JPH10140268A - 高強度及び高電導性の複合銅合金材料 - Google Patents

高強度及び高電導性の複合銅合金材料

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JPH10140268A
JPH10140268A JP30316896A JP30316896A JPH10140268A JP H10140268 A JPH10140268 A JP H10140268A JP 30316896 A JP30316896 A JP 30316896A JP 30316896 A JP30316896 A JP 30316896A JP H10140268 A JPH10140268 A JP H10140268A
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copper alloy
copper
strength
conductivity
core material
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JP30316896A
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English (en)
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Michio Miyauchi
理夫 宮内
Koichi Ohara
弘一 尾原
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度及び高導電性を有するとともに、メッ
キ性及びはんだ付け性の優れた複合銅合金材料を提供す
ること。 【解決手段】 Cr10〜30wt%を含み、残部がC
uと不可避的不純物からなる銅合金であって、その金属
組織におけるCrの晶出・析出物がマトリックス中にフ
ァイバ状に分散し、且つそのファイバ状の晶出・析出物
の平均径を5μm以下とした銅合金材料を芯材とし、そ
の芯材の外周に銅含有量が98%以上の銅若しくは銅合
金の皮材を被覆したことを特徴とする高強度及び高電導
性の複合銅合金材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器用配線、
リードフレーム、マグネットコイル等に使用する高強度
及び高導電性で、しかもメッキ性にも優れた複合銅合金
材料(線材、板材)に関するもので、更に詳しくは、引
張強度が650N/mm2 以上の高強度で、導電率が6
0%以上の高導電性を有するとともに、メッキ性及びは
んだ付け性の優れた複合銅合金材料に関するものであ
る。なお、本明細書においては、銅合金の合金組成は全
てwt%を意味するものであるが、これを単に%と記し
た。
【0002】
【従来の技術】導電用の銅合金は、導電性を低下させず
にいかにして強度を上げるかが課題である。これまでは
銅にSn、Zn等の固溶元素を添加し、これによる固溶
硬化と加工硬化により、高強度化する方法がとられてき
た。この方法で強度を高くするには、添加量を多くする
必要があり、導電率の低下が大きい。例えば、8%Sn
を添加したりん青銅では、引張強度は700N/mm2
以上に達するものの、導電率は12%程度である。この
ため、最近では析出強化型銅合金が積極的に使用される
ようになってきた。この代表がCu−Be合金で、適切
な析出処理により、引張強度は1000N/mm2 に近
い強度が得られるが、導電率は約21%である。また、
Cu−Ni−Si系合金では、引張強度は700〜80
0N/mm2 、導電率は50〜40%程度である。更
に、Cu−Cr−Sn系合金では、引張強度が650N
/mm2 で導電率が70%程度のものが得られるが、メ
ッキ性に劣るという問題がある。このように析出強化型
銅合金は、固溶強化型よりも導電性と強度に優れている
ため、電子機器用材料として多用されている。また、高
強度で高導電の材料を得る別の方法として、二相合金を
利用する方法があり、Cu−Nb合金、Cu−Ag合金
等の例がある。Cu−Ag合金は、パルスマグネット導
体として実用化されているが、高価なAgを6%も添加
するため価格が高く、大量に使用する用途には向かな
い。また、Cu−1〜17%Cr系合金も提案されてい
る。このなかでCrを1%程度添加した合金が実用化さ
れているが、導電率は80%程度と高いが、強度は60
0N/mm2 程度である。Crを17%程度添加したC
u−Cr系合金では、導電率は70%程度であり、強度
は700N/mm2 程度である(例えば特開昭57−9
7866等)が、メッキ性に劣るという問題がある。近
年、電子機器及びその部品の小型化、高性能化の要求が
高まり、更なる高強度で高導電性を有し、且つメッキ
性、はんだ付け性にも優れた材料が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
の問題点を解決するもので、高強度でしかも導電率が高
い材料、具体的には引張強度が650N/mm2 以上、
望ましくは750N/mm2 で、且つ導電率が60%以
上の銅合金材料を提供することである。更に、本発明の
他の課題は、上記の高強度及び高導電性を有するととも
に、メッキ性及びはんだ付け性にも優れた銅合金材料を
提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の請求項1の発明は、Cr10〜30%を含み、残部が
Cuと不可避的不純物からなる銅合金であって、その金
属組織におけるCrの晶出・析出物がマトリックス中に
ファイバ状に分散し、且つそのファイバ状の晶出・析出
物の平均径を5μm以下とした銅合金材料を芯材とし、
その芯材の外周に銅含有量が98%以上の銅若しくは銅
合金の皮材を被覆したことを特徴とする高強度及び高電
導性の複合銅合金材料であり、
【0005】請求項2の発明は、請求項1の合金組成の
銅合金に、更にZr0.05〜0.5%、Ti0.05〜0.5%、Mg
0.05〜0.5%、B0.01〜0.1%、C0.01〜0.1%、N0.01〜0.
1%の1種または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有する銅
合金としたことを特徴とする請求項1に記載の高強度及
び高電導性の複合銅合金材料である。
【0006】また、請求項3の発明は、Cr10〜30
%を含み、更にSi0.05〜3.0%、P0.01〜0.1%、Co0.
05〜3.0%、Ag0.05〜3.0%、Ni0.05〜3.0%、Be0.05
〜3.0%、Al0.05〜3.0%、Sn0.05〜3.0%、Zn0.05〜
5.0%の1種または2種以上を含有し、残部がCuと不可
避的不純物からなる銅合金であって、その金属組織にお
けるCrの晶出・析出物がマトリックス中にファイバ状
に分散し、且つそのファイバ状の晶出・析出物の平均径
を5μm以下とした銅合金材料を芯材とし、その芯材の
外周に銅含有量が98%以上の銅若しくは銅合金の皮材
を被覆したことを特徴とする高強度及び高電導性の複合
銅合金材料であり、
【0007】請求項4の発明は、請求項3の合金組成の
銅合金に、更にZr0.05〜0.5%、Ti0.05〜0.5%、Mg
0.05〜0.5%、B0.01〜0.1%、C0.01〜0.1%、N0.01〜0.
1%の1種または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有する銅
合金としたことを特徴とする請求項3に記載の高強度及
び高電導性の複合銅合金材料である。
【0008】さらに請求項5の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載の芯材用銅合金材料を複数集合させて集
合体芯材とし、更にその集合体芯材の外周に、銅含有量
が98%以上の銅もしくは銅合金の皮材が被覆されてい
ることを特徴とする高強度及び高電導性の複合銅合金材
料である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、前記各発明について、詳細
に説明する。 (1)請求項1及び2の発明について 請求項1の発明は、Cu−10〜30%Cr合金であっ
て、その金属組織におけるCrの晶出・析出物がマトリ
ックス中にファイバ状に分散し、且つそのファイバ状の
晶出・析出物の平均径を5μm以下とした銅合金材料を
芯材とし、その芯材の外周に銅含有量が98%以上の銅
若しくは銅合金の皮材を被覆した複合銅合金材料であ
る。
【0010】本発明をこのように限定するのは、以下の
理由によるものである。即ち、芯材用銅合金におけるC
rは、ファイバー状のCr晶出・析出物による繊維強化
によりCuの導電性を低下させることなく、強度(引張
強度)を向上させる元素である。その含有量を10〜3
0%と限定したのは、10%未満では強度改善の効果が
少なく、30%を越えると本来の目的である強度、導電
率が低下するためである。次に本発明の芯材用銅合金材
料の金属組織において、Crの晶出・析出物をマトリッ
クス中にファイバ状に分散させ、そのファイバ状の晶出
・析出物の平均径を5μm以下としたのは、高電導性を
保持しながら、高強度を得るためである。ファイバ状の
晶出・析出物の平均径が5μmを越えると、引張強度6
50N/mm2 以上で且つ、導電率60%以上の特性が
得られない。従って、マトリックス中に分散するファイ
バ状のCr晶出・析出物の形状を前記のごとく規定し
た。
【0011】次に、本発明は、前記の芯材用銅合金材料
の外周に銅含有量が98%以上の銅若しくは銅合金の皮
材を被覆した複合銅合金材料である。Cu−Cr系合金
は、前記のごとくその材料の構成によって高強度、高電
導の材料を得ることができるが、これを電子機器用材料
として使用する場合に要求されるメッキ性及びはんだ付
け性(はんだ付け時のはんだのぬれ性)が劣る。また、
条件によっては耐蝕性が劣る場合がある。これはCr粒
子によるメッキ時の電流集中や腐食電位の急激な変化に
起因するものである。本発明において、芯材外周に銅含
有量が98%以上の銅若しくは銅合金の皮材を被覆する
のは、メッキ性及びはんだ付け性を向上させるためであ
る。この皮材の銅含有量が、98%未満では、メッキ性
及びはんだ付け性が劣るためである。ここでいう皮材
は、具体的には純銅、銅含有量が98%以上のCu−S
n合金、Cu−Ag合金等が含まれる。また、皮材のク
ラッド率は、全体の外径もしくは厚さに対して3〜10
%が望ましい。下限未満では、メッキもしくははんだ付
けを行う場合に好ましくなく、また、上限を越えると強
度が低下するからである。
【0012】なお、ここで複合銅合金材料とは、形状と
して線材、板材が含まれる。例えば電子機器の配線等は
線材として、リードフレーム等は板材として利用され
る。以上の構成からなる複合銅合金材料は、高強度及び
高電導性の特性を有し、かつメッキ性及びはんだ付け性
に優れている。
【0013】次に、請求項2の発明について、説明す
る。請求項2の発明は、請求項1に記載のCu−Cr合
金に、更にZr0.05〜0.5%、Ti0.05〜0.5%、Mg0.05
〜0.5%、B0.01〜0.1%、C0.01〜0.1%、N0.01〜0.1%の
1種または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有する銅合金
であって、その金属組織におけるCrの晶出・析出物を
マトリックス中にファイバ状に分散させ、そのファイバ
状の晶出・析出物の平均径を5μm以下とした芯材用銅
合金材料の外周に、銅含有量が98%以上の銅若しくは
銅合金の皮材を被覆したことを特徴とする高強度及び高
電導性の複合銅合金材料である。
【0014】ここで、添加元素Zr、Ti、Mg、B、
C、Nの添加の意義、組成範囲を前記のごとく限定した
理由について説明する。本発明の銅合金は、請求項1の
ごとくCu−Cr合金でも目的を達成できるが、鋳造時
にCrが不均一に分散し、特性にばらつきが生じる場合
がある。鋳造組織を微細にし、かつCrを均一に分散さ
せることについて、種々検討した結果、微量のZr、T
i、Mg、B、C、Nを添加することが有効であること
を見出した。本発明において、Cr相が均一に分布して
いた方が強度、導電率いずれも優れている。しかしなが
らCu−Cr合金において、Cr量が10%以上になる
と凝固温度範囲が広く、このためCr粒子の分散を制御
することが困難となる。Zr、Ti、Mg、B、C、N
は、これらの改善のために添加するもので、いずれも個
々の元素の下限未満ではその効果がなく、上限を越える
とCrと化合物を形成し、加工性を損なう。また、これ
らの元素の添加は、1種または2種以上を合計で0.01〜
0.5%添加する。合計の添加量が下限未満でも、また上限
を越えても効果、若しくは特性を損なう。なお、Zr、
Ti、Mg、B、C、Nが、晶出Crの分布を均一化す
る機構については必ずしも明確ではないが、核生成頻度
と関係するものと考えられる。
【0015】請求項2の発明において、銅合金芯材の金
属組織及び皮材の限定理由、またこれによって得られる
特性については、前記の請求項1の発明で説明したこと
と同じである。請求項2の発明に係わる複合銅合金材料
は、引張強度が750N/mm2 以上で、導電率が60
%以上の特性が得られ、且つメッキ性及びはんだ付け性
にも優れている。
【0016】次に、前記請求項1及び2の発明に係わる
複合銅合金材料(線材、板材)の製造方法について、述
べる。まず、複合銅合金線材の製造方法の一例につい
て、説明する。真空溶解炉にて、所定のO2 含有量のC
u地金を溶解し、Cr等の添加元素を所定量投入して所
定の合金組成の溶湯とし、これを鋳込んで円柱状の鋳塊
からなる芯材(例えば外径200mm)とする。次にこ
れを皮材となる純銅等の円筒に挿入し、端部を溶接した
後、HIPを行い、これを再び熱間押出加工(700〜
1000℃)して複合銅合金押出材(例えば外径10m
m)とする。次に、これを必要に応じて引抜加工(必要
に応じて途中焼鈍)して所定の寸法とした後、Crを固
溶させるため800〜1000℃の温度で30sec〜
15minの熱処理を施して急冷する溶体化処理を行
い、その後400〜700℃の温度で時効処理してCr
を微細に析出させ、次いでこれを断面減少率90%以上
の最終冷間引抜加工して所定寸法(例えば外径1.0m
m)の複合銅合金線材とするものである。なお、その
後、他の特性付与のため、500℃以下の低温焼鈍を施
してもよい。
【0017】ここで、熱間加工(押出、圧延)後溶体化
処理、続いて時効処理を行うのは、溶解鋳造で発生した
Crの晶出物の一部(1%未満)をいったん固溶させ、
これを更に時効処理によって微細に析出させ、これを後
の冷間による強加工によってファイバー状として、強度
と導電率を向上させるためである。なお、溶体化処理条
件、時効処理条件を前記のごとくしたのは、この範囲外
の場合は、所定の特性が得られないからである。また、
断面減少率90%以上の最終冷間引抜加工を行うのは、
Crの晶出物、析出物をマトリックス中にファイバー状
に分散させ、これを充分伸長させるためである(ファイ
バ状の晶出・析出物の平均径を5μm以下とする)。こ
のようにすることによって、強度(引張強さ)を650
N/mm2 以上望ましくは750N/mm2 以上、導電
率を60%以上とすることができる。
【0018】次に、板状の複合銅合金材料の製造方法に
ついて、説明する。前記と同様に所定の合金組成からな
る芯材用鋳塊を製造し、この芯材の片面又は両面に純銅
等の皮材を合わせて、これを熱間圧延により被覆して複
合銅合金熱間圧延板とし、これを必要に応じて冷間圧延
(必要に応じて途中焼鈍)して所定の板厚の板とし、前
記と同様な条件で、溶体化処理、時効処理、最終冷間圧
延を施して所定の複合銅合金板とするものである。な
お、銅合金芯材に皮材を被覆する方法としては、前記の
方法の外に、コンフォーム押出法、鋳ぐるみ法など公知
の方法を採用することができる。このように製造した複
合銅合金材料は、請求項1に記載の金属組織となり、高
強度、高電導性を有し、かつメッキ性及びはんだ付け性
にも優れている。
【0019】(2)請求項3及び4の発明について 請求項3の発明は、Cr10〜30%を含み、更にSi
0.05〜3.0%、P0.01〜0.1%、Co0.05〜3.0%、Ag0.05
〜3.0%、Ni0.05〜3.0%、Be0.05〜3.0%、Al0.05〜
3.0%、Sn0.05〜3.0%、Zn0.05〜5.0%の1種または2
種以上を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる
銅合金であって、その金属組織におけるCrの晶出・析
出物がマトリックス中にファイバ状に分散し、且つその
ファイバ状の晶出・析出物の平均径を5μm以下とした
銅合金材料を芯材とし、その芯材の外周に銅含有量が9
8%以上の銅若しくは銅合金の皮材を被覆した高強度及
び高電導性の複合銅合金材料である。
【0020】ここで、Cr10〜30%を含有する理由
は、前記と同様であるが、Cu−Cr合金に、更にSi
0.05〜3.0%、P0.01〜0.1%、Co0.05〜3.0%、Ag0.05
〜3.0%、Ni0.05〜3.0%、Be0.05〜3.0%、Al0.05〜
3.0%、Sn0.05〜3.0%、Zn0.05〜5.0%の1種または2
種以上を含有した銅合金とするが、これらの元素を添加
する理由、その範囲をこのようにする理由は、以下のと
おりである。Siは、強度向上に寄与する元素であり、
0.05% 未満ではその効果がなく、3.0%を越えると熱間加
工性が悪くなる。Pは、焼き入れ処理(溶体化処理)を
容易にする効果があり、0.01% 未満ではその効果がな
く、0.1%を越えると粒界に偏析して耐蝕性を低下させる
と同時に導電率が悪くなる。Coは、導電率の向上と温
度上昇に伴う結晶粒の粗大化を防止して耐熱性の向上に
も寄与する。0.05% 未満ではその効果がなく、3.0%を越
えると特性的に大きな変化がなく経済的でない。Ag
は、耐熱性を向上させる効果があるが、0.05% 未満では
その効果がなく、3.0%を越えると導電率の低下と融点の
低下が生じる。
【0021】Niは、強度向上の効果があり、0.05% 未
満ではその効果がなく、3.0%を越えると導電率の低下を
もたらす。Beは、強度向上の効果があり、0.05% 未満
ではその効果がなく、3.0%を越えると強度向上に大きな
変化がなく経済的に好ましくない。Alは、強度向上の
効果があり、0.05% 未満ではその効果がなく、3.0%を越
えると導電率が低下する。Sn、Znは、Cu−Cr合
金基地中に固溶し、高温強度を改善する効果がある。各
々0.05% 未満ではその効果がなく、3.0%と5.0%を越える
と上記効果に大きな変化がなく導電率が低下する。ま
た、これらの元素の添加は、材料の要求品質に応じて1
種または2種以上を添加する。
【0022】請求項3の発明における銅合金芯材の金属
組織、皮材についての限定理由及びこれによって得られ
る特性については、前記の請求項1、2の発明で説明し
たことと同じである。
【0023】次に、請求項4の発明について、説明す
る。請求項4の発明は、請求項3に記載のCu−Cr系
合金に、更にZr0.05〜0.5%、Ti0.05〜0.5%、Mg0.
05〜0.5%、B0.01〜0.1%、C0.01〜0.1%、N0.01〜0.1%
の1種または2種以上を合計で0.01〜0.5%含有する銅合
金であって、その金属組織におけるCrの晶出・析出物
をマトリックス中にファイバ状に分散させ、そのファイ
バ状の晶出・析出物の平均径を5μm以下とした芯材用
銅合金材料の外周に、銅含有量が98%以上の銅若しく
は銅合金の皮材を被覆したことを特徴とする高強度及び
高電導性の複合銅合金材料である。ここで、添加元素Z
r、Ti、Mg、B、C、Nの添加の理由等は、前記請
求項2で説明した理由と同様である。また、銅合金芯材
の金属組織、皮材についての限定理由及びこれによって
得られる特性については、前記請求項1で説明したこと
と同じである。
【0024】(3)請求項5の発明について 請求項5の発明は、前記請求項1〜4のいずれかに記載
の芯材用銅合金材料を複数集合させて集合体芯材とし、
更にその集合体芯材の外周に、銅含有量が98%以上の
銅もしくは銅合金の皮材が被覆されている高強度及び高
電導性の複合銅合金材料である。本発明は、このように
構成することによってCrの晶出・析出物を更に微細に
することができ、強度と導電率、特に強度を更に向上さ
せることができる。本発明の材料は、線材、板材いずれ
も製造可能であるが、線材の製造の方が容易である。こ
の材料の製造は、前記請求項1〜4のいずれかに記載の
芯材用銅合金材を溶解鋳造、熱間加工、冷間加工により
製造し、これを複数集合させて集合体芯材とし、その集
合体芯材を銅含有量が98%以上の銅もしくは銅合金の
皮材で被覆して複合材料とし、これに対して更に前記と
同様に、熱間加工、冷間加工、溶体化処理、時効処理、
減面加工率90%以上の最終冷間加工を行い、製造する
ものである。
【0025】
【実施例】次に、本発明の実施例(本発明例)を比較例
とともに、具体的に説明する。 〔実施例1〕本実施例は、請求項1及び2に関するもの
である。真空溶解炉にて、所定のO2 含有量の銅地金を
溶解し、Crおよび他の添加元素を所定量投入して、表
1に示す成分の均一な溶湯とし、これを鋳込んで、直径
200mmの鋳塊を得た。これを内径210mm、外径
230mmの純銅の円筒に挿入し、端部を溶接した後、
HIPを行い、これを950℃で再び押出して直径10
mmの複合銅合金押出材を得た。
【0026】次に、これを引抜加工(途中外径2.6m
mで中間焼鈍)した後、Crを固溶させるため1000
℃の温度で30分の熱処理を施して急冷する溶体化処理
を行い、その後500℃の温度で1時間の時効処理を行
い、Crを微細に析出させ、次いでこれに対して、断面
減少率92%の最終冷間引抜加工を行い、外径1.0m
mの複合銅合金線材(本発明例:No.1〜12、比較
例:No.13〜16)を得た。
【0027】この線材について、Crの晶出・析出物の
ファイバー状の径、引張強度と導電率を測定した。な
お、Crの晶出・析出物のファイバー状の径は、材料の
断面(加工方向と直角断面)を走査型電子顕微鏡にて観
察し、視野内のファイバー状の径を測定し、これの平均
値で示した。また、引張強度はJIS−Z2241に準
じて測定し、導電率はJIS−H0505に準じて測定
した。また、この線材について、Snメッキ及びはんだ
付けを行い、この特性を調べた。なお、メッキ性につい
ては、180℃×1hr加熱してふくれの有無を調べ、
ふくれ無しのものは○、有りのものは×で評価した。ま
た、はんだ付け性については、はんだ浴にデイップし、
ぬれ性について調べ、良好なものは○、不良のものは×
で評価した。これらの結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表2から明らかな如く、本発明の複合銅合
金材料は、強度と導電性に優れ、かつメッキ性、はんだ
付け性にも優れていることがわかる。
【0031】〔実施例2〕本実施例は、請求項3及び4
に関するものである。真空溶解炉にて、所定のO2 含有
量の銅地金を溶解し、Crおよび他の添加元素を所定量
投入して、表3に示す成分の均一な溶湯とし、これを鋳
込んで、直径200mmの鋳塊を得た。これを内径21
0mm、外径230mmの純銅の円筒に挿入し、端部を
溶接した後、HIPを行い、これを950℃で再び押出
して直径10mmの複合銅合金押出材を得た。
【0032】次に、これを引抜加工(途中外径2.6m
mで中間焼鈍)した後、Crを固溶させるため1000
℃の温度で30分の熱処理を施して急冷する溶体化処理
を行い、その後500℃の温度で1時間の時効処理を行
い、Crを微細に析出させ、次いでこれに対して、断面
減少率92%の最終冷間引抜加工を行い、外径1.0m
mの複合銅合金線材(本発明例:No.17〜28、比
較例:No.29〜32)を得た。
【0033】これらの線材について、実施例1と同様
に、Crの晶出・析出物の径、引張強度、導電率、メッ
キ性、はんだ付け性の測定若しくは試験評価を行い、こ
れらの結果を表4に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】表4から明らかな如く、本発明の複合銅合
金材料は、強度と導電性に優れ、かつメッキ性、はんだ
付け性にも優れていることがわかる。
【0037】〔実施例3〕本実施例は、請求項5に関す
るものである。真空溶解炉にて、銅地金、CrおよびZ
r元素を所定量投入して、表1のNo.5に示す合金成
分の均一な溶湯とし、これを鋳込んで、直径200mm
の鋳塊を得た。これを950℃で熱間押出して、直径6
0mmmの押出材を得た。これを冷間で直径7mmまで
伸線し、これを多数本、Cu−0.3%Sn合金の管に
入れて、端部を溶接してHIPを行った。これを外削加
工後、熱間押出加工を行い、直径50mmの複合銅合金
押出材を得た。次に、これを引抜加工(途中外径2.6
mmで中間焼鈍)した後、Crを固溶させるため100
0℃の温度で30分の熱処理を施して急冷する溶体化処
理を行い、その後500℃の温度で1時間の時効処理を
行い、Crを微細に析出させ、次いでこれを断面減少率
95%以上の最終冷間引抜加工して外径0.5mmの複
合銅合金線材(本発明例:No.33)を得た。これら
の線材について、実施例1と同様に、Crの晶出・析出
物の径、引張強度、導電率、メッキ性、はんだ付け性の
測定若しくは試験評価を行い、これらの結果を表5に示
す。
【0038】
【表5】
【0039】表5から、明らかなごとく、本発明の複合
銅合金材料は、強度と導電性特に強度に優れ、かつメッ
キ性、はんだ付け性にも優れていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】このように本発明によれば、従来なし得
なかった高強度でしかも導電率が高く、かつメッキ性、
はんだ付け性にも優れている材料を得ることができ、電
子機器用配線、リードフレーム、マグネットコイル等の
用途への適用が可能となり、工業上顕著な効果を奏する
ものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr10〜30%(wt%、以下同じ)
    を含み、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金で
    あって、その金属組織におけるCrの晶出・析出物がマ
    トリックス中にファイバ状に分散し、且つそのファイバ
    状の晶出・析出物の平均径を5μm以下とした銅合金材
    料を芯材とし、その芯材の外周に銅含有量が98%以上
    の銅若しくは銅合金の皮材を被覆したことを特徴とする
    高強度及び高電導性の複合銅合金材料。
  2. 【請求項2】 請求項1の合金組成の銅合金に、更にZ
    r0.05〜0.5%、Ti0.05〜0.5%、Mg0.05〜0.5%、B0.
    01〜0.1%、C0.01〜0.1%、N0.01〜0.1%の1種または2
    種以上を合計で0.01〜0.5%含有する銅合金としたことを
    特徴とする請求項1に記載の高強度及び高電導性の複合
    銅合金材料。
  3. 【請求項3】 Cr10〜30%を含み、更にSi0.05
    〜3.0%、P0.01〜0.1%、Co0.05〜3.0%、Ag0.05〜3.
    0%、Ni0.05〜3.0%、Be0.05〜3.0%、Al0.05〜3.0
    %、Sn0.05〜3.0%、Zn0.05〜5.0%の1種または2種
    以上を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅
    合金であって、その金属組織におけるCrの晶出物がマ
    トリックス中にファイバ状に分散し、且つそのファイバ
    状の晶出・析出物の平均径を5μm以下とした銅合金材
    料を芯材とし、その芯材の外周に銅含有量が98%以上
    の銅若しくは銅合金の皮材を被覆したことを特徴とする
    高強度及び高電導性の複合銅合金材料。
  4. 【請求項4】 請求項3の合金組成の銅合金に、更にZ
    r0.05〜0.5%、Ti0.05〜0.5%、Mg0.05〜0.5%、B0.
    01〜0.1%、C0.01〜0.1%、N0.01〜0.1%の1種または2
    種以上を合計で0.01〜0.5%含有する銅合金としたことを
    特徴とする請求項3に記載の高強度及び高電導性の複合
    銅合金材料。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の芯材用銅
    合金材料を複数集合させて集合体芯材とし、更にその集
    合体芯材の外周に、銅含有量が98%以上の銅もしくは
    銅合金の皮材が被覆されていることを特徴とする高強度
    及び高電導性の複合銅合金材料。
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