JP2000237585A - 医療用吸着材料 - Google Patents

医療用吸着材料

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JP2000237585A
JP2000237585A JP11364023A JP36402399A JP2000237585A JP 2000237585 A JP2000237585 A JP 2000237585A JP 11364023 A JP11364023 A JP 11364023A JP 36402399 A JP36402399 A JP 36402399A JP 2000237585 A JP2000237585 A JP 2000237585A
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Takashi Miwa
敬史 三和
Rumiko Sakai
ルミ子 酒井
Mayumi Fukuyama
真弓 福山
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】血中の有用成分に対しての親和性も考慮した、
安価でかつ滅菌可能な細菌成分に対する親和性を有する
材料を提供することを課題とする。すなわち、本発明材
料は、細菌由来の成分とは高い親和性を有するが血液中
の有用成分や抗生剤等とは親和性の低い医療用の吸着材
料およびそれを用いた血液浄化材料あるいは創傷被覆材
料を提供することを目的とする。 【解決手段】細菌由来の成分の吸着率が50%以上であ
り、かつ血球成分、血漿成分、血中電解質成分および医
薬品から選ばれる少なくとも一つの成分の吸着率が15
%以下であることを特徴とする医療用吸着材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原核生物である細
菌、つまりはグラム陰性菌およびグラム陽性菌の産生す
る化合物に対して選択的に親和性を有する医療用吸着材
料に関するものである。特に、医療用として用いること
を目的としているため、生体中の有用成分、例えば血中
の蛋白質や電解質や血球あるいは治療用に用いている薬
剤に対しての親和性を低下させていることを特徴とし、
細菌感染症の治療の際の治療や体外循環用の血液浄化材
料あるいは創傷被覆材料として好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】細菌感染は種々の疾患に伴って発生し、
その後、敗血症等の重篤な状態に陥ることもある。一般
に、細菌感染に対しては抗生剤の投与による治療が行わ
れるが患者の容態や菌の薬剤耐性化等により効果が出な
い場合も多い。このような抗菌剤の効果の低い病態では
さらなる治療が必要となる。
【0003】ここで、菌は患者に侵入する段階、侵入後
に宿主から攻撃されずに安定して生着できる環境を作り
出す段階あるいは宿主を攻撃しつつ増殖を行う段階で様
々な化合物を産生する。これらの化合物は宿主である患
者にとっては毒物である場合が多く、これらの化合物に
より発熱、血圧低下、嘔吐、意識障害、呼吸障害、腎障
害、腸管などの粘膜障害等を引き起こす。
【0004】従来、菌体由来の成分を積極的に体外に除
去する療法が、抗生剤の効果の低い患者に対する治療の
一つと考えられた。
【0005】細菌由来の成分を吸着し体外に除去する物
として、エンドトキシンを吸着除去する材料が知られて
いる。例えば、ポリミキシンBを固定化した繊維やビー
ズ、あるいは架橋アガロースビーズ、ヒスチジンのよう
な含窒素複素環化合物を固定化したアガロースビーズ等
が知られている。しかし、これらの材料は吸着対象であ
るエンドトキシンの吸着性には優れているが、それ以外
の有用成分に対する親和性に対しては殆ど考慮されてい
なかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの従来
技術では考慮されていなかった血中の有用成分に対して
の親和性も考慮した細菌成分に対する親和性を有する材
料を提供することを目的とする。
【0007】すなわち、本発明の材料は細菌由来の成分
とは高い親和性を有するが、血液中の有用成分や抗生剤
とは親和性の低い医療用の吸着材料およびそれを用いた
血液浄化材料あるいは創傷被覆材料を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために下記の構成を有する。 「(1)細菌由来成分の吸着率が50%以上であり、か
つ、血球成分、血漿成分、電解質成分および医薬品から
選ばれる少なくとも1つの成分の吸着率が15%以下で
あることを特徴とする医療用吸着材料。 (2)上記(1)記載の医療用吸着材料を用いた体外循
環用血液浄化材料。 (3)上記(1)記載の医療用吸着材料を用いた創傷被
覆材料。」
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において細菌由来の成分と
しては、一般に数多く存在し、特に限定されるものでは
ないが、例えば、黄色ブドウ球菌の腸管毒素、溶血毒
素、ロイコシジン、コアグラーゼやプロテインA、コレ
ラ菌のコレラ毒素、出血性大腸菌や赤痢菌の産生するベ
ロ毒素、緑膿菌の産生する外毒素A、連鎖球菌の産生す
る発熱性外毒素などの分泌性の毒素や、リポポリサッカ
ライド等の細菌自体を構成する化合物や細菌の遺伝子構
成成分であるデオキシリボ核酸等も毒性を有する細菌由
来成分として挙げられる。さらに、これらの細菌成分の
中でパイロジェンと称される一群の毒素がある。パイロ
ジェンは発熱性を有する一群の物質の総称であり、細菌
感染を通じて体内に侵入することにより発熱やショック
症状を誘引することが知られている強毒性の物質であ
る。このパイロジェン活性を有する細菌由来成分として
はグラム陰性菌の細胞膜構成成分であるリポポリサッカ
ライド(エンドトキシン)、黄色ブドウ球菌の腸管毒素
やトキシックショックシンドロームトキシン−1等が挙
げられる。本発明においては、細菌由来成分がエンドト
キシン、スーパー抗原、プロテインA、αヘモリジンお
よび蛋白質分解酵素から選ばれる少なくとも一つである
場合に特に効果的である。
【0010】本発明において、血球成分とは赤血球、白
血球、血小板をいい、特に感染症において細菌排除に関
わる白血球や、酸素運搬に関わる赤血球の除去性能が高
い場合に、効果がある。
【0011】また、血漿成分とは血漿蛋白質や、エンド
トキシンとの結合活性を有するリポタンパク質、脂質、
糖類あるいはホルモンやビタミン等が考えられる。
【0012】電解質成分は体内の浸透圧の維持や神経や
蛋白質が機能する上で重要な作用があり、本発明におけ
る血中電解質成分としては、ナトリウムイオン、カリウ
ムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄
イオン、マンガンイオン、クロールイオン等の陽イオン
や塩素イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、重炭酸イオ
ン等の陰イオンのいずれをも含む。
【0013】医薬品とは、治療により大幅に異なるが、
感染症や敗血症の治療として重要なものとしては、抗生
剤、γグロブリン製剤、昇圧剤や解熱剤を言い、特に感
染に対する根源的な治療である抗生剤やショック時の血
圧改善に必須な昇圧剤、その中でもカテコールアミン類
であるドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンの
除去性能が高い場合に有効である。
【0014】本発明の医療用吸着材料に用いられる素材
としては特に限定はないが、水素結合可能な官能基を有
することが好ましく、水素結合可能な官能基としては、
尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合、アミノ基および
水酸基から選ばれる置換基を有することが好ましく、よ
り好ましくは更に疎水結合を形成可能な官能基を有する
ものが用いられる。尿素結合あるいはチオ尿素結合ある
いはアミド結合を有する置換基としては特に限定はな
く、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、などの脂肪
族化合物やシクロヘキシル基、シクロペンチル基などの
脂環族化合物、より好ましくはフェニル基、ナフチル
基、アントラシル基等の芳香族化合物が用いられる。ま
た、アミノヘキシル基、モノメチルアミノヘキシル基、
ジメチルアミノヘキシル基、アミノオクチル基、アミノ
ドデシル基、トリル基、クロロフェニル基、ニトロフェ
ニル基、ジフェニルメチル基、アミンジフェニルメチル
基、等の誘導体も好適に用いられる。アミノ基を有する
化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリ
エチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプ
ロピレントリアミン、ポリエチレンイミン、N−2,
2,−ジアミノジエチルアミン等が好ましく用いられ
る。水酸基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキ
シプロパン、1,3ジアミノ−2−ヒドロキシプロパ
ン、ヒドロキシブタン、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピ
リジン等の化合物やグルコース、グルコサミン、ガラク
トサミン、マルトース、セルビオース、スクロース、ア
ガロース、セルロース、キチン、キトサン等の単糖、オ
リゴ糖、多糖等の糖質あるいはそれらの誘導体が置換基
として好ましく用いられる。また、エーテル結合を有す
る化合物としては、例えば1,2ビス(2-アミノエト
キシ)エタンや3,9ビス(3-アミノプロピル)-2,
4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカ
ン等を用いることができる。さらに、カルボキシル基、
メルカプト基、ウレタン基、グアニジノ基、エステル基
等のような水素結合を形成可能な官能基を持つものも官
能基として好適に用いられる。
【0015】しかし、抗生剤や血液中の成分の中には、
尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合、アミノ基、水酸
基を有する材料と親和性を有する場合があり、このよう
な物質の除去が問題となる場合には、材料の有する尿素
結合、チオ尿素結合等の数を減少させ、それ以外の官能
基で細菌成分と親和性を有する官能基を導入すればよ
い。尿素結合、チオ尿素結合、アミド結合、アミノ基、
水酸基等の水素結合を形成する官能基以外の親和性を有
する基としては疎水性基、中でも、炭素数4以上の疎水
性基を導入することが好ましい。炭素数4以上の疎水性
基としては、具体的には、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ドデシル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、
フェニル基、3,3ジフェニルプロピル基、等の飽和あ
るいは不飽和炭化水素を含んだ化合物が挙げられる。
【0016】本発明の材料は、水素結合可能な官能基の
置換基として、さらに、水酸基やアミノ基を有する化合
物のような水素結合を形成可能な基と、芳香族官能基の
両方を有することが好ましく、かつ、疎水性基としての
飽和あるいは不飽和炭化水素鎖を混合して有することが
最も好ましい。混合比には限定はなく、除去対象や非除
去対象などの使用条件により適宜変化させることが出来
る。
【0017】混合比を変化させる方法としては、全ての
化合物を所定の比率で混合した溶液を反応させる1段階
反応や、1回の反応で1種類の化合物を反応させ、反応
させる化合物の数だけ反応を行う多段階反応のいずれも
が用いられるが、操作の簡易さや反応時間の短縮等を考
慮すると1段階反応が好ましい。
【0018】吸着率の測定法としては種々考えられ、そ
の違い、例えば吸着体と被吸着液との容積比や被吸着液
中の夾雑物濃度や反応時間、撹拌の有無等により除去率
が変動すると考えられる。本発明における吸着率の測定
を以下に示す。
【0019】細菌成分と抗生剤等の医薬品の吸着率の測
定は0.15M塩化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.4)中に5mg/mlの濃度になるよう
に牛血清アルブミン(フラクションV)を溶解させた溶液
を用いる。容積比は吸着体0.1gを被吸着液1ml中
に添加して行い、反応温度は37℃、吸着時間は2時
間、旋回撹拌の条件において行った。これらの結果より
下式(1)を用いて吸着率を計算した。 (C0−C)/C0・・・・・・(1)式 ここで、C0は被吸着物の吸着前の溶液中の初期濃度、
Cは被吸着物の吸着後の溶液中の濃度である。
【0020】また、血球や血漿成分に対する吸着率を測
定する場合には血漿を用いた。本発明においては、血液
は実験用ウサギ(10週令のオスのニュージーランドホ
ワイト種)より抗凝固剤としてヘパリン5ユニット/m
lを用いて採取した、総蛋白濃度5.0〜5.5g/d
l、白血球数4500〜6500/mm3、ヘマトクリ
ット値40〜43%の血液より調製した。マウス、イ
ヌ、ヒツジ、ウシあるいはヒトの血液においてもほぼ同
様の結果は得られるが、除去率測定実験の再現性を考慮
し、上記のウサギ血漿に限定して試験を行った。血液量
2mlに対して吸着体0.1gを添加して行い、反応温
度は37℃、吸着時間は2時間、旋回撹拌の条件におい
て行った。これらの結果より上式(1)を用いて除去率
を計算した。ここで、C0は被吸着物の吸着前の溶液中
の初期濃度あるいは初期血球数、Cは被吸着物の吸着後
の溶液中の濃度あるいは血球数である。
【0021】抗凝固剤としてはヘパリンや低分子量ヘパ
リンが好ましく用いられるが本発明においては分子量分
画を行っていない通常のヘパリンを用いた。エチレンジ
アミンテトラ酢酸塩やクエン酸塩はカルシウム濃度を低
下させ、細胞機能を阻害してしまうため血球本来の機能
が消失し好ましくない。メシル酸ナファモスタット等の
蛋白質分解酵素阻害剤も補体系等の血液中の蛋白本来の
活性が阻害されるため好ましくない。
【0022】また、血中電解質成分に対する場合におい
ても実験用ウサギ10週令のオスのニュージーランドホ
ワイト種)より抗凝固剤を用いないで採血した、総蛋白
濃度5.0〜5.5g/dl、白血球数4500〜65
00/mm3、ヘマトクリット値40〜43%の血液よ
り調製し、室温で3時間放置後に遠心した上清として血
清を回収した。マウス、イヌ、ヒツジ、ウシあるいはヒ
トの血液においてもほぼ同様の結果は得られるが、除去
率測定実験の再現性を考慮し、上記のウサギ血漿に限定
して試験を行った。その血清量1mlに対して吸着体
0.1gを添加して行い、反応温度は37℃、吸着時間
は2時間、旋回撹拌の条件において行った。これらの結
果より上式(1)を用いて除去率を計算した。ここで、
C0は被吸着物の吸着前の溶液中の初期濃度、Cは被吸
着物の吸着後の溶液中の濃度である。
【0023】ここで、吸着能は吸着反応の進行ととも
に、あるいは材料の熱処理などの前処理等により変化す
るので、本発明における吸着率の測定は未吸着状態の吸
着体を用い、熱や放射線による滅菌操作等を行わない状
態で開始した。
【0024】本発明の医療用吸着材料は種々の用途に用
いられるが、中でも、体外循環用血液浄化材料、創傷被
覆材料として好適に用いられる。
【0025】その形状としては特に限定はないが、カラ
ムとして用いる場合には、ビーズ、繊維、中空糸、糸
束、ヤーン、ネット、編み地、織物等が好ましく、創傷
被覆材料の場合は織物あるいはフィルム等の形状が好ま
しい。また、本材料は単独での使用のみならず、適当な
基材に固定したり、他材料と混合して一つのカラム、創
傷被覆材料として用いることもできる。固定化あるいは
混合などの操作は、上記形状に加工する前に行っても良
いし、加工した後に行っても良い。本発明の材料を用い
たカラムを体外循環用カラムとして用いる場合には、体
外に導出した血液を直接カラムに通しても良いし、血漿
分離膜などと組み合わせて使用しても良い。
【0026】以下にその実施例を示すが、その記載内容
に本発明が限定される物ではない。
【0027】
【実施例】(実施例1)吸着体の作製とその吸着体を用
いた細菌由来成分および抗生剤の除去率の測定。
【0028】50重量比の海成分(46重量比のポリス
チレンと4重量比のポリプロピレンの混合物)と50重
量比の島成分(ポリプロピレン)とからなる米国特許4
661260の実施例1記載の海島型複合繊維(太さ:
2.6デニール、島の数:16)を、50gのN−メチ
ロール−α−クロロアセトアミド、400gのニトロベ
ンゼン、400gの98%硫酸、0.85gのパラホル
ムアルデヒドの混合溶液と20℃で1時間反応させた。
その後、繊維をニトロベンゼンで洗浄し、その後、水に
より反応を停止させた後、メタノールで再び洗浄するこ
とによりαクロロアセトアミドメチル化架橋ポリスチレ
ン繊維(以下AMPSt繊維と略す。)を得た。
【0029】次に、テトラエチレンペンタミン6.3
g、n−ブチルアミン7.2gをN,Nジメチルホルム
アミド(以下DMFと略す。)500mlに溶解した液
に、20gのAMPst繊維を撹拌しつつ加えた。反応
は30℃で3時間行い、その後、反応した繊維をガラス
フィルター上でDMF500mlを用いて洗浄し、さら
にその繊維を、2.3gの4−クロロフェニルイソシア
ネートを溶解したDMF500mlの溶液に添加し、反
応を25℃で1時間行った。その後ガラスフィルター上
でDMF1000mlを用いて洗浄し、さらに蒸留水1
000mlを用いて洗浄し、尿素結合を導入したAMP
st繊維(以下UAMP繊維と略す。)を得た。
【0030】ここで、作製したUAMP繊維を用いて細
菌由来成分および抗生剤の吸着試験を行った。細菌由来
成分としては黄色ブドウ球菌の産生する外毒素であるト
キシックショックシンドロームトキシン−1(以下TS
ST−1と略す。トキシンテクノロジー社製)、プロテ
インA(以下PrAと略す。ザイメッド社製)、αヘモ
リジン(以下aHLと略す。リサーチバイオケミカルイ
ンスティテュート社より購入)および蛋白質分解酵素
(以下SPEBと略す。トキシンテクノロジー社製)お
よび大腸菌由来のリポポリサッカライド、E.coli0111B4
(以下LPSと略す。シグマ社製)を用い、抗生剤とし
てはアルベカシン(以下ARKと略す。明治製菓(株)
製)を用い、昇圧剤としてはアドレナリン(第一製薬
(株)製)を用いた。濃度は、TSST−1、αヘモリ
ジン、プロテインA、SPEBに関しては酵素免疫学的
に、LPSに関してはリムルス試薬(和光純薬製)によ
り、また、ARKに関しては蛍光偏光免疫測定法により
アドレナリンは液体クロマトグラフィー法により測定し
た。
【0031】TSST−1、プロテインA、αヘモリジ
ン、SPEBを1ng/ml、LPSを10ng/ml
及びARKを10μg/ml、アドレナリンを100n
g/mlとなるように0.15M塩化ナトリウム、5m
g/ml牛血清アルブミン(フラクションV)(生化学
工業社製)を含む0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(p
H7.4)中に溶解させ被吸着液とした。UAMP0.
1gをこの被吸着液1ml中に添加し、37℃で2時間
旋回撹拌しつつ吸着反応を行った。吸着前後の濃度を測
定し前述した式(1)を用いて除去率を算出した結果を
表1.に示した。 表1.細菌由来成分及び抗生剤の吸着試験。
【0032】
【表1】
【0033】このように、TSST−1、プロテイン
A、αヘモリジン、SPEBやLPSのような細菌由来
成分に対しては50%以上の高い除去性能を示すが、A
RKのような抗生剤に対しては除去率は低く維持され
た。 (実施例2)血液成分に対する除去率の測定を行った。
【0034】実施例1で作製したUAMP繊維をヘパリ
ン(5単位/ml)を用いて採血したウサギ血液中に添
加し、血中蛋白濃度及び血球数に対する除去率を測定し
た。ヘパリン加ウサギ血液(総蛋白量5.0g/dl、
白血球数6000/mm3、ヘマトクリット41%)
1.8ml(血漿量1.0ml相当)に対してUAMP
0.1gを添加し、37℃で2時間、旋回撹拌しつつ吸
着反応を行った。
【0035】反応前後の血球数は自動血球計算機(日本
電光社製)を用いて測定した。また、血中総蛋白濃度は
ビュレット法により、高密度リポ蛋白濃度はリンタング
ステン酸・Mg沈殿法により測定し、吸着前後の濃度よ
り前述の式(1)を用いて除去率を算出した結果を表
2.に示した。 表2.
【0036】
【表2】
【0037】このように、血球成分や血中蛋白質に対し
ては除去率は低く維持された。 (実施例3)血中電解質成分に対する除去率の測定を行
った。
【0038】ウサギ血液(総蛋白量5.0g/dl、白
血球数6000/mm3、ヘマトクリット41%)を抗
凝固剤を用いずにガラス管内に採血し、3時間そのまま
放置した。その後、5000gで遠心し、その上清を血
清として分離した。
【0039】実施例1で作製したUAMP繊維を上記血
清中に添加し、血中電解質濃度に対する除去率を測定し
た。血清1.0mlに対してUAMP0.1gを添加
し、37℃で2時間、旋回撹拌しつつ吸着反応を行っ
た。ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム(イ
オン化カルシウム)は電極法により、また、マグネシウ
ム濃度はキシリジンブルー法を用いて測定した。その結
果を表3.に示した。表3.
【0040】
【表3】
【0041】このように、血中電解質成分に対しては除
去率は低く維持された。 (実施例4) 修飾AMPSt繊維の作製 実施例1と同様の方法でクロロアセトアミドメチル化架
橋ポリスチレン繊維(AMPSt繊維)を表4に示す試
薬をN,N−ジメチルホルムアミド(以下DMFと略
す)50mlに溶解した溶液に、1gのAMPSt繊維
(クロロ含量2mmol相当)を攪拌しつつ加えた。反
応は30℃で3時間行った。その後、DMF200ml
を用いてガラスフィルター上で洗浄した。さらに、4−
クロルフェニルイソシアネート0.19gを溶解したD
MF50mlの溶液中に加え、25℃で1時間、反応さ
せた。その後、ガラスフィルター上で200mlのDM
Fおよび200mlの蒸留水により洗浄し、表4に示す
試薬(a)〜(d)を用いて、アミノ基を尿素誘導体へ
変換した。
【0042】これにより、アミド結合を有する担体繊維
にアミノ基((a)、(b))、アミノ基とエーテル基
(c)アミノ基と水酸基(d)を導入した材料を作製し
た。
【0043】また、表4に示す試薬と同時にtert−
ブチルアミンを1.0gをDMF中に溶解し両方の試薬
を競合的に反応させ、水素結合形成可能な基と疎水性基
を同時に有し、且つ、置換反応を競合させることによ
り、表4の試薬の導入量を減少させた修飾繊維を作製し
た(表5に(a2)〜(d2)として示した)。 表4.AMPst繊維との反応に用いた試薬
【0044】
【表4】
【0045】(実施例5) 修飾AMPSt繊維と修飾
キトサンビーズによるLTA、PrA、aHL、蛋白分
解酵素、エンドトキシン、スーパー抗原の除去試験 実施例1で作製した修飾AMPSt繊維(a)〜(a
2)によるTSST−1、PrA、aHL、SPEB、
LPS、ARK、アドレナリン、白血球の吸着除去試験
を行った。実験は、実施例2に示した方法に従って行っ
た。この結果を表4に示す。この結果から、尿素結合、
チオ尿素結合、アミド結合、アミノ基あるいは水酸基等
の水素結合形成能を有する材料はポリスチレンのような
水素結合形成可能な基を有していない材料と異なり、L
TA、PrA,aHL、SPEB、EtあるいはTSS
T−1を同時に1〜5種類を吸着することが示された。
また、疎水性基を共存させることにより選択性が向上す
ることも明らかとなった。ここで、吸着率は下式(1)
より算出した。
【0046】各毒素の吸着試験前の濃度(C0)と吸着
後の濃度(C)より式1により計算した吸着率Arを表
中に示した。 Ar=(C0−C)/C0・・・・・・・・式1 表5.修飾AMPSt繊維と修飾キトサンビーズによる
LTA、PrA、aHL、蛋白分解酵素、エンドトキシ
ン、スーパー抗原の除去試験
【0047】
【表5】
【0048】
【発明の効果】本発明により血液中に侵入した細菌成分
を除去する際に、血中の有用成分の除去率を低くし、有
用成分除去による副作用を抑えることが可能な医療用吸
着材料を提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01J 20/24 B01J 20/24 C

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】細菌由来の成分の吸着率が50%以上であ
    り、かつ血球成分、血漿成分、血中電解質成分および医
    薬品から選ばれる少なくとも一つの成分の吸着率が15
    %以下であることを特徴とする医療用吸着材料。
  2. 【請求項2】血漿成分がリポタンパク質であることを特
    徴とする請求項1記載の医療用吸着材料。
  3. 【請求項3】血球成分が白血球あるいは赤血球であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の医療用吸着材料。
  4. 【請求項4】血中電解質成分がナトリウムイオン、カリ
    ウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンお
    よびクロールイオンから選ばれる少なくとも一つである
    ことを特徴とする請求項1記載の医療用吸着材料。
  5. 【請求項5】医薬品が抗生剤および昇圧剤から選ばれる
    少なくとも一つであることを特徴とする請求項1記載の
    医療用吸着材料。
  6. 【請求項6】細菌由来成分がエンドトキシン、スーパー
    抗原、プロテインA、αヘモリジンおよび蛋白質分解酵
    素から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする
    請求項1〜5のいずれかに記載の医療用吸着材料。
  7. 【請求項7】水素結合可能な官能基と疎水性基を有する
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の医療
    用吸着材料。
  8. 【請求項8】水素結合可能な官能基とエーテル結合を有
    することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
    医療用吸着材料。
  9. 【請求項9】水素結合可能な官能基が尿素結合、チオ尿
    素結合、アミド結合、アミノ基、および水酸基から選ば
    れる少なくとも一つの化学構造を有していることを特徴
    とする請求項7あるいは8記載の医療用吸着材料。
  10. 【請求項10】疎水性基が炭素数4以上の炭化水素鎖を
    有していることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに
    記載の医療用吸着材料。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれかに記載の医療
    用吸着材料を用いてなることを特徴とする体外循環用血
    液浄化材料。
  12. 【請求項12】請求項1〜10のいずれかに記載の医療
    用材料を用いてなることを特徴とする創傷被覆用材料。
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