JPH10147533A - パイロジェン除去用あるいは解毒用の材料 - Google Patents
パイロジェン除去用あるいは解毒用の材料Info
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- JPH10147533A JPH10147533A JP8308052A JP30805296A JPH10147533A JP H10147533 A JPH10147533 A JP H10147533A JP 8308052 A JP8308052 A JP 8308052A JP 30805296 A JP30805296 A JP 30805296A JP H10147533 A JPH10147533 A JP H10147533A
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- pyrogen
- detoxifying
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 血液や医薬品の有効成分を失活させることな
くあるいは人工臓器の性能を低下させることなく、血液
や医薬品あるいは人工臓器充填液中の、エンドトキシン
や黄色ブドウ球菌外毒素等のパイロジェンと選択的に親
和性を有する、安価でかつ滅菌等の操作に安定である材
料を提供することを目的とする。さらに、該材料を用い
たパイロジェン除去、解毒用の材料、特にパイロジェン
除去用の体液浄化カラムおよび創傷被覆材料を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 エンドトキシンあるいは黄色ブドウ球菌
外毒素等のタンパク質性のパイロジェンと親和性を有す
る尿素結合あるいはチオ尿素結合あるいはアミド結合と
エーテル結合を同時に含む材料。
くあるいは人工臓器の性能を低下させることなく、血液
や医薬品あるいは人工臓器充填液中の、エンドトキシン
や黄色ブドウ球菌外毒素等のパイロジェンと選択的に親
和性を有する、安価でかつ滅菌等の操作に安定である材
料を提供することを目的とする。さらに、該材料を用い
たパイロジェン除去、解毒用の材料、特にパイロジェン
除去用の体液浄化カラムおよび創傷被覆材料を提供する
ことを目的とする。 【解決手段】 エンドトキシンあるいは黄色ブドウ球菌
外毒素等のタンパク質性のパイロジェンと親和性を有す
る尿素結合あるいはチオ尿素結合あるいはアミド結合と
エーテル結合を同時に含む材料。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラム陰性菌や陽
性菌などにより産生されるパイロジェンと親和性を有
し、パイロジェンを除去あるいは解毒する材料に関する
ものである。特に、ヒト血液中等の高濃度の蛋白質溶液
中に存在するパイロジェンと結合することによってパイ
ロジェンの毒素活性を失わせる(解毒)薬剤として、パ
イロジェンを除去する浄化カラムあるいは創傷被覆材料
として、あるいはパイロジェンを検出あるいは定量する
測定材料として好適に用いられる。
性菌などにより産生されるパイロジェンと親和性を有
し、パイロジェンを除去あるいは解毒する材料に関する
ものである。特に、ヒト血液中等の高濃度の蛋白質溶液
中に存在するパイロジェンと結合することによってパイ
ロジェンの毒素活性を失わせる(解毒)薬剤として、パ
イロジェンを除去する浄化カラムあるいは創傷被覆材料
として、あるいはパイロジェンを検出あるいは定量する
測定材料として好適に用いられる。
【0002】
【従来技術】パイロジェンは、発熱性を有する物質の総
称であり、医薬品や人工臓器の充填液等に含まれた場合
には患者の発熱等の原因となることがある。また、細菌
感染において、体内にパイロジェンが侵入することによ
り、発熱やショック症状を呈することも知られている。
パイロジェンとして最も発熱性が高く問題とされるのは
細菌性のものであり、なかでもリポポリサッカライド
(LPS)が最も発熱性が強力である。LPSは、グラ
ム陰性菌の細胞壁の構成成分のリン脂質であり、内毒素
(エンドトキシン)と称されることもある。エンドトキ
シンは、安定な物質であり、医薬品等に混入したものを
通常の滅菌操作により無毒化することはできない。熱的
に無毒化するには250℃以上に加熱する必要があり、
医薬品や血液、人工臓器等に混入しているエンドトキシ
ンに対しては適用できない。
称であり、医薬品や人工臓器の充填液等に含まれた場合
には患者の発熱等の原因となることがある。また、細菌
感染において、体内にパイロジェンが侵入することによ
り、発熱やショック症状を呈することも知られている。
パイロジェンとして最も発熱性が高く問題とされるのは
細菌性のものであり、なかでもリポポリサッカライド
(LPS)が最も発熱性が強力である。LPSは、グラ
ム陰性菌の細胞壁の構成成分のリン脂質であり、内毒素
(エンドトキシン)と称されることもある。エンドトキ
シンは、安定な物質であり、医薬品等に混入したものを
通常の滅菌操作により無毒化することはできない。熱的
に無毒化するには250℃以上に加熱する必要があり、
医薬品や血液、人工臓器等に混入しているエンドトキシ
ンに対しては適用できない。
【0003】エンドトキシン以外にも細菌性のパイロジ
ェンとしては黄色ブドウ球菌の外毒素等が知られてい
る。これらのパイロジェンは、エンドトキシンと異な
り、細菌より分泌されるタンパク質性の外毒素であり、
ウサギに投与することにより発熱を引き起こすことが知
られている。これらの毒素の中でブドウ球菌由来エンテ
ロトキシンA、B、Cあるいはトキシックショックシン
ドロームトキシンー1あるいは連鎖球菌由来発熱性外毒
素はスーパー抗原と称される一群のタンパク質に属して
いる。スーパー抗原とは、従来の抗原とは異なり、抗原
提示細胞内におけるプロセッシング過程を経ることな
く、抗原提示細胞上の主要組織適合性抗原クラスII蛋白
(以下「MHCクラスIIと言うことがある)に結合し、
さらにはこのMHCクラスIIとの複合体を形成すること
により特定のVβ領域を有するT細胞を刺激し、免疫系
を異常に活性化させる化合物であり、敗血症時の発熱
や、発疹、血圧低下や食中毒時の嘔吐あるいは自己免疫
疾患の誘発を引き起こすとされている。スーパー抗原と
しては上記の黄色ブドウ球菌外毒素や連鎖球菌外毒素、
あるいはある種のウイルスや植物由来のものが確認され
ているが、今後も特定化されていく可能性がある。これ
らのスーパー抗原などのタンパク質のパイロジェンは、
エンドトキシンとは異なり、通常の加熱による滅菌操作
により無毒化することは可能であるが、加熱操作は医薬
品や血液自体を変性させるため、これらに混入している
外毒素には適用できない。
ェンとしては黄色ブドウ球菌の外毒素等が知られてい
る。これらのパイロジェンは、エンドトキシンと異な
り、細菌より分泌されるタンパク質性の外毒素であり、
ウサギに投与することにより発熱を引き起こすことが知
られている。これらの毒素の中でブドウ球菌由来エンテ
ロトキシンA、B、Cあるいはトキシックショックシン
ドロームトキシンー1あるいは連鎖球菌由来発熱性外毒
素はスーパー抗原と称される一群のタンパク質に属して
いる。スーパー抗原とは、従来の抗原とは異なり、抗原
提示細胞内におけるプロセッシング過程を経ることな
く、抗原提示細胞上の主要組織適合性抗原クラスII蛋白
(以下「MHCクラスIIと言うことがある)に結合し、
さらにはこのMHCクラスIIとの複合体を形成すること
により特定のVβ領域を有するT細胞を刺激し、免疫系
を異常に活性化させる化合物であり、敗血症時の発熱
や、発疹、血圧低下や食中毒時の嘔吐あるいは自己免疫
疾患の誘発を引き起こすとされている。スーパー抗原と
しては上記の黄色ブドウ球菌外毒素や連鎖球菌外毒素、
あるいはある種のウイルスや植物由来のものが確認され
ているが、今後も特定化されていく可能性がある。これ
らのスーパー抗原などのタンパク質のパイロジェンは、
エンドトキシンとは異なり、通常の加熱による滅菌操作
により無毒化することは可能であるが、加熱操作は医薬
品や血液自体を変性させるため、これらに混入している
外毒素には適用できない。
【0004】このように、エンドトキシンやスーパー抗
原などのパイロジェンを通常の滅菌操作により無毒化す
ることが困難なため、吸着や濾過によるパイロジェンの
除去が試みられている。例えば、透析液等に混入したエ
ンドトキシンに対しては逆浸透膜や限外濾過膜により濾
過してパイロジェンを除去可能であるが、血液や蛋白質
製剤等に対しては適応困難である。
原などのパイロジェンを通常の滅菌操作により無毒化す
ることが困難なため、吸着や濾過によるパイロジェンの
除去が試みられている。例えば、透析液等に混入したエ
ンドトキシンに対しては逆浸透膜や限外濾過膜により濾
過してパイロジェンを除去可能であるが、血液や蛋白質
製剤等に対しては適応困難である。
【0005】一方、パイロジェン、特にエンドトキシン
を吸着により医薬品や血液中より除去する方法として
は、抗生物質であるポリミキシンBを固定化した繊維や
架橋アガロースビーズにヘキサメチレンジイソシアネー
トを反応させたビーズ(特開平4-114661)あるいはヒス
チジンやその誘導体を固定化した材料などが知られてい
る。しかし、ポリミキシンB固定化繊維では固定化する
ポリミキシンBが高価であること、また、ヒスチジン固
定化材料では吸着性能が充分ではない等の問題があっ
た。さらに、いずれの吸着体もエンドトキシン以外のパ
イロジェンに対して吸着性はないという問題があった。
を吸着により医薬品や血液中より除去する方法として
は、抗生物質であるポリミキシンBを固定化した繊維や
架橋アガロースビーズにヘキサメチレンジイソシアネー
トを反応させたビーズ(特開平4-114661)あるいはヒス
チジンやその誘導体を固定化した材料などが知られてい
る。しかし、ポリミキシンB固定化繊維では固定化する
ポリミキシンBが高価であること、また、ヒスチジン固
定化材料では吸着性能が充分ではない等の問題があっ
た。さらに、いずれの吸着体もエンドトキシン以外のパ
イロジェンに対して吸着性はないという問題があった。
【0006】また、黄色ブドウ球菌の外毒素に対する選
択的な吸着材料はこれまで知られていなかった。
択的な吸着材料はこれまで知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれら従来技
術の欠点を解消しようとするものであり、安価でかつ滅
菌可能であり、かつ、血液や医薬品等に含まれる有用成
分に対する親和性が低く、かつ、エンドトキシンに限ら
ず黄色ブドウ球菌外毒素等のタンパク質性の細菌性パイ
ロジェンに対する親和性を有する材料を提供することを
目的とする。すなわち、本発明材料は細菌性のパイロジ
ェンと高い親和性を有するため、医薬品や人工臓器等の
充填液、あるいは血液や尿等の体液中に存在するパイロ
ジェンと結合し、この結合により、例えば、パイロジェ
ンの生体内レセプターとの結合部位を遮蔽すること等に
よってパイロジェンの毒素活性を失わせる(解毒)こと
ができる。すなわち、本材料を医薬品として用いれば、
敗血症等の治療が可能になり、また、材料が水不溶性で
あれば、これを用いて血液、尿や創傷部位の浸出液等の
体液、医薬品や人工臓器の充填液中からパイロジェンを
除去することが可能になる材料を提供することを目的と
する。
術の欠点を解消しようとするものであり、安価でかつ滅
菌可能であり、かつ、血液や医薬品等に含まれる有用成
分に対する親和性が低く、かつ、エンドトキシンに限ら
ず黄色ブドウ球菌外毒素等のタンパク質性の細菌性パイ
ロジェンに対する親和性を有する材料を提供することを
目的とする。すなわち、本発明材料は細菌性のパイロジ
ェンと高い親和性を有するため、医薬品や人工臓器等の
充填液、あるいは血液や尿等の体液中に存在するパイロ
ジェンと結合し、この結合により、例えば、パイロジェ
ンの生体内レセプターとの結合部位を遮蔽すること等に
よってパイロジェンの毒素活性を失わせる(解毒)こと
ができる。すなわち、本材料を医薬品として用いれば、
敗血症等の治療が可能になり、また、材料が水不溶性で
あれば、これを用いて血液、尿や創傷部位の浸出液等の
体液、医薬品や人工臓器の充填液中からパイロジェンを
除去することが可能になる材料を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、尿素結合あるいはチオ尿素結合あるいはアミド
結合を含む材料が、エンドトキシンや黄色ブドウ球菌外
毒素等のパイロジェンと親和性を有することを見出し
た。さらに、これらの結合の他にエーテル結合を同時に
有することにより、スーパー抗原に対する結合能が上昇
することが見出され、本発明に至った。本発明は下記の
構成を有する。
た結果、尿素結合あるいはチオ尿素結合あるいはアミド
結合を含む材料が、エンドトキシンや黄色ブドウ球菌外
毒素等のパイロジェンと親和性を有することを見出し
た。さらに、これらの結合の他にエーテル結合を同時に
有することにより、スーパー抗原に対する結合能が上昇
することが見出され、本発明に至った。本発明は下記の
構成を有する。
【0009】「(1) 尿素結合、チオ尿素結合およびアミ
ド結合から選ばれる少なくとも1つの化学結合と、エー
テル結合とを有することを特徴とするパイロジェン除去
用あるいは解毒用の材料。
ド結合から選ばれる少なくとも1つの化学結合と、エー
テル結合とを有することを特徴とするパイロジェン除去
用あるいは解毒用の材料。
【0010】(2) 上記1記載のパイロジェンと親和性を
有する材料を用いた体液浄化カラム。
有する材料を用いた体液浄化カラム。
【0011】(3) 上記1記載のパイロジェンと親和性を
有する材料を用いた創傷被覆材。」
有する材料を用いた創傷被覆材。」
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、尿素結合、チオ
尿素結合およびアミド結合から選ばれる少なくとも一種
と結合する置換基としては特に限定はなく、ヘキシル
基、オクチル基、ドデシル基等の脂肪族化合物やシクロ
ヘキサン、シクロペンタンのような脂環族化合物、より
好ましくはフェニル基、ジフェニルメチル基、ナフチル
基等の芳香族化合物が用いられる。また、ジエチルエー
テル基、アミノエトキシル基、アミノヘキシル基、N-
メチルアミノヘキシル基、N,N- ジメチルアミノヘキ
シル基、アミノオクチル基、アミノドデシル基や、トリ
ル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基、アミノジ
フェニルメチル基等の誘導体も好適に用いられる。さら
に、グルコース、グルコサミン、ガラクトサミン、マル
トース、セルビオース、アガロース、スクロース、セル
ロース、キチン、キトサン等の単糖、オリゴ糖、多糖等
の糖質あるいはその誘導体も好ましく用いられる。最も
好ましくは、本発明材料はエーテル結合および芳香族化
合物および水酸基あるいはアミノ基を有する化合物を、
尿素結合あるいはチオ尿素結合あるいはアミド結合の置
換基として有することができる。
尿素結合およびアミド結合から選ばれる少なくとも一種
と結合する置換基としては特に限定はなく、ヘキシル
基、オクチル基、ドデシル基等の脂肪族化合物やシクロ
ヘキサン、シクロペンタンのような脂環族化合物、より
好ましくはフェニル基、ジフェニルメチル基、ナフチル
基等の芳香族化合物が用いられる。また、ジエチルエー
テル基、アミノエトキシル基、アミノヘキシル基、N-
メチルアミノヘキシル基、N,N- ジメチルアミノヘキ
シル基、アミノオクチル基、アミノドデシル基や、トリ
ル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基、アミノジ
フェニルメチル基等の誘導体も好適に用いられる。さら
に、グルコース、グルコサミン、ガラクトサミン、マル
トース、セルビオース、アガロース、スクロース、セル
ロース、キチン、キトサン等の単糖、オリゴ糖、多糖等
の糖質あるいはその誘導体も好ましく用いられる。最も
好ましくは、本発明材料はエーテル結合および芳香族化
合物および水酸基あるいはアミノ基を有する化合物を、
尿素結合あるいはチオ尿素結合あるいはアミド結合の置
換基として有することができる。
【0013】また、本発明としては、モノマー、オリゴ
マー、ポリマーのいずれでも良く、上記置換基あるいは
その一部が重合されているものも本発明材料に含まれ
る。すなわち、上記置換基あるいはその一部として、ナ
イロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポ
リスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリアリルアミン、ポリビ
ニルアミン、ポリエチレンイミンなどの合成高分子や、
セルロース、コラーゲン、キチン、キトサンおよびその
誘導体を含む天然高分子などの繰り返し単位が好適に用
いられる。さらに、金属、セラミックス、ガラスなどの
無機材料を適当な高分子で被覆したものも好適に用いら
れる。
マー、ポリマーのいずれでも良く、上記置換基あるいは
その一部が重合されているものも本発明材料に含まれ
る。すなわち、上記置換基あるいはその一部として、ナ
イロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポ
リスチレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポ
リテトラフルオロエチレン、ポリアリルアミン、ポリビ
ニルアミン、ポリエチレンイミンなどの合成高分子や、
セルロース、コラーゲン、キチン、キトサンおよびその
誘導体を含む天然高分子などの繰り返し単位が好適に用
いられる。さらに、金属、セラミックス、ガラスなどの
無機材料を適当な高分子で被覆したものも好適に用いら
れる。
【0014】本発明材料は一般に公知の方法で合成する
ことができる。例えば、脂肪族化合物や芳香族化合物に
尿素結合あるいはチオ尿素結合を導入する場合には、イ
ソシアネート誘導体あるいはイソチオシアネート誘導体
とアミンとを反応させる方法を用いることができる。ま
た、アミド結合を導入する場合には酸あるいは酸塩化物
あるいは酸無水物とアミンとを反応させる方法を用いる
ことができる。また、糖質に尿素結合あるいはチオ尿素
結合あるいはアミド結合を導入する場合、キトサンやグ
ルコサミンのようなアミノ基を有する糖質の場合には、
イソシアネート誘導体あるいはイソチオシアネート誘導
体あるいは酸塩化物や酸無水物と反応させることができ
る。セルロースのようなアミノ基を有さない糖質の場合
には、糖質の水酸基をエピクロルヒドリン、トレシルク
ロライドなどを用いて活性化させた後に、アンモニアや
ジアミノエタン等と反応させてアミノ基を導入し、この
アミノ基を利用して、糖質に尿素結合あるいはチオ尿素
結合あるいはアミド結合を導入することができる。ま
た、活性エステル基やハロゲン化アルキル基等にアミノ
基を導入する際にビス(2−アミノエトキシ)エタン、
ポリオキシエチレンビスアミン等を反応させることによ
りエーテル結合の導入が可能であり、同時に導入される
アミノ基を用いて尿素結合あるいはチオ尿素結合あるい
はアミド結合を導入することが可能である。また、アミ
ノ基を有する材料に対しては1,2ビス(2−クロロエ
トキシ)エタンやビス(2−クロロエチル)エーテル等
によりエーテル結合を導入後、アンモニアやジアミノエ
タンをさらに反応することによりアミノ基を導入し、さ
らにこのアミノ基を用いて尿素結合あるいはチオ尿素結
合あるいはアミド結合を導入することが可能である。こ
こで、反応させるエーテル化合物の分子量が大きいと、
末端のアミノ基の反応性が低下するためや、エーテル化
合物自身の大きさによる立体障害性のためにアミノ基
の、つまりは尿素結合やチオ尿素結合、アミド結合の導
入量が低下してしまうため、エーテル化合物の分子量は
ある程度小さく、好ましくは最終的に材料が合成された
時点で、尿素結合あるいはチオ尿素結合、アミド結合1
個に対してエーテル結合が20個以下、より好ましくは
10個以下になるようなエーテル化合物が用いられる。
ことができる。例えば、脂肪族化合物や芳香族化合物に
尿素結合あるいはチオ尿素結合を導入する場合には、イ
ソシアネート誘導体あるいはイソチオシアネート誘導体
とアミンとを反応させる方法を用いることができる。ま
た、アミド結合を導入する場合には酸あるいは酸塩化物
あるいは酸無水物とアミンとを反応させる方法を用いる
ことができる。また、糖質に尿素結合あるいはチオ尿素
結合あるいはアミド結合を導入する場合、キトサンやグ
ルコサミンのようなアミノ基を有する糖質の場合には、
イソシアネート誘導体あるいはイソチオシアネート誘導
体あるいは酸塩化物や酸無水物と反応させることができ
る。セルロースのようなアミノ基を有さない糖質の場合
には、糖質の水酸基をエピクロルヒドリン、トレシルク
ロライドなどを用いて活性化させた後に、アンモニアや
ジアミノエタン等と反応させてアミノ基を導入し、この
アミノ基を利用して、糖質に尿素結合あるいはチオ尿素
結合あるいはアミド結合を導入することができる。ま
た、活性エステル基やハロゲン化アルキル基等にアミノ
基を導入する際にビス(2−アミノエトキシ)エタン、
ポリオキシエチレンビスアミン等を反応させることによ
りエーテル結合の導入が可能であり、同時に導入される
アミノ基を用いて尿素結合あるいはチオ尿素結合あるい
はアミド結合を導入することが可能である。また、アミ
ノ基を有する材料に対しては1,2ビス(2−クロロエ
トキシ)エタンやビス(2−クロロエチル)エーテル等
によりエーテル結合を導入後、アンモニアやジアミノエ
タンをさらに反応することによりアミノ基を導入し、さ
らにこのアミノ基を用いて尿素結合あるいはチオ尿素結
合あるいはアミド結合を導入することが可能である。こ
こで、反応させるエーテル化合物の分子量が大きいと、
末端のアミノ基の反応性が低下するためや、エーテル化
合物自身の大きさによる立体障害性のためにアミノ基
の、つまりは尿素結合やチオ尿素結合、アミド結合の導
入量が低下してしまうため、エーテル化合物の分子量は
ある程度小さく、好ましくは最終的に材料が合成された
時点で、尿素結合あるいはチオ尿素結合、アミド結合1
個に対してエーテル結合が20個以下、より好ましくは
10個以下になるようなエーテル化合物が用いられる。
【0015】さらに、本発明材料がオリゴマーあるいは
ポリマーの場合には、例えば、イソシアネート基、カル
ボキシル基あるいはスクシンイミド基等のカルボン酸の
活性エステル基を有するオリゴマーあるいはポリマー
に、尿素誘導体あるいはチオ尿素誘導体のアミノ基を反
応させる方法が好ましく用いられる。反応に利用される
アミノ基としては、尿素結合、チオ尿素結合の末端のア
ミノ基の反応性は低いため、それ以外の部位に存在する
アミノ基が好ましい。通常、オリゴマーあるいはポリマ
ーが含有する活性エステル基1モルに対して、1〜5モ
ルのアミノ基が好ましく用いられる。また、アミノ基を
有するオリゴマー、ポリマー、あるいはジアミノエタン
などによりアミノ基を導入したオリゴマー、ポリマーに
フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、クロ
ロフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、
フェニルイソチオシアネート、クロロフェニルイソチオ
シアネート等の有機イソシアネート、有機イソチオシア
ネートを反応させることも好ましい方法である。通常、
オリゴマーあるいはポリマーが含有するアミノ基1モル
に対して、1〜5モルの有機イソシアネートあるいは有
機イソチオシアネートが好ましく用いられる。イソシア
ネート基、イソチオシアネート基、カルボキシル基、ス
クシンイミド基等のカルボン酸の活性エステル基やアミ
ノ基などの官能基は、必要に応じてオリゴマー、ポリマ
ーに導入することができる。
ポリマーの場合には、例えば、イソシアネート基、カル
ボキシル基あるいはスクシンイミド基等のカルボン酸の
活性エステル基を有するオリゴマーあるいはポリマー
に、尿素誘導体あるいはチオ尿素誘導体のアミノ基を反
応させる方法が好ましく用いられる。反応に利用される
アミノ基としては、尿素結合、チオ尿素結合の末端のア
ミノ基の反応性は低いため、それ以外の部位に存在する
アミノ基が好ましい。通常、オリゴマーあるいはポリマ
ーが含有する活性エステル基1モルに対して、1〜5モ
ルのアミノ基が好ましく用いられる。また、アミノ基を
有するオリゴマー、ポリマー、あるいはジアミノエタン
などによりアミノ基を導入したオリゴマー、ポリマーに
フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、クロ
ロフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、
フェニルイソチオシアネート、クロロフェニルイソチオ
シアネート等の有機イソシアネート、有機イソチオシア
ネートを反応させることも好ましい方法である。通常、
オリゴマーあるいはポリマーが含有するアミノ基1モル
に対して、1〜5モルの有機イソシアネートあるいは有
機イソチオシアネートが好ましく用いられる。イソシア
ネート基、イソチオシアネート基、カルボキシル基、ス
クシンイミド基等のカルボン酸の活性エステル基やアミ
ノ基などの官能基は、必要に応じてオリゴマー、ポリマ
ーに導入することができる。
【0016】上記全ての反応は標準的には、反応温度は
0〜150℃、反応時間は0.1〜24時間で行われる
が、限定されるものではない。また、反応溶媒は必ずし
も必要でないが、一般には溶媒の存在下で行われる。使
用しうる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、nブタノール、ヘキサン、アセトン、
N,N- ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド
等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホル
ム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル類等が挙げられる。反応終了後の反応液は、必要に
応じ、濾過、濃縮などの通常の処理後、カラムクロマト
グラフィー、再結晶等の操作により精製されることがで
きる。また、水不溶性の材料の場合、ガラスフィルター
等を用いて洗浄することも好ましい方法である。
0〜150℃、反応時間は0.1〜24時間で行われる
が、限定されるものではない。また、反応溶媒は必ずし
も必要でないが、一般には溶媒の存在下で行われる。使
用しうる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソ
プロパノール、nブタノール、ヘキサン、アセトン、
N,N- ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド
等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホル
ム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、ジエチ
ルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエー
テル類等が挙げられる。反応終了後の反応液は、必要に
応じ、濾過、濃縮などの通常の処理後、カラムクロマト
グラフィー、再結晶等の操作により精製されることがで
きる。また、水不溶性の材料の場合、ガラスフィルター
等を用いて洗浄することも好ましい方法である。
【0017】本発明の材料は、パイロジェンと親和性を
有するため、例えば、パイロジェンを吸着等することに
より、血液中や医薬品中あるいは人工臓器の充填液中な
どからパイロジェンを除去あるいは解毒することがで
き、又、医薬品として用いることができる。特に、水不
溶性のものは、スーパー抗原除去カラム、創傷被覆材、
あるいはスーパー抗原測定用材料等として用いることが
できる。例えば、尿素結合あるいはチオ尿素結合の置換
基の一部を利用して、ポリスルホン等の合成高分子や、
架橋キトサン等の天然高分子等に固定化して水不溶化す
ることができる。その形状としては特に限定はないが、
カラムとして用いる場合には、ビーズ、繊維、中空繊
維、織物等が好ましく、また、免疫学的な測定に用いる
場合には、ビーズ、プレート、チューブ等の形状が好ま
しく、創傷被覆材料の場合は、織物あるいはフィルム等
の形状が好ましい。例えば、架橋キトサンビーズに、尿
素結合あるいはチオ尿素結合を導入したものは、パイロ
ジェン除去カラム、あるいはスーパー抗原測定用材料と
して好ましく用いられる。また、セルロースあるいはポ
リアミン化合物等で修飾したポリスチレン繊維に尿素結
合あるいはチオ尿素結合を導入したものは、創傷被覆材
として好ましく用いられる。
有するため、例えば、パイロジェンを吸着等することに
より、血液中や医薬品中あるいは人工臓器の充填液中な
どからパイロジェンを除去あるいは解毒することがで
き、又、医薬品として用いることができる。特に、水不
溶性のものは、スーパー抗原除去カラム、創傷被覆材、
あるいはスーパー抗原測定用材料等として用いることが
できる。例えば、尿素結合あるいはチオ尿素結合の置換
基の一部を利用して、ポリスルホン等の合成高分子や、
架橋キトサン等の天然高分子等に固定化して水不溶化す
ることができる。その形状としては特に限定はないが、
カラムとして用いる場合には、ビーズ、繊維、中空繊
維、織物等が好ましく、また、免疫学的な測定に用いる
場合には、ビーズ、プレート、チューブ等の形状が好ま
しく、創傷被覆材料の場合は、織物あるいはフィルム等
の形状が好ましい。例えば、架橋キトサンビーズに、尿
素結合あるいはチオ尿素結合を導入したものは、パイロ
ジェン除去カラム、あるいはスーパー抗原測定用材料と
して好ましく用いられる。また、セルロースあるいはポ
リアミン化合物等で修飾したポリスチレン繊維に尿素結
合あるいはチオ尿素結合を導入したものは、創傷被覆材
として好ましく用いられる。
【0018】以下に実施例を用いて詳細に説明を加える
が、発明の内容が実施例に限定されるものではない。
が、発明の内容が実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1 ポリスチレン繊維への尿素結合とエーテル結
合の導入とパイロジェンの吸着除去 50重量比の海成分(46重量比のポリスチレンと4重
量比のポリプロピレンの混合物)と50重量比の島成分
(ポリプロピレン)とからなるアメリカ特許4,66
1,260記載の海島型複合繊維(厚さ:2.6デニー
ル、島の数:16)50gを50gのN−メチロール−
α−クロロアセトアミド、400gのニトロベンゼン、
400gの98%硫酸及び、0.85gのパラホルムア
ルデヒドからなる混合溶液中に浸し、20℃で1時間反
応させた。繊維を反応溶液から取り出し、0℃の氷水5
L中に投じて反応を停止させた後、水で洗浄し、次に、
繊維に付着しているニトロベンゼンをメタノールで抽出
除去した。この繊維を50℃で真空乾燥して、クロロア
セトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMP
St繊維と略す)71gを得た。
合の導入とパイロジェンの吸着除去 50重量比の海成分(46重量比のポリスチレンと4重
量比のポリプロピレンの混合物)と50重量比の島成分
(ポリプロピレン)とからなるアメリカ特許4,66
1,260記載の海島型複合繊維(厚さ:2.6デニー
ル、島の数:16)50gを50gのN−メチロール−
α−クロロアセトアミド、400gのニトロベンゼン、
400gの98%硫酸及び、0.85gのパラホルムア
ルデヒドからなる混合溶液中に浸し、20℃で1時間反
応させた。繊維を反応溶液から取り出し、0℃の氷水5
L中に投じて反応を停止させた後、水で洗浄し、次に、
繊維に付着しているニトロベンゼンをメタノールで抽出
除去した。この繊維を50℃で真空乾燥して、クロロア
セトアミドメチル化架橋ポリスチレン繊維(以下AMP
St繊維と略す)71gを得た。
【0020】ビス(2−アミノエトキシ)エタン8.2
gとジエチレントリアミン5.7gをジメチルホルムア
ミド(以下DMFと略す。)500mlに溶解した。こ
の溶液に、20gのAMPSt繊維(クロロ含量20m
mol相当)を攪拌しつつ加えた。反応は25℃で6時
間行った。その後、この修飾AMPStをガラスフィル
ター上でDMF500mlを用いて洗浄した。(試料
(a)) この試料aを洗浄後、4- クロロフェニルイソシアネー
ト1.7g、あるいは4−クロロフェニルイソチオシア
ネート1.8gあるいは4- クロロベンゾイルクロライ
ド1.9gを溶解したDMF12.5mlの溶液中に各
々5gずつ加えた。反応は25℃で1時間行った。その
後、ガラスフィルター上で500mlのDMF及び蒸留
水により洗浄した。反応後の試料をそれぞれa−1、a
−2、a−3とした。
gとジエチレントリアミン5.7gをジメチルホルムア
ミド(以下DMFと略す。)500mlに溶解した。こ
の溶液に、20gのAMPSt繊維(クロロ含量20m
mol相当)を攪拌しつつ加えた。反応は25℃で6時
間行った。その後、この修飾AMPStをガラスフィル
ター上でDMF500mlを用いて洗浄した。(試料
(a)) この試料aを洗浄後、4- クロロフェニルイソシアネー
ト1.7g、あるいは4−クロロフェニルイソチオシア
ネート1.8gあるいは4- クロロベンゾイルクロライ
ド1.9gを溶解したDMF12.5mlの溶液中に各
々5gずつ加えた。反応は25℃で1時間行った。その
後、ガラスフィルター上で500mlのDMF及び蒸留
水により洗浄した。反応後の試料をそれぞれa−1、a
−2、a−3とした。
【0021】これらの反応と同時に、ジエチレントリア
ミン11.4gをDMF500mlに溶解し、上記条件
と同様にしてAMPStとの反応および洗浄を行った。
(試料(b)) 洗浄後、4−クロロフェニルイソシアネート1.7g、
あるいは4−クロロフェニルイソチオシアネート1.8
gあるいは4- クロロベンゾイルクロライド1.9gを
溶解したDMF12.5mlの溶液中に各々5gずつ加
えた。反応は25℃で1時間行った。その後、ガラスフ
ィルター上で500mlのDMF及び蒸留水により洗浄
した。反応後の試料をそれぞれb−1、b−2、b−3
とした。吸着の対象のパイロジェンとしては、グラム陰
性菌由来のエンドトキシンとして、E.coli011
1B4Wを、また、グラム陽性菌由来の外毒素として黄
色ブドウ球菌エンテロトキシンBを用いた。吸着試験は
牛血清アルブミン5mg/ml を含むリン酸緩衝化生理食塩
水(以下PBSと略す)10mlにパイロジェンを濃度が
各々1ng/ml となるように添加した溶液中で行い、上記
で作製した吸着材(a−1)〜(b−3)を各々1gを
添加し、37℃で60分間振盪した。60分間の反応後
の溶液中のパイロジェン濃度を、エンドトキシンは、エ
ンドトキシン特異的な比濁時間分析法を用いて、また、
エンテロトキシンBは酵素免疫学的方法を用いて測定し
た。コントロールとしては、未反応のAMPSt繊維を
用いた(c)。下表1に示すように、尿素誘導体を側鎖
に有するポリスチレン繊維はエンドトキシンに限らず、
黄色ブドウ球菌外毒素をも吸着し、エーテル結合が導入
されることにより吸着性能がさらに向上することが明ら
かとなった。
ミン11.4gをDMF500mlに溶解し、上記条件
と同様にしてAMPStとの反応および洗浄を行った。
(試料(b)) 洗浄後、4−クロロフェニルイソシアネート1.7g、
あるいは4−クロロフェニルイソチオシアネート1.8
gあるいは4- クロロベンゾイルクロライド1.9gを
溶解したDMF12.5mlの溶液中に各々5gずつ加
えた。反応は25℃で1時間行った。その後、ガラスフ
ィルター上で500mlのDMF及び蒸留水により洗浄
した。反応後の試料をそれぞれb−1、b−2、b−3
とした。吸着の対象のパイロジェンとしては、グラム陰
性菌由来のエンドトキシンとして、E.coli011
1B4Wを、また、グラム陽性菌由来の外毒素として黄
色ブドウ球菌エンテロトキシンBを用いた。吸着試験は
牛血清アルブミン5mg/ml を含むリン酸緩衝化生理食塩
水(以下PBSと略す)10mlにパイロジェンを濃度が
各々1ng/ml となるように添加した溶液中で行い、上記
で作製した吸着材(a−1)〜(b−3)を各々1gを
添加し、37℃で60分間振盪した。60分間の反応後
の溶液中のパイロジェン濃度を、エンドトキシンは、エ
ンドトキシン特異的な比濁時間分析法を用いて、また、
エンテロトキシンBは酵素免疫学的方法を用いて測定し
た。コントロールとしては、未反応のAMPSt繊維を
用いた(c)。下表1に示すように、尿素誘導体を側鎖
に有するポリスチレン繊維はエンドトキシンに限らず、
黄色ブドウ球菌外毒素をも吸着し、エーテル結合が導入
されることにより吸着性能がさらに向上することが明ら
かとなった。
【0022】
【表1】 実施例2 吸着による発熱性および毒性の変化 実施例1と同様の実験を生理食塩水中のパイロジェンに
対して行った。パイロジェン溶液(エンドトキシンを1
μg/mlとトキシックショックシンドロームトキシンー1
を10μg/ml含む)と尿素誘導体を導入したAMPSt
繊維との反応は37℃で60分間行い、反応後の溶液を
家兎に投与した。投与は、浸透圧ポンプ(alza社製)を
用いて皮下より徐放により行った。家兎の体温を直腸よ
り測定したところ、尿素誘導体を導入した繊維(実施例
の(a))と反応させたパイロジェン溶液では体温上昇
も少なく、7日間生存したのに対して、未処理のパイロ
ジェン溶液では急激に体温が上昇し2日後に死亡した。
対して行った。パイロジェン溶液(エンドトキシンを1
μg/mlとトキシックショックシンドロームトキシンー1
を10μg/ml含む)と尿素誘導体を導入したAMPSt
繊維との反応は37℃で60分間行い、反応後の溶液を
家兎に投与した。投与は、浸透圧ポンプ(alza社製)を
用いて皮下より徐放により行った。家兎の体温を直腸よ
り測定したところ、尿素誘導体を導入した繊維(実施例
の(a))と反応させたパイロジェン溶液では体温上昇
も少なく、7日間生存したのに対して、未処理のパイロ
ジェン溶液では急激に体温が上昇し2日後に死亡した。
【0023】このように、尿素誘導体およびエーテル結
合を導入した材料でパイロジェンを含む溶液を処理する
ことにより、発熱性や致死活性を解毒することが可能で
あることが示された。
合を導入した材料でパイロジェンを含む溶液を処理する
ことにより、発熱性や致死活性を解毒することが可能で
あることが示された。
【0024】
【発明の効果】本発明のパイロジェン吸着あるいは解毒
材料は、エンドトキシンにのみならず、黄色ブドウ球菌
外毒素等のタンパク性のパイロジェンに対しても親和性
を有する。また、抗生物質や他の生理活性物質をリガン
ドとして固定したタイプの吸着材料と異なり、リガンド
の脱離による障害を引起こさない。
材料は、エンドトキシンにのみならず、黄色ブドウ球菌
外毒素等のタンパク性のパイロジェンに対しても親和性
を有する。また、抗生物質や他の生理活性物質をリガン
ドとして固定したタイプの吸着材料と異なり、リガンド
の脱離による障害を引起こさない。
【0025】従って、本発明の材料を用いることによ
り、医薬品や人工臓器の充填液等の熱に不安定な溶液中
よりパイロジェンを除去する材料として、また、患者血
液中のパイロジェンを除去あるいは解毒することにより
グラム陰性菌あるいはグラム陽性菌による敗血症に見ら
れる発熱やショック症状の緩和等に有効な材料として用
いることが可能となった。
り、医薬品や人工臓器の充填液等の熱に不安定な溶液中
よりパイロジェンを除去する材料として、また、患者血
液中のパイロジェンを除去あるいは解毒することにより
グラム陰性菌あるいはグラム陽性菌による敗血症に見ら
れる発熱やショック症状の緩和等に有効な材料として用
いることが可能となった。
Claims (12)
- 【請求項1】尿素結合、チオ尿素結合およびアミド結合
から選ばれる少なくとも1つの化学結合と、エーテル結
合とを有することを特徴とするパイロジェン除去用ある
いは解毒用の材料。 - 【請求項2】芳香族環を含む官能基を有することを特徴
とする請求項1記載のパイロジェン除去用あるいは解毒
用の材料。 - 【請求項3】水酸基を含む官能基を有することを特徴と
する請求項1記載のパイロジェン除去用あるいは解毒用
の材料。 - 【請求項4】アミノ基を含む官能基を有することを特徴
とする請求項1記載のパイロジェン除去用あるいは解毒
用の材料。 - 【請求項5】1つの尿素結合あるいはチオ尿素結合ある
いはアミド結合に対してエーテル結合の数が10以下で
あることを特徴とする請求項1記載のパイロジェン除去
用あるいは解毒用の材料。 - 【請求項6】パイロジェンがスーパー抗原であることを
特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパイロジェ
ン除去用あるいは解毒用の材料。 - 【請求項7】水不溶性であることを特徴とする請求項1
〜6のいずれかに記載のパイロジェン除去用あるいは解
毒用の材料。 - 【請求項8】敗血症治療用であることを特徴とする請求
項1〜7のいずれかに記載のパイロジェン除去用あるい
は解毒用の材料。 - 【請求項9】請求項7記載の材料を用いたことを特徴と
する体液浄化カラム。 - 【請求項10】請求項7記載の材料を用いたことを特徴
とする創傷被覆材料。 - 【請求項11】請求項7記載の材料を充填したカラムに
パイロジェンを含む液体を通過させることによってパイ
ロジェンを液体中より除去する方法。 - 【請求項12】液体が血液、血漿、血清および生理活性
物質の少なくとも1種を含む液、または、医薬品を含む
液であることを特徴とする請求項11記載のパイロジェ
ンを液体中より除去する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8308052A JPH10147533A (ja) | 1996-11-19 | 1996-11-19 | パイロジェン除去用あるいは解毒用の材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8308052A JPH10147533A (ja) | 1996-11-19 | 1996-11-19 | パイロジェン除去用あるいは解毒用の材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10147533A true JPH10147533A (ja) | 1998-06-02 |
Family
ID=17976312
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8308052A Pending JPH10147533A (ja) | 1996-11-19 | 1996-11-19 | パイロジェン除去用あるいは解毒用の材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10147533A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000037172A1 (fr) * | 1998-12-22 | 2000-06-29 | Toray Industries, Inc. | Materiaux destines a l'elimination de composants bacteriens |
JP5009478B2 (ja) * | 2000-08-25 | 2012-08-22 | 株式会社カネカ | 細菌毒素の吸着材、その吸着除去方法および該吸着材を充填してなる吸着器 |
-
1996
- 1996-11-19 JP JP8308052A patent/JPH10147533A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2000037172A1 (fr) * | 1998-12-22 | 2000-06-29 | Toray Industries, Inc. | Materiaux destines a l'elimination de composants bacteriens |
US6461517B1 (en) | 1998-12-22 | 2002-10-08 | Toray Industries, Inc. | Bacterial-derived component removal material |
JP5009478B2 (ja) * | 2000-08-25 | 2012-08-22 | 株式会社カネカ | 細菌毒素の吸着材、その吸着除去方法および該吸着材を充填してなる吸着器 |
US8785141B2 (en) | 2000-08-25 | 2014-07-22 | Kaneka Corporation | Bacterial toxin adsorbing material, method of removing the toxin by adsorbing, and an adsorber formed by filling the adsorbing material therein |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060124 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060327 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060704 |