JPH10147252A - 車両状態量取得装置 - Google Patents

車両状態量取得装置

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JPH10147252A
JPH10147252A JP8306683A JP30668396A JPH10147252A JP H10147252 A JPH10147252 A JP H10147252A JP 8306683 A JP8306683 A JP 8306683A JP 30668396 A JP30668396 A JP 30668396A JP H10147252 A JPH10147252 A JP H10147252A
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steering angle
wheel steering
rear wheel
vehicle
sensor
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Kozo Fujita
耕造 藤田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】後輪舵角を制御する装置と制動力左右差を制御
して車両挙動の安定性を制御する装置とを有するととも
に、車両挙動安定性制御装置が、後輪舵角制御装置から
送信される後輪舵角信号により表される実後輪舵角に基
づいて制動力左右差を制御する車両制御システムにおい
て、車両挙動安定性制御装置の信頼性を向上させる。 【解決手段】車両挙動安定性制御装置において、後輪舵
角制御装置に異常があることを示す異常信号がその後輪
舵角制御装置から送信されるか(S105)、または、
後輪舵角制御装置から車両挙動安定性制御装置への後輪
舵角信号の送信に異常がある場合(S106)には、実
後輪舵角δr を、その異常判定に先行する正常判定中に
最後に後輪舵角制御装置から送信された後輪舵角信号に
より表される実後輪舵角δr に保持する(S113)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の運動の状態
を表す車両状態量を取得する車両状態量取得装置に関す
るものであり、特に、センサにより第1車両状態量を検
出し、その第1車両状態量に基づいて第2車両状態量を
推定する形式の車両状態量取得装置に関するものであ
る。
【0002】
【背景技術】本出願人の特開平5−278624号公報
には上記形式の車両状態量取得装置の一従来例が記載さ
れており、この装置は、(1) 前記第1車両状態量とし
て、車両重心点における横加速度Gy と、車速Vと、ヨ
ーレイトγとをそれぞれ検出し、それぞれを表す信号を
送信するセンサと、(2) そのセンサに接続され、そのセ
ンサから送信された各信号に基づいて前記第2車両状態
量としての、車体スリップ角βを推定する推定手段とを
含むように構成されている。ここで、推定手段は、横加
速度Gy を車速Vで割り算した値からヨーレイトγを引
き算することによって車体スリップ角速度β′を演算
し、その車体スリップ角速度β′を時間に関して積分す
ることによって車体スリップ角βを推定する。
【0003】また、本出願人は、前記形式の車両状態量
取得装置を含む車両制御システムとして次のようなもの
を開発した。それは、左右前輪と左右後輪とを有する車
両において後輪舵角制御と車両挙動安定性制御とをそれ
ぞれ実行する装置であり、具体的には、(1) 車両の左右
後輪の舵角を検出し、その実後輪舵角を表す後輪舵角信
号を送信する後輪舵角センサと、(2) 左右後輪を操舵す
るために作動させられる後輪操舵アクチュエータと、
(3) それら後輪舵角センサと後輪操舵アクチュエータと
に接続され、後輪舵角センサから送信された後輪舵角信
号により表される実後輪舵角が目標後輪舵角となるよう
に後輪操舵アクチュエータを制御する後輪舵角コントロ
ーラと、(4) 左右前輪と左右後輪との少なくとも一方で
ある制御左右輪のブレーキを作動させるブレーキアクチ
ュエータと、(5) 後輪舵角センサとブレーキアクチュエ
ータとに接続され、制御左右輪間における制動力差を制
御するためにブレーキアクチュエータを制御するブレー
キコントローラであって、(a) 後輪舵角センサから送信
された後輪舵角信号に基づき、車両の車体スリップ角と
車体スリップ角速度との少なくとも一方である車体スリ
ップ角関連量を推定する車体スリップ角関連量推定手段
と、(b) 推定された車体スリップ角関連量に基づき、ブ
レーキコントローラがブレーキアクチュエータを制御す
るためのブレーキ制御モードを決定するブレーキ制御モ
ード決定手段とを有するブレーキコントローラとを含む
ように構成されている。すなわち、この開発された車両
制御システムにおいては、後輪舵角が、センサによる直
接検出が容易な第1車両状態量であり、車体スリップ角
と車体スリップ角速度とがそれぞれ、センサによる直接
検出が困難な第2車両状態量とされているのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した車両状態
量取得装置においては、センサから推定手段に送信され
る、第1車両状態量を表す信号に異常が生じる場合があ
る。その信号異常は、例えば、信号の発生源であるセン
サに異常が生じることによって発生し、また、センサか
らの信号が別の装置を経由して推定手段に送信される場
合には、センサに異常が生じなくても、その別の装置に
異常が生じることによって発生する。また、その信号異
常は、センサから直接にまたは別の装置を経由して推定
手段に信号が送信される際にその信号に異常が生じるこ
とによっても発生する。しかしながら、それら車両状態
量取得装置においては、信号異常の有無を問わず、送信
された信号に基づいて第2車両状態量が推定される。そ
のため、信号異常が発生した場合には、第2車両状態量
の推定精度が大きく低下してしまうという問題がある。
【0005】本発明は、第1車両状態量を表す異常な信
号に起因した第2車両状態量の推定精度低下を抑制する
車両状態量取得装置を提供することを課題としてなされ
たものである。
【0006】
【課題を解決するための手段,作用および発明の効果】
本発明のうちの請求項1の発明によれば、前記車両状態
量取得装置であって、(1) 第1車両状態量を検出し、そ
の第1車両状態量を表す信号を送信するセンサと、(2)
そのセンサに接続され、そのセンサから送信された信号
に基づき、第1車両状態量とは異なる第2車両状態量を
推定する推定手段であって、センサから推定手段に送信
される信号に異常がない正常期間中は、その正常期間中
にセンサから送信される信号を使用して第2車両状態量
を推定し、センサから推定手段に送信される信号に異常
がある異常期間中は、その異常期間中にセンサから送信
される信号を使用しないで第2車両状態量を推定する推
定手段とを含む車両状態量取得装置が提供される。
【0007】この請求項1の発明に係る車両状態量取得
装置においては、センサから推定手段に送信される信号
に異常がある異常期間中は、推定手段により、その異常
期間中にセンサから送信される信号を使用しないで第2
車両状態量が推定される。したがって、この請求項1の
発明によれば、第1車両状態量を表す異常な信号に起因
する第2車両状態量の推定精度低下が抑制され、車両状
態量取得装置の信頼性が向上するという効果が得られ
る。
【0008】ここで、「第1車両状態量」は例えば、車
両の前輪舵角と後輪舵角とヨーレイトと横加速度と車速
との少なくとも一つとすることができ、また、「第2車
両状態量」は例えば、車両の車体スリップ角と車体スリ
ップ角速度との少なくとも一つとすることができる。ま
た、「センサから推定手段に送信される信号に異常があ
る」場合とは、推定手段にセンサが直接に接続される場
合には、センサに異常がある場合と、センサから推定手
段に信号が送信される際にその信号に異常が生じた場合
とを含む意味であり、また、推定手段が別の装置を経由
してセンサに間接に接続される場合には、さらに、その
別の装置に異常がある場合をも含む意味である。
【0009】請求項2の発明によれば、請求項1の車両
状態量取得装置であって、前記推定手段が、前記異常期
間中は、その異常期間に先行する正常期間中に最後に前
記センサから推定手段に送信された信号により表される
第1車両状態量を固定値として使用し、その固定値に基
づいて第2車両状態量を推定する手段を含む車両状態量
取得装置が提供される。
【0010】したがって、この請求項2の発明によれ
ば、異常期間中は、その異常期間に先行する正常期間中
に正常に取得された第1車両状態量に基づいて第2車両
状態量が推定され、しかも、その正常期間中に取得され
た第1車両状態量が固定値として使用されて第2車両状
態量が推定されるから、異常期間中において推定される
第2車両状態量が、真の値から大きく外れることも、み
だりに変動することも抑制される。よって、この請求項
2の発明によれば、異常期間中でも第2車両状態量を一
応の精度で、しかも、安定した精度で推定可能となると
いう効果が得られる。
【0011】請求項3の発明によれば、請求項1の車両
状態量取得装置であって、前記センサが、前記車両の前
輪舵角と後輪舵角との少なくとも一方である舵角を前記
第1車両状態量として検出し、その舵角を表す舵角信号
を送信する舵角センサを含み、前記推定手段が、その舵
角センサに接続され、その舵角センサから送信された舵
角信号により表される舵角に基づき、車両の車体スリッ
プ角と車体スリップ角速度との少なくとも一方である車
体スリップ角関連量を前記第2車両状態量として推定す
る車体スリップ角関連量推定手段であって、舵角センサ
から車体スリップ角関連量推定手段に送信される舵角信
号に異常がない正常期間中は、その正常期間中に送信さ
れた舵角信号により表される舵角と、その正常期間中に
おける車両のヨーレイトおよび車速とに基づき、車両の
舵角とヨーレイトと車速と車体スリップ角関連量との間
の関係を利用して車体スリップ角関連量を推定し、舵角
センサから車体スリップ角関連量推定手段に送信される
舵角信号に異常がある異常期間中は、その異常期間中に
おける車両の横加速度,車速およびヨーレイトに基づ
き、車両の横加速度と車速とヨーレイトと車体スリップ
角関連量との間の関係を利用して車体スリップ角関連量
を推定する車体スリップ角関連量推定手段を含む車両状
態量取得装置が提供される。
【0012】したがって、この請求項3の発明によれ
ば、異常期間中、舵角を固定値として使用する代わり
に、舵角とは別の車両状態量であって車両運動の実際の
変化に対応して変化する可変値を使用し、その車両状態
量に基づいて車体スリップ角関連量が推定されるから、
舵角が固定値として使用されて車体スリップ角関連量が
推定される場合に比較し、異常期間中における車両運動
の実際の変化がより正確に車体スリップ角関連量の推定
値に反映可能となるという効果が得られる。
【0013】この請求項3の発明の望ましい一形態にお
いては、前記車体スリップ角関連量推定手段が、正常期
間中は、その正常期間中における車両の舵角と車両のヨ
ーレイトと車速とに基づき、車両の舵角とヨーレイトと
車速と車体スリップ角関連量との間の関係を利用し、そ
れら各車両状態量に対する微分操作も積分操作も伴わな
いオブザーバによって車体スリップ角関連量を推定し、
異常期間中は、その異常期間中における車両の横加速
度,車速およびヨーレイトに基づき、車両の横加速度と
車速とヨーレイトと車体スリップ角関連量との間の関係
を利用して車体スリップ角関連量を推定する。ここで、
オブザーバとは、現代制御理論の一つであって、検出可
能な入出力情報によって駆動されるある確定的な線形動
的システムにおいて、状態変数のうち情報が直接得られ
ない部分を検出可能な変数(システムの出力)から推定
することにより、全状態変数を推定する理論をいう。
【0014】請求項4の発明によれば、左右前輪と左右
後輪とを有する車両を制御するシステムであって、(1)
左右後輪の舵角を検出し、その実後輪舵角を表す後輪舵
角信号を送信する後輪舵角センサと、(2) 左右後輪を操
舵するために作動させられる後輪操舵アクチュエータ
と、(3) それら後輪舵角センサと後輪操舵アクチュエー
タとに接続され、後輪舵角センサから送信された後輪舵
角信号により表される実後輪舵角が目標後輪舵角となる
ように後輪操舵アクチュエータを制御する後輪舵角コン
トローラと、(4) 左右前輪と左右後輪との少なくとも一
方である制御左右輪のブレーキを作動させるブレーキア
クチュエータと、(5) 後輪舵角センサとブレーキアクチ
ュエータとに接続され、制御左右輪間における制動力差
を制御するためにブレーキアクチュエータを制御するブ
レーキコントローラであって、(a)後輪舵角センサから
送信された後輪舵角信号に基づき、車両の車体スリップ
角と車体スリップ角速度との少なくとも一方である車体
スリップ角関連量を推定する車体スリップ角関連量推定
手段であって、後輪舵角センサからブレーキコントロー
ラに送信される後輪舵角信号に異常がない正常期間中
は、その正常期間中に後輪舵角センサから送信される後
輪舵角信号を使用して車体スリップ角関連量を推定し、
後輪舵角センサからブレーキコントローラに送信される
後輪舵角信号に異常がある異常期間中は、その異常期間
中に後輪舵角センサから送信される後輪舵角信号を使用
しないで車体スリップ角関連量を推定するものと、(b)
推定された車体スリップ角関連量に基づき、ブレーキコ
ントローラがブレーキアクチュエータを制御するための
ブレーキ制御モードを決定するブレーキ制御モード決定
手段とを有するブレーキコントローラとを含む車両制御
システムが提供される。
【0015】この請求項4の発明に係る車両制御システ
ムにおいては、後輪舵角センサから送信される後輪舵角
信号に異常がある異常期間中は、車体スリップ角関連量
推定手段により、その異常期間に後輪舵角センサから送
信される後輪舵角信号を使用しないで車体スリップ角関
連量が推定され、ブレーキ制御モード決定手段により、
その推定された車体スリップ角関連量に基づいてブレー
キ制御モードが決定される。
【0016】したがって、この請求項4の発明によれ
ば、実後輪舵角を表す異常な信号に起因する車体スリッ
プ角関連量の推定精度低下が抑制され、その結果、車両
挙動安定性制御の信頼性が向上するという効果が得られ
る。
【0017】ここで、「ブレーキコントローラ」は、後
輪舵角センサに直接に接続される場合や、後輪舵角コン
トローラを経て間接に接続される場合がある。後者の場
合、後輪舵角コントローラは、後輪舵角センサから送信
された後輪舵角信号をそのままブレーキコントローラに
送信するものとしたり、その後輪舵角信号に対応する信
号として、後輪舵角コントローラにおいて演算された目
標後輪舵角を表す信号をブレーキコントローラに送信す
るものとすることができる。後輪舵角コントローラにお
いては、実後輪舵角が目標後輪舵角となるようにブレー
キアクチュエータが制御されるため、実後輪舵角と目標
後輪舵角とは本来、互いに一致すべきものであるからで
ある。また、「車体スリップ角関連量推定手段」は、請
求項2の発明におけると同様に、異常期間中は、その異
常期間に先行する正常期間中に最後に後輪舵角センサか
らブレーキコントローラに送信された後輪舵角信号を使
用して車体スリップ角関連量を推定する形態とすること
ができる。また、「車体スリップ角関連量推定手段」
は、請求項3の発明におけると同様にして車体スリップ
角関連量を推定する形態とすることもできる。さらに、
「車体スリップ角関連量推定手段」は、異常期間中は、
左右後輪が中立位置にあると仮定し、実後輪舵角が0で
あるとして車体スリップ角関連量を推定する形態とする
こともできる。
【0018】なお、本発明によれば次のような車両制御
システムも提供される。すなわち、車両に設けられ、そ
の車両の運動の状態を表す車両状態量を取得し、その取
得値に基づいて車両の運動を制御する車両制御装置を複
数有するとともに、それら車両制御装置が、車両の運動
の制御量を他の車両制御装置によって取得された車両状
態量をパラメータの一つとして使用して決定し、その決
定された制御量に基づいて車両の運動を制御する依存型
車両制御装置を含む車両制御システムにおいて、その依
存型車両制御装置が、前記他の車両制御装置により取得
される車両状態量が正確である場合には、その取得値を
使用して前記制御量を決定し、不正確である場合には、
その取得値を使用しないで制御量を決定する制御量決定
手段を含む車両制御システムも提供されるのである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施の
形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の一実施
形態は、車両の前輪舵角δf と後輪舵角δr とヨーレイ
トγと車速Vとをそれぞれ第1車両状態量としてセンサ
により検出するとともに、それら検出値に基づいて車両
の車体スリップ角βと車体スリップ角速度β′とをそれ
ぞれ第2車両状態量として推定する車両状態量取得装置
であり、この装置は、後輪舵角制御装置と車両挙動安定
性制御装置とを備えた車両制御システムに設けられてい
る。
【0020】この車両制御システムは図1に示す後輪駆
動式4輪車両に搭載されている。この車両においては、
運転者によって回転操作されるステアリングホイール1
0がパワーアシスト機能付きの前輪操舵機構12を介し
て非駆動輪である左右前輪14に連携させられており、
ステアリングホイール10の操舵角(回転操作角)θに
応じて駆動輪である左右前輪14の舵角δf が機械的に
変化させられる。左右後輪22には後輪操舵アクチュエ
ータ24が後輪操舵機構26を介して連携させられてお
り、左右後輪22の舵角δr が電気的に変化させられ
る。
【0021】後輪舵角制御装置は図2に示すように後輪
舵角コントローラ30を備えている。後輪舵角コントロ
ーラ30は、CPU32,ROM34およびRAM36
を含むコンピュータ38を主体として構成されている。
この後輪舵角コントローラ30の入力側には、操舵角セ
ンサ40,車速センサ42,ヨーレイトセンサ44およ
び後輪舵角センサ46が接続されている。操舵角センサ
40は、運転者によるステアリングホイール10の操舵
角θを車両右旋回を正、左旋回を負として検出する。車
速センサ42は車両の走行速度である車速Vを検出す
る。ヨーレイトセンサ44は車両のヨーレイトγを車両
右旋回を正、左旋回を負として検出する。後輪舵角セン
サ46は後輪舵角δr を車両右旋回を正、左旋回を負と
して検出する。一方、後輪舵角コントローラ30の出力
側には、前記後輪操舵アクチュエータ24が接続されて
いる。
【0022】本実施形態においては、後輪操舵アクチュ
エータ24が、駆動源としてモータを有し、また、後輪
舵角センサ46が、そのモータの回転角を無接触で(例
えばホール素子等で)検出する回転角センサ(相対位置
センサ)と、後輪操舵機構26において後輪22の転舵
角に応じて車両左右方向に変位するステアリングバーの
軸方向位置を有接触で(例えばポテンショメータ等で)
検出する軸方向位置センサ(絶対位置センサ)とを有す
る。そして、後輪操舵アクチュエータ24のモータをフ
ィードバック制御する際に使用されるのが回転角センサ
であり、その回転角センサの脱調を是正するために回転
角センサの原点調整をしたり、実後輪舵角δr を検出す
るために使用されるのが軸方向位置センサである。ただ
し、後輪舵角センサ46は、それら回転角センサと軸方
向位置センサとのいずれかのみとして、後輪操舵アクチ
ュエータ24のフィードバック制御と実後輪舵角δr
検出との双方を行うことができる。また、後輪操舵アク
チュエータ24は、駆動源として液圧源を有するものと
することもできる。
【0023】ROM34には、図3にフローチャートで
表されている異常判定ルーチンが予め記憶されている。
後輪舵角制御装置は、センサ40〜46,後輪操舵アク
チュエータ24および後輪舵角コントローラ30のいず
れかにでも異常があれば、作動を中止するように設計さ
れており、本ルーチンは、センサ40〜46,後輪操舵
アクチュエータ24および後輪舵角コントローラ30の
いずれかにでも異常があるか否かを判定するために設け
られている。本ルーチンは繰り返し実行される。各回の
実行時にはまず、ステップS1(以下、単に「S1」で
表す。他のステップについても同じとする。)におい
て、後輪舵角制御に必要なセンサ40〜46に異常があ
るか否かが判定される。例えば、後輪舵角センサ46の
異常判定は次のようにして行われる。前記回転角センサ
については、その回転角センサから出力される3相
(U,V,W)信号の各々のレベルが前記モータが回転
中であるにもかかわらず異常に長い時間変化しないか否
かを判定したり、3相信号の各レベルにより表される励
磁パターンが前回信号と今回信号との間で変化する場合
のその変化の仕方が異常であるか否かを判定することに
より、異常判定が行われる。一方、前記軸方向位置セン
サについては、回転角センサが正常である場合に、その
回転角センサにより検出された回転角の一定時間あたり
の変化量と、軸方向位置センサにより検出された軸方向
位置の一定時間あたりの変化量との対応関係が異常であ
るか否かを判定することにより、異常判定が行われる。
【0024】今回はいずれかのセンサ40〜46に異常
があると仮定すれば、S1の判定がYESとなり、S2
において、ONで後輪舵角制御装置に異常があることを
示し、OFFで異常がないことを示す異常フラグがON
にされる。なお、異常フラグは、車両の電源投入に伴っ
てOFFにされる。さらに、このステップにおいては、
後輪舵角制御装置に異常があることを示す異常信号が前
記車両挙動安定性制御装置に送信される。以上で本ルー
チンの一回の実行が終了する。
【0025】これに対し、今回はいずれのセンサ40〜
46にも異常がないと仮定すれば、S1の判定がNOと
なり、S3において、後輪操舵アクチュエータ24に異
常があるか否かが判定される。今回は異常があると仮定
すれば、判定がYESとなり、S2において、異常フラ
グがONにされるとともに、異常信号が送信されるが、
今回は異常がないと仮定すれば、判定がNOとなり、S
4に進む。このS4においては、後輪舵角コントローラ
30に異常があるか否かが判定される。今回は異常があ
ると仮定すれば、判定がYESとなり、S2において、
異常フラグがONにされるとともに、異常信号が送信さ
れるが、今回は異常がないと仮定すれば、判定がNOと
なり、S5において、異常フラグをOFFにする信号が
出力される。もちろん、このステップにおいては、異常
信号が車両挙動安定性制御装置に送信されない。以上で
本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0026】ROM34にはさらに、図4にフローチャ
ートで表されている後輪舵角制御ルーチンも予め記憶さ
れている。本ルーチンは、前記異常フラグがOFFであ
り、後輪舵角制御装置に異常がない場合に実行され、そ
れにより、後輪舵角制御が実行される。なお、後輪舵角
制御装置は、それに異常が発生すると、実後輪舵角δ r
をその異常発生時における値で保持するように設計され
ている。この後輪舵角制御は、 δr * =K1 ・δf +K2 ・γ なる式を用いて目標後輪舵角δr * を演算し、それが実
現されるように後輪操舵アクチュエータ24を制御する
前輪舵角比例式かつヨーレイトフィードバック式であ
る。この式において、前輪舵角δf は操舵角θに基づい
て決定される。また、K1 は、車速Vが大きいほど絶対
値が大きくなる常に負の制御ゲイン、K2 は、車速Vが
大きいほど絶対値が大きくなる常に正の制御ゲインであ
る。
【0027】すなわち、後輪舵角制御装置は、車両が横
風を受けたり、車両が摩擦係数が左右で異なるまたぎ路
を走行するなどして車両に外乱が入力された場合に、運
転者による修正操舵を待つことなく実ヨーレイトγに基
づいて自動的に実後輪舵角δ r を制御するように設計さ
れているのであり、この意味において後輪舵角制御装置
はアクティブ型と称される。
【0028】図4の後輪舵角制御ルーチンは以下のよう
に実行される。まず、S11において、センサ40〜4
6から信号が取り込まれ、次に、S12において、それ
ら信号に基づき、前輪舵角δf ,車速V,ヨーレイトγ
および実後輪舵角δr がそれぞれ演算される。次に、S
13において、それら演算値と前記式とに基づいて目標
後輪舵角δr * が演算される。具体的には、車速Vに基
づくゲインK1 およびK2 と前輪舵角δf とヨーレイト
γとがそれぞれ前記式に代入されることによって目標後
輪舵角δr * が演算される。
【0029】続いて、S14において、今回が前記異常
フラグがON状態からOFF状態に移行した直後である
か否か、すなわち、後輪舵角制御装置が異常から復帰し
た直後であるか否かが判定される。今回は、異常から復
帰した直後ではないと仮定すれば、判定がNOとなり、
S15において、S13において演算された目標後輪舵
角δr * を実現するための駆動信号が後輪操舵アクチュ
エータ24に対して出力される。以上で本ルーチンの一
回の実行が終了する。
【0030】これに対し、今回が後輪舵角制御装置が異
常から復帰した直後であると仮定すれば、S14の判定
がYESとなり、S16〜S21により、本来の目標後
輪舵角δr * とは異なる補助的な目標後輪舵角δr *
演算され、実後輪舵角δr が緩やかに変化して本来の目
標後輪舵角δr * に接近するようにされる。異常からの
復帰直後における本来の目標後輪舵角δr * と実後輪舵
角δr との差が基準偏差Δδr0とされ、異常からの復帰
直後における実後輪舵角δr が基準舵角δr0とされ、補
助的な目標後輪舵角δr * が、基準舵角δr0と、0から
基準偏差Δδr0に向かって一定ピッチで変化する制御偏
差Δδr との和として演算されるのである。
【0031】具体的には、まず、S16において、S1
3において演算された目標後輪舵角δr * (本来の目標
後輪舵角δr * )から実後輪舵角δr を引き算すること
によって基準偏差Δδr0が演算され、これがRAM36
に記憶される。次に、S17において、実後輪舵角δr
が基準舵角δr0としてRAM36に記憶される。その
後、S18において、制御偏差Δδr が0から上記基準
偏差Δδr0に向かって一定ピッチで変化させられつつ、
S19およびS20が、制御偏差Δδr の現在値が基準
偏差Δδr0に一致してS21の判定がYESとなるまで
繰り返される。S19においては、補助的な目標後輪舵
角δr * が基準舵角δr0と制御偏差Δδrとの和として
演算され、S20においては、その補助的な目標後輪舵
角δr * を実現するための駆動信号が後輪操舵アクチュ
エータ24に対して出力される。このS16〜S21の
実行が終了した後に、再び本ルーチンが実行されれば、
今回は異常からの復帰直後ではないため、S14の判定
がNOとなり、S15により、本来の目標後輪舵角δr
* が実現されるように後輪操舵アクチュエータ24が制
御されることになる。
【0032】車両挙動安定性制御装置は、車両旋回時に
車両にドリフトアウトまたはスピンする傾向が現れた場
合に実際にドリフトアウトまたはスピンが発生しないよ
うに車両のヨーモーメントを制御し、これによって車両
の挙動を安定化させる。具体的には、車両挙動安定性制
御装置は、車両非制動時に左右輪独立にブレーキを作動
させて制動力左右差を発生させ、車両に発生している予
定外のヨーモーメントを打ち消すのに適当なヨーモーメ
ントを車両に発生させて車両の挙動を安定化させる。こ
の車両挙動安定性制御装置は、制動力左右差を図5に示
すマニュアル−電気制御二系統式のブレーキシステムに
よって発生させる。以下、そのブレーキシステムの構成
を詳細に説明するが、このブレーキシステムは図示しな
いアンチロック制御装置およびトラクション制御装置に
よっても使用されるものであるため、アンチロック制御
およびトラクション制御に必要な要素も付加されてお
り、それについても併せて説明する。なお、ここに、ア
ンチロック制御とは、車両制動時に車輪がロックしない
ように車輪のブレーキ圧を制御することをいい、一方、
トラクション制御とは、車両駆動時に駆動輪がスピンし
ないように駆動輪のブレーキ圧を制御することをいう。
【0033】このブレーキシステムは、マスタシリンダ
60を備えている。マスタシリンダ60は、互いに独立
した2個の加圧室を直列に備えたタンデム型であり、ブ
レーキ操作部材としてのブレーキペダル62の踏力が液
圧ブースタ64によって倍力されて入力され、それに応
じた高さの液圧をそれら加圧室にそれぞれ発生させる。
一方の加圧室は主通路66によって左右前輪14のブレ
ーキシリンダ68にそれぞれ接続されている。主通路6
6は加圧室から延び出た後に二股状に分岐させられ、1
本の基幹部分と2本の分岐部分とから構成されている。
2本の分岐部分の各々には、電磁方向切換弁であるマス
タシリンダカット弁70が設けられている。マスタシリ
ンダカット弁70は、常には、各ブレーキシリンダ68
をマスタシリンダ60に接続するが、車両挙動安定性制
御時とアンチロック制御時とにはマスタシリンダ60か
ら遮断し、各々電磁液圧制御弁としての電磁開閉弁であ
る増圧弁72と減圧弁74とにそれぞれ接続する。増圧
弁72は電磁方向切換弁である電気制御液圧源選択弁7
6に接続されている。電気制御液圧源選択弁76は、常
には、増圧弁72を液圧ブースタ64を経由してリザー
バ80に接続するが、車両挙動安定性制御時にはリザー
バ80から遮断して電気制御液圧源82に接続する。し
たがって、車両挙動安定性制御時には電気制御液圧源8
2によって左右前輪14のブレーキシリンダ68が作動
させられる。一方、減圧弁74は前記リザーバ80に接
続されている。
【0034】マスタシリンダ60の他方の加圧室は主通
路86によって左右後輪22のブレーキシリンダ68に
それぞれ接続されている。主通路86も前記主通路66
と同様に、加圧室から延び出た後に二股状に分岐させら
れ、1本の基幹部分と2本の分岐部分とから構成されて
いる。1本の基幹部分にはプロポーショニングバルブ
(図において「P/V」と略記する)90が設けられて
いる。プロポーショニングバルブ90はよく知られてい
るように、マスタシリンダ60の液圧が折れ点以下であ
る領域ではマスタシリンダ60の液圧をそのまま左右後
輪22のブレーキシリンダ68に伝達するが、折れ点を
超えた領域ではマスタシリンダ60の液圧を一定比率で
減圧して左右後輪22のブレーキシリンダ68に伝達す
る。1本の基幹部分のうちプロポーショニングバルブ9
0に対してマスタシリンダ60の側とは反対側の部分に
は、電磁方向切換弁であるマスタシリンダカット弁92
が設けられている。マスタシリンダカット弁92は、常
には、ブレーキシリンダ68をマスタシリンダ60に接
続するが、車両挙動安定性制御時とトラクション制御時
とにはマスタシリンダ60から遮断して電磁方向切換弁
である電気制御液圧源選択弁94に接続する。その電気
制御液圧源選択弁94は、常には、マスタシリンダカッ
ト弁92を液圧ブースタ64を経由してリザーバ80に
接続するが、車両挙動安定性制御時とトラクション制御
時とにはリザーバ80から遮断して電気制御液圧源82
に接続する。したがって、車両挙動安定性制御時には電
気制御液圧源82によって左右後輪22のブレーキシリ
ンダ68が作動させられる。前記2本の分岐部分の各々
には、電磁液圧制御弁としての電磁開閉弁である増圧弁
72が設けられている。また、各ブレーキシリンダ68
には、電磁液圧制御弁としての電磁開閉弁である減圧弁
74を経て前記リザーバ80が接続されている。電気制
御液圧源82は、作動液を圧力下に蓄えるアキュムレー
タ96,リザーバ80から作動液を汲み上げてアキュム
レータ96に押し込むポンプ98等から構成されてい
る。ポンプ98の運転状態が図示しないコンピュータに
よって制御され、アキュムレータ96に常に一定液圧範
囲で作動液が蓄えられる。
【0035】車両挙動安定性制御装置は、図6に示すよ
うに、ブレーキコントローラ110を備えている。この
ブレーキコントローラ110は、CPU112,ROM
114およびRAM116を含むコンピュータ118を
主体として構成されている。
【0036】このブレーキコントローラ110の入力側
には、前記操舵角センサ40,車速センサ42およびヨ
ーレイトセンサ44と、圧力センサ122と、ブレーキ
スイッチ124とがそれぞれ接続されている。圧力セン
サ122は、各ブレーキシリンダ68の液圧を検出す
る。ブレーキスイッチ124は、ブレーキペダル62の
踏込みの有無を検出する。一方、ブレーキコントローラ
110の出力側には、前記マスタシリンダカット弁7
0,92および電気制御液圧源選択弁76,94と、ブ
レーキアクチュエータ130としての増圧弁72および
減圧弁74とがそれぞれ接続されている。
【0037】ブレーキコントローラ110は、車体スリ
ップ角βと車体スリップ角速度β′とに基づいてブレー
キアクチュエータ130を制御し、それにより、左右輪
間における制動力差を制御するが、車体スリップ角βと
車体スリップ角速度β′とはセンサによる直接的な検出
が困難である。したがって、ブレーキコントローラ11
0は、センサによる直接的な検出が容易である車両状態
量、すなわち、操舵角センサ40により検出される操舵
角θと、車速センサ42により検出される車速Vと、ヨ
ーレイトセンサ44により検出されるヨーレイトγと、
後輪舵角センサ46により検出される実後輪舵角δr
に基づいて車体スリップ角βと車体スリップ角速度β′
とをそれぞれ推定する。車体スリップ角βの符号は、車
両右旋回が正、左旋回が負とされている。操舵角θと車
速Vとヨーレイトγとについては、それぞれを表す信号
が各センサ40〜44から直接にブレーキコントローラ
110に送信されるのに対し、実後輪舵角δr について
は、それを表す後輪舵角信号が後輪舵角センサ46から
後輪舵角コントローラ30を経由して送信される。その
ため、ブレーキコントローラ110の入力側には、図6
に示すように、後輪舵角コントローラ30も接続されて
いる。すなわち、ブレーキコントローラ110と後輪舵
角コントローラ30と後輪操舵アクチュエータ24と後
輪舵角センサ24との関係を取り出して示せば、図7に
示すものとなるのである。
【0038】ブレーキコントローラ110のROM11
4には、図8にフローチャートで表されているブレーキ
制御ルーチンが予め記憶されている。本ルーチンにおい
ては、まず、S101において、操舵角センサ40,車
速センサ42およびヨーレイトセンサ44からそれぞれ
信号が取り込まれ、次に、S102において、それら信
号に基づき、前輪舵角δf ,車速Vおよびヨーレイトγ
がそれぞれ演算される。続いて、S103において、セ
ンサ異常判定処理が行われる。センサ40〜44に異常
があるか否かが判定され、さらに、異常があると判定さ
れたセンサ40〜44については、そのセンサ40〜4
4により検出されるべき車両状態量が、そのセンサ40
〜44に異常がないとの判定中に最後に検出された値と
される。その後、S104において、後輪舵角コントロ
ーラ30から後輪舵角信号が受信される。本実施形態に
おいては、後輪舵角コントローラ30は、後輪舵角セン
サ46のうち前記軸方向位置センサにより検出された実
後輪舵角δr を表す信号を後輪舵角信号としてブレーキ
コントローラ110に送信するように設計されている。
ただし、前記回転角センサにより実後輪舵角δr を検出
してそれを表す信号を後輪舵角信号として送信するよう
に設計することもできる。また、実後輪舵角δr に代え
て目標後輪舵角δr * を表す信号を後輪舵角信号として
送信することもできる。後輪舵角制御装置に異常がない
限り、実後輪舵角δr と目標後輪舵角δr * とは十分に
一致するからである。
【0039】続いて、S105において、後輪舵角コン
トローラ30から異常信号を受信したか否かが判定され
る。今回は異常信号を受信していないと仮定すれば、判
定がNOとなり、S106において、後輪舵角信号の送
信に異常があるか否かが判定される。ブレーキコントロ
ーラ110は、後輪舵角信号を送信した後輪舵角制御装
置に異常がある場合には、車体スリップ角βと車体スリ
ップ角速度β′とをそれぞれ精度よく推定することがで
きないのはもちろんであるが、たとえ後輪舵角制御装置
に異常がなくても、後輪舵角コントローラ30とブレー
キコントローラ110との間における後輪舵角信号の送
信に異常が発生した場合にも、車体スリップ角βと車体
スリップ角速度β′とをそれぞれ精度よく推定すること
ができないからである。この異常判定は例えば、シリア
ルデータとして送信される後輪舵角信号に対していわゆ
るミラーチェックを行うことによって行うことができ
る。
【0040】今回は送信に異常がないと仮定すればS1
06の判定もNOとなり、S107において、前輪舵角
δf と車速Vとヨーレイトγと実後輪舵角δr とに基づ
き、車体スリップ角βと車体スリップ角速度β′とがそ
れぞれ演算される。車両に対して2自由度モデルを想定
すれば、そのモデルにおいては、前輪舵角δf と車速V
とヨーレイトγとヨー角加速度γ′と実後輪舵角δr
車体スリップ角βと車体スリップ角速度β′との間に、
下記の2式で表される関係が成立する。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】ただし、 Cf :フロント等価コンナリングパワー Cr :リヤ等価コーナリングパワー m :車両の質量 Lf :フロント車軸−重心間距離 Lr :リヤ車軸−重心間距離 I :車両のヨー慣性モーメント そして、このS107においては、それら2式に基づい
て車体スリップ角βと車体スリップ角速度β′とがそれ
ぞれ演算される。本実施形態においては、車体スリップ
角βおよび車体スリップ角速度β′が微分操作も積分操
作も伴わないオブザーバにより推定される。具体的に
は、車両の平面運動に関して、車体スリップ角βとヨー
レイトγとをそれぞれ状態変数X、前輪舵角δf と後輪
舵角δr とをそれぞれ入力変数U、ヨーレイトγを出力
変数Yとする可観測な線形時不変システムが想定され、
その線形時不変システムに対してオブザーバが想定さ
れ、そのオブザーバによって車体スリップ角βおよび車
体スリップ角速度β′がそれぞれ推定されるのである。
ここに、その線形時不変システムは、下記のように記述
される。
【0044】
【数3】
【0045】ただし、車体スリップ角βおよび車体スリ
ップ角速度β′は、同じ状態方程式に基づき、出力を逐
次微分する状態推定法により推定することも可能であ
る。
【0046】その後、S108において、推定された車
体スリップ角βと車体スリップ角速度β′とに基づいて
車両挙動の安定度が判定され、S109において、ブレ
ーキ制御が必要であるか否かが判定され、ブレーキ制御
が必要である場合には、S110において、ブレーキ制
御モードが選択される。本実施形態においては、車両挙
動の安定度を判定するために、図9に示すように、横軸
に車体スリップ角β、縦軸に車体スリップ角速度β′が
それぞれ取られた座標面が想定されている。この座標面
は、 β/a+β′/b=1+s なる式(ただし、a,b,sはいずれも正の定数)で表
される直線(図において上側の直線)と、 −β/a−β′/b=1+s なる式で表される直線(図において下側の直線)とによ
ってまず3つの大領域に仕切られ、さらに、それら3つ
の大領域のうち上側の大領域と下側の大領域とがそれぞ
れさらに、3つの小領域A,BおよびCに仕切られてい
る。小領域A,BおよびCは、上側の大領域と下側の大
領域とのいずれについても、A,BおよびCの順に中央
の大領域から遠ざかるようにされている。そして、その
座標面上において車体スリップ角βの今回演算値と車体
スリップ角速度β′の今回演算値とによって規定される
点(以下、「車両挙動安定度表示点」という。)が中央
の大領域内にあれば、車両挙動が安定しているから、ブ
レーキ制御が不要であると判定され、これに対して、車
両挙動安定度表示点が上側の大領域または下側の大領域
内にあれば、車両挙動が不安定であるから、ブレーキ制
御が必要であると判定される。さらに、ブレーキ制御が
必要であると判定された場合には、車両挙動安定度表示
点が小領域A内にあれば、左右輪間における制動力差が
標準より緩やかに増加するように、ブレーキ圧の制御モ
ードとして緩増圧モードが選択され、小領域B内にあれ
ば、左右輪間における制動力差が標準的な速度で増加す
るように、ブレーキ圧の制御モードとして標準増圧モー
ドが選択され、小領域C内にあれば、左右輪間における
制動力差が標準より素早く増加するように、ブレーキ圧
の制御モードとして急増圧モードが選択される。したが
って、S108において、車体スリップ角βの今回演算
値と車体スリップ角速度β′の今回演算値とに基づき、
車両挙動安定度表示点がいずれの領域内に存在するか否
かが判定されることによって車両挙動の安定度が判定さ
れる。その後、S109において、車両挙動安定度表示
点が上側の大領域または下側の大領域にあるか否かが判
定されることにより、ブレーキ制御が必要であるか否か
が判定される。今回は車両挙動安定度表示点が中央の大
領域にあるから、ブレーキ制御が必要ではないと仮定す
れば、判定がNOとなり、S110〜S112がスキッ
プされて本ルーチンの一回の実行が終了する。これに対
し、今回は車両挙動安定度表示点が上側または下側の大
領域にあるから、ブレーキ制御が必要であると仮定すれ
ば、S109の判定がYESとなり、S110におい
て、車両挙動安定度表示点が存在する領域に応じでブレ
ーキ制御モードが選択される。緩増圧モードと標準増圧
モードと急増圧モードの中から適当なものが選択される
のである。その後、S111において、左右前輪14お
よび左右後輪22のうち、上記選択されたブレーキ制御
モードでブレーキ圧を制御すべき制御対象車輪が選択さ
れる。具体的には、まず、前輪舵角δf および車速Vに
基づき、車両が定常円旋回運動をしていると仮定した場
合に車両に発生するヨーレイトが目標ヨーレイトγ *
して演算される。次に、その目標ヨーレイトγ* から実
ヨーレイトγを引き算した値がヨーレイト偏差Δγとし
て演算される。その後、そのヨーレイト偏差Δγと実ヨ
ーレイトγとの積が演算され、その積の符号が正であれ
ば、車両にドリフトアウト傾向が発生していると判定さ
れ、負であれば、車両にスピン傾向が発生していると判
定される。続いて、車両にドリフトアウト傾向が発生し
た場合には、左右後輪22のうち旋回内側のものが制御
対象車輪に選択され、一方、車両にスピン傾向が発生し
た場合には、左右前輪14のうち旋回外側のものが制御
対象車輪に選択される。その後、S112において、増
圧弁72等に駆動信号が出力される。選択された制御対
象車輪のブレーキ圧が前記選択されたブレーキ制御モー
ドで変化させられるように、前記圧力センサ122によ
って各ブレーキシリンダ68の実際の液圧を監視しつ
つ、増圧弁72等の制御によりブレーキ制御が行われる
のである。以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0047】ただし、このブレーキ制御ルーチンは、車
両挙動安定性制御中にブレーキスイッチ124によりブ
レーキ操作を検出した場合には、直ちに車両挙動安定性
制御を中止し、各輪のブレーキシリンダ68がマスタシ
リンダ60によって作動させられる通常ブレーキ状態に
復帰させる。
【0048】以上、ブレーキコントローラ110が後輪
舵角コントローラ30から異常信号を受信せず、しか
も、後輪舵角信号の送信に異常がない場合を説明した
が、ブレーキコントローラ110が後輪舵角コントロー
ラ30から異常信号を受信したためにS105の判定が
YESとなるか、または、後輪舵角信号の送信に異常が
あるためにS106の判定がYESとなった場合には、
S113において、実後輪舵角δr の今回値が前回値に
等しい値に保持される。その後、S107において、そ
の実後輪舵角δr に基づいて車体スリップ角βおよび車
体スリップ角速度β′が演算され、結局、それら車体ス
リップ角βおよび車体スリップ角速度β′は、実後輪舵
角δr の値が正常である期間中における最後の値を用い
て演算されることになるのである。
【0049】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、操舵角センサ40,車速センサ42,ヨ
ーレイトセンサ44および後輪舵角センサ46が請求項
1の発明における「センサ」の一例であり、ブレーキコ
ントローラ110のうち同図のS103〜S107およ
びS113を実行する部分が請求項1の発明における
「推定手段」の一例なのである。また、ブレーキコント
ローラ110のうち同図のS103〜S107およびS
113を実行する部分が請求項2の発明における「手
段」の一例なのである。また、ブレーキコントローラ1
10のうち同図のS104〜S107およびS113を
実行する部分が請求項4の発明における「車体スリップ
角関連量推定手段」の一例であり、ブレーキコントロー
ラ110のうち同図のS108〜S112を実行する部
分が請求項4の発明における「ブレーキ制御モード決定
手段」の一例なのである。
【0050】別の実施形態を図10および図11に基づ
いて説明する。ただし、本実施形態は先の実施形態に対
し、後輪舵角センサ46とブレーキコントローラ110
との接続関係とブレーキ制御ルーチンとについて異な
り、他の要素については共通するため、共通する要素に
ついては同一の符号を使用することによって詳細な説明
を省略し、異なる要素についてのみ詳細に説明する。
【0051】図10には、後輪操舵アクチュエータ24
と後輪舵角コントローラ30と後輪舵角センサ46とブ
レーキコントローラ210との接続関係がブロック図で
示されている。先の実施形態においては、後輪舵角セン
サ46が後輪舵角コントローラ30を経由してブレーキ
コントローラ210に接続されていたが、本実施形態に
おいては、後輪舵角センサ46が後輪舵角コントローラ
30とブレーキコントローラ210とにそれぞれ直接に
接続されている。
【0052】図11には、そのブレーキコントローラ2
10のコンピュータにより実行されるブレーキ制御ルー
チンがフローチャートで表されている。以下、本ルーチ
ンの内容を説明するが、先の実施形態におけるブレーキ
制御ルーチン(図8)と共通するステップについては簡
単に説明する。
【0053】本ルーチンにおいては、まず、S201に
おいて、前記S101と同様に、操舵角センサ40,車
速センサ42およびヨーレイトセンサ44からそれぞれ
信号が取り込まれ、次に、S202において、前記S1
02と同様に、それら信号に基づき、前輪舵角δf ,車
速Vおよびヨーレイトγがそれぞれ演算される。続い
て、S203において、前記S103と同様に、センサ
異常判定処理が行われる。その後、S204において、
前記S104と同様に、後輪舵角コントローラ30から
後輪舵角信号が受信される。続いて、S205におい
て、前記S105と同様に、後輪舵角コントローラ30
から異常信号を受信したか否かが判定される。後輪舵角
センサ46に異常がある場合には、必ず、後輪舵角コン
トローラ30が異常信号を送信するから、本実施形態に
おいては、後輪舵角コントローラ30から異常信号を受
信したか否かを判定することによって、後輪舵角センサ
46に異常があるか否かを判定するのである。今回は異
常信号を受信しなかったと仮定すれば判定がNOとな
り、以下、S206〜S211が、前記S107〜S1
12と同様に実行され、以上で本ルーチンの一回の実行
が終了する。
【0054】これに対し、後輪舵角コントローラ30か
ら異常信号を受信したためにS205の判定がYESと
なった場合には、後輪舵角センサ46に異常が発生した
可能性があるため、S212において、前記S113と
同様に、実後輪舵角δr の今回値が保持されて前回値と
等しくされる。その後、S206〜S210が実行さ
れ、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0055】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、操舵角センサ40,車速センサ42,ヨ
ーレイトセンサ44および後輪舵角センサ46が請求項
1の発明における「センサ」の一例であり、ブレーキコ
ントローラ210のうち同図のS203〜S206およ
びS212を実行する部分が請求項1の発明における
「推定手段」の一例なのである。また、ブレーキコント
ローラ210のうち同図のS203〜S206およびS
212を実行する部分が請求項2の発明における「手
段」の一例なのである。また、ブレーキコントローラ2
10のうち同図のS204〜S206およびS212を
実行する部分が請求項4の発明における「車体スリップ
角関連量推定手段」の一例であり、ブレーキコントロー
ラ210のうち同図のS207〜S211を実行する部
分が請求項4の発明における「ブレーキ制御モード決定
手段」の一例なのである。
【0056】さらに別の実施形態を図12および図13
に基づいて説明する。ただし、本実施形態は最も先の実
施形態に対し、車両挙動安定性制御装置の電気的構成と
ブレーキ制御ルーチンについて異なり、他の要素につい
ては共通するため、共通する要素については同一の符号
を使用することによって詳細な説明を省略し、異なる要
素についてのみ詳細に説明する。
【0057】図12には、車両挙動安定性制御装置の電
気的構成が示されており、センサとして横加速度センサ
300が追加されている。横加速度センサ300は、車
両の重心点における横加速度を車両左方向を正、右方向
を負として検出する。図13には、ブレーキコントロー
ラ310のコンピュータ118により実行されるブレー
キ制御ルーチンがフローチャートで表されている。以
下、本ルーチンを説明するが、図8のブレーキ制御ルー
チンと共通するステップについては簡単に説明する。
【0058】本ルーチンにおいては、まず、S301に
おいて、前記S101と同様に、操舵角センサ40,車
速センサ42およびヨーレイトセンサ44からそれぞれ
信号が取り込まれ、次に、S302において、前記S1
02と同様に、それら信号に基づき、前輪舵角δf ,車
速Vおよびヨーレイトγがそれぞれ演算される。続い
て、S303において、前記S103と同様に、センサ
異常判定処理が行われる。その後、S304において、
前記S104と同様に、後輪舵角コントローラ30から
後輪舵角信号が受信される。続いて、S305におい
て、前記S105と同様に、後輪舵角コントローラ30
から異常信号を受信したか否かが判定される。今回は異
常信号を受信しなかったと仮定すれば判定がNOとな
り、S306において、前記S106と同様に、後輪舵
角信号の送信に異常があるか否かが判定される。今回は
送信に異常がないと仮定すれば、判定がNOとなり、S
307において、車体スリップ角βと車体スリップ角速
度β′とがそれぞれ推定される。最も先の実施形態と同
様に、微分操作も積分操作も伴うことなくオブザーバに
より車体スリップ角βと車体スリップ角速度β′とがそ
れぞれ推定されるのである。その後、S308〜S31
2が、前記S108〜S112と同様に実行され、以上
で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0059】これに対し、後輪舵角コントローラ30か
ら異常信号を受信したためにS305の判定がYESと
なるか、または、後輪舵角信号の送信に異常が発生した
ためにS306の判定がYESとなった場合には、S3
13において、前記S307とは異なる手法、すなわ
ち、実後輪舵角δr を使用しない手法によって車体スリ
ップ角βと車体スリップ角速度β′とがそれぞれ推定さ
れる。車両のヨー運動については、車体スリップ角速度
β′と横加速度Gy と車速Vとヨーレイトγとの間に、 β′=Gy /V−γ なる式で表される関係が成立する。そして、この式に基
づいて車体スリップ角速度β′が推定され、さらに、そ
の車体スリップ角速度β′が時間に関して積分されるこ
とによって車体スリップ角βが推定される。その後、S
308〜S312が、前記S108〜S112と同様に
実行され、以上で本ルーチンの一回の実行が終了する。
【0060】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、ブレーキコントローラ310のうち図1
3のS304〜S307およびS313を実行する部分
が請求項2の発明における「車体スリップ角関連量推定
手段」の一例なのである。
【0061】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、この他にも特許請求の範
囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の
変形,改良を施した形態で本発明を実施することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である車両状態量取得装置
を含む車両制御システムが搭載される4輪車両の操舵機
構を示す平面図である。
【図2】その車両制御システムにおける後輪舵角制御装
置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図2のROMに記憶されている異常判定ルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図4】そのROMに記憶されている後輪舵角制御ルー
チンを示すフローチャートである。
【図5】車両に搭載され、上記車両制御システムにおけ
る車両挙動安定性制御装置により使用されるマニュアル
−電気制御二系統ブレーキシステムを示す系統図であ
る。
【図6】上記車両挙動安定性制御装置の電気的構成を示
すブロック図である。
【図7】上記実施形態における後輪操舵アクチュエータ
と後輪舵角センサと後輪舵角コントローラとブレーキコ
ントローラとの接続関係を示すブロック図である。
【図8】図6のROMに記憶されているブレーキ制御ル
ーチンを示すフローチャートである。
【図9】図8のS108の内容を説明するためのグラフ
である。
【図10】本発明の別の実施形態である車両状態量取得
装置を含む車両制御システムにおける後輪操舵アクチュ
エータと後輪舵角センサと後輪舵角コントローラとブレ
ーキコントローラとの接続関係を示すブロック図であ
る。
【図11】図10のブレーキコントローラ210のコン
ピュータにより実行されるブレーキ制御ルーチンを示す
フローチャートである。
【図12】本発明のさらに別の実施形態である車両状態
量取得装置を含む車両制御システムにおける車両挙動安
定性制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図13】図12におけるROMに記憶されているブレ
ーキ制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
24 後輪操舵アクチュエータ 30 後輪舵角コントローラ 46 後輪舵角センサ 110,210,310 ブレーキコントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B62D 101:00 113:00 137:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の運動の状態を表す車両状態量を取得
    する装置であって、 第1車両状態量を検出し、その第1車両状態量を表す信
    号を送信するセンサと、 そのセンサに接続され、そのセンサから送信された信号
    に基づき、前記第1車両状態量とは異なる第2車両状態
    量を推定する推定手段であって、センサから推定手段に
    送信される信号に異常がない正常期間中は、その正常期
    間中にセンサから送信される信号を使用して第2車両状
    態量を推定し、センサから推定手段に送信される信号に
    異常がある異常期間中は、その異常期間中にセンサから
    送信される信号を使用しないで第2車両状態量を推定す
    る推定手段とを含む車両状態量取得装置。
  2. 【請求項2】請求項1の車両状態量取得装置であって、
    前記推定手段が、前記異常期間中は、その異常期間に先
    行する正常期間中に最後に前記センサから推定手段に送
    信された信号により表される第1車両状態量を固定値と
    して使用し、その固定値に基づいて第2車両状態量を推
    定する手段を含む車両状態量取得装置。
  3. 【請求項3】請求項1の車両状態量取得装置であって、 前記センサが、前記車両の前輪舵角と後輪舵角との少な
    くとも一方である舵角を前記第1車両状態量として検出
    し、その舵角を表す舵角信号を送信する舵角センサを含
    み、 前記推定手段が、その舵角センサに接続され、その舵角
    センサから送信された舵角信号により表される舵角に基
    づき、前記車両の車体スリップ角と車体スリップ角速度
    との少なくとも一方である車体スリップ角関連量を前記
    第2車両状態量として推定する車体スリップ角関連量推
    定手段であって、舵角センサから車体スリップ角関連量
    推定手段に送信される舵角信号に異常がない正常期間中
    は、その正常期間中に送信された舵角信号により表され
    る舵角と、その正常期間中における前記車両のヨーレイ
    トおよび車速とに基づき、車両の舵角とヨーレイトと車
    速と車体スリップ角関連量との間の関係を利用して車体
    スリップ角関連量を推定し、舵角センサから車体スリッ
    プ角関連量推定手段に送信される舵角信号に異常がある
    異常期間中は、その異常期間中における車両の横加速
    度,車速およびヨーレイトに基づき、車両の横加速度と
    車速とヨーレイトと車体スリップ角関連量との間の関係
    を利用して車体スリップ角関連量を推定する車体スリッ
    プ角関連量推定手段を含む車両状態量取得装置。
  4. 【請求項4】左右前輪と左右後輪とを有する車両を制御
    するシステムであって、 前記左右後輪の舵角を検出し、その実後輪舵角を表す後
    輪舵角信号を送信する後輪舵角センサと、 前記左右後輪を操舵するために作動させられる後輪操舵
    アクチュエータと、 それら後輪舵角センサと後輪操舵アクチュエータとに接
    続され、後輪舵角センサから送信された後輪舵角信号に
    より表される実後輪舵角が目標後輪舵角となるように後
    輪操舵アクチュエータを制御する後輪舵角コントローラ
    と、 前記左右前輪と左右後輪との少なくとも一方である制御
    左右輪のブレーキを作動させるブレーキアクチュエータ
    と、 前記後輪舵角センサと前記ブレーキアクチュエータとに
    接続され、前記制御左右輪間における制動力差を制御す
    るためにブレーキアクチュエータを制御するブレーキコ
    ントローラであって、 (a) 前記後輪舵角センサから送信された後輪舵角信号に
    基づき、前記車両の車体スリップ角と車体スリップ角速
    度との少なくとも一方である車体スリップ角関連量を推
    定する車体スリップ角関連量推定手段であって、後輪舵
    角センサからブレーキコントローラに送信される後輪舵
    角信号に異常がない正常期間中は、その正常期間中に後
    輪舵角センサから送信される後輪舵角信号を使用して車
    体スリップ角関連量を推定し、後輪舵角センサからブレ
    ーキコントローラに送信される後輪舵角信号に異常があ
    る異常期間中は、その異常期間中に後輪舵角センサから
    送信される後輪舵角信号を使用しないで車体スリップ角
    関連量を推定するものと、 (b) 推定された車体スリップ角関連量に基づき、前記ブ
    レーキコントローラが前記ブレーキアクチュエータを制
    御するためのブレーキ制御モードを決定するブレーキ制
    御モード決定手段とを有するブレーキコントローラとを
    含む車両制御システム。
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