JPH10142112A - 既存建築物の耐震性能評価方法及びその耐震性能評価システム、並びに既存建築物群の改修優先順位評価方法及びその改修優先順位評価システム - Google Patents

既存建築物の耐震性能評価方法及びその耐震性能評価システム、並びに既存建築物群の改修優先順位評価方法及びその改修優先順位評価システム

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JPH10142112A
JPH10142112A JP8296595A JP29659596A JPH10142112A JP H10142112 A JPH10142112 A JP H10142112A JP 8296595 A JP8296595 A JP 8296595A JP 29659596 A JP29659596 A JP 29659596A JP H10142112 A JPH10142112 A JP H10142112A
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item
building
seismic performance
existing
existing building
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JP8296595A
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Masahiro Tanida
雅広 谷田
Takashi Iba
孝 伊庭
Yoshiaki Takahashi
良明 高橋
Kiyoshi Shima
潔 島
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Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存建築物全体としての耐震性能の評価が曖
昧でその評価基準が統一されていないので、既存建築物
群相互間の耐震性能を相対評価して改修優先順位を客観
的に判断する術がなかった。 【解決手段】 既存建築物群の個々についてその主要構
造体と非構造体と建築設備との各項目に関する耐震性能
の数値化されたデータを記憶格納する手段10と、各建
築物用途等に応じて該各項目の耐震性能の重要度を数値
化した重み付けデータを記憶格納する手段10と、これ
らのデータを入力する入力手段16と、該重み付けデー
タと耐震性能データとの数値から各項目毎の評価得点を
求めて該評価得点を平均して該既存建築物の耐震性能の
総合評価得点とし、該総合評価得点順にソートした既存
建築物の改修優先順位を一覧リストデータにして出力す
る演算表示制御手段12と、該出力データを表示する表
示手段14とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、既存建築物の全
体的な耐震性能の総合的評価を所定の統一された評価基
準の下で行うことができる既存建築物の耐震性能評価方
法及びその評価システム、並びに多数の既存建築物の改
修をするにあたって、その改修優先順位を個々の建築物
の構造や設備並びに意匠等のハード面と、その建築物の
施設用途や利用状況等のソフト面とから総合的に評価す
るようにした既存建築物群の改修優先順位評価方法及び
改修優先順位評価システムに関する。
【0002】
【従来の技術】最近発生した大地震を契機として、大地
震に対する防災意識が高まり、旧耐震設計基準の下で構
築された既存建築物群に対して改修を行い、その耐震性
を高める必要性が強く認識されて来ている。
【0003】ところで、既存建築物を改修をするにあた
っては、その建築物の構造面や意匠面(非構造面)並び
に設備面の各項目についての現状調査を行って建築物全
体の総合評価を行い、どの項目についてどの程度の改修
が必要かを判断する必要があり、例えば、構造面では耐
震診断法(1次,2次,3次)による建築物主要構造体
の耐震性判定や、床のたわみ, クラックによる障害調査
を行い、意匠面では外装, 屋上防水層等の劣化診断調査
や、内装材の汚れ,傷み診断調査を行い、設備面では給
排水管の劣化診断、空調方式の評価などを行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来で
は上記各項目間についての相対的な評価方法が確立され
ておらず、各項目毎に独立した調査及び評価はなされて
いるものの、統一された基準のもとで上記各項目間の相
対評価はなされておらず、よって建築物全体に対する総
合的な耐震性能の評価は曖昧なものであった。
【0005】従って、多数の既存建築物の改修計画を練
るにあたっても、上記の如く個々の既存建築物の耐震性
能の総合的評価自体が曖昧でその評価基準が統一されて
いないので、既存建築物相互間の相対評価を行うことが
できず、それらの改修優先順位を客観性をもって判断す
る術がなかった。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その第1の目的は、個々の既存建築物の
全体的な耐震性能の総合的評価を所定の統一された評価
基準の下で行うことができる既存建築物の耐震性能評価
方法及びその評価システムを提供することにある。
【0007】また、第2の目的は、多数の既存建築物を
改修するにあたって、どの建築物から着手すべきかを容
易に相対評価することができる既存建築物群の改修優先
順位評価方法及びそのシステムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために、この出願の請求項1に係る既存建築物の耐震
性能評価方法の発明では、既存建築物の主要構造体と非
構造部材と建築設備との各項目毎に、その耐震性能を既
存建築図書や現況調査に基づいて定量化して数値化する
とともに、地震時における該各項目の耐震性能の重要度
について、該既存建築物の用途や利用状況に即した相対
的な重み付けをして数値化し、該重要度と耐震性能との
数値から各項目毎の評価得点を求めるとともに、該各項
目の評価得点を平均して該既存建築物の総合的な耐震性
能の評価得点を求めることを特徴とする。
【0009】また、この出願の請求項2に係る既存建築
物の耐震性能評価システムの発明では、既存建築物につ
いてその主要構造体と非構造体と建築設備との各項目に
関する数値化された耐震性能データを記憶格納する手段
と、地震時における該各項目の耐震性能の重要度につい
て、該既存建築物の用途や利用状況に即した相対的な重
み付けをして数値化された重み付けデータを記憶格納す
る手段と、これらの各種データを新規あるいは修正入力
する入力手段と、該重み付けデータと耐震性能データと
の数値から各項目毎の耐震性能の評価得点を求めるとと
もに、該各項目の評価得点を平均して該既存建築物の耐
震性能の総合評価得点を求める手段と、該総合評価得点
と各項目毎の評価得点とを一覧リストデータにして出力
する出力手段と、該出力データを表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】上記請求項1及び2に係る発明では、個々
の既存建築物の全体的な耐震性能の総合的評価を、その
建築物の用途によって相違する主要構造体項目と非構造
部材項目と建築設備項目との各項目の耐震性能の重要度
の大きさに応じて、それらの各項目間に相対的な評価を
加えて、所定の統一された評価基準の下で合理的に行う
ことができるとともに、各項目別の耐震性能とそれらを
総合した耐震性能とを得点化して表すので、改修の要否
やその緊急性を数値で容易に把握でき、しかもどの項目
に対しどの程度の改修をすべきであるかをも容易に数値
で把握できる。
【0011】上記第2の目的を達成するために、この出
願の請求項3に係る既存建築物群の改修優先順位評価方
法の発明では、多数の既存建築物を改修する際の改修優
先順位を判断するにあたって、個々の既存建築物につい
て、その主要構造体と非構造部材と建築設備との各項目
毎に、その耐震性能を既存建築図書や現況調査に基づい
て定量化して数値化するとともに、地震時における該各
項目の耐震性能の重要度について、該既存建築物の用途
や利用状況に即した相対的な重み付けをして数値化し、
該重要度と耐震性能との数値から各項目毎の評価得点を
求めるとともに、該評価得点を平均して該既存建築物の
耐震性能の総合評価得点を求め、該総合評価得点での耐
震性能の低いものから改修優先順位を高くすることを特
徴とする。
【0012】また、この出願の請求項4に係る既存建築
物群の改修優先順位評価システムの発明では、既存建築
物群に対し、個々の既存建築物についてその主要構造体
と非構造体と建築設備との各項目に関する数値化された
耐震性能データを記憶格納する手段と、地震時における
該各項目の耐震性能の重要度について、該既存建築物の
用途や利用状況に即した相対的な重み付けをして数値化
された重み付けデータを記憶格納する手段と、これらの
各種データを新規あるいは修正入力する入力手段と、該
重み付けデータと耐震性能データとの数値から各項目毎
の評価得点を求めるとともに、該評価得点を平均して該
既存建築物の耐震性能の総合評価得点を求める手段と、
該総合評価得点順にソートした既存建築物の改修優先順
位を一覧リストデータにして出力する出力手段と、該出
力データを表示する表示手段と、を備えたことを特徴と
する。
【0013】上記請求項3及び4に係る発明では、個々
の既存建築物の全体的な耐震性能の総合的評価を、その
建築物の用途によって相違する主要構造体項目と非構造
部材項目と建築設備項目との各項目の耐震性能の重要度
の大きさに応じて、それらの各項目間に相対的な評価を
加えて、所定の統一された評価基準の下で合理的に行う
ことができるとともに、各項目別の耐震性能とそれらを
総合した耐震性能とを得点化して表すので、改修の要否
やその緊急性を数値で容易に把握でき、しかもどの項目
に対しどの程度の改修をすべきであるかをも容易に数値
で把握できるだけでなく、多数の建築物群を改修するに
あたって、どの建築物から着手すべきかを容易に相対評
価することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
について添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発
明に係る既存建築物群の改修優先順位評価システムの全
体構成を示す概略図であり、当該既存建築物群の改修優
先順位評価システムはその一部に既存建築物の耐震性能
の評価システムを含んでいる。
【0015】同図に示すように、上記評価システムはい
わゆるパーソナルコンピュータで構成されており、外部
記憶手段10と演算表示制御手段12と表示手段14と
入力手段16とから主になる。
【0016】演算表示制御手段12は演算部12aと、
表示制御部12bと、内部メモリ12cと、入出力イン
ターフェイス12dとを備え、入出力インターフェイス
12dを介して上記外部記憶手段10と表示器14と入
力手段16とが接続されている。表示器14は液晶表示
器やCRT等でなり、入力手段16はキーボード16a
及びマウス16bからなる。
【0017】外部記憶手段10はハードディスクドライ
ブ7や光磁気ディスクドライブ等の読み書き可能な記録
媒体及びその駆動デバイスとでなり、システムを実行す
るためのプログラムが記録格納されているだけでなく、
多数の既存建築物個々についての各種情報データが項目
別に分類されて格納記憶されていて、データベースを構
築している。その情報データ項目は大別すると物件基
礎情報、主要構造体耐震性能情報、非構造部材耐震
性能情報、設備耐震性能情報、利用状況情報とに分
類されている。
【0018】さらに詳しくは、上記の物件基礎情報デ
ータ項目は表1に示すように、建築物名称、所在地、規
模、構造形式、竣工年度(設計年度)、設計者、施工者
等の各データからなり、これらは既存設計図書資料を元
にしてこれに基づいて、キーボード16a及びマウス1
6bから入力されるようになっている。
【0019】
【表1】
【0020】また、の主要構造体耐震性能情報データ
項目は表2に示すように、建築年度、建築物用途、延床
面積、地上階数、構造種別、地盤種別、耐震診断IS値
等の各データからなり、これらも既存設計図書資料に基
づいてキーボート16aから入力され、耐震診断IS値
は構造図や構造計算書を資料にして事前に計算処理され
る。
【0021】
【表2】
【0022】また、の非構造部材耐震性能情報データ
項目は表3に示すように、外部仕上げと内部仕上げとに
分けられ、外部仕上げはさらに屋上、外壁、開口部、バ
ルコニー、広告塔・看板、外構とに細分化されている。
また、内部仕上げは床、壁、天井、建具、水回り、家具
・什器とに細分化されている。そして、これらのデータ
は既存設計図書資料の意匠図等からだけでなく、現地で
の目視による現況調査結果の調査シートに基づいてキー
ボード16a及びマウス16bから入力されるようにな
っている。
【0023】
【表3】
【0024】の設備耐震性能情報データ項目は、電気
設備項目と衛生消火設備項目と空調換気設備項目とにさ
らに分類され、それぞれに対する耐震固定度と各種機器
システムの要素等にさらに小分類化されている。すなわ
ち、電気設備では表4に示すように、その固定度として
自家発電・付属品、受変電設備、蓄電器施設、幹線、中
央監視施設、情報通信施設等に細分化され、また機器シ
ステムとして、自家発電施設の耐震措置、受変電設備の
耐震対策、蓄電器施設の耐震対策、各種盤・幹線の耐震
性、中央監視情報通信の耐震措置等に細分化されてい
る。また、昇降機に関する項目も別途に独立して設定さ
れている。
【0025】
【表4】
【0026】衛生消火設備では表5に示すように、その
固定度として高架水槽、受水層、その他機器等の各項目
が設定され、機器システムとしては高架水槽・受水層、
給水システム・可撓継ぎ手の設置、配水設備、消火設
備、ガス設備、厨房内機器・配管、建築物引き込み部と
地盤への配慮等の各項目が設定されている。
【0027】
【表5】
【0028】空調・換気設備では表6に示すように、そ
の固定度として冷却塔やその他の屋上設置機器、屋上配
置配管類、他の階設置の機器や配管類、ヒートポンプ屋
外機やその他の屋上設置機器、他の階設置のヒートポン
プ屋外機やその他の機器・配管、冷却ファン類等の各項
目が細分化されて設定され、機器システムとしては冷却
塔本体の耐震対策、中央式熱源機器のエネルギー(E,
G,O)、配管システム・可撓継ぎ手の設置、空調機の
規模や配置、電気室・発電器室の換気システム、重要施
設のシステム的信頼性等の項目が細分化されて設定され
ている。
【0029】
【表6】
【0030】そして、これらの設備耐震性能情報項目デ
ータも既存設計図書資料の設備図等からだけでなく、現
地での目視による現況調査結果の調査シートに基づいて
キーボード16a及びマウス16bから入力されるよう
になっている。
【0031】また、建築物は地震時において最低限人命
だけを確保できれば良いのか、人命の確保だけでなく建
築物自体の保全も必要であるのか、さらに設備機器等の
機能の保全までも必要とするのかが、その建築物におけ
る主要な施設用途(業務施設、生活施設、防災拠点施設
等)によって相違し、このため主要構造体項目と非構造
部材項目並びに建築設備項目とに対して要求される耐震
性能の重要度の割合は、その主要な施設用途に応じて異
なる。従って、個々の既設建築物の耐震性能を総合的に
評価し、また多数の既設建築物群相互間で耐震性能を相
対評価するにあたっては、個々の建築物の主要な施設用
途等の利用状況の要素も加味するのが合理的である。
【0032】このため、利用状況情報データ項目として
用途(建築物重要度)、建築物規模、入居状況、改修履
歴、建築物評価額、建築物劣化度等の各項目が設定され
ている。そして、後に詳細に述べるが、上記建築物用途
等に応じて主要構造体項目、非構造部材の外部仕上げ項
目と内部仕上げ項目、設備の電気項目と衛生項目と空調
項目、並びにこれらの各項目中の全ての小項目に対して
重み付けがなされて、それぞれに持ち点が付与されるよ
うになっている。
【0033】なお、表7は建築物の総合的な耐震性能の
高低をその性能の高い順にA,B,Cの3段階のランク
に分けた場合に、主要構造体項目と非構造部材項目並び
に建築設備項目とのそれぞれに要求される性能、及び各
ランクに該当する主要な用途施設との関係をまとめたも
のである。また、表8は建築物用途に応じた各項目の重
み付けの持ち点配分の一例を、業務施設と総合施設及び
防災拠点施設を事例に示したものである。
【0034】
【表7】
【0035】
【表8】
【0036】図2はこの評価システムにおける入出力構
成画面の階層構造を示すものであり、起動されると先ず
メインメニュー画面Aが表示されて、データベースへの
アクセスが可能となる。図3はこのメインメニュー画面
Aの具体的な構成例を示すもので、マウス16bの操作
によって、データの新規・修正入力モードにおける新規
入力機能あるいはデータ修正機能の選択、あるいは検索
・表示モードにおける建築物一覧検索表示機能または耐
震性能検索表示機能もしくは利用状況検索表示機能が選
択できるようになっている。
【0037】また、図2に示すように、入出力画面はA
→B(B1,B2,B3)→C(C1,C2,C3)→
D(D1,D2,D3)→Eと順次辿って階層構造の下
層に進み、これらの各画面上で各種諸情報の詳細データ
が入出力されるようになっている。
【0038】図4は上記入出力画面B1の具体例を示す
もので、建築物一覧の検索条件入力画面である。新規・
修正入力モードの場合には、この画面上で利用状況情報
データの建築物用途、物件基礎情報の所在地,ID番
号,建築物名称,竣工年月,構造種別,設計者,施工者
等の諸情報データが新規あるいは修正入力されて顧客保
有施設リストが作成されてゆき、検索・表示モードでは
建築物一覧の絞り込み条件の入力が行われる。
【0039】図5は上記入出力画面B2の具体例を示す
もので、耐震性能の検索条件入力画面である。新規・修
正入力モードの場合には、この画面上で主要構造体耐震
性能情報,非構造部材耐震性能情報,設備耐震性能情報
の各諸データが入力されてゆき、検索・表示モードでは
耐震性能に基づく建築物一覧の絞り込み条件の入力が行
われる。
【0040】ここで、上記主要構造体耐震性能は構造項
目としてまとめられて1つに分類されており、その下位
項目として建設年度、建設用途、床延面積、地上階数、
構造種別、地盤種別、耐震診断IS値の各データ項目が
細分化されて設定されている。 また、上記非構造部材
耐震性能は外部仕上げ項目と内部仕上げ項目とに分類さ
れ、外部仕上げ項目はさらに屋上・屋根、外壁、開口
部、バルコニー等、広告塔・看板、外構の各データ項目
に細分化されて設定され、内部仕上げ項目はさらに建築
計画・避難計画、床、壁、天井、建具、水回り、内部階
段の各データ項目に細分化されて設定されている。そし
て、これらの構造項目、外部仕上項目、内部仕上項目を
総合的に評価する項目として建築総合項目が設定されて
いる。
【0041】一方、設備耐震性能情報は電気設備、衛生
設備、空調設備の各項目に分類されている。図6は設備
項目の入力項目をさらに詳細に示す次画面であり、電気
設備はさらに耐震固定、自家発電機の耐震措置、受変電
設備の耐震対策、蓄電池の耐震措置、各種盤及び幹線の
耐震性、中央監視・情報通信の耐震措置、昇降機等の各
データ項目に細分化されて設定され、衛生設備は耐震固
定、受水槽や高架水槽本体の耐震度、給水システムや可
撓継手の設置、排水設備、消化設備、ガス設備建築物引
き込み部の地盤との配慮等の各データ項目に細分化され
て設定され、空調設備は耐震固定、冷却塔本対の耐震
度、中央式熱源機器のエネルギー、空調機の規模や配
置、電気室や発電器機室の換気システム、重要施設のシ
ステム的信頼性、配管システムや可撓継ぎ手の設置等の
各データ項目に細分化されて設定されている。そして、
これらの電気設備項目、衛生設備項目、空調設備項目と
を総合して評価する項目として設備総合項目が設定され
ている。
【0042】ところで、本実施例においては、上記細分
化された各小項目の建築物及び各部位の耐震性能は、設
計図書や目視による簡易調査結果に基づいて定量化さ
れ、その性能の高い順にa,b,c及びdの3ないし4
段階にランク付け評価されるようになっている。すなわ
ち、aは耐震上現状のままで可と考えられるもの、bは
耐震性能に疑いがあるが簡易調査のみでは判断できない
もの、cは補強や補修工事が必要と考えられるもの、d
は補強や補修工事が不可欠なものである。
【0043】次に、上記定量化について詳述する。先
ず、主要構造体の耐震性能を示す構造項目の定量化につ
いて説明すると、図7に示すように、既存建築物はその
耐震診断IS値の結果により、1981年改正の建築基
準法施行令にて定められた新耐震設計基準に適合するか
否かが判別され、その1次診断IS値が0.8以上とな
っているものは適合建築物として、構造項目の総合評価
はAランクとされる。
【0044】一方、1次診断IS値が0.8未満となっ
ているものは不適合建築物として、図8に示すように建
設年度、建築物用途、延床面積、地上階数、構造種別、
地盤種別、1次診断IS値をそれぞれ係数化(K1〜K
7)し、これらを掛け合わせることにより定量化して、
ランク付けする。ここで、建設年度では1971年〜1
980年のものはbランクとされ、係数K1は1.0と
される。また、1970年以前のものはcランクとさ
れ、係数K1は0.8とされる。建築物用途ではa〜d
の4段階にランク付けされ、駐車場及び倉庫等の場合に
はaランクで係数K2は1.2とされる。また、オフィ
ス及び住宅,厚生施設の場合にはbランクで係数K2は
1.0とされる。研究施設及び重要オフィス,博物館等
の場合にはcランクで係数K2は0.8とされる。防災
拠点,病院,電算センター等の場合にはdランクで係数
K2は0.6とされる。延床面積では2000m2 の場
合にはaランクで係数K3は1.2とされ、2000m
2 以上10000m2 未満の場合にはbランクで係数K
3は1.0とされ、10000m2 以上の場合にはcラ
ンクで係数K3は0.8とされる。地上階数では2階以
下の場合にはaランクで係数K4は1.2とされ、3階
〜7階の場合にはbランクで係数K4は1.0とされ、
8階以上の場合にはcランクで係数K4は0.8とされ
る。構造種別ではSRC造(充腹ウェブ)の場合にはb
ランクで係数K5は1.0とされ、RC造及びSRC造
(非充腹ウェブ)の場合にはcランクで係数K5は0.
8とされる。地盤種別では1種地盤の場合にはaランク
で係数K6は1.2とされ、2種地盤の場合にはbラン
クで係数K6は1.0とされ、3種地盤の場合にはcラ
ンクで係数K6は0.8とされる。耐震診断IS値で
は、1次診断IS値を採用する場合にあっては、与えら
れた1次診断IS値そのものをその目標基準値である
0.8で割った値を係数K7とし、2次診断IS値ある
いは3次診断IS値を採用する場合には、やはりその与
えられたIS値そのものをその目標基準値である0.6
で割った値を係数K7とする。
【0045】そして、上記各項目の係数K1〜K7を掛
け合わせた値KKが構造体性能値とされる。また、この
構造体性能値KKは評価得点に置換されて、その評価得
点に応じて構造項目の総合評価のランクB,Cが判定さ
れる。表9は上記構造体性能値KKと評価得点及びラン
クとの対照表であり、対照表テーブルとして評価システ
ムに予め格納記憶されていて、この総合評価のランクは
図5の構造項目の各小項目のデータが入力されると自動
的に計算されて入力表示されるようになっている。
【0046】
【表9】
【0047】ここで、図8に示す構造体性能値の計算
は、1次診断IS値が0.8以上でAランクと判定され
た適合建物に対しても行われて、その評価得点が算出さ
れる。ただし、この場合はランク付けとは無関係に算出
され、当該評価得点は重み付けによる相対評価を行うた
めの基礎得点とされる。この際、与えられた1次診断I
S値そのものが係数K7とされる。
【0048】なお、図5において構造項目中に示される
各小項目の入力窓にカーソルが移されると、図示してい
ない入力補助画面がポップアップ表示されるようになっ
ていて、建設年度,延床面積,地上階数,耐震診断IS
値は数値データで直接入力され、その数値に応じたラン
クが図5の各項目に表示されるようになっている。ま
た、建築物用途,構造種別,地盤種別は選択画面になっ
ていて、該当するものを選択するとそのランクが図5の
各該当項目に表示されるようになっている。
【0049】次に、非構造部材の外部仕上げ及び内部仕
上げの各項目の定量化について説明する。非構造部材は
その部位、部材の種類・機能が多岐にわたり、それらの
全てにおいて評価を行うことは困難であるから、耐震影
響の高い部位や部材について耐震性能のランク付けをし
て定量化を図る。この際、従来の定性的な評価であった
設計図書や目視による調査結果に対してさらに定量的な
尺度を与えることによって部位・部材の耐震性能を数値
化する。また、各部位・部材に対して、それらが地震時
において人命や建築物の機能に及ぼす影響の大きさに応
じた重み付けをして数値化し、これらを加重平均するこ
とにより外部仕上げ・内部仕上げの耐震性能を得点化す
る。
【0050】ここで、非構造部材は主要構造体との接合
状態によって地震力の伝わり方が多様となるため、耐震
性能を定量的に把握することは難しい。従って、診断は
現地での目視による現況調査が主体となるが、その際に
各部材毎に耐震性能上の仕様と劣化・不具合の状況等の
調査確認結果を予め定型化して作成しておいた耐震性能
簡易調査表に記入し、評価システムへの入力の際のラン
ク付け判断基準の補助にし、これにより多数の建築物相
互間の判断基準の統一化を図る。
【0051】表10は上記耐震性能簡易調査表の一事例
を示すもので、外部仕上げ項目における開口部ガラスサ
ッシ部位の調査表である。同表10に示すように、当該
開口部ガラスサッシ部位では、窓の形状・形式,サッシ
と躯体との取付状態,使用されている窓ガラスの種類や
クリアランスの有無,シール材の種類等の部材性能に関
わるチェック事項と、それらの劣化度や不具合状態のチ
ェック事項とが定められていて、これらのチェック事項
を総合的に勘案して当該開口部ガラスサッシ部位の耐震
性能を評価して前述と同様に耐震性能の高い順にa,
b,cの3段階にランク付けるようになっており、図5
の入力画面ではこのa,b,cのランク値が該当項目の
入力窓に入力されるようになっている。そして、この
a,b,cの各ランクに対しては自動的に0.8,0.
6,0.4の各係数値がデフォルトで付与されるように
システム設定されている。
【0052】
【表10】
【0053】ところで、非構造部材項目における総合的
な耐震性能を評価するにあたっては、前述しておいたよ
うに各部位・部材に対し、地震時に人命や建築物の機能
に及ぼす影響度の大きさに応じた相対的な重み付けが行
われて、各部位・部材毎にその耐震性能評価の得点化が
図られる。そして、それらの評価得点を加重平均し、そ
の平均得点を非構造部材項目の総合耐震性能の評価得点
とし、この評価得点に応じて非構造部材項目の総合耐震
性能のランク付けが行われる。
【0054】すなわち、図4の入力画面で建物用途のデ
ータが入力されるとその入力データに応じて評価システ
ムは主要構造体項目、非構造部材の外部仕上げ項目と内
部仕上げ項目、設備の電気項目と衛生項目と空調項目、
並びにこれらの各項目中の全ての小項目に持ち点を付与
するようになっており、その得点配分は各施設用途毎に
予めデフォルトでシステム設定されて格納記憶されてい
る。
【0055】先に示した表8は主要構造体項目,外部仕
上げ項目,内部仕上げ項目,電気設備項目,衛生設備項
目,空調設備項目のそれぞれに対する持ち点配分の一例
を具体的に示したものであり、その外部仕上げ項目と内
部仕上げ項目とに対してはさらにそれらに含まれる各小
項目に対して下層段階での重み付けがなされている。表
11はその下層段階での重み付けによる持ち点配分の一
例を示すもので、外部仕上げ項目と内部仕上げ項目とは
各々基本持ち点が100点とされている。そして、その
100点が各小項目にその重要度に応じて振り分けられ
て配点されており、その配点割合の内訳は施設の用途に
応じて異ならせている。
【0056】
【表11】
【0057】そして、評価システムは各小項目に上記耐
震性能簡易調査表に基づいたa,b,cのランク値の入
力がなされると、それぞれに配分されている持ち点とラ
ンク値に対応する係数とを掛け合わせて各小項目の評価
得点を算出し、さらにその各小項目の評価得点の平均得
点を算出して、この平均得点を外部仕上げ項目あるいは
内部仕上げ項目の全体としての評価得点とする。そし
て、この評価得点から外部仕上げ項目あるいは内部仕上
げ項目の総合耐震性能のランク付けを行う。すなわち、
平均得点が例えば100〜60点の場合にはaランク、
59〜50点の場合にはbランク、49〜0点の場合は
cランクとし、評価得点とともにシステムに格納記憶す
る。
【0058】次に、設備耐震性能情報の電気設備項目、
衛生設備項目、空調設備項目及びそれらの各項目中の小
項目についての定量化について説明するが、この設備耐
震性能情報に係る大小の各項目についても上述の非構造
部材の場合と同様にして定量化が行われるようになって
いる。
【0059】建築設備は主要構造体との接合状態によっ
て地震に対する移動・転倒・脱落を防ぐことが耐震性能
確保のための重要条件である。従って、配管・機器類の
耐震措置が配慮されていることが機能を維持あるいは回
復するための第一要件となる。
【0060】診断は各主要建築設備機器・配管類の目視
・指触による外観調査が主体になり、予め定型化して作
成されている耐震性能簡易調査表に定められたチェック
項目への記入により行われる。評価システムへの入力の
際には、この簡易調査表をランク付け判断の補助にし、
これにより多数の建築物相互間におけるランク付け判断
基準の統一化を図る。
【0061】表12は上記耐震性能簡易調査表の一事例
を示すもので、電気設備項目の調査表である。同表12
に示すように、当該電気設備では、各種設備機器の耐震
固定度とそれら機器本体システム自体の耐震措置とに関
わるチェック事項が定められていて、これらのチェック
事項を前述したのと同様に耐震性能の高い順にa,b,
cの3段階にランク付けるようになっており、図5の入
力画面ではこのa,b,cのランク値が該当項目の入力
窓に入力されるようになっている。そして、このa,
b,cの各ランクに対しては自動的に0.8,0.6,
0.4の各係数値がデフォルトで付与されるようにシス
テム設定されている。
【0062】
【表12】
【0063】また、表13は各項目に対する重み付けに
よる持ち点配分の一例を示すもので、電気設備項目と衛
生消火設備項目及び空調換気設備項目とは各々基本持ち
点が100点とされている。そして、その100点が各
小項目にその重要度に応じて振り分けられて配点されて
おり、その配点割合は施設の用途に応じて異ならせてい
る。
【0064】
【表13】
【0065】そして、評価システムは各小項目に上記耐
震性能簡易調査表に基づいたa,b,cのランク値の入
力がなされると、それぞれに配分されている持ち点とラ
ンク値に対応する係数とを掛け合わせて各小項目の評価
得点を算出し、さらにその各小項目の評価得点の平均得
点を算出して、この平均得点をそれぞれ電気設備項目あ
るいは衛生消火設備項目ないしは空調換気設備項目の全
体としての評価得点とする。そして、これらの評価得点
から電気設備項目あるいは衛生消火設備項目ないしは空
調換気設備項目の総合耐震性能のランク付けを行う。す
なわち、平均得点が例えば100〜60点の場合にはa
ランク、59〜50点の場合にはbランク、49〜0点
の場合はcランクとし、評価得点とともにシステムに格
納記憶する。また、このa,b,cのランクに対して
も、それぞれ0.8,0.6,0.4の係数が自動的に
付与されるようにデフォルトでシステム設定されてい
る。
【0066】また上述のようにして、建築面の構造項
目,内部仕上げ項目,外部仕上げ項目の各総合耐震性能
のランク、並びに設備面の電気設備項目、衛生設備項
目、空調換気設備項目の各総合耐震性能のランクが判定
されると、次に評価システムはさらに建築物全体として
の耐震性能の定量化を行い得点化する。すなわち、表8
に示してあるように、上記の各大項目に対しても持ち点
が付与されて施設用途に応じた重み付けがなされてお
り、その各持ち点に上記ランクに応じた係数が掛け合わ
されて各大項目の評価得点が算出され、さらにこれらの
大項目の評価得点がさらに加重平均されて、その平均得
点が建築物全体としての最終的な総合評価得点とされて
システムに格納記憶される。
【0067】また、以上のようにして評価システムに格
納記憶された建築物の耐震性能は図9に示すような判定
結果画面に出力表示可能となっている。この画面では構
造、外部仕上げ、内部仕上げ、電気設備、衛生設備、空
調設備の各大項目がその耐震性能のランク付けとともに
該当窓に表示され、且つそれら各大項目の窓中にはさら
に中項目がその耐震性能のランク付けとともに表示され
る。また、建築物全体としての耐震性能が総合評価窓に
評価得点で表示されるとともに、上記各大項目の評価得
点も表示される。
【0068】さらに、各大項目の評価得点はダイアグラ
ムグラフあるいはレーダーチャートグラフに表示され、
これにより各大項目間の耐震性能のバランスが一目で認
識できるようになっており、表示されている物件の建築
物に対して、どの項目にどの程度の改修を行う必要があ
るかが、容易に把握できるようになっている。
【0069】一方、耐震補強の実施はその建築物のもつ
耐震性能の他に、所有者が抱える種々の要因や入居状態
等の利用状況によっても左右される。特に同じ耐震性能
を持つ複数の建築物の改修優先順位を設定する場合に
は、その耐震性能以外の種々の要因が重要となる。この
ため、このような耐震外性能が利用状況情報データ項目
として設定されており、この利用状況情報項目も定量化
が図られている。
【0070】本実施例ではこの利用状況情報は前述して
あるように、建築物用途、改修履歴、規模、建築物評価
額、入居状況、建築物劣化度からなり、図10は図2中
に示す新規入力及び検索条件の入出力画面B3を具体的
に示す図である。建築物用途項目は表7を用いて既に説
明してあるように、地震時に守るべきものの重要度に応
じてA,B,Cの3段階にランク付けされる。なお、こ
の建築物用途項目のデータは、前述した物件基礎情報で
の用途と同一である。
【0071】改修履歴項目は耐震補強工事を実施する多
くの場合に問われることになる過去の改修履歴とその投
資額及び改修による耐震性能上の有効性に答えるもの
で、ここでは改修時期と初期投資額に対する改修投資額
との比率によって3段階にランク付けをしている。すな
わち、Aは過去に大きな改修工事を実施していない建築
物であり、Bは過去10年以内に初期投資の1/10を
超える改修投資を行った建築物、Cは過去5年以内に初
期投資の1/5を超える改修投資を行った建築物であ
る。建築物規模項目は一般に施設の規模が大きくなる
程、地震による被害が大きいという点に対処するもの
で、建築物延床面積、階数に応じてランクが設定され、
Aは30000m2 以上もしくは15階建以上の建築
物、Bは10000m2 以上もしくは8階建以上の建築
物、Cは上記以外の建築物である。ここで、当該建築物
規模項目での延床面積と階数とのデータは、前述した主
要構造体項目における延床面積と階数とのデータとは数
値が異なるが、これは主要構造体項目での構造的観点と
は異なる視点で対象建物を大きくとらえて判別しようと
するものであって、相互に関連性は無い。
【0072】建築物評価額項目は、資産としての建築物
の価値も耐震補強実施にあたって大きな要因となること
に対処するもので、ここでは建築物自体の現状課税対象
額に応じてA,B,Cの3段階にランク付けする。ま
た、そのランク付けのための判定額は所有者の要望で任
意に決める。
【0073】入居状況項目は、人命を守ることが耐震補
強の第一義的な目標であることから、入居の状況はその
改修優先順位を決める上で重要な要素となることに対処
するもので、建築物を利用する人の数や密度、時間帯に
よってランクを設定する。ここでは、Aは24時間0.
05人/m2 以上の人が滞在する建築物であり、Bはあ
る特定の時間に限り0.05人/m2 以上の人が滞在す
る建築物であり、Cは日常、人があまり滞在しない建築
物である。
【0074】建築物劣化度項目は、耐震補強工事を実施
する場合、併せて建築物の劣化や不具合のリニューアル
を実施することが多く、また、リニューアルに併せて耐
震補強を実施することも少なくないことに対処するもの
で、ここでは建築物の外部仕上げ、内部仕上げ、電気設
備、衛生設備、空調設備各々の劣化度判定によりランク
を設定する。Aは全面的な更新・改修が必要な建築物、
Bは補修・改修が望まれる建築物、Cは特に問題のない
建築物である。
【0075】なお、耐震外性能の項目及びそのランク設
定は所有者の事情を主に考慮したものであるから、任意
な設定が可能になっている。
【0076】また、ここで上記各項目のA,B,Cのラ
ンク評価は、それぞれ0.8,0.6,0.4の係数に
置換されて単純に加算され、その加算値を項目数で割っ
て100倍することで得点化される。そして、この得点
に重み係数が乗じられて総合評価点に反映される。
【0077】以上のようにして耐震性能が判定された個
々の建築物は、評価システムに上記の各種諸情報データ
が格納記憶されて、建築物群のデータベースを構築す
る。
【0078】評価システムはこれらの建築物群に対し
て、図4,5,10の各検索条件入力画面B1,B2,
B3にて示すように、和集合または積集合による多様な
検索表示機能を持ち、物件基礎情報や耐震性能情報ある
いは利用状況情報の各種項目を検索キーとして、入力さ
れた検索条件に応じて該当する物件を抽出し、図11に
示すように建築物一覧抽出リストとしてモニターやプリ
ンター等の表示手段に出力表示し得るようになってい
る。この際、抽出された各物件をその建築物全体として
の耐震性能の総合評価得点順にソートして、昇順あるい
は降順表示可能で、これにより改修優先順位を容易に判
定評価できるようになっている。
【0079】また、一覧表示された抽出リスト中から特
定の物件をマウス16b等で選択すれば、前述した図9
の耐震性能判定結果画面が出力表示されて、各物件の詳
細な耐震性能を個別に知ることができるようになってお
り、この図9の耐震性能判定結果画面中に分類されてい
る項目を選択することで、さらに下層の詳細な項目情報
も次画面に表示できるようになっている。
【0080】また、重み付けのための配点の内訳や耐震
性能のランク付けに対する係数値等は、予めデフォルト
でシステム設定値として格納記憶されているが、これら
のシステム設定値は図示していないシステム設定画面で
随時変更できるようになっており、また個別の物件に対
してはその建築物の実状に即した値に個々にきめ細かく
適宜修正することもできるようにもなっている。
【0081】次に、この評価システムの活用例を3つの
建築物を想定して例示すると、以下の表14,15,1
6に示すようになる。ここで、Xビル、Yビル、Zビル
の3つの建築物は以下のように仮定している。 < 共 通 > SRC造 7階建 地下なし 延床面積10000m2 オフィスビル 同一敷地に建つものとする <主要構造体・非行造部材> ・Xビル 1971年前施工(旧耐震基準、帯筋規定等
見直し前) ・Yビル 1981年前施工(旧体新基準、帯筋規定等
見直し後) ・Zビル 1982年以降 (新耐震基準による設計) < 建 築 設 備 > ・Xビル 1981年以前 ・Yビル 1982年以降で最低限の指針を順守 ・Zビル 1982年以降で耐震設計に順守 ※建築設備は1982年の指針以前の建築物について耐
震性能上大きな差異はないため、構造・非構造とは条件
設定を異なるものとした。
【0082】
【表14】
【0083】
【表15】
【0084】
【表16】
【0085】
【発明の効果】以上実施例で詳細に説明したように、本
発明によれば次のような優れた効果を発揮する。
【0086】(1)本発明の請求項1及び2に係る既存
建築物の耐震性能評価方法及びそのシステムでは、個々
の既存建築物の全体的な耐震性能の総合的評価を、その
建築物の用途によって異なる主要構造体項目と非構造部
材項目と建築設備項目との各項目の耐震性能の重要度の
割合に応じて、それらの各項目に相対的な評価を加えて
所定の統一された評価基準の下で合理的に行うことがで
きる。また、各項目別の耐震性能とそれらを総合した耐
震性能とを得点化して表すので、改修の要否やその緊急
性を数値で容易に把握でき、しかもどの項目に対してど
の程度の改修をすべきであるのかも容易に数値で把握で
きる。
【0087】(2)本発明の請求項3及び4に係る既存
建築物群の改修優先順位評価方法及びそのシステムで
は、上記(1)の効果に加えてさらに、多数の建築物群
を改修するにあたって、どの建築物から着手すべきかを
容易に数値で把握して相対評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る既存建築物群の改修優先順位評価
システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】この評価システムにおける入出力構成画面の階
層構造を示す図である。
【図3】図2中に示すメインメニュー画面Aの具体的な
構成例を示す図である。
【図4】図2中に示す入出力画面B1の具体例を示す図
である。
【図5】図2中に示す入出力画面B2の具体例を示す図
である。
【図6】図5における設備項目の入力項目をさらに詳細
に示す次画面の図である。
【図7】主要構造体の定量化について説明する図であ
る。
【図8】同上、主要構造体の定量化について説明する図
である。
【図9】耐震性能の判定結果画面の具体例を示す図であ
る。
【図10】図2中に示す新規入力及び検索条件の入出力
画面B3を具体的に示す図である。
【図11】モニターに表示される建築物一覧抽出リスト
の一例を具体的に示す図である。
【符号の説明】
10 外部記憶手段 12 演算表示制御手段 12a 演算部 12b 表示制御部 12c 内部メモリ 12d 入出力インターフェイス 14 表示手段 16 入力手段 16a キーボード 16b マウス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島 潔 東京都千代田区神田司町2丁目3番地 株 式会社大林組東京本社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既存建築物の主要構造体と非構造部材と
    建築設備との各項目毎に、その耐震性能を既存建築図書
    や現況調査に基づいて定量化して数値化するとともに、 地震時における該各項目の耐震性能の重要度について、
    該既存建築物の用途や利用状況に即した相対的な重み付
    けをして数値化し、 該重要度と耐震性能との数値から各項目毎の評価得点を
    求めるとともに、該各項目の評価得点を平均して該既存
    建築物の総合的な耐震性能の評価得点を求めることを特
    徴とする既存建築物の耐震性能評価方法。
  2. 【請求項2】 既存建築物についてその主要構造体と非
    構造体と建築設備との各項目に関する数値化された耐震
    性能データを記憶格納する手段と、 地震時における該各項目の耐震性能の重要度について、
    該既存建築物の用途や利用状況に即した相対的な重み付
    けをして数値化された重み付けデータを記憶格納する手
    段と、 これらの各種データを新規あるいは修正入力する入力手
    段と、 該重み付けデータと耐震性能データとの数値から各項目
    毎の耐震性能の評価得点を求めるとともに、該各項目の
    評価得点を平均して該既存建築物の耐震性能の総合評価
    得点を求める手段と、 該総合評価得点と各項目毎の評価得点とを一覧リストデ
    ータにして出力する出力手段と、 該出力データを表示する表示手段と、 を備えたことを特徴とする既存建築物の耐震性能評価シ
    ステム。
  3. 【請求項3】 多数の既存建築物を改修する際の改修優
    先順位を判断するにあたって、 個々の既存建築物について、その主要構造体と非構造部
    材と建築設備との各項目毎に、その耐震性能を既存建築
    図書や現況調査に基づいて定量化して数値化するととも
    に、 地震時における該各項目の耐震性能の重要度について、
    該既存建築物の用途や利用状況に即した相対的な重み付
    けをして数値化し、 該重要度と耐震性能との数値から各項目毎の評価得点を
    求めるとともに、該評価得点を平均して該既存建築物の
    耐震性能の総合評価得点を求め、 該総合評価得点での耐震性能の低いものから改修優先順
    位を高くすることを特徴とする既存建築物群の改修優先
    順位評価方法。
  4. 【請求項4】 既存建築物群に対し、個々の既存建築物
    についてその主要構造体と非構造体と建築設備との各項
    目に関する数値化された耐震性能データを記憶格納する
    手段と、 地震時における該各項目の耐震性能の重要度について、
    該既存建築物の用途や利用状況に即した相対的な重み付
    けをして数値化された重み付けデータを記憶格納する手
    段と、 これらの各種データを新規あるいは修正入力する入力手
    段と、 該重み付けデータと耐震性能データとの数値から各項目
    毎の評価得点を求めるとともに、該評価得点を平均して
    該既存建築物の耐震性能の総合評価得点を求める手段
    と、 該総合評価得点順にソートした既存建築物の改修優先順
    位を一覧リストデータにして出力する出力手段と、 該出力データを表示する表示手段と、 を備えたことを特徴とする既存建築物群の改修優先順位
    評価システム。
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