JPH10140318A - アブレーダブルコーティング方法 - Google Patents

アブレーダブルコーティング方法

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JPH10140318A
JPH10140318A JP29639796A JP29639796A JPH10140318A JP H10140318 A JPH10140318 A JP H10140318A JP 29639796 A JP29639796 A JP 29639796A JP 29639796 A JP29639796 A JP 29639796A JP H10140318 A JPH10140318 A JP H10140318A
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信儀 森
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勝彦 飯沼
Akitatsu Masaki
彰樹 正木
Satoshi Goto
聡 後藤
Katsuhiko Tsunoda
克彦 角田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 500℃を越える温度の使用に耐えるアブレ
ーダブルコートを生成する。 【構成】 被コート面をブラスト処理し粗面化する工程
と、粗面化した面にNi−5AlまたはNi−18.5
Cr−6Alの粉末をプラズマ溶射する工程と、プラズ
マ溶射した面に第1粉末と第2粉末を1:0.05〜
0.30の重量%の割合で混合してフレーム溶射する工
程と、を有し、第1粉末はCrが3〜7重量%、Alが
3〜7重量%、Al2O3 とSiO2が6〜14重量%、Niが
残りの重量%からなり、第2粉末はCrが3〜7重量
%、Alが3〜7重量%、Al2O3 とSiO2が15〜30重
量%、Niが残りの重量%からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転などを行う移
動体と間隙を有して配置された静止体の間隙面に塗布さ
れるコーティング材で移動体が接触した場合、自己が削
られて移動体を傷めないようにするアブレーダブルコー
ト(被造間隙皮膜)のコーティング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービンやジェットエンジンのロー
タに植えられたブレードの先端と、ステータとは所定の
間隙が設けられており、シール性を保持している。振動
などの異常によりブレードがステータに接触する場合が
あるが、この時ステータの間隙部が硬いとブレードの先
端が損傷し、回転が適正に行われなくなったり、シール
性が損なわれたりする。このためステータの間隙部には
切削性のよいコーティング材を塗布しておき、ブレード
の損傷を防止し、コーティング材が削られるようにして
おく。
【0003】このようなコーティング材には次の性質が
要求される。 切削性がよく接触してくる方の部材に損傷を与えな
い。 この接触と切削によりコーティング材が大きく脱落し
ない。 コーティング材が接触してくる相手側に付着しない。 使用温度に耐える。 耐酸化性を有する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような要求を満た
すコーティング材として、使用温度が500℃以下の場
合は、Ni−グラファイトの粉末を溶射するものやNiCr
Al-BN の粉末を溶射するコーティング材のように使用温
度が500℃以上で使用が可能でも良好なアブレーダビ
リティを満足するコーティング材がなかった。また、あ
っても技術内容は軍事上機密に属するため公開されてい
ない。
【0005】本発明は上述の問題点に鑑みてなされたも
ので、使用温度が500℃を越える場合も、使用可能な
アブレーダブルコートを生成するアブレーダブルコーテ
ィング方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、被コート面をブラスト処理により粗面化する工程
と、粗面化した面にNi−5AlまたはNi−18.5
Cr−6Alの粉末をプラズマ溶射する工程と、プラズ
マ溶射した面に第1粉末と第2粉末を1:0.05〜
0.30の重量%の割合で混合してフレーム溶射する工
程と、を有し、前記第1粉末はCrが3〜7重量%、A
lが3〜7重量%、Al2O3 とSiO2が6〜14重量%、N
iが残りの重量%からなり、前記第2粉末は、Crが3
〜7重量%、Alが3〜7重量%、Al2O3 とSiO2が15
〜30重量%、Niが残りの重量%からなるようにす
る。
【0007】また、前記第1粉末の大きさは37〜74
μm、前記第2粉末の大きさは74〜125μmとす
る。
【0008】また、前記ブラスト処理にはAl2O3 または
SiCの粉末を用いる。
【0009】これらの方法をさらに説明すると、被コー
ト面はまずブラスト処理をして粗面化し、コーティング
の付着を確実にする。ブラスト処理には、Al2O3 または
SiCの粉末が好適である。粗面化した面にコーティング
膜の密着性を向上させるためNi−5AlまたはNi−
18.5Cr−6Alの粉末をプラズマ溶射して被コー
ト面とコーティング膜との結合膜(ボンドコート)とす
る。次にこのボンドコートの上面に第1粉末と、第2粉
末を重量%で1:0.05〜0.30の割合、好ましく
は1:0.20〜0.30の割合に混合してフレーム溶
射する。第1粉末は、Crが3〜7重量%、好ましくは
4〜6重量%、Alが3〜7重量%、好ましくは4〜6
重量%、Al2O3 とSiO2が6〜14重量%、好ましくは8
〜12重量%、Niが残りの重量%とする。第2粉末
は、Crが3〜7重量%、好ましくは4〜6重量%、A
lが3〜7重量%、好ましくは4〜6重量%、Al2O3
SiO2が15〜30重量%、好ましくは20〜25重量
%、Niが残りの重量%からなるようにする。また第1
粉末の大きさは37〜74μmとし、第2粉末の大きさ
は74〜125μmとする。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は本発明のコーティング材を使用する
対象を示す図で、ガスタービンやジェットエンジンのロ
ータとステータを示す。ロータ1はステータ2内に設け
られ、ロータ1には動翼3が植えられ、動翼3の先端は
ステータ2の内面と間隙Cを有しており、このステータ
2の内面で動翼3の先端と対応する部分にアブレダブル
コート5が形成されている。ステータ2には静翼4が動
翼3と交互に植えられている。アブレーダブルコート5
の表面は間隙Cを正確に出すために機械加工されてい
る。
【0011】ステータ2を表す試料を作成し、この試料
にアブレーダブルコートを生成する。まず、試料の被コ
ート面をAl2O3 の粉末でブラスト処理し、粗面化する。
次にこの面にNi−5Alの粉末をプラズマ溶射する。
厚みは0.1mm程度とする。次に第1粉末をCr5重
量%、Al5重量%Al2O3 とSiO2を10重量%、Niを
80重量%とし、第2粉末をCr2重量%、Al5重量
%、Al2O3 とSiO2を25重量%、Niを65重量%と
し、第1粉末1に対し第2粉末を0.25の重量%の比
で混合してフレーム溶射する。第1粉末の大きさは37
〜74μm、第2粉末の大きさは74〜125μmと
し、膜厚は1.0mm程度とする。図2はこのように形
成されたアブレーダブルコートの構成を示す。このよう
な試料を、次に示す4種類の試験用に各3個合計12個
作成した。
【0012】(1)ブラストエロージョンテスト 本テストはロータに吸い込まれる異物粒子(砂塵等)に
よって、動翼3との間隙Cを保持することによりシール
部を構成しているアブレーダブルコート5のエロージョ
ン(浸食)に対する耐久性を試験する。図3はブラスト
エロージョン専用試験機を示す。試料10を台座11に
乗せるとマグネット12で固定される。ノズル13より
研削材を噴出する。試験要目は次の通りである。 研削材:グレイアルミナ−45+5μm 噴射圧:1.5〜2.7kg/cm2 ,200〜300
リットル/回 噴射量:40g〜60g/10秒 温度:16℃
【0013】評価は試験前後のコーティング表面の形状
変化により浸食量を比較することにより行う。
【0014】(2)耐酸化テスト 本テストは実機内で使用される温度でのアブレーダブル
コートの変質(酸化)の程度を比較する。図4は耐酸化
テスト機を示す。試料10は熱電対16を付けてパイプ
15中に入れられ、パイプ15を電気炉17に入れ加熱
する。加熱は制御装置18により行われる。試験要目は
次の通りである。 温度:550℃±30℃ 試験時間:750時間 雰囲気:大気
【0015】評価は次のように行う。 試験前後での重量変化を調べる。 コーテイング膜断面ミクロ組織観察での酸化状態を比
較する。 表面硬度の変化を調べる。
【0016】(3)サーマルショックテスト 本テストは実機内で受ける温度サイクルを与え、熱衝撃
による劣化を比較する。図5(a)はサーマルショック
テスト機を示し、(b)は試料10に加える熱サイクル
を示す。酸素アセチレントーチ20とエアーノズル21
を固定具22に取り付け、移動部23で周期的に上下さ
せ、フレームとエアをホルダー24に支持された試料1
0に当て、温度モニタ25で試料10の温度を計測す
る。温度サイクルは(b)に示すように550±30℃
と50℃の間を往復させる。
【0017】評価は次のようにする。 試験前後の重量変化を調べる(劣化によるコーティン
グ膜の脱落を調べる。) コーティング膜断面ミクロ組織観察で劣化状態を調べ
る。 表面硬度の変化を調べる。
【0018】(4)チッピングテスト(アブレーダビリ
ティテスト) アブレーダブルコーティング膜を実機で使用される温度
下において、ブレード(動翼)又はダミーブレードでこ
すり、被削性を調べる。図6はチッピングテスト機を示
し、試料10は試料送り機26に取り付けられ、一定の
送り速度で送られる。試料10はバーナ27で実機と同
じ温度に加熱され、その温度は熱電対レコーダ28に記
録される。ディスク29にブレード30が取り付けられ
回転する。試料10は試料送り器26によりブレード3
0に対して送られ切削される。試験要目は次の通りであ
る。 温度:500℃〜300℃ 送り:0.1mm/7.5秒(最大送り0.5mm)
【0019】評価は次のようになる。 コーティング膜の被削後の外観を調べる。 ブレード材の変形を調べる。 ブレード材へのコーティング膜の付着状況を調べる。
【0020】図7はテスト結果の総合判定を示す一覧表
である。テスト結果には参考に従来例として説明したN
i−グラファイト、NiCrAl-BN の粉末を溶射したコーテ
ィング膜について同じ試験を行った結果を併記する。図
中○は該当するテストに合格したことを示し、×は不合
格、三角は不合格に近い合格を示す。本実施例のコーテ
ィング膜は4種類のテスト全てに合格しており、500
℃以上550±30℃、つまり520℃までの高温の使
用に耐えることが示されている。比較例として記載した
Ni−グラファイト、NiCrAl-BN を用いるものはサーマ
ルショックテスト、チッピングテストの結果が不合格と
なっている。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によって生成されるアブレーダブルコーティング膜は5
00℃以上の高温の使用を可能とし、エア、オイルシー
ル用のアブレーダブルコーティングとして幅広く利用で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって生成するコーティング膜を使用
するロータとステータを示す図である。
【図2】実施例のコーテイング膜の構成を示す図であ
る。
【図3】ブラストエロージョン専用試験機の構成を示す
図である。
【図4】耐酸化テスト機の構成を示す図である。
【図5】サーマルショックテスト機の構成を示す図であ
る。
【図6】チッピングテスト機の構成を示す図である。
【図7】テスト結果の総合判定を示す一覧表である。
【符号の説明】
1 ロータ 2 ステータ 3 動翼 4 静翼 5 アブレーダブルコート 10 試料 11 台座 12 マグネット 13 ノズル 15 パイプ 16 熱電対 17 電気炉 18 制御装置 20 酸素アセチレントーチ 21 エアーノズル 22 固定具 23 移動部 24 ホルダー 25 温度モニタ 26 試料送り機 27 バーナ 28 熱電対レコーダ 29 ディスク 30 ブレード
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 正木 彰樹 東京都田無市向台町3丁目5番1号 石川 島播磨重工業株式会社田無工場内 (72)発明者 後藤 聡 東京都西多摩郡瑞穂町殿ケ谷229 石川島 播磨重工業株式会社瑞穂工場内 (72)発明者 角田 克彦 東京都千代田区二番町11番19号 スルザー メテコジャパン株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被コート面をブラスト処理により粗面化
    する工程と、 粗面化した面にNi−5AlまたはNi−18.5Cr
    −6Alの粉末をプラズマ溶射する工程と、 プラズマ溶射した面に第1粉末と第2粉末を1:0.0
    5〜0.30の重量%の割合で混合してフレーム溶射す
    る工程と、を有し、 前記第1粉末はCrが3〜7重量%、Alが3〜7重量
    %、Al2O3 とSiO2が6〜14重量%、Niが残りの重量
    %からなり、前記第2粉末は、Crが3〜7重量%、A
    lが3〜7重量%、Al2O3 とSiO2が15〜30重量%、
    Niが残りの重量%からなることを特徴とするアブレー
    ダブルコーティング方法。
  2. 【請求項2】 前記第1粉末の大きさは37〜74μ
    m、前記第2粉末の大きさは74〜125μmとするこ
    とを特徴とする請求項1記載のアブレーダブルコーティ
    ング方法。
  3. 【請求項3】 前記ブラスト処理にはAl2O3 またはSiC
    の粉末を用いることを特徴とする請求項1記載のアブレ
    ーダブルコーティング方法。
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