以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明の資産マネジメント支援システム、資産マネジメント支援方法およびプログラムの一実施の形態である資産マネジメント支援システム1を例として説明するが、本発明は資産マネジメント支援システム1に限定されるものではない。
<資産マネジメント支援システム1の概要>
図1は、本発明の資産マネジメント支援システム、資産マネジメント支援方法およびプログラムの一実施の形態である資産マネジメント支援システム1の概要を示す図である。この資産マネジメント支援システム1は、たとえば、国、自治体あるいは企業のいずれかが所定の領域において複数所有している施設を管理、運営するための支援を行うシステムである。資産マネジメント支援システム1を用いることにより、国、自治体あるいは企業のいずれかが所定の領域において複数所有している施設について実態を把握し、中長期的な維持管理に係るトータルコストの減縮および予算の平準化を図りつつ、施設に求められる部位別の仕様・性能を確保することで、老朽化による建て替えのみならず、長寿命化計画を検討することが可能となっている。以下、本発明では、学校施設を管理・運営するための支援を行う資産マネジメント支援システム1を例に挙げ説明するものとする。
図1に示すように、資産マネジメント支援システム1は、ネットワーク2を介してクライアント端末3と接続されている。資産マネジメント支援システム1は、資産マネジメント支援装置4、通信装置5、記憶装置6を備えている。
ネットワーク2は、コンピュータ間の通信を確立するための伝送路である。ネットワーク2は、一般的には、通信ケーブルによって実現され、通信プロトコルにはTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使われる。なお、ネットワーク2の伝送路としてはケーブルだけに限定されるものではなく、それらの間の通信プロトコルが一致、または互換性のあるものであれば有線または無線の汎用回線または専用回線、有線または無線の複数のネットワーク、たとえば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、またはインターネットなどのIP(Internet Protocol)通信網、公衆電話網、携帯電話網などから構成される。
クライアント端末3は、資産管理担当者、または、建物の劣化状況を調査する担当者(以下、操作者と称する)等が使用することができる端末である。クライアント端末3は、資産マネジメント支援システム1の通信装置5に対して、操作者の操作により、各種処理の要求(所望の情報の表示処理要求、登録処理要求、検索処理要求等)、あるいは各種データの入力をすることができる。クライアント端末3には、予めWebブラウザがインストールされており、通信装置5から出力されるデータをディスプレイなどの表示装置に表示させることができるように構成されている。クライアント端末3は、図1の例ではスマートフォンとしているが、その他にノートパソコン、デスクトップパソコン、専用の携帯端末、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)などの携帯可能な装置であってもよい。すなわち、クライアント端末3は、資産マネジメント支援装置4により提供されるサービスに対して、ネットワーク2を介してアクセスし、種々の実行の指示ができ、表示させることができるものであればよい。なお、図1のクライアント端末3は、1台のみ示しているが、当然、使用する操作者毎に複数台存在するものである。
資産マネジメント支援装置4は、クライアント端末3から供給された各種情報を、後述する記憶装置6に記憶させるとともに、クライアント端末3からの指示に応じて、後述する記憶装置6から情報を取得し、各種処理を実行する。資産マネジメント支援装置4は、記憶装置6から、管理対象となる学校施設の実態を示す情報(劣化状況)を取得すると共に、中長期財政見込みに基づいて、管理対象となる学校施設に投じる単年度あたりの合計予算額の上限値(以下、単に「財政制約ライン」という。)で可能な保全方針を決定し、その決定した保全方針と現状の整備レベルとに基づいて今後の維持・更新コストを算出する施設管理処理を実行する装置である。そのため、資産マネジメント支援装置4にはWebサーバとして機能させるためのプログラムやアプリケーションサーバとして機能させるためのプログラムなどが予めインストールされている。図1に示すように、資産マネジメント支援装置4は、画面情報生成部11、情報記憶処理部12、劣化状況評価部13、財政制約ライン設定部14、基準値設定部15、保全方針決定部16、事業内容設定部17、部位別特定部18、部位別コスト算出部19、基準値更新部20、会計連動部21、シミュレーション部22を有している。
画面情報生成部11は、クライアント端末3からの要求に応じた画面を表示させるためのデータ(たとえば、HTMLデータや画像データ)を生成し、通信装置5を介してクライアント端末3へ送信する。
情報記憶処理部12は、学校施設に関する様々な情報、学校施設の躯体と躯体以外の主な点検部位の劣化情報などを記憶装置6に記憶する。情報記憶処理部12は、たとえば、クライアント端末3からの要求(情報登録処理要求)に応じて、学校施設に関する様々な情報、学校施設の躯体と躯体以外の主な点検部位の劣化情報などを記憶装置6に記憶することができる。なお、記憶装置6に記憶される学校施設に関する様々な情報、学校施設の躯体と躯体以外の主な点検部位の劣化情報については、具体例を用いて後述する。また、情報記憶処理部12は、資産マネジメント支援装置4の各部の処理により生成された情報を記憶装置6に記憶する。
劣化状況評価部13は、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶されている学校施設の躯体以外の主な点検部位の劣化情報、および、劣化状態の評価を指標化するための評価指標を示す情報に基づいて、学校施設の劣化状態の評価結果を指標化した値である健全度を算出することができる。劣化状況評価部13は、たとえば、クライアント端末3からの要求(劣化状態の評価要求)に応じて、学校施設の劣化状態の評価を指標化して健全度を算出することができる。劣化状況評価部13により算出された健全度は、情報記憶処理部12により、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶される。なお、学校施設の躯体以外の主な点検部位の劣化情報、および、劣化状況評価部13により生成される健全度の詳細については、具体例を用いて後述する。
財政制約ライン設定部14は、財政制約ラインとなる数値を設定する。財政制約ライン設定部14は、たとえば、クライアント端末3からの要求(財政制約ラインの設定指示要求)に応じて、管理対象となる学校施設に投じる単年度あたりの合計予算額の上限値としての数値を設定することができる。なお、この財政制約ラインとして設定される数値は、上述の説明では、管理対象の学校施設に投じる単年度あたりの合計予算額の上限値としたが、必ずしも単年度当たりの合計予算額の上限値に限定されるものではなく、任意の数値を設定することももちろん可能である。たとえば、財政制約ライン設定部14は、学校施設毎の予算の上限値を財政制約ラインとして設定できるようにしてもよい。
基準値設定部15は、後述する記憶装置6に記憶されている学校施設の各部位の仕様・性能・コスト情報、および、学校施設毎に定期的に行われる劣化状況調査などにより把握された情報および劣化状況の評価情報に基づいて、学校施設の仕様、性能、部位別(たとえば屋根・屋上、外壁、内部仕上げ、電気設備、機械設備など)およびトータルコストを含む現状の整備レベルに関する情報を基準値として設定することができる。これにより、現状の学校施設の施設整備水準レベルを、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶されている学校施設の劣化情報、すなわち、実体の劣化状況調査と連動させて把握することができると共に、将来的に修繕などを行う際の具体的な判断基準となり得る。また、基準値設定部15は、財政制約ライン設定部14により設定された財政制約ラインとなる数値を超えない範囲で各学校施設の部位別(たとえば屋根・屋上、外壁、内部仕上げ、電気設備、機械設備)の施設整備水準レベルを設定することもできる。これにより、財政制約ラインとして設定された予算額内で、維持可能な施設整備水準レベルを把握することが可能である。なお、基準値設定部15により設定される基準値および施設整備水準レベルの詳細については、具体例を用いて後述する。
保全方針決定部16は、記憶装置6に記憶されている後述する建物情報一覧表に含まれる建物基本情報に基づいて、集計および分析を行い、施設を改築する場合の築年別整備状況と今後の維持・更新コストを算出する。また、保全方針決定部16は、クライアント端末3から供給されたコスト算出条件と、記憶装置6に記憶されている各学校施設の基本情報に基づいて、施設を長寿命化する場合の、今後の維持・更新コストを算出する。また、保全方針決定部16は、基準値設定部15により設定された学校施設の仕様、性能、コストの基準値と、劣化状況評価部13により算出された健全度と、および、財政制約ライン設定部14により設定された財政制約ラインとなる数値に基づいて、学校施設の機能回復、学校施設の機能向上のいずれかの保全方針を決定する。なお、保全方針決定部16により決定される保全方針の詳細については、具体例を用いて後述する。
事業内容設定部17は、保全方針決定部16により決定された保全方針に従った場合の学校施設の修繕内容を部位別に特定し、施設の所定期間毎の修繕コストを算出する。なお、事業内容設定部17により算出される修繕コストの詳細については、具体例を用いて後述する。
部位別特定部18は、学校施設の建て替え工事または修繕工事の際に作成される工事内訳書に記載される実績データに基づいて、学校施設の部位別の修繕内容を特定することができる。部位別特定部18は、実績データに含まれる情報のみで部位まで把握することができない場合には、部位別のレベルとなるように、後述する記憶装置6を参照して適宜補完することができる。
部位別コスト算出部19は、部位別特定部18により特定された各学校施設の部位別の修繕内容に基づいて、部位別のコストおよび部位別のコストの構成比率を算出することができる。
基準値更新部20は、部位別特定部18により特定された各学校施設の修繕内容と、部位別コスト算出部19により算出された部位別のコストに基づいて、基準値設定部15により設定された各学校施設の仕様、性能、コストの基準値を更新することができる。
会計連動部21は、学校施設の機能向上にかかるコストを会計における資本的支出に連動させるとともに、学校施設の機能回復にかかるコストを会計における修繕費に連動させることができる。
シミュレーション部22は、保全方針決定部16により決定された保全方針から、所定の領域内における将来の人口変化に関する情報、各施設の利用状況に関する情報、各施設の機能に関する情報のいずれか、またはこれらの複数の情報に基づいて、施設の区分所有、共有化、集約化等のいずれかのシミュレーションを実行する。なお、シミュレーション部22により実行されるシミュレーションの詳細については、具体例を用いて後述する。
資産マネジメント支援装置4は、汎用的なコンピュータシステムであり、図示しない構成としてCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶手段がバスに接続されて構成されている。SSDあるいはHDDは、不揮発性記憶装置であり、OS(Operating System)および施設管理処理を実現するための施設管理プログラムを格納する。また、CPUは、記憶装置6に対してデータの参照および更新、通信装置5を制御してネットワーク2を介したクライアント端末3とのデータの送受信、および、施設管理処理などを制御する。資産マネジメント支援装置4は、CPUがSSDあるいはHDDに格納されたOSおよび施設管理プログラムをRAMに読み込み、実行する。これにより、資産マネジメント支援装置4は、施設管理処理などの各種の情報処理を行うことができる。
なお、資産マネジメント支援装置4は、1台である必要はなく、複数台に分散されたコンピュータにより処理されても構わない。また、資産マネジメント支援装置4は、クライアント端末3の機能を備えていても構わない。
通信装置5は、資産マネジメント支援装置4に接続され、資産マネジメント支援装置4のCPUからの指示を受け、ネットワーク2を介してクライアント端末3とデータの送受信を行う。また、通信装置5は、クライアント端末3からの要求を資産マネジメント支援装置4へ伝える。なお、通信装置5のハードウェアとしてはLANボードなどで構成され、ソフトウェアとしてはOSとのやり取りを行うためのデバイスドライバなどで構成されるが、通信装置5はこれらの構成にのみ限定されるものではない。
記憶装置6は、管理対象となる学校施設の建物基本情報および劣化情報を記憶している装置である。また、記憶装置6は、資産マネジメント支援装置4により設定された学校施設の現状の整備レベルに関する情報である基準値、整備履歴情報、評価情報、保全方針に関する情報なども記憶することができる。記憶装置6は、図1に示すように、資産マネジメント支援装置4に接続され、施設情報記憶部31、劣化情報記憶部32、評価情報記憶部33、および保全方針情報記憶部34を備える。
なお、記憶装置6は、ハードウェアとしてはHDD、SSDなどで構成され、ソフトウェアとしてはたとえばRDBMS(Relational Database Management System)などで構成されるが、これらの構成に限定されるものではない。また、記憶装置6が有するデータベースとしても関係データベースに限定されるものではなく、階層型データベースでもネットワーク型データベースであってもよい。記憶装置6は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置であることが望ましい。また、記憶装置6は、1台である必要はなく、複数台に分散された記憶装置であっても構わない。すなわち、施設情報記憶部31、劣化情報記憶部32、評価情報記憶部33、保全方針情報記憶部34は、複数の記憶装置に分散して管理されても構わない。また、記憶装置6は、資産マネジメント支援装置4に内蔵されるものであっても構わない。
記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶される情報には、学校の施設台帳である学校施設台帳、建物基本情報、および、学校施設の各部位の仕様・性能・コスト情報が含まれている。施設情報記憶部31には、資産マネジメント支援装置4の各部の処理により生成されたデータのうち、施設に関する情報が更に記憶される。
建物基本情報には、たとえば、ある学校施設についての学校施設名、その学校施設の規模を示す情報、その学校施設の所在地(エリア)を示す情報、その学校施設の所轄課を示す情報、その学校施設に関する会計処理の際に用いられる名称を示す情報、その学校施設の分類を示す情報(大分類、中分類、小分類など)、その学校施設の建築年度を示す情報、その学校施設の敷地面積を示す情報、その学校施設の建築面積を示す情報、その学校施設の延床面積を示す情報(総延床面積、棟別の延床面積など)、その学校施設の構造を示す情報(鉄筋コンクリート造、軽量鉄骨造、木造など)、その学校施設の階数を示す情報(地上2階建、地下1階ありなど)などが含まれている。なお、建物基本情報には上述した情報以外が含まれていてもよい。学校施設台帳、および、建物基本情報の具体的な例については、図4を用いて後述する。
仕様・性能・コスト情報には、学校施設を建築するために項目分けされた5つの部位(屋根・屋上、外壁、内部仕上げ、電気設備、機械設備)が備えている仕様構成・性能構成・コストに関する情報が含まれている。たとえば、ある学校施設についての屋根・屋上の部位にはシート防水を示す情報、その学校施設の外壁の部位には塗仕上げ、タイル張り、アルミ製サッシを示す情報、その学校施設の内部仕上げの部位にはモルタルペイントを示す情報、その学校施設の電気設備の部位には電灯、コンセント設備を示す情報、その学校施設の機械設備の部位には給水配管、給湯配管、排水配管、ガス配管を示す情報などが含まれている。これらの仕様・性能・コスト情報は、建物の階層構造に対応して下位の部位が上位の部位に包含されるように記録されているものである。なお、建物の階層構造に対応して下位の部位が上位の部位に包含されるように記録するデータ構造,上位の部位レベルのコストを下位の部位別にコストを分配する技術は、たとえば、特開2009-116840に開示されているものであるため、詳細な説明は省略する。
劣化情報記憶部32に記憶される情報には、学校施設を建築するために項目分けされた5つの部位の施設劣化情報および整備履歴情報が含まれている。また、劣化情報記憶部32に記憶される情報には、今後の維持・更新コストの算出において対応する学校施設が「改築」されるか「長寿命化」かの区分、および、区分を決定するための判断材料となる情報である、構造躯体の健全性に関する情報が含まれている。
施設劣化情報には、学校施設を建築するために項目分けされた5つの部位(屋根・屋上、外壁、内部仕上げ、電気設備、機械設備)が備えている仕様構成・性能構成の劣化状況に関する情報が含まれている。施設劣化情報としては、概ね良好(A)、部分的に劣化(B)、広範囲に劣化(C)、早急に対応する必要あり(D)の4段階で評価される。たとえば、ある学校施設についての屋根・屋上の部位には評価Bを示す情報、その学校施設の外壁の部位には評価Cを示す情報、その学校施設の内部仕上げの部位には評価Cを示す情報、その学校施設の電気設備の部位には評価Bを示す情報、その学校施設の機械設備の部位には評価Bを示す情報などが含まれている。また施設劣化情報には、劣化状況評価部13により算出された学校施設の健全度を示す情報が含まれている。なお、施設劣化情報には、上述した情報以外が含まれていてもよく、また評価段階は4段階に限られるものではない。
整備履歴情報には、学校施設を建築するために項目分けされた5つの部位(屋根・屋上、外壁、内部仕上げ、電気設備、機械設備)に対して実施された修繕や改修等に関する整備履歴情報が含まれている。たとえば、ある学校施設についての屋根・屋上の部位が〇〇年に防水改修されたことを示す情報、その改修により劣化状況が評価Cから評価Bに変更されたことを示す情報などが含まれている。なお、整備履歴情報には、上述した情報以外が含まれていてもよい。
評価情報記憶部33に記憶される情報には、学校施設の5つの部位について劣化状況を4段階で評価し、100点満点で数値化するための評価指標を示す情報が含まれている。評価指標を示す情報には、各部位の評価指標を評価点に換算するための換算表として、たとえば、評価Aは100点を示す情報、評価Bは75点を示す情報、評価Cは40点を示す情報、評価Dは10点を示す情報などが含まれている。また、評価指標を示す情報には、各部位にコストを配分するためのコスト配分表が含まれている。なお、評価指標を示す情報には、上述した情報以外が含まれていてもよく、また数値はこれらに限られるものではない。
保全方針情報記憶部34に記憶される情報には、学校施設の長寿命化のための保全計画に関する情報が含まれている。たとえば、施設の建て替え、施設の機能回復、施設の機能向上を示す情報などが含まれており、さらに、部位別の整備水準に関する詳細な情報も含まれている。なお、保全計画を示す情報には、例えば、保全方針決定部16により算出された、今後の維持・更新コストなど、上述した情報以外が含まれていてもよい。
<今後の維持・更新コストの算出方法>
図2は、図1に示す資産マネジメント支援装置4により実行される施設管理処理を示すフローチャート図である。なお、以下の処理において、クライアント端末3からの各種指示や要求は、操作者がクライアント端末3を操作することによって資産マネジメント支援装置4へと送信される。また、以下に説明するステップS1〜S10は、初めて施設管理処理を行う場合を想定しているものであり、ステップS11以降は、修繕工事などを行った際にクライアント端末3と資産マネジメント支援装置4との間で行われる処理を想定しているものである。したがって、ステップS1〜S10とステップS11以降とは、操作者およびクライアント端末3がそれぞれ異なるものであってもよい。
START:クライアント端末3からの指示を受けると、資産マネジメント支援装置4は施設管理処理を開始する。ここでは、たとえば、操作者がクライアント端末3を用いてある学校施設に関する情報(学校施設の基本情報または劣化調査情報)を入力しようとしているものとする。
ステップS1:資産マネジメント支援装置4の情報記憶処理部12は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から、各学校施設の基本情報として、図5を用いて後述する建物基本情報に対応する情報、および、各学校施設の各部位の仕様・性能・コスト情報を取得し、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶させる。またこのとき、クライアント端末3から表示要求があった場合、資産マネジメント支援装置4の画面情報生成部11は、ステップS1で記憶された各学校施設の基本情報から、各学校施設についての基本情報を示す画面情報を生成してクライアント端末3へ送信することで、クライアント端末3のディスプレイに、各学校施設についての様々な基本情報を示す画面を表示させることができる。これにより、クライアント端末3の操作者は、各学校施設の基本情報を容易に把握し、管理することができる。なお、学校施設の基本情報が記憶装置6の施設情報記憶部31に既に記憶されている場合や外部から取得済である場合にはステップS2へ移行する。
ステップS2:情報記憶処理部12は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から、各学校施設の劣化調査情報を取得し、施設劣化情報として記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶させる。施設劣化情報には、対応する学校施設は改築されるか長寿命化されるかのいずれとして試算されるかを示す情報、学校施設が長寿命化される場合においては、その施設の各部位における劣化調査の結果得られる(A)(B)(C)(D)の4段階評価が含まれている。またこのとき、クライアント端末3から表示要求があった場合、画面情報生成部11は、ステップS2で記憶された各学校施設の劣化調査情報から、各学校施設についての劣化状況を示す画面情報を生成してクライアント端末3へ送信することで、クライアント端末3のディスプレイに、各学校施設についての様々な劣化状況を示す画面を表示させることができる。これにより、クライアント端末3の操作者は、各学校施設の劣化状況を容易に把握し、管理することができる。
ステップS3:基準値設定部15は、ステップS1で記憶された各学校施設の基本情報およびステップS2で記憶された施設劣化情報に基づいて、各学校施設の各部位の仕様、性能、コストを含む現状の整備レベルに関する情報を基準値として設定する。すなわち、ステップS1で記憶された各学校施設の基本情報に含まれている各学校施設の各部位の仕様・性能・コスト情報には、それぞれの部位の整備レベル等を示す情報が含まれているが、劣化状況に関する情報は含まれていない。また、ステップS2で記憶された施設劣化情報は、それぞれの部位の劣化を示す情報であって、いかなる仕様・性能・コストで構成されているかについての情報は含まれていない。基準値設定部15の処理により、これらを対応付けることにより、各学校施設の各部位が、いかなる仕様・性能・コストで構成され、どのような劣化状態であるかの両方の観点から、各部位の状況を認識可能な、現状の整備レベルに関する情報を生成し、基準値として設定することができる。
ステップS4:劣化状況評価部13は、ステップS2で劣化情報記憶部32に記憶された劣化調査情報に基づいて、各学校施設の劣化状態の評価結果、すなわち、各部位における(A)(B)(C)(D)の4段階評価を指標化して健全度を算出し、算出した健全度を、記憶装置6の劣化情報記憶部32の施設劣化情報に紐付けて記憶させる。
ステップS5:保全方針決定部16は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から、コスト算出条件を取得する。コスト算出条件とは、たとえば過去の施設関連経費、改築の更新周期、および改築単価等の情報などである。なお、コスト算出条件は、上述した以外の条件により設定されるものであってもよい。
ステップS6:保全方針決定部16は、ステップS5で取得されたコスト算出条件と、ステップS1で記憶された各学校施設の基本情報に基づいて、今後の維持・更新コストを算出する。またこのとき、クライアント端末3から表示要求があった場合、ステップS6で算出された今後の維持・更新コストから、各学校施設についての今後の維持・更新コストを示す画面情報を生成してクライアント端末3へ送信することで、クライアント端末3のディスプレイに、各学校施設についての今後の維持・更新コストを示す画面を表示させることができる。これにより、クライアント端末3の操作者は、各学校施設についての今後の維持・更新コストを容易に把握することができる。
ステップS7:財政制約ライン設定部14は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から、財政制約ラインに関する情報を取得し、それを各学校施設すべてのコストの合計額の上限値として設定する。なお、あらかじめ財政制約ラインに関する情報を取得している場合には、記憶装置6から読み出す。
ステップS8:基準値設定部15は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から、各学校施設の部位別の施設整備水準レベルに関する情報を取得し、それを各学校施設の部位別の施設整備水準レベルとして設定する。なお、あらかじめ部位別の施設整備水準レベルに関する情報を取得して設定されている場合には、記憶装置6から読み出す。
ステップS9:保全方針決定部16は、ステップS7で設定された財政制約ラインの範囲内で各学校施設において選択可能な施設整備水準レベルを選択する。
ステップS10:事業内容設定部17は、ステップS9で選択された施設整備水準レベルに従った場合の各学校施設の修繕内容を部位別に特定し、各学校施設の直近の整備計画の修繕コストを算出する。またこのとき、クライアント端末3から表示要求があった場合、算出された各学校施設の直近の整備計画の修繕コストを示す画面情報を生成してクライアント端末3へ送信する。以上のステップS1〜ステップS10により、クライアント端末3のディスプレイに、各学校施設についての直近の整備計画の修繕コストを示す画面を表示させることができ、クライアント端末3の操作者は、各学校施設についての直近の整備計画の修繕コストを容易に把握することができる。続いて、定期的な劣化調査を実行した際の処理について、ステップS11以降を参照しながら説明する。
ステップS11:部位別特定部18は、学校施設の建て替え工事または修繕工事の際に作成される工事内訳書に記載される実績データが、ネットワーク2を介してクライアント端末3から入力されたか否かを判定し、実績データが入力されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS12:部位別特定部18は、ステップS11で実績データが入力されたと判定した場合、各学校施設の部位別の修繕内容を特定する。部位別コスト算出部19は、部位別特定部18により特定された各学校施設の部位別の修繕内容に基づいて、各学校施設の部位別のコストおよび部位別のコストの構成比率を算出する。またこのとき、クライアント端末3から表示要求があった場合、ステップS12で算出された各学校施設の部位別のコストおよび部位別のコストの構成比率から、各学校施設の部位別のコストおよび部位別のコストの構成比率を示す画面情報を生成してクライアント端末3へ送信することで、クライアント端末3のディスプレイに、各学校施設の部位別のコストおよび部位別のコストの構成比率を示す画面を表示させることができる。これにより、クライアント端末3の操作者は、各学校施設の部位別のコストおよび部位別の構成比率を容易に把握することができる。
ステップS13:基準値更新部20は、ステップS12で特定された各学校施設の修繕内容と、各学校施設の部位別のコストに基づいて、ステップS3で設定された各学校施設の仕様、性能、コストの現状の整備レベルである基準値を更新する。その後、ステップS2の処理に戻り、上述した処理が繰り返される。
<学校施設の長寿命化計画の具体例>
図3は、本発明の資産マネジメント支援システム1により支援される学校施設の長寿命化計画の概要を説明するものである。
地方公共団体の操作者は、学校施設の長寿命化を図るべく、目標設定、実態把握、方針の設定、長寿命化計画の策定および運用といった一連のフローを作成する。目標設定では、学校施設の長寿命化計画の背景、目的、計画期間、対象施設を把握することで、学校施設の目指すべき姿を設定することが可能となる。実態把握では、学校施設の運営状況や活用状況等の実態および学校施設の老朽化状況の実態を調査することで、学校施設の実態を把握することが可能となる。方針の設定では、学校施設の規模や配置計画等の方針から改修等の基本的な方針を取り決めることで、基本的な方針等を踏まえた改修等の整備水準および維持管理の項目や手法等を設定することが可能となる。長寿命化計画の策定および運用では、改修等の優先順位付けおよび実施計画を決定し、長寿命化のコストの見通し、および長寿命化の効果について検討することで、長寿命化計画の継続的運用方針となる情報基盤の整備と活用、推進体制等の整備、およびフォローアップを提案することが可能となる。地方公共団体の操作者は、このような一連のフローに従って長寿命化計画を行う。
(学校施設の全体把握方法)
クライアント端末3の操作者は、第一のステップとして、対象建物に関する情報を整理する調査1を行う。この調査1には、例えば、図4に示される基本情報シートが用いられる。基本情報シートには、財産名称、すなわち、施設名称、敷地面積、所有形式、財産管理部署、土地価格などの情報を含む土地情報、施設の棟の名称、棟床面積、階数、構造、竣工年などの情報を含む建物情報、本施設及び周辺施設の施設名称、占有面積、施設情報、管理運営情報などを含む施設情報、ならびに、備考記入欄が設けられている。基本情報シートには、これ以外の情報が含まれていてもよい。クライアント端末3の操作者は、調査1によって得られた建物基本情報を、図4の基本情報シートの形式に従って入力することで、それらの情報を、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信することができる。資産マネジメント支援装置4の情報記憶処理部12は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得した建物基本情報を、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶させる。そして、画面情報生成部11は、クライアント端末3から要求を受けた場合、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶されている建物基本情報や、図5を用いて後述する学校施設台帳を含む各学校施設の基本情報のうちの必要な情報を読み出し、図5に示した建物情報一覧表を表示させるためのデータを作成し、クライアント端末3のディスプレイに表示させることができる。
図5は、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶される学校施設台帳、および、建物基本情報に基づいて画面情報生成部11により生成される建物情報一覧表の一例を示す図である。図5に示すように、学校施設台帳および建物情報一覧表の対応する項目は、それぞれ紐付けられている。建物情報一覧表には、建物基本情報が含まれ、たとえば、通し番号、学校調査番号、施設名、建物名、棟番号、固定資産台帳番号、学校種別と建物用途を含む用途区分、構造、階数、延床面積(m2)、西暦と和暦を含む建築年度、築年数の項目が設けられている。建物情報一覧表の建物基本情報の各項目は、学校施設台帳の各項目と紐付けられており、クライアント端末3の操作者によりいずれか一方において情報が追加更新された場合、その追加更新の内容は、他方にも反映される。建物情報一覧表の用途区分である学校種別と建物用途は、後述する築年別整備状況のグラフ系列や今後の維持・更新コストの単価設定と連動しているため、詳細に設定される。たとえば、学校種別は、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、給食センターなどに区分され、建物用途は、園舎、校舎、体育館、寄宿舎、武道場、その他、給食センターなどに区分される。
資産マネジメント支援装置4の保全方針決定部16は、図5に示す建物情報一覧表に含まれる建物基本情報に基づいて集計および分析した結果として、築年別整備状況と今後の維持・更新コストを算出する。これにより、クライアント端末3の操作者は、各学校施設の全体の実態を把握することができる。
図6は、学校施設の築年別整備状況および今後の維持・更新コストを示す棒グラフである。図表6Aに示す築年別整備状況の棒グラフでは、築年別の各学校施設の延床面積の合計を見ることができるとともに、各棒グラフ内の模様の割合により各学校施設の用途別の比率を可視化させることで、建物用途別の築年数の実態を容易に把握することができる。図表6Bに示す今後の維持・更新コストを示す棒グラフでは、築50年未満で建替える場合の各年度の改築費用の合計を見ることができるとともに、過去数年分の施設関連経費を入力することで、その平均値と、今後の維持・更新コストの平均値とを比較することができる。図表6Cは、今後の維持・更新コスト(従来型)のコスト算出条件の記入表を示しており、これらの表に入力された更新周期、改築単価、および過去の施設関連経費に基づいて、図表6Bに示す今後の維持・更新コスト(従来型)が算出される。なお、図表6Aおよび図表6Bに示した棒グラフは、従来型の算出方法であり、財政制約ラインや部位別の整備レベルなどは考慮していないものであるが、資産マネジメント支援装置4においても、従来型の算出方法により算出して、クライアント端末3のディスプレイに表示させることも可能である。
(学校施設の老朽化状況把握方法)
クライアント端末3の操作者は、第二のステップとして、構造躯体の健全性を把握する調査2と躯体以外の主な点検部位の劣化状況を把握する調査3とに分けて、学校施設の老朽化状況の把握を行う。まず、構造躯体の健全性を把握する調査2について説明する。
図7は、学校施設の構造躯体を改築するか、改築せずに長寿命化するかを簡易に区分するための判断処理の一例を示すフローチャートである。計画策定段階では、学校施設の耐震基準が新耐震基準であるか否か(S100)を判定し、学校施設が新耐震基準と判定された場合には「長寿命」として試算される(S101)。また、学校施設が旧耐震基準であり、耐震補強済みまたは耐震診断で耐震性ありと判定されていない場合(S102:NO)には「耐震補強」として判定される(S103)。また、学校施設が旧耐震基準であり、耐震補強済みまたは耐震診断で耐震性ありと判定され(S102:YES)、さらに、RC造でコンクリート圧縮強度13.5N/mm2以下またはS造やW造で概ね40年以上で腐食や劣化の進行が著しいものと判定された場合(S104:YES)には「要調査」として判定され(S105)、「改築」として試算される(S106)。また、学校施設が旧耐震基準であり、耐震補強済みまたは耐震診断で耐震性ありと判定され(S102:YES)、さらに、RC造でコンクリート圧縮強度13.5N/mm2以下またはS造やW造で概ね40年以上で腐食や劣化の進行が著しいものと判定されていない場合(S104:NO)には「長寿命」として試算される(S101)。
次に、工事実施段階では、「長寿命」または「改築」として試算された学校施設において、調査員が躯体の詳細な調査を行う。まず学校施設を、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造の3つに区分する。調査員は、現地目視調査や材料試験を行うことで各構造を調査し、それぞれの区分での評価項目に準じて構造躯体の健全性を評価するとともに(S107)、躯体の調査に加えて経済性や教育機能上などの観点から総合的に判断し(S108)、最終的に「長寿命化」が行われるか、または、「改築」が行われるかのいずれかであるかを判断する(S109、S110)。
クライアント端末3の操作者は、図7に示す処理フローに従って、調査対象となる構造躯体に対して、今後の維持・更新コストの算出における「改築」か「長寿命化」かの区分を明らかにし、この区分、および、区分を決定するための判断材料となる情報を、構造躯体の健全性に関する情報として、所定の形式に従って入力することで、それらの情報を、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信することができる。なお、これらの判定は、操作者に対して、クライアント端末3の画面に各判定を行うための質問文を表示させ、イエスかノーで回答させるようにしてもよいし、操作者が自分でこのフローチャートを用いて判定して、最終的な試算の判定結果のみをクライアント端末3から資産マネジメント支援装置4へ送信できるようにしてもよい。資産マネジメント支援装置4の情報記憶処理部12は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得した構造躯体の健全性に関する情報を記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶する。また、クライアント端末3から表示要求があった場合、画面情報生成部11は、記憶装置6の各部に記憶されている必要な情報を読み出し、これらの情報に基づいて、図5に示した建物情報一覧表に構造躯体の健全性に関する情報を追加して表示させるためのデータを生成し、ネットワーク2を介してクライアント端末3に送信して表示させることができる。具体的には、この図7で示した各判定についてクライアント端末3のディスプレイに選択画面を表示させて、操作者の選択内容を資産マネジメント支援装置4へ送信することにより、長寿命化の判定が可能となる。資産マネジメント支援装置4の情報記憶処理部12は、建物情報一覧表の該当する学校施設の長寿命化判定の試算上の区分である構造躯体の健全性に関する情報を、記憶装置6に記録させることができる。そして、資産マネジメント支援装置4の画面情報生成部11は、記憶装置6に記録された構造躯体の健全性に関する情報が追加された建物情報一覧表を生成し、ネットワーク2を介してクライアント端末3に送信して表示させることができる。
図8は、構造躯体の健全性に関する情報が追加された建物情報一覧表の一例を示す図である。図8に示すように、建物情報一覧表には、建物基本情報のほかに、たとえば、基準、診断、および補強を含む耐震安全性、調査年度、圧縮強度(N/mm2)、および試算上の区分を含む長寿命化判定の項目が設けられており、各項目には構造躯体の健全性に関する情報がそれぞれ含まれている。
クライアント端末3の操作者は、調査2によって得られた構造躯体の健全性に関する情報を所定の形式に従って入力することで、それらの情報を、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信することができる。資産マネジメント支援装置4は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得し、記憶した構造躯体の健全性に関する情報に基づいて、図8に示した建物情報一覧表を作成することができる。次に、躯体以外の主な点検部位の劣化状況を把握する調査3について説明する。
図9は、建築基準法に基づく点検項目の一例を示す図である。図9に示すように、建築基準法では、点検周期、点検部位、点検項目の基準がそれぞれ定められている。たとえば、3年以内ごとの点検周期の場合、建築物(敷地・構造)の各部位(敷地及び地盤、建築物の外部、屋上及び屋根、建築物の内部、避難施設等、その他)について、それぞれ点検項目が定められている。また、1年以内ごとの点検周期の場合、昇降機、防火設備、建築設備(昇降機を除く)の各部位(換気設備、排煙設備、非常用の照明設備、給水設備及び排水設備)について、それぞれ点検項目が定められている。図中、太枠で囲まれた点検部位および点検項目は、図10を用いて後述する劣化状況調査票と連動する項目を示している。
クライアント端末3の操作者は、学校施設を建築するために項目分けされた5つの部位(屋根・屋上、外壁、内部仕上げ、電気設備、機械設備)の劣化状況を、図9に示した建築基準法に基づいて調査し、評価内容を劣化状況調査票に記入する。
図10は、劣化状況調査票の一例を示す図である。図10に示すように、劣化状況調査票には、たとえば、屋根・屋上、外壁の部位については、仕様、工事履歴(年度、工事内容)、劣化状況、特記事項、および評価の項目が設けられており、内部仕上、電気設備、機械設備の部位については、改修・点検項目、改修・点検年度、特記事項、および評価の項目が設けられており、さらに、施設の劣化状況を総合的に評価する健全度の項目が設けられている。なお、劣化情報記憶部32に、例えば、図11に示される工事履歴・予定情報が、他の情報の各項目と紐付けられて、あらかじめ記憶されている場合、画面情報生成部11は、劣化情報記憶部32に記憶されている工事履歴・予定情報に含まれる情報のうちの、工事履歴の年度や工事内容に対応する情報を抽出し、図10の劣化状況調査票の工事履歴に記載することが可能である。
クライアント端末3の操作者は、屋根・屋上、外壁は目視により、内部仕上、電気設備、機械設備は部位の全面的な改修年からの経過年数を基本に、A、B、C、Dの4段階で評価することができる。
図12は、評価基準の一例を示す図である。図表10Aは、屋根・屋上、外壁の部位を目視により評価する場合の評価基準を示している。図表10Bは、内部仕上、電気設備、機械設備を経過年数により評価する場合の評価基準を示している。図表10Aに示すように、評価Aは、概ね良好であることを示す情報、評価Bは、部分的に劣化であることを示す情報、評価Cは、広範囲に劣化であることを示す情報、評価Dは、早急に対応する必要があることを示す情報が、屋根・屋上、外壁の評価基準として設定されている。図表10Bに示すように、評価Aは、20年未満であることを示す情報、評価Bは、20〜40年であることを示す情報、評価Cは、40年以上であることを示す情報、評価Dは、経過年数に関わらず著しい劣化事象があることを示す情報が、内部仕上、電気設備、機械設備の評価基準として設定されている。
図13〜図15は、図12に示した屋根・屋上、外壁、内部仕上、電気設備、機械設備の各評価基準の詳細を説明するための図である。
図13は、目視による屋根・屋上の具体的な評価基準を示している。図13に示すように、仕様がアスファルト保護防水の場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、ひび割れ、変質、排水不良、目地シーリングの損傷があるものについては評価B、広範囲に、ひび割れ、変質、排水不良、土砂の堆積、雑草、目地シーリングの損傷が見られ、最上階天井に漏水痕があるものについては評価C、広範囲に、損壊、幅広のひび割れ、排水不良があり、最上階天井に漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様がアスファルト露出防水の場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、ふくれ、変質(摩耗)、排水不良があるものについては評価B、広範囲に、ひび割れ、変質(摩耗)、排水不良、土砂の堆積、雑草が見られ、最上階天井に漏水痕があるものについては評価C、広範囲に、破断、損壊、下地露出、幅広のひび割れがあり、最上階天井に漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様がシート防水の場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、ふくれ、しわ、変質(摩耗)、排水不良があるものについては評価B、広範囲に、ふくれ、しわ、穴あき、変質(摩耗)、排水不良、土砂の堆積、雑草が見られ、最上階天井に漏水痕があるものについては評価C、広範囲に、破断、めくれ、下地露出があり、最上階天井に漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様が塗膜防水の場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、ふくれ、しわ、変質(スポンジ状)、排水不良があるものについては評価B、広範囲に、ふくれ、しわ、穴あき、変質(摩耗)、排水不良、土砂の堆積、雑草が見られ、最上階天井に漏水痕があるものについては評価C、広範囲に、破断、めくれ、下地露出があり、最上階天井に漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様が金属板の場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、塗装のはがれ、さび、変質、シーリング材のひび、金物のさびがあるものについては評価B、広範囲に、塗装のはがれ、さび、変質、シーリング材のひび、取付金物のさび、部分的な腐食・損壊があり、最上階天井に漏水痕があるものについては評価C、広範囲に、さび、はがれ、腐食、取付金物の損壊があり、最上階天井に漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。
図14は、目視による外壁の具体的な評価基準を示している。図14に示すように、仕様が塗仕上げの場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、ひび割れ、変質、浮き、さび汁があるものについては評価B、広範囲に、ひび割れ、亀甲状のひび割れ、変質、浮き、剥がれ、さび汁があり、小規模な漏水があるものについては評価C、広範囲に、剥落、爆裂、幅広のひび割れがあり、内部の床に水たまり、漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様がタイル張りや石張りの場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、ひび割れ、変質、浮き、はらみ、さび汁、シーリング材のひびがあるものについては評価B、広範囲に、ひび割れ、変質、浮き、はらみ、さび汁、シーリング材のひびがあり、小規模な漏水があるものについては評価C、広範囲に、剥落、爆裂、幅広のひび割れがあり、内部の床に水たまり、漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様が金属パネルの場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、さび、変質、シーリング材のひびがあるものについては評価B、広範囲に、さび、変質、シーリング材のひび、取付金物のさびがあり、小規模な漏水があるものについては評価C、広範囲に、さび、腐食、ぐらつき、取付金物の腐食があり、内部の床に水たまり、漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様がセメント系パネルの場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、ひび割れ、変質、欠損、シーリング材のひびがあるものについては評価B、広範囲に、ひび割れ、変質、シーリング材のひび、取付金物のさびがあり、小規模な漏水があるものについては評価C、欠陥、ぐらつき、取付金物の腐食、シーリング材の欠落があり、内部の床に水たまり、漏水が複数個所あるものについては評価Dと判断される。仕様が窓(サッシ)の場合、汚れている程度または改修後10年以内であるものについては評価A、部分的に、変形、変質、シーリング材の硬化があるものについては評価B、全体的に、変形、変質、さび、シーリング材の硬化、ひび割れ見られるものについては評価C、全体的に、腐食、損壊、開閉不良があり、漏水があるものについては評価Dと判断される。
図15は、経過年数による内部仕上、電気設備、機械設備の具体的な評価基準を示している。内部仕上、電気設備、機械設備は、修繕・改修や点検の履歴を基に経過年数により4段階で評価することが基本となるが、さらに、目視により、図15に示すような事象があれば、それらも加味して総合的に評価される。図15に示すように、内部仕上の該当する部位について、広範囲または随所に、床仕上げの剥がれ、床のひび割れ、天井材の落下・剥がれ等の劣化事象がみられる場合、評価が1段階下げられる。電気設備の該当する部位について、経過年数以上の劣化事象がみられる場合、評価Cと判断される。機械設備の該当する部位について、経過年数以上の劣化事象がみられる場合、評価Cまたは評価Dと判断される。
クライアント端末3の操作者は、図13〜図15に示した評価基準に基づいて、屋根・屋上、外壁、内部仕上、電気設備、機械設備の5つの部位の劣化状況を、A、B、C、Dの4段階で評価し、図10に示した劣化状況調査票へ記入することができる。なお、図13〜図15に示した評価基準は、操作者が現地で評価する際に参考にできるように、資産マネジメント支援装置4から情報を送信して、クライアント端末3側に表示させるようにしてもよい。また、図10に示した劣化状況調査票についても、操作者が紙ベースで記入して、事後的にクライアント端末3で入力できるようにしてもよいし、資産マネジメント支援装置4から入力項目を示す情報を送信して、クライアント端末3側に表示させ、操作者が適宜入力できるようにしてもよい。
また、クライアント端末3の操作者は、図16に示されるような、劣化箇所の写真や詳細な情報、および、図17に示される劣化箇所を示す情報を、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4に供給する。
また、クライアント端末3の操作者は、図10に示した劣化状況調査票への記入時、または、それ以外のタイミングで、図18に示される、施設の各部位の仕様や性能に関するマトリクスから、該当施設の各部位の対応する仕様や性能を選択し、それらの仕様や性能に関するコスト情報とともに、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4に供給する。
このようにして、クライアント端末3に入力された劣化状況調査票への記入内容、すなわち、5つの部位の劣化状況のA、B、C、Dの4段階評価結果、劣化箇所の写真や詳細な情報、および、劣化箇所を示す情報、ならびに、施設の各部位の仕様や性能、コストに関する情報は、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4に供給される。
次に、資産マネジメント支援装置4の情報記憶処理部12は、クライアント端末3から送信された5つの部位の劣化状況のA、B、C、Dの4段階評価結果、劣化箇所の写真や詳細な情報、および、劣化箇所を示す情報を、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶させる。さらに、資産マネジメント支援装置4の情報記憶処理部12は、クライアント端末3から送信された施設の各部位の仕様・性能・コスト情報を、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶させる。これらの情報は、施設名や劣化情報調査票への記入結果、図16および図17を用いて説明した劣化に関する詳細情報、および、各部位の対応する仕様や性能に関する情報、ならびに、コスト情報と紐付けられて、劣化情報記憶部32に記憶される。
記憶装置6の劣化情報記憶部32および施設情報記憶部31に記憶されている情報から、図19および図20に示される維持管理シートが、各施設ごとに作成可能である。維持管理シートには、財産名称、すなわち、施設名称と、セグメントコード、劣化情報、工事履歴および予定、点検結果、設備に関する指摘事項、安全総点検結果、保守管理状況などが記載可能である。
そして、劣化状況評価部13は、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶されている5つの部位の劣化状況のA、B、C、Dの4段階評価結果、および、評価情報記憶部33に記憶されている各部位の評価指標を評価点に換算するための換算表および各部位にコストを配分するためのコスト配分表を読み出し、屋根・屋上、外壁、内部仕上、電気設備、機械設備の5つの部位について4段階で評価した評価結果を100点満点で数値化し、予め設定された各部位のコスト配分とに基づいて、学校施設の劣化状態を指標化した健全度を算出する。
図21は、記憶装置6の評価情報記憶部33に記憶されている各部位の評価指標を評価点に換算するための換算表の一例を示す図である。図21に示すように、評価Aは100点に換算され、評価Bは75点に換算され、評価Cは40点に換算され、評価Dは10点に換算される。なお、図21に示す換算表は、あくまでも一例であり、評価と評価点数の関係は適宜変更できるようにしてもよい。
図22は、記憶装置6の評価情報記憶部33に記憶されている各部位にコストを配分するためのコスト配分表の一例を示す図である。各部位のコスト配分は、文部科学省の「長寿命化改良事業」の校舎の改修比率算定表を参考に予め設定されている。図22に示すように、屋根・屋上の部位は、5.1にコスト配分され、外壁の部位は17.2にコスト配分され、内部仕上の部位は、22.4にコスト配分され、電気設備の部位は、8.0にコスト配分され、機械設備の部位は、7.3にコスト配分される。なお、図22に示すコスト配分は、文部科学省の「長寿命化改良事業」の校舎の改修比率算定表を参考にして設定したものであるが、あくまでも一例であり、建物の種別によって異なる配分として設定したり、任意の配分に設定変更できるようにしてもよい。
資産マネジメント支援装置4の劣化状況評価部13は、図10に示した劣化状況調査票に記入した各部位の評価内容と、図21に示した評価点の換算表と、図22に示したコスト配分表とに基づいて、各学校施設の劣化状態を指標化した健全度を算出する。
図23は、健全度の算出例を模式的に示す図である。たとえば、図10に示した劣化状況調査票においては、屋根・屋上の部位には評価C、外壁の部位には評価D、内部仕上の部位には評価B、電気設備の部位には評価A、機械設備の部位には評価Cが記入されている。劣化状況評価部13は、それらの評価内容を、図21に示した換算表に基づいて、屋根・屋上の部位は40点、外壁の部位は10点、内部仕上の部位は75点、電気設備の部位は100点、機械設備の部位は40点に換算する。次に、劣化状況評価部13は、図22に示したコスト配分表に基づいて、各部位の評価点にコスト配分を掛け合わせ、それらの総和をコスト配分の合計値で割ることで、100点満点で数値化した健全度を算出することができる。劣化状況評価部13により算出された健全度を示す情報は、情報記憶処理部12の処理により、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶される。
資産マネジメント支援装置4の画面情報生成部11は、クライアント端末3からネットワーク2を介して供給された要求に基づいて、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶された躯体以外の主な点検部位の劣化状況の評価及び健全度のうちの必要な情報を読み出し、図8に示した建物情報一覧表に劣化状況の評価及び健全度の情報を追加した建物情報一覧表を表示させるためのデータを作成することができる。
図24は、劣化状況評価に関する情報が追加された建物情報一覧表の一例を示す図である。図24に示すように、建物情報一覧表には、建物基本情報、構造躯体の健全性のほかに、たとえば、屋根・屋上、外壁、内部仕上、電気設備、機械設備、健全度の項目が設けられており、各項目には、劣化状況評価に関する情報がそれぞれ含まれている。
クライアント端末3の操作者は、調査3によって得られた躯体以外の主な点検部位の劣化状況の評価及び健全度を所定の形式に従って入力することで、それらの情報を、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信することができる。資産マネジメント支援装置4は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得した躯体以外の主な点検部位の劣化状況の評価に基づいて健全度を算出し、図24に示した建物情報一覧表を作成することができる。また、基準値設定部15は、上述したようにして得られた劣化状況の評価結果に基づいて、各学校施設の各部位の仕様、性能、コストを含む現状の整備レベルに関する情報を基準値として設定する。
これによって、クライアント端末3の操作者は、図24に示す建物情報一覧表に含まれる劣化状況評価に基づいて、長寿命化改修に適さない可能性のある学校施設や劣化が進んでいる学校施設などを容易に把握することができる。たとえば、健全度が40点未満である場合には優先的に長寿命化等の対策を講じることが望ましいと判断される。また、健全度の点数に関わらず、評価C、評価Dの部位は、修繕や改修が必要であると判断される。なお、健全度は、優先的に改修する建物の順位付けを行う際に考慮される。
(今後の維持・更新コストの把握方法)
資産マネジメント支援装置4は、第三のステップとして、第一および第二のステップでクライアント端末3から供給され、記憶装置6に記憶された情報を用いて今後の維持・更新コスト(長寿命化型)を算出する。
図25は、今後の維持・更新コスト(長寿命化型)を算出するためのコスト算出条件の記入表の一例を示す図である。図25に示すように、クライアント端末3の操作者によって、改築の更新周期、長寿命化改修の改修周期、大規模改造の改修周期、部位修繕の実施時期、単価設定、施設関連費等が入力される。たとえば、長寿命化可能な建物は、築40年に長寿命化改修、築20年、築60年に大規模改造、築80年に改築、50年周期で要調査、今後10年以内に長寿命化改修実施、今後5年以内にD評価の部位の修繕実施、今後10年以内にC評価の部位の修繕実施、今後10年間に長寿命化改修を実施する建物は長寿命化改修費からA評価の部位修繕相当額を差し引くと設定される。
クライアント端末3の操作者は、図25に示すコスト算出条件の記入表に改築の更新周期、長寿命化改修の改修周期、大規模改造の改修周期、部位修繕の実施時期、単価設定、施設関連費等を入力することで、それらの情報を、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信することができる。資産マネジメント支援装置4の保全方針決定部16は、クライアント端末3から、コスト算出条件を取得する。資産マネジメント支援装置4の保全方針決定部16は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得したコスト算出条件、および、記憶装置6の劣化情報記憶部32に記憶されている情報劣化状況の評価に基づいて、長寿命化を図り、躯体以外の主な点検部位の劣化状況を反映した今後の維持・更新コスト(長寿命化型)を算出することができる。保全方針決定部16により算出された今後の維持・更新コスト(長寿命化型)は、情報記憶処理部12の処理により、保全方針情報記憶部34に記憶される。
図26は、図25に示したコスト算出条件の記入表に入力された各種情報に基づいて算出された今後の維持・更新コストに基づいて、画面情報生成部11により生成される棒グラフである。図26に示す今後の維持・更新コストの棒グラフでは、80年までの長寿命化を図り、老朽化状況を反映した各年度の修繕費用の合計を見ることができるとともに、過去数年分の施設関連経費を入力することで、その平均値と、今後の維持・更新コストの平均値とを比較することができる。また、従来型から長寿命化型へ整備手法をシフトしたことによる削減効果が点線で示されている。
図27は、改築中心から長寿命化への転換イメージを示す図である。図表20Aは、改築中心のイメージを示し、図表20Bは、長寿命化のイメージを示す。図表20Aと図表20Bにおいて、横軸は、建物が竣工した年度の整備水準レベルを示すとともに時系列を示し、縦軸は、改修や改築に係る費用を示している。
図表20Aに示すように、改築中心の従来型の場合、建物が竣工してから経年による機能・性能が徐々に劣化し、所定の周期で事後保全的な改修が行われることで、機能・性能が一時的に向上するが、再び経年による機能・性能が徐々に劣化し、施設全体の機能に相当な支障が発生する水準となると判断されると改築が行われる。つまり、改築中心の従来型では、機能・性能の劣化にほとんど対応しないため、使い勝手が悪くなり、40〜50年周期で改築が行われることになる。
図表20Bに示すように、長寿命化の場合、建物が竣工してから経年による機能・性能が徐々に劣化し、所定の周期で予防保全的な改修(大規模改造)が行われることで、機能・性能を竣工時の整備水準レベルに回復させるが、再び経年による機能・性能が徐々に劣化し、施設全体の機能に相当な支障が発生する水準となると判断されると改築の6割程度の費用の長寿命化改修が行われることで、機能・性能を竣工時の整備水準レベルよりも向上させることができる。そして、再び経年による機能・性能が徐々に劣化し、施設全体の機能に相当な支障が発生する水準となると判断されると大規模改造が行われることで、機能・性能を長寿命化改修時の整備水準レベルに回復させる。つまり、長寿命化では、所定の周期で機能・性能の劣化を回復させることで建物を良い状態に保ち、躯体の耐用年数の70〜80年周期で改築が行われることになる。
(直近の整備計画の策定方法)
資産マネジメント支援装置4では、第四のステップとして、第一および第二のステップで作成された建物情報一覧表などを用いて各施設の整備の優先順位を検討し、算出された今後の維持・更新コスト(長寿命化型)から、予算状況に応じて直近の整備計画を策定する。
クライアント端末3の操作者は、各教育委員会において検討された個別施設の整備の優先順位、および予算状況等に基づいて、財政制約ラインとする数値を入力することで、その財政制約ラインを示す情報として、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信することができる。資産マネジメント支援装置4の財政制約ライン設定部14は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得した財政制約ラインを示す情報から管理対象の学校施設の財政制約ラインを設定する。基準値設定部15は、この財政制約ラインに基づいて長寿命化における施設整備水準を決定することができる。
図28は、財政制約ラインの設定に基づいて決定される施設整備水準の一例を示す図である。図28に示すように、学校施設は、躯体、屋根・屋上、外壁、内部仕上、電気設備、機械設備の部位に区分される。保全方針決定部16は、学校施設の機能回復、学校施設の機能向上の保全方針を決定する。保全方針決定部16は、それら全体のコスト配分を100とした場合に、財政制約ラインの数値に基づき、20年後の機能回復のための屋上改修、外壁改修、設備交換のコスト配分を、例えば、25に設定し、40年後の機能回復のための屋上改修、外壁改修、設備交換、および、機能向上のための多様な学習、形態への対応、省エネ・防災、バリアフリー、躯体長寿命化のコスト配分を、例えば、50〜60に設定し、60年後の機能回復のための屋上改修、外壁改修、設備交換のコスト配分を、例えば、25に設定する。会計連動部21は、各部位ごとに行われる改修内容のうちの機能向上の区分のコストを資本的支出と連動させ、機能回復の区分のコストを修繕費と連動させる。
基準値設定部15は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から、各学校施設の部位別の施設整備水準レベルに関する情報を取得するか、または、あらかじめクライアント端末3から送信されて記憶装置6の保全方針情報記憶部34に記憶されていた各学校施設の部位別の施設整備水準レベルに関する情報を読みだして、各学校施設の基本情報および施設劣化情報に基づいて、各学校施設の各部位の仕様、性能、コストを含む現状の整備レベルに関する情報を、基準値として設定する。施設整備水準レベルは、長寿命化において配慮すべき性能に対して複数設定可能であり、たとえば、長寿命化改修または省エネ型長寿命化改修の施設整備水準が設定される。図28の施設整備水準においては、各部位の整備レベルのうち、〇印がつけられた整備レベルが現状の整備レベルであり、整備レベルの枠内の〇印の位置が劣化のランクA〜Eを示している。資産マネジメント支援装置4の保全方針決定部16は、基準値として設定されている学校施設の部位別の現状の整備レベル、および財政制約ラインと対費用効果に基づいて、長寿命化改修または省エネ型長寿命化改修の2つの施設整備水準のうちの1つを選択することができる。これにより、事業内容設定部17は、選択された施設整備水準に従った場合の学校施設の修繕内容を部位別に特定し、学校施設の部位別の現状の整備レベルと選択された施設整備水準との差から、各学校施設の直近の設備計画の修繕コストを算出し、整備計画を策定することができる。情報記憶処理部12は、策定された整備計画に関する情報を、記憶装置6の保全方針情報記憶部34に記憶する。
なお、施設整備水準には、部位別にいくつかの改修メニュー(仕様)が用意され、各改修メニューの工法特徴およびコスト・効果などが設定される。たとえば、外壁(断熱)には、外断熱(断熱厚さ70mm)、内断熱(断熱厚さ25mm)、木質化の改修メニューが用意され、施設の建替え工事または修繕工事の際に作成される工事内訳書に記載される実績データに基づいて、それぞれの工法特徴およびコスト・効果が詳細に設定される。部位別特定部18は、これらの改修メニューに基づいて、各学校施設の部位別の修繕内容を特定する。部位別コスト算出部19は、部位別特定部18により特定された各学校施設の部位別の修繕内容に基づいて、各学校施設の部位別のコストおよび部位別のコストの構成比率を算出する。そして、基準値更新部20は、部位別特定部18により特定された各学校施設の修繕内容と、部位別コスト算出部19により算出された各学校施設の部位別のコストに基づいて、各学校施設の仕様、性能、コストの現状の整備レベルである基準値を更新する。
図29は、直近5年の個別施設の整備計画表の一例を示す図である。図29において、縦軸は施設整備費、その他施設整備費、維持修繕費、光熱費・委託費の事業名称別に区切されており、施設整備費は、さらに新増築事業、改築事業、耐震化事業、長寿命化事業、大規模改造(老朽)、防災関連事業、トイレ整備、空調整備、障害児等対策、特別支援学校の整備、部位修繕に細分化されており、横軸は学校名と事業費が年度別で区切られている。このような見せ方をすることにより、どの事業名にどの学校施設と事業費が含まれているのかが一目でわかるようになる。
クライアント端末3の操作者は、上述した処理により得られた各種データを参照しながら、図29に示した整備計画表に、学校名および事業費を入力することで、それらの情報を、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信することができる。資産マネジメント支援装置4は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得した整備計画表の情報を、記憶装置6の保全方針情報記憶部34に記憶させる。また、資産マネジメント支援装置4は、記憶装置6に記憶されている情報に基づいて直近5年の個別施設の設備計画のコストを算出することができる。
資産マネジメント支援装置4の画面情報生成部11は、ネットワーク2を介して供給されるクライアント端末3からの要求に応じて、上述した処理によって得られた情報を、適宜、記憶装置6から読み出し、所望の情報に加工して、ネットワーク2を介してクライアント端末3に送信し、表示させることができる。図30は、画面情報生成部11により生成された、図29に示した直近5年の個別施設の整備計画表の記入表に入力された各事業費に基づいて算出された直近5年の個別施設の整備計画のコストを示す棒グラフである。図30に示す直近5年の個別施設の整備計画のコストの棒グラフでは、各年度における整備計画の費用の総額を見ることができるとともに、各棒グラフ内の模様の割合により個別施設の整備計画の費用の比率を可視化させることで、各年度の個別施設の整備計画を容易に把握することができる。
なお、整備計画については、財政部局や営繕部局などを含めた全庁的な体制で決定することが望ましい。クライアント端末3の操作者は、必要に応じて、記憶装置6に記憶されている各種情報を参照するとともに、実施計画については財政制約ラインに基づき実行性のあるものとなるようにするため、図30に示した直近5年の整備計画のコストを示す棒グラフに基づいて、整備内容の実施計画を作成することができる。
図31は、今後5年間の整備内容の実施計画の一例を示す図である。整備基準としては、長寿命化改修は、構造躯体の健全性が良好な学校とし、たとえば年3校ずつ実施するものとする。部位改修のうち、D評価改修は、D評価部位を5年間で解消できるように、たとえば屋根・屋上改修は年2校、外壁改修は年4校ずつ実施する。部位改修のうち、施策への対応は、これまでの実績により設定されるものとし、たとえばエレベータ等は年1校、トイレは年2校、下水は年1〜2校ずつ実施する。部位改修のうち、設備等の大きなコストのかかる更新サイクルへの対応は、これまでの実績により設定されるものとし、たとえばキュービクルは年1校、ボイラーは年1校ずつ実施する。グラウンドは、年1校ずつ実施するものとする。修繕費・その他経費は、これまでの実績により設定されるものとし、たとえば修繕費は500円/m2とする。クライアント端末3の操作者は、図31に示す今後5年間の整備内容の実施計画の情報を、ネットワーク2を介して資産マネジメント支援装置4に送信する。資産マネジメント支援装置4の情報記憶処理部12は、クライアント端末3からネットワーク2を介して取得した今後5年間の整備内容の実施計画の情報を、記憶装置6の保全方針情報記憶部34に記憶させる。
図32は、保全方針情報記憶部34に記憶された図31に示した整備内容に基づいて、画面情報生成部11により生成された今後の5年間の予算配分の一例を示す棒グラフである。画面情報生成部11は、図32に示す今後の5年間の予算配分の棒グラフを、ネットワーク2を介してクライアント端末3に送信して表示させることができる。図32に示す今後の5年間の予算配分の棒グラフでは、各年度における整備計画の費用の総額を見ることができるとともに、各棒グラフ内の模様の割合により各整備内容の費用の比率を可視化させることで、各年度の整備内容別の予算配分を容易に把握することができる。図32に示す今後の5年間の予算配分の棒グラフは、過去5年間の投資的経費の平均17億円/年で平準化し、図29に示した直近5年の個別施設の整備計画と図31に示した整備内容に基づいて算出されている。また、画面情報生成部11は、同様にして、保全方針情報記憶部34に記憶された図31に示した整備内容、および、各記憶部に記憶されているコスト情報や施設情報等に基づいて、図33に示される、今後5年間の整備内容の詳細な実施計画を生成し、ネットワーク2を介してクライアント端末3に送信して表示させることができる。
このように、資産マネジメント支援システム1を用いることにより、今後5年間の実施計画として、過去5年間の投資的経費で平準化し、図31に示した整備内容で改修等の優先順位付けを行い、図32に示したような今後5年間の予算配分に基づく実施計画を策定することを容易に行うことができる。また、資産マネジメント支援装置4の画面情報生成部11は、保全方針情報記憶部34に記憶された整備内容に基づいて、図33に示されるように、今後5年間の予算配分に基づく実施計画の詳細を示す表を作成することも可能である。このように、資産マネジメント支援システム1を用いることにより、長寿命化のコストの見通し、および長寿命化の効果について、容易に検討することができる。
図34は、今後の40年間の長寿命化計画のコストを示す棒グラフである。図34に示す今後の40年間の長寿命化計画のコストの棒グラフは、保全方針決定部16による今後の維持・更新コストの算定結果に基づいて算出されている。資産マネジメント支援装置4の画面情報生成部11は、ネットワーク2を介して供給されるクライアント端末3からの操作入力に応じて、記憶装置6に記憶されている今後の維持・更新コストの算定結果を読み出し、所望の情報に加工して、ネットワーク2を介してクライアント端末3に送信し、図34の棒グラフを表示させることができる。たとえば、40年間の長寿命化計画は、長寿命化による維持・更新コストの総額1236億円を平準化し、今後5年間(平成28〜32年度)を、これまでの投資的経費17億円/年に抑えた場合、その後、平成33年度以降の35年間は33億円/年となる。また、今後20年間は長寿命化改修が中心となり、その後の後半20年間は建替えが中心の整備となることが示されている。
図34に示すように、今後の学校施設の維持・更新コストは、長寿命化を実施しても過去5年間の投資的経費の約2倍に増加すると見込まれている。児童生徒数が減少する中で施設の維持・更新費用が増加するという矛盾を抱えており、施設保有のあり方、維持・更新コストの削減および財源確保は大きな課題となる。そこで、個々の学校施設の長寿命化(保全計画)だけでは限界があることから、財政制約ラインとコストとの乖離を埋めていくために、学校施設の配置や規模、運営面・活用面等に及ぶ多面的な見直しが必要であり、適正化に向けた総合的な取り組みの方針を明確にする必要がある。
図35は、課題解決のための新たな方針および改善策の一例を示す図である。課題解決のための新たな方針として、図表27Aに示すように、地域の状況に応じた対応、維持更新コストの削減、および、公民連携と民間資金の活用から整備基準の見直しを行うとともに、多目的活用による学校施設環境の向上を図ることができる。そして、課題解決のための新たな方針にそって、図表27Bに示すように、具体的な改善策の検討が実施される。つまり、所定の領域内における将来の人口変化に関する情報や、各施設の利用状況に関する情報、各施設の機能に関する情報のいずれか、またはこれらの複数の情報に基づいて、シミュレーション部22により、学校施設の区分所有、共有化、集約化のいずれかのシミュレーションを実施することで、具体的な改善策が検討される。
たとえば、学校を地域の拠点とし、学校施設に図書館、コミュニティセンター等の機能を集約し、昼は学校、時間外は地域の拠点として多目的に活用したり、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)による民間事業との複合化を検討して民間の資金やノウハウを活用し、新たな財源を確保したり、時間外に民間施設として活用したりすることができる。また、プールの共用化を検討し、更新時には民間プールの活用や、数校で共用したりすることで、財源を確保し、維持管理費削減を図ることができる。
図36は、具体的な方針・策定に基づくシミュレーションの一例を示す図である。図36に示すように、基準の見直し、他の公共システムとの複合化、プールの集約化や共用化、民間資金の活用等の具体的な方針・方策が決定されると、地域での再編検討が行われる。資産マネジメント支援装置4のシミュレーション部22は、ネットワーク2を介して、クライアント端末3から再編検討された結果に関する情報の供給を受け、これらの情報に基づいて、今後の40年間の長寿命化計画のコストを再算出する。これにより、長寿命化にとどまらない対応方策により維持更新コストを減縮または財源確保により財政制約ラインを引き下げる必要があると判断される。財政制約ラインとコストとの乖離を埋めていくために、学校施設の配置や規模、運営面・活用面等を多面的に見直し、適正化に向けた総合的な取り組みの方針を明確にするための具体的な処理については、図47〜図92を用いて後述する。
<効果>
以上、説明したように、資産マネジメント支援システム1の資産マネジメント支援装置4は、施設の基本情報を蓄積して記憶し、施設の劣化情報を蓄積して記憶し、記憶された劣化情報に基づいて、施設の劣化状態を評価して指標化し、記憶された施設の基本情報と、施設の劣化情報とに基づいて、施設の仕様、性能、コストを含む現状の整備レベルに関する情報を基準値として設定し、施設に投じるコストの上限値である財政制約ラインを設定し、基準値と指標化された施設の劣化状況と財政制約ラインとに基づいて、施設の建替え、施設の機能回復、施設の機能向上のいずれかの保全方針を決定し、保全方針に従った場合の施設の修繕内容を部位別に特定し、施設の所定期間毎の修繕コストを算出し、施設の建替え工事または修繕工事の際に作成される工事内訳書に記載される実績データに基づいて、施設の部位別の修繕内容を特定し、特定された施設の部位別の修繕内容に基づいて、部位別のコストおよび部位別のコストの構成比率を算出し、特定された施設の部位別の修繕内容と、算出された施設の部位別のコストとに基づいて、基準値を更新するように構成しているので、施設の実態を把握し、劣化状況を反映することが可能となる。これにより、今後の維持・更新コストを容易に算出することができる。また、財政制約ラインに連動した施設整備水準を設定するため、今後の維持・更新コストが乖離することがなくなり、財政制約ラインの中で最適に施設の長寿命化を管理することができる。また、機能向上のために必要なコストを資本的支出に連動させ、機能回復のために必要なコストを修繕費に連動させ、会計的に区分することで、実績データから、施設の資本的側面および施設の経営(維持管理)的側面の両面により評価することができる。さらに、保有する施設のさらなる改善検討として、施設の共有化や集約化等、様々な観点でシミュレーションすることで、保全計画の見直しを実施していくことができる。なお、資産マネジメント支援装置4で実行される資産マネジメント支援方法及び資産マネジメント支援装置4にインストールされるプログラムについても、上述した資産マネジメント支援装置4と同様の構成要素を含んでいるため、施設の実態を把握し、劣化状況を反映して今後の維持・更新コストを算出することができる。
(変形例:固定資産台帳との連動)
上述した実施の形態では、建物基本情報を含む建物情報一覧表と、学校施設台帳との関係について説明したが、更に会計分野と連動させるために、固定資産台帳と連動させることができるように構成してもよい。固定資産台帳のデータは、クライアント端末3において入力され、ネットワーク2および通信装置5を介して資産マネジメント支援装置4に供給され、情報記憶処理部12の処理により、建物基本情報および学校施設台帳のそれぞれの項目と紐付けられて、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶される。図37は、建物情報一覧表と、学校施設台帳と、固定資産台帳それぞれでの管理区分の関係について説明するための図である。固定資産台帳とは、地方公会計制度において財務書類作成のための補助簿として整備される台帳で、固定資産の取得から除売却処分に至るまで、その経緯を個々の資産ごとに記録・管理する台帳である。学校施設台帳に基づいて対象建物を整理するにあたり、この固定資産台帳との突合せができるように構成しておくことで、将来のデータ更新を効率的に行うことができるようになる。なお、学校施設台帳と固定資産台帳の面積の算定方法が異なることにより、数値が一致しない場合には、学校施設台帳か固定資産台帳のいずれかの面積に統一するなどのルールを明確にしておくことが好ましい。
図38は、学校施設台帳と固定資産台帳との突合せ表の一例について説明するための図である。固定資産台帳では、実際に増築・改築が行われた場合に増加の記録が行われることから、固定資産台帳での登録単位と、建物情報一覧表に記入する単位とは1対1の関係ではない場合(つまり一致しない場合)が考えられる。なぜなら、固定資産台帳では、現物との照合が可能で、取替えや更新を行う単位で記録が行われるためである。そのため、たとえば図38に示すように学校施設台帳での管理区分である棟番号に対応する固定資産台帳での識別子(固定資産台帳番号)をすべて関連付けて記憶させておくことが好ましい。また、このように固定資産台帳での増加分が記録され、更にその増加分の修繕費用についても上述した実績データから算出して把握することができるため、資産マネジメント支援装置4の会計連動部21は、施設の機能向上にかかるコストであれば資本的支出として計上し、施設の機能回復にかかるコストであれば、修繕費であるとして計上することが可能となっている。
(変形例:施設配置図の活用)
また、建物基本情報および学校施設台帳は、建物の施設配置図を用いて管理上の区分を整理することが好ましい。建物の施設配置図のデータは、クライアント端末3において入力され、ネットワーク2および通信装置5を介して資産マネジメント支援装置4に供給され、情報記憶処理部12の処理により、建物基本情報および学校施設台帳のそれぞれの項目と紐付けられて、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶される。図39は、建物の施設配置図と建物情報一覧表との関係を説明するための図である。学校施設一覧表は、改築や改修を一体的に実施することが想定される棟をまとめて1つの建物として整理することが好ましい。これにより、点検、診断の実施や整備計画の策定、工事履歴の管理等、今後の管理が効率的に行うことが可能となる。なお、図39に示す例では、たとえば、建物名は、単独の普通教室棟を校舎1、普通教室棟と特別-普通教室棟が連結している建物は校舎2、屋体棟は体育館として整理している。整理した建物名で、建物情報一覧表に記録された情報を変更して管理することがより好ましい。
(変形例:建物情報一覧表)
図40〜図43は、図24に示した建物情報一覧表の他の一例を示す図であり、各建物別にこれらの状況を一度に把握することができるものである。なお、図40〜図43に示す建物情報一覧表は、画面上に表示させているものであるが、ファイルなどの形式にてデータ出力してもプリントアウトしてもよい。
図40に示す建物情報一覧表は、表示される一部分を示すものであり、「建物基本情報」,「構造躯体の健全性」,「躯体以外の劣化状況」,「仕様・性能」から構成される縦の列と、複数の建物から構成される横の行を表示している。また、図41に示す建物情報一覧表は、図40に示した「建物基本情報」の項目部分のみを固定表示させた状態で、横にスライドさせた状態を示しており、「建物基本情報」と「履歴」の関係が把握できる状態を示している。さらに、図42に示す建物情報一覧表は、図41と同様に、図40に示した「建物基本情報」の項目部分のみを固定表示させた状態で、横にスライドさせた状態を示しており、「建物基本情報」と「年次計画(目標態様年数/修繕・改修サイクル)」の関係が把握できる状態を示している。図43は、図42に示す建物情報一覧表の「年次計画(目標態様年数/修繕・改修サイクル)」の代替案が表示された状態を示す図である。以下、各項目および建物情報一覧表について詳細に説明する。
「建物基本情報」の列は、施設情報記憶部31に記憶されている建物の基本的な情報を読み出して表示させる領域である。「建物基本情報」の列には、例えば、「学校種別」,「施設名」,「表示順」,「棟名」,「棟番号」,「構造」,「階数」,「延床面積(m2)」,「建築年度」,「築年数」の項目が含まれている。「学校種別」の項目に示される情報は、例えば、小学校、中学校,高等学校などである。「施設名」の項目に示される情報は、例えば、段上小学校,甲陽園小学校,樋ノ口小学校,平木小学校などの個別の学校名である。「表示順」の項目に示される情報は、例えば、当該建物を構成する棟に対して表示させる際に便宜的に付与している数値である。「棟名」の項目に示される情報は、例えば、当該建物の各棟の名称である。「棟番号」の項目に示される情報は、棟毎に付与されている数値である。「構造」の項目に示される情報は、建物の構造、例えば、RC造、SRC造、鉄筋、鉄骨などである。「階数」の項目に示される情報は、棟の階数を示す数値である。「延床面積(m2)」の情報は、棟の延べ床面積を示す数値である。「建築年度」の情報は、棟毎の建築された年度を示す数値である。なお、建築年度には西暦を示す4桁の数値(たとえば1955)および和暦を示すアルファベットと数値(昭和30年の場合はS30)を示す情報が含まれている。「築年数」は、建築されてから経過した年数を示す数値である。
「構造躯体の健全性」の列は、劣化情報記憶部32に記憶されている構造躯体の健全性に関する情報を読み出して表示させる領域である。「構造躯体の健全性」の列には、たとえば、「耐震安全性」,「長寿命化判定」の項目が更に含まれている。「耐震安全性」の項目には、更に「基準」,「診断」,「補強」の項目が含まれている。「基準」の項目には、「旧」または「新」が示される。「旧」は、昭和56年5月31日までの建築基準法での耐震基準(旧耐震基準)であることを示し、「新」は、昭和56年6月1日以降の建築基準法での耐震基準(新耐震基準)を意味する。棟に適用される耐震基準がいずれであるかは、棟毎の建築年度によって決定される。「診断」の項目には、既に耐震診断を実施している場合には「済」が示され、実施していない場合にはブランクとなる。なお、耐震診断が不要である場合には「−」が示される。耐震診断を実施するか否かについては、基準の項目が「旧」の場合には実施が必要であると判断され、「新」の場合には実施が不要と判断される。「補強」の項目には、補強工事が実施されている場合には「済」が示され、実施されていない場合にはブランクとなる。なお、補強工事が不要である場合には「−」が示される。補強工事を実施するか否かについては、耐震診断の診断結果に基づいて決定される。「長寿命化判定」の列には、更に「調査年度」,「圧縮強度(N/mm2)」,「試算上区分」が含まれる。「調査年度」には、長寿命化判定を実施した調査年度を示す情報(平成12年に調査した場合、H12)が示される。「圧縮強度(N/mm2)」は、長寿命化判定のための調査の際に測定されたコンクリートの圧縮強度を示す数値が示される。「試算上区分」は、圧縮強度(N/mm2)の数値が13.5以下の場合には「要調査」という文字が示される。なお、図40では図示しないが、「長寿命化判定」の項目は、更に細分化した項目を設けて示すようにしてもよい。たとえば、コンクリートの中性化深さ(mm),鉄筋かぶり厚さ(mm),鉄筋腐食度,備考(目視状況等)を示すための列を更に設けて、対応する数値または情報を示すようにしてもよい。
「躯体以外の劣化状況」の列は、評価情報記憶部33に記憶されている評価情報および評価指標を読み出して表示させる領域である。「躯体以外の劣化状況」の列には、例えば更に「屋根・屋上」,「外壁」,「内部仕上」,「電気設備」,「給排水衛生設備」,「冷暖房設備」,「健全度(100点満点)」が含まれる。「屋根・屋上」,「外壁」,「内部仕上」,「電気設備」,「給排水衛生設備」,「冷暖房設備」の各項目には劣化状況に対応したアルファベット(A〜Dの4段階)が示される。「A」は概ね良好、「B」は部分的に劣化している、「C」は広範囲に劣化している、「D」は早急に対応する必要があるという意味で用いられる。なお、評価対象外の場合には「−」が示される。「健全度(100点満点)」には、図10に示した劣化状況調査票に記入した各部位の劣化判定に基づいて、図21に示した評価点の換算表と、図22に示したコスト配分表とを用いて算出された数値が示される。
「仕様・性能」の列は、施設情報記憶部31に記憶されている建物の仕様・性能・コスト情報を読み出して表示させる領域である。「仕様・性能」の列には、例えば更に「屋根屋上仕様」,「外壁仕様」,「外部開口部」,「自家発電設備」,「太陽光パネル」,「蓄電池」,「空調方式」が含まれる。これらの各列に該当する仕様や性能を示す情報がある場合には、その仕様名称や性能に関する情報が各項目内にて示される。
「履歴」の列は、劣化情報記憶部32に記憶されている整備履歴情報を読み出して表示させる領域である。「履歴」の列は、例えば更に10年単位の列に区分けされている。なお、図41に示す例では、10年単位の列内を更に毎年の列に分けて示されており、各年において行った工事種別に基づいてセル内に着色がなされて示されている。工事種別には、たとえば、「新・増築」,「改築」,「耐震補強」,「大規模改修全面」,「部位,部分の改修」,「長寿命化改修(機能向上)」があり、これらがそれぞれ異なる着色により示すことができる。
「年次計画(目標態様年数/修繕・改修サイクル)」の列は、図25で示した今後の維持・更新コスト(長寿命化型)のコスト算出条件の記入表を介してクライアント端末3の操作者が入力した情報に基づいて表示させることができる。図42に示す例では、既存建築物の使用年数を築40年未満、築40年〜築59年,築60年〜築79年のいずれに該当するかに応じてセルを色分けしている。なお、「年次計画(目標態様年数/修繕・改修サイクル)」の列は、図25で示した記入表内に示す各項目にクライアント端末3の操作者が入力した数値に基づいて算出、決定される。すなわち、クライアント端末3の操作者が,今後の維持・更新コストを算出するための基準年度、改築する場合の更新周期、長寿命化の年数、工事期間等を入力して設定すれば、その入力値に応じて年次計画の列のセルが色分けされる。したがって、建物別(棟別)にいつ改築がなされると、いつまで長寿命化が図れる、といった状況が容易に把握することができる。
図43は、図42に示す建物情報一覧表の「年次計画(目標態様年数/修繕・改修サイクル)」の代替案が表示された状態を示す図である。図43に示す建物情報一覧表は、図42にて示された「年次計画(目標態様年数/修繕・改修サイクル)」の各建物別、各棟別に示された寿命に基づいて改修時期を見直し、改修サイクル周期を変更した場合に表示される一覧表である。たとえば、図42に示す図においては、古い建物から順番に長寿命化改修をする方式であるが、改修後、建て替えまでの間が20年程度しかないことが把握できる。そこで、図43に示すように、長寿命化に適した建物から改修するように変更することで建替えまでの期間が30年になる。なお、図42の表示から図43の表示に変更する方法は、たとえば、図25に示したコスト算出条件記入表に、改修順番の設定ができる項目を設けて、担当者が選択できるようにしてもよいし、この図42の画面上で、改修をする年度を直接操作して変更できるように構成してもよい。さらに、図43に示す情報は、図42の対応する部分と画面上で切り替えられるようにしてもよいし、横長に繋げて目視で同時に比較することができるようにしてもよい。
図44は、建物情報一覧表において、施設別,棟別に今後の整備の最適解を検討する場合に表示される画面例を示す図である。図44の上段に示すように、建物情報一覧表の「現状」と「改善案」を示している。「現状」として表示されている行では、現時点で部分改修をすると建物の寿命が築60年まで使用できることを示しており、「改善案」として表示されている行では、現時点で中規模改修してから将来の所定の時点で大規模改修した場合には築80年まで使用できることを示している。なお、これらの表示は、並列して同時に表示させてもよいし、表示されているセルを操作して、「現状」から「改善案」へ変更できるように画面を構成してもよい。「現状」から「改善案」へ変更できるような画面構成とする場合、たとえば、「現状」で部分改修と示しているセルを選択すると、大規模改修や中規模改修へと変更可能な画面インタフェースを別途表示させるか、このセルをクリックする毎に改修の設定が、部分改修、中規模改修、大規模改修へと変更できるようにしてもよい。
また、図44の下段に示すように、建物情報一覧表の2つの学校を1つの行に統合して、改築時に小中一貫校にするという操作ができる。あるいは、2つの学校のうち、一つ学校は改築せずに、もう一つの学校へ集約・複合化を図ると共に、大規模改修を行って機能向上させるという操作ができる。なお、これらの表示および操作は、クライアント端末3側の画面において、担当者がこれらの変更を直接できるように画面構成してもよい。
(履歴および年次計画部分に表示させる情報の他の例)
図45は、建物基本情報,履歴部分に表示させる項目の他の一例を示す図である。図45の(1)に示す表は、図40〜図44に示す建物情報一覧表において、建物の基本情報と履歴部分のみを表示させているものであり、A棟を使用している期間だけ、履歴のセルの色が濃くなっている。図45の(2)に示す表は、建物基本情報の列に代えて、所望の設備の情報(区分と数量)を表示させる列を設けて、各設備の行毎に、その設備の履歴情報を表示させている。また、図45の(3)に示す表は、図45の(2)の設備の表示を更に細かな設備の情報(区分と名称/仕様と数量)を表示させている。更に、図45の(4)に示す表では、建物基本情報の列に代えて、会計区分(支出と累計)の列を設け、建物単位でのコストの履歴を表示させている。なお、この会計区分の支出には、資本的支出と修繕費とを更に分けて表示できるようになっていると共に、累計での資産価値についても表示できるようにもなっている。すなわち、このような表示態様とすることで、会計での計上される分類に応じたコスト(数値)を詳細に表示できるようになっている。なお、図45に示す各表では、過去の履歴部分のみを表示させているが、シミュレーション等を行った場合には、年次計画部分まで含めて表示させるようにしてもよい。また、これらの(1)〜(4)に示す画面は、(1)の表を示す画面内に表示の切り替えができるボタン(不図示)をクリックすることで、(2)の表、(3)の表、あるいは(4)の表への切り替えることができるようにしてもよいし、この一覧表を画面に表示させる際の詳細条件などを設定できる画面(不図示)において、(1)〜(4)のいずれかの表示方法を指定できるようにしてもよい。このように、建物情報一覧表は、建物の基本情報のみならず、設備に関する情報、会計に関する情報へと切り替えることができるようになっており、これらの種々の観点を一つの階層的な構造のように表現することができる。
(資産マネジメント支援装置4Aの機能的構成)
図46は、図40〜図45に示した建物情報一覧表を出力するための資産マネジメント支援装置4Aの機能的構成の一例を示す図である。なお、図1に示す資産マネジメント支援装置4と同一の機能については同一の符号を用い、機能についての説明は省略する。
資産マネジメント支援装置4Aは、画面情報生成部11Aと、第1の抽出部11Bと、第2の抽出部11Cとを有している。
画面情報生成部11Aは、図40〜図45に示した建物情報一覧表を表示するための画面情報を生成することができる。具体的には、画面情報生成部11Aは、クライアント端末3を操作する担当者からの出力要求に応じ、建物毎の行または建物の棟別の行と、過去の履歴を示す列および将来の年次計画を示す列を含んでいる建物一覧表を示すための情報を後述する第1の抽出部11Bおよび第2の抽出部11Cを用いて記憶装置6の施設情報記憶部31,劣化情報記憶部32,評価情報記憶部33,保全方針情報記憶部34に記憶されている情報から所望の情報を抽出し、もしくはこれらの抽出した情報に基づいて所望の情報を算出して画面情報を生成することができる。なお、画面情報生成部11Aによって生成された画面情報は、ネットワーク2を介してクライアント端末3側へ送信され、クライアント端末3のディスプレイに建物情報一覧表を表示させることができる。
第1の抽出部11Bは、クライアント端末3を操作する担当者からの出力要求に応じ、設備の区分に応じた仕様・コスト・性能あるいは劣化状況を示す情報を建物一覧表における履歴列の年度毎または将来の年次計画を示す列の年度毎の情報を抽出して画面情報生成部11Aに供給する。
第2の抽出部11Cは、クライアント端末3を操作する担当者からの出力要求に応じ、会計の区分に応じた仕様・コスト・性能あるいは劣化状況を示す情報を建物一覧表における履歴列の年度毎または将来の年次計画を示す列の年度毎の情報を抽出して画面情報生成部11Aに供給する。
以上、資産マネジメント支援装置4Aは、図40〜図46にて説明したように、資産マネジメント支援システム1の施設情報記憶部31に記憶された情報に基づいて建物情報一覧表を生成する画面情報生成部11Aを有し、この画面情報生成部11Aが生成する建物一覧表は、建物毎の行または建物の棟別の行と、過去の履歴を示す列および将来の年次計画を示す列を含んでいるようにしたので、現在を基準として、過去から将来に渡って建物毎または建物の棟別の単位で建物情報の一覧を表示させることができ、建物に関する情報についての視覚化(見える化)を実現することができる。なお、図40〜図46に示した建物一覧表では、過去の履歴を示す列および将来の年次計画を示す列を含んでいるものとしたが、過去の履歴を示す列または将来の年次計画を示す列の一方を含むようにしてもよい。
また、図40〜図46にて説明した資産マネジメント支援システム1の過去の履歴を示す列では建物別または棟別に過去に行っている工事種別(たとえば、図42,図43に示す新・増築,改修,改築,耐震補強,大規模改修全面,部位,部分の改修,長寿命化改修など)に応じてそれぞれが視覚的に判別できるように異なる色にて着色したり、色の濃度を異なるものとなるように表示させることができるので、この建物情報一覧表に基づいて過去にどのような種別の工事が行われていたのか、一目で把握することができるようになる。あるいは、図40〜図46にて説明した資産マネジメント支援システム1の過去の履歴を示す列では、建物別または棟別の使用年数(建物寿命)についても具体的にどの期間なのかを、使用年数期間とそうでない期間とで異なる色にて着色したり、色の濃度を異なるものとなるように表示させるようにできるので、この建物情報一覧表に基づいて過去の使用年数を一目で把握することができるようになる。
また、図40〜図46にて説明した資産マネジメント支援システム1の将来の年次計画を示す列では、建物別または棟別の所定の使用年数の区間について視覚的に判別できるように同様に表示させているので、将来の計画ではどのような工事種別の工事を行う予定なのかを視覚的に把握することができると共に、建物別または棟別の使用年数(建物寿命)についても具体的にどの期間なのかということも、上述した過去の履歴の表示と同様に視覚的に把握することができる。
また、図40〜図46にて説明した資産マネジメント支援システム1では、建物の設備情報から、設備の区分に応じた仕様・コスト・性能あるいは劣化状況を示す情報を抽出する第1の抽出部11Bを有し、この第1の抽出部11Bは、クライアント端末3を操作するユーザからの出力要求に応じ、設備の区分に応じた仕様・コスト・性能あるいは劣化状況を示す情報を建物一覧表における履歴列の年度毎または将来の年次計画を示す列の年度毎に出力することができるので、建物の設備に関する詳細な情報については劣化情報などを過去または将来に渡って視覚的に把握することができる。
また、図40〜図46にて説明した資産マネジメント支援システム1では、建物のコスト情報から、会計の区分に応じたコストを抽出する第2の抽出部11Cを有し、この第2の抽出部11Cは、会計の区分に応じたコストを抽出する際に、資産計上分、固定資産ストック、減価償却額のいずれかに分類されるかを判定すると共に、その判定に基づいて抽出したコストに基づく数値を建物一覧表における履歴列の年度毎または将来の年次計画を示す列の年度毎に出力することができるので、会計区分に応じたコストについて過去、または将来に渡って視覚的に把握することができる。さらに、建物別または建物の棟別に表示させた場合には、より詳細に会計区分に応じたコストを把握することができるようになる。
(適正化に向けた総合的な長寿命化改修の取り組み)
さて、図34を用いて説明したように、劣化状況の把握と回復を中心とした長寿命化改修計画では、財政制約ラインとコストとの乖離が発生してしまう場合、その乖離を埋めていくために、学校施設の配置や規模、運営面・活用面等に及ぶ多面的な見直しが必要であり、適正化に向けた総合的な取り組みの方針を明確にする必要がある。そこで、図47を参照して、劣化状況の把握と回復のみにとどまらない長寿命化改修について説明する。
図47においては、その中央部分に改修項目を示し、その左側に、改修項目を定めるために必要な検討項目を示す。まず、劣化状況を把握し、劣化を元に戻すこと、すなわち、機能回復が行われることが基本事項である。そして、将来の児童生徒数の変化等を踏まえて、学校施設のレイアウト変更、増築や減築の対応、また、児童数や学級数の変化に対するフレキシビリティを確保することが必要となる。また、新たな学習環境への対応など、今後の学校の在り方を踏まえて、例えば、メディアセンター、少人数教室、多目的ホールなどの、これまでにない機能の必要性に対応しなくてはならない。また、施設の整備レベルを高め、機能を向上するために、施設の省エネ化、バリアフリー化、空調設備を完備すること、快適なトイレを設置することなどが求められる。また、さらに、学校周辺施設との連携として、特別教室やプールなどの共用化や、学校施設を地域の拠点として活用することなどを考慮する必要がある。ここでは、これらの内容をすべて検討し、効率的に行うことを、広い意味での長寿命化改修であるものとする。
図47を用いて説明した広い意味での長寿命化改修を実施し、適正化に向けた総合的な取り組みの支援を行うために、例えば、ある行政機関が管理する学校等の施設を、それらの施設の特徴別に分類して整理し、分析することにより、児童生徒数の変化、新たな学習環境への対応、施設の機能向上、学校周辺施設との連携を考慮するために必要な各種情報を得ることが可能となる。図48に、図47を用いて説明した広い意味での長寿命化改修を実施するための支援を行うことができる資産マネジメント支援システム1の資産マネジメント支援装置4Bおよび記憶装置6Bの機能的構成について説明する。図48においては、図1に示す資産マネジメント支援装置4および記憶装置6、または、図46に示す資産マネジメント支援装置4Aおよび記憶装置6と同一の機能については同一の符号を用い、それらの機能についての詳細な説明は省略する。
すなわち、資産マネジメント支援装置4Bは、画面情報生成部11Aに代わって画面情報生成部11Eが設けられ、更に、第3の抽出部11D、分類情報取得部51、タイプ分類処理部52、および、演算部53が設けられている以外は、図46に示す資産マネジメント支援装置4Aと同様の機能構成を有している。また、記憶装置6Bは、更に、フォーマット記憶部71および活用検討関連情報記憶部72が設けられている以外は、図1および図46に示す記憶装置6と同様の機能構成を有している。
画面情報生成部11Eは、上述した画面情報生成部11および画面情報生成部11Aが有する機能に加えて、更に、ネットワーク2を介して送信されるクライアント端末3からの要求に応じた画面を表示させるためのデータを、後述するフォーマット記憶部71に記憶されているフォーマットを用いて生成する機能を有する。具体的には、画面情報生成部11Eは、クライアント端末3からの要求に対応するフォーマットを、フォーマット記憶部71から読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。そして、画面情報生成部11Eは、供給されたデータを用いてフォーマットに数値を挿入することにより、クライアント端末3からの要求に対応するデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。
第3の抽出部11Dは、後述するフォーマット記憶部71に記憶されているフォーマットを用いて、画面情報生成部11Eにより、クライアント端末3からの要求に応じた画面を表示させるためのデータを生成するために必要な情報を、記憶装置6Bの施設情報記憶部31、劣化情報記憶部32、評価情報記憶部33、保全方針情報記憶部34、および、活用検討関連情報記憶部72のいずれかから抽出する。
分類情報取得部51は、分類を行うべき施設群の指定、施設群をタイプ分類するためのタイプ分類の基軸となる分類情報、および、その分類の内容や閾値などのタイプ分類を行うために必要な情報を、ネットワーク2を介してクライアント端末3から取得し、タイプ分類処理部52に供給する。タイプ分類の基軸となる情報には、例えば、所在地や地域、学校規模、学級数、学校規模や学級数の変化の履歴や予測、学校種、独立校であるか分校であるかの区別、主要過程などを用いることができる。学校規模としては、生徒数の範囲を用いて分類してもよいし、学級数を用いて分類してもよい。また、高等学校などにおいては、学校種が高等学校か特別支援学校であるかの分類、全日制か定時制かの分類、メイン学科が普通科であるか農業科であるか工業科であるか水産科であるか商業科であるか総合学科であるか、またはそれ以外の学科であるかの分類などが可能である。また、特別支援学校においては、その学校で対応している障害種別が、知覚障害であるか、聴覚障害であるか、知的障害であるか、肢体不自由であるか、病弱であるか、その他の障害であるか、それらの複数の障害に対応しているかなどの分類を用いることが可能である。また、タイプ分類の基軸となる分類情報の数は規定されない。
タイプ分類処理部52は、クライアント端末3からの要求に応じた所定の施設群を、分類情報取得部51から供給された分類情報に基づいて分類し、分類結果を、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。例えば、分類情報取得部51より、所定の自治体内の小学校をタイプ分類するために、タイプ分類の基軸として、(1)地域、(2)学級規模、(3)学級数変化の予測の3種類が、それぞれの分類の内容や閾値とともに供給された場合、タイプ分類処理部52は、まず、指定の地域ごとに小学校を分類し、その分類内で学級規模の指定された範囲ごとに小学校を分類し、更に、その分類内で、学級数変化の予測の数値の指定された範囲ごとに小学校を分類する。そして、それらの分類を、例えば、タイプA,タイプB・・・と分け、分類結果として、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
演算部53は、画面情報生成部11Eからの指令に基づいて、画面情報生成部11Eがクライアント端末3からの要求に応じた画面を表示させるためのデータを生成し、クライアント端末3へ送信して表示させるために、記憶装置6Bに記憶されている各種情報と、必要に応じて、タイプ分類処理部52から供給されたタイプ分類結果に基づいて、所定の演算処理を実行し、演算結果を画面情報生成部11Eに供給する。
例えば、演算部53は、画面情報生成部11Eからの指令に基づいて、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶されている学校基本情報などを参照し、例えば、ピーク時(または開校時)の児童生徒数と現在の児童生徒数の差、現在の児童生徒数と将来の予想児童生徒数の差、現在の児童生徒一人当たりの延床面積、現在の児童生徒一人当たりの運動場面積、将来の児童生徒一人当たりの延床面積、将来の児童生徒一人当たりの運動場面積、ピーク時(または開校時)の児童生徒一人当たりの延床面積、ピーク時(または開校時)の児童生徒一人当たりの運動場面積などを算出し、画面情報生成部11Eに供給する。また、例えば、演算部53は、画面情報生成部11Eからの指令、および、タイプ分類処理部52から供給されたタイプ分類結果に基づいて、記憶装置6の施設情報記憶部31に記憶されている情報を参照し、例えば、各タイプに分類された学校における現在の児童生徒数、学級数、現在から将来の学級(児童生徒)数変化予測(学級数なら数、生徒児童数なら%)、ピーク時(または開校時)から現在の学級(児童生徒)数変化予測、延床面積、一人あたりの延床面積、頭数、運動場面積、一人あたりの運動場面積などの、それぞれの最大値、最小値、および、平均値を算出し、画面情報生成部11Eに供給する。
フォーマット記憶部71は、画面情報生成部11Eにより、クライアント端末3からの要求に応じた画面を表示させるためのデータを生成し、表示させるための各種フォーマットを記憶する。
活用検討関連情報記憶部72は、例えば、図49および図50に示されるような活用検討シートの情報、および、クライアント端末3からの要求に応じて生成された各種情報を記憶する。図49の活用検討シートには、施設名、該当施設および同種施設の配置状況を示す地図情報、施設の図面、都市計画情報、用途制限、建築可能面積、および備考などの情報が含まれている。また、図50の活用検討シートには、施設名、建物の躯体および部位の健全性、施設の基本情報、各階のフロア構成などの情報が含まれている。これらの活用検討シートに含まれている情報は、記憶装置6Bの各記憶部に記憶されている建物情報一覧表、学校施設台帳、固定資産台帳、劣化調査情報、施設・機能・コストに関する情報、および、資産マネジメント支援装置4Bの各部において生成された情報などの各項目と適宜紐付けされて記憶されている。また、これらの活用検討シートは、これ以外の情報を含んでいてもよいことは言うまでもない。
なお、記憶装置6Bの施設情報記憶部31には、上述したように、施設の基本情報、学校施設台帳、および、固定資産台帳などの情報が記憶されており、更に、図51に示されるような、各施設の建築時(または、例えば、施設が学校である場合は、児童生徒数が最多であった時点)の各フロア平面図および利用内容の情報、ならびに、図52に示されるような、各施設の現在における各フロア平面図および利用内容の情報が更に記憶されている。また、記憶装置6Bの施設情報記憶部31には、各施設の住所情報や、位置を示した地図情報が記憶されている。
また、記憶装置6Bの保全方針情報記憶部34には、各施設や、各自治体における施設利用者数、例えば、施設が小中学校である場合においては、児童生徒数の推移を示す情報や、それぞれの小中学校の学級数の推移を示す情報が記憶されている。画面情報生成部11Eは、クライアント端末3からの要求に応じて、保全方針情報記憶部34に記憶されている所定の自治体全体の児童生徒数の推移を示す情報に基づいて、例えば、図53に示されるような、児童生徒数の推移を示す複合グラフのデータを生成し、ネットワーク2を介してクライアント端末3に送信し、表示させることができる。図53に示される児童生徒数の推移を示す複合グラフは、児童生徒の合計数、小学校児童の合計数、および、中学校生徒の合計数を示す折れ線グラフと、小学校1校当たりの平均学級数、および、中学校1校当たりの平均学級数を示す棒グラフにより構成されている。この時、演算部53は、保全方針情報記憶部34に記憶されているそれぞれの小中学校の学級数の推移を示す情報に基づいて、小学校1校当たりの平均学級数、および、中学校1校当たりの平均学級数を演算し、画面情報生成部11Eに供給する。クライアント端末3の操作者は、図53の複合グラフを参照し、所定の自治体全体の児童生徒数の推移を確認し、その推移について分析し、必要に応じて、今後の児童生徒数の推移の予測を行うことができる。
このように、資産マネジメント支援システム1の資産マネジメント支援装置4Bは、施設の基本情報、学校施設台帳、および、固定資産台帳の各項目を紐付けて、記憶装置6Bに蓄積して記憶させる情報記憶処理部12と、タイプ分類の基軸となる複数の分類情報を取得する分類情報取得部51と、記憶装置6Bに記憶されている施設の基本情報、学校施設台帳、および、固定資産台帳を参照し、分類情報取得部51により取得された分類情報に従い、施設をタイプ分類するタイプ分類処理部52と、複数の項目を有するフォーマットを記憶するフォーマット記憶部71と、タイプ分類処理部52によるタイプ分類結果、および、フォーマット記憶部71に記憶されているフォーマットの項目に基づいて、記憶装置6Bに記憶されている施設の基本情報、学校施設台帳、および、固定資産台帳から対応する情報を抽出して演算処理を実行する演算部53と、タイプ分類処理部52によるタイプ分類結果、記憶装置6Bに記憶されている施設の基本情報、学校施設台帳、および、固定資産台帳、ならびに、演算処理部による演算処理結果を用いて、記憶装置6Bに記憶されているフォーマットに基づく表示データを生成する画面情報生成部11Eとを有する。
これにより、資産マネジメント支援装置4Bは、紐付けされた情報を利用して、施設をタイプ分類し、タイプ分類結果を用いて、さまざまなフォーマットのデータを生成することができる。クライアント端末3の操作者は、資産マネジメント支援装置4Bに所望のフォーマットに整理されたデータを参照することができる。したがって、資産マネジメント支援システム1の資産マネジメント支援装置4Bは、施設の劣化状況の把握と回復のみにとどまらない長寿命化改修に関する計画立案等の支援を行うことができる。
次に、図54〜図56を参照し、タイプ分類処理部52が実行するタイプ分類処理と、画面情報生成部11Eにより生成される画面情報について説明する。
例えば、クライアント端末3の操作者が、所定の自治体内の小学校をタイプ分類することを指令し、クライアント端末3から、ネットワーク2を介して、タイプ分類の基軸として、(1)地域、(2)学級規模、(3)学級数変化の予測の3種類が、それぞれの分類の内容や閾値とともに資産マネジメント支援装置4Bに送信された場合、分類情報取得部51は、通信装置5を介して、これらの情報を取得し、タイプ分類処理部52に供給する。
タイプ分類処理部52は、まず、指定の地域ごとに小学校を分類し、その分類内で学級規模の指定された範囲ごとに小学校を分類し、更に、その分類内で、学級数変化の予測の数値の指定された範囲ごとに小学校を分類する。そして、タイプ分類処理部52は、その分類結果を、例えば、タイプA,タイプB・・・と分け、それぞれのタイプに分類された小学校名を、分類結果として、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
クライアント端末3の操作者が、所定の自治体内の小学校のタイプ分類結果の一覧表の表示を指令した場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、タイプ分類結果の一覧表に対応するフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。例えば、記憶装置6Bの各部に、「(ある時期の)児童一人あたりの(ある部分の面積)」の情報が含まれていない場合、画面情報生成部11Eは、演算部53を制御して、記憶装置6Bの各部に記憶されている児童数と(ある部分の面積)の数値を取得させ、これらの数値を演算させることができる。
図54および図55に、画面情報生成部11Eにより生成された、所定の自治体内の小学校のタイプ分類結果の一覧表の一例を示す。図54および図55においては、対応するフォーマットの項目数が多いために、すべての項目を1画面に表示することができず、一覧表の一部をスクロールして表示させた場合の表示画面を示す。図54および図55に例示した、所定の自治体内の小学校のタイプ分類結果の一覧表には、各タイプに属する小学校の名称と、それぞれの小学校において、タイプ分類結果の一覧表に対応するフォーマットの各項目に対応する情報が記載されている。なお、ここでは、タイプDまでの分類がなされているが、この一覧表の下部には、これ以外のタイプに分類された小学校に関する情報が記載されている。
次に、図56に、画面情報生成部11Eにより生成された、所定の自治体内の小学校のタイプ分類の基軸と、それらのタイプごとの特徴を示す数値を一覧することができるフォーマットの一例を示す。図56に例示したフォーマットにおいては、タイプ分類の基軸が、(1)地域が北部であるか南部であるか、(2)学級規模が大規模か適正規模であるか小規模であるか(ここでは小規模に対応する小学校がない場合が例示されている)、そして、(3)学級数変化の予測が、減少または変化なしであるか、6学級以上減少傾向であるか、変化なしであるか、今度も増加であるか、という分類内容とともに記載され、それぞれのタイプに含まれる学校数が記載されている。また、このフォーマットには、それぞれのタイプの特徴を示す数値として、項目ごとに、最大値、最小値、必要に応じて平均値の欄が用意されている。画面情報生成部11Eは、演算部53を制御して、記憶装置6Bの各部に記憶された情報から、最大値、最小値、平均値を演算させ、取得して、フォーマットの対応する部分に記載することができる。
分類情報取得部51は、ネットワーク2を介して、クライアント端末3から、タイプ分類のために必要な情報を取得し、タイプ分類処理部52に供給する。タイプ分類処理部52は、供給された情報に基づいて、施設をタイプ分類し、例えば、タイプA,タイプB・・・と分け、分類結果として、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。画面情報生成部11Eは、クライアント端末3からの要求に対応するフォーマットを、フォーマット記憶部71から読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。そして、図54〜図56を用いて説明したようなデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。
次に、図57〜図64を用いて、異なるタイプ分類の基軸によるタイプ分類と、タイプ分類に基づいて、建て替え時のモデルケースとなる「建て替え時の見直し基準」を制定する処理を支援する場合について、例を用いて説明する。
まず、図57を用いて、異なるタイプ分類の基軸によるタイプ分類について説明する。例えば、クライアント端末3の操作者が、所定の自治体内の高等学校をタイプ分類することを指令し、クライアント端末3から、ネットワーク2を介して、タイプ分類の基軸として、(1)学校種が高等学校であるか特別支援学校であるか、学校種が高等学校である場合においては、(2)独立校であるか分校であるか、(3)主要課程が全日制であるか定時制であるか、(4)メイン学科はいずれであるか、(5)学校規模、の5種類であるものとし、学校種が特別支援学校である場合においては、(2)本校であるか分校であるか分教室であるか、(3)障害種別はいずれであるか、の3種類であるものとして、それぞれの分類の内容や閾値とともに供給された場合、分類情報取得部51は、通信装置5を介して、これらの情報を取得し、タイプ分類処理部52に供給する。
タイプ分類処理部52は、まず、学校種が高等学校であるか特別支援学校であるかを分類する。タイプ分類処理部52は、学校種が高等学校であると分類された中で、独立校であるか分校であるかで分類し、更に、その分類内で、主要課程が全日制であるか定時制であるかで分類し、更に、その分類内でメイン学科ごとに分類し、更に、その分類内で学校規模の指定された範囲ごとに高等学校を分類する。また、タイプ分類処理部52は、学校種が特別支援学校であると分類された中で、本校であるか分校であるか分教室であるかで分類し、更に、その分類内で、該当する特別支援学校が主に対応している障害種別によって分類を行う。そして、タイプ分類処理部52は、その分類結果を、例えば、タイプA,タイプB・・・タイプMと分け、それぞれのタイプに分類された高等学校名を、分類結果として、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
次に、図58に、画面情報生成部11Eにより生成された、タイプ分類の基軸(1)で高等学校に分類されたタイプA〜タイプjにおいて、タイプごとの特徴を示す数値を一覧することができるフォーマットの一例を示す。図58に例示したフォーマットにおいては、図57を用いて説明したタイプ分類の基軸と指定された内容、すなわち、(2)独立校であるか分校であるか、(3)主要課程が全日制であるか定時制であるか、(4)メイン学科は普通科、農業科、水産科、工業科、商業科、総合学科のいずれであるか、(5)学校規模は大規模であるか標準機規模であるか小規模であるか、という分類内容が記載され、それぞれのタイプに含まれる学校数が記載されている。また、このフォーマットには、それぞれのタイプの特徴を示す数値として、例えば、学級数、学級数の減少率、生徒数、生徒数の減少率、校舎・屋体・校地の面積などの項目ごとに、最大値や最小値、また、必要に応じて平均値の欄が用意されている。画面情報生成部11Eは、演算部53を制御して、記憶装置6Bの各部に記憶された情報から、最大値、最小値、平均値を演算させ、取得して、フォーマットの対応する部分に記載することができる。画面情報生成部11Eは、このようにして生成したデータを、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。
クライアント端末3において表示された図58のデータを参照した使用者から、例えば、所定のタイプにおける詳細情報の表示が指令されたとき、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、所定のタイプにおける詳細情報に対応するフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットの各項目に対応する数値を挿入して生成したデータを、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。これらのフォーマットには、クライアント端末3において表示されたデータを参照した使用者が新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれていてもよい。
図59を参照して、データを参照した使用者が新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれている、所定のタイプにおける詳細情報に対応するフォーマットについて説明する。図59は、クライアント端末3において表示された図58のデータを参照した使用者から、例えば、タイプBに分類された高等学校のそれぞれの棟の保有に関する詳細情報の表示が指令されたとき、画面情報生成部11Eにより生成され、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示されたデータに対して、クライアント端末3の使用者が新たに数値や情報を記入した状態のデータである。
所定のタイプにおける棟の保有に関する詳細情報に対応するフォーマットには、それらの施設に含まれる校舎がメイン、サブ、その他でそれぞれ何棟あるか、実習棟が何棟あるか、屋体がメイン、サブ、その他でそれぞれ何棟あるか、温室が何棟あるか、駐車可能台数の、それぞれにおける平均値、最小値、および最大値の各項目と、25mプールの保有校数と50mプールの保有校数の項目が用意されている。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。また、このフォーマットには、これらの情報を参照したクライアント端末3の使用者が、これらの各項目において「建て替え時の見直し基準」となる数値を新たに記入するために空欄となっている「建て替え時の見直し基準」の項目が、あらかじめ用意されている。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、「建て替え時の見直し基準」となる数値を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した「建て替え時の見直し基準」となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
また、複数のタイプを指定して、それら複数のタイプにおける詳細情報に対応するフォーマットを用意することも可能である。
図60を参照して、クライアント端末3において表示された図58のデータを参照した使用者から、例えば、タイプBおよびタイプIに分類された高等学校の生徒数およびクラス数の変化に関する詳細情報の表示が指令されたときに、画面情報生成部11Eによって、フォーマット記憶部71から選択されるフォーマットの一例について説明する。図60に示されるフォーマットには、タイプBである全日制とタイプIである定時制とで、生徒数および学級数の平成28年時の平均値・最小値・最大値の項目が、それぞれ用意されるとともに、開校時から現在における生徒数と学級数の減少率の項目がそれぞれ用意される。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。なお、各項目に対応する情報を演算するために必要な情報が不足していた場合、図60に示されるように、記載値を「不明」とするようにしてもよい。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
次に、図61〜図64を参照して、タイプBにおける校舎、屋体、校地面積、および、教室の保有状況についての詳細情報に対応するフォーマットと、これらのフォーマットを用いた「建て替え時の見直し基準」の制定について説明する。
図61に、タイプBの校舎についての詳細情報に対応するフォーマットの一例を示す。クライアント端末3の使用者から、タイプBの校舎についての詳細情報の表示を指令されたとき、画面情報生成部11Eによって、フォーマット記憶部71から対応するフォーマットが読み出される。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。このフォーマットには、校舎の面積の平均値・最小値・最大値と、平成28年度における生徒一人あたりの校舎面積の平均値・最小値・最大値の項目が用意され、タイプBに分類された33校が保有するメイン校舎、サブ校舎、その他の校舎におけるそれぞれの数値が記載されているとともに、データを参照した使用者が「建て替え時の見直し基準」として、新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれている。なお、図61においては、項目に対応する情報を演算するために必要な情報が不足していた部分には「−」が記載されている。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、「建て替え時の見直し基準」となる数値を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した「建て替え時の見直し基準」となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図62に、タイプBの屋体についての詳細情報に対応するフォーマットの一例を示す。クライアント端末3の使用者から、タイプBの屋体についての詳細情報の表示を指令されたとき、画面情報生成部11Eによって、フォーマット記憶部71から対応するフォーマットが読み出される。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。このフォーマットには、屋体の面積の平均値・最小値・最大値の項目が用意され、タイプBに分類された33校が保有するメイン、サブ、その他の屋体におけるそれぞれの数値が記載されているとともに、データを参照した使用者が、「建て替え時の見直し基準」として、新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれている。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、「建て替え時の見直し基準」となる数値を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した「建て替え時の見直し基準」となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図63に、タイプBの校地面積についての詳細情報に対応するフォーマットの一例を示す。クライアント端末3の使用者から、タイプBの校地面積についての詳細情報の表示を指令されたとき、画面情報生成部11Eによって、フォーマット記憶部71から対応するフォーマットが読み出される。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。このフォーマットには、建物敷地、運動場敷地、実験実習地および校地面積合計のそれぞれにおいて、面積の平均値・最小値・最大値と、平成28年度における全日制生徒一人あたりの面積の平均値・最小値・最大値の項目が用意され、タイプBに分類された33校のそれぞれの数値が記載されているとともに、データを参照した使用者が「建て替え時の見直し基準」として、新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれている。なお、図63においては、項目に対応する情報を演算するために必要な情報が不足していた部分には「−」が記載されている。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、「建て替え時の見直し基準」となる数値を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した「建て替え時の見直し基準」となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図64に、タイプBの教室の保有状況についての詳細情報に対応するフォーマットの一例を示す。クライアント端末3の使用者から、タイプBの教室の保有状況についての詳細情報の表示を指令されたとき、画面情報生成部11Eによって、フォーマット記憶部71から対応するフォーマットが読み出される。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。このフォーマットには、各施設において保有されている教室の室数の平均値・最小値・最大値と、一室あたりの面積の平均値・最小値・最大値の項目が用意され、タイプBに分類された33校が保有する教室の対応する数値が記載されているとともに、データを参照した使用者が、室数および一室あたりの面積の「建て替え時の見直し基準」として、新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれている。なお、図64においては、項目に対応する情報を演算するために必要な情報が不足していた部分には「−」が記載されている。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、室数および一室あたりの面積のそれぞれにおいて、「建て替え時の見直し基準」となる数値を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した「建て替え時の見直し基準」となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図61〜図64を用いて説明したように、資産マネジメント支援装置4Bは、所定のフォーマットに対応した情報を、記憶装置6Bの各部に紐付けされて記憶されている情報から抽出するとともに、必要に応じて演算し、一覧表示するためのデータを生成することにより、クライアント端末3の使用者が、「建て替え時の見直し基準」となる数値を、容易に制定することが可能となる。また、クライアント端末3の使用者が、「建て替え時の見直し基準」となる数値として制定された値は、記憶装置6Bに記憶されている各情報の各項目と紐付けられて、活用検討関連情報記憶部72に記憶される。
また、画面情報生成部11Eは、さらに、クライアント端末3の使用者により制定され、活用検討関連情報記憶部72に記憶された値を用いて、異なるフォーマットに対応するデータを生成することが可能である。
次に、図65〜図70を参照して、クライアント端末3の使用者により制定され、活用検討関連情報記憶部72に記憶された値を用いて、所定のフォーマットに基づいて生成される情報の例について説明する。図65〜図69の各フォーマットは、タイプBに含まれる所定の高等学校(図65〜図70においては、×××と記載する)に注目し、その高等学校の現状や将来予測と、タイプBの校舎、屋体、校地面積、および、教室の保有状況の平均値・最小値・最大値、および、「建て替え時の見直し基準」として設定された情報を比較可能なものである。更に、これらのフォーマットには、対応するタイプにおいて「建て替え時の見直し基準」として設定された数値に基づいて、注目する所定の高等学校における見直し目標の値を、クライアント端末3の使用者により記入可能なようになされている。
図65は、図59を用いて説明したタイプBにおける棟の保有に関する詳細情報、および、クライアント端末3の使用者により制定され活用検討関連情報記憶部72に記憶された「建て替え時の見直し基準」と、所定の高等学校×××の現状の値とを比較し、所定の高等学校×××における見直し目標の値を、クライアント端末3の使用者により記入可能なフォーマットである。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、図59を用いて説明したタイプBにおける棟の保有に関する詳細情報、および、クライアント端末3の使用者により制定され活用検討関連情報記憶部72に記憶された「建て替え時の見直し基準」と、所定の高等学校×××の現状の値とを比較し、所定の高等学校×××における見直し目標の値を入力し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した所定の高等学校×××における「建て替え時の見直し基準」となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図66は、図60を用いて説明したタイプBおよびタイプIに分類された高等学校の生徒数および学級数の変化に関する詳細情報と、所定の高等学校×××の現状の値とを比較し、文部科学省による生徒一人あたりの必要面積の値を基に、所定の高等学校×××の校舎の教室以外の部分の面積削減目標値を、クライアント端末3の使用者により記入可能なフォーマットである。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、図66を用いて説明したタイプBおよびタイプIに分類された高等学校の生徒数および学級数の変化に関する詳細情報と、所定の高等学校×××の現状の値とを比較し、文部科学省による生徒一人あたりの必要面積の値に基づいて、所定の高等学校×××における校舎の教室以外の部分の面積削減目標値を入力し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した所定の高等学校×××における校舎の教室以外の部分の面積削減目標値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図67は、図61を用いて説明したタイプBの校舎についての詳細情報、すなわち、校舎の面積の平均値・最小値・最大値、および、平成28年度における生徒一人あたりの校舎面積の平均値・最小値・最大値、生徒一人あたりの校舎面積の「建て替え時の見直し基準」、ならびに、所定の高等学校×××の現状の値を比較し、所定の高等学校×××における校舎面積の見直し目標値を、クライアント端末3の使用者により記入可能なフォーマットである。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、図67を用いて説明したタイプBの校舎面積についての詳細情報、すなわち、校舎の面積の平均値・最小値・最大値、および、平成28年度における生徒一人あたりの校舎面積の平均値・最小値・最大値、生徒一人あたりの校舎面積の「建て替え時の見直し基準」、ならびに、所定の高等学校×××の現状の値を比較し、所定の高等学校×××における校舎面積の見直し目標値を入力し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した所定の高等学校×××における校舎面積の見直し目標値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図68は、図62を用いて説明したタイプBの屋体についての詳細情報、すなわち、屋体の面積の平均値・最小値・最大値、屋体面積の「建て替え時の見直し基準」、および、所定の高等学校×××の現状の値を比較し、所定の高等学校×××における屋体面積の見直し目標値を、クライアント端末3の使用者により記入可能なフォーマットである。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、図68を用いて説明したタイプBの屋体面積についての詳細情報、すなわち、屋体の面積の平均値・最小値・最大値、所定の高等学校×××の現状の屋体面積の値、および屋体面積の「建て替え時の見直し基準」を比較し、所定の高等学校×××における校舎面積の見直し目標値を入力し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した所定の高等学校×××における屋体面積の見直し目標値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図69は、図63を用いて説明したタイプBの校地面積についての詳細情報、すなわち、校地面積の平均値・最小値・最大値、平成28年度における全日制生徒一人あたりの校地面積の平均値・最小値・最大値、校地面積の「建て替え時の見直し基準」、および、所定の高等学校×××の現状の値を比較し、所定の高等学校×××における校地面積の見直し目標値を、クライアント端末3の使用者により記入可能なフォーマットである。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、図69を用いて説明したタイプBの校地面積についての詳細情報、すなわち、校地面積の平均値・最小値・最大値、平成28年度における全日制生徒一人あたりの校地面積の平均値・最小値・最大値、所定の高等学校×××の現状の校地面積、および校地面積の「建て替え時の見直し基準」を比較し、所定の高等学校×××における校地面積の見直し目標値を入力し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した所定の高等学校×××における校地面積の見直し目標値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図70は、図64を用いて説明したタイプBの教室の保有状況についての詳細情報、すなわち、各高等学校において保有されている教室の室数の平均値・最小値・最大値、一室あたりの面積の平均値・最小値・最大値、室数および一室あたりの面積の見直し基準、ならびに、所定の高等学校×××の現状の値を比較し、所定の高等学校×××における室数および一室あたりの面積の見直し目標値を、クライアント端末3の使用者により記入可能なフォーマットである。画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、図70を用いて説明したタイプBの教室の保有状況についての詳細情報、すなわち、各高等学校において保有されている教室の室数の平均値・最小値・最大値、一室あたりの面積の平均値・最小値・最大値、室数および一室あたりの面積の見直し基準、ならびに、所定の高等学校×××の現状の値を比較し、所定の高等学校×××における室数および一室あたりの面積の見直し目標値を入力し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した所定の高等学校×××における室数および一室あたりの面積の見直し目標値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図65〜図70を用いて説明したように、資産マネジメント支援装置4Bは、フォーマット記憶部71に記憶されるフォーマットに対して、クライアント端末3の使用者により制定され、活用検討関連情報記憶部72に記憶された値を挿入し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。これにより、クライアント端末3の使用者は、タイプ分類において分類されたタイプの見直し基準と現状の値とを比較して、所定の高等学校×××の改築時の各種目標値を容易に制定することができるので、例えば、図71に示されるように、高等学校の一部を建て替える場合に、必要な教室数を確保しつつ、適正に余剰の教室を減らすような計画を立てることが可能となる。
また、高等学校の一部を建て替える場合、該当する高等学校に紐付けられて施設情報記憶部31に記憶されている、上述した建物躯体等の劣化状況の情報を参照し、いずれの棟を建て替えるかを決定するための参考とすることができる。具体的には、クライアント端末3において、建て替えの計画を行う高等学校名と、その高等学校の建物躯体等の劣化状況の情報の表示が指令された場合、画面情報生成部11Aは、図40〜図45に示した建物情報一覧表を表示するために、第1の抽出部11Bおよび第2の抽出部11Cを制御して、記憶装置6の施設情報記憶部31、劣化情報記憶部32、評価情報記憶部33、および、保全方針情報記憶部34に記憶されている情報から所望の情報を抽出し、もしくはこれらの抽出した情報に基づいて所望の情報を算出して画面情報を生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。建物の建て替えを行う場合、劣化の進んだ部分から優先的に建て替えを行うほうが、長期的な維持管理コストを削減することが容易となる。したがって、クライアント端末3の使用者は、表示された情報を参照し、必要に応じて、シミュレーション部22を用いた今後の長寿命化計画のコストを再算出するシミュレーションの実行を指令することなどにより、いずれの棟を建て替えることにより、施設の管理運用に必要なコストを削減することが可能かを容易に検討することができる。
図72は、所定の自治体が管理する高等学校の改築改修にかかるコストの現在までの実績値と、図57〜図71を用いて説明したようにして求められた見直し目標値に基づいて定められた今後の計画に基づいて算出されたコスト予測を示す棒グラフである。高等学校の一部を建て替える場合に適正に余剰の教室を減らすことにより、例えば、図72に示されるように、余剰の教室を減らさないベース案に対して、今後の高等学校の改築改修にかかるコストを減少することが可能となる。
しかしながら、まだ、財政制約ラインと、計画されたコストとに乖離が発生するような場合、学校周辺施設との連携として、特別教室やプールなどの共用化や、学校施設を地域の拠点として活用することなどを考慮する必要がある。具体的には、例えば、プール等の施設を近隣施設で共有して使用することができるか否かを検討する必要がある。図73に、地区情報によりタイプ分類し、プールに関する各情報を表示項目としたフォーマットを示す。
例えば、クライアント端末3の操作者が、所定の自治体内の高等学校をタイプ分類することを指令し、クライアント端末3から、ネットワーク2を介して、タイプ分類の基軸として、地区名が指定された場合、分類情報取得部51は、通信装置5を介して、タイプ分類の基軸が地区名であることを示す情報を取得し、タイプ分類処理部52に供給する。タイプ分類処理部52は、所定の自治体内の高等学校を地区名でタイプ分類し、それぞれのタイプに分類された高等学校名を、分類結果として、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
画面情報生成部11Eは、図73に示されるように、各地区に属する学校名と、代表学科、学級数、学校規模、プール長さ、コース数、プール設置年、および、プールの築年数を項目とするとともに、クライアント端末3の使用者が、それぞれの高等学校におけるプールの改築予定の可否を記入することができる項目を有するフォーマットを、フォーマット記憶部71から読み出す。そして、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者は、表示されたデータを参照し、それぞれの学校の地区や学級数や学校規模に基づいて、プールを共有することが可能な高等学校のグループを導き出し、学級数や学校規模、プールの設置年や築年数などに基づいて、いずれの高等学校のプールを改築し、いずれの高等学校のプールをなくすのが最適であるかを定め、それぞれの高等学校におけるプールの改築予定の可否を、対応する欄に記入する。
クライアント端末3の使用者が、それぞれの高等学校におけるプールの改築予定の可否を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力したそれぞれの高等学校におけるプールの改築予定の可否を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
シミュレーション部22は、活用検討関連情報記憶部72に記憶されたプールの改築予定の可否を用いて、複数の高等学校でプールを共有する場合の改築改修にかかるコストのシミュレーションを実行し、その結果を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
図74は、自治体が管理する高等学校の改築改修にかかるコストの現在までの実績値と、図51〜図71を用いて説明したようにして、高等学校の一部を建て替える場合に適正に余剰の教室を減らすことに加えて、上述したように、プール等の学校施設を複数の高等学校で共有化する計画を加えた場合に算出されたコスト予測を示す棒グラフである。プール等の学校施設を複数の高等学校で共有化する計画を加えることにより、例えば、図74に示されるように、余剰の教室を減らさないベース案に対して、今後の高等学校の改築改修にかかるコストを、図72を用いて説明した場合よりもさらに減少することが可能となる。
また、会計連動部21は、学校施設の機能向上にかかるコストを会計における資本的支出に連動させるとともに、学校施設の機能回復にかかるコストを会計における修繕費に連動させることができるので、画面情報生成部11Eは、上述したコストを示す棒グラフに代わって、図75に示されるように、学校施設の機能回復、すなわち老朽化対策としての修繕や更新にかかるコストと、学校施設の機能や環境向上にかかるコストとを区別可能なグラフを生成することが可能である。
次に、図76〜図90を参照して、ある自治体が管理する小学校を例として、生徒数が増減する場合であってもフレキシブルに対応することを目的として、タイプ分類に基づいた建て替え時の見直し基準の制定によるモデルケースの作成の一例について説明する。
例えば、クライアント端末3の操作者が、所定の自治体内の小学校をタイプ分類することを指令し、クライアント端末3から、ネットワーク2を介して、タイプ分類の基軸として、(1)平成29年度における学級数の規模、(2)児童生徒数の平成29年度から平成34年度までの動向予測、の2つを、それぞれの分類の内容や閾値とともに供給された場合、分類情報取得部51は、通信装置5を介して、これらの情報を取得し、タイプ分類処理部52に供給する。
タイプ分類処理部52は、まず、学級数の規模が大規模であるか標準規模であるか小規模であるかを分類する。タイプ分類処理部52は、それぞれに分類された中で、児童数が今後も増加する傾向であるか、横ばいから減少の傾向であるかに基づいて分類する。そして、タイプ分類処理部52は、その分類結果を、例えば、タイプA,タイプB・・・タイプEと分け、それぞれのタイプに分類された小学校名を、分類結果として、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
図76に、画面情報生成部11Eにより生成された、2つのタイプ分類の基軸、および、これらのタイプ分類の基軸に基づいて分類されたタイプA〜タイプEの小学校の数を一覧することができるフォーマットの例を示す。この例においては、タイプAとして分類された、学級数規模が大規模、かつ、児童数が今後も増加する傾向である小学校は1校である。また、タイプBとして分類された、学級数規模が大規模、かつ、児童数が横ばいから減少する傾向である小学校は6校である。また、タイプCとして分類された、学級数規模が標準規模、かつ、児童数が今後も増加する傾向である小学校は7校である。また、タイプDとして分類された、学級数規模が標準規模、かつ、児童数が横ばいから減少する傾向である小学校は4校である。そして、タイプEとして分類された、学級数規模が小規模、かつ、児童数が今後も増加する傾向である小学校は2校である。
次に、図77に、タイプAとして分類された、学級数規模が大規模、かつ、児童数が今後も増加する傾向である小学校の児童数の過去の推移および将来の推移予測を示す折れ線グラフを示す。
画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、児童数の過去の推移および将来の推移予測を示す折れ線グラフを作成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、記憶装置6Bの保全方針情報記憶部34に記憶されているタイプAとして分類された小学校の児童生徒数の推移を示す情報を抽出させる。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに対して、保全方針情報記憶部34から抽出されたタイプAとして分類された小学校の児童生徒数の推移を示す数値に基づいて折れ線グラフを描画し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させる。クライアント端末3の使用者は、タイプAとして分類された小学校においては、図77中αのラインで示される年に児童数が最小化し、図77中βのラインで示される年からγのラインで示される年までの間、児童数が急増し、その後、児童数が減少することを容易に認識することが可能となる。
次に、図78に、タイプAとして分類された、学級数規模が大規模、かつ、児童数が今後も増加する傾向である小学校の児童数に関連する詳細情報の項目により構成されるフォーマットの一例を示す。
画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、児童数に関連する詳細情報、すなわち、学校名、延べ床面積、体育館を除く延べ床面積、建築年度、経過年数、児童数のピーク時・最小時・現在値・将来予測値のそれぞれの値、学級数のピーク時・最小時・現在値・将来予測値のそれぞれの値、学級数の変化を表す値、校舎やグラウンドの広さや児童一人あたりに換算した面積を示す値、転用可能・余剰等の教室数などの各項目により構成されるフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、記憶装置6Bの各部に保存されている、フォーマットの各項目に対応するタイプAとして分類された小学校の児童数に関連する詳細情報を抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに対して、記憶装置6Bの各部から抽出された、または、演算部53において演算された数値を挿入して、図78に示されるデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させる。クライアント端末3の使用者は、タイプAとして分類された小学校においては、老朽化が進んでいるにもかかわらず、今後すぐに児童数が急増し、教室数が不足し、児童一人あたりの各面積が非常に小さくなってしまう可能性を有することを容易に認識することが可能となる。
次に、図79に、タイプBとして分類された、学級数規模が大規模、かつ、児童数が横ばいもしくは減少傾向である小学校の児童数の過去の推移および将来の推移予測を示す折れ線グラフを示す。
画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、児童数の過去の推移および将来の推移予測を示す折れ線グラフを作成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、記憶装置6Bの保全方針情報記憶部34に記憶されているタイプBとして分類された小学校の児童生徒数の推移を示す情報を抽出させる。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに対して、保全方針情報記憶部34から抽出されたタイプBとして分類された小学校の児童生徒数の推移を示す数値に基づいて折れ線グラフを描画し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させる。クライアント端末3の使用者は、タイプBとして分類された小学校においては、図79中αのラインで示される年に児童数が最小化し、図79中αのラインで示される年からβのラインで示される年までの間は、児童数が増加または横ばいであり、図79中βのラインで示される年からγのラインで示される年までの間、児童数が減少または横ばいに推移し、その後、児童数が減少することを容易に認識することが可能となる。
次に、図80に、タイプBとして分類された、学級数規模が標準規模、かつ、児童数が横ばいもしくは減少傾向である小学校の児童数に関連する詳細情報の項目により構成されるフォーマットの一例を示す。
画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、児童数に関連する詳細情報、すなわち、学校名、延べ床面積、体育館を除く延べ床面積、建築年度、経過年数、児童数のピーク時・最小時・現在値・将来予測値のそれぞれの値、学級数のピーク時・最小時・現在値・将来予測値のそれぞれの値、学級数の変化を表す値、校舎やグラウンドの広さや児童一人あたりに換算した面積を示す値、転用可能・余剰等の教室数などの各項目により構成されるフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、記憶装置6Bの各部に保存されている、フォーマットの各項目に対応するタイプBとして分類された小学校の児童数に関連する詳細情報を抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに対して、記憶装置6Bの各部から抽出された、または、演算部53において演算された数値を挿入して、図80に示されるデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させる。クライアント端末3の使用者は、タイプBとして分類された小学校においては、老朽化が進む棟が各校にあり、児童数に対して運動場が狭い小学校があること、今後、余裕教室が発生する可能性が高いことなどを容易に認識することが可能となる。
次に、図81に、タイプCとして分類された、学級数規模が標準規模、かつ、児童数が今後も増加する傾向であるである小学校の児童数の過去の推移および将来の推移予測を示す折れ線グラフを示す。
画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、児童数の過去の推移および将来の推移予測を示す折れ線グラフを作成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、記憶装置6Bの保全方針情報記憶部34に記憶されているタイプCとして分類された小学校の児童生徒数の推移を示す情報を抽出させる。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに対して、保全方針情報記憶部34から抽出されたタイプCとして分類された小学校の児童生徒数の推移を示す数値に基づいて折れ線グラフを描画し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させる。クライアント端末3の使用者は、タイプCとして分類された小学校においては、図81中αのラインで示される年に児童数が最大化し、βのラインで示される年まで減少して、最小となり、βのラインで示される年からγのラインで示される現在までの間、増加傾向であるI小学校を除いて横ばい状態であったものが、γのラインで示される現在からδのラインで示される年まで、児童数が増加し、その後、児童数が減少することを容易に認識することが可能となる。
次に、図82に、タイプCとして分類された、学級数規模が大規模、かつ、児童数が横ばいもしくは減少傾向である小学校の児童数に関連する詳細情報の項目により構成されるフォーマットの一例を示す。
画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、児童数に関連する詳細情報、すなわち、学校名、延べ床面積、体育館を除く延べ床面積、建築年度、経過年数、児童数のピーク時・最小時・現在値・将来予測値のそれぞれの値、学級数のピーク時・最小時・現在値・将来予測値のそれぞれの値、学級数の変化を表す値、校舎やグラウンドの広さや児童一人あたりに換算した面積を示す値、転用可能・余剰等の教室数などの各項目により構成されるフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、記憶装置6Bの各部に保存されている、フォーマットの各項目に対応するタイプCとして分類された小学校の児童数に関連する詳細情報を抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに対して、記憶装置6Bの各部から抽出された、または、演算部53において演算された数値を挿入して、図82に示されるデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させる。クライアント端末3の使用者は、タイプCとして分類された小学校においては、老朽化が進む学校があり、今後、教室数の余裕がなくなると予測されるにもかかわらず、校地面積に余裕がない小学校があることを容易に認識することが可能となる。
次に、図83は、各小学校における児童数最小時から現在までの児童数と学級数の変化を、対応する自治体の地図上に表したものである。
クライアント端末3の使用者が、図76を用いて説明したタイプ分類が行われた各小学校における児童数最小時から現在までの児童数と学級数の変化を、対応する自治体の地図上に表示させることを指令した場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、クライアント端末3からの指令に基づいたデータを生成するためのフォーマットを読み出す。そして、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、活用検討関連情報記憶部72に記憶されている図49を用いて説明した活用検討シートの情報、施設情報記憶部31に記憶されている、各小学校の学級数に関する情報、各施設の住所情報や、位置を示した地図情報、保全方針情報記憶部34に記憶されている、各小学校の児童数の推移を示す情報を抽出させる。更に、画面情報生成部11Eは、施設情報記憶部31に記憶されている各小学校の学級数に関する情報に基づいて、各小学校の学級数の増減数の演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。そして、画面情報生成部11Eは、取得した各情報に基づいて、図83に示されるように、児童数の増減の状態に基づいて色分けされた地図情報を生成する。
クライアント端末3の使用者が、図83を用いて説明した地図上の所定の小学校の棟の保有状況と、それぞれの棟に関する工事履歴を含む詳細情報を表示させることを指令した場合、画面情報生成部11Eは、小学校の棟の保有状況と、それぞれの棟に関する工事履歴を含む詳細情報に対応する項目から構成されたフォーマットをフォーマット記憶部71から読み出す。そして、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、図84に示されるような、所定の小学校の棟の保有状況と、それぞれの棟に関する工事履歴を含む詳細情報を生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信させ、表示させる。図84のフォーマットにより示されるデータを参照したクライアント端末3の使用者は、例えば、この小学校においては、南東校舎の増築と各校舎の空調設備が整備されたときから、あまり期間が経過していないことが分かる。クライアント端末3の使用者は、それぞれの小学校における棟の保有状況や工事履歴を参照し、緊急に増築や改修を行う必要がある箇所と、工事の緊急性が低い個所とを容易に把握することなどが可能となる。建物の建て替えを行う場合、劣化の進んだ部分から優先的に建て替えを行うほうが、長期的な維持管理コストを削減することが容易となる。したがって、クライアント端末3の使用者は、表示された情報を参照し、必要に応じて、シミュレーション部22を用いた今後の長寿命化計画のコストを再算出するシミュレーションの実行を指令することなどにより、いずれの棟を建て替えることにより、施設の管理運用に必要なコストを削減することが可能かを容易に検討することができる。
次に、図85は、各小学校における現在から将来のある時点までの児童数と学級数の変化予測を、対応する自治体の地図上に表したものである。
クライアント端末3の使用者が、図76を用いて説明したタイプ分類が行われた各小学校における現在から将来のある時点までの児童数と学級数の変化予測を、対応する自治体の地図上に表示させることを指令した場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、クライアント端末3からの指令に基づいたデータを生成するためのフォーマットを読み出す。そして、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、活用検討関連情報記憶部72に記憶されている図49を用いて説明した活用検討シートの情報、施設情報記憶部31に記憶されている、各小学校の学級数に関する情報、各施設の住所情報や、位置を示した地図情報、保全方針情報記憶部34に記憶されている、各小学校の児童数の推移を示す情報を抽出させる。更に、画面情報生成部11Eは、施設情報記憶部31に記憶されている各小学校の学級数に関する情報に基づいて、各小学校の学級数の増減数の演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。そして、画面情報生成部11Eは、取得した各情報に基づいて、図85に示されるように、児童数の増減の状態に基づいて色分けされた地図情報を生成する。
クライアント端末3の使用者は、図83を用いて説明した地図情報に記載されたデータと、図85を用いて説明した地図情報に記載されたデータとを比較することにより、例えば、今後児童数が変化すると予測される地域は、過去のそれぞれの地域における変化と全く異なる場合が多いことを容易に把握することができる。そのため、この自治体で管理される小学校の今後の長寿命化計画は、これまでの児童数増加時の対応のための対策の継続では対応することができず、今後の児童学級数の変化予測に則し、かつ、近隣施設との連携や共有化などの施策を積極的に取り入れる必要があることが容易に理解可能となる。
なお、近隣施設との連携や、合併、併合、または、共有化などの施策を取り入れる場合においても、劣化の進んだ部分から優先的に廃止し、他の施設との合併併合や共有化を行うほうが、長期的な維持管理コストを削減することが容易となる。したがって、クライアント端末3において、近隣施設との連携や、合併、併合、または、共有化などの施策を取り入れることを検討する小学校名と、その小学校の建物躯体等の劣化状況の情報の表示が指令された場合、画面情報生成部11Aは、図40〜図45に示した建物情報一覧表を表示するために、第1の抽出部11Bおよび第2の抽出部11Cを制御して、記憶装置6の施設情報記憶部31、劣化情報記憶部32、評価情報記憶部33、および、保全方針情報記憶部34に記憶されている情報から所望の情報を抽出し、もしくはこれらの抽出した情報に基づいて所望の情報を算出して画面情報を生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、表示された情報を参照し、必要に応じて、シミュレーション部22を用いた今後の長寿命化計画のコストを再算出するシミュレーションの実行を指令することなどにより、いずれの棟を建て替えることにより、施設の管理運用に必要なコストを削減することが可能かを容易に検討することができる。
また、管理運営する施設のうち、劣化が進んだ施設、すなわち、改修に大きなコストがかかる施設を抽出することにより、その施設を含む地域での近隣施設との連携や、合併、併合、または、共有化などの施策を優先的に行うことを検討するものとしてもよい。例えば、画面情報生成部11Aは、第1の抽出部11Bおよび第2の抽出部11Cを制御して、記憶装置6の施設情報記憶部31、劣化情報記憶部32、評価情報記憶部33、および、保全方針情報記憶部34に記憶されている情報から、該当する施設の使用目的や使用状況などの情報を読み出すとともに、その近辺に設けられている、類似、または、同一の使用目的の施設を抽出し、抽出された施設の各種情報を読み出し、これらの情報、もしくはこれらの情報に基づいて所望の情報を算出して画面情報を生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、表示された情報を参照し、必要に応じて、シミュレーション部22を用いた今後の長寿命化計画のコストを再算出するシミュレーションの実行を指令することなどにより、いずれの施設に対して、隣施設との連携や、合併、併合、または、共有化などの施策を優先的に行えば、施設の管理運用に必要なコストを削減することが可能かを容易に検討することができる。
図86を参照し、ある小学校のタイプ分類に基づく適正案の数値とその小学校の現状値とを比較することにより立案される、その小学校に適した見直し案について説明する。
図76を用いて説明したように、この自治体において管理されている小学校のタイプ分類が行われ、上述した場合と同様に、タイプ分類結果に基づいて、各タイプにおける建て替え時の適正案が制定される。クライアント端末3の使用者は、図79〜図84を用いて説明したようにして、各種情報の生成を資産マネジメント支援装置4Bに指令する。クライアント端末3の使用者は、資産マネジメント支援装置4Bにより生成され、送信されて表示されたデータを参考に、長寿命化改修に関する様々な検討を行う。
クライアント端末3の使用者が、図76を用いて説明したタイプ分類が行われた各小学校のうちの所定の小学校が属するタイプの諸室に関する繊細な適正案の内訳、すなわち、管理諸室、教室、特別教室、その他諸室に関する適正案と、対応する小学校が保有する諸室の現状を示す数値を比較し、対応する小学校の諸室に関する見直し案を作成するためのフォーマットの表示を指令した場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、クライアント端末3からの指令に基づいたデータを生成するためのフォーマットを読み出す。そして、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。また、このフォーマットには、これらの情報を参照したクライアント端末3の使用者が、対応する小学校の諸室に関する見直し案を作成するための数値を新たに記入するために空欄となっている「見直し案」の各項目が、あらかじめ用意されている。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。
クライアント端末3の使用者が、「見直し案」の各項目の数値を新たに記入した図86のデータは、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信される。資産マネジメント支援装置4Bの情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した「見直し案」の各項目の数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
次に、図87および図88を参照して、学校周辺施設との連携として、特別教室やプールなどの共用化や、学校施設を地域の拠点として活用することなどの検討を行う場合の一例について説明する。
図87は、所定の小学校とその近隣の地域施設やスポーツ施設等が保有している施設の内容と、それらの維持管理や運営に関する情報を一覧するためのフォーマットであり、図88は、所定の小学校とその近隣の地域施設やスポーツ施設等が保有している施設の平日及び休日の活用状況を示すためのフォーマットである。クライアント端末3の使用者が、これらのフォーマットの表示を指令した場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、クライアント端末3からの指令に基づいたデータを生成するためのフォーマットを読み出す。そして、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、活用検討関連情報記憶部72に記憶されている、図49および図50を用いて説明したような活用検討シートの情報などの情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令する。画面情報生成部11Eにより生成されたデータは、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信され、表示される。クライアント端末3の使用者は、これらの情報を参照し、対応する小学校との共有化が可能な施設等の検討を行うことができる。
シミュレーション部22は、クライアント端末3の使用者による小学校と他の施設との共有化の検討結果を用いて、共有化を行った場合のコストのシミュレーションを実行し、その結果を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。クライアント端末3の使用者が、シミュレーションの結果得られたコスト等の情報の表示を指令した場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、上述したようなコスト等を示す棒グラフなどを生成するためのフォーマットを読み出す。そして、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、クライアント端末3の使用者が所望する情報の生成に必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させ、対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令し、対応する情報を生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信する。
次に、劣化状況の把握と回復のみにとどまらない長寿命化改修の計画について、小学校の改修後の教室配置および校舎配置の例について説明する。上述したように、施設情報記憶部31には、図51に示されるような、各施設の建築時(または、例えば、施設が学校である場合は、児童生徒数が最多であった時点)の各フロア平面図および利用内容の情報、および、図52に示されるような、各施設の現在における各フロア平面図および利用内容の情報が記憶されている。クライアント端末3の使用者は、施設情報記憶部31に記憶されている図51および図52に示される平面図の送信を資産マネジメント支援装置4に指令して、これらの平面図を表示させて、改修後の教室配置および校舎配置を検討することができる。
例えば、この小学校においては、上述した各種検討の結果、児童数学級数が今後減少することが予測され、今後の学校の在り方を踏まえて、例えば、少人数教室、多目的ルーム、特別支援学級用の教室などの、これまでにない機能に対応する必要があるものとして説明する。そして、実際の改修工事の期間中にも、小学校の運営に支障をきたすようなことがあってはならない。
そこで、クライアント端末3の使用者が、上述した資産マネジメント支援装置4Bが実行する処理に支援されて策定する小学校の改修後の教室配置および校舎配置の改善案の例を、図89および図90に示す。なお、図89の各階の平面図は、最終的な校舎と、その教室配置を示すものであり、図90の校舎配置図における南棟と管理棟に対応する。図51および図52の平面図に示されるように、現状の校舎配置は、南棟西側校舎、南棟、および管理棟から成り立っている。
まず、第I期改修として、仮設棟を建築し、実際の改修工事の期間中にも、小学校の運営に支障をきたすようなことがないように、管理棟の機能を仮設棟に移したのち、管理棟の長寿命化改修を実施する。この際、管理棟には、給排水設備が必要な理科室、家庭科室、図工室を整備する。
次に、第II期改修として、教室数の確保のため仮設棟を増築したのちに、南棟を解体し、改築工事を行う。その後、南棟西側を解体し、遊び場等、他の目的に利用可能な用地とする。
管理棟の長寿命化改修および南棟の改築が終了したのち、この小学校においては、図89に示されるように、各学年の教室は、まとまって配置され、少人数クラス用の教室、多目的室として利用可能なランチルーム、プレイルーム、特別支援学級用の教室等などが配置されることにより、小学校の学習環境が向上する。
次に、図91および図92のフローチャートを参照して、資産マネジメント支援装置4Bが実行するタイプ分類を用いた処理について説明する。
ステップS31において、分類情報取得部51は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から、分類を行うべき施設群の指定を受け、タイプ分類処理部52に供給する。
ステップS32において、分類情報取得部51は、施設群をタイプ分類するためのタイプ分類の基軸となる分類情報および、その分類の内容や閾値などのタイプ分類を行うために必要な情報を、ネットワーク2を介してクライアント端末3から取得し、タイプ分類処理部52に供給する。
ステップS33において、タイプ分類処理部52は、図93または図108を用いて後述するタイプ分類処理を実行する。
ステップS34において、画面情報生成部11Eは、ネットワーク2を介してクライアント端末3から供給された情報に基づいて、クライアント端末3が表示を指令するフォーマットの指定を受け、フォーマット記憶部71から読み出す。
ステップS35において、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報の生成に必要な情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させる。第3の抽出部11Dは、画面情報生成部11Eの制御に従って、フォーマットに対応する情報の生成に必要な情報を、記憶装置6Bの各部から抽出し、画面情報生成部11Eに供給する。
ステップS36において、画面情報生成部11Eは、フォーマットに対応する情報の生成に必要な演算処理を演算部53に指令する。演算部53は、画面情報生成部11Eの制御に従って、フォーマットに対応する情報の生成に必要な演算処理を実行し、演算結果を画面情報生成部11Eに供給する。
ステップS37において、画面情報生成部11Eは、第3の抽出部11Dおよび演算部53から供給されたデータを用いて、フォーマットに対応する情報を生成する。
ステップS38において、画面情報生成部11Eは、ステップS37において生成したフォーマットに対応する情報を、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信して表示させる。
ステップS39において、情報記憶処理部12は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から送信される情報に基づいて、送信したフォーマットの空欄に対応する情報の供給を受けたか否かを判断する。ステップS39において、送信したフォーマットの空欄に対応する情報の供給を受けていないと判断された場合、処理が終了される。
ステップS39において、送信したフォーマットの空欄に対応する情報の供給を受けたと判断された場合、ステップS40において、情報記憶処理部12は、ネットワーク2を介してクライアント端末3から供給された、クライアント端末3の使用者が入力した情報を、記憶装置6Bの各部の対応する情報と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させ、処理が終了される。
このような処理により、資産マネジメント支援装置4Bは、クライアント端末3の指令に基づいて、記憶装置6Bの各部において紐付けされて記憶されている情報を用いて、所定のフォーマットに対応する情報を生成することが可能となる。
次に、図93のフローチャートを参照して、図91のステップS33において実行される処理の第1の例であるタイプ分類処理1について説明する。
ステップS61において、タイプ分類処理部52は、処理を行うタイプ分類の基軸の順番を示すnを、n=1とする。
ステップS62において、タイプ分類処理部52は、クライアント端末3からの要求に応じた所定の施設群を、n番目のタイプ分類の基軸となる分類情報に基づいて、現在の各分類内において、タイプ分類する。すなわち、タイプ分類処理部52は、n=1である場合、施設群全てを、1番目のタイプ分類の基軸を用いて分類し、n≠1である場合、すでに分類されているそれぞれのグループ内を、n番目のタイプ分類の基軸を用いて分類する。
ステップS63において、タイプ分類処理部52は、全ての分類基軸による分類が終了したか否かを判断する。
ステップS63において、全ての分類基軸による分類が終了していないと判断された場合、ステップS64において、タイプ分類処理部52は、処理を行うタイプ分類の基軸の順番を示すnを、n=n+1とし、処理は、ステップS62に戻り、それ以降の処理が繰り返される。
ステップS63において、全ての分類基軸による分類が終了したと判断された場合、ステップS65において、タイプ分類処理部52は、分類結果に分類名を付け、分類結果を、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給し、処理は、図91のステップS34に進む。
このような処理により、例えば、図54および図55、図57、または、図76を用いて説明したようにして、複数の分類基軸に基づいた詳細なタイプ分類を行うことができる。
図76〜図90を参照して、タイプ分類の基軸に施設の将来における使用状況予測が含まれている場合、すなわち、ある自治体が管理する小学校を例として、タイプ分類の基軸として、児童生徒数の平成29年度から平成34年度までの動向予測を含ませることにより、生徒数が増減する場合であってもフレキシブルに対応可能な、建て替え時の見直し基準の制定によるモデルケースの作成の一例について説明したが、タイプ分類の基軸には、これ以外にも、例えば、過去の所定の時期から現在、または、生徒数等のピーク時から現在などの、施設の使用状況の時間による変化を示す条件、例えば、生徒数や学級数等の変化などを示す条件を含めることも可能である。
また、タイプ分類の基軸を変更または追加することにより、一度策定した改善プランを、再策定することも可能である。更に、改善プランの策定においては、タイプ分類によって得られる各タイプ分類の見直し基準を参考として、各種見直し目標値を決定するのみならず、該当施設に対して将来求められる検討課題や機能等を鑑みて、各種見直し目標値を決定することも可能である。
図94〜図96を用いて、施設の使用状況の時間による変化を示す条件がタイプ分類の基軸に含まれ、更に、該当施設に対して将来求められる機能等を鑑みて各種見直し目標値が決定される場合の改善プランの策定について説明する。
ここでは、図57〜図71を用いて説明した場合と同一の自治体内の高等学校をタイプ分類するにあたり、新たに、施設の使用状況の時間による変化を示す条件がタイプ分類の基軸に含まれた場合を例として、タイプ分類の基軸(1)学校種が高等学校であるか特別支援学校であるか、において、高等学校として分類された部分について説明する。また、該当する自治体においては、将来、高等学校の教育には、図書室、視聴覚室、コンピュータ室などの機能が一体となった、または、一体として相互に使用可能なメディアセンターが不可欠だと考えられており、また、敷地面積に余剰が大きい場合は、効率的に各種施設を配置することにより、余剰敷地の将来の売却等を検討可能とすることが求められているものとする。
まず、施設の使用状況の時間による変化を示す条件が新たにタイプ分類の基軸に含まれた場合のタイプ分類と、その結果について説明する。
例えば、クライアント端末3の操作者が、図57〜図71を用いて説明した場合と同一の自治体内の高等学校をタイプ分類することを指令し、クライアント端末3から、ネットワーク2を介して、タイプ分類の基軸として、図57を用いて説明したタイプ分類の基軸の(1)学校種が高等学校であるか特別支援学校であるか、学校種が高等学校である場合においては、(2)独立校であるか分校であるか、(3)主要課程が全日制であるか定時制であるか、(4)メイン学科はいずれであるか、(5)学校規模、の5つに対して、更に(6)生徒数のピーク時から現在における増減率、(7)学級数のピーク時から現在における増減数、が加えられた、合計7種類が、それぞれの分類の内容や閾値とともに供給された場合、分類情報取得部51は、通信装置5を介して、これらの情報を取得し、タイプ分類処理部52に供給する。
タイプ分類処理部52は、図93のフローチャートを用いて説明した処理により、タイプ分類を用いた処理を実行する。すなわち、タイプ分類処理部52は、図57を用いて説明した場合と同様にして、まず、学校種が高等学校であるか特別支援学校であるかを分類する。タイプ分類処理部52は、学校種が高等学校であると分類された中で、独立校であるか分校であるかで分類し、更に、その分類内で、主要課程が全日制であるか定時制であるかで分類し、更に、その分類内でメイン学科ごとに分類し、更に、その分類内で学校規模の指定された範囲ごとに高等学校を分類する。また、タイプ分類処理部52は、それぞれ分類された中で、生徒数のピーク時から現在における増減率の指定された範囲ごとに分類し、更に、それぞれの分類の中で、学級数のピーク時から現在における増減数の指定された範囲ごとに分類を行う。
タイプ分類処理部52は、14タイプに分類された分類結果を、例えば、タイプA,タイプA´,タイプB、タイプB´・・・タイプJとし、それぞれのタイプに分類された高等学校名を、分類結果として、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
図94に、画面情報生成部11Eにより生成された、タイプ分類の基軸(1)で高等学校に分類されたタイプA〜タイプJの14タイプの分類を一覧するフォーマットの一例を示す。図94に例示したフォーマットにおいては、タイプ分類の基軸と指定された内容、すなわち、(2)独立校であるか分校であるか、(3)主要課程が全日制であるか定時制であるか、(4)メイン学科は普通科、農業科、水産科、工業科、商業科、総合学科のいずれであるか、(5)学校規模は大規模であるか標準機規模であるか小規模であるか、(6)生徒数のピーク時から現在における増減率、(7)学級数のピーク時から現在における増減数、という分類内容が記載され、それぞれのタイプに含まれる学校数が記載されている。また、このフォーマットには、それぞれのタイプの特徴を示す数値として、例えば、現在の生徒数および学級数の平均値が記載されている。画面情報生成部11Eは、演算部53を制御して、記憶装置6Bの各部に記憶された情報から、生徒数および学級数の平均値を演算させ、演算結果を取得して、フォーマットの対応する部分に記載する。
また、画面情報生成部11Eは、更に、演算部53を制御して、記憶装置6Bの各部に記憶された情報から、生徒数および学級数の最大値または最小値、校舎・屋体・校地の面積などの最大値や最小値、また、必要に応じて平均値などを演算させて、図58を用いて説明した場合と同様のフォーマット内に記載することも可能である。画面情報生成部11Eは、このようにして生成したデータを、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。
クライアント端末3において表示された図94のデータを参照した使用者から、例えば、所定のタイプにおける詳細情報の表示が指令されたとき、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、所定のタイプにおける詳細情報に対応するフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットの各項目に対応する数値を挿入して生成したデータを、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。これらのフォーマットには、クライアント端末3において表示されたデータを参照した使用者が新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれていてもよい。
すなわち、画面情報生成部11Eは、タイプ分類処理部52により分類された、例えば、タイプA,タイプA´,タイプB、タイプB´・・・タイプJの新たな14種類の分類結果に基づいて、図59〜図64を用いて説明した場合と同様のフォーマットを用いて、建て替え時のモデルケースとなる「建て替え時の見直し基準」を制定する処理を支援するための情報を生成することができる。画面情報生成部11Eは、このようにして生成したデータを、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。
次に、図57〜図71を用いて説明した場合において10種類のタイプに分類されていたうちのタイプBに分類されていた所定の高等学校×××が、図94を用いて説明した、施設の使用状況の時間による変化を示す条件が新たに基軸として加えられた14種類のタイプ分類において、(6)生徒数のピーク時から現在における増減率、が大幅減であり、(7)学級数のピーク時から現在における増減数、が大幅減であるタイプB´に分類された場合の、建て替え時のモデルケースとなる「建て替え時の見直し基準」の制定を支援する処理について説明する。
クライアント端末3において、図94を用いて説明した、タイプA,タイプA´,タイプB、タイプB´・・・タイプJに分類された場合における一覧データが表示された場合、そのデータを参照した使用者は、例えば、所定のタイプにおける詳細情報の表示を指令することができる。例えば、タイプB´に対応する詳細情報の表示が指令されたとき、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図59〜図64を用いて説明した場合と同様のフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要な、タイプB´に分類された高等学校に関するデータを、記憶装置6Bの各部から抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータの演算を、演算部53に指令し、演算結果を取得する。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットの各項目に対応する数値を挿入して生成したデータを、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。これらのフォーマットには、上述した場合と同様に、クライアント端末3において表示されたデータを参照した使用者が新たに数値や情報を記入可能な項目が含まれている。
クライアント端末3の使用者は、図59〜図64を用いて説明した場合と同様にして、タイプB´に対応する高等学校の建て替え時のモデルケースとなる「建て替え時の見直し基準」を制定することができる。
また、このとき、クライアント端末3の使用者は、タイプ分類によって得られる、例えば、校舎数、生徒数、学級数、校舎や敷地の面積等のタイプB´における平均値、最小値、最大値等の値を参考として、各種見直し基準を決定するのみならず、該当施設に対して将来求められる検討課題や機能等を鑑みて、各種見直し基準を決定することも可能である。
例えば、クライアント端末3の使用者は、図64を用いて説明した場合と同様に、図95に示されるような、タイプB´に分類される高等学校の教室の保有状況についての詳細情報データを参照することができる。クライアント端末3の使用者は、図95に示される情報を確認することにより、タイプB´は、タイプ分類の基軸(6)生徒数のピーク時から現在における増減率、が大幅減であり、タイプ分類の基軸(7)学級数のピーク時から現在における増減数、が大幅減であるため、教室が余剰である傾向が強く、各校とも、各教科の準備室に割り当てられている居室が多いことが分かる。
また、該当する自治体において、将来、高等学校の教育には、図書室、視聴覚室、コンピュータ室などの機能が一体となった、または、一体として相互に使用可能なメディアセンターが不可欠だと考えられている場合、クライアント端末3の使用者は、図95の教室の保有状況についての詳細情報データを参照して、タイプB´に分類された高等学校の教室の室数および面積の見直し基準を制定するに当たり、メディアセンターとして機能させるに足るように、例えば、図書室や視聴覚室等のメディアセンターとして機能する各教室の室数および面積の見直し基準を制定することができる。
クライアント端末3の使用者が、それぞれの項目において、「建て替え時の見直し基準」となる数値を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した「建て替え時の見直し基準」となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
このように、タイプ分類の基軸が変更された場合においても、資産マネジメント支援装置4Bは、図59〜図64を用いて説明した場合と同様に、所定のフォーマットに対応した情報を、記憶装置6Bの各部に紐付けされて記憶されている情報から抽出するとともに、必要に応じて演算し、一覧表示するためのデータを生成することにより、クライアント端末3の使用者が、それぞれのタイプ(ここでは、タイプB´)の「建て替え時の見直し基準」となる数値を、容易に制定することが可能となる。また、このとき、クライアント端末3の使用者は、タイプ分類によって得られる各タイプの平均値、最小値、最大値等の値を参考として、各種見直し基準を決定するのみならず、該当施設に対して将来求められる検討課題や機能等を鑑みて、各種見直し基準を決定することができる。また、クライアント端末3の使用者により「建て替え時の見直し基準」となる数値として制定された値は、記憶装置6Bに記憶されている各情報の各項目と紐付けられて、活用検討関連情報記憶部72に記憶される。
次に、タイプB´に分類された所定の高等学校×××の、建て替え時の見直し目標の制定を支援する処理について説明する。
クライアント端末3の使用者は、図65〜図70を用いて説明した場合と同様にして、例えば、図95を用いて説明したタイプB´に含まれる所定の高等学校×××の建て替え時の見直し目標を制定することができる。すなわち、資産マネジメント支援装置4Bは、タイプ分類の基軸が変更された場合においても、フォーマット記憶部71に記憶される図65〜図70を用いて説明したフォーマットに対して、クライアント端末3の使用者により制定され、活用検討関連情報記憶部72に記憶された値を挿入し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。これにより、クライアント端末3の使用者は、新たに設定されたタイプ分類において14種類に分類されたうちのタイプB´の見直し基準と高等学校×××現状の値とを比較して、高等学校×××の改築時の各種目標値を容易に制定することができる。
クライアント端末3の使用者が、それぞれの項目において、高等学校×××の建て替え時の見直し目標となる数値を新たに記入し、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信した場合、情報記憶処理部12は、クライアント端末3の使用者が入力した、高等学校×××の建て替え時の見直し目標となる数値を、各項目と紐付けて、活用検討関連情報記憶部72に記憶させる。
また、該当する自治体においては、敷地面積に余剰が大きい場合には、効率的に各種施設を配置することにより、余剰面積部分を集約して運動場等の面積を拡大し、将来的に余剰敷地の売却等を検討可能とすることが求められている。クライアント端末3の使用者は、例えば、図63を用いて説明した場合と同等のデータを参照して、高等学校×××の現状の運動場敷地面積が、基準に基づく見直し目標値と比較して余剰が大きい場合、効率的に各種施設を配置することにより、余剰敷地の売却等を検討するべきであることを容易に認識することができる。
このように、例えば、過去の所定の時期から現在、または、生徒数等のピーク時から現在などの、施設の使用状況の時間による変化を示す条件を含めて、タイプ分類の基軸を変更または追加することにより、一度策定した改善プランを、容易に再策定することができる。更に、改善プランの策定においては、タイプ分類によって得られる各タイプ分類の見直し基準を参考として、各種見直し目標値を決定するのみならず、該当施設に対して将来求められる検討課題や機能等を鑑みて、各種見直し目標値を決定することも可能である。
これにより、資産マネジメント支援装置4Bは、高等学校×××の一部を建て替える場合に、例えば、図96に示されるようにして、該当施設の余剰校舎面積を削減するのに加えて、将来求められる機能であるメディアセンターを備えたメイン校舎2を建築するとともに、検討課題に基づいて、サブ校舎の解体後、その位置に、テニスコートを移動することにより、運動場を集約させて、将来の余剰敷地の売却等に備える新たな改善プランを、クライアント端末3の使用者が容易に策定することを支援することができる。
このように、タイプ分類の基軸を追加または変更することにより、図57を用いて説明した場合と同一の自治体内の高等学校をタイプ分類した結果、図57を用いて説明した場合に10種類であったタイプ分類が、14種類となった。また、このタイプ分類の基軸には、施設の使用状況の時間による変化を示す条件が新たに加えられているので、例えば、施設の開設時や、施設利用のピーク時などに対する現在における施設の利用状況の変化の状況を加味したタイプ分類を行うことが可能となる。したがって、資産マネジメント支援装置4Bは、タイプ分類の基軸に、施設の使用状況の時間による変化を示す条件が含まれることにより、施設の使用状況の時間による変化により発生した、施設の余剰部分や不足部分に着目した改善案の策定の支援を行うことができる。
次に、図97〜図108を参照して、タイプ分類の基軸の決定方法と、タイプ分類処理の異なる例について説明する。
図97は、ある自治体における高等学校の生徒数の変化を示すグラフである。
この自治体において、高等学校の全体の生徒数は、50年間で約45%減少していることが分かる。特に、農業科の減少率は、50年間で80%以上である。また、50年前と異なり、水産科および総合科の高等学校が設立され、学校数は2校増加している。
自治体が管理する高等学校を保持運営していくにあたり、現状の把握に加えて、さまざまな変化要因を多面的に把握する必要がある。そのためには、例えば、校種別分類の変化、これらの高等学校の規模の分類、生徒数学級数の変化、地域変化、および、各校の活用状況の変化などを確認していく必要がある。
校種別分類の変化について実態把握するためには、校種および学科別に、棟構成や諸室構成を明確化する必要がある。該当する自治体において、校種および学科別に、棟構成や諸室構成を確認するためのフォーマットの一例を図98に示す。図98のフォーマットにおいては、校種として、高等学校と特別支援学校とが分類され、更に、高等学校は、普通科高校、農業高校、水産高校、工業高校、商業高校、総合高校に分類されている。また、それぞれの棟構成として、校舎、実習棟、屋体、駐輪車、プールおよび付属、温室、および、寄宿舎に分類され、それぞれの分類において、各棟に含まれる居室の種類が表示可能となっている。
クライアント端末3において、図97を用いて生徒数の変化について説明した自治体の高等学校の学科別の棟構成や諸室構成を確認するためのデータの表示が指令された場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図98に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、それぞれの学校のいずれの棟にいかなる居室が含まれているかを示す情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させる。画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットの各項目に対応する情報を挿入して生成したデータを、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。
次に、該当する自治体における高等学校の規模に基づいた分類と、その分類に基づいた校舎面積や屋内運動場面積等の情報を示すフォーマットの一例を図99に示す。図99に示されるフォーマットは、対応する自治体の全ての高等学校を、規模、すなわち、生徒数で3つにタイプ分類した場合の校舎の総面積、一人あたりの校舎面積、棟数、屋内運動場の総面積などの最大値および最小値、ならびに、平均値が表示可能となっている。
クライアント端末3において、図97を用いて生徒数の変化について説明した自治体が管理する高等学校の規模、すなわち、現状の生徒数に基づいた分類の閾値等の分類条件が入力され、学校規模による分類結果に基づいた情報の表示が指令された場合、分類情報取得部51は、分類を行うべき施設群として指定された所定の自治体名、および、その自治体が管理運営する施設(高等学校)群をタイプ分類するためのタイプ分類の基軸として生徒数(学校規模)が用いられること、および、その分類の内容や閾値などのタイプ分類を行うために必要な情報を、ネットワーク2を介してクライアント端末3から取得し、タイプ分類処理部52に供給する。タイプ分類処理部52は、記憶装置6Bの各部に記憶されている情報を参照し、所定の自治体が管理する高等学校を生徒数の所定の閾値を用いて3つに分類する。タイプ分類処理部52は、分類結果を、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図99に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、それぞれの高等学校の校舎の総面積、一人あたりの校舎面積、棟数、屋内運動場の総面積などを示す情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させるとともに、演算部53を制御して、分類ごとに、校舎の総面積、一人あたりの校舎面積、棟数、屋内運動場の総面積などの最大値および最小値、ならびに、平均値を演算させる。そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに、演算部53による演算結果を挿入して、図99に示すデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、図99に示すデータにより、小規模校において、余剰面積が著しく大きいことが分かり、平均値において、大規模校や標準規模校の約2倍であることが分かる。
次に、図99を用いて説明した場合と同様に、該当する自治体における高等学校の規模に基づいた分類を行った場合における、生徒数学級数の変化を示すフォーマットの一例を図100に示す。図100に示されるフォーマットは、対応する自治体の全ての高等学校を規模で3つにタイプ分類した場合の、ピーク時から現在までの学級数の変化と、現在から将来(例えば、10年後など)の生徒数の変化のそれぞれの最大値および最小値、ならびに、平均値とそれぞれの変化率が表示可能となっている。
クライアント端末3において、図97を用いて生徒数の変化について説明した自治体の高等学校の規模による分類が指令されるとともに、ピーク時から現在までの学級数の変化と、現在から将来(例えば、10年後など)の生徒数の変化のそれぞれの最大値および最小値、ならびに、平均値とそれぞれの変化率の表示が指令された場合、タイプ分類処理部52は、図99を用いて説明した場合と同様に高等学校の規模に基づいた分類を実行し、分類結果を、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eおよび演算部53に供給する。
そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図100に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、それぞれの学校のピーク時と現在の学級数、ならびに、現在の生徒数および将来の生徒数の予測値を示す情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させるとともに、演算部53を制御して、分類ごとに、ピーク時から現在までの学級数の変化と、現在から将来の生徒数の変化のそれぞれの最大値および最小値、ならびに、平均値とそれぞれの変化率を演算させる。そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに、演算部53による演算結果を挿入して、図100に示すデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、図100に示すデータにより、小規模校において、学級数の減少が著しく、また生徒数の減少が著しく予測されることが分かる。
次に、該当する自治体における高等学校の地域変化を確認するためのフォーマットの一例を図101に示す。
クライアント端末3において、図97を用いて生徒数の変化について説明した自治体が管理する高等学校の地域変化の確認が指令された場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図101に示すデータを生成するためのフォーマット、すなわち、地図情報などを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、該当する自治体における高等学校の位置、および、それぞれの高等学校の生徒数などを示す情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させるとともに、演算部53を制御して、各地域における1校当たりの設置範囲、すなわち、各地域の面積を各地域の学校数で割った値の演算処理を実行させる。そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに、演算部53による演算結果を挿入して、図101に示すデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、図101に示すデータにより、県央地域のみ、高等学校の1校当たりの設置範囲が小さく、他の地域と大きく異なっていることが分かる。
また、各校の活用状況の変化などに関しては、生徒数の変化とカリキュラムの変化に、各諸室の活用状況や保有棟などの状況を重ね合わせて、利用状況の変化と保有状況のギャップを明らかにする必要がある。このためには、例えば、図5を用いて説明したような学校施設台帳をベースとして、相互に紐付けされて記憶装置6の施設情報記憶部31などに記憶されている各種情報を用いることができる。また、それぞれの施設における利用状況と、各施設で類似する機能などを明確化し、学科を超えた共用化等への改善を検討する必要がある。このためには、例えば、図49および図50を用いて説明した活用検討シートなどを用いることができる。
上述したように、自治体が管理する高等学校を保持運営していくにあたり、現状の把握に加えて、さまざまな変化要因を多面的に把握する必要がある。すなわち、これらの変化要因のうち、変化が著しい要因を分類基軸とすることにより、さまざまな変化要因を多面的に把握することができる。この自治体においては、図99を用いて上述したように、高等学校の規模により、校舎等の余剰の差が大きいことと、図100を用いて説明したように、高等学校の規模により、生徒数学級数の変化の差が著しいことが分かる。そこで、資産マネジメント支援装置4Bにおいては、これら2つの変化要因をタイプ分類の基軸とし、それぞれを行および列としたマトリクスを作成してタイプ分類を行うことができる。
図102および103を参照し、高等学校の規模と、生徒数学級数の変化を分類基軸とし、マトリクスを作成してタイプ分類を行う場合について説明する。
ここでは、タイプ分類の第1の基軸として、延床面積を用いている。具体的には、学科別に基準となる1人当たりの延床面積を設定し、その基準延床面積を現在の生徒一人あたりの延床面積と比較した結果を、第1の分類基軸による分類の条件としている。基準延床面積は、例えば、対応する学科の延床面積の平均値であってもよいし、適切であると考えられる他の値であってもよい。ここでは、現在の生徒一人あたりの延床面積を学科別の基準延床面積で割った値が1.1以下である学校を分類I、1.1〜1.5である学校を分類II、1.5〜2.5である学校を分類III、2.5以上である学校を分類IVであるものとしている。すなわち、分類Iの学校は、延床面積が適正であり、分類IVの学校は、延床面積の余剰が大きい。
また、ここでは、タイプ分類の第2の基軸として、ピーク時から現在までの1学級あたりの生徒数の変化を用いている。1学級あたりの生徒数の変化は、ピーク時においては、1学級あたりの生徒数が50人である場合を1として、各学校における1学級あたりの生徒数に対応する値を算出するとともに、現在においては、1学級あたりの生徒数が40人である場合を1として、各学校における1学級あたりの生徒数に対応する値を算出し、ピーク時と現在との値を比較した結果が、1.1以上である学校を分類A、0.8〜1.0である学校を分類B、0.6〜0.8である学校を分類C、0.6以下である学校を分類Dであるものとしている。すなわち、分類Aおよび分類Bの学校は、生徒数の変化が少なく、分類Dの学校は、生徒数の減少の割合が大きいことが分かる。
クライアント端末3において、対応する自治体の高等学校のタイプ分類の基軸として、延床面積と1学級あたりの生徒数の変化を用いることが指令されるとともに、各タイプ分類の基軸において分類を行うための計算式や閾値等の分類条件、分類数、および、いずれの分類を適正な値と認識するかなどの必要な各種情報が入力され、第1の分類基軸を横軸とし、第2の分類基軸を縦軸としたマトリクスを用いたタイプ分類処理およびその結果の表示が指令された場合、分類情報取得部51は、分類を行うべき施設群として指定された所定の自治体名、施設群をタイプ分類するためのタイプ分類の基軸として延床面積と1学級あたりの生徒数の変化が用いられること、および、その分類の内容や必要な計算式、および、分類のための閾値などのタイプ分類を行うために必要な情報を、ネットワーク2を介してクライアント端末3から取得し、タイプ分類処理部52に供給する。タイプ分類処理部52は、記憶装置6Bの各部に記憶されている情報を参照し、所定の自治体が管理する高等学校を、第1の分類基軸および第2の分類基軸のそれぞれにおいて、4つに分類する。そして、タイプ分類処理部52は、第1の分類基軸および第2の分類基軸のそれぞれにおける分類結果を、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eに供給する。
タイプ分類処理部52は、第1の分類基軸を横軸とし、第2の分類基軸を縦軸としたマトリクスにおいて、それぞれのセルに、分類結果に対応する高校名を対応付け、このマトリクスのいずれのセルにそれぞれの高等学校が属するかに基づいて、タイプ分類を実行する。タイプ分類処理部52は、例えば、第1の分類基軸を横軸とし、第2の分類基軸を縦軸としたマトリクスにおいて、第1の分類基軸および第2の分類基軸のいずれも適正であるセル、すなわち、マトリクスの左上に位置する、生徒数と延床面積の関係が適正な高等学校のグループから、マトリクスの右下に位置する、生徒数に対して延床面積の余剰が大きい高等学校のグループを、セルごとに1グループとしてタイプ分類することができる。また、タイプ分類処理部52は、例えば、第1の分類基軸を横軸とし、第2の分類基軸を縦軸としたマトリクスにおいて、複数のセルに対応付けられた学校を、できるだけ、1分類に含まれる学校数にばらつきが出ないように、または、セルの数にばらつきが出ないようになどの所定の法則に基づいて、クライアント端末3の使用者により指定された数にタイプ分類することができる。そして、タイプ分類処理部52は、タイプ分類結果を、情報記憶処理部12に供給して、活用検討関連情報記憶部72に記憶させるとともに、画面情報生成部11Eに供給する。
そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図102に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、タイプ分類処理部52から供給された分類基軸1における分類結果を横軸、分類基軸2における分類結果を縦軸としたマトリクスのそれぞれのセルに、分類結果に対応する高校名を対応付け、マトリクス内の各セルに学校名およびタイプ分類結果が記入されたデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。図102に示すデータが表示されたクライアント端末3の使用者は、タイプ分類(1)に属する高等学校においては、生徒数に対する延床面積が適正であり、タイプ分類(4)やタイプ分類(5)に属する高等学校においては、生徒数に対する延床面積の余剰が大きく、見直しが必要であることが分かる。
また、例えば、クライアント端末3の使用者が、各校が対応付けられたマトリクスを参照して、タイプ分類のグループ分けを指定することも可能である。タイプ分類処理部52は、第1の分類基軸および第2の分類基軸の分類結果に対応する高校名を、画面情報生成部11Eに供給する。そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図103に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、タイプ分類処理部52から供給された分類基軸1における分類結果を横軸、分類基軸2における分類結果を縦軸としたマトリクスのそれぞれのセルに、分類結果に対応する高校名を対応付け、図103に示されるように、マトリクス内の各セルに学校名のみが記入されたデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。
図103に示すデータが表示されたクライアント端末3の使用者は、図103に示すデータを参照することにより、生徒数と延床面積の関係の適正度に基づいたタイプ分類を行うことが可能である。図103に示すデータにおいて、左上に位置するセルに該当する高等学校においては、生徒数と延床面積の関係が適正であり、右下に位置するセルに該当する高等学校においては、生徒数に対して延床面積の余剰が大きいことが分かる。クライアント端末3の使用者は、図103に示すデータを参照し、マトリクスの左上のセルから、所望のセルを同一タイプに分類する操作入力を行うことができる。クライアント端末3の使用者により入力されたタイプ分類結果は、ネットワーク2を介して、資産マネジメント支援装置4Bに送信され、情報記憶処理部12の活用検討関連情報記憶部72に記憶される。
図104に、タイプ分類の結果と、それぞれのタイプの特性を示すフォーマットの例を示す。
クライアント端末3において、図102および図103を用いて説明したタイプ分類の結果と、それぞれのタイプの特性の表示が指令された場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図104に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、タイプ分類結果、それぞれのタイプに含まれる学科構成数および学校規模、ならびに、タイプ分類の基軸として用いた生徒一人あたりの保有面積および1学級あたりの生徒数変化に関する情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させるとともに、演算部53を制御して、それぞれのタイプに分類された高等学校の学級数、生徒一人当たり保有面積の基準との比較値、および、ピークから現在における1学級あたりの生徒数変化のそれぞれにおける最大値、最小値、および平均値の演算処理を実行させる。そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに、演算部53による演算結果を挿入して、図104に示すデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、図104に示すデータにより、タイプ分類の結果と、それぞれのタイプの特性を確認することができる。
図105および図106に、タイプ分類された各校の詳細情報を示すフォーマットの例を示す。
クライアント端末3において、図102および図103を用いて説明したタイプ分類により分類された各校の詳細情報の表示が指令された場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図105および図106に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、タイプ分類結果、それぞれのタイプに含まれる高等学校の名称、地域、独立校であるか分校であるか、および、メイン学科はいずれであるか、などの情報、ソフト的な変化要因として、生徒数や学級数に関する情報、および、タイプ分類の基軸2として用いた数値、などの情報、ならびに、ハード的な要因(施設の諸条件)として、築年数、面積、保有棟数、および、タイプ分類の基軸1として用いた数値、などの情報を、記憶装置6Bの各部から抽出させるとともに、演算部53を制御して、それぞれのタイプに分類された高等学校について、フォーマットに記入するために必要となる演算処理を実行させる。そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに、演算部53による演算結果を挿入して、図105および図106に示すデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、図105および図106に示すデータにより、タイプ分類(1)に属する、すなわち、生徒数に対する延床面積が適正な高等学校は、県央地区の大規模校に集中し、その他の地区の小規模校の多くが、生徒数に対する延床面積の余剰が大きく、見直しの必要があることを容易に確認することができる。
図107に、自治体内市町村の人口増減率と、高等学校のタイプ分類結果の対応関係を示すフォーマットの例を示す。
クライアント端末3において、自治体内市町村の人口増減率と、図102および図103を用いて説明したタイプ分類により分類された各校の対応関係を示す情報の表示が指令された場合、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から、図107に示すデータを生成するためのフォーマットを読み出すとともに、第3の抽出部11Dを制御して、読み出したフォーマットに対応する情報を生成するために必要なデータ、すなわち、該当する自治体の地図情報、自治体内市町村の人口情報、タイプ分類結果、それぞれのタイプに含まれる高等学校の位置情報などを、記憶装置6Bの各部から抽出させる。また、画面情報生成部11Eは、演算部53を制御して、第3の抽出部11Dを制御して読み出した人口情報に基づいて、自治体内市町村の人口増減率を演算させる。ここでは、人口増減率は、例えば、過去のある点の人口を100とした場合の現在の人口の増減率、過去のある点の人口を100とした場合の将来(所定の年数後)の人口の増減率、または、現在の人口を100とした場合の将来(所定の年数後)の人口の増減率などである。
そして、画面情報生成部11Eは、フォーマット記憶部71から読み出したフォーマットに、第3の抽出部11Dを制御して読みだした情報、および、演算部53による演算結果を挿入して、図107に示すデータを生成し、ネットワーク2を介して、クライアント端末3に送信し、表示させることができる。クライアント端末3の使用者は、図107に示すデータにより、タイプ分類(1)に属する、すなわち、生徒数に対する延床面積が最も適正な高等学校は、県央地区に集中し、タイプ分類(2)に属する、すなわち、生徒数に対する延床面積が次に適正な高等学校は、県北地区に集中し、生徒数に対する延床面積の余剰が大きなタイプ(3)〜タイプ(5)は、人口増減率が低い、その他の地域に分散しているため、タイプ(3)〜タイプ(5)に分類された高等学校については、大きな余剰面積に対する見直しが必要であることが分かる。
次に、図108のフローチャートを参照して、図91のステップS33において実行される処理の第2の例であるタイプ分類処理2について説明する。
ステップS81において、タイプ分類処理部52は、クライアント端末3からの要求に応じた第1の分類基軸を用いて、所定の施設群を、所定数Nに分類する。例えば、タイプ分類処理部52は、図102および図103を用いて説明したタイプ分類においては、第1の分類基軸を用いて、所定の施設群を4つに分類している。
ステップS82において、タイプ分類処理部52は、クライアント端末3からの要求に応じた第2の分類基軸を用いて、所定の施設群を、所定数Mに分類する。例えば、タイプ分類処理部52は、図102および図103を用いて説明したタイプ分類においては、第2の分類基軸を用いて、所定の施設群を4つに分類している。
ステップS83において、タイプ分類処理部52は、N×Mのマトリクスに、ステップS81およびステップS82の分類結果を適応させる。
ステップS84において、タイプ分類処理部52は、所定の法則、または、ユーザの操作入力に基づいて、N×Mのマトリクスのそれぞれに分類名を付け、処理は、図91のステップS34に進む。例えば、タイプ分類処理部52は、図102および図103を用いて説明したタイプ分類においては、例えば、第1の分類基軸を横軸とし、第2の分類基軸を縦軸としたマトリクスにおいて、複数のセルに対応付けられた学校を、できるだけ、1分類に含まれる学校数にばらつきが出ないように、または、セルの数にばらつきが出ないようになどの所定の法則に基づいて、クライアント端末3の使用者により指定された数にタイプ分類したり、図103に示すデータが表示されたクライアント端末3の使用者の操作入力に基づいて、タイプ分類を実行することができる。
このような処理により、著しい変化を示す変化要因を2つ用いて、それらを分類基軸としたマトリクスを用いたタイプ分類を実行することができる。
以上説明した処理では、各施設の詳細な情報に基づいて、タイプ分類を実行したり、施設の劣化状況や使用状況などを用いて、施設の維持管理に必要な情報を生成したり、施設の改築、立て直し、再編成、共用化などの施策を立案するための支援について説明した。これに対して、資産マネジメント支援装置4Bにおいては、更に、施設の改築、立て直し、再編成、共用化などの施策を立案するために、全体的な視点、換言すれば、マクロな視点から、各施設をできるだけコストを抑えて、かつ、高性能な状態で維持管理するための支援を行うことも可能である。
例えば、資産マネジメント支援装置4Bは、所定の自治体が管理運営している高等学校において、記憶装置6Bの各部に記憶されている各種情報に基づいて、図109に示されるように、生徒数のピーク時、現在、および将来の学科別の構成の変化を、自治体の全体的な視点から得ることができる。
また、例えば、資産マネジメント支援装置4Bは、所定の自治体が管理運営している高等学校において、記憶装置6Bの各部に記憶されている各種情報に基づいて、図110に示されるように、ピーク時から現在の生徒数および学級数の変化、また、校舎や体育館などの保有棟の延床面積を、自治体の全体的な視点から得ることができる。
また、例えば、資産マネジメント支援装置4Bは、所定の自治体が管理運営している高等学校において、記憶装置6Bの各部に記憶されている各種情報に基づいて、図111に示されるように、ピーク時から現在の生徒数および学級数の変化、また、校舎や体育館などの保有棟の延床面積を、自治体の各地域からの視点においても得ることができる。
各校の詳細な現在の状況を基に、施設の維持管理に必要な情報を生成したり、施設の改築、立て直し、再編成、共用化などの施策を立案した場合、現在の施設の状況は、多くの場合、生徒数のピーク時において必要であった保有棟や教室数などがベースとなっているため、生徒数が減少傾向であるときには、余剰面積、余剰教室などが多い傾向が強い。このため、各校の詳細な現在の状況を基に算定される施策においては、必要となるコストの算出結果が大きくなってしまったり、利用可能な資金内での施設の機能改善の計画内容が限られてしまう。そこで、各校の保有棟や教室数などの適正規模を、現在の生徒数や、将来の生徒数予測などをベースとして算出することにより、これらの施策に係るコストの算出結果を適正化することや、限られた資金内で、適正に施設の機能改善を計画することを目指す必要がある。
そこで、資産マネジメント支援装置4Bは、図109〜図111を用いて説明したマクロの視点からの情報に基づいて、学科別、規模別に、適正面積などの算定式を設定することができる。資産マネジメント支援装置4Bは、例えば、小規模校、中規模校、大規模校のそれぞれにおける敷地面積の算定基準式を、生徒数Pと、所定の定数を用いて制定し、現在および将来の敷地面積の適正量を算出することができる。すなわち、資産マネジメント支援装置4Bは、地域ごとの学校数、生徒数、学校数と、その変化に対しての施設保有量の目安を、マクロの視点からも算出することができる。
すなわち、資産マネジメント支援装置4Bは、施設ごとの詳細な情報を用いたタイプ分類処理による各種演算結果と、マクロの視点から得られる算定式の両面から、施設の管理運営のための、敷地面積や居室等に関する適正量を算出することができるので、これらの両面から算出された値を突き合わせることにより、適正量の算出の精度を高め、より確かに、施設の管理運営のための施策の制定の支援を行うことができる。
本発明の実施の形態において説明した一連の処理の一部または全部は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行するようにしてもよい。また、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであってもよいし、並列に、あるいは呼び出しが行われたときなどの必要なタイミングで処理が行われるプログラムであってもよい。