JPH10142832A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー

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JPH10142832A
JPH10142832A JP29427996A JP29427996A JPH10142832A JP H10142832 A JPH10142832 A JP H10142832A JP 29427996 A JP29427996 A JP 29427996A JP 29427996 A JP29427996 A JP 29427996A JP H10142832 A JPH10142832 A JP H10142832A
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裕司 御厨
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祐一 溝尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種環境下での現像安定性、現像スリーブ上
での均一コート性及び多数枚耐久に優れた静電荷像現像
用トナーを提供することにある。 【解決手段】 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有す
るトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
シリコーンオイルで処理された下記式(1) [M]a[Si]bc (1) 〔式中、MはSr,Mg,Zn,Co,Mn及びCeか
らなるグループから選択される金属元素を示し、aは1
〜9の整数を示し、bは1〜9の整数を示し、cは3〜
9の整数を示す。〕で示される複合酸化物を含む粒子
(A)を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法又は静
電印刷法等で形成された静電荷像を現像するためのトナ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真法としては米国特許第2,29
7,691号明細書、特公昭42−23910号公報及
び特公昭43−24748号公報に記載されている如く
多数の方法が知られている。一般には光導電性物質を利
用し、種々の手段により感光体上に電気的潜像を形成
し、次いで潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて
紙の如き転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧
力、加熱圧力或いは溶剤蒸気により定着し、トナー画像
を得るものである。
【0003】近年においては、複写機のデジタル化及び
トナーの微粒子化により、複写機の多機能化、コピー画
像の高画質化、更に環境問題への取り組みとして省エネ
ルギーの観点から定着方式の改良によるファーストコピ
ー時間の短縮が望まれている。しかしながら、画像の解
像力や鮮映度を上げることを目的とした、トナーの微粒
子化とファーストコピー時間の短縮により、新たな問題
が生じてくる。つまり、トナー粒子径を小さくすること
により、トナーの表面積が増え、トナーの帯電特性が、
より環境の影響を受け易く、特に、高温高湿下に長期放
置した場合には水分の影響を受け易く、放置後の画像濃
度低下がおこる。
【0004】また、最近のデジタル複写機に至っては、
文字入りの写真画像においてそのコピー画像の文字は鮮
明で、写真画像は、原稿に忠実な濃度階調性が得られる
ということが要求されている。一般に、文字入り写真画
像のコピーにおいて、文字を鮮明にする為にライン濃度
を高くすると、写真画像の濃度階調性が損なわれるばか
りでなく、ハーフトーン部分では非常にがさついた画像
となる。また、逆に写真画像の濃度階調性を良くしよう
とすると、文字ラインの濃度が低下し、鮮明さが悪くな
る。近年においては、画像濃度を読み取り、デジタル変
換によって濃度階調性はある程度改良されてきている。
しかし、未だ十分とは言えないのが現状である。これは
現像剤の現像特性によるものが大きい。つまり現像電位
(感光体電位と現像剤担持体電位との差)と、画像濃度
とが直線的な関係にならず、図2に示した様に、現像電
位が低いところでは下に凸、現像電位の高いところで
は、逆に上に凸の曲線を描く。従ってハーフトーン領域
においてはわずかな現像電位の変化により、画像濃度は
非常に大きく変化することになる。このことにより、十
分に満足し得る濃度階調性を得るのが難しいのである。
【0005】通常、ライン画像をコピーしてその鮮明さ
を保つには、エッジ効果の影響を受ける為に、エッジ効
果を受けにくいベタ画像部での最大画像濃度は1.30
程度のもので十分である。
【0006】しかし、写真画像では、写真そのものの最
大濃度が、その表面光沢性によるものが大きく、1.9
0〜2.00と非常に高い。従って、写真画像のコピー
において、その表面の光沢性を抑えたとしても、画像面
積が大きい為、エッジ効果による濃度アップはしないの
で、ベタ画像部での最大画像濃度は、1.4〜1.5程
度は必要である。従って、現像電位と画像濃度とを一次
の(直線的な)関係にし、かつ最大画像濃度を1.4〜
1.5にすることが、文字入り写真画像のコピーにおい
ては非常に重要なものとなってくる。
【0007】さらに、デジタル複写機は反転現像方式で
あるため、現像時、トナーは感光体の無電荷部分もしく
は同極性の個所に電界により現像され、感光体表面には
現像剤の静電誘導により発生した電荷で保持されること
になる。
【0008】従って、現像剤が安定して感光体による搬
送を受けるためには、静電誘導を引き起こす現像剤の帯
電量を高くする必要がある。
【0009】また、転写時、転写材(転写紙等)は、感
光体と反対極性に帯電されるため、転写に寄与する電流
を高くすると、転写材と感光体とが電気的に密着する巻
付現象や、転写されたトナーが再度、感光体に引き戻さ
れるすなわち、再転写等の問題を生じやすい。
【0010】従って、転写電流は必然的に従来よりも弱
くなり、その場合弱い電界で転写効率を下げない様にす
るためには、現像剤の帯電量を高くし、トナーと感光体
との離型性を増す必要がある。
【0011】すなわち、従来の現像剤では、現像時にお
いて、帯電量の不足により現像率が下がり画像濃度が低
下すると共に、より帯電量の高いトナーが消費される、
いわゆる選択現像が起こるため相対的に帯電量の低い現
像剤が、現像スリーブ上により多く残ることになり、現
像器中のトナー粒径が粗大化し、耐久による画質劣化が
起る。
【0012】また、転写時においては、帯電量の不足に
より転写率が下がり、画像濃度が低下すると共に帯電量
が下がり、電界に拘束されにくくなるために、転写によ
る現像剤の飛散が起り画質低下が起る。
【0013】一方これまで、電子写真法での帯電手段と
しては、コロナ放電を利用した手段が用いられていた。
しかしながら、コロナ放電を用いると多量のオゾンを発
生することからフィルタを具備する必要性があり、装置
の大型化又はランニングコストアップなどの問題点があ
った。
【0014】このような問題点を解決するための技術と
して、ローラー又はブレードなどの帯電部材を感光体表
面に当接させることにより、その接触部分近傍に狭い空
間を形成し所謂パッションの法則で解釈できるような放
電を形成させ、オゾン発生を極力抑えた帯電方法が開発
されている。この中でも特に帯電部材として帯電ローラ
ーを用いたローラー帯電方式が、帯電の安定性という点
から好ましく用いられている。
【0015】例えば、特開昭63−149669号公報
や特開平2−123385号公報が提案されている。こ
れらは、接触帯電方法や接触転写方法に関するものであ
るが、静電潜像担持体に導電性弾性ローラーを当接し、
該導電性ローラーに電圧を印加しながら該静電潜像担持
体を一様に帯電し、次いで露光,現像工程によってトナ
ー像を得た後、該静電潜像担持体に電圧を印加した別の
導電性ローラーを押圧しながらその間に転写材を通過さ
せ、該静電潜像担持体上のトナー画像を転写材に転写し
た後、定着工程を経て複写画像を得ている。
【0016】しかしながら、このような接触帯電装置に
おいても、その本質的な帯電機構は、帯電部材から感光
体への放電現象を用いているため、先に述べたように帯
電に必要とされる電圧は感光体表面電位以上の値が必要
とされる。また、帯電均一化のためにAC帯電を行なっ
た場合には、AC電圧の電界による帯電部材と感光体の
振動,騒音(以下AC帯電音と称す)の発生、また、放
電による感光体表面の劣化等が顕著になり、それに伴い
トナー或はトナー成分の一部が感光体表面に付着する融
着やフィルミング等が新たな問題点となっている。
【0017】また、このようなコロナ放電を用いないロ
ーラー転写方式においては、転写部材が転写時に転写部
材を介して感光体に当接されるため、通紙前後の空回転
時にトナーの摺擦によりフィルミングが発生したり、感
光体上に形成されたトナー像を転写材へ転写する際にト
ナー像が圧接され、所謂、転写中抜けと称される部分的
な転写不良が発生し画像品質上の大きな問題となってい
る。
【0018】これを解決するために特開平3−1214
62号公報では、シリコーンオイルにより処理された疎
水性無機微粉体を含有する現像剤を用いる画像形成装置
が提案されている。しかし、はがきやケント紙の様な単
位あたりの重量が100g/m2を超える厚い転写紙や
OHPシートでは今だ充分には改善されておらず、更に
ドラムヒーターレス、ファーストコピー時間の短縮とい
う現在の複写機に要求される項目を満たし得ない。
【0019】また、これらの帯電部材は接触しているが
ゆえに、転写残トナーやクリーナーをすり抜けたトナー
が転写部材や帯電部材に付着し、多量に堆積すると均一
帯電,均一転写を疎外し、ハーフトーン画像において、
スジが現われたりムラが現われたりする。
【0020】また、転写材上に転写されずに感光体上に
残ったトナー粒子は、クリーニング工程により感光体上
より除去されるが、このクリーニング工程については、
従来ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニン
グ、ローラークリーニング等が用いられていた。いずれ
の方法も力学的に転写残余のトナーを掻き落とすか、ま
たはせき止めて廃トナー容器へと捕集されるものであっ
た。よって、このような部材が感光体表面に押し当てら
れることに起因して例えば、部材を強く押し当てること
により感光体を摩耗させ感光体上に傷を生じ画像に現わ
れること、トナーがドラム表面上に固着(融着)しやす
いこと、遊離したシリカ等の外添剤がドラム表面に付着
する(フィルミング)こと等の問題が生じていた。
【0021】これらの種々の問題点をクリヤーするた
め、トナーの帯電量をできる限り高く、かつ均一にコン
トロールすること及び、トナーと感光体との離型性を向
上させることが重要である。更に、後述する様に現在要
求されている複写機の構成上、特に起こりうる高温高湿
環境における、トナー帯電量の低下、トナー流動性の低
下を防止し、かつ長期に亘り安定した画像を維持するこ
とが重要である。
【0022】帯電量の安定化を図る方法として、特開昭
58−66951号公報、特開昭59−168458号
公報〜59−168460号公報、特開昭59−170
847号公報等で導電性酸化亜鉛及び酸化錫を用いる方
法が開示されている。また、特開昭60−32060号
公報においては、2種の無機粉末を用い、感光体面に生
成もしくは付着する紙粉、オゾン付着物などを除去する
方法が開示されている。また、特開平2−110475
号公報においては、金属架橋したスチレン・アクリル樹
脂を用いたトナーに、2種の無機微粉体を用いて、感光
体面に生成もしくは付着する紙粉、オゾン付加物などの
除去及び高温高湿下でのトナー飛散、画像流れ、画像濃
度低下を改良する方法が開示されている。しかし、これ
らの方法では、トナーを微粒子化した上で、現在複写機
の構成上要求される、ファーストコピー時間の短縮を図
ることは、画像濃度の低下という点から困難である。
【0023】また、特開昭61−236559号公報、
特開昭63−2073号公報にて、酸化セリウム粒子を
用いてトナーの帯電性を向上させる方法が開示されてい
る。しかし、これらの方法では確かに帯電性の向上は図
られるが、有機感光体を用いた場合には、酸化セリウム
の研磨剤効果により、連続コピーにより感光体表面層が
徐々に削りとられ、画像劣化の原因となる。つまり、ト
ナーの微粒子化に伴い、トナーを均一に帯電させ、なお
かつ、高温高湿下での長期放置に対してもトナーの帯電
を低下させず、長期に亘り安定した画像を提供する現像
剤が待望されている。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
全ての問題点を解決した静電荷像現像用トナーを提供す
ることにある。
【0025】本発明の目的は、高温高湿環境下でも初期
から高画像濃度の得られる静電荷像現像用トナーを提供
することにある。
【0026】本発明の目的は、高温高湿環境下に放置後
においても高画像濃度の得られる静電荷像現像用トナー
を提供することにある。
【0027】本発明の目的は、トナーを現像剤担持体上
に均一に塗布し得、トナー粒子を効率良く、均一に摩擦
帯電し得る静電荷像現像用トナーを提供することにあ
る。
【0028】本発明の目的は、初期から濃度が安定し、
低湿下・高湿下においても、カブリやムラのない均一な
濃度の画像が長期に亘り安定して得られる静電荷像現像
用トナーを提供することである。
【0029】本発明の目的は、トナーが高い流動性を有
し、高解像度で、高い鮮鋭さを有し、原稿に忠実な画像
を形成する静電荷像現像用トナーを提供することであ
る。
【0030】本発明の目的は、ハーフトーン画像,ベタ
画像においても均一でガサツキの無い静電荷像現像用ト
ナーを提供することである。
【0031】本発明の目的は、接触帯電手段を用いた画
像形成方法においても、転写中抜けが無く、画像欠けが
ない高い転写効率の静電荷像現像用トナーを提供するこ
とである。
【0032】本発明の目的は、長期使用に際しても、感
光体へのトナー付着,融着,フィルミングを防ぐことが
できる静電荷像現像用トナーを提供することである。
【0033】本発明の目的は、種々の環境下において多
数の複写を行った場合でも、安定して高画質及び高画像
濃度を提供し得る静電荷像現像用トナーを提供すること
である。
【0034】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも結
着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子を有する静電荷
像現像用トナーにおいて、シリコーンオイルで処理され
た下記式(1) [M]a[Si]bc (1) 〔式中、MはSr,Mg,Zn,Co,Mn及びCeか
らなるグループから選択される金属元素を示し、aは1
〜9の整数を示し、bは1〜9の整数を示し、cは3〜
9の整数を示す。〕で示される複合酸化物を含む粒子
(A)を有することを特徴とする静電荷像現像用トナー
に関する。
【0035】
【発明の実施の形態】トナーには、その粒径に分布があ
る様に、帯電量においても帯電量分布が存在する。この
分布状態は一成分トナーの場合、トナーを構成する材
料、例えば磁性体や着色剤等の分布状態やトナーの粒度
分布の影響を受ける。トナーを構成する材料が均一に分
散されている場合は帯電量分布は、主にトナーの粒度分
布の影響を受ける。
【0036】一般に粒径の小さいトナーの帯電量は大き
く、粒径の大きいものは帯電量が小さい。また、通常ト
ナーの帯電量が大きいものほどその分布幅は広く、帯電
量の小さいものは狭くなっている。
【0037】帯電量を安定化させる方法としては、前述
の様に導電粉をトナーに付着させる方法が既に開示され
ている。しかし、この方法では最大画像濃度の点及び連
続コピーにおける画質劣化の点を十分満足しえない。
【0038】この理由は以下の様に考えている。
【0039】導電粉をトナーに付着させ、帯電量を低下
させる方法では、粒径の小さいトナー、つまり帯電量の
大きいトナーに、より多くの導電粉が付着する。これに
より白地部のカブリは改良されるが、粒径の小さいトナ
ーは帯電量が低下した為に、選択的に現像されやすくな
る。これが定着された場合、その定着支持体をおおう面
積が、粒径の大きいトナーに比べ小さくなることから、
その最大画像濃度は低くなる。更に、粒子径の小さいト
ナーが選択的に現像される為に、連続コピーにおいて現
像器内のトナー粒度が粗めにシフトし、初期画像に対し
て画像劣化をおこす。
【0040】また、トナーの帯電量を下げるのとは逆
に、トナーと金属酸化物とを現像器内で接触摩擦帯電さ
せる方法では、確かにトナー帯電量を上昇させ、なおか
つ均一にさせることができる。しかし、本体側に要求さ
れる、ファーストコピー時間の短縮、つまり、ウエイト
タイムを利用して現像器内トナーの帯電を立ち上げる操
作ができないことに対して、特に高温高湿下においては
十分とは言えない。これは、トナーの微粒子化に伴い、
トナーの流動性が低下し、特に、高温高湿下では、トナ
ーの吸湿により更に流動性及び帯電性は低下するからで
ある。従来の複写機構成では、定着方式に熱定着ローラ
ーを使用している為にファーストコピー開始迄の即ち、
電源オンから所定の定着温度まで定着ローラーが昇温す
るまでの時間を有効に利用し、現像器内でトナーを撹拌
することである程度まで流動性及び帯電性を付与するこ
とができた。しかし近年、定着器の改良が進み、ヒート
アップタイムが短縮され、サーフ定着器においてはヒー
トアップタイムが0である。この様な定着方式において
は前述した撹拌ができない為、トナーの流動性及び帯電
性の付与ができず、従って、コピー画像は濃度が低く、
カブリの悪い画像となる。さらには、転写紙上に十分な
転写が行われず、定着器突入時に画像が飛び散る等の問
題も生じる。
【0041】特開平5−333590号公報において、
本発明者らは、金属酸化物粉末を含有したトナーを提案
した。トナーに対してある程度の大きさを有する金属酸
化物粉末は、トナーに付着しては、現像器内で受けるせ
ん断力によって、離れる為にトナーとの接触回数が増加
し、トナーの帯電量を大きくすることができる。しか
し、金属酸化物は、トナーの流動性を低下させる。従っ
て、前述した様に、特にサーフ定着器を用いた場合、高
温高湿下でのコピー画像としては、十分満足できるもの
は得られない。
【0042】本発明者らは、鋭意検討を行い、以下のこ
とを把握した。
【0043】(a)流動化剤はトナーに対して、目的で
ある流動性の向上を達成すると同時に、現像性をも向上
させる。これは、現在一般的に使用される流動化剤(フ
ッ化物、SiO2、表面処理SiO2等)が極性を持つ
為、トナーの帯電特性にも影響を及ぼす。画像濃度の観
点からは、添加量は多いほうが一般的に有利とされてい
る。しかし、この添加量が過剰となった場合には、トナ
ーに対する付着具合にばらつきが発生し、トナー粒子間
の均一帯電を維持することが困難となり、この結果がカ
ブリとなる。つまり、流動化剤の添加量増量では対応で
きない。
【0044】(b)添加する複合酸化物にトナーへ添加
する前に流動化剤を混合させることで、複合酸化物自体
の流動性を向上させることはできる。更に、この複合酸
化物を使用することで高温高湿下でのトナー流動性低下
を防止することができる。しかし、本来の目的であるト
ナーとの接触摩擦帯電による帯電付与能自体が低下して
しまい、画像濃度低下やカブリといった問題が発生す
る。これは、本来トナーと複合酸化物間で起こる接触摩
擦帯電に加えて、流動化剤と複合酸化物間での帯電の授
受が発生することで、トナー全体の帯電量としては、未
添加の系に比べて小さくなる。この結果、現像性が低下
し、画像濃度低下やカブリが発生する。つまり、複合酸
化物への流動化剤添加では対応できない。
【0045】複合酸化物と併用して、転写中抜け等の転
写不良及びフィルミングを改善するため、流動化剤にシ
リコーンオイル処理したものをトナー中へ添加した場
合、流動化剤に被覆したシリコーンオイルが研磨剤に付
着し、長期に複写を行った時の転写不良及びフィルミン
グの改善効果が減少するに至る。
【0046】そこで、本発明者らは、トナーの流動性を
損なうことなく、トナーとの接触摩擦帯電により高帯電
量を得、さらには高い転写性を維持し、高画質を提供し
続け得るという考え方に基づき、検討を行った結果以下
のことを見い出した。
【0047】トナーと複合酸化物との接触により帯電量
を上げる方法、つまり、トナーに複合酸化物を付着させ
るのではなく、現像器内でトナーと複合酸化物とを接触
摩擦帯電させる方法において、Siを含む複合酸化物を
使用することで、トナー流動性を向上させ、その上にシ
リコーンオイルで処理することで、あらゆる複写機構成
で長期に亘り転写中抜け、及びフィルミングを防止し続
けることを見出した。
【0048】さらに、本発明のトナーは高帯電量を得る
ことが可能で、過酷な高温高湿下においても高画像濃度
を得られることを見い出した。
【0049】複合酸化物中にSi元素を含有させること
で、トナーの流動性は他の元素を含有する系に比べて良
化する。これはシリカが流動化剤として一般的に用いら
れる様に、流動性に優れた特性を有する為と考えられ
る。また、Siを含有する複合酸化物はトナーとの接触
摩擦帯電においても高帯電付与能を有し、トナー帯電量
を大きくする。この為に高温高湿下においても、トナー
流動性低下を防止しつつ、少ないトナーとの接触回数で
も現像性を十分満足する帯電量を得ることが明らかとな
った。さらに複合酸化物を含む無機微粉末をシリコーン
オイルで処理することにより、あらゆる複写機構成にて
長期に複写を行った場合もフィルミングの発生及び転写
中抜けのない、高画質を維持し続けることが可能となる
ことも判明した。
【0050】以上のことから、高温高湿下においても十
分な現像性、特に放置後の画像濃度を得る為には、吸水
等によるトナー流動性の低下を防止すること、及び接触
摩擦帯電においてより高い帯電付与能を有する式(1)
で構成される複合酸化物を含んだ無機微粉末を、あらゆ
る複写機構成(例えば、接触帯電、接触転写を用いた複
写機構成)に対して、フィルミング及び中抜けを発生さ
せないためにシリコーンオイルで処理することが重要で
ある。
【0051】更に本発明においてその目的を達成するに
好ましい現像剤の構成を以下に詳述する。
【0052】本発明に用いられる複合酸化物としては、
式(1)中の[M]が、マグネシウム、亜鉛、コバル
ト、マンガン、ストロンチウム、セリウムが挙げられ
る。特に本発明の効果をより発揮できることから珪酸ス
トロンチウム(SrSiO3)が好ましい。
【0053】本発明で使用する複合酸化物は、例えば焼
結法によって生成し、機械粉砕した後、風力分級し、所
望の粒度分布であるものを用いる。
【0054】本発明中のシリコーンオイルとしては、一
般に次の式により示されるものである。
【0055】
【化1】
【0056】好ましいシリコーンオイルとしては、25
℃における粘度がおよそ10〜1000センチストーク
スのものが用いられる。分子量が低すぎるシリコーンオ
イルは加熱処理等により、希発分が発生することがあ
り、また、分子量が高すぎると粘度が高くなりすぎ処理
操作がしにくくなる。シリコーンオイルの種類として
は、例えばメチルシリコーンオイル,ジメチルシリコー
ンオイル,フェニルメチルシリコーンオイル,クロルフ
ェニルメチルシリコーンオイル,アルキル変性シリコー
ンオイル,脂肪酸変性シリコーンオイル,ポリオキシア
ルキル変性シリコーンオイルなどが好ましい。
【0057】また、本発明中、シリコーンオイルとして
は、側鎖に窒素原子を少なくとも1つ以上有するオルガ
ノ基を有する変性シリコーンオイルでも良く、例えば少
なくとも下記式で表わされる部分構造を具備するシリコ
ーンオイルが使用できる。
【0058】
【化2】 (式中、R1は水素,アルキル基,アリール基又はアル
コキシ基を示し、R2はアルキレン基又はフェニレン基
を示し、R3及びR4は水素,アルキル基又はアリール基
を示し、R5は含窒素複素環基を示す)上記アルキル
基,アリール基,アルキレン基,フェニレン基は窒素原
子を有するオルガノ基を有していても良いし、ハロゲン
等の置換基を有していても良い。
【0059】上述のシリコーンオイルは、トナーの帯電
特性を高めるためトナーと逆極性のものを用いることが
好ましい。
【0060】複合酸化物を含む無機微粉末をシリコーン
オイル処理する方法としては、公知の技術が用いられ、
例えば無機微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミ
キサー等の混合機を用いて直接混合しても良いし、無機
微粉末へシリコーンオイルを噴霧する方法によっても良
い。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解ある
いは分散せしめた後、無機微粉末と混合し、その後、溶
剤を除去して作製しても良い。本発明におけるシリコー
ンオイルは、処理される無機微粉末100重量部に対し
て、1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部用いる
のが良い。すなわち、1重量部より少ないと、好適にフ
ィルミング及び中抜けを防止するには至らず、50重量
部より多いとトナー流動性の低下を招き、トナーの帯電
能が低下し、カブリや画像濃度低下といった問題を生じ
る。
【0061】本発明における複合酸化物を含んだ無機微
粉末をシリコーンオイルで処理した微粒子は、トナー粒
子100重量部に対して0.05〜15重量部、好まし
くは0.1〜5.0重量部用いるのが良い。すなわち、
0.05重量部より少ないと、あらゆる環境下で、長期
に亘り画像濃度や画質を維持するといった本発明の目的
とする種々の画像特性改善には至らず、15重量部より
多いと、トナー自体のスリーブから受ける帯電付与が阻
害され、カブリや濃度低下といった問題を生じる。
【0062】本発明に用いられる結着樹脂としては、ビ
ニル系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げ
られる。中でもビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂が帯
電性、定着性でより好ましい。
【0063】ビニル系樹脂としては、例えばスチレン、
o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレ
ン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、
p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−
n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、
p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレ
ン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレ
ン、p−n−ドデシルスチレンの如きスチレン及びその
誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレ
ンの如きエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン
の如き不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、臭化ビニル、沸化ビニルの如きハロゲン化ビニル
類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニ
ルの如きビニルエステル酸;メタクリル酸メチル、メタ
クリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸
n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n
−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−
エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル
酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタ
クリル酸ジエチルアミノエチルの如きα−メチレン脂肪
族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソ
ブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチ
ル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチ
ル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニル
イソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;ビニルメ
チルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペ
ニルケトンの如きビニルケトン類;N−ビニルピロー
ル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、
N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニル
ナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、アクリルアミドの如きアクリル酸もしくはメタクリ
ル酸誘導体;α,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸の
ジエステル類が挙げられる。これらのビニル系モノマー
が単独もしくは2つ以上で用いられる。
【0064】これらの中でもスチレン系共重合体、スチ
レン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み
合わせが好ましい。
【0065】また必要に応じて以下に例示する様な架橋
性モノマーで架橋された重合体であってもよい。
【0066】芳香族ジビニル化合物として例えば、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルナフタレンが挙げられ;アルキ
ル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として例えば、
エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ
アクリレート、1,5−ペンタンジオールアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペ
ンチルグリコールジアクリレート、及び以上の化合物の
アクリレートをメタアクリレートに代えたものが挙げら
れ;エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリ
レート化合物類としては、例えば、ジエチレングリコー
ルジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレ
ート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリ
エチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチ
レングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレン
グリコールジアクリレート、及び以上の化合物のアクリ
レートをメタアクリレートに代えたものが挙げられ;芳
香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレ
ート化合物類として例えば、ポリオキシエチレン(2)
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジ
アクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレー
ト、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレー
トに代えたものが挙げられ;ポリエステル型ジアクリレ
ート化合物類として例えば、商品名MANDA(日本化
薬)が掲げられる。多官能の架橋剤としては、ペンタエ
リスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタン
トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリ
レート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、
オリゴエステルアクリレート、及び以上の化合物のアク
リレートをメタアクリレートに代えたもの;トリアリル
シアヌレート、トリアリルトリメリテート;が挙げられ
る。
【0067】これらの架橋剤は、他のモノマー成分10
0重量部に対して、0.01〜5重量部(更に好ましく
は0.03〜3重量部)用いることができる。
【0068】これらの架橋性モノマーのうち、トナー用
樹脂に定着性、耐オフセット性の点から好適に用いられ
るものとして、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベ
ンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれ
たジアクリレート化合物類が挙げられる。
【0069】本発明において、ビニル系モノマーの単重
合体、または共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、
エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロ
ジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂
環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を必要に応じて
前述した結着樹脂に混合して用いることができる。
【0070】2種以上の樹脂を混合して、結着樹脂とし
て用いる場合、より好ましい形態としては分子量の異な
るものを適当な割合で混合するのが好ましい。
【0071】この結着樹脂のガラス転移温度は45〜8
0℃、好ましくは55〜70℃であり、数平均分子量M
n2,500〜50,000、重量平均分子量Mw1
0,000〜1,000,000であることが好まし
い。
【0072】本発明に係るビニル系結着樹脂を合成する
方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、
乳化重合法の如き重合法が利用できる。カルボン酸モノ
マー、酸無水物モノマーを用いる場合には、モノマーの
性質上、塊状重合法または溶液重合法を利用することが
好ましい。
【0073】一例として次のような方法が挙げられる。
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸モノ
エステルの如きモノマーを用い、塊状重合法、溶液重合
法によりビニル系共重合体を得ることができる。溶液重
合法においては、溶媒留去時にジカルボン酸、ジカルボ
ン酸モノエステル単位を留去条件を工夫することにより
一部無水化することができる。更に、塊状重合法または
溶液重合法によって得られたビニル系共重合体を加熱処
理することで更に無水化を行うことができる。酸無水物
をアルコールの如き化合物により一部エステル化するこ
ともできる。
【0074】逆に、この様にして得られたビニル系共重
合体を加水分解処理で酸無水物基を開環させ、一部ジカ
ルボン酸とすることができる。
【0075】一方、ジカルボン酸モノエステルモノマー
を用い、懸濁重合法、乳化重合法で得られたビニル系共
重合体を加熱処理による無水化及び加水分解処理による
開環により無水物からジカルボン酸を得ることができ
る。塊状重合法または溶液重合法で得られたビニル系共
重合体を、モノマー中に溶解し、次いで懸濁重合法また
は乳化重合法により、ビニル系重合体または共重合体を
得る方法を用いれば、酸無水物の一部は開環してジカル
ボン酸単位を得ることができる。重合時にモノマー中に
他の樹脂を混合してもよく、得られた樹脂を加熱処理に
よる酸無水物化、弱アルカリ水処理による酸無水物の開
環アルコール処理によりエステル化を行うことができ
る。
【0076】ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物モノマ
ーは交互重合性が強いので、無水物、ジカルボン酸の如
き官能基をランダムに分散させたビニル系共重合体を得
る為には以下の方法が好ましい方法の一つである。ジカ
ルボン酸モノエステルモノマーを用い溶液重合法によっ
てビニル系共重合体を得、このビニル系共重合体をモノ
マー中に溶解し、懸濁重合法によって結着樹脂を得る方
法である。この方法では溶液重合後の溶媒留去時に処理
条件により、全部またはジカルボン酸モノエステル部を
脱アルコール閉環無水化させることができ酸無水物を得
ることができる。懸濁重合時には酸無水物基が加水分解
開環し、ジカルボン酸が得られる。
【0077】ポリマーにおける酸無水物化は、カルボニ
ルの赤外吸収が酸またはエステルの時よりも高波数側に
シフトするので酸無水物の生成または消滅は確認でき
る。
【0078】この様にして得られる結着樹脂は、カルボ
キシル基、無水物基、ジカルボン酸基が結着樹脂中に均
一に分散されているので、トナーに良好な帯電性を与え
ることができる。
【0079】本発明に用いられるポリエステル樹脂の組
成は以下の通りである。
【0080】本発明に用いられるポリエステル樹脂は、
全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、
55〜45mol%が酸成分である。
【0081】アルコール成分としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘ
キサンジオール、水素化ビスフェノールA、また(B)
式で表わされるビスフェノール誘導体;
【0082】
【化3】
【0083】また(C)式で示されるジオール類;
【0084】
【化4】 等のジオール類、グリセリン、ソルビット、ソルビタン
等の多価アルコール類が挙げられる。
【0085】また、全酸成分中50mol%以上を含む
2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、無水フタル酸などのベンゼンジカルボン酸
類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン
酸、アゼライン酸などのアルキルジカルボン酸類又はそ
の無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基で置
換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレ
イン酸、シトラコン酸、イタコン酸、などの不飽和ジカ
ルボン酸又はその無水物等が挙げられ、また、3価以上
のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が
挙げられる。
【0086】本発明の実施上特に好ましいポリエステル
樹脂のアルコール成分としては前記(イ)式で示される
ビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル
酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こは
く酸、n−ドデセニルコハク酸、又はその無水物、フマ
ル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸
類;トリメリット酸又はその無水物のトリカルボン酸類
が挙げられる。
【0087】これは、これらの酸、アルコールで得られ
たポリエステル樹脂が熱ローラー定着用トナーとして定
着性が良好で、耐オフセット性にすぐれているからであ
る。
【0088】また、その酸価は90以下好ましくは50
以下、OH価は50以下好ましくは30以下であること
が好ましい。これは、分子鎖の末端基数が増えるとトナ
ーにしたときトナーの帯電特性に於て環境依存性が大き
くなる為である。
【0089】さらにここで得られたポリエステル樹脂の
ガラス転移温度は50〜75℃好ましくは55〜65
℃、さらに数平均分子量Mn1,500〜50,000
好ましくは2,000〜20,000、重量平均分子量
Mw6,000〜100,000好ましくは10,00
0〜90,000であることが好ましい。
【0090】本発明の静電荷像現像用トナーは、その帯
電性をさらに安定化させる為に必要に応じて荷電制御剤
を用いることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100
重量部当り0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜5
重量部使用するのが好ましい。
【0091】今日、当該技術分野で知られている荷電制
御剤としては、以下のものが挙げられる。
【0092】トナーを負荷電性に制御するものとして、
例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効である。モ
ノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸、金属錯
体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他
には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及び
ポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、
ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0093】トナーを正荷電性に制御するものとして下
記の物質がある。
【0094】ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成
物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ
−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウ
ムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、
及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム
塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及
びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタン
グステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリ
ブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリ
シアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金
属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサ
イド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガ
ノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチル
スズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジ
オルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾ
ール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組合せて
用いることができる。
【0095】本発明のトナーを磁性トナーとして用いる
場合、磁性トナーに含まれる磁性材料としては、マグネ
タイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他
の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような
金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,P
b,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,C
d,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との
合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0096】磁性材料としては、従来、四三酸化鉄(F
34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛
(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe
512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄
ガドリニウム(Gd3Fe5−O12)、酸化鉄銅(CuF
24)、酸化鉄鉛(PbFe12−O19)、酸化鉄ニッ
ケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe
23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マ
グネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnF
24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(F
e)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が知
られているが、本発明によれば、上述した磁性材料を単
独で或いは2種以上の組合せで選択使用する。本発明の
目的に特に好適な磁性材料は四三酸化鉄又はγ−三二酸
化鉄の微粉末である。
【0097】これらの強磁性体は平均粒径が0.05〜
2μmで、795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁
力1.6〜12.0kA/m、飽和磁化50〜200A
2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残
留磁化2〜20Am2/kgのものが望ましい。
【0098】結着樹脂100重量部に対して、磁性体1
0〜200重量部、好ましくは20〜150重量部使用
するのが良い。
【0099】本発明のトナーに使用し得る着色剤として
は、任意の適当な顔料または染料が挙げられる。
【0100】例えば顔料としてカーボンブラック、アニ
リンブラック、アセチレンブラック、ナフトールイエロ
ー、ハンザイエロー、ローダミンレーキ、アリザリンレ
ーキ、ベンガラ、フタロシアニンブルー、インダンスレ
ンブルーが挙げられる。結着樹脂100重量部に対し
0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部の顔料
を使用することが好ましい。同様に着色剤として染料が
用いられる。例えばアントラキノン系染料、キサンテン
系染料、メチン系染料があり、結着樹脂100重量部に
対し、0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重
量部の染料を使用することが好ましい。
【0101】また、本発明において、必要に応じて一種
又は二種以上の離型剤を、トナー粒子中に含有させても
かまわない。
【0102】本発明に用いられる離型剤としては次のも
のが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリ
プロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィ
ンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸
化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワック
スの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カル
ナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステル
ワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス
類、及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類
を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸など
の、飽和直鎖脂肪酸類、ブラシジン酸、エレオステアリ
ン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリル
アルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコー
ル、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリ
シルアルコールなどの飽和アルコール類、長鎖アルキル
アルコール類、ソルビトールなどの多価アルコール類、
リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミ
ドなどの脂肪酸アミド類、メチレンビスステアリン酸ア
ミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラ
ウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミ
ドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイ
ン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、
N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジ
オレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド
類、m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−
ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスア
ミド類、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど
の脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているも
の)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやア
クリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化さ
せたワックス類、また、ベヘニン酸モノグリセリドなど
の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、
植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシ
ル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0103】本発明に用いられる離型剤の量は、結着樹
脂100重量部あたり0.1〜20重量部、好ましくは
0.5〜10重量部が好ましい。
【0104】また、これらの離型剤は、通常、樹脂を溶
剤に溶解し、樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混
合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有
させられる。
【0105】本発明に用いられる流動化剤としては、ト
ナー粒子に外添することにより、流動性が添加前後を比
較すると増加し得るものであれば、使用可能である。例
えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエ
チレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、
乾式製法シリカ等の微粉末シリカ、それらシリカをシラ
ンカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーン
オイル等により表面処理を施した処理シリカ等がある。
【0106】好ましい流動化剤としては、ケイ素ハロゲ
ン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉体であり、
いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称される
もので、従来公知の技術によって製造されるものであ
る。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱
分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次
の様なものである。
【0107】SiCl +2H +O →SiO
+4HCl
【0108】また、この製造工程において、例えば塩化
アルミニウム又は塩化チタン等他の金属ハロゲン化合物
をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリ
カと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であ
り、それらも包含する。その粒径は、平均の一次粒径と
して、0.001〜2μmの範囲内であることが望まし
く、特に好ましくは、0.002〜0.2μmの範囲内
のシリカ微粉体を使用するのが良い。
【0109】本発明に用いられるケイ素ハロゲン化合物
の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体とし
ては、例えば以下の様な商品名で市販されているものが
ある。
【0110】 AEROSIL(日本アエロジル社) 130 200 300 380 TT600 MOX170 MOX80 COK84 Ca−O−SiL(CABOT Co.社) M−5 MS−7 MS−75 HS−5 EH−5 Wacker HDK N 20 V15 (WACKER−CHEMIE GMBH社) N20E T30 T40 D−C Fine Silica(ダウコーニングCo.社) Fransol(Fransil社)
【0111】さらには、該ケイ素ハロゲン化合物の気相
酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処
理シリカ微粉体を用いることがより好ましい。該処理シ
リカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定
された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシ
リカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0112】疎水化方法としては、シリカ微粉体と反応
あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処
理することによって付与される。好ましい方法として
は、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成され
たシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する。
【0113】そのような有機ケイ素化合物の例は、ヘキ
サメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルク
ロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジク
ロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチル
クロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジ
ルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロル
シラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、ρ−クロ
ルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロ
ルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチ
ルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレー
ト、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキ
シシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエ
トキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジ
ビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニル
テトラメチルジシロキサンおよび1分子当り2から12
個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞ
れ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポ
リシロキサン等がある。これらは1種あるいは2種以上
の混合物で用いられる。
【0114】本発明に用いられる流動化剤は、BET法
で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以
上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を
与える。トナー100重量部に対して流動化剤0.01
〜8重量部、好ましくは0.1〜4重量部使用するのが
良い。
【0115】次に、以下の実施例中で測定した各種物性
データの測定方法に関して以下に説明する。
【0116】 (1)X線回折の測定 使用装置:X線回折装置 CN2013(理学電機(株)) :粉末試料成型機PX−700
【0117】上記成型装置を使用して、測定検体を圧縮
プレスする。成型した試料をX線回折装置にセットし、
以下の条件で測定する。得られたX線回折パターンのピ
ーク強度と2θ角度より構造を決定する。
【0118】 Target, Filter Cu,Ni Voltage, Current 32.5kV,15mA Counter Sc Time Constant 1sec Divergence Slit 1° Receiving Slit 0.15mm Scatter Slit 1° Angle Range 60〜20°
【0119】 (2)トナー中の複合酸化物の定量方法 使用装置:蛍光X線分析装置 3080(理学電機(株)) :試料プレス成型機
【0120】検量線の作成 磁性トナー(X)に対し、定量目的の複合酸化物をコー
ヒーミルを用いて以下の比率(重量%)で各々混合し、
検量線用サンプルを作成する。
【0121】0%,0.5%,1.0%,2.0%,
3.0%,5.0%,10.0%
【0122】試料プレス成型機を用いて上記サンプル7
点をプレス成形する。2θテーブルより複合酸化物中
[M]のKαピーク角度(a)を決定する。蛍光X線分
析装置中へ検量線サンプルを入れ、試料室を減圧し真空
にする。
【0123】以下の条件にて各々のサンプルのX線強度
を求め検量線を作成する。
【0124】[測定条件] 測定電位,電圧 50kV−50mA 2θ角度 a 結晶板 LiF 測定時間 60秒
【0125】トナー中の複合酸化物の定量 と同様の方法でサンプル成形した後、同じ測定条件に
てX線強度をもとめ、検量線より添加量を算出する。
【0126】(3)粒度分布の測定 粒度分布については、種々の方法によって測定できる
が、本発明においてはコールターカウンターのマルチサ
イザーを用いて行った。
【0127】すなわち、測定装置としてはコールターカ
ウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を
用い、個数分布,体積分布を出力するインターフェイス
(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピューター
(キヤノン製)を接続し、電解液は特級または1級塩化
ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測
定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分
散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンス
ルホン酸塩を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2
〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散
器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウ
ンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーと
して、トナー粒径を測定するときは、100μmアパー
チャーを用い、無機微粉末粒径を測定するときは13μ
mアパーチャーを用いて測定する。トナー及び無機微粉
末の体積,個数を測定して、体積分布と、個数分布とを
算出した。それから本発明に係わるところの体積分布か
ら求めた重量基準の重量平均径を求める。
【0128】(4)ビニル系樹脂における酸価の測定 結着樹脂中の官能基の定性及び定量は赤外吸収スペクト
ル、JIS K−0707の酸価測定、加水分解酸価測
定(全酸価測定)を応用する方法が一例として挙げられ
る。
【0129】例えば赤外吸収においては1780cm-1
付近の無水物のカルボニルに由来する吸収ピークが現わ
れるので酸無水物の存在は確認される。
【0130】本発明において、赤外吸収スペクトルのピ
ークとは、分解能4cm-1のFT−IRで16回積算し
た後に、明瞭にピークとして確認されるものをいう。F
T−IRの機種としては、例えばFT−IR1600
(パーキンエルマー社製)が挙げられる。
【0131】JIS K−0070の酸価測定(以下J
IS酸価と記す)では酸無水物は理論価(酸無水物はジ
カルボン酸としての酸価をもつものとする)の約50%
が測定される。
【0132】一方全酸価(A)の測定では、実質的に理
論価通りの値が測定される。従って、全酸価(A)とJ
IS酸価との差は、理論値の約50%で酸無水物は二塩
基酸として測定されるので、1g当りの酸無水物に由来
する全酸価(B)は求められる。
【0133】 全酸価(B)=[全酸価(A)−JIS酸価]×2
【0134】さらに、例えば酸成分としてマレイン酸モ
ノエステルを使用し、溶液重合法及び懸濁重合法を用い
て結着樹脂として使用するビニル系共重合体組成物を調
製する場合、溶液重合法で生成されたビニル系共重合体
のJIS酸価の全酸価(A)を測定することにより全酸
価(B)が測定され、その全酸価(B)と、溶液重合法
で使用したビニル系モノマーの組成割合から重合工程及
び溶媒除去工程で生成した酸無水物の存在量(例えば、
モル%)が算出される。さらに、溶液重合法で調製され
たビニル系共重合体をスチレン及びブチルアクリレート
の如きモノマーに溶解してモノマー組成物を調製し、調
製したモノマー組成物を懸濁重合する。その際、酸無水
物基の一部が開環する。懸濁重合法で得られたビニル系
共重合体組成物のJIS酸価、全酸価(A)、モノマー
組成割合及び溶液重合法で調製されたビニル系共重合体
の添加量から、結着樹脂として使用するビニル系共重合
体組成物中のジカルボン酸基、酸無水物基及びジカルボ
ン酸モノエステル基の存在量を算出することができる。
【0135】結着樹脂の全酸価(A)は以下のようにし
て求められる。サンプル樹脂2gをジオキサン30ml
に溶解させ、これに、ピリジン10ml、ジメチルアミ
ノピリジン20mg及び水3.5mlを加え撹拌しなが
ら4時間加熱還流する。冷却後、1/10NのKOH・
THF溶液でフェノールフタレインを指示薬として中和
滴定して得られた酸価の値を全酸価(A)とする。全酸
価(A)の測定条件下では酸無水物基は加水分解されて
ジカルボン酸になるが、アクリル酸エステル基、メタク
リル酸エステル基及びジカルボン酸モノエステル基は加
水分解されない。
【0136】1/10NのKOH・THF溶液の調製は
次のように行う。KOH1.5gを約3mlの水で溶解
し、これにTHF200mlと水30mlを加え撹拌す
る。静置後溶液が分離していたら少量のメタノールを、
溶液が濁っていたら少量の水を加えて均一な透明溶液に
する。1/10NのHCl標準溶液でKOH・THF溶
液の測定値を標定する。
【0137】結着樹脂中の全酸価(A)は、2〜100
mgKOH/gであるが、結着樹脂中の酸成分を含むビ
ニル系共重合体のJIS K−0070による酸価が1
00未満であることが好ましい。JIS K−0070
による酸価が100以上の場合には、カルボキシル基、
酸無水物基等の官能基の密度が高く、良好な帯電バラン
スを得にくくなり、希釈して用いる場合にもその分散性
による問題が生じる傾向がある。
【0138】(5)ポリエステル樹脂の酸価の測定方法 酸価とは、樹脂1g中に含まれるカルボキシル基を中和
するのに必要なカ性カリのミリグラム数として定義され
ている。したがって酸価は末端基の数を示していること
になる。測定の方法はつぎのとおりである。
【0139】サンプル2〜10gを200〜300ml
の三角フラスコに秤量し、メタノール:トルエン=3
0:70の混合溶媒約50ml加えて樹脂を溶解する。
溶解性がわるいようであれば少量のアセトンを加えても
よい。0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレ
ッドの混合指示薬を用い、あらかじめ標定されたN/1
0カ性カリ〜アルコール溶液で滴定し、アルコールカリ
液の消費量からつぎの計算で酸価を求める。
【0140】 酸価=KOH(ml数)×N×56.1/試料重量 (ただしNはN/10KOHのファクター)
【0141】(6)ガラス転移温度Tg 本発明においては、示差熱分析測定装置(DSC測定装
置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用い測定
する。
【0142】測定試料は5〜20mg、好ましくは10
mgを精密に秤量する。
【0143】これをアルミパン中に入れ、リファレンス
として空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜20
0℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測
定を行う。
【0144】この昇温過程で、温度40〜100℃の範
囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。
【0145】このときの吸熱ピークが出る前と出た後の
ベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発
明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0146】
【実施例】以下製造例及び実施例によって本発明を具体
的に説明するが、これは本発明をなんら限定するもので
はない。
【0147】(複合酸化物の製造例1:珪酸ストロンチ
ウムを有するシリコーンオイル処理された微粒子)炭酸
ストロンチウム1500gと酸化珪素600gをボール
ミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥し、この混
合物を5kg/cm2の圧力で成形して1300℃で8
時間仮焼した。これを、機械粉砕して、重量平均径2.
3μm,個数平均径1.2μmの珪酸ストロンチウム
(SrSiO3)を有する無機微粉末(M−0)を得
た。
【0148】次に、この無機微粉末100重量部を撹拌
しながら温度をおよそ250℃に保持し、側鎖にアミン
を有するシリコーンオイル(25℃における粘度70c
St、アミン当量830)20重量部を噴霧し、10分
間で処理した微粒子(M−1)を得た。また、得られた
(M−0)に対してX線回折を実施し、図1のピークパ
ターンより、製造した複合酸化物がSrSiO3(a=
1,b=1,c=3)及びSr2SiO4(a=2,b=
1,c=4)を有することを確認した。
【0149】(複合酸化物の比較製造例1:チタン酸ス
トロンチウムを有するシリコーンオイル処理された微粒
子)炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン320g
をボールミルにて、8時間湿式混合した後、ろ過乾燥
し、この混合物を5kg/cm2の圧力で成形して11
00℃で8時間仮焼した。これを、機械粉砕して、製造
例1と同様のシリコーンオイル処理をした重量平均径
1.9μm,個数平均径1.1μmのチタン酸ストロン
チウムを有する微粉体(M−イ)を得た。
【0150】(複合酸化物の比較製造例2:酸化珪素と
チタン酸ストロンチウムを有するシリコーンオイル処理
された微粒子との混合粉体)複合金属酸化物の比較製造
例1と同様にして製造したチタン酸ストロンチウムを有
するシリコーンオイル処理した微粒子475gと市販試
薬の酸化珪素(吸油量236ml/100g,見掛け比
重0.18g/ml)25gをコーヒーミルにて混合
し、酸化珪素を5重量%含有し、かつシリコーンオイル
で処理されたチタン酸ストロンチウムを有する微粉体
(M−ロ)を得た。
【0151】(複合酸化物の製造例2〜7)複合酸化物
製造例1中のシリコーンオイル量の添加量を無機微粉末
100重量部に対して、0.7重量部、1.2重量部、
3重量部、30重量部、48重量部、55重量部に変更
する以外は、同様にして微粒子(M−2〜M−7)を得
た。チタン酸ストロンチウムを有するシリコーンオイル
処理した微粉体(M−3)を得た。
【0152】[実施例1] 結着樹脂(ポリエステル樹脂) 100重量部 (Tg61℃,酸価19mgKOH/g,水酸基価29mgKOH/g, 分子量:Mp7100,Mn3100,Mw54000) 磁性酸化鉄 90重量部 (平均粒径0.16μm,795.8ka/m磁場での特性Hc=9.1kA /m,σs=82Am2/kg,σr=10.5Am2/kg) モノアゾ金属錯体(負荷電性制御剤) 1重量部 ポリエチレン 3重量部
【0153】上記材料をヘンシェルミキサーで混合した
後、130℃で二軸混練押出機によって溶融混練を行
い、混練物を冷却後、カッターミルで粗粉砕、ジェット
気流を用いた微粉砕機を用いて粉砕し、更に風力分級機
を用いて分級することで、重量平均径6.4μmの磁性
トナー粒子(X)を得た。
【0154】この磁性トナー粒子(X)100重量部に
対して、疎水性シリカ(比表面積200m2/g)1.
0重量部、複合酸化物(M−1)3.0重量部をヘンシ
ェルミキサーにて外添混合して評価用磁性トナー(X−
1)とした。
【0155】このトナーを用いて、キヤノン製複写機N
P−6030改造機(ドラムヒーターレス、定着用熱ロ
ールをサーフ定着シート、反転現像機に変更)を使用し
て以下の項目の評価を行った。
【0156】(評価−1)評価用トナー(X−1)を現
像器中に200g入れ、常温常湿室(23℃,60%)
に一晩(12時間以上)放置する。1000枚画出し
後、画像濃度を測定する。現像器を取り出して、高温高
湿室(30℃,80%)に一晩(12時間)放置する。
現像器を常温常湿室へ戻した後、速やかに20枚画出し
を行い前日と同様にして画像濃度を測定する。前日ラス
ト画像濃度と一枚目画像濃度を比較する。評価レベルは
1000枚目濃度(前日ラスト)と放置後濃度の差で確
認する。(値が小さい程良い)
【0157】 ◎ :濃度差0.02以下 ○ :濃度差0.03〜0.05 ○△:濃度差0.06〜0.10 △ :濃度差0.11〜0.15 × :濃度差0.16〜0.20 ××:濃度差0.21以上
【0158】(評価−2)評価用トナー(X−1)を現
像器中に200g入れ、低温低湿室(15℃,50%)
に一晩(12時間以上)放置する。外部駆動装置を用い
て、現像剤担持体ギアを回転させる。目視にて現像剤担
持体表面のトナー塗布状態を回転開始から10分間観察
する。評価レベルは以下に示す。
【0159】 ◎ :担持体表面状態は極めて均一である。 ○ :担持体表面状態は均一であるが、極一部にさざ波
模様が見える。 ○△:担持体表面の一部分にさざ波模様が見える。 △ :担持体表面全体にさざ波模様が見える。 × :担持体表面のさざ波が成長して、一部凹凸がはっ
きりわかる。 ××:担持体表面の凹凸が全面に広がりはっきりわか
る。
【0160】(評価−3)評価用トナー(X−1)を現
像器中に200g入れ、低温低湿室(15℃,50%)
に一晩(12時間以上)放置する。濃度評価用チャート
を使用して200枚の画出しを行う。この前後でのベタ
白画像におけるカブリを測定する。評価レベルは以下に
示す。
【0161】カブリ測定用反射測定機REFLECTM
ETER(東京電気(株))にて、上記の白画像及び未
使用紙の反射率を測定し、両者の差をカブリとする。未
使用紙反射率−ベタ白反射率=カブリ%
【0162】 ◎ :カブリ0.1%以下 ○ :カブリ0.1〜0.5% ○△:カブリ0.5〜1.0% △ :カブリ1.0〜1.5% × :カブリ1.5〜2.0% ××:カブリ2.0%以上
【0163】(評価−4)評価用トナー(X−1)を現
像器中に400g入れ、高温高湿室(30℃,80%)
に一晩(12時間以上)放置する。キヤノン製デジタル
複写機GP−55改造機(ドラムヒーターレス、定着用
熱ロールをサーフ定着シートローラー帯電、ローラー転
写系に変更)を使用してトナー補給を繰り返しながら2
0万枚の画出しを行う。この耐久中、5万枚おきにフィ
ルミングの発生の有無を確認する。20万枚後、画出し
を続けトナー補給の指示がでた時点で、トナー残検を切
る。その後、OHPシートを通して中抜けの評価及び再
度ドラム上へのトナーのフィルミング評価を行う。評価
レベルは以下に示す。
【0164】〔中抜け評価レベル〕 ○ :全く中抜けがない ○△:中抜け部分が数カ所存在するが、実用上問題のな
いレベル △ :中抜け部分が多数存在し、実用上問題となるレベ
ル × :全ての文字及びライン画像上で中抜け発生
【0165】〔フィルミング評価レベル〕 ○ :耐久中、全くフィルミングが発生しない ○△:耐久中、1〜2点発生するが消失する △ :耐久終了後、数点のフィルミングが発生 × :10点以上のフィルミング発生
【0166】以下の実施例2〜14及び比較例1〜4に
関しても、実施例1と同様の評価を行い、表1及び2の
結果を得た。
【0167】[実施例2]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を0.03
重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、評価用
トナー(X−2)とした。
【0168】[実施例3]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を0.06
重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、評価用
トナー(X−3)とした。
【0169】[実施例4]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を0.10
重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、評価用
トナー(X−4)とした。
【0170】[実施例5]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を5.0重
量部に変更した以外は実施例1と同様にして、評価用ト
ナー(X−5)とした。
【0171】[実施例6]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を10.0
重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、評価用
トナー(X−6)とした。
【0172】[実施例7]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を14.5
重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、評価用
トナー(X−7)とした。
【0173】[実施例8]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を15.5
重量部に変更した以外は実施例1と同様にして、評価用
トナー(X−8)とした。
【0174】[実施例9]磁性トナー粒子(X)を用い
て、処理するシリコーンオイル量を0.7重量部にした
複合酸化物(M−2)に変更した以外は実施例1と同様
にして、評価用トナー(X−9)とした。
【0175】[実施例10]磁性トナー粒子(X)を用
いて、処理するシリコーンオイル量を1.2重量部にし
た複合酸化物(M−3)に変更した以外は実施例1と同
様にして、評価用トナー(X−10)とした。
【0176】[実施例11]磁性トナー粒子(X)を用
いて、処理するシリコーンオイル量を3.0重量部にし
た複合酸化物(M−4)に変更した以外は実施例1と同
様にして、評価用トナー(X−11)とした。
【0177】[実施例12]磁性トナー粒子(X)を用
いて、処理するシリコーンオイル量を3.0重量部にし
た複合酸化物(M−5)に変更した以外は実施例1と同
様にして、評価用トナー(X−12)とした。
【0178】[実施例13]磁性トナー粒子(X)を用
いて、処理するシリコーンオイル量を48重量部にした
複合酸化物(M−6)に変更した以外は実施例1と同様
にして、評価用トナー(X−13)とした。
【0179】[実施例14]磁性トナー粒子(X)を用
いて、処理するシリコーンオイル量を55重量部にした
複合酸化物(M−7)に変更した以外は実施例1と同様
にして、評価用トナー(X−14)とした。
【0180】[比較例1]磁性トナー粒子(X)を用い
て、複合酸化物を用いずに、添加する疎水性シリカ(比
表面積200m2/g)の添加量を5.0重量部に変更
した以外は実施例1と同様にして、評価用トナー(Y−
1)とした。
【0181】[比較例2]磁性トナー粒子(X)を用い
て、添加する複合酸化物(M−1)の添加量を0に変更
した以外は実施例1と同様にして、評価用トナー(Y−
2)とした。
【0182】[比較例3〜4]磁性トナー粒子(X)を
用いて、添加する複合酸化物を(M−イ、M−ロ)に変
更した以外は実施例1と同様にして、評価用トナー(Y
−3、Y−4)とした。
【0183】
【表1】
【0184】
【表2】
【0185】
【表3】
【0186】
【発明の効果】本発明の静電荷像現像用トナーは、各種
環境下での現像安定性、現像スリーブ上での均一コート
性及び多数枚耐久性に優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】珪酸ストロンチウムを有する無機微粉末をシリ
コーンオイル処理した微粒子のX線回折パターンを示す
図である。
【図2】現像電位とコピー画像濃度との関係を示すグラ
フ図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有す
    るトナー粒子を有する静電荷像現像用トナーにおいて、
    シリコーンオイルで処理された下記式(1) [M]a[Si]bc (1) 〔式中、MはSr,Mg,Zn,Co,Mn及びCeか
    らなるグループから選択される金属元素を示し、aは1
    〜9の整数を示し、bは1〜9の整数を示し、cは3〜
    9の整数を示す。〕で示される複合酸化物を含む粒子
    (A)を有することを特徴とする静電荷像現像用トナ
    ー。
  2. 【請求項2】 トナー粒子100重量部に対して、シリ
    コーンオイルで処理された複合酸化物を含む粒子(A)
    が0.05〜15重量部外添されている請求項1に記載
    の静電荷像現像用トナー。
  3. 【請求項3】 複合酸化物を含む粒子(A)100重量
    部に対して、シリコーンオイルが1〜50重量部含有さ
    れている請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
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