JPH10140130A - 道路凍結防止剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 道路付近の動植物に悪影響を及ぼさずに、路
面の凍結を防止し、融雪効果とその持続性が高く、自動
車、道路標識等の腐食を防止できる道路凍結防止剤を提
供する。 【解決手段】平均粒径０.６〜１３.２ｍｍを有しかつ酢
酸塩と防錆剤とを含浸した多孔性の骨材により構成さ
れ、路面に散布して使用される道路凍結防止剤を提供す
る。氷点降下と融雪効果を有する酢酸塩を骨材の多孔に
充填するので、道路付近の動植物に悪影響を及ぼさずに
路面の凍結を防止し、融雪効果を促進ししかも融雪効果
の持続性を高めることができる。また、防錆剤を使用す
るので、自動車、道路標識等の金属の腐食を防止するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、道路付近の動植物
に悪影響を及ぼさずに、冬季降雪時又は凍結時に道路の
凍結並びに自動車のスリップ及び車体又は道路標識等の
腐食を防止する道路凍結防止剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】冬季又は寒冷地では、路面の凍結を防止
し、自動車のスリップを防ぐため路面スリップ防止剤を
散布することは公知である。例えば、特開平４−２８５
６８４号公報には、貝殻の粉末に氷点降下剤を配合した
路面スリップ防止剤が示されている。また、路面への散
布剤ではないが、特開平２−２８３７８２号公報に、ド
ロマイト（カルシウム・マグネシウムの炭酸塩鉱物）を
酢酸等で反応させた生成物を０.２ｍｍ以下の多孔性粉
末に充填させた道路凍結防止剤が示されている。

【０００３】

【発明が解決しょうとする課題】しかしながら、氷点降
下剤として塩化カルシウム、塩化マグネシウム等の塩化
物を使用する路面スリップ防止剤は、自動車を腐食さ
せ、道路付近の動植物に悪影響を及ぼす。尿素系の路面
スリップ防止剤は、融雪効果が低く、また貝殻の粉末に
氷点降下剤を混合しただけなので、融雪効果の持続性が
低い。

【０００４】０.２ｍｍ以下の多孔性粉末を使用する道
路凍結防止剤は、道路凍結防止剤をアスファルト混合物
に混合して舗装し、道路凍結防止剤埋込道路を作る。使
用方法が相違するが、この道路凍結防止剤を路面に散布
し、路面スリップ防止剤として使用しても、０.２ｍｍ
以下の小さい粒径のためスリップ防止効果が低い。

【０００５】本発明は、道路付近の動植物に悪影響を及
ぼさずに、路面の凍結を防止し、融雪効果とその持続性
が高く、自動車、道路標識等の腐食を防止できる道路凍
結防止剤を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を達成するための手段】本発明は、平均粒径０.
６〜１３.２ｍｍを有しかつ酢酸塩と防錆剤とを含浸し
た多孔性の骨材により構成され、路面に散布して使用さ
れる。

【０００７】酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、酢酸カルシウム、酢酸ケイ素、酢酸コバルト、
酢酸カルシウム・マグネシウム、酢酸スズ、酢酸鉄、酢
酸銅、酢酸銅カリウム、酢酸銅カルシウム、酢酸ニッケ
ル、酢酸マンガン、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム等
の金属の酢酸塩を重量基準で１０〜６０部、好ましくは
１５〜５０部使用できる。防錆剤としては、水酸化カル
シウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウム、
トリポリリン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酢酸カル
シウム、リン酸、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等
の無機防錆剤を重量基準で、５〜３５部、好ましくは８
〜１５部使用できる。多孔性の骨材としては、溶岩粉
末、軽石粉末、発泡硝子粉末、カルサインドボーキサイ
ト、硬質スラグ等の無機骨材を重量基準で１５〜９０
部、好ましくは３５〜７５部で使用できる。

【０００８】平均粒径０.６〜１３.２ｍｍの骨材の粒径
が、平均粒径０.６ｍｍ未満又は１３.２ｍｍを超える
と、路面スリップ防止効果が低下するため、平均粒径は
０.６〜１３.２ｍｍの範囲、好ましくは１.０〜１０.０
ｍｍがよい。

【０００９】本発明は、氷点降下と融雪効果を有する酢
酸塩を骨材の多孔に充填するので、道路付近の動植物に
悪影響を及ぼさずに路面の凍結を防止し、融雪効果を促
進ししかも融雪効果の持続性を高めることができる。ま
た、防錆剤を使用するので、自動車、道路標識等の金属
の腐食を防止することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明による道路凍結防止
剤の実施の形態を説明する。本発明の道路凍結防止剤
は、平均粒径０.６〜１３.２ｍｍを有しかつ酢酸塩と防
錆剤とを含浸した多孔性の骨材により構成される。この
道路凍結防止剤の製造の際に、重量基準で、酢酸塩を１
０〜６０部、好ましくは１５〜５０部と、防錆剤を５〜
３５部、好ましくは８〜１５部を、水１５〜９５部、好
ましくは２３〜６５部に加え溶解させる。次に、混合水
溶液と多孔性骨材とを混合し、多孔性骨材の孔中に酢酸
塩と防錆剤とを含む水溶液を含浸する。次に、混合物を
加熱し、水を乾燥させ、酢酸塩と防錆剤を多孔性骨材の
孔中に残存させる。

【００１１】酢酸塩が１０部未満であると、氷点降下と
融雪効果が十分ではなく、６０部を越えても、氷点降下
と融雪効果は同じである。防錆剤が５部未満であると、
腐食抑制効果が不十分で、３５部を超えても、腐食抑制
効果は同じである。水が１５部未満であると、酢酸塩と
防錆剤の溶解が十分ではなく、９５部を超えると、乾燥
に時間が掛かる。冬季、降雪凍結前、降雪凍結後、本発
明の道路凍結防止剤を道路の路面に散布する散布量は２
０〜８０ｇ／ｍ²程度でよい。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の道路凍結防止剤を実施例によ
り説明する。 ［例１］酢酸カリウム３２部とトリポリリン酸ナトリウ
ム８部を水４０部に加え溶解させ、得られた平均粒径
２.５〜５.０ｍｍの溶岩粉末６０部に混合した。次に、
混合物を加熱し水を蒸発させ乾燥し、溶岩粉末の孔中
に、酢酸カリウムとトリポリリン酸ナトリウムを充填さ
せた道路凍結防止剤９７部を得た。平均気温−４℃の降
雪５ｃｍの条件下で、得られた道路凍結防止剤を６０ｇ
／ｍ²程度舗装道路の表面に散布した。３０分後に雪が
溶け始め、３時間後には殆ど雪が溶けた。この間降雪中
であったが、５時間経過しても積雪しなかった。３０分
後に雪が溶け始めた時点で、自動車の制動実験を行った
ところ、時速５ｋｍの速度で、ブレーキをかけてから４
３ｃｍで停止した。 ［比較例１］酢酸カリウム３２部とトリポリリン酸ナト
リウム８部を平均粒径２.５〜５.０ｍｍ溶岩粉末６０部
に混合し、混合水溶液を平均気温−４℃の降雪５ｃｍの
条件下で、舗装表面に６０ｇ／ｍ²程度散布した。３０
分後に雪が溶け始め、３時間後には殆ど雪が溶けた。し
かし、この間降雪中であり、３時間経過した時点で、積
雪し始めた。また、３０分後に雪が溶け始めた時点で、
自動車の制動実験を行ったところ、速度５ｋｍ／ｈｒ
で、ブレーキをかけてから４６ｃｍで停止した。 ［例２］酢酸カルシウム・マグネシウム１５部と亜硝酸
ナトリウム１０部を、水２５部に加え溶解させ、得られ
た混合水溶液を粒径５〜１３.０ｍｍ硬質スラグ７５部
に混合した。次に、加熱して水を蒸発させ乾燥し、硬質
スラグの孔中に、酢酸カルシウム・マグネシウムと亜硝
酸ナトリウムを充填させた道路凍結防止剤９８部を得
た。これを平均気温−７℃の降雪６ｃｍの条件下で、舗
装表面に４０ｇ／ｍ²程度散布した。３０分後に雪が溶
け始め、４時間後には、殆ど雪が溶けた。また、３０分
後に雪が溶け始めた時点で、自動車の制動実験を行った
ところ、時速５ｋｍの速度で、ブレーキをかけてから５
１ｃｍで停止した。 ［比較例２］平均粒径０.２ｍｍのドロマイトを酢酸で
反応させた生成物１５部を多孔性硬質スラグ粉末８５部
に充填させた道路凍結防止剤を平均気温−７℃の降雪６
ｃｍの条件下で舗装表面に４０ｇ／ｍ²程度散布した。
３０分後に雪が溶け始め、５時間後には、殆ど雪が溶け
た。また、３０分後に雪が溶け始めた時点で、自動車の
制動実験を行ったところ、時速５ｋｍの速度で、ブレー
キをかけてから１０６ｃｍで停止した。

【００１３】

【発明の効果】前記の通り、本発明の道路凍結防止剤
は、路面に散布すると、路面の凍結を防止し、融雪効果
とその持続性を高くし、しかも、路面スリップ防止効果
も高く、自動車、道路標識等の腐食を防ぎ、道路付近の
動植物に悪影響を及ぼさない。

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 平均粒径０.６〜１３.２ｍｍを有しかつ
   酢酸塩と防錆剤とを含浸した多孔性の骨材により構成さ
   れることを特徴とする道路凍結防止剤。
2. 【請求項２】 酢酸塩は、酢酸ナトリウム、酢酸カリウ
   ム、酢酸カルシウム、酢酸ケイ素、酢酸コバルト、酢酸
   カルシウム・マグネシウム、酢酸スズ、酢酸鉄、酢酸
   銅、酢酸銅カリウム、酢酸銅カルシウム、酢酸ニッケ
   ル、酢酸マンガン、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム等
   の金属の酢酸塩である請求項１に記載の道路凍結防止
   剤。
3. 【請求項３】 重量基準で１０〜６０部の酢酸塩を含む
   請求項２に記載の道路凍結防止剤。
4. 【請求項４】 防錆剤は、水酸化カルシウム、水酸化マ
   グネシウム、リン酸水素カルシウム、トリポリリン酸ナ
   トリウム、炭酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸、
   亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム等の無機防錆剤であ
   る請求項１に記載の道路凍結防止剤。
5. 【請求項５】 重量基準で５〜３５部の防錆剤を含む請
   求項４に記載の道路凍結防止剤。
6. 【請求項６】 多孔性の骨材は、溶岩粉末、軽石粉末、
   発泡硝子粉末、カルサインドボーキサイト、硬質スラグ
   等の無機骨材である請求項１に記載の道路凍結防止剤。
7. 【請求項７】 重量基準で１５〜９０部の多孔性の骨材
   を含む請求項６に記載の道路凍結防止剤。