JPH1014718A - エアークッション - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 着座時等に身体の体重で形成された体の形状
に倣って長時間安定保持し、集中荷重を防ぎ、長時間着
座しても身体、例えば仙骨、座骨結節部に痛みを生じる
ことなく、褥瘡予防効果があるクッション。 【解決手段】 使用目的に応じて予め所定の形状に作ら
れているウレタンフオームからなるクッション材１の外
表面部にペーストレジンを含浸被覆させてクッション材
１の外表面に体重を掛けた時体の形に倣った形状に変形
保持する程度の厚みを有する被覆層２を設け、かつ上記
該クッション材１が体重を掛けた時体の形に倣った形状
にするための空気抜き手段３を設けたエアークッション
である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は車椅子を使用する
障害者、高齢者等使用者が使用するベッド、車椅子、枕
等に使用するに適したエアークッションに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のクッションとして、ウレ
タンフォームの全体を気体透過性の少ない合成樹脂フィ
ルム、すなわち塩化ビニール樹脂、或いはウレタン系樹
脂等のフィルムをウレタンフォームの上下面に被せて周
囲を溶着、縫着等で袋状として、これを車椅子の座布団
として使用し、障害者、高齢者等が着席するのに使用し
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この従来のクッション
では、ウレタンフォームが柔らかいために、障害者、高
齢者等使用者が座ったり、頭を載せたりすると、体重で
ウレタンフォームが潰れて体の形、頭、首の形に倣って
保持することができず、障害者、高齢者等が長時間着席
するとき、臀部の仙骨部分等に体重が集中して痛くな
り、長時間の就寝では身体の背中、腰等に床擦れができ
る等問題があった。また、ウレタンフォームの枕に凹凸
を設けても頭を載せると圧縮されて凹凸が潰れたように
なるため、指圧効果も少なくなり不都合であった。

【０００４】この発明者はウレタンフォームの表面に直
接塩化ビニール樹脂、可塑剤、充填剤、顔料等をゾル化
したペーストレジンを含浸して表面に所要の可撓性を有
する被覆層を設け、ウレタンフォームより着座時に体重
の加圧でエアーを抜き、障害者、高齢者等が着座時等に
ウレタンフォームを身体の体重で形成された身体形状に
倣った形に変形して身体を受け、長時間安定保持して集
中荷重を防止し、着座時等に身体にかかる体重を和ら
げ、褥瘡予防効果があり、また形状を保持できることで
指圧効果も発揮できることを見出した。そこで、この発
明はクッション材の表面に塩化ビニール樹脂等からなる
ゾル化したペーストレジンを含浸させて被覆層を形成
し、エアーバルブで着座時体重による加圧分だけエアー
を抜き、クッション材の弾性とエアーとの作用で褥瘡予
防効果をあげ、障害者、高齢者等が長時間着座、就寝し
ても痛みを生じないようにし、また形状により指圧効果
ももたらしうるエアークッションを提供することを目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１は使
用目的に応じて予め所定形状に作られているウレタンフ
ォームからなるクッション材１の表面部にゾル化したペ
ーストレジンを含浸被覆させてクッション材１の外表面
に体重を掛けた時体の形に倣った形状に変形保持する程
度の厚みを有する被覆層２を設け、かつ上記クッション
材１が体重を掛けた時体の形に倣った形状に変形するた
めの空気抜き手段３を設けたものである。

【０００６】請求項２の発明は上記被覆層２が粉末塩化
ビニール樹脂、可塑剤、充填剤、顔料、含浸粘度調整剤
からなるものである。

【０００７】請求項３の発明は前記クッション材１の内
部に体重の分散を図るための空洞部又は低反発性ウレタ
ンフォームを備えたものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】この発明の実施の形態はクッショ
ン材１のウレタンフォームの表面全体に粉末塩化ビニー
ル樹脂、可塑剤、充填剤、顔料からなるゾルに含浸粘度
調整剤を配合して粘度を調整しゾル化したものをウレタ
ンフォーム１の表面部の気泡の１乃至３層に含浸させク
ッションの外表面に体重を掛けた時体の形に倣った形状
に変形保持する厚みが０．１乃至１．０ｍｍ程度の被覆
層２を一体形成し、そのクッション材１に体重を掛けた
時エアーを抜く空気抜き手段３としてエアーバルブ３を
設け、着座時に体重の圧力に相応する分だけエアーをコ
ントロールしてクッション材が適正に凹み、その凹んだ
状態でエアーバルブ３のバルブを閉めることにより、ク
ッション材の被覆層の作用とクッション材内部のエアー
の作用でクッション材は凹んだ形状に長時間安定保持で
き、従って、障害者、高齢者等が車椅子に着席或いはベ
ッドに就寝時に長時間着座、就寝しても身体等が痛くな
ることがなく、褥瘡予防効果をあげることができる。

【０００９】前記クッション材１のウレタンフォームの
内部の１又は複数箇所に空洞部、或いは低反発性ウレタ
ンフォームを設けて荷重の分散化を図り、表面部に前記
ペーストレジンによる被覆層２を一体形成することによ
り着座時に臀部の形に倣った形状に型どり、臀部の仙
骨、両座骨結節部の当たる部分を柔らかく受けて体重を
クッション材の凹んだ部分の全面で分散して受けること
ができる。また、枕等の場合、ウレタンフォームの上面
等に凹凸を設けて、前記被覆層によりその凹凸の形状を
保持できるので、頭を載せた時には頸椎に集中する神経
系統や筋に対する血流の流れを妨げず、自然に指圧の効
果をもたらすことができる。

【００１０】

【実施例】以下にこの発明を図面に示す実施例に基づい
て説明する。図１において、１は軟質ウレタン発泡体、
高弾性発泡体のクッション材で、予め所定形状に形成し
たウレタンフォームである。実施例では車椅子の座席に
使用するに適した四角形のクッション材を示したが、こ
れに限るものではなく、車椅子の他の椅子や自動車の座
席、ベッド、枕等に適した形状に形成する。

【００１１】２は粉末塩化ビニール樹脂、ＤＯＰ，ＤＯ
Ａ等の可塑剤、炭酸カルシウム等充填剤、顔料、合成ス
メクタイト（商品名）等の含浸粘度調整剤を下記の表１
の配合条件で、所定の配合粘度とし、表２の成形条件で
クッション材１の表面部に形成した厚さ０．１乃至１．
０ｍｍの被覆層である。すなわち、表１に示す実施例１
乃至実施例４の配合条件で配合してゾル化し、配合粘度
を２００００乃至４００００ＣＰＳとし、この溶液にウ
レタンフォームを入れるか、或いは表面全体にスプレー
又はハケ塗り等によりウレタンフォームのエアー抜き部
位を除く外表面全面にコーテングし、下記の表２に示す
成形条件の加熱温度、加熱時間で加熱してクッション材
１の表面部の気泡の１層乃至３層に含浸硬化して厚さ
０．１乃至１．０ｍｍの被覆層を形成し、着座時の体重
等により形成される体の形に倣った凹みを或時間その形
状のままに変形保持しうるようにする。

【００１２】

【表１】

【００１３】

【表２】

【００１４】図１乃至図４において、３はウレタンフォ
ーム１の側面に設けるエアーバルブで、着座時等に体の
形に倣った形状に変形するためエアーの一部を抜くよう
にする。実施例のエアーバルブ３は蓋７を回わして押し
込んでバルブを閉止し、又蓋７を回わして引出してバル
ブを開くようにしてある。エアーバルブはこの構造にこ
れに限られるものではなく、エアーノズルに栓体を嵌脱
するものでもよい。実施例ではクッション材１のエアー
バルブ３を除く外表面に被覆層２を一体形成してエアー
クッションとしてある。エアーバルブ３はクッション材
１に予め接着材等で取付け、そのエアーバルブを除く外
表面にゾル化したペーストレジンを含浸被覆させるか、
或いは外表面にゾル化したペーストレジンを含浸被覆さ
せたクッション材に後でエアーバルブ等空気抜き手段を
取付けても良い。又、クッション材にエアー抜きパイプ
を設け、そのパイプにエアーバルブを接続してもよい。

【００１５】この実施例によれば、エアーバルブ３の開
放時には、ウレタンフォーム１に空気が自然に入って元
の復元状態にあり、使用者が着座した時、エアーバルブ
３より一部の空気が抜けて身体に倣った凹みとなった所
で、エアーバルブ３を閉じ、ウレタンフォーム１の弾性
とウレタンフォーム内部に残るエアー、被覆層２の変形
保持作用との相乗効果で身体の体重を受け止めるので、
エアークッションを身体の形に倣った形に長時間保持で
きる。このエアークッションはエアーバルブ３を開け
ば、元の形に戻る。また、実施例ではエアーバルブを側
面１箇所に設けてあるが、これに限られるものではな
く、また、布団の場合にはウレタンフォーム１を複数個
連続して設け、各ウレタンフォームにエアーバルブを取
付ける。

【００１６】前記クッション材１として、座ったとき仙
骨、両座骨結節部の当たる箇所に図３に示すように内部
に空洞部４を設け、或いは図４に示すように内部に低反
発性ウレタンフォーム５を設けたウレタンフォームを使
用して荷重を分散しうる構造とし、このウレタンフォー
ムの表面に前記被覆層２を形成することにより、身体の
仙骨、両座骨結節部の当たる部位を凹みやすくして臀部
に痛みを生ずることなく受けるようにする。

【００１７】上記した発明のエアークッションＡは図７
に示すように車椅子、ベッド、枕に使用する時は例えば
合成樹脂フィルム、繊維製カバーＢで被包して使用す
る。繊維製カバーとして表裏の２枚の地組織を連結部に
よって結合して３層構造とした繊維の表面に吸湿性と放
湿性を有しかつ抗菌性を兼ね備えた高吸放湿性繊維を織
性した弾性を有する繊維で作製し、これを前記エアーク
ッションにかぶせれば、エアークッションの作用とカバ
ーの作用の相乗効果により座り心地良く、しかも高吸放
湿性、抗菌性、防臭性に優れ、むれることがなく、より
一層の褥瘡予防ができる。

【００１８】図８において、６は枕のクッション材１の
表面に設けた凹凸で、身体、頭等を載せた時、その凹
凸、或いは突起が自然に指圧効果を発揮できる構造と
し、これに前記被覆層２を形成することにより、凹凸面
の形状を保持して頭部を載せた時、重みで凹むが頸椎に
集中する神経系統や筋に対する血流の流れを妨げず、後
頭部、首筋等に指圧効果を付与しつつ、また頭の形に倣
った凹みとなって安定して就寝できる。

【００１９】

【発明の効果】この発明の請求項１の発明によれば、ク
ッション材のウレタンフォームの空気抜き手段を除き全
体の表面部にゾル化したペーストレジンを含浸被覆させ
体重を掛けた時体の形に倣った形状に変形保持する程度
の厚みの被覆層を一体形成し、かつエアー抜き手段でク
ッション材内部のエアーを抜くことができるので、着座
時に体重の掛かり方に応じて体の形に倣った形状にエア
ーをコントロールしてクッション材が適正に凹み、その
状態でエアー抜き手段のバルブ又は栓体を閉めてクッシ
ョン材の内部にエアーを適切な量だけ残し、クッション
材の弾性作用、被覆層の変形保持作用とエアーの保持力
との相乗効果でクッション材は身体の形に倣って凹んだ
形状に長時間安定保持でき、障害者、高齢者等使用者が
長時間着座、就寝するも身体、例えば仙骨、両座骨結節
部が痛くなることなく、褥瘡予防効果をあげることがで
きる。また、障害者、高齢者等が車椅子等を利用する
時、その人が一度座った形状を保つので、座る度毎にエ
アーを抜く必要がなく、同じ形状を保つこてができるの
で、着座に便利であり、他の人が使用する時は、バルブ
又は栓体を開いて座り再度栓体又はバルブを閉じるだけ
でその人に合った形にできて使用勝手が良い。

【００２０】請求項２の発明によれば、クッション材の
表面にペーストレジンを含浸させて０．１乃至１．０ｍ
ｍ程度の被覆層を一体に形成でき、クッション材の被覆
層の変形保持作用とエアーの調整でクッション材は身体
の形に倣って凹んだ形状に長時間安定保持できる。

【００２１】請求項３の発明によれば、前記クッション
材の、ウレタンフォームの内部に空洞部あるいは低反発
性ウレタンフォームを設けて荷重の分散化を図り、前記
ウレタンフォームの弾性作用、被覆層の作用とエアーの
調整による相乗作用で、障害者、高齢者等が車椅子等に
長時間座っても仙骨、両座骨結節部が痛くなるのを防ぐ
ことができ、より一層の褥瘡予防効果をあげることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のエアークッションの一部破断した斜
視図である。

【図２】同断面図である。

【図３】使用時の変形状態のエアークッションの断面図
である。

【図４】ウレタンフォームに空洞部を設けた斜視図であ
る。

【図５】同断面図である。

【図６】ウレタンフォームに低反発性ウレタンフォーム
を設けた断面図である。

【図７】この発明のエアークッションをカバーで覆った
斜視図である。

【図８】ウレタンフォームの表面に凹凸を設けた枕の断
面図である。

【符号の説明】

１…クッション材、２…被覆層、３…エアーバルブ、４
…空洞部、５…低反発性ウレタンフォーム、６…凹凸。

【表１】

【表２】

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】使用目的に応じて予め所定形状に作られて
   いるウレタンフォームからなるクッション材（１）の表
   面部にゾル化したペーストレジンを含浸被覆させてクッ
   ション材（１）の外表面に体重を掛けた時体の形に倣っ
   た形状に変形保持する程度の厚みを有する被覆層（２）
   を設け、かつ上記クッション材（１）が体重を掛けた時
   体の形に倣った形状に変形するための空気抜き手段
   （３）を設けたことを特徴とするエアークッション。
2. 【請求項２】上記被覆層（２）が粉末塩化ビニール樹
   脂、可塑剤、充填剤、顔料、含浸粘度調整剤からなる請
   求項１記載のエアークッション。
3. 【請求項３】前記クッション材（１）の内部に体重の分
   散を図るための空洞部又は低反発性ウレタンフォームを
   備えた請求項１記載のエアークッション。