JPH10143821A - 磁気抵抗効果ヘッド - Google Patents

磁気抵抗効果ヘッド

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JPH10143821A
JPH10143821A JP9058143A JP5814397A JPH10143821A JP H10143821 A JPH10143821 A JP H10143821A JP 9058143 A JP9058143 A JP 9058143A JP 5814397 A JP5814397 A JP 5814397A JP H10143821 A JPH10143821 A JP H10143821A
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magnetic
film
yoke
magnetic yoke
layer
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JP9058143A
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English (en)
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Kazuhiro Saito
和浩 斉藤
Akiko Saito
明子 斉藤
Akihiko Tsudai
昭彦 津田井
Hiroaki Yoda
博明 與田
Hitoshi Iwasaki
仁志 岩崎
Masashi Sahashi
政司 佐橋
Tadahiko Kobayashi
忠彦 小林
Yuichi Osawa
裕一 大沢
Yuzo Kamiguchi
裕三 上口
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヨーク型MRヘッドにおいて、リード形成に
伴うMR膜の特性低下や歩留り低下を抑制する。また、
磁気ヨークに起因するバルクハウゼンノイズを抑制す
る。 【解決手段】 磁気ギャップ25を介して対向配置され
た一対の磁性体層24からなる磁気ヨーク23の基板面
と略平行な平面に沿って、媒体対向面Sから所定距離後
退した位置にMR膜27を配置する。MR膜27は少な
くとも両端部が磁気ヨーク23と磁気的に結合されてい
る。MR膜27にセンス電流を供給する一対のリード2
8は、磁気ヨーク23と共通の磁性体層24により構成
された磁性体リード部29と低抵抗リード部30とを有
している。さらに、磁気ヨークおよびMR膜には、少な
くともヘッド動作時にバイアス磁界が印加される。バイ
アス磁界は例えば電流磁界による。あるいは、磁気ヨー
クは電流磁界を印加しながら熱処理されており、部位に
より異なる磁気異方性が付与されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録再生装置
の再生ヘッド等として使用される磁気抵抗効果ヘッドお
よびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録の高密度化が進み、例え
ばHDDでは800Mb/inch2 というような高密度システム
が実用化されている。HDDの記録密度はさらに高密度
化することが要求されている。このような高記録密度シ
ステムにおける再生ヘッドとしては、ある種の磁性薄膜
や磁性多層薄膜等の電気抵抗が外部磁界によって変化す
るという、いわゆる磁気抵抗効果(以下、MRと記す)
を利用した磁気抵抗効果ヘッド(MRヘッド)が注目さ
れている。
【0003】図44は従来の一般的なシールド型MRヘ
ッドの一構成例を示す図である。同図において、1はA
2 3 ・TiC等からなる基板である。基板1上には
Al2 3 等からなる絶縁下地層2を介して、パーマロ
イ等の軟磁性膜からなる下側のシールド層3が形成され
ている。下側シールド層3上には、再生磁気ギャップを
構成する非磁性膜4を介してMR膜5が形成されてい
る。MR膜5の両端に一対のリード6が接続されて、M
R素子7が構成されている。MR素子7上には、再生磁
気ギャップを構成する非磁性膜8を介して、上側のシー
ルド層9が配置されている。このようなシールド型MR
ヘッドによる信号磁界の検出は、一対のリード6にセン
ス電流を流し、MR膜5の平均磁化方向の変化に伴う抵
抗の変化を測定することにより行われる。
【0004】ところで、上述したようなシールド型MR
ヘッドは、一対のリード6によりトラック幅を規定して
いる。このため、さらなる高密度記録への対応を図るた
めには、リード間距離を短縮しなければならない。これ
により、磁界感受領域はリード間距離の短縮に応じてさ
らに狭くなることになる。このように、シールド型MR
ヘッドでは高密度記録化に限界がある。また、リード6
を形成する際には、リード6となる導電膜を成膜した
後、この導電膜をリード形状にパターニングする必要が
ある。この際に、MR膜5の一部までエッチングされて
しまうおそれが強い。これによって、MR膜5の特性が
低下したり、あるいは製造歩留りが低下するというよう
な問題があった。
【0005】また、奥行き(デプス)加工の際に、MR
膜5が研磨液等に直接接するため、工程中にMR膜5が
腐食するという重大な問題を有していた。そのために、
MRヘッドの媒体対向面等に絶縁性の保護膜を形成する
等の対策が採られてきた。しかし、この方法は線記録密
度の向上に不可欠なヘッドの低浮上化には不向きであ
る。さらに、将来の高密度化技術として期待されている
接触記録方式では、特に媒体対向面が磨耗して保護膜が
消滅するおそれがある。保護膜の磨耗が進行してMR膜
5まで磨耗が進むと、デプス方向の幅が変動してヘッド
出力が変動してしまう。また、ヘッド出力の変動だけで
なく、MR膜5自体が磨耗して消滅してしまうおそれも
ある。このようなことから、MR膜5の摩耗防止対策が
求められている。
【0006】上述したようなシールド型MRヘッドの問
題点を回避するヘッド構造として、図45に示すような
ヘッド内部に配置されたMR素子7に磁気ヨーク10に
より信号磁界を導く、いわゆるヨーク型のMRヘッドが
知られている。このヨーク型MRヘッドにおいては、磁
気ヨーク10の一部となる軟磁性体層11上に磁気ギャ
ップとなる非磁性膜12を介してMR素子7が配置され
ている。また、媒体対向面からMR膜5を介して、ヘッ
ド内部の軟磁性体層11に接続するように、磁気ヨーク
の一部となる軟磁性体13、14が配置されている。
【0007】このような従来のヨーク型MRヘッドにお
いても、リード6の形成工程はシールド型MRヘッドと
同じである。従って、MR膜5に達するエッチングによ
り、特性や歩留り等が低下しやすい。さらに、MR素子
7の形成位置や磁気ヨーク10への接続状態、また磁気
ヨーク10の一部となる軟磁性体13、14とMR膜5
とのアライメント誤差等によって、再生出力が変動しや
すい。このため、特性の揃ったMRヘッドを歩留りよく
製造することが困難であった。
【0008】一方、図46に示すように、基板1上に積
層方向に磁気コア15を設け、その内部にMR素子7を
配置した構造も提案されている。しかし、磁気コア15
の膜厚方向の透磁率はほとんど零であり、さらに磁気コ
ア15の膜厚分だけMR素子7が媒体対向面から後退す
るため、やはり再生出力が低いという問題を有してい
た。さらに、上述した従来のヨーク型MRヘッドは、い
ずれも磁気ヨークやリードの作製工程が複雑になるた
め、低コスト化しづらい。
【0009】加えて、従来のヨーク型MRヘッドは、磁
気ヨークにおけるバルクハウゼンジャンプに起因するノ
イズが生じやすいという問題を有していた。すなわち、
信号磁界により形成される磁気路方向と磁気ヨークの磁
化容易軸とが平行であるような場合には、信号磁界の反
転の際に磁気ヨークの急激な磁化反転(磁化の不連続な
とび)が生じる。この急激な磁化反転は、バルクハウゼ
ンノイズ等の信号ノイズの発生原因となる。
【0010】このような信号ノイズの低減策の一つとし
て、磁気ヨークの磁化容易軸を磁気路方向と直交させる
ことが挙げられる。この際、例えば図46に示した磁気
ヨーク15のように、曲折部を有している磁気ヨークで
は、その各部位において磁気路方向と直交させた磁気異
方性を付与することが望まれる。
【0011】一方、磁気異方性を付与する方法として
は、磁界中成膜や磁界中アニール(熱処理)が知られて
いる。このような磁界中成膜や磁界中アニールにおける
磁界印加手段としては、通常外部コイルが用いられてい
る。しかしながら、外部コイルでは一方向の磁界しか加
えることができない。このため、曲折部を有している磁
気ヨークの全体に対して、磁気路方向と直交させた磁化
容易軸を付与することは実現されていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
のシールド型MRヘッドでは、高密度記録に対応するべ
くリード間距離を短縮すると磁界感受領域が狭くなる。
従って、高密度記録への対応には限界がある。さらに、
リードの形成工程でMR膜までエッチングされてしまう
という問題、MR膜の腐食が生じやすいという問題、M
R膜が磨耗することによりヘッド出力が変動するだけで
なく、MR膜自体が消滅するおそれがあるというような
問題を有していた。
【0013】一方、ヨーク型MRヘッドは、高記録密度
対応のヘッド構造として期待されている。これは、低浮
上化方式や接触方式の記録再生を適用する場合において
も、MR素子の磨耗に伴う問題を回避できるためであ
る。しかし、従来のヨーク型MRヘッドは、シールド型
MRヘッドと同様にリードの形成時にMR膜までエッチ
ングされ、特性や歩留りが低下しやすいという問題を有
していた。加えて、磁気ヨークやリード等の作製工程が
複雑で、低コスト化しずらいという問題を有していた。
【0014】さらに、従来のヨーク型MRヘッドは、磁
気ヨークでの磁区生成や磁化反転に伴って、バルクハウ
ゼンノイズが生じやすいという問題を有していた。この
バルクハウゼンノイズは、例えば磁気ヨークの磁気異方
性制御により低減することが可能である。しかしなが
ら、従来の磁気異方性の付与方法では、曲折部を有する
磁気ヨーク全体の磁化容易軸を、磁気路方向と直交する
方向に制御することは極めて困難であった。また、従来
のヨーク型MRヘッドは、再生出力が小さいという問題
や出力にばらつきが生じやすいというような問題も有し
ていた。
【0015】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、ヨーク型MRヘッドにおいて、リー
ド形成に伴うMR膜の特性低下や歩留り低下を解消する
と共に、磁気ヨークやリード等の作製工程を簡素化して
低コスト化することを可能にした磁気抵抗効果ヘッドを
提供することを目的としている。本発明の他の目的は磁
気ヨークに起因するバルクハウゼンノイズを抑制した磁
気抵抗効果ヘッド、さらには再生出力の向上および再生
出力の変動抑制を実現した磁気抵抗効果ヘッドを提供す
ることにある。さらに、そのような磁気抵抗効果ヘッド
を再現性よくかつ効率的に作製することを可能にした磁
気抵抗効果ヘッドの製造方法を提供することを目的とし
ている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明における第1の磁
気抵抗効果ヘッドは、請求項1に記載したように、基板
と、前記基板上に配置された磁気ヨークと、前記磁気ヨ
ークの媒体対向面側に介在された磁気ギャップと、少な
くとも両端部が前記磁気ヨークと磁気的に結合され、媒
体対向面から所定距離後退した位置に形成された磁気抵
抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜にセンス電流を供給す
る一対のリードとを具備する磁気抵抗効果ヘッドであっ
て、前記一対のリードは前記磁気ヨークと共通の磁性体
層により構成された磁性体リード部を有することを特徴
としている。
【0017】第1の磁気抵抗効果ヘッドにおいて、磁気
抵抗効果膜は特に磁気ヨークの基板の主表面(以下、基
板面と記す)に対して略平行な平面に沿って形成するこ
とが好ましい。
【0018】本発明の第1の磁気抵抗効果ヘッドにおい
ては、磁気抵抗効果膜にセンス電流を供給する一対のリ
ードの少なくとも一部を、磁気ヨークと共通の磁性体層
により構成している。このような磁性体リード部によっ
て、磁気抵抗効果膜に直接接してリードを形成する必要
がなくなる。よって、リード形成に伴う磁気抵抗効果膜
の特性低下や歩留り低下等を防止することができる。さ
らに、磁気抵抗効果膜部分の構造が単純化されるため
に、製造工数や製造コストを低減することができる。磁
気抵抗効果膜の大きさがリードに制限されなくなるた
め、感度の向上を図ることが可能となる。
【0019】第1の磁気抵抗効果ヘッドにおいては、基
板面に沿って平行に磁気ヨークと磁気抵抗効果膜を配置
することによって、磁気抵抗効果膜の配置位置を正確に
制御することできる。これにより、磁気抵抗効果膜を例
えば最低限媒体対向面から後退させた位置に精度よく配
置形成することができる。これは再生出力の低下に対し
て有効である。さらに、再生出力のばらつき等も小さく
することができる。
【0020】本発明の第2の磁気抵抗効果ヘッドは、請
求項3に記載したように、基板と、前記基板の主表面に
沿って配置され、かつ前記基板の主表面に略平行な平面
を有する磁気ヨークと、前記磁気ヨークの媒体対向面側
に介在された磁気ギャップと、少なくとも両端部が前記
磁気ヨークと磁気的に結合され、媒体対向面から所定距
離後退した位置に前記磁気ヨークの平面に沿って形成さ
れた磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜にセンス電
流を供給する一対のリードとを具備する磁気抵抗効果ヘ
ッドであって、前記磁気ヨークおよび磁気抵抗効果膜に
は、少なくともヘッド動作時にバイアス磁界が印加され
ることを特徴としている。
【0021】第2の磁気抵抗効果ヘッドは、特に磁気ヨ
ークにはヘッド動作時に電流が供給され、前記電流によ
り生じる磁界により前記バイアス磁界が印加されること
を特徴としている。
【0022】本発明の第3の磁気抵抗効果ヘッドは、請
求項12に記載したように、基板と、前記基板の主表面
に沿って配置され、かつ前記基板の主表面に略平行な平
面を有する磁気ヨークと、前記磁気ヨークの媒体対向面
側に介在された磁気ギャップと、少なくとも両端部が前
記磁気ヨークと磁気的に結合され、媒体対向面から所定
距離後退した位置に、前記磁気ヨークの平面に沿って形
成された磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜にセン
ス電流を供給する一対のリードとを具備する磁気抵抗効
果ヘッドであって、前記磁気ヨークはその形状に応じ
て、部位により異なる方向の磁気異方性が付与されてい
ることを特徴としている。
【0023】本発明の磁気抵抗効果ヘッドの製造方法
は、磁気ヨークを有する磁気抵抗効果ヘッドの製造方法
において、基板上に前記磁気ヨークを形成する工程と、
前記磁気ヨークまたは前記磁気ヨーク近傍に設けられた
電気回路に電流を流すことにより、前記磁気ヨークに電
流磁界を印加しながら熱処理し、前記磁気ヨークの形状
に応じて、部位により異なる方向の磁気異方性を付与す
る工程と、前記磁気ヨーク上に、磁気抵抗効果膜および
前記磁気抵抗効果膜にセンス電流を供給する一対のリー
ドを形成する工程とを有することを特徴としている。
【0024】本発明の第2の磁気抵抗効果ヘッドにおい
ては、基板面に沿って平行に磁気ヨークと磁気抵抗効果
膜を配置した上で、少なくともヘッド動作時に磁気ヨー
クおよび磁気抵抗効果膜にバイアス磁界(磁気バイア
ス)が印加される。バイアス磁界は、例えばヘッド動作
時に磁気ヨークに電流を流し、この電流により生じる磁
界(電流磁界)により印加する。従って、再生出力の低
下やばらつき等を回避した上で、磁気ヨークの磁区を安
定に制御することができる。この磁区制御は、磁気ヨー
クの入力磁界に対する線形性の向上に寄与する。さら
に、バルクハウゼンノイズ等の発生も抑制される。
【0025】本発明の第3の磁気抵抗効果ヘッドにおい
ては、磁気ヨークの形状に応じて、各部位により異なる
方向の磁気異方性が付与されている。このような磁気異
方性は、例えば本発明の製造方法に基く熱処理、すなわ
ち磁気ヨークに電流を流して電流磁界を印加しながら熱
処理を施すことにより付与することができる。磁界発生
手段として電流を用いた場合、磁界は電流に垂直な方向
に加わるため、曲折部を有する磁気ヨークに対しても各
部位に応じて磁気異方性を付与することができる。すな
わち、磁気ヨークの全体に対して磁気路に略直交する磁
気異方性を付与することができる。このような磁気異方
性は、信号磁界が反転する際の磁気ヨークの磁化反転を
防止する。従って、バルクハウゼンノイズ等の信号ノイ
ズの発生を抑制することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0027】図1は、本発明の第1の磁気抵抗効果ヘッ
ドの一実施形態によるヨーク型MRヘッドの構成を示す
斜視図である。同図において、21はAl2 3 ・Ti
C基板等からなる基板である。基板21上には、Al2
3 等からなる絶縁層22が下地層として設けられてい
る。絶縁下地層22上には、主として磁気ヨーク23を
構成する一対の磁性体層(磁気コア)24が形成されて
いる。
【0028】磁性体層24には、例えばNi−Fe合
金、Fe−Al−Si合金、Co−Zr−NbやCo−
B等のアモルファス磁性合金、Fe−X−N合金(Xは
Ta、Zr、Ti、Cr等から選ばれる少なくとも 1種
の元素)等の軟磁性材料が用いられる。
【0029】Co−Ni合金、Co−Fe合金、Co−
Ni−Fe合金等のCo系強磁性体は、良好な軟磁気特
性を付与することで、磁性体層24として有効に使用す
ることができる。Co系強磁性体に良好な軟磁気特性を
付与する方法としては、例えばアモルファス軟磁性層、
結晶質軟磁性層、あるいはこれらの積層膜等を下地層と
して形成し、その上にCo系強磁性体層を形成すること
が挙げられる。また、Co系強磁性体はさらに 30at%以
下のC、B、N、O等を加えることにより、結晶粒径等
を制御することができる。これにより、磁気特性の調整
を行うことも可能である。
【0030】Fe、Co、Niおよびこれらの合金から
なる磁性体層24の構造および配向面は、bcc(110)面、
fcc(111)面であることが好ましい。なお、後述するよう
に、強磁性材料層と非磁性材料層との積層膜、あるいは
反強磁性材料層と強磁性材料層と非磁性材料層との積層
膜等で磁気ヨークを形成する場合においても、同様な構
造および配向面とすることが好ましい。
【0031】磁気ヨーク23は、一対の磁性体層24を
これらが略平行となる同一平面を有するように、基板2
1の主表面(基板面)に沿って並列形成することによっ
て構成されている。すなわち磁気ヨーク23は基板面と
略平行な平面を有している。なお、磁気ヨーク23の厚
さは記録トラック幅より狭くなるように設計される。よ
って、磁性体層24の厚さは記録トラック幅に応じて設
定されている。具体的には、磁性体層24の厚さは10〜
2000nm程度であることが好ましい。より好ましくは 100
〜 500nm程度である。
【0032】一対の磁性体層24からなる磁気ヨーク2
3の媒体対向面S側には、基板面に対して略垂直方向に
配置された磁気ギャップ25が介在されている。磁気ギ
ャップ25と磁気ヨーク23とは、これらと後述するM
R膜27により形成される磁気回路が基板面に対して略
平行となるように配置されている。磁気ギャップ25
は、所定の厚さ(ギャップ長)を有する非磁性材料から
なるものである。この実施形態ではAl2 3 等の非磁
性絶縁材料が用いられている。
【0033】なお、磁気ギャップ25の後方側には、磁
気ギャップ25より広いバックギャップ26が設けられ
ている。このバックギャップ26に相当する部分は、一
対の磁性体層24の作製工程で使用したレジスト等で平
坦化されていてもよい。
【0034】磁気ヨーク23の基板面と略平行な平面、
言い換えると磁気ヨーク23中を通る磁束(磁気ヨーク
23による磁気回路)と略平行な平面上には、MR膜2
7が配置されている。MR膜27の配置位置は、媒体対
向面Sから所定距離後退した位置とされている。すなわ
ち、MR膜27は一対の磁性体層24の積層方向上面に
相当する平面上に、バックギャップ26をまたいで一対
の磁性体層24の双方と磁気的に結合するように配置さ
れている。
【0035】MR膜27は、その長手方向が磁気ヨーク
23により導かれた信号磁界方向と略平行とされてい
る。記録媒体から磁気ギャップ25を介して磁気ヨーク
23に流入した信号磁界は、磁気ヨーク23を通ってM
R膜27に導かれる。すなわち、磁気ヨーク23とMR
膜27は、磁気ギャップ25を介してリング状の磁気コ
アを形成している。
【0036】MR膜27の奥行き方向の配置位置は、記
録媒体との接触によるショートや磨耗等を考慮した上
で、媒体対向面Sに近い位置とすることが好ましい。こ
のような配置関係によれば、MR膜27を媒体対向面S
から最低限後退させた上で、媒体対向面Sに近接した位
置に精度よく配置形成することができる。すなわち、ヨ
ーク型MRヘッドとしての利点を損わない範囲で、MR
膜27を媒体対向面Sに近い位置に精度よく形成するこ
とができる。MR膜27の媒体対向面Sからの後退距離
は、信号磁界の設定導入量にもよるが、 0.2〜10μm 程
度とすることが好ましい。特に 0.2〜 3μm 程度とする
ことが望ましい。
【0037】MR膜27としては、例えば異方性磁気抵
抗効果膜(AMR膜)や磁性層と非磁性層との積層膜を
有する巨大磁気抵抗効果膜(GMR膜)を用いることが
できる。AMR膜は、電流の方向と磁性層の磁化モーメ
ントの成す角度に依存して電気抵抗が変化するものであ
り、例えばNi80Fe20合金からなるものである。GM
R膜としては、例えば強磁性層/非磁性層/強磁性層の
サンドイッチ膜を有し、各強磁性層の磁化の成す角度に
依存して電気抵抗が変化するいわゆるスピンバルブ膜を
使用することができる。スピンバルブ膜の具体的な構成
としては、Co90Fe10/Cu/Co90Fe10の積層膜
等が挙げられる。強磁性層と非磁性層の多層積層膜を有
し、巨大磁気抵抗効果を示す人工格子膜もGMR膜とし
て有効である。
【0038】MR膜27にセンス電流を供給する一対の
リード28は、磁性体リード部29と例えばCuからな
る低抵抗リード部30とから構成されている。磁性体リ
ード部29は、磁気ヨーク23を構成する一対の磁性体
層24を、それぞれ媒体対向面Sから後退する方向に向
けて延長した部分(後方部分)からなる。低抵抗リード
部30は、これらの磁性体リード部29にそれぞれ接続
されている。
【0039】すなわち、リード28は磁気ヨーク23と
共通の磁性体層24により構成された磁性体リード部2
9を有している。言い換えると、一対の磁性体層24
は、磁気ギャップ25が介在された媒体対向面SからM
R膜27の下側に位置する部分までが磁気ヨーク23を
構成しており、かつMR膜27の下側に位置する部分か
ら低抵抗リード部30との接続部分までは磁性体リード
部29を構成している。MR膜27には、低抵抗リード
部30から磁性体リード部29を介してセンス電流が供
給される。
【0040】上述した実施形態のヨーク型MRヘッドに
おいては、MR膜27にセンス電流を供給するリード2
8を、磁性体リード部29とCu等からなる低抵抗リー
ド部30とで構成することによって、通常のMRヘッド
で単一リードとして用いられてきたCu層部分が直接M
R膜27と接しない構造を実現している。これによっ
て、Cu等からなる低抵抗リード部30の形成が容易に
なると共に、リード形成に伴うMR膜27の特性低下や
歩留り低下等を防止することができる。
【0041】また、MR膜27部分の構造が単純化され
るため、製造コストの低減等を図ることができる。例え
ば、図42に示した従来構造では、MR膜5にリード6
と磁気ヨーク13、14の両方が接続されているため、
MR膜部分の製造プロセスが極めて複雑である。これに
対して、この実施形態ではMR膜27部分は単に磁性体
層24上に形成されているだけであって、MR膜27上
ではパターニング工程等は行われない。従って、製造プ
ロセスを簡素化および容易化することができる。さら
に、MR膜27の大きさをリードに制限されることなく
設計できるため、感度の向上を図ることができる。
【0042】これらに加えて、磁性体層24上であれば
どのような位置にでもMR膜27を配置することができ
る。例えば、最低限媒体対向面Sから後退させた位置で
あっても、MR膜27を精度よく配置形成することがで
きる。これにより多くの信号磁束をMR膜27に導くこ
とができる。従って、従来のヨーク型MRヘッドの欠点
の 1つであった出力低下を回避することが可能となる。
平面状の磁気ヨーク23上にMR膜27を配置している
ため、磁気ヨーク23となる一対の磁性体層24とMR
膜27とのオーバーラップ量を、MR膜27の媒体対向
面Sからの距離に関係なく設定することができる。よっ
て、再生出力のばらつきを小さくすることが可能とな
る。
【0043】ここで、MR膜27の幅は小さい方が、単
位幅当りにより多くの磁束(信号磁界)をMR膜27に
導くことができ、より良好な再生出力が得られる。MR
膜27の磁化は、その幅方向に平行な状態から長手方向
(磁気回路による磁束方向)まで動くことが望ましい。
ただし、単磁性膜からなるMR膜では、幅方向のエッジ
において磁化がカーリングを起こすため、MR膜の幅を
小さくすると磁化が幅方向と平行になりにくくなる。
【0044】これに対して、一対の強磁性層間に非磁性
層を介在させた 3層積層構造のMR膜の場合には、セン
ス電流方向と磁束方向とが概ね平行となるようにすれ
ば、その幅を 3μm 程度と狭くしても、信号磁束により
強磁性層の磁化を幅方向平行から長手方向まで動かすこ
とができる。よって、MR膜27における磁化方向の変
化を良好に保った上で、MR膜27の幅を小さくして単
位幅当りより多くの磁束を導くことができる。ひいて
は、大きな再生出力を得ることが可能となる。この際、
3層積層構造のMR膜としてスピンバルブ膜を用いれ
ば、MR膜27の磁化を幅方向平行から長手方向まで動
かすことができる利点をより有効に活用することができ
る。
【0045】図2は上記実施形態の変形例の構成を示す
図である。同図に示すヨーク型MRヘッドにおいて、磁
性体リード部29は第1の磁性体層24aとその上に形
成した低抵抗の第2の磁性体層24bとで構成されてい
る。すなわち、第1の磁性体層24aと第2の磁性体層
24bとの抵抗値の関係は、第1の磁性体層24aの抵
抗値をR1 、第2の磁性体層24bの抵抗値をR2 とし
たとき、R1 >R2 とされている。第1の磁性体層24
aと第2の磁性体層24bとの具体的な組合せとして
は、例えばフェライトやパーマロイ系の磁性体とアモル
ファス磁性合金との組合せ、アモルファス磁性合金とフ
ェライトとの組合せ等が挙げられる。
【0046】このような構造を採用した場合、低抵抗の
第2の磁性体層24bが磁性体リード部29としての役
割を主として担う。よって、第1の磁性体層24aへの
シャント電流を抑制することができる。これはMR膜2
7の感度を増大させる。
【0047】なお、磁気ヨーク23および磁性体リード
部29を構成する磁性体層としては、 3層以上の多層膜
や、磁性体層形成時に添加元素を徐々に加えることによ
り成膜方向に濃度分布を与えて抵抗値を連続的に変化さ
せた膜等、種々の形態の磁性体層を使用することができ
る。
【0048】次に、本発明の第1の磁気抵抗効果ヘッド
の他の実施形態によるヨーク型MRヘッドについて、図
3を参照して説明する。
【0049】図3に示すヨーク型MRヘッドは、前述し
た実施形態と同様に、絶縁下地層22を有するAl2
3 ・TiC基板21の上に、磁気ヨーク23および磁性
体リード部29を構成する第1および第2の磁性体層3
1、32が設けられている。この実施形態における第1
および第2の磁性体層31、32は、媒体対向面S側に
介在された磁気ギャップ25と後方部分に介在された磁
気ギャップ33とを介して、閉磁気回路を構成するよう
に対向配置されている。この閉磁気回路を構成する部分
が磁気ヨーク23となる。なお、磁気ギャップ33は製
造工程の際に、磁気ギャップ25と同時に形成されたも
のである。
【0050】第1の磁性体層31上には、長手方向を媒
体対向面Sから離れる方向に向けてMR膜27が設けら
れている。このMR膜27が形成された第1の磁性体層
31の両端部は、それぞれ磁性体リード部29とされて
いる。これら磁性体リード部29には、前述した実施形
態と同様に、Cu等からなる低抵抗リード部30がそれ
ぞれ接続されている。なお、これら以外の構成について
は、前述した実施形態と同様とされている。
【0051】この実施形態のヨーク型MRヘッドにおい
て、記録媒体から媒体対向面S側の磁気ギャップ25を
介して磁気ヨーク23に流入した信号磁束は、閉磁気回
路を構成する磁気ヨーク23を通ってMR膜27に導か
れる。MR膜27へのセンス電流は、低抵抗リード部3
0から第1の磁性体層31の端部に設けられた磁性体リ
ード部29を介して供給される。
【0052】上記した実施形態のヨーク型MRヘッドに
おいては、前述した実施形態と同様な効果が得られる。
さらに、平坦な磁性体層31上にMR膜27を配置して
いるため、MR膜27の特性をより良好に引き出すこと
ができる。例えば、図1および図2に示した実施形態の
ヨーク型MRヘッドでは、バックギャップ26上にMR
膜27を配置しているため、平坦化プロセスで除去しき
れなかった段差をMR膜27が受けてしまうおそれがあ
る。この場合高精度なプロセス技術を要する。この実施
形態ではこのような困難を除くことができる。ただし、
MR膜27を磁気ヨーク23(磁性体層31)上に形成
しているため、その分だけシャント電流が多くなる。こ
のシャント電流を低減して感度の向上を図る上で、図2
に示したような多層構造の磁性体層を用いることは有効
である。この場合、少なくとも第1の磁性体層31を多
層構造とすればよい。
【0053】なお、図1および図2に示したヨーク型M
Rヘッドにおいても、磁気ヨーク23を構成する部分の
磁性体層(磁気コア)をリング状とすることによって、
平坦な磁性体層上にMR膜27を配置することができ
る。この場合、図3に示したヨーク型MRヘッドと同様
な効果が得られる。このような構成においては、図2に
示した多層構造の磁性体層を用いることが有効である。
【0054】次に、本発明の第2の磁気抵抗効果ヘッド
を適用したヨーク型MRヘッドの第1の実施形態につい
て、図4を参照して説明する。
【0055】図4に示すヨーク型MRヘッドは、図1に
示した実施形態と同様な絶縁下地層22を有するAl2
3 ・TiC基板21の上に、磁気ヨーク23を構成す
る一対の磁性体層24が設けられている。この磁気ヨー
ク23の媒体対向面S側には、例えばCu、Ag、A
u、Ta、Ti、W、Mo、Nb等の非磁性低抵抗材料
からなる磁気ギャップ34が介在されている。一対のリ
ード28は、MR膜27に直接接続したCu等の低抵抗
材料層からなるものである。磁気ヨーク23は、MR膜
27を介して一対のリード28と電気的に接続されてい
る。そして、磁気ヨーク23とMR膜27は、磁気ギャ
ップ34を介してリング状の磁気コアを形成している。
【0056】なお、他の構成については、図1に示した
実施形態と同様とされている。図4において、実線矢印
Aは記録媒体から磁気ヨーク23に導かれた信号磁界の
方向、すなわち磁気ヨーク23による磁気路を示してい
る。矢印Bは記録媒体の進行方向を示している。
【0057】この実施形態のヨーク型MRヘッドにおい
ては、非磁性低抵抗材料からなる磁気ギャップ34を用
いており、磁気ヨーク23は磁気ギャップ34を介して
電流路を形成している。従って、リード28から供給さ
れた電流は磁気ヨーク23に分流して流れる。すなわ
ち、ヨーク型MRヘッドの動作時において、磁気ヨーク
23を流れる電流は磁界(電流磁界)を生じさせる。M
R膜27についても同様である。電流磁界の方向は、磁
気ヨーク23による磁気路に対して略垂直方向となる。
磁気ヨーク23およびMR膜27には、電流磁界により
バイアス磁界(磁気バイアス)が印加される。
【0058】磁気ヨーク23に電流が供給されていない
場合には、図5Aに示すように、磁気ヨーク23の磁区
は磁壁を有している。磁気ヨーク23に電流を供給して
電流磁界によるバイアス磁界を印加すると、図5Bに示
すように、磁気ヨーク23はおおよそ単磁区状態とな
る。図5において、実線矢印Cは磁化方向を示してい
る。そして、バイアス磁界により磁区制御された磁化C
の方向は、磁気ヨーク23の磁気路に対して略垂直方向
とされている。
【0059】この実施形態のヨーク型MRヘッドでは、
記録媒体から信号磁束が磁気ヨーク23内に流入すると
き、磁気ヨーク23の磁区制御によって磁化回転モード
となる。これによって、高周波透磁率が良好になると共
に、バルクハウゼンノイズを抑制することができる。特
に、磁気ヨーク23の磁化Cを磁気路に対して略垂直方
向とすることによって、バランスのとれた出力再生波形
を得ることができる。なお、この実施形態のヨーク型M
Rヘッドにおいて、磁気ヨーク23の形状、MR膜27
の配置位置、磁性体層24とMR膜27との位置関係
(オーバーラップ量等)に伴う効果は、前述した実施形
態と同様に得られる。よって、良好な再生出力が得られ
ると共に、そのばらつきを小さくすることができる。
【0060】図6は上記実施形態の変形例の構成を示す
図である。同図に示すヨーク型MRヘッドにおいて、磁
気ヨーク23を構成する一対の磁性体層24とMR膜2
7との間には、それぞれ高抵抗磁性材料層35が介在さ
れている。このように、高抵抗磁性材料層35を介在さ
せることによって、磁気ヨーク23に流れる電流量を制
御することができる。すなわち、磁気ヨーク23への電
流の流れすぎを防ぎ、MR膜27に流れるセンス電流の
低下を抑制することができる。これによって、MRヘッ
ドの感度低下を抑制することが可能となる。高抵抗磁性
材料層35としては、Co−Al−O等のグラニュラー
構造膜やMn−Zn−FeO等の導電性フェライト膜等
を使用することができる。また、MR膜27にバイアス
磁界を付加するために、CoPt膜等の硬磁性膜やIr
Mn膜等の反強磁性膜を用いることができる。
【0061】図4および図6に示したヨーク型MRヘッ
ドにおいては、磁気ヨーク23に単層の磁性体層24が
用いられている。磁気ヨーク23は、さらに図7に示す
ように、 2つの強磁性層36間に非磁性低抵抗材料層3
7を介在させた積層膜38で構成することができる。単
層構造の強磁性層を用いた場合には、その中央付近に18
0°磁壁が残るおそれがある。一方、 2つの強磁性層3
6間に非磁性低抵抗材料層37を介在させ、非磁性低抵
抗材料層37に主として電流を流すことによって、 180
°磁壁の発生を防止することができる。これによって、
より一層良好にバルクハウゼンノイズの発生を防ぐこと
が可能となる。
【0062】上記した非磁性低抵抗材料層37として
は、例えばCu、Al、Au、Ag、Zr、Hf、T
a、Ti、Cr等を用いることができる。また、このよ
うな低抵抗材料を用いた場合、磁気ヨーク23に分流し
た電流を中央に集中させることができるため、小さい電
流で各強磁性層36に十分な電流磁界を印加することが
できる。図7において、破線矢印Dは電流磁界を示して
いる。
【0063】さらに、図8に示すように、非磁性低抵抗
材料層37を強磁性層36の中心付近に埋め込んだ埋め
込み型積層膜39を、磁気ヨーク23として用いてもよ
い。このような埋め込み型積層膜39においては、電流
を集中させる点については図7に示した積層膜38と同
様であるが、非磁性低抵抗材料層37を中心として還流
磁区構造が形成される。この場合、媒体対向面Sにおけ
る磁化の向きが媒体対向面Sと平行となるため、記録媒
体に対して漏れ磁束を発生することがない。従って、磁
気ヨーク23が記録媒体の信号を消してしまうおそれが
ない。
【0064】なお、図4および図6ではMR膜27がバ
ックギャップ26上に配置されている。MR膜27は、
例えば図9および図10に示すように、磁気ギャップ3
4を介してリング状に形成した磁性体層24(リング状
磁気コア)上に配置してもよい。このような場合には、
磁気ヨーク23への分流量を制御することができる図1
0に示す構造が特に有効である。
【0065】図11は、図1や図2に示したヨーク型M
Rヘッドと同様に、非磁性絶縁材料からなる磁気ギャッ
プ25を用いた例である。このような構成においては、
磁気ギャップ25上に磁気ギャップ34と同様な非磁性
低抵抗材料からなる電流パス40を形成する。この電流
パス40によって、上述した実施形態と同様な効果を得
ることができる。
【0066】上述した第2のMRヘッドに関する各実施
形態は、いずれも第2のMRヘッドの構成のみを適用し
たものである。さらに、例えば図1に示したヨーク型M
Rヘッドにおいて、非磁性絶縁材料からなる磁気ギャッ
プ25に代えて、図4に示した非磁性低抵抗材料からな
る磁気ギャップ34を配置したり、あるいは非磁性絶縁
材料からなる磁気ギャップ25上に、図11に示した非
磁性低抵抗材料からなる電流パス40を形成することが
できる。これらの構造では、磁気ヨーク23に電流を分
流させてバイアス磁界を印加することができる。このよ
うな構造のヨーク型MRヘッドによれば、磁性体リード
29を使用した効果と磁気バイアスの印加による効果を
共に得ることができる。ヨーク型MRヘッドの特性はよ
り一層向上する。
【0067】上述したような構造のヨーク型MRヘッド
においては、図12に示すように、磁気ヨーク23およ
び磁性体リード部29となる磁性体層全体を、第1の磁
性体層24aとその上に形成した低抵抗の第2の磁性体
層24bとで構成することが好ましい。これによって、
シャント電流による感度の低下を抑制することが可能と
なる。なお、第1の磁性体層24aおよび第2の磁性体
層24bの具体的な構成は前述した通りである。上記し
た 2層積層構造の磁性体層に代えて、図7に示した積層
膜38や図8に示した埋め込み型積層膜39からなる磁
性体層を用いることも有効である。
【0068】さらに、MR膜27の長手方向を媒体対向
面Sから離れる方向に向けて配置する場合においても、
同様な構造を採用することができる。例えば、図3に示
したヨーク型MRヘッドにおいて、非磁性絶縁材料から
なる磁気ギャップ25に代えて非磁性低抵抗材料からな
る磁気ギャップ34を配置したり、あるいは非磁性絶縁
材料からなる磁気ギャップ25上に図11に示した非磁
性低抵抗材料からなる電流パス40を形成することがで
きる。
【0069】非磁性絶縁材料からなる磁気ギャップ25
を用いる場合には、図13に示すように、低抵抗リード
部30を第1の磁性体層31から磁気ギャップ25、3
3を越えて第2の磁性体層32上に到達するように形成
する。あるいは、図14に示すように、低抵抗リード部
30を第1の磁性体層31および第2の磁性体層32の
双方と接続するように形成する。これらの構造では、低
抵抗リード部30は非磁性絶縁材料からなる磁気ギャッ
プ25上の電流パスの役割を兼ねる。従って、製造プロ
セスが単純となり、製造歩留りを向上させることができ
る。
【0070】上述した各実施形態のヨーク型MRヘッド
において、信号磁界により形成される磁気路と磁気ヨー
ク23の磁化容易軸とが平行である場合には、前述した
ように、信号磁界の反転の際に磁気ヨーク23の急激な
磁化反転が生じる。これはバルクハウゼンノイズ等の信
号ノイズの発生原因となるおそれがある。このような信
号ノイズの発生を低減するために、記録媒体からの信号
磁界を導く磁気ヨーク23の磁化容易軸は、磁気路方向
と直交させることが好ましい。このような磁気ヨーク2
3の磁気異方性の付与方法としては、以下に示す磁気ヨ
ーク23の材料選択および磁界中熱処理が挙げられる。
【0071】(1) 磁気ヨークをキュリー温度またはネ
ール温度の異なる 2種以上の磁性体を組合せて構成し、
成膜時あるいは成膜後の熱処理過程で、温度を変えて異
なる方向の磁界を加え、直交させた磁気異方性を付与す
る。
【0072】(2) 磁気ヨークに電流を流しながら熱処
理(アニール)し、電流磁界により磁気異方性を付与す
る。
【0073】上述した磁気異方性の付与方法のうち、
(1)の方法は 2種以上の磁性体を組合せて使用する必要
があり、さらにそれぞれのキュリー点またはネール温度
の分布や熱揺らぎの影響等も考慮して材料を選択しなけ
ればならない。さらに、磁界中アニールにおいては、磁
界方向の回転等の複雑な工程が必要である上に、それぞ
れの磁性体膜の磁気異方性の方向や分散が磁場方向を変
化させる温度に左右される。このようなことから、安定
した特性を再現性よく得ることは難しい。
【0074】これに対して、 (2)の方法は熱処理時に磁
気ヨークに電流を流すことにより、電流磁界を磁気異方
性の付与に利用している。このように、磁界発生手段が
電流である場合には、磁界は電流に垂直な方向に加わる
ため、曲折部を有する磁気ヨークであっても各部位に応
じて磁気異方性を付与することができる。
【0075】すなわち、磁気ヨークの形状に応じて、部
位により異なる磁気異方性を付与することができる。ま
た、磁界発生手段が電流であるために、磁気ヨークに印
加する磁界の方向を微細に制御することができる。従っ
て、熱処理時の電流の流路を工夫することによって、コ
字型、ロ字型、L字型等の各種形状の磁気ヨークにおい
ても、磁気ヨーク全体に対して磁化容易軸と磁気路とを
略直交させた磁気異方性を付与することができる。
【0076】磁化容易軸と磁気路とを略直交させた磁気
異方性は、信号磁界が反転する際の磁気ヨークの急激な
磁化反転を防止する。よって、バルクハウゼンノイズ等
の信号ノイズの発生が抑制される。通常の外部コイル等
を磁界発生手段として用いた場合、一方向の磁界しか加
えることができないため、磁気ヨーク全体に対して磁気
路と略直交する磁気異方性を付与することはできない。
【0077】磁気異方性は、磁気ヨークに例えば 0.1〜
100mA程度の電流を流しながら、磁気ヨークの磁気異方
性が動く温度以上の温度に一定時間保持することにより
付与する。あるいは、磁気ヨークに例えば 1mA〜1A程度
のパルス電流を印加することによっても、磁気異方性を
付与することができる。パルス電流を使用する場合、磁
気ヨークの温度が室温程度であっても、磁気異方性を付
与することができる場合がある。
【0078】図15は、上述した電流磁界を印加しなが
ら熱処理(電流磁界中アニール)した磁気ヨーク23を
示している。この磁気ヨーク23は、非磁性絶縁材料か
らなる磁気ギャップ25を介してリング状に形成された
磁性体層24(リング状磁気コア)からなる。このリン
グ状の磁性体層24上にはMR膜27が形成される。な
お、ヨーク型MRヘッド全体の構造としては、例えば図
4や図9に示したヨーク型MRヘッドの非磁性低抵抗材
料からなる磁気ギャップ34を、非磁性絶縁材料からな
る磁気ギャップ25に変更した構造等が適用される。こ
のヨーク型MRヘッドは、本発明の第3の磁気抵抗効果
ヘッドの一実施形態に相当するものである。
【0079】図15に示したように、非磁性絶縁材料か
らなる磁気ギャップ25を適用する場合には例えば磁気
ギャップ25の両端に電流流入口41と電流流出口42
を設けておく。これらから磁気ヨーク23に電流(図中
破線矢印Eで示す)を流し、図中破線矢印Dで示す電流
磁界を磁気ヨーク23に印加しながら熱処理を施す。磁
気ギャップ25の近傍に設けた電流流入口41から供給
された電流Eは、磁気ヨーク23の磁気路と同一経路を
たどって電流流出口42に流れる。この電流Eに対して
垂直方向に生じる電流磁界Dを利用して、磁気ヨーク2
3に磁気異方性を付与する。これによって、磁気ヨーク
23全体として磁気路と磁化容易軸Fとが略直交する磁
気異方性が得られる。すなわち、磁気ヨーク23の形状
に応じて、部位により異なる方向に磁気異方性が付与さ
れた、言い換えると部位により磁化容易軸Fの向きが異
なる磁気ヨーク23が得られる。
【0080】このような磁気ヨーク23を有するヨーク
型MRヘッドにおいては、磁気ヨーク23全体として磁
気路と磁化容易軸Fとが略直交しているため、磁気ヨー
ク23全体として信号磁界が反転する際の急激な磁化反
転を防ぐことができる。従って、バルクハウゼンノイズ
等の信号ノイズの発生を良好に抑制することができ、よ
り特性の安定したヨーク型MRヘッドを得ることが可能
となる。
【0081】また、非磁性低抵抗材料からなる磁気ギャ
ップ34を適用する場合には、例えば図16に示すよう
に、磁気ヨーク23の対角位置に電流流入口41と電流
流出口42を設けておく。これらから磁気ヨーク23全
体に電流Eを流しながら熱処理を施すことによって、磁
気ヨーク23全体として磁気路と磁化容易軸Fとが略直
交する磁気異方性を得ることができる。さらに、非磁性
絶縁材料からなる磁気ギャップ25を適用する場合にお
いても、例えば図17に示すように、磁気ギャップ25
部分に非磁性低抵抗材料からなる電流パス40を設けて
おくことによって、図16と同様な磁気異方性を付与す
ることができる。
【0082】さらに、図16および図17に示す磁気ヨ
ーク23を有するヨーク型MRヘッドは、前述した動作
時に電流供給によりバイアス磁界(磁気バイアス)を磁
気ヨーク23に印加する構成を採用することができる。
このため、磁気ヨーク23の磁区制御と磁気異方性制御
とによって、より一層良好にバルクハウゼンノイズ等の
信号ノイズを抑制することが可能となる。
【0083】電流磁界により磁気異方性を制御する場
合、磁気ヨーク23を構成する磁性体層24は図15に
示したような単層構造に限られるものではない。例え
ば、図18に示すように、 2種以上の強磁性層36a、
36bの積層膜43を使用することができる。
【0084】さらに、強磁性層と非磁性層との積層膜
は、磁気異方性の付与に対して有効である。図19は 2
つの強磁性層36間に非磁性低抵抗材料層37を介在さ
せた積層膜38を示している。このような積層膜38に
おいては、下側の強磁性層36と上側の強磁性層36と
の間に静磁結合が生じやすくなるため、磁束が各強磁性
層36の内部にまで入りやすくなる。これにより、電流
磁界を磁気ヨーク23に有効に印加することができる。
【0085】図20に示すように、強磁性層36と非磁
性層37とを交互に多重積層した積層膜44を、磁気ヨ
ーク23として使用することも可能である。この場合に
は、複数の非磁性層37に対して選択的に電流を供給す
ることによって、複数の強磁性層36のそれぞれに良好
に磁気異方性を付与することができる。複数の非磁性層
37に対して選択的に電流を流す場合には、電流を流す
非磁性層37のみを非磁性低抵抗材料で形成する。電流
を流さない非磁性層は非磁性絶縁材料で形成する。積層
膜44の積層数は特に限定されるものではない。図21
に示すように、(強磁性層36/非磁性層37)n /強
磁性層36(n≧1)構造の積層膜44を使用することがで
きる。
【0086】図22に示すように、 2つの強磁性層36
間に非磁性絶縁層45を介在させた積層膜46であって
もよい。非磁性絶縁層47としては、Al2 3 、Si
x、AlN、SiNx 、BN等を用いることができ
る。この積層膜46によれば、単層構造膜に比べて磁気
ヨーク23への電流磁界の印加状態を改善することがで
きる。強磁性層を非磁性層で切ることにより、上下の強
磁性層36間に静磁結合をうながし、一軸異方性が付与
されやすくなる。ただし、図19に示した積層膜38や
図20および図21に示した積層膜44は、電流供給に
より磁気バイアスを磁気ヨーク23に印加する構成にも
適合する。従って、より好ましい構造ということができ
る。
【0087】磁気ヨーク23は、さらに強磁性層に隣接
して少なくとも 1つの反強磁性層を配置した積層膜を使
用することができる。すなわち、磁気ヨーク23は強磁
性層と反強磁性層との積層膜、あるいは強磁性層と非磁
性層と反強磁性層との積層膜により構成することができ
る。この積層膜としては、(強磁性層/非磁性層)n
強磁性層(n≧1)構造の少なくとも 1つの強磁性層に接し
て反強磁性層を配置したものが例示される。
【0088】このように、強磁性層に隣接して反強磁性
層を設けた場合、電流磁界により強磁性層に印加された
所定方向(磁気路と略直交する方向)の一軸磁気異方性
は、反強磁性層からの交換異方性によって、より強固に
固着される。この磁気異方性のより強固な固着化は、ヘ
ッドの動作温度の高温化等に対して特に有効である。反
強磁性層には、FeMn、IrMn、NiMn、RhM
n、PtMn、PdMn、CrMn、IrCrMn、P
dPtMn、CrMnPtまたはこれらの合金、あるい
はNiO等を使用することができる。
【0089】反強磁性層を含む積層膜の具体的な構造と
しては、図23に示すように非磁性低抵抗材料層37を
介して 2つの強磁性料層36を積層し、このうちの一方
の強磁性層36に隣接させて反強磁性層47を積層した
積層膜48や、図24に示すように 2つの強磁性層36
にそれぞれ反強磁性層47を隣接させた積層膜49等が
挙げられる。さらに、図25に示すように、反強磁性層
47を内側に配置した積層膜50であってもよい。この
ような積層膜50によれば、各強磁性層36に交換異方
性を効率的に付与することができる。これらの積層膜に
おいて、非磁性層を除いて積層膜を構成することもでき
る。
【0090】反強磁性層を含む積層膜は、図26に示す
ように、強磁性層36と非磁性層37とを交互に多重に
積層し、このうちの外側の各強磁性層36にそれぞれ隣
接させて反強磁性層47を積層した積層膜51であって
もよい。多重積層構造の積層膜は、図27に示すよう
に、反強磁性層47を内側に配置した積層膜51であっ
てもよい。
【0091】上述した反強磁性層を含む積層膜におい
て、非磁性層37は非磁性低抵抗材料層に限らず、図2
2と同様に非磁性絶縁層45であってもよい。非磁性絶
縁層45のみを使用する場合には、電流磁界を発生させ
るための低抵抗金属層を積層膜の近傍に配置する。電流
磁界を発生させるための金属層については後述する。
【0092】図24に示した積層膜49においては、非
磁性層37の膜厚を例えば 5nm以上として各強磁性層3
6間の層間結合を小さくし、強磁性層36間の静磁結合
を主として利用することが好ましい。このような各強磁
性層36に反強磁性層47をそれぞれ接して設けること
によって、各強磁性層36に強固な一軸磁気異方性を付
与することができる。非磁性絶縁層45を用いて、強磁
性層36間の層間結合を断った場合にも、同様な構造を
採用することによって、各強磁性層36に強固な一軸磁
気異方性を付与することができる。
【0093】図23に示した積層膜48や図26に示し
た積層膜51においては、非磁性層37の膜厚を例えば
3nm以下とし、強磁性層36間を層間結合により緩やか
に結合させることによって、全強磁性層36に一軸磁気
異方性を付与することもできる。
【0094】強磁性層36と反強磁性層47との交換相
互作用は適当な大きさに調節することが好ましい。強磁
性層36と反強磁性層47との交換相互作用が強すぎる
と、強磁性層36の磁化は固着される。この場合、磁気
ヨーク23の磁化は信号磁界で自由に回転しなくなる。
逆に、強磁性層36と反強磁性層47との交換相互作用
が弱すぎると、強磁性層36と反強磁性層47との交換
相互作用を通して、強磁性層36に十分に一軸磁気異方
性を付与することができない。交換相互作用の大きさ
は、強磁性層36や反強磁性層47の膜厚を調整した
り、界面に飽和磁化が小さい 0.1〜 3nm程度の薄い層を
挿入する等により調節することができる。
【0095】反強磁性層47の厚さは、上述したような
理由から 2〜50nm程度の範囲から適宜選択する。強磁性
層36の厚さは 1〜 500nm程度の範囲から適宜選択す
る。強磁性層36の厚さは10〜 250nmの範囲であること
がより好ましい。非磁性層37、45の厚さは 0.5〜 1
00nm程度の範囲から適宜選択する。非磁性層37、45
の厚さは 1〜10nmの範囲であることがより好ましい。反
強磁性層を含む積層膜の厚さは、実質的な磁気ヨーク2
3の厚さが記録トラック幅より狭くなるように設定され
る。具体的な厚さは10〜2000nm程度であることが好まし
い。より好ましくは 100〜 500nm程度である。実質的な
磁気ヨーク23の厚さとは、外側に反強磁性層47を配
置した場合、その厚さを除く積層膜の厚さである。
【0096】図28は本発明の第3の磁気抵抗効果ヘッ
ドの他の実施形態を示している。同図に示すヨーク型M
Rヘッドにおいて、磁気ヨーク23を構成する磁性体層
24には絶縁体層53を介して非磁性金属層54が積層
配置されている。非磁性金属層54は、電流磁界を発生
させるための電流印加層であり、例えばAu、Al、C
u等の良導体で形成することが好ましい。
【0097】この電流磁界発生用の非磁性金属層54の
厚さは 1〜1000nm程度とすることが好ましい。非磁性金
属層54の厚さが 1nm未満というようにあまり薄いと、
電流密度が極端に高くなり、電気回路の一部に電流集中
してジュール発熱等で電流の流れが不均一になるおそれ
がある。一方、非磁性金属層54の厚さが1000nmを超え
ると、電流密度が低くなるために磁性体層24に加わる
電流磁界が小さくなり、電流磁界による磁気異方性を十
分に制御できないおそれがある。非磁性金属層54の厚
さは10〜 800nmの範囲とすることがより好ましく、さら
に好ましくは50〜 500nmの範囲である。
【0098】磁性体層24と非磁性金属層54との間に
介在させる絶縁体層53には、Al2 3 等が用いられ
る。磁性体層24は単層構造膜に限らず、 2種以上の強
磁性層の積層膜、強磁性層と非磁性層との積層膜等であ
ってもよい。電流磁界発生用の非磁性金属層54を別途
設けているため、磁性体層24は絶縁体を含むものであ
ってもよい。
【0099】電流磁界発生用の非磁性金属層54を別途
設けることによって、磁性体層24に印加する電流磁界
の方向を自由に設計することができる。これによって、
磁気ヨーク23の磁気異方性の方向をより細やかに制御
することが可能となる。図28に示したヨーク型MRヘ
ッドでは、例えば図29に示すように、非磁性金属層5
4の対角位置に電流流入口41と電流流出口42を設け
ておくことにより、図16と同様な磁気異方性を磁性体
層24に付与することができる。
【0100】電流磁界発生用の非磁性金属層54を別途
設ける場合の構造は、図30に示すように、非磁性絶縁
材料からなる磁気ギャップ25が絶縁体層53および非
磁性金属層54まで伸びた構造であってもよい。このよ
うな構造においては、例えば図31に示すように非磁性
金属層54の対角位置に電流流入口41と電流流出口4
2を設けておくと共に、磁気ギャップ25部分に電流パ
ス40を設けておく。これにより、磁性体層24に対し
て良好に磁気異方性を付与することができる。あるい
は、図32に示すように、磁気ギャップ25の両端に電
流流入口41と電流流出口42を設けておくことによっ
ても、磁性体層24に良好に磁気異方性を付与すること
ができる。
【0101】磁気ヨーク23に対する熱処理は、基板上
に複数個の磁気ヨーク23を少なくとも形成しておき、
これらに一括して電流磁界を印加しながら行うことが好
ましい。熱処理はMR膜やリードの形成後に実施しても
よい。この際、複数個の磁気ヨーク23はそれぞれを直
列に接続して形成し、複数個の磁気ヨーク23に一括し
て電流を供給できるようにしておくことが好ましい。
【0102】例えば、図15、図16および図17に示
した磁性体層24において、図33、図34または図3
5に示すように、 1つの素子の電流流出口42と他の素
子の電流流入口41とを電気回路的に直列に連結させて
おく。図29、図31および図32に示した電流磁界発
生用の非磁性金属層54の場合も同様である。このよう
な構造によって、基板上に複数個形成した素子全てに一
括して電流を供給することができる。
【0103】ヨーク型MRヘッドは、磁気ヨーク23に
熱処理を施した後に、MR膜27およびそれにセンス電
流を供給する一対のリード28を形成し、さらにヘッド
加工工程を経て得られる。MR膜27としてスピンバル
ブ膜等を用いる場合、さらに磁化固着のための磁界中ア
ニールを実施する。
【0104】上述した電流磁界を印加しながら熱処理し
た磁気ヨーク23を有するヨーク型MRヘッドの具体例
およびその評価結果について述べる。
【0105】実施例1 まず、以下に構造を示す試料1〜4のヨーク型MRヘッ
ドを、その製造工程で後述する 3種類の熱処理をそれぞ
れ施して作製した。後述の 3種類の熱処理のうち、熱処
理(1),(2) は上述した電流磁界を印加しながらの熱処理
に相当するもの(本発明の実施例)であり、熱処理(3)
は本発明との比較例として記載したものである。なお、
MR膜にはCoFe/Cu/CoFe/IrMn構造の
スピンバルブ膜を用いた。
【0106】[試料1]:図15に示した磁気ヨーク2
3を有するヨーク型MRヘッド(全体構造は図6に示し
たもの、ただし磁気ギャップは非磁性絶縁材料からなる
磁気ギャップ25)を、磁性体層24にアモルファスC
oZrNb(a-CoZrNb)磁性膜とNiFe合金膜
との積層膜を用いると共に、磁気ギャップ25にAl2
3 を用いて作製した。磁気ヨーク23とMR膜27と
の間の高抵抗磁性材料層35には、絶縁性磁性体を用い
た。
【0107】[試料2]:試料1において、磁性体層に
NiFe/Cu/NiFe積層膜を用いる以外は、試料
1と同様な構造のヨーク型MRヘッドを作製した。
【0108】[試料3]:試料1において、磁性体層に
a-CoZrNb/NiFe/Cu/a-CoZrNb/N
iFe積層膜を用いる以外は、試料1と同様な構造のヨ
ーク型MRヘッドを作製した。
【0109】[試料4]:図28に示したヨーク型MR
ヘッドを、磁性体層24にNiFe/Al2 3 /Ni
Fe積層膜、磁気ギャップ25に非磁性金属のTi、絶
縁体層53にAl2 3 、非磁性金属層54にAu、A
l、Cu、Ag等の良導体膜、高抵抗磁性材料層35に
Co−Al−O系グラニュラー膜を用いて作製した。な
お、非磁性金属層54に対する電流供給は図32に示し
た構造により実施した。
【0110】[熱処理条件] (1) 温度TH において、MRヘッドに電流流入口から電
流流出口に向かう電流を流して電流磁界を印加し、この
状態で一定時間保持した後、電流磁界を保持したまま温
度TE まで冷却する。温度TE で電流磁界を取り去った
後に、媒体対向面と平行な方向(Y方向/MR膜27の
長手方向)に 1〜5kOe の外部磁場を印加し、外部磁場
を保持したまま室温まで冷却する。
【0111】(2) 温度TH において、MRヘッドに電流
流入口から電流流出口に向かう電流を流して電流磁界を
印加し、この状態で一定時間保持した後、電流磁界を保
持したまま温度TE まで冷却する。温度TE で電流磁界
を保持したままY方向に 1〜5kOe の外部磁場を印加し
て、電流磁界および外部磁場を保持したまま室温まで冷
却する。
【0112】(3) 温度TH において、MRヘッドに媒体
対向面と直交する方向(X方向/上記したY方向と直交
する方向)に 1〜5kOe の外部磁場を印加して一定時間
保持した後、外部磁場を保持したまま温度TE まで冷却
する。温度TE で印加磁場の方向をY方向に変え、その
後外部磁場を保持したまま室温まで冷却する。
【0113】なお、上記した熱処理条件において、温度
H は磁気ヨーク23の磁気異方性が動く温度である。
温度TE は、磁気ヨーク23の磁気異方性は動かず、M
R膜27の磁気異方性のみを制御することが可能な温度
である。
【0114】上述した熱処理を施した後に、電流流入
口、電流流出口、電流パス等を取り除き、さらに加工、
実装を行って、それぞれヨーク型MRヘッドを得た。さ
らに、以下に示す試料5のヨーク型MRヘッドを作製し
た。
【0115】[試料5]:まず基板上に図15に示した
リング状の磁気ヨークを形成した。磁気ヨークの具体的
な構造は、図23に示した反強磁性層/強磁性層/非磁
性層/強磁性層構造とした。強磁性層にはNi80Fe20
合金膜およびNi80Fe20/a-CoZrNb積層膜をそ
れぞれ用いた。非磁性層にはCuを用いた。反強磁性層
にはNi−Mn合金を用いた。磁気ヨークの微細パター
ンを形成した後、磁気ヨークの上下の強磁性層に磁気異
方性を付与するために、磁気ヨークに10mAの電流を流
し、723Kで10分間保持した。電流磁界により磁気異方性
を付与した後、電流を止めて降温した。磁気ヨークは図
35に示したように、複数個を直列に接続して形成し
た。この後、磁気ヨーク上にスピンバルブ膜を成膜し、
GMR素子の微細パターンを形成した。スピンバルブ膜
の磁化を固着するための磁界中アニールや微細加工、実
装を行ってヨーク型MRヘッドを得た。具体的なヘッド
構造は図6に示した構造を適用し、高抵抗磁性材料層3
5に絶縁性磁性体を用いた。
【0116】試料1〜5の各ヨーク型MRヘッドについ
て、それぞれ数ピースずつ再生波形を評価し、ノイズの
発生の有無を調べた。その結果として、各試料のノイズ
発生確率を表1に示す。試料4については、磁気ヨーク
23とMR膜27との間の絶縁性磁性体を高抵抗磁性体
に代えて、ヘッド動作時にセンス電流の一部を磁気ヨー
ク23に分流させた場合についても、同様に再生波形を
評価した。
【0117】いずれの試料においても、電流磁界をかけ
た状態で熱処理を施した実施例のヨーク型MRヘッド
は、ノイズの発生確率が小さくなっていることが分か
る。さらに試料4から、ヘッド動作時にバイアス磁界を
印加することによって、より良好な特性が得られること
が分かる。
【0118】次に、試料1〜5のMRヘッドの磁気ヨー
クとそれぞれ同様な構成を有し、ある相似比で拡大した
パターンを磁区評価用試料1′〜5′として作製した。
磁区評価用試料1′〜5′はパターンの大きさを10〜20
μm 角とし、膜厚は同一とした。これら磁区評価用試料
1′〜5′に対して、試料1〜5と同様に条件(1) 〜
(3) の熱処理を施した。磁区評価用試料1′〜5′にお
ける条件(3) の熱処理を施した比較例試料(比較例試料
の磁気ヨークに対応)、および条件(1),(2) の熱処理を
施した実施例試料(実施例試料の磁気ヨークに対応)に
ついて、カー効果実験によりスポットを絞って磁化方向
を観察した。観察点は図41に示すように、各試料とも
磁気ヨーク上のA〜Cの 3点とした。パターン角を10〜
20μm とした理由はカー効果実験により磁区を観察しや
すくするためである。
【0119】試料1の比較例試料の磁気ヨークに対応す
る試料は、無磁界中において 3点の観測点の磁化が図4
2に示した方向に配列していた。すなわち、A、B、C
の3点の観測点において、いずれも同方向に磁気異方性
が付与されており、A点およびB点の磁気異方性は磁気
路と平行であった。一方、良好な再生特性が得られた試
料1の実施例試料の磁気ヨークに対応する試料は、無磁
界中において 3点の観測点の磁化が図43に示した方向
に配列していた。すなわち、A点およびB点では幅方向
に磁気異方性が付与され、C点ではそれと略直交する方
向に磁気異方性が付与されていた。試料2〜5の磁気ヨ
ークに対応する試料についても同様な結果が得られた。
【0120】以上の実験から、電流磁界を印加しつつ熱
処理を行った条件(1),(2) においては、磁気ヨークに磁
気路と略直交する磁気異方性が付与されているため、バ
ルクハウゼンノイズを大幅に低減できることが分かる。
【0121】そこで、以下に構造を示す試料6〜13に
ついては磁気ヨークのみを作製し、カー効果実験による
磁化方向の観察結果に基いてノイズの発生確率を求め
た。試料11、12のみ実験時にセンス電流を供給する
ため、リードのみを形成した。カー効果実験によるA〜
Cの 3点において、少なくとも 2点で磁気路と平行な方
向の磁化が観察されたものを、ノイズ発生とみなした。
その結果を表1に併せて示す。試料6〜13の磁気ヨー
クにおいても、電流磁界をかけた状態で熱処理を施すこ
とで、ノイズの発生確率が小さくなっていることが分か
る。
【0122】[試料6]:試料1の磁気ヨークにおい
て、磁性体層にNiFe合金膜を用いる以外は、試料1
と同様な構造とした。
【0123】[試料7]:試料1の磁気ヨークにおい
て、磁性体層にa-CoZrNb/NiFe/Cu/Ni
Fe積層膜を用いる以外は、試料1と同様な構造とし
た。
【0124】[試料8]:試料1の磁気ヨークにおい
て、磁性体層にNiFe/Al2 3/NiFe積層膜
を用いる以外は、試料1と同様な構造とした。
【0125】[試料9]:試料1の磁気ヨークにおい
て、磁性体層にa-CoZrNb/NiFe/Al2 3
/a-CoZrNb/NiFe積層膜を用いる以外は、試
料1と同様な構造とした。
【0126】[試料10]:試料1の磁気ヨークにおい
て、磁性体層にa-CoZrNb/NiFe/Al2 3
/NiFe積層膜を用いる以外は、試料1と同様な構造
とした。
【0127】[試料11]:図28に示したヨーク型M
Rヘッドの磁気ヨークにおいて、磁性体層24にNiF
e合金膜、磁気ギャップに非磁性金属であるTi、絶縁
体層53にAl2 3 、非磁性金属層54にAu、A
l、Cu、Ag等の良導体膜を用いた。なお、非磁性金
属層54に対する電流供給は、図29に示した構造によ
り実施した。
【0128】[試料12]:試料11の磁気ヨークにお
いて、磁性体層24にa-CoZrNb磁性膜とNiFe
合金膜との積層膜を用いる以外は、試料11と同様な構
造とした。
【0129】[試料13]:図30に示したヨーク型M
Rヘッドの磁気ヨークにおいて、磁性体層24にa-Co
ZrNb磁性膜とNiFe合金膜との積層膜、磁気ギャ
ップ25にAl2 3 、絶縁体層53にAl2 3 、非
磁性金属層54にAu、Al、Cu、Ag等の良導体膜
を用いた。なお、磁気ヨーク23に対する電流供給は、
図32に示した構造により実施した。
【0130】
【表1】 以下に示す実施例2〜5については、上述した試料6〜
13と同様に、磁気ヨークのみを作製し、カー効果実験
による磁化方向の観察結果に基いてノイズの発生確率を
求めた。
【0131】実施例2 基板上に、図15に示したリング状の磁気ヨークを形成
した。磁気ヨークの具体的な構造は、図23に示した反
強磁性層/強磁性層/非磁性層/強磁性層構造とした。
強磁性層にはNi80Fe20、Ni90Fe10およびFe85
Al5 Si10をそれぞれ用いた。強磁性層の厚さはそれ
ぞれ 1〜 500nmの範囲で変化させた。非磁性層にはCu
を用いた。非磁性層の厚さは 0.5〜 100nmの範囲で変化
させた。反強磁性層にはNiO、Ir−Mn、Ni−M
nおよびCr−Mnをそれぞれ用いた。反強磁性層の厚
さはそれぞれ 2〜50nmの範囲で変化させた。具体的な磁
気ヨークの構造は表2に示す通りである。
【0132】磁気ヨークの微細パターンを形成した後、
磁気ヨークの上下の強磁性層に磁気異方性を付与するた
めに、磁気ヨークに 1〜50mAの電流を流し、表1に示し
た温度(Tk )で 5〜30分間保持した。電流磁界により
磁気異方性を付与した後、電流を止めて降温した。磁気
ヨークは図35に示したように、複数個を直列に接続し
て形成した。
【0133】実施例3 基板上に、図15に示したリング状の磁気ヨークを形成
した。磁気ヨークの具体的な構造は、図24に示した反
強磁性層/強磁性層/非磁性層/強磁性層/反強磁性層
構造とした。強磁性層にはNi80Fe20、Fe85Al5
Si10、およびCo−Fe−Ni(下地層としてアモル
ファスCo−Zr−Nb、Ni−Feを有する)をそれ
ぞれ用いた。強磁性層の厚さはそれぞれ 1〜 500nmの範
囲で変化させた。非磁性層にはCu、Al、Taを用い
た。非磁性層の厚さはそれぞれ0.5〜 100nmの範囲で変
化させた。反強磁性層にはIr−Mn、Ni−Mn、P
d−MnおよびCr−Mnをそれぞれ用いた。反強磁性
層の厚さはそれぞれ2〜50nmの範囲で変化させた。具体
的な構成は表3に示す通りである。上記構成の磁気ヨー
クを形成した後、実施例1と同様にして、電流を流しな
がら熱処理を行った。電流磁界により磁気異方性を付与
した。
【0134】実施例4 表4にそれぞれ構造を示したリング状の磁気ヨークを、
実施例2と同様にして作製した。この実施例4は磁気ヨ
ークを構成する積層膜に、多重積層膜や反強磁性層を内
側に配置した積層膜を用いたものである。
【0135】実施例5 表5にそれぞれ構造を示したリング状の磁気ヨークを、
実施例2と同様にして作製した。この実施例5は、磁気
ヨークとして機能する積層膜を、Al2 3 からなる絶
縁層を介して、電流磁界発生用の非磁性金属層(Cuや
Al等)の上に形成したものである。
【0136】実施例6 基板上に、図15に示したリング状の磁気ヨークを形成
した。磁気ヨークの具体的な構造は表5に示す通りであ
る。磁気ヨークの微細パターンを形成した後、磁気ヨー
クの強磁性層に磁気異方性を付与するために、表5に示
す温度まで加熱した磁気ヨークに対して、パルス電流
(10mA,50mA)を印加した。磁気ヨークは図35に示し
たように、複数個を直列に接続して形成した。
【0137】比較例 本発明との比較例として、Ni80Fe20およびFe85
5 Si10の単層膜からなる磁気ヨークを作製した。こ
の比較例の磁気ヨークには、電流を印加しながらの熱処
理は施していない。
【0138】上述した実施例2〜6および比較例による
各磁気ヨークの磁化方向を、実施例1と同様にカー効果
実験により観察した。カー効果実験によるA〜Cの 3点
において、少なくとも 2点で磁気路と平行な方向の磁化
が観察されたものをノイズ発生とみなし、ノイズ発生確
率を評価した。評価結果は表2〜表5に示した通りであ
る。表2〜表5から、実施例2〜6は比較例に比べてノ
イズ発生確率が低いことが分かる。
【0139】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】 次に、本発明の第2の磁気抵抗効果ヘッドを適用したヨ
ーク型MRヘッドの第2の実施形態について、図36お
よび図37を参照して説明する。
【0140】図36および図37は、この実施形態によ
るヨーク型MRヘッドの構成を示す図であり、図36は
その媒体対向面方向からの斜視図、図37はその断面図
である。これらの図に示すヨーク型MRヘッドは、前述
した各実施形態と同様に、絶縁下地層22を有するAl
2 3 ・TiC基板21の上に、磁気ヨーク23を構成
する一対の磁性体層24が形成されている。
【0141】この磁気ヨーク23となる一対の磁性体層
24は、磁気ギャップ25を介して対向配置されてい
る。一対の磁性体層24は、基板面に沿って並列形成さ
れており、かつ基板面と略平行となる同一平面を有して
いる。磁気ヨーク23となる一対の磁性体層24と磁気
ギャップ25とは、基板面に対して平行に配置されてい
る。なお、磁気ヨーク23や磁気ギャップ25等の構成
材料等については、前述した実施形態と同様である。
【0142】磁気ヨーク23となる一対の磁性体層24
の後方側、すなわち媒体対向面Sから後退した位置に
は、磁気ヨーク23にバイアス磁界(磁気バイアス)を
印加する硬磁性層55がそれぞれ配置されている。硬磁
性層55としては、例えばCoPt合金膜等が用いられ
る。この硬磁性層55により印加される磁気バイアスに
よって、磁気ヨーク23の磁区は制御されている。
【0143】磁気ヨーク23の磁気路と略平行な面上に
は、MR膜27が媒体対向面Sから所定距離後退した位
置に配置されている。MR膜27は、一対の磁性体層2
4の基板面と略平行な平面の上側に、図36では図示を
省略した絶縁層56を介して形成されている。なお、以
下の他の実施形態においても、同様に磁性体層24とM
R膜27との間は絶縁層56で絶縁されている。MR膜
27は、磁気ギャップ25をまたいで、一対の磁性体層
24の双方と磁気的に結合するように配置されている。
MR膜27の長手方向は、磁気ヨーク23の磁気路によ
り導かれた信号磁界方向と略平行とされている。
【0144】MR膜27の後方側、すなわち媒体対向面
Sから後退した位置には、MR膜27にバイアス磁界
(磁気バイアス)を印加する硬磁性層57が配置されて
いる。この硬磁性層57としては、上述した磁気ヨーク
23に磁気バイアスを印加する硬磁性層55と同様に、
CoPt合金膜等が用いられる。この硬磁性層57によ
り印加される磁気バイアスによって、MR膜27の磁区
は制御されている。
【0145】MR膜27上には、その両端に電気的に接
続されたCu等からなる一対のリード28が形成されて
いる。この一対のリード28は、磁気ヨーク23の磁気
路と略平行なMR膜27の長手方向に、センス電流を流
すように配置されている。MR膜27は絶縁膜を介して
磁気シールド層により覆うことが好ましい。これにより
外乱磁界によるノイズの発生を防止することができる。
【0146】上記構成のヨーク型MRヘッドにおいて
は、磁気ヨーク23およびMR膜27に硬磁性層55、
57によりバイアス磁界(磁気バイアス)を印加してい
るため、磁気ヨーク23やMR膜27における磁区の発
生が抑制さる。よって、優れた線形応答性が得られる。
特に磁気ヨーク23でのバルクハウゼンジャンプに起因
するノイズを低減することができる。
【0147】さらに、MR膜27を最低限媒体対向面S
から後退させた位置に精度よく形成することができる。
すなわち、MR膜27は媒体対向面Sに近接した位置に
精度よく配置される。このため、多くの信号磁界をMR
膜27に導くことができる。従って、従来のヨーク型M
Rヘッドの欠点の 1つであった出力低下を回避すること
が可能となる。さらに、磁気ヨーク23となる一対の磁
性体層24とMR膜27とのオーバーラップ量を、MR
膜27の媒体対向面Sからの距離に関係なく設定するこ
とができる。よって、再生出力のばらつきを小さくする
ことが可能となる。以下、その効果を定量的に説明す
る。
【0148】すなわち、磁気ギャップ25(幅:g) を挟
んで対向する一対の磁性体層24(厚さ:t1 ,t2 、透磁
率:μ1 ,μ2 )により媒体磁束を吸い上げる場合、磁
性体を通る磁束密度は媒体対向面から遠ざかるにつれて
減衰する。磁性体を通る磁束密度が磁性体先端における
値より 1/eに減衰する距離λは特性長と呼ばれ、以下の
式により与えられる。
【0149】 1/λ〜(1/g μ1 t1 +1/g μ2 t2 0.5 例えば、記録密度が1Gb/inch2 の場合、図36に示すヨ
ーク型MRヘッドではg=0.25μm 、 t1 =t2 =2μm 、μ
1 = μ2 =1000 程度である。特性長λは16μm前後とな
る。よって、上記構成のMRヘッドにおいて、MR膜2
7を媒体対向面Sから 1.0μm 程度後退させても、ヘッ
ドに流入する磁束の 90%程度をMR膜27に導くことが
できる。よって、基本的に出力低下はない。ヘッドが
0.5μm 程度磨耗したとしても、ヘッドに流入する磁束
は5%程度増えるだけである。従って、出力変動はほとん
ど無視することができる。さらに、磁気ヨーク23とな
る一対の磁性体層24とMR膜27とのオーバーラップ
量を、MR膜27の媒体対向面Sからの距離に関係な
く、十分に大きく設定することができるため、再生出力
のばらつきは小さい。
【0150】硬質磁性層57に代えて、MR膜27にバ
イアス層を積層することによって、MR膜27を単磁区
化してバルクハウゼンノイズを除去してもよい。バイア
ス層としては、CoPt等の硬質磁性膜(MR膜27
(例えばスピンバルブ膜の場合には磁化フリー層)より
も保磁力または磁気異方性が大きな膜)、あるいはIr
Mn等の反強磁性膜が用いられる。具体的な構成例を挙
げると、MR膜27に第1の反強磁性バイアス層(Ir
Mn、NiMn等)/磁化ピン層(CoFe、Co、N
iFeCo、NiFe等)/非磁性層(Cu等)/磁化
フリー層(CoFe、Co、NiFeCo、NiFe
等)の積層膜からなるスピンバルブ膜を用いる場合、磁
化フリー層に隣接して第2のバイアス膜を積層する。こ
の第2のバイアス膜によって、磁化ピン層に隣接した第
1の反強磁性バイアス層とは90°異なる方向(磁気ヨー
クからの信号磁束伝播方向(図37のz方向))に、磁
化フリー層を単磁区化するバイアス磁界を付与する。第
2のバイアス膜からのバイアス磁界が強すぎると感度が
低下するので、第2のバイアス膜と磁化フリー層との間
にバイアス磁界調整層(Cuやアルミナ等の非磁性層、
あるいはNiFeNb等の飽和磁化の小さい磁性層)を
挿入して、バイアス磁界を弱めてもよい。
【0151】さらに、硬質磁性層57に代えてMR膜2
7のセンス電流による磁界を利用してもよい。MR膜2
7にスピンバルブ膜を用いる場合の一構成例を挙げる
と、磁化フリー層に電気絶縁層を介して軟磁性膜を積層
する。従って、この軟磁性膜にはセンス電流は流れな
い。磁化フリー層と軟磁性膜とは同様な微細形状に加工
される。このような構成を用いると、図37のx方向に
通電されるセンス電流から発生する磁界によって、軟磁
性膜は図37のz方向に磁化される。その結果、磁化フ
リー層には軟磁性膜からの静磁界が軟磁性膜の磁化方向
とは 180°異なる方向(軟磁性膜の磁化がプラスz方向
であればマイナスz方向)に加わり、z方向に磁化フリ
ー層が単磁区化されて、バルクハウゼンノイズを除去す
ることができる。スピンバルブ膜の反強磁性層に絶縁層
を介して軟磁性膜を積層してもよい。センス電流磁界を
利用した他の例を以下に示す。磁化フリー層/非磁性層
/磁化ピン層/反強磁性層/磁化ピン層/非磁性層/磁
化フリー層の積層膜からなるスピンバルブ膜を用いる。
このスピンバルブ膜に通電されるセンス電流磁界によっ
て、上下 2つの磁化フリー層をそれぞれマイナスz方向
とプラスz方向に磁化する。このような構成によると、
単に 1つの磁化フリー層を電流磁界で単磁区化するより
も、お互いの静磁界を利用することができるため、より
安定な単磁区化が実現できる。
【0152】上述した実施形態のヨーク型MRヘッドに
おいては、逆に多くの磁束がMR膜27に流入するた
め、MR膜27の大部分が小さな磁界で飽和する可能性
がある。これにより抵抗変化がすぐに飽和するといった
弊害が生じる場合がある。このような場合には、例えば
図38に示すように、MR膜27の中央付近を上方に屈
曲させ、MR膜27と磁気ヨーク23との間隙を広くす
る。これにより、抵抗変化の飽和を抑制することができ
る。
【0153】図39に示すように、MR膜27の配置位
置となる部分の一対の磁性体層24間の間隙を広く設定
することも効果的である。この際、実質的な磁気ギャッ
プとなる媒体対向面側は狭ギャップを維持させる。この
ような構造のヨーク型MRヘッドにおいては、MR膜2
7の抵抗を大きくすることができる。さらに、狭ギャッ
プ(例えば0.05〜 0.2μm )を維持した上で、一対の磁
性体層24間の距離を0.5〜 1.0μm 程度と広くするこ
とによって、媒体磁界で飽和しない部分を増大させるこ
とができる。従って、抵抗変化の飽和を抑制することが
でき、さらには線形性のよいMRヘッドが実現できる。
【0154】上述した実施形態は、磁気ヨーク23およ
びMR膜27に硬磁性層55、57によりバイアス磁界
を印加する例である。さらに、前述した第1の実施形態
で説明した電流磁界による磁気バイアスと硬磁性層によ
る磁気バイアスとを組合せて使用することもできる。図
40に示すように、MR膜27の後方部分には硬磁性層
57を配置する。磁気ヨーク23となる一対の磁性体層
24上には、Al2 3 等からなる絶縁層58を介し
て、Cu等からなる配線層59を形成する。なお配線層
59の形成位置は、記録媒体との接触を考慮して、媒体
対向面Sから若干後退した位置としてもよい。
【0155】磁性体層24上の配線層59に通電するこ
とによって、磁気ヨーク23に電流磁界による磁気バイ
アスを印加する。一方、MR膜27には硬磁性層57に
より磁気バイアスを印加する。このような構成によって
も、優れた線形応答性が得られると共に、バルクハウゼ
ンノイズを低減することができる。
【0156】なお、上述した各実施形態では、MR膜を
磁気ヨーク上に配置した例について説明したが、本発明
はこれに限られるものではない。磁気ヨークをMR膜上
に設けた場合にも同様な効果が得られる。
【0157】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の磁
気抵抗効果ヘッドによれば、リード形成に伴うMR膜の
特性低下や歩留り低下を抑制することができる。また、
MR膜の感度や出力の向上が図れる。さらに、磁気ヨー
クやリード等の作製工程を簡素化して低コスト化するこ
とができる。従って、優れた特性および信頼性を有する
ヨーク型MRヘッドを低コストおよび高歩留りで提供す
ることが可能となる。また、第2および第3の磁気抵抗
効果ヘッドによれば、磁気ヨーク等に起因するバルクハ
ウゼンノイズを抑制することができる。従って、優れた
特性を有するヨーク型MRヘッドを低コストおよび高歩
留りで提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1のヨーク型MRヘッドの一実施
形態の概略構成を示す斜視図である。
【図2】 図1に示すヨーク型MRヘッドの変形例を示
す斜視図である。
【図3】 本発明の第1のヨーク型MRヘッドの他の実
施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図4】 本発明の第2のヨーク型MRヘッドの第1の
実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図5】 図4に示すヨーク型MRヘッドにおける磁気
ヨークの磁区制御状態を説明するための図である。
【図6】 図4に示すヨーク型MRヘッドの変形例を示
す斜視図である。
【図7】 図4に示すヨーク型MRヘッドにおける磁気
ヨークの変形例を示す断面図である。
【図8】 図4に示すヨーク型MRヘッドにおける磁気
ヨークの他の変形例を示す断面図である。
【図9】 図4に示すヨーク型MRヘッドの他の変形例
を示す斜視図である。
【図10】 図6に示すヨーク型MRヘッドの変形例を
示す斜視図である。
【図11】 図4に示すヨーク型MRヘッドのさらに他
の変形例を示す斜視図である。
【図12】 本発明の第1および第2のヨーク型MRヘ
ッドを適用した一実施形態の概略構成を示す斜視図であ
る。
【図13】 本発明の第1および第2のヨーク型MRヘ
ッドを適用した他の実施形態の概略構成を示す斜視図で
ある。
【図14】 図13に示すヨーク型MRヘッドの変形例
を示す斜視図である。
【図15】 本発明の第3のヨーク型MRヘッドの一実
施形態における磁気ヨークを示す図である。
【図16】 図15に示す磁気ヨークの変形例を示す図
である。
【図17】 図15に示す磁気ヨークの他の変形例を示
す図である。
【図18】 図15に示す磁気ヨークを構成する磁性体
層の変形例を示す断面図である。
【図19】 図15に示す磁気ヨークに強磁性層と非磁
性層との積層膜を適用した一構造例を示す断面図であ
る。
【図20】 図15に示す磁気ヨークに強磁性層と非磁
性層との積層膜を適用した他の構造例を示す断面図であ
る。
【図21】 図20に示す磁気ヨークの変形例を示す断
面図である。
【図22】 図15に示す磁気ヨークに強磁性層と非磁
性層との積層膜を適用したさらに他の構造例を示す断面
図である。
【図23】 図15に示す磁気ヨークに反強磁性層と強
磁性層と非磁性層との積層膜を適用した一構造例を示す
断面図である。
【図24】 図23に示す磁気ヨークの変形例を示す断
面図である。
【図25】 図23に示す磁気ヨークの他の変形例を示
す断面図である。
【図26】 図15に示す磁気ヨークに反強磁性層と強
磁性層と非磁性層との積層膜を適用した他の構造例を示
す断面図である。
【図27】 図26に示す磁気ヨークの変形例を示す断
面図である。
【図28】 本発明の第3のヨーク型MRヘッドの他の
実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図29】 図28に示すヨーク型MRヘッドの熱処理
時における電流の印加状態を説明するための図である。
【図30】 図28に示すヨーク型MRヘッドの変形例
を示す斜視図である。
【図31】 図30に示すヨーク型MRヘッドの熱処理
時における電流の印加状態の一例を説明するための図で
ある。
【図32】 図30に示すヨーク型MRヘッドの熱処理
時における電流の印加状態の他の例を説明するための図
である。
【図33】 本発明の第3のヨーク型MRヘッドの具体
的な製造状態の一例を示す図である。
【図34】 本発明の第3のヨーク型MRヘッドの具体
的な製造状態の他の例を示す図である。
【図35】 本発明の第3のヨーク型MRヘッドの具体
的な製造状態のさらに他の例を示す図である。
【図36】 本発明の第2のヨーク型MRヘッドの第2
の実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図37】 図36に示すヨーク型MRヘッドの断面図
である。
【図38】 図36に示すヨーク型MRヘッドの変形例
を示す斜視図である。
【図39】 図36に示すヨーク型MRヘッドの他の変
形例を示す斜視図である。
【図40】 本発明の第2のヨーク型MRヘッドの他の
実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図41】 本発明の実施例における磁気ヨークの磁化
方向の観察点を示す図である。
【図42】 試料1における比較例試料の磁気ヨークに
対応する磁区評価用試料の磁化方向の観察結果を模式的
に示す図である。
【図43】 試料1における実施例試料の磁気ヨークに
対応する磁区評価用試料の磁化方向の観察結果を模式的
に示す図である。
【図44】 従来のシールド型MRヘッドの概略構成を
示す斜視図である。
【図45】 従来のヨーク型MRのヘッド概略構成を示
す斜視図である。
【図46】 従来の他のヨーク型MRヘッドの概略構成
を示す斜視図である。
【符号の説明】
21……基板 23……磁気ヨーク 24……磁性体層 25……非磁性絶縁材料からなる磁気ギャップ 27……MR膜 28……一対のリード 29……磁性体リード部 30……低抵抗リード部 34……非磁性低抵抗材料からなる磁気ギャップ 36……強磁性層 37、45……非磁性層 38、39、43、44、46、48、49、50……
積層膜 47……反強磁性層 53……絶縁体層 54……電流磁界発生用の非磁性金属層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 與田 博明 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 岩崎 仁志 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 佐橋 政司 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 小林 忠彦 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 大沢 裕一 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内 (72)発明者 上口 裕三 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝川崎事業所内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、前記基板上に配置された磁気ヨ
    ークと、前記磁気ヨークの媒体対向面側に介在された磁
    気ギャップと、少なくとも両端部が前記磁気ヨークと磁
    気的に結合され、媒体対向面から所定距離後退した位置
    に形成された磁気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜に
    センス電流を供給する一対のリードとを具備する磁気抵
    抗効果ヘッドであって、 前記一対のリードは、前記磁気ヨークと共通の磁性体層
    により構成された磁性体リード部を有することを特徴と
    する磁気抵抗効果ヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気抵抗効果ヘッドにお
    いて、 前記磁気ヨークは前記基板表面に対して略平行な平面を
    有し、かつ前記磁気抵抗効果膜は前記磁気ヨークの平面
    に沿って形成されていることを特徴とする磁気抵抗効果
    ヘッド。
  3. 【請求項3】 基板と、前記基板の主表面に沿って配置
    され、かつ前記基板の主表面に略平行な平面を有する磁
    気ヨークと、前記磁気ヨークの媒体対向面側に介在され
    た磁気ギャップと、少なくとも両端部が前記磁気ヨーク
    と磁気的に結合され、媒体対向面から所定距離後退した
    位置に前記磁気ヨークの平面に沿って形成された磁気抵
    抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜にセンス電流を供給す
    る一対のリードとを具備する磁気抵抗効果ヘッドであっ
    て、 前記磁気ヨークおよび磁気抵抗効果膜には、少なくとも
    ヘッド動作時にバイアス磁界が印加されることを特徴と
    する磁気抵抗効果ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の磁気抵抗効果ヘッドにお
    いて、 前記磁気ヨークにはヘッド動作時に電流が供給され、前
    記電流により生じる磁界により前記バイアス磁界が印加
    されることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項3記載の磁気抵抗効果ヘッドにお
    いて、 前記磁気ヨークは、前記センス電流の一部が分流するよ
    うに、前記一対のリードと電気的に接続されていること
    を特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項4記載の磁気抵抗効果ヘッドにお
    いて、 前記磁気ヨークは、強磁性層と低抵抗非磁性層との積層
    膜により構成されていることを特徴とする磁気抵抗効果
    ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の磁気抵抗効果ヘッドにお
    いて、 前記磁気ヨークは、前記磁気抵抗効果膜を介して前記一
    対のリードと電気的に接続されており、前記磁気ヨーク
    と前記磁気抵抗効果膜との間には、前記磁気抵抗効果膜
    の電流より前記磁気ヨークの電流が小さくなるように、
    高抵抗磁性層が介在されていることを特徴とする磁気抵
    抗効果ヘッド。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の磁気抵抗効果ヘッドにお
    いて、 前記一対のリードは、前記磁気ヨークと共通の磁性体層
    により構成された磁性体リード部を有していることを特
    徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  9. 【請求項9】 請求項4記載の磁気抵抗効果ヘッドにお
    いて、 前記磁気ヨークは前記バイアス磁界により磁区制御さ
    れ、その磁化方向は前記磁気ヨークの磁気路に対して略
    直交する方向とされていることを特徴とする磁気抵抗効
    果ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項4記載の磁気抵抗効果ヘッドに
    おいて、 前記磁気ヨークには、その形状に応じて、部位により異
    なる方向の磁気異方性が付与されていることを特徴とす
    る磁気抵抗効果ヘッド。
  11. 【請求項11】 請求項4記載の磁気抵抗効果ヘッドに
    おいて、 前記磁気抵抗効果膜は、磁性層と非磁性層との積層膜を
    有する巨大磁気抵抗効果膜からなることを特徴とする磁
    気抵抗効果ヘッド。
  12. 【請求項12】 基板と、前記基板の主表面に沿って配
    置され、かつ前記基板の主表面に略平行な平面を有する
    磁気ヨークと、前記磁気ヨークの媒体対向面側に介在さ
    れた磁気ギャップと、少なくとも両端部が前記磁気ヨー
    クと磁気的に結合され、媒体対向面から所定距離後退し
    た位置に、前記磁気ヨークの平面に沿って形成された磁
    気抵抗効果膜と、前記磁気抵抗効果膜にセンス電流を供
    給する一対のリードとを具備する磁気抵抗効果ヘッドで
    あって、 前記磁気ヨークはその形状に応じて、部位により異なる
    方向の磁気異方性が付与されていることを特徴とする磁
    気抵抗効果ヘッド。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の磁気抵抗効果ヘッド
    において、 前記磁気異方性は、前記磁気ヨークによる磁気路と前記
    磁気ヨーク全体の磁化容易軸とが略直交するように付与
    されていることを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  14. 【請求項14】 請求項12記載の磁気抵抗効果ヘッド
    において、 前記磁気ヨークは、電流磁界により付与された前記磁気
    異方性を有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  15. 【請求項15】 請求項12記載の磁気抵抗効果ヘッド
    において、 前記磁気ヨークは、強磁性層と非磁性層との積層膜によ
    り構成され、前記積層膜は少なくとも 1つの非磁性金属
    層を有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  16. 【請求項16】 請求項12記載の磁気抵抗効果ヘッド
    において、 前記磁気ヨークは、強磁性層と、前記強磁性層に隣接し
    て配置された反強磁性層とを有することを特徴とする磁
    気抵抗効果ヘッド。
  17. 【請求項17】 請求項12記載の磁気抵抗効果ヘッド
    において、 さらに、前記磁気ヨークに絶縁層を介して配置された、
    電流磁界を発生させる非磁性金属層を具備することを特
    徴とする磁気抵抗効果ヘッド。
  18. 【請求項18】 請求項12記載の磁気抵抗効果ヘッド
    において、 前記磁気抵抗効果膜は、磁性層と非磁性層との積層膜を
    有する巨大磁気抵抗効果膜からなることを特徴とする磁
    気抵抗効果ヘッド。
  19. 【請求項19】 磁気ヨークを有する磁気抵抗効果ヘッ
    ドの製造方法において、 基板上に前記磁気ヨークを形成する工程と、 前記磁気ヨークまたは前記磁気ヨーク近傍に設けられた
    電気回路に電流を流すことにより、前記磁気ヨークに電
    流磁界を印加しながら熱処理し、前記磁気ヨークの形状
    に応じて、部位により異なる方向の磁気異方性を付与す
    る工程と、 前記磁気ヨーク上に、磁気抵抗効果膜および前記磁気抵
    抗効果膜にセンス電流を供給する一対のリードを形成す
    る工程とを有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 請求項19記載の磁気抵抗効果ヘッド
    の製造方法において、前記熱処理時に前記基板上に複数
    形成された前記磁気ヨークに対して、前記電流を直列に
    流すことを特徴とする磁気抵抗効果ヘッドの製造方法。
  21. 【請求項21】 磁気ヨークを有する磁気抵抗効果ヘッ
    ドの製造方法において、 基板上に、媒体対向面側に非磁性材料からなる磁気ギャ
    ップが介在され、前記磁気ギャップを介して相対する部
    分が電気的に接続された前記磁気ヨークを形成する工程
    と、 前記磁気ヨークまたは前記磁気ヨーク近傍に設けられた
    電気回路に電流を流すことにより、前記磁気ヨークに電
    流磁界を印加しながら熱処理し、前記磁気ヨークの形状
    に応じて、部位により異なる方向の磁気異方性を付与す
    る工程と、 前記磁気ヨーク上に、磁気抵抗効果膜および前記磁気抵
    抗効果膜にセンス電流を供給する一対のリードを形成す
    る工程とを有することを特徴とする磁気抵抗効果ヘッド
    の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の磁気抵抗効果ヘッド
    の製造方法において、前記熱処理時に前記基板上に複数
    形成された前記磁気ヨークに対して前記電流を直列に流
    すことを特徴とする磁気抵抗効果ヘッドの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7068475B2 (en) 2001-02-27 2006-06-27 Fujitsu Limited Magnetic head having a flux-guide regulating film regulating a magnetic domain of a flux guide
CN111693911A (zh) * 2019-03-11 2020-09-22 Tdk株式会社 磁传感器装置

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