウサギ血漿中で行った。スーパ
ー抗原の初期濃度は1ng/mlとし、血漿量10ml
に対して、121℃、20分間の高圧滅菌後の上記のセ
ルロースビーズ1mlを添加し、37℃において60分
間振盪した。60分間反応後のウサギ血漿中の4種のス
ーパー抗原濃度を酵素免疫学的に測定した結果を表1に
示す。この結果が示すように、アミド結合の導入によ
り、セルロースビーズにスーパー抗原吸着能が付与され
た。
【0019】
【表1】 実施例2 アミド基を有するポリスチレン繊維の作製 50重量比の海成分(46重量比のポリスチレンと4重
量比のポリプロピレンの混合物)と50重量比の島成分
(ポリプロピレン)とからなるアメリカ特許4,661,260
記載の海島型複合繊維(厚さ:2.6デニール、島の
数:16)を50gのN−メチロール−α−クロロアセ
トアミド、400gのニトロベンゼン、400gの98
%硫酸、0.85gのパラホルムアルデヒドの混合溶液
と20℃で1時間反応させた。そして、繊維をニトロベ
ンゼンで洗浄し、水中に入れて反応を停止させた。その
後、繊維を温水で再び洗浄することによって、クロロア
セトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMP
St繊維と略す)を得た。
【0020】表2に示す試薬中(a)、(b)、(d)
〜(g)はDMF50mlに(c)はジメチルスルホキ
シド(以下DMSOと略す)50mlに溶解した。各々
の溶液に、1gのAMPSt繊維(クロロ含量2mmo
l相当)を攪拌しつつ加えた。反応は25℃で6時間行
った。その後、DMF中で反応させたAMPSt繊維は
DMF200mlを用いてガラスフィルター上で洗浄し
た。DMSO中で反応させたものはDMSO200ml
を用いて洗浄後、さらにDMF50mlで洗浄すること
によって溶媒置換した。洗浄後、4−クロロベンゾイル
クロライド1gを溶解したDMF50mlの溶液中に各
々のAMPSt繊維を加え、25℃で1時間、反応させ
た。その後、ガラスフィルター上で200mlのDMF
および200mlの蒸留水により洗浄した。
【0021】
【表2】 実施例3 アミド基を側鎖に有するポリスチレン繊維に
よるスーパー抗原の吸着除去 実施例2で作製した修飾ポリスチレン繊維によるスーパ
ー抗原の吸着除去試験を実施例1と同様の方法で行っ
た。SEA,SEB,SEC,TSST−1の初期濃度
は1ng/mlとし、血漿量10mlに対して、修飾A
MPSt繊維を1g添加し、37℃で60分間振盪し
た。修飾AMPSt繊維はいずれも、121℃、20分
間の高圧蒸気滅菌後に用いた。コントロールとしては、
クロロアセトアミドメチル基導入前の繊維を用いた。6
0分間反応後のウサギ血漿中の4種のスーパー抗原濃度
を酵素免疫学的に測定した結果を表3に示す。
【0022】この結果が示すように、アミド結合のよう
な水素結合形成可能な基を導入し、さらにアミド基
(a)、アミノ基(c)、(d)、(f)、(g)、水
酸基(b)(c)のような水素結合形成可能な基を導入
することにより、スーパー抗原吸着能が発現することが
明らかとなった。また、(g)のようにアミド基導入後
もアミンが複数個存在しているものは、高い吸着性能を
持つことが明らかとなった。
【0023】
【表3】 実施例4 アミド基および直鎖脂肪族、脂環族あるいは
芳香族置換基を有するポリスチレン繊維の作製およびス
ーパー抗原除去試験 テトラエチレンペンタミン3gをDMF50mlに溶解
した。この溶液に、3.0gのAMPSt繊維(クロロ
含量6mmol相当)を攪拌しつつ加えた。反応は25
℃で12時間行った。その後AMPSt繊維をガラスフ
ィルター上でDMFを用いて洗浄した。洗浄後、表4の
酸塩化物を溶解したDMF50mlの溶液中に1gのA
MPSt繊維を加えた。反応は25℃で1時間行った。
その後、ガラスフィルター上で200mlのDMF及び
500mlの蒸留水により洗浄した。
【0024】作製した3種の修飾AMPSt繊維による
スーパー抗原の吸着除去試験を実施例3と同様の方法で
行った。コントロールとしては、実施例3と同様にクロ
ロアセトアミドメチル基導入前の繊維を用いた。SE
A,SEB,SEC,TSST−1の初期濃度は1ng
/mlとし、血漿量10mlに対して、各AMPSt繊
維を1g添加し、37℃で60分間振盪した。いずれの
AMPSt繊維も、121℃、20分間の高圧蒸気滅菌
後に用いた。60分間反応後のウサギ血漿中の4種のス
ーパー抗原濃度を酵素免疫学的に測定した結果を表5に
示す。
【0025】この結果が示すように、アミド基に続く置
換基として、直鎖脂肪族、脂環族あるいは芳香族置換基
のいずれを用いた繊維も、スーパー抗原吸着能を有して
いるが、芳香族置換基を用いた方が高いスーパー抗原結
合能を付与できたことが示された。
【0026】
【表4】 実施例5 修飾ポリスチレン繊維によるスーパー抗原吸
着除去試験−循環法 実施例4の修飾ポリスチレン繊維(i)およびコントロ
ールとしてクロロアセトアミドメチル基導入前の繊維を
用いてスーパー抗原の循環方法による吸着試験を行っ
た。上記のポリスチレン繊維1gをカラムに充填し、こ
れにスーパー抗原(TSST−1)を1ng/ml添加
したウサギ血漿10mlを、37℃において60分間循
環させた。5分、15分、30分、45分、60分後の
ウサギ血漿中のTSST−1濃度を酵素免疫学的に測定
した結果を図1に示す。このように水素結合形成可能な
基の導入により、体外循環のような流動条件下における
スーパー抗原吸着能がポリスチレン繊維に付与された。
【0027】
【発明の効果】本発明により、中性領域の高蛋白質濃度
溶液中においてもスーパー抗原との選択的結合性に優
れ、滅菌が可能で、かつ安価である、水素結合形成可能
な基を含む材料が提供された。本発明の材料を用いて、
血液、尿などの体液や食料品、飲料物中、医薬品中に存
在するスーパー抗原に毒素としての活性を失わせる(解
毒)ことができるので、食中毒、敗血症や自己免疫疾患
の治療や発症の予防が可能になる。また、この材料の中
で水不溶性であるものを用いて、血液、尿などの体液や
食料品、飲料物中、医薬品中からスーパー抗原を効率的
に除去できるので、これにより、スーパー抗原除去カラ
ムや創傷被覆材料を構成することで、食中毒、敗血症や
自己免疫疾患の治療や発症の予防が可能になる。また、
スーパー抗原を検出あるいは定量する測定材料として用
いることができるので、食中毒、敗血症や自己免疫疾患
の診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】循環法によるスーパー抗原吸着除去試験の結果
を示す。

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水素結合形成可能な基を少なくとも一つ有
    することを特徴とするスーパー抗原除去用あるいは解毒
    用の材料。
  2. 【請求項2】該水素結合形成可能な基を二つ以上有する
    ことを特徴とする請求項1記載の材料。
  3. 【請求項3】異なる該水素結合形成可能な基を有するこ
    とを特徴とする請求項2記載の材料。
  4. 【請求項4】該水素結合形成可能な基の少なくとも一つ
    がアミド結合であることを特徴とする請求項1記載の材
    料。
  5. 【請求項5】該水素結合形成可能な基として、さらにア
    ミノ基を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項
    4記載の材料。
  6. 【請求項6】該アミノ基が2級あるいは3級であること
    を特徴とする請求項5記載の材料。
  7. 【請求項7】該アミノ基がポリアミンであることを特徴
    とする請求項5記載の材料。
  8. 【請求項8】該水素結合形成可能な基として、さらに水
    酸基を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項4
    記載の材料。
  9. 【請求項9】該水酸基が糖質の水酸基であることを特徴
    とする請求項8記載の材料。
  10. 【請求項10】該糖質がキトサン、セルロースおよびそ
    れらの誘導体から選ばれることを特徴とする請求項9記
    載の材料。
  11. 【請求項11】芳香族環を有することを特徴とする請求
    項1記載の材料。
  12. 【請求項12】基材を含むことを特徴とする請求項1記
    載の材料。
  13. 【請求項13】該基材がポリスチレン、ポリスルホン、
    ポリメチルメタクリレートおよびそれらの誘導体から選
    ばれることを特徴とする請求項12記載の材料。
  14. 【請求項14】該基材が繊維であることを特徴とする請
    求項12記載の材料。
  15. 【請求項15】該繊維が海島型の繊維であることを特徴
    とする請求項14記載の材料。
  16. 【請求項16】水不溶性であることを特徴とする請求項
    1記載の材料。
  17. 【請求項17】敗血症治療用であることを特徴とする請
    求項1記載の材料。
  18. 【請求項18】請求項1〜17のいずれかに記載の材料
    を用いた体液浄化カラム。
  19. 【請求項19】請求項1〜17のいずれかに記載の材料
    を用いた創傷被覆材料。
  20. 【請求項20】水素結合形成可能な基を少なくとも一つ
    を有する除去あるいは解毒用の材料を充填したカラムに
    スーパー抗原を含む液体を通過させることによってスー
    パー抗原を液体から除去する方法。
  21. 【請求項21】液体が血液、血漿および血清から選ばれ
    ることを特徴とする請求項20記載のスーパー抗原を除
    去する方法。
  22. 【請求項22】該材料が該水素結合形成可能な基を二つ
    以上有することを特徴とする請求項20記載の方法。
  23. 【請求項23】該材料が異なる該水素結合形成可能な基
    を有することを特徴とする請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】該材料の該水素結合形成可能な基の少な
    くとも一つがアミド基であることを特徴とする請求項2
    0記載の方法。
  25. 【請求項25】該材料の該水素結合形成可能な基として
    さらにアミノ基を少なくとも一つ有することを特徴とす
    る請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】該材料の該水素結合形成可能な基として
    さらに水酸基を少なくとも一つ有することを特徴とする
    請求項24記載の方法。
  27. 【請求項27】該材料が芳香族環を有することを特徴と
    する請求項20記載の方法。
  28. 【請求項28】基材を含むことを特徴とする請求項20
    記載の方法。
  29. 【請求項29】該基材がポリスチレン、ポリスルホン、
    ポリメチルメタクリレートおよびそれらの誘導体から選
    ばれることを特徴とする請求項28記載の方法。
  30. 【請求項30】該基材が繊維であることを特徴とする請
    求項28記載の方法。
  31. 【請求項31】該繊維が海島型の繊維であることを特徴
    とする請求項30記載の方法。
  32. 【請求項32】水不溶性であることを特徴とする請求項
    20記載の方法。
  33. 【請求項33】敗血症治療用であることを特徴とする請
    求項20記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002369881A (ja) * 2001-06-14 2002-12-24 Chisso Corp アミノ化担体、およびそれを用いた細胞性フィブロネクチン−ヘパリン複合体の吸着方法

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