JPH1014474A - 鳥害防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 取り付け施工性が良く、市街地の景観を損な
うことなく、かつ送電線の向きに対応できる市街地にお
ける送電線の鳥害防止に適した鳥害防止装置を提供す
る。 【解決手段】 電柱の送電線支持部に配設されている送
電線や碍子へのカラス等による鳥害を防止する鳥害防止
装置であって、該送電線支持部や電線に着脱自在に固着
する固着具に支持部材を取り付け、また該支持部材の先
端または中間部に先端が自由端である揺動自在の絶縁性
細線を該電線の上方で、かつ該送電線の長さ方向に沿っ
て取り付けた手段を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鳥害防止装置に係り、
より詳細には、電柱の送電線支持部に配設した電線や碍
子へのカラスその他の鳥（特に、カラス）の排泄物被害
や、電線への接触事故を防止する鳥害防止装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、市街地での送電事故には、鳥（殆
どが、カラス）による鳥害事故が多く発生している。か
かる事故は、殆どが、電柱の電線支持部（アーム）に配
設した電線や碍子にカラスが止まって排泄した際、該排
泄物が電線や碍子に付着し、また該カラスがくわえてき
た鉄線が隣接する電線間に接触し、あるいはカラス自身
が電線間を短絡することによるショート原因や、該電線
や碍子の耐久性の低下に起因している。

【０００３】ところで、高圧送電線鉄塔におけるカラ
ス、鳩等の鳥の営巣防止等の鳥害防止装置としては、種
々のものが提案されている。すなわち、 鉄塔の送電線支持部に複数個の支持部材を取り付
け、該支持棒間にロープを張設し、カラス等の鳥が電線
や碍子に止まるのを防止する構成、 送電線支持部（アーム先端）に支持部材を取り付
け、該支持部材を中心にして放射状（垂れ柳状）に設け
たステンレス製細線材を回転自在に風車状に取り付け
て、鳥が鉄塔に止まらないようにした構成、 送電線支持部（アーム先端）にステンレス製の針山
を設け、鳥が鉄塔に止まらないようにした構成、 送電線支持部付近に止まり木を別途設けて、該個所
にカラス等の鳥を誘導するようにした構成、等が提案さ
れている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの鳥害
防止装置は、いずれも高圧送電線鉄塔でのカラス等の鳥
の営巣防止や、飛来鳥防止に主眼を置いたものであるた
め、次のような課題がある。すなわち、 ロープを張設する装置にあっては、取り付け施工性
に難がある。すなわち、市街地においては、特に、設置
工事を短時間で行う必要があるが、この装置にあって
は、支持部材を少なくとも２本取り付け、該支持部材間
にロープを張設する必要があるので、その作業性に難が
ある。 針山、風車を設ける装置にあっては、耐久性はある
もの、ステンレス製で形成されているため、風等によっ
て、碍子等に接触してショートを誘因したり、騒音の原
因となり、また数多く設置する必要があるので、作業性
が劣ると共に、市街地の美観を損なうおそれがある。ま
た、補修工事を行う際の邪魔になる。 別途の止まり木を設ける装置の場合、該止まり木に
カラス等の鳥を十分に誘因できるとは限らない。 また、これらの装置にあっては、電柱から種々の向
きに送電線が張設されている市街地においては、十分に
対応できない。 等の課題がある。

【０００５】本発明は、上述したような課題に対処して
創作したものであって、その目的とする処は、取り付け
施工性が良く、市街地の景観を損なうことなく、かつ送
電線の向きに対応できる市街地における送電線の鳥害防
止に適した鳥害防止装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そして、上記課題を解決
するための手段としての本発明の請求項１の鳥害防止装
置は、電柱の送電線支持部に配設されている送電線や碍
子へのカラス等による鳥害を防止する鳥害防止装置であ
って、該送電線支持部や送電線に着脱自在に固着する固
着具に支持部材を取り付け、また該支持部材の先端また
は中間部に先端が自由端である揺動自在の絶縁性細線を
該電線の上方で、かつ該送電線の長さ方向に沿って取り
付けてなることを特徴とする。

【０００７】請求項２の鳥害防止装置は、前記請求項１
の装置において、前記絶縁性細線が、前記支持部材に対
して傾倒自在に取り付けてあることを特徴とする。請求
項３の鳥害防止装置は、前記請求項１または２の装置に
おいて、前記支持部材が、前記固着具に対して傾倒自在
に取り付けてあることを特徴とする。請求項４の鳥害防
止装置は、前記請求項１〜３の何れかの装置において、
前記固着具が、クリップ状固着具であって、該固着具に
対して支持部材が立設してあることを特徴とする。

【０００８】本発明の鳥害防止装置は、市街地における
電柱の送電線支持部や、送電線に着脱自在に固着して、
鳥害を防止する装置であって、支持部材の先端または中
間部に取り付けた、該送電線の上方で、かつ該送電線の
長さ方向に沿う先端が自由端である揺動自在の絶縁性細
線が、鳥が飛来して止まろうとすると、該鳥自身との接
触で揺動し、また、複数個設置する場合は、送電線の上
方に並んだ状態となるため、該送電線の上方に一本の線
が配置してあるかの景観をかもし出す。

【０００９】ここで、前記絶縁性細線としては、ＦＲ
Ｐ、ポリカーボネート、アクリル、その他の強度を保有
した合成樹脂の線材が好ましい。この線材の長さとして
は、全長が、０．５ｍ〜２ｍ程度のものを用い、通常、
支持部材を中心にして、送電線長さ方向（張設方向）に
０．２５ｍ〜１ｍの長さとした形態が好ましい。この長
さが長すぎると、該細線が送電線に接触したり、また反
対に短すぎると、細線の強度が強くなりすぎて、揺動性
が低下することになる。

【００１０】

【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
の請求項１の鳥害防止装置によれば、先端が自由端であ
る揺動自在の絶縁性細線を、送電線の上方で、かつ該送
電線の長さ方向に沿って着脱自在に取り付けているの
で、該絶縁性細線によって、該送電線にカラス等の鳥が
止まるのを防止でき、また該絶縁性細線が風によって揺
動したり、折曲、折落した場合であっても、該細線が絶
縁性材料からなるので、ショート事故を起こすおそれを
防止できるという効果を有する。更に、送電線支持部材
あるいは送電線に着脱するだけの作業で取り付けができ
るので、その施工性が良く、また、複数個取り付ける場
合であっても、送電線の上方に絶縁性細線が一本の線と
して並んだ形態となるので、市街地の景観を損なうこと
ないという効果を有する。

【００１１】請求項２の鳥害防止装置によれば、絶縁性
細線が、支持部材に対して傾倒自在に取り付けてあるの
で、該絶縁性細線を送電線補修作業や、この装置の取り
付け作業を行う際に、支持部材に対して立設状態とする
ことができ、その作業性を良好にできるという効果を有
する。また請求項３の鳥害防止装置によれば、支持部材
が、固着具に対して傾倒自在に取り付けてあるので、送
電線補修作業を行う際に、送電線や碍子の上方から外す
ことができ、その作業性を良好にできるという効果を有
する。請求項４の鳥害防止装置によれば、クリップ状固
着具であって、該固着具に対して支持部材が立設してあ
るので、送電線に直接固着することが簡単であり、その
取り付け、取り外し作業を良好にできるという効果を有
する。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明を具体化した好ましい実施の形態について説明する。
ここに、図１〜図３は、本発明の一実施形態を示し、図
１は鳥害防止装置を取り付けた状態の斜視図、図２は鳥
害防止装置の正面図と側面図、図３は絶縁性細線を支持
部材に対して起立した状態の正面図である。

【００１３】本実施例の鳥害防止装置は、市街地の電柱
に張設されている送電線や碍子における鳥害防止装置で
あって、概略すると、図１に示すように、電柱１の送電
線支持部２の碍子３を介して配設されている送電線４に
取り付ける固着具５と、この固着具５に立設されている
支持部材６、および支持部材６の先端または中間部に送
電線４の長さ方向（張設方向）に沿う絶縁性細線７とか
らなる。

【００１４】固着具５は、送電線４を固着するためのク
リップ状固着具であって、上面に立設した支持部材６
と、送電線４を挟持するクリップ本体部８を有してい
る。クリップ本体部８は、中央の割り溝９を介して左右
に固定片１０と開閉片１１を有している。割り溝９に
は、固定片１０に開閉片１１を係止した際、送電線４を
挟み込んで保持する孔１２を上下方向に形成している。
固定片１０の下端部には、開閉片１１を係止するための
溝１３が形成してあり、開閉片１１には、この溝１３と
係合する係止部１１ａが形成してある。このクリップ状
固着具は、開閉片１１を固定片１０に係止するためにあ
る程度の強度と弾性を保持したエポキシ樹脂その他の合
成樹脂で形成している。しかし、クリップとしての作用
を発揮するものであれば、他の材質、ステンレス、アル
ミニウム等であってもよい。但し、送電線に取り付ける
場合は、絶縁性材料で形成することが好ましい。

【００１５】支持部材６は、固着具５に立設してあり、
合成樹脂製の棒体あるいはパイプで形成してある。支持
部材６の先端部または中間部には、絶縁性細線７を取り
付けための細線取付部１４が設けてある。この支持部材
６の細線取付部１４は、その位置を上下方向に移動でき
る形態とすることもできる。すなわち、支持部材６を形
成する棒体に細線取付部１４を嵌合等して、これを任意
高さに移動させることができる。この形態とすること
で、送電線４、碍子３と絶縁性細線７の間隔を調整でき
る。

【００１６】絶縁性細線７は、支持部材６の細線取付部
１４から送電線４の長さ方向（張設方向）に延びてい
る。本実施形態においては、送電線４の長さ左右方向に
延びているが、一方向にのみ取り付けた形態でもよい。
この絶縁性細線７は、ＦＲＰ、ポリカーボネート、アク
リル、その他の強度を保有した合成樹脂の線材を用いて
いて、全長が、０．５ｍ〜２ｍ程度としている。そし
て、送電線４の両方向に延びる場合は、細線取付部１４
を中心にして、送電線長さ方向（張設方向）に０．２５
ｍ〜１ｍの長さとしている。この長さが長すぎると、該
細線が送電線に接触したり、また反対に短すぎると、細
線の強度が強くなりすぎて、揺動性が低下することにな
る。この絶縁性細線７は、図３に示すように、起立でき
る形態とすることが好ましい。この起立できる形態とし
た場合、送電線作業その他、種々の作業を行うのに邪魔
にならず便利である。そして、このような作業が終了し
た後、再び、図２の状態に復帰させることになる。

【００１７】本実施形態の鳥害防止装置は、市街地にお
ける電柱１の送電線支持部２に碍子３を介して張設して
ある送電線４にクリップ状固着具からなる固着具５を着
脱自在に固着する鳥害を防止する装置である。まず、こ
の装置の固着具５を鳥害のある送電線４に着脱自在に取
り付け、固着具５に固着されている支持部材６の先端ま
たは中間部（ここでは，中間部に設けている）の細線取
付部１４に設けてある絶縁性細線７を、送電線４の上方
で、かつ送電線４の長さ方向に沿って、通常、送電線４
と平行に、等間隔に配置する。

【００１８】これによって、送電線４に止まろうとして
飛来してきたカラス等の鳥は、送電線４の上方に位置す
る絶縁性細線７が邪魔し、この絶縁性細線７に止まろう
とすると、絶縁性細線７が揺動し、止まるのを防止す
る。従って、この絶縁性細線７により鳥害を防止できる
ことになる。また、この絶縁性細線７は、絶縁材料で形
成されているため、風等の振動によっても、送電線４を
ショートさせる等の事故を防止できる。

【００１９】なお、本発明は、上述した実施例に限定さ
れるものでなく、本発明の主旨を逸脱してい範囲内で変
形実施できる構成を含む。因みに、前述した実施例にお
いては、絶縁性細線を送電線に固着具を介して着脱自在
に取り付ける構成で説明したが、送電線支持部に取り付
け、碍子や送電線の上方に絶縁性細線に位置するように
してもよい。また、固着具は、前述した形態に限定され
ることなく、送電線や送電線支持部に着脱自在に取り付
けることができる形態であればよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す鳥害防止装置を取り
付けた状態の斜視図である。

【図２】鳥害防止装置の正面図と側面図である。

【図３】絶縁性細線を支持部材に対して起立した状態の
正面図である。

【符号の説明】

１・・・電柱、２・・・送電線支持部、３・・・碍子、
４・・・送電線、５・・・固着具、６・・・支持部材、
７・・・絶縁性細線、８・・・クリップ本体部、９・・
・中央の割り溝、１０・・・固定片、１１・・・開閉
片、１２・・・孔、１３・・・開閉片１１を係止するた
めの溝、１１ａ・・・溝１３と係合する係止部、１４・
・・細線取付部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電柱の送電線支持部に配設されている送
   電線や碍子へのカラス等による鳥害を防止する鳥害防止
   装置であって、該送電線支持部や電線に着脱自在に固着
   する固着具に支持部材を取り付け、また該支持部材の先
   端または中間部に先端が自由端である揺動自在の絶縁性
   細線を該電線の上方で、かつ該送電線の長さ方向に沿っ
   て取り付けてなることを特徴とする鳥害防止装置。
2. 【請求項２】 前記絶縁製細線が、前記支持部材に対し
   て傾倒自在に取り付けてある請求項１に記載の鳥害防止
   装置。
3. 【請求項３】 前記支持部材が、前記固着具に対して傾
   倒自在に取り付けてある請求項１または２に記載の鳥害
   防止装置。
4. 【請求項４】 前記固着具が、クリップ状固着具であっ
   て、該固着具に対して支持部材が立設してある請求項１
   〜３のいずれかに記載の鳥害防止装置。