JPH10140213A - 鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法 - Google Patents

鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法

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JPH10140213A JP29684996A JP29684996A JPH10140213A JP H10140213 A JPH10140213 A JP H10140213A JP 29684996 A JP29684996 A JP 29684996A JP 29684996 A JP29684996 A JP 29684996A JP H10140213 A JPH10140213 A JP H10140213A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軽量化、高強度化をはかり、しかも従来の鋼製
と同等の耐摩耗性、耐熱性、耐熱亀裂性の特性を有する
アルミニウム基複合材料から構成されるブレーキディス
クの製造方法を提供する。 【解決手段】アルミニウム合金とセラミックスとの混合
粉末を密閉缶に挿入し高温プレス処理してのち鍛造して
製造されるアルミニウム基複合材料から構成される鉄道
車両用ブレーキディスクの製造方法であって、前記密閉
缶は高温プレス処理後取り除かれることなく、前記混合
粉末を封入した状態で鍛造されることを特徴とする鉄道
車両用ブレーキディスクの製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両に用いら
れ摩擦によって機械的に制動力を得るディスクブレーキ
のディスクの製造方法に関し、さらに詳しくは、従来の
鋼製と同等の耐摩耗性、耐熱性、耐熱亀裂性を有するア
ルミ複合材製の鉄道車両用軽量ブレーキディスクの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両や自動車および自動二輪車など
の機械的制動方式には、ブロックブレーキ、ドラムブレ
ーキおよびディスクブレーキなどがあり、近年は車両の
高速化や大荷重化に伴い、ディスクブレーキが多用され
るようになってきた。このディスクブレーキとは、ブレ
ーキディスクとブレーキライニング(摩擦材)との摩擦
によって制動力を得る装置で、鉄道車両の場合を例に取
れば、ドーナツ形の円盤状の摺動面と、その摺動面を後
背部で支持し車輪などの回転部分に取りつける基部とに
よって構成され、走行時回転している摺動面にブレーキ
ライニングを押し付けることにより制動力を得る。この
摺動面を有する円盤形状の部品をブレーキディスクとい
う。
【0003】図1は、このブレーキディスクの構造を示
す例であり、ブレーキディスクの上面(1/4)および
断面(1/2)を示す図面である。同図から明らかなよ
うに、ブレーキディスクはブレーキライニング(摩擦
材)が押しつけられる摺動面と取り付けのためのボルト
穴が一体に構成されている。一般的に、ブレーキディス
クに用いられる材料は、制動時の摩擦による摩耗と、急
激な温度上昇があるため、耐摩耗性、耐熱性、耐熱亀裂
性が要求される。ここでいう熱亀裂とは、制動ごとに生
ずる熱応力の繰り返しによって発生する熱疲労亀裂を意
味している。
【0004】従来、ブレーキディスクには鋳鉄、鍛鋼、
ステンレス鋼などの一体のものが使用されてきた。しか
しながら、車両の高速化、地球環境を保護するための省
エネルギー化対策としての軽量化、バネ下重量の低減に
よる乗り心地改善、等の要求から、ブレーキディスクに
もアルミニウムやアルミニウム合金を使用する傾向があ
る。例えば、ブレーキディスクの軽量化を図りつつ、耐
摩耗性を向上させるために、セラミックス粒子を分散さ
せたアルミニウム基複合材料が自動車用ブレーキディス
クに用いられている。
【0005】通常、アルミニウム基複合材料の製造方法
として溶湯法と粉末法に大別できるが、工業的には溶湯
法が広く採用されており、なかでも、鋳造法が多用され
ている。ブレーキディスクの製造においても、既存の製
造設備が利用可能であることに加え、ニヤネットシェイ
プ(Near Net Shape)成形が容易であることから、鋳造
法によって製造されたアルミニウム基複合材料が多く用
いられている。しかし、上記の鋳造法によって製造され
たアルミニウム基複合材料によって構成されるブレーキ
ディスクでは、セラミックス粒子を均一に分散させるこ
とが困難であるため、ディスクの摩耗特性が安定しない
という問題がある。また、ブレーキディスクの強度は熱
処理によって向上され、所定の強度が確保されている。
このため、ブレーキディスクが自動車用として通常の条
件で使用されている場合には、耐熱性および耐熱亀裂性
は問題にならない。しかし、より高負荷でより長時間の
耐久性が要求される鉄道車両用ブレーキディスクとして
用いる場合には、過酷な条件で使用中に徐々に熱処理に
よる強度向上分が開放され、最終的に熱亀裂がが発生す
るという問題もある。さらに、強度を確保するため、鋳
造法によって製造された複合材料を鍛造加工する方法も
検討されるが、鍛造割れ等のトラブルが発生し採用でき
ないものである。
【0006】上述の問題を解決するため、従来から多く
の方法が提案されている。例えば、特公平7-107415号公
報には、アルミニウム基複合材料の粉末を用いてブレー
キディスクを製造する方法が提案されている。この提案
の製造方法はアルミニウム基複合材料で構成されるブレ
ーキディスクのコスト低減を主目的としており、アルミ
ニウム基複合材料の原料粉末をアルミニウムまたはアル
ミニウム基合金の円筒容器に入れて軸方向に圧縮を施し
た後、軸に対して垂直に切断して複数の円板部材を形成
し、この円板部材を熱間でクロス圧延することとしてい
る(後述する図4参照)。
【0007】しかしながら、提案の方法で製造される複
合材料は冶金的に粒子同士の結合が不十分な圧粉体にす
ぎず、熱間で圧延する場合に圧下率を大きくすると圧粉
体に割れを生じ易い。このため、熱間クロス圧延ではそ
の圧下率を低くとらざるを得ず、前述の過酷な条件の下
で用いられる鉄道車両用ブレーキディスクに要求される
特性を満足することが困難である。また、鉄道車両用ブ
レーキディスクは複雑な形状を有すとともに、寸法的に
も大寸法のものが要求される。しかも、提案の方法で製
造される複合材料は難加工性であって、円板形状のディ
スクしか製造できないため、提案の方法ではクロス圧延
後の機械加工に多大なコストを生じるという問題もあ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
問題とされていた粉末法によるアルミニウム基複合材料
の製造方法の改良であり、軽量化、高強度化をはかり、
しかも従来の鋼製と同等の耐摩耗性、耐熱性、耐熱亀裂
性の特性を有するアルミニウム基複合材料から構成され
るブレーキディスクの製造方法を提供することを目的と
している。
【0009】
【課題を解決するための手段】鉄道車両用ブレーキディ
スクに用いられるアルミニウム基複合材料の製造方法と
して粉末法を採用すると、要求される高い強度レベルを
確保することが前提となるが、材料特性として粒子の分
散は均一であり、他の特性においても鋳造法によって製
造されたアルミニウム基複合材料より改善されることが
期待される。本発明はこのような着眼に基づいて完成さ
れたものであり、その要旨は、下記の鉄道車両用ブレー
キディスクの製造方法にある。
【0010】すなわち、アルミニウム合金とセラミック
スとの混合粉末を密閉缶に挿入し高温プレス処理しての
ち鍛造して製造されるアルミニウム基複合材料から構成
される鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法であっ
て、前記密閉缶は高温プレス処理後取り除かれることな
く、前記混合粉末を封入した状態で鍛造されることを特
徴とする鉄道車両用ブレーキディスクの製造方法であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明方法の特徴である、鉄道車
両用として用いられるブレーキディスク構成材料、すな
わち、アルミニウム基複合材料およびその製造方法につ
いて説明する。
【0012】(1)ブレーキディスク構成材料 ブレーキディスク構成材料は、マトリックス材であるア
ルミニウム合金に粒子状または繊維状のセラミックスを
分散させたものである。分散させるセラミックスの体積
率は、低すぎると耐摩耗性が十分満足されないし、高す
ぎるとじん性を低下させる要因となり、機械加工性を悪
化させるので、5〜30%の範囲にするのが望ましい。特
に、セラミックスの体積率は10〜20%の範囲にするのが
さらに望ましい。
【0013】セラミックス材料としてはSiC、Al2O3など
があげられるが、セラミックス材の硬さ、熱伝導性等の
特性からブレーキディスクとしてはSiCが最も適してい
る。さらに、その形状は粒子状、または繊維状いずれで
もよいが、複合材料の異方性を少なくすることから粒子
状が望ましい。
【0014】ブレーキディスクのマトリックス材となる
アルミニウム合金は、JIS-H-4140にて規定されるような
鍛造用アルミニウム合金から選定すればよい。このと
き、鋳造材として用いる場合には、マトリックス材であ
るアルミニウム合金中のSi量が多くなければ(例えば、1
0%以上)、鋳造前の溶解時に強化材であるSiC粒子がマト
リックス中に溶融してしまうという恐れがある。しか
し、本発明方法のように、粉末法を採用する場合には、
SiC粒子がマトリックス材に溶融するような状況を考慮
する必要はなく、このような材料成分上の制約は特にな
い。ところが、実際のブレーキ制動状態ではディスク温
度は高温になるため、高温強度の高い材料(例えば、Al-
Mg系アルミニウム合金など)を用いるのが望ましい。
【0015】(2)製造方法 図2は、後述する実施例で説明する本発明のブレーキデ
ィスク製造方法のフローチャートを示す図であるが、本
発明の製造方法の一例を示すものである。同図に示すよ
うに、マトリックス材であるアルミニウム合金粉末とセ
ラミックス粒子または繊維を混合した粉末は、密閉缶に
挿入され、その後高温プレス処理されて、アルミニウム
基複合材料となる。次いで、複合材料の強度をさらに上
昇させるために、混合粉末を封入した密閉缶を取り除く
ことなく、混合粉末、すなわち複合材料を封入したまま
の状態で鍛造が行われる。
【0016】上記の高温プレス処理によって、混合粉末
の充填率が増加するとともに、粒子表面の酸化皮膜が破
砕されるために、粒子間の結合が強固となる。この結
果、製造されたアルミニウム基複合材料の鍛造性は、あ
る程度向上する。しかし、十分な強度、所要のディスク
形状を得るためには、さらに鍛造加工を施す必要があ
り、しかも、このときの鍛造における圧下率は40%以上
確保する必要がある。一方、高温プレス処理後に複合材
料を封入した缶を取り除いて鍛造を行うと、鍛造割れが
発生し易くなり、40%の圧下率を確保できない。これに
対し、複合材料を缶に封入した状態で鍛造を行うと、こ
の様な問題は解消され、圧下率を40%以上にしても十分
鍛造できる。
【0017】高温プレス処理には種々の方法があるが、
一般にHIP処理が多用されている。このHIP処理を行う場
合には、処理圧力が低いと成形される材料の充填率、強
度が不足となり好ましくない。一方、一定以上の処理圧
力を加えてもその効果が飽和するので、処理圧力は500
〜1200kgf/cm2の範囲にするのがよい。また、HIP処理で
の処理温度が低いと前記の効果が望めず、逆に高いと混
合粉末が溶融して、セラミックス粒子または繊維の分布
が不均一となるおそれがあるので、350〜550℃の処理温
度とするのがよい。さらに、HIP処理の時間は、短時間
であると効果は低く、一定時間以上にしても効果が飽和
するので、30分〜2時間の範囲にするのがよい。
【0018】高温プレス処理として、他の処理方法を採
用することが有効な場合がある。すなわち、鉄道車両に
用いられるブレーキディスクの寸法は直径700mm程度で
あり、鍛造前においても素材は直径500mm程度の大きさ
を確保する必要があるが、この寸法の素材をHIP処理す
るために要する設備コストや製造コストは多大なものと
なる。このため、上記の図2に示すように、高温プレス
処理としてCIP処理によって粉末の充填率を上げた後、
ホットプレスを行う方法が有効である。CIP処理を採用
する場合には、処理圧力が500 kgf/cm2未満では成形さ
れる材料の充填率が低く、一方、処理圧力が2000 kgf/c
m2を超えても効果は飽和するので、500〜2000kgf/cm2
範囲とするのがよい。特に、1200〜1800kgf/cm2の圧力
範囲でCIP処理するのが望ましい。
【0019】CIP処理ののちホットプレスを行う場合、圧
力が低いとホットプレスの効果は低く、高いと金型が破
損するおそれがあるので、その処理圧力は1500〜3500kg
f/cm2の範囲とするのがよく、特に、2700〜3200kgf/cm2
の範囲が望ましい。ホットプレスの加熱温度は、低いと
効果が低く、高いと混合粉末が溶融してセラミックス粒
子または繊維の分布が不均一となるおそれがあるので、
350〜550℃の範囲とするのがよい。
【0020】本発明の製造方法では、混合粉末を密閉缶
に挿入し高温プレス処理してのち、この密閉缶は高温プ
レス処理後も取り除かれることなく、混合粉末を挿入し
た状態で鍛造されることを特徴としている。前述の通
り、鍛造時において、成形された材料を密閉缶から取り
除いて鍛造すると鍛造割れが発生し易く、圧下率を一定
以上に上げることができず、複合材料の強度を十分に上
昇させることが困難になる。このため、密閉缶を取り除
くことなく、材料を封入した状態で鍛造を行う。このと
きの密閉缶の厚さは薄いと鍛造時に割れが生じ、厚いと
鍛造時に缶のみが鍛造される状態になるので、缶の厚さ
は6〜40mmにするのがよい。特に、11〜30mmにするのが
望ましい。密閉缶の材質としては、JIS-H-4140に規定さ
れている鍛造用のアルミニウム合金から選択すればよ
く、例えば、A6061、A6063合金等はじん性、延性に優れ
ていることから特に望ましい。
【0021】前述の通り、製造されたアルミニウム基複
合材料で十分な強度を有し、所要のディスク形状を得る
ためには、鍛造における圧下率は40%以上確保する必要
がある。特に、鍛造時の圧下率が60%以上であれば十分
な強度が確保できるので、さらに望ましい。また、鍛造
加工でのひずみ速度は遅いと生産性が悪くなり、逆にひ
ずみ速度が速すぎると鍛造時に割れが発生し易くなるの
で、10-2〜101s-1の範囲にするのがよい。特に、10-1
100-1程度のひずみ速度で鍛造するのが望ましい。
鍛造時の加熱温度は、低いと鍛造性が悪化し割れが発生
し易くなり、高いと材料が溶融して、セラミックス粒子
または繊維の分布が不均一となり、割れが発生するおそ
れがあるので、350〜550℃の範囲にするのが望ましい。
特に、450℃前後の加熱温度で鍛造するのが望ましい。
【0022】鍛造加工されたアルミニウム基複合材料
は、必要に応じて機械加工が行われ、所要の形状に加工
される。このとき、密閉缶として使用されたアルミニウ
ム合金は、ブレーキディスクの摺動面以外なら残留して
いても問題にない。
【0023】
【実施例】本発明方法の効果を、本発明例と比較例とを
対比して説明する。
【0024】(本発明例)図2は、本発明例が採用した
ブレーキディスクの製造方法のフローチャートを示す図
である。本発明例では、上記の製造方法によって図1に
示す形状の鉄道車両用ブレーキディスクを製造した。
【0025】複合材料のマトリックス材には、試料1〜
3の3種類のアルミニウム合金を用いた。それぞれ、試
料1はAl-Mg系であるJIS A5083アルミニウム合金、試料
2は8重量%のSiと1重量%のCuを添加したAl8Si1Cu、さ
らに試料3は8重量%のFeと1重量%のVを添加したAl8Fe
1Vとした。強化材として平均粒径5μmのSiC粒子を用
い、その体積率は10%とした。試料1〜3をマトリック
ス材として、図2に示す製造方法で製造されたアルミニ
ウム基複合材料を実施例1〜3とし、その一般的な特徴
を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】複合材料の製造過程において、種々の実験
を行った。まず、3種のアルミニウム合金粉末とSiC粒
子とをそれぞれ混合し、厚さ30mm、直径500mm、材質A60
63のアルミニウム合金で製作された密閉缶に封入し、真
空脱気処理を行った。次いでCIP処理およびホットプレ
スを行った後、鍛造加工を施した。このとき、 CIP処理
は圧力1530kgf/cm2で、ホットプレスは温度450℃、圧力
3055kgf/cm2の条件で行った。また、鍛造加工は加熱温
度450℃、ひずみ速度10-1s-1の条件で行った。このCIP
処理およびホットプレスにより混合粉末の充填率は、そ
れぞれCIP処理で約80%、ホットプレスで99%以上とな
り、鍛造前の素材の形状は直径500mm、厚さ260mmの円板
とした。その後鍛造加工により、例えば、圧下率50%で
直径約750mm、厚さ約105mmの円板に加工した。
【0028】上記の鍛造加工において、密閉缶の厚さと
鍛造性との関係を調査した。表2は、実施例1(試料1
+SiC粒子)を鍛造加工する場合の実験結果を示してい
る。同表から明らかなように、缶に封入したまま鍛造を
行うと、鍛造割れが生じることなく良好な鍛造性が得ら
れる。特に、密閉缶の厚さは11〜30mmの範囲にするの
が望ましい。また、同表で缶の厚さ0mmとするのは、ホ
ットプレス後に缶を取り除いて鍛造加工する場合の結果
を示している。この場合、圧下率30%で鍛造割れを発生
した。その他の加工では、実施例2では圧下率35%で、
実施例3では圧下率20%で鍛造割れが生じ、鍛造加工が
できなかった。
【0029】
【表2】
【0030】図3は、実施例1における鍛造加工におけ
る圧下率と引張強度の関係を示す図である。圧下率50%
を加えることによって、引張り強さが350MPaと高い強度
レベルが得られ、しかも伸びは14%程度であった。した
がって、この後、機械加工でブレーキディスクを製作す
ることによって、耐磨耗性に優れたものが得られること
が分かる。
【0031】(比較例)比較のため、粉末法および鋳造
法によって、複合材料のマトリックス材に前記試料1の
Al-Mg系の合金またはAl-Si系合金を用いて、本発明例と
同様に、図1に示すブレーキディスクを製造した。
【0032】粉末法としては、図4に示す前記特公平7-
107415号公報で提案された製造方法を採用した。すなわ
ち、試料1のアルミニウム合金の粉末とSiC粒子とをそ
れぞれ混合し、アルミニウム合金で製作された円筒容器
に入れ、軸方向に圧縮を施した後、軸に対して垂直に切
断して複数の円板部材を形成し、この円板部材を熱間で
クロス圧延した。このとき、クロス圧延で圧下率を20%
とすると、ディスク(圧粉体)に割れが生じたので、クロ
ス圧延では圧下率は10%とした。その後、機械加工によ
ってブレーキディスクを製作し、比較例1とした。比較
例1では圧下率が低く、引張り強さは200MPa程度に留ま
り、耐磨耗性は本発明例より劣る。
【0033】次に鋳造法では、試料1のようなAl-Mg系
の合金をマトリックス材として複合材料を製造すること
は困難であるため、Al-Si系合金をマトリックス材とし
て10%SiC粒子を分散させた複合材料を用いて砂型鋳造
後、機械加工してブレーキディスクを製作し、比較例2
とした。比較例2の強度は、引張り強さで約140MPa、伸
びで約0.8%であり、本発明例に比べ、耐磨耗性は著しく
て低下することが分かる。
【0034】本発明例および比較例で製作されたブレー
キディスクのブレーキ試験の結果を表3に示す。
【0035】
【表3】
【0036】本発明例(実施例)1〜3、比較例1〜2
のブレーキディスクを新幹線に相当する台上ブレーキ試
験を行い、耐久性を評価した。ブレーキ初速度350km/h
に相当するブレーキを繰返し負荷したところ、比較例2
では2回、比較例1では6回の繰返しブレーキで、ボル
ト穴縁に亀裂割れが生じた。これに対し、本発明例1〜
3は、200回の繰返しブレーキを負荷しても、何らの割
れ等の損傷は生じず、良好な性能が得られた。
【0037】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、軽量化、高
強度化をはかり、しかも従来の鋼製と同等の耐摩耗性、
耐熱性、耐熱亀裂性の特性を有するアルミニウム基複合
材料から構成されるブレーキディスクの製造方法を容易
に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ブレーキディスクの構造を示す例であり、ブレ
ーキディスクの上面(1/4)および断面(1/2)を
示す図面である。
【図2】本発明例が採用したブレーキディスクの製造方
法のフローチャートを示す図である。
【図3】実施例1における鍛造加工における圧下率と引
張強度の関係を示す図である。
【図4】従来技術で提案されたブレーキディスクの製造
方法のフローチャートを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東口 洋史 大阪府大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友金属工業株式会社関西製造所製鋼品事 業所内 (72)発明者 古谷 精市 大阪府大阪市此花区島屋5丁目1番109号 住友金属工業株式会社関西製造所製鋼品事 業所内 (72)発明者 大久保 喜正 東京都港区新橋五丁目11番3号住友軽金属 工業株式会社内 (72)発明者 江崎 宏樹 東京都港区新橋五丁目11番3号住友軽金属 工業株式会社内 (72)発明者 時実 直樹 東京都港区新橋五丁目11番3号住友軽金属 工業株式会社内 (72)発明者 菊地 昭雄 東京都港区新橋五丁目11番3号住友軽金属 工業株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム合金とセラミックスとの混合
    粉末を密閉缶に挿入し高温プレス処理してのち鍛造して
    製造されるアルミニウム基複合材料から構成される鉄道
    車両用ブレーキディスクの製造方法であって、前記密閉
    缶は高温プレス処理後取り除かれることなく、前記混合
    粉末を封入した状態で鍛造されることを特徴とする鉄道
    車両用ブレーキディスクの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008309319A (ja) * 2007-06-18 2008-12-25 Sumitomo Metal Ind Ltd 鉄道車両用ブレーキライニング及びディスクブレーキ
CN114087301A (zh) * 2021-11-11 2022-02-25 湖南金天铝业高科技股份有限公司 热压整形制备制动盘过程中工艺参数的估算方法及估算系统

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