JPH10139793A - 新規香料配糖体 - Google Patents

新規香料配糖体

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JPH10139793A
JPH10139793A JP8292662A JP29266296A JPH10139793A JP H10139793 A JPH10139793 A JP H10139793A JP 8292662 A JP8292662 A JP 8292662A JP 29266296 A JP29266296 A JP 29266296A JP H10139793 A JPH10139793 A JP H10139793A
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JP
Japan
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fragrance
glycoside
perfume
residue
present
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Pending
Application number
JP8292662A
Other languages
English (en)
Inventor
Noriaki Oka
憲明 岡
Kanzo Sakata
完三 坂田
Yasuichi Usui
泰市 碓氷
Shuji Watanabe
修治 渡辺
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Pola Chemical Industries Inc
Original Assignee
Pola Chemical Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 香気放出性と香気放出持続性に優れる香料配
糖体、その製造法及び前記香料配糖体を含有する組成物
並びに前記組成物を用いた香気の持続的な発生方法を提
供する。 【解決手段】 下記一般式(1)に表される香料配糖体
を製造し、香粧品等の組成物に配合する。 【化1】 但し、式(1)中Rは香料残基を表し、nは1〜3の自
然数を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な香料配糖体、
その製造法及び香料配糖体組成物並びに香気の発生方法
に関し、詳しくは、香気放出性と香気放出持続性に優れ
る新規香料配糖体、その製造法及び前記香料配糖体を含
有する組成物並びに前記組成物を用いた香気の持続的な
発生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、香水に代表される香料組成物の最
大の課題は、その心地よい香りを如何に長く持続させる
かであった。この課題を解決するためこれまでに、例え
ば、β−サイクロデキストリン包接香料や香料の配糖体
化等の種々の試みがなされてきた。しかしながら、β−
サイクロデキストリン包接香料においては、香りの持続
性はある程度向上されているものの、香料の放出が環境
に影響されること、更に香料放出性は包接された香料の
種類により異なること等に起因して、香りのバランスが
大きく変わってしまうという欠点があった。また、香料
の配糖体においては、配糖体化酵素としてβ−グルコシ
ダーゼが一般的に存在することから、β−グルコース配
糖体が種々作製されて試験に供されてきたが、β−グル
コシダーゼの存在量は皮膚上では少ないため、思ったほ
どの香りの持続性の効果は得られなかった。
【0003】一方、一般式(1)に表される香料配糖体
は文献未記載の新規物質であり、この配糖体が皮膚上で
切断され香気を発すること、及びこの様な香料配糖体が
香気発生の持続性に優れることは全く知られていなかっ
た。
【0004】更に、皮膚上に広く存在するリゾチームや
α−アミラーゼが、一般式(1)に表される香料配糖体
の製造において糖鎖を伸ばす反応に際して酵素活性を示
すことは知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、香気放出性と香気放出持続性に
優れる香料配糖体、その製造法及び前記香料配糖体を含
有する組成物並びに前記組成物を用いた香気の持続的な
発生方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、リゾチーム及
び/又はα−アミラーゼを用いて一般式(1)に表され
る香気放出性と香気放出持続性に優れる新規香料配糖体
を製造することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、下記一般式(1)に表
される香料配糖体である。
【0008】
【化4】
【0009】但し、式(1)中Rは香料残基を表し、n
は1〜3の自然数を表す。上記本発明の香料配糖体を示
す一般式(1)において、Rで表される香料残基とし
て、具体的には、フェネチルアルコール残基、ゲラニオ
ール残基、シトロネロール残基、シンナミルアルコール
残基、シス−3−ヘキセニルアルコール残基、メントー
ル残基等を挙げることができる。
【0010】本発明はまた、上記一般式(1)で表され
る香料配糖体を含有する組成物を提供する。本発明の組
成物として、好ましくは、香粧品を挙げることができ
る。本発明はさらに、リゾチーム及び/又はα−アミラ
ーゼを触媒として用いて、下記一般式(2)に表される
糖と、下記一般式(3)に表される香料のN−アセチル
グルコサミニドと、を反応させることを特徴とする上記
一般式(1)で表される香料配糖体の製造法を提供す
る。
【0011】
【化5】
【0012】但し、式(2)中nは1〜3の自然数を表
す。
【0013】
【化6】
【0014】但し、式(3)中Rは香料残基を表す。ま
た本発明は、上記一般式(1)で表される香料配糖体を
含有する本発明の組成物に、前記組成物が含有する香料
配糖体のN−アセチルグルコサミン残基間のβ−1,4
結合を加水分解できる糖鎖切断酵素と、前記酵素による
加水分解で得られる短糖鎖香料配糖体を糖と香料に加水
分解できる配糖体加水分解酵素とを作用させ、香料を持
続的に生成させる香気の発生方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の香料配糖体について説明する。 (1)本発明の香料配糖体 本発明の香料配糖体は、上記一般式(1)に表される構
造を有する。ここで、一般式(1)においてRは香料残
基を表し、nは1〜3の自然数を表すことから、一般式
(1)に表される香料配糖体は、言い替えれば、香料
(その構造式はR−OHで表すことが可能である)のN
−アセチルグルコサミン(2−アセチルアミノ−2−デ
オキシ−D−グルコース)β−1,4結合オリゴマー
(3量体〜5量体)配糖体であるといえる。
【0016】上記本発明の香料配糖体に用いられる香料
としては、香料配糖体の糖部分を構成する上記N−アセ
チルグルコサミンのβ−1,4結合3量体〜5量体にお
ける末端糖の1位の水酸基と反応して脱水縮合するため
の水酸基を有するものであれば、特に限定されないが、
揮発性が大きく、なおかつ、香料のかおりのイメージ形
成に対して影響の大きいものが、本発明の香料配糖体に
おいては好ましい。この様な香料として、具体的には、
フェネチルアルコール、ゲラニオール、シトロネロー
ル、シンナミルアルコール、シス−3−ヘキセニルアル
コール、メントール等を好ましく挙げることができる。
【0017】また、本発明の香料配糖体の糖部分は、上
記の様にN−アセチルグルコサミンのβ−1,4結合に
よる3量体、4量体あるいは5量体の残基であるが、こ
れらのなかでも、前記単位糖の5量体残基が糖部分を構
成することが好ましい。この様な一般式(1)で表され
る本発明の香料配糖体は、文献未知の新規化合物であ
る。
【0018】上記一般式(1)で表される本発明の香料
配糖体は、これに水の存在下、前記香料配糖体を加水分
解して香料を生成することが可能な薬剤、例えば、前記
活性を有する加水分解酵素等を、作用させて香気を発生
させる等の使用方法により、香気発生物質として用いる
ことが可能である。本発明の香料配糖体は、この様にし
て香気発生物質として使用される際に、香気放出性に優
れるとともに、香気放出の持続性にも優れる。
【0019】この様な本発明の香料配糖体の製造方法を
以下に説明する。 (2)本発明の香料配糖体の製造方法 上記一般式(1)で表される本発明の香料配糖体を製造
する際には、糖と香料とを縮合させて香料配糖体を製造
するのに通常用いられる製造方法、具体的には、硝酸銀
等を触媒に使った化学合成法、酵素を用いた酵素合成法
等を適用することが可能である。より具体的には、以下
に示す製造方法を、本発明の香料配糖体の製造法として
好ましく挙げることができる。
【0020】構造式中に水酸基を有する香料の水酸基を
トリメチルシリル化した後、これを硝酸銀等を触媒とし
て、N−アセチルグルコサミンを1位の水酸基を残して
アセチル化して得られるテトラアセチルグルコサミン
(3,4,6−トリアセチル−2−アセチルアミノ−2
−デオキシ−D−グルコース)と縮合反応させ、その後
メタノール性アンモニア等で脱アセチル化して香料のN
−アセチルグルコサミン単糖の配糖体すなわち香料のN
−アセチルグルコサミニド(上記一般式(3)で表され
る香料配糖体)を作製する。
【0021】次いで、酵素合成法によって前記一般式
(3)で表される香料配糖体のN−アセチルグルコサミ
ン糖鎖を順次のばして行く、あるいは前記一般式(3)
で表される香料配糖体に一般式(2)で表される2〜4
糖鎖のN−アセチルグルコサミンオリゴマーを縮合させ
ることにより、上記一般式(1)で表される本発明の香
料配糖体を得る。
【0022】ここで、上記酵素合成法による反応は、例
えば、上記一般式(3)で表される香料のN−アセチル
グルコサミニドと、N−アセチルグルコサミンまたはこ
の2量体、3量体、もしくは4量体(一般式(2)で表
されるオリゴ糖類)を溶解する溶媒に溶解させ、これに
酵素を加えて35〜45℃程度の温度でインキュベート
することで行われる。原料として用いるN−アセチルグ
ルコサミニドの2〜4量体は、通常の方法で得られるが
何れも市販されているので、市販品を用いることも可能
である。
【0023】上記酵素合成法による反応に用いる溶媒と
しては、水が好ましい。前記溶媒として水を用いる場合
には、反応性を損なわない範囲で塩や水に可溶性の有機
溶媒を含有させることが可能である。この様な有機溶媒
として、アルコール、アセトニトリル、アセトン等を好
ましく例示することができる。また、上記酵素合成法に
おけるインキュベート時間は、数時間〜数日程度が好ま
しい。また、使用する酵素としては、上記反応の触媒活
性を有する酵素であれば特に制限されないが、前記酵素
として具体的には、リゾチーム、α−アミラーゼ等を挙
げることができ、これらのうちでも好ましくは、リゾチ
ームを挙げることができる。リゾチームは、メタノール
水溶液を溶媒としても上記反応を触媒して一般式(1)
で表される香料配糖体を生成させることが可能であり、
1)立体制御が可能である、2)結合位置や鎖長のコン
トロールが可能である、3)酵素として入手が容易でか
つ安価である等の点で好ましい。
【0024】上記酵素合成法により得られる反応生成物
は、通常、一般式(1)で表される香料配糖体の粗製物
であるので、前記反応生成物を、ゲル濾過、カラムクロ
マトグラフィー、再結晶など通常の精製手段によって精
製することにより、上記一般式(1)で表される本発明
の香料配糖体を精製物として取り出すことができる。
【0025】この様な本発明に好ましく用いられる製造
方法によれば、目的とする一般式(1)で表される香料
配糖体を立体選択性よく合成することが可能となる。こ
れは、上記製造法において糖鎖を伸ばす際に酵素合成法
を用いることによるものであり、立体が変わることによ
る酵素の不活性化を抑制するために反応が立体選択性が
維持されるように進行するためである。
【0026】次に、上記本発明の香料配糖体を含有する
本発明の組成物について説明する。 (3)本発明の組成物 本発明の組成物は、上記一般式(1)に示される香料配
糖体を含有することを特徴とする。本発明の組成物が含
有する一般式(1)に表される香料配糖体は、これら香
料配糖体のうちの唯一種であってもよいし、二種以上で
あってもよい。本発明の組成物として、具体的には、調
合香料などの香料組成物、ルームフレグランス、カーフ
レグランス、香水、オーデコロン等のフレグランス類、
化粧料、医薬品、食品などが例示できる。これらのうち
でも、前記組成物が含有する上記一般式(1)に表され
る香料配糖体が香気の放出性及び放出持続性に優れるこ
とから、フレグランス類や化粧料等の香粧品が、本発明
の組成物として好ましく用いられる。
【0027】本発明の組成物は、必須成分である上記一
般式(1)に表される香料配糖体以外に、必要に応じ
て、前記香料配糖体を加水分解して香料を生成すること
が可能な加水分解酵素等の薬剤を含有する。さらに、本
発明の組成物においては、上記香料配糖体が配合される
様な各種組成物ごとに、通常用いられる任意成分をそれ
ぞれ含有することが可能である。
【0028】例えば、本発明の組成物が上記香粧品であ
る場合には、上記任意成分として、ワセリンやマイクロ
クリスタリンワックス等のような炭化水素類、ホホバ油
やゲイロウ等のエステル類、牛脂、オリーブ油等のトリ
グリセライド類、セタノール、オレイルアルコール等の
高級アルコール類、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪
酸、グリセリンや1,3−ブタンジオール等の多価アル
コール類、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、
カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、エタノール、カ
ーボポール等の増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸化
剤、色素、粉体類等が例示できる。
【0029】さらに、本発明の組成物は、上記一般式
(1)に表される香料配糖体以外の香料配糖体や、その
他香料成分を本発明の香料配糖体の効果を損なわない範
囲において含有することも可能である。
【0030】本発明の組成物における一般式(1)に表
される香料配糖体の好ましい含有量は、組成物全量に対
して0.01重量%〜10重量%であり、より好ましく
は、0.05〜8重量%であり、さらに好ましくは0.
1〜5重量%である。また、本発明の組成物は、上記香
料配糖体が配合される各組成物において、上記香料配糖
体が配合される以外は、通常その組成物が製造されるの
と同様の製造方法により製造することが可能である。
【0031】以下に、この様にして得られる本発明の香
料配糖体を含有する組成物における香気の発生方法を説
明する。 (4)本発明の香気発生方法 本発明の香気発生方法は、上記一般式(1)で表される
香料配糖体を含有する本発明の組成物に、前記組成物が
含有する香料配糖体のN−アセチルグルコサミン残基間
のβ−1,4結合を加水分解できる糖鎖切断酵素と、前
記酵素による加水分解で得られる短糖鎖香料配糖体を糖
と香料に加水分解できる配糖体加水分解酵素とを作用さ
せ、香料を持続的に生成させる香気の発生方法である。
【0032】本発明の香気の発生方法では、上記一般式
(1)で表される香料配糖体の香料残基と糖残基との間
の結合を加水分解して香料を発生させるために、まず、
上記一般式(1)で表される香料配糖体のN−アセチル
グルコサミン残基間のβ−1,4結合を加水分解できる
糖鎖切断酵素を前記香料配糖体に作用させて、前記香料
配糖体の糖鎖を切断し、次いで、前記糖鎖の切断により
得られる短糖鎖香料配糖体(香料と糖鎖の短い糖(単糖
〜三糖程度)との香料配糖体)に、これを糖と香料に加
水分解できる配糖体加水分解酵素を作用させるという2
段階の反応を用いる。この様に、本発明の香気の発生方
法では、酵素活性の異なる2種類の加水分解酵素を利用
して、一般式(1)で表される香料配糖体を2段階に加
水分解することで、香料は一時的に生成されるのではな
く徐々に生成され、これにより持続的な香気の発生が可
能となると考える。
【0033】本発明の香気発生方法に用いられる、一般
式(1)で表される香料配糖体のN−アセチルグルコサ
ミン残基間のβ−1,4結合を加水分解できる糖鎖切断
酵素として、具体的には、リゾチーム、α−アミラーゼ
等を挙げることが可能である。また、一般式(1)で表
される香料配糖体に前記糖鎖切断酵素が作用して得られ
る、香料のN−アセチルグルコサミニド、香料のN−ア
セチルグルコサミン2量体との配糖体等の短糖鎖香料配
糖体を糖と香料に加水分解できる配糖体加水分解酵素と
して、具体的には、グルコサミニダーゼ等を挙げること
が可能である。
【0034】上記各酵素のうち、例えば、リゾチーム、
α−アミラーゼ、グルコサミニダーゼ等は、人体の皮膚
表面に存在する酵素であるので、本発明の香料配糖体を
含有する組成物を、人の皮膚上で用いれば、組成物に上
記加水分解酵素等の香料生成のための、言い換えれば、
香気発生のための薬剤を別に添加することなしに、前記
香料配糖体は加水分解され、香気が持続的に発生される
こととなる。
【0035】また、この様に組成物の使用時に香料を生
成するための酵素が自動的に作用する様な組成物におい
ては、組成物中に上記加水分解酵素等の香気発生のため
の薬剤を添加しなくてもよいので、保存時における不必
要な香気の発散がなく、保存安定性に優れるといえる。
ここで、本発明の香料配糖体を含有する組成物のうちで
も、その組成物が使用される状況において上記加水分解
酵素等の香気発生のための薬剤が存在しない様な組成物
については、香気発生のために、本発明の香料配糖体と
ともに上記加水分解酵素等の香気発生のための薬剤を含
有させることも可能である。
【0036】なお、本発明者らは、下記実験によって人
体の皮膚表面において、一般式(1)で表される本発明
の香料配糖体より香気が発生しうることを確認してい
る。
【0037】[実験]パラニトロフェノール−N−アセ
チルグルコサミニド(メルク社製)1gとN,N',
N'',N'''−テトラアセチル−β−チトテトラオース
1gとを50%アセトニトリル水溶液に溶解した水溶液
に、タマゴリゾチーム10mgを加えて、40℃で48
時間インキュベートした。得られた反応液を濃縮し、O
DSカラムを装着した高速液体カラムクロマトグラフィ
ー(アセトニトリル:水=1:99→1:9)で精製
し、さらに、濃縮して75mgのパラニトロフェノール
−N,N',N'',N''',N''''−ペンタアセチル−β
−チトペンタオシドを得た。次いで、得られたパラニト
ロフェノール配糖体の1mgと水10mlを入れた試験
管に、水を含ませた清浄な脱脂綿で上腕内側部を清拭し
た後これを絞って得られた液を加え、37℃で3時間イ
ンキュベートしたところ、始め無色透明であった液が、
インキュベート後には、パラニトロフェノールの黄色い
色を呈した。これより、皮膚表面の酵素により配糖体は
加水分解されパラニトロフェノールが分離されたことが
わかる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明について詳細に
説明するが、本発明がこれら実施例のみに限定を受けな
いことは言うまでもない。
【0039】
【実施例1】 香料配糖体の製造例 フェネチルアルコール1gとヘキサメチルジシラザン1
0mlとを6時間加熱還流した後、反応液からヘキサメ
チルジシラザンを留去し、これに無水のクロロホルム5
0ml、硝酸銀0.5g及びテトラアセチルグルコサミ
ン(3,4,6−トリアセチル−2−アセチルアミノ−
2−デオキシ−D−グルコース)2gを加え、更に3m
lの三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを滴下し、6
時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を、氷冷
した飽和炭酸水素ナトリウム水溶液上に注ぎ、さらにク
ロロホルム50mlを加えて分液した後、クロロホルム
層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和塩化ナ
トリウム水溶液で2回洗浄した。このクロロホルム層か
ら溶媒を留去した後、得られた反応粗製物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーで精製(ベンゼン:酢酸エチ
ル=100:0→0:100)し、これにより得られた
精製物を過剰のメタノール性アンモニアで処理して、フ
ェネチルアルコール−N−アセチルグルコサミニドを得
た。
【0040】上記フェネチルアルコール−N−アセチル
グルコサミニド1gとN,N',N'',N'''−テトラア
セチル−β−チトテトラオース1gとを50%アセトニ
トリル水溶液に溶解した水溶液に、タマゴリゾチーム1
0mgを加えて、40℃で48時間インキュベートし
た。得られた反応液を濃縮し、ODSカラムを装着した
高速液体カラムクロマトグラフィー(アセトニトリル:
水=1:99→1:9)で精製し、さらに、濃縮して
0.2gのフェネチルアルコール−N,N',N'',
N''',N''''−ペンタアセチル−β−チトペンタオシ
ド(香料配糖体1)を得た。 上記香料配糖体1は、フ
ァブ(Fab)マススペクトログラフでの分析により、
1139にM+1のピークが、またフラグメントとして
121、1016にピークが認められ、これにより香料
配糖体であることが確認された。
【0041】
【実施例2】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりフェネチルアルコールから
誘導したフェネチルアルコール−N−アセチルグルコサ
ミニド1gとN,N',N''−トリアセチル−β−チト
トリオース1gとを50%アセトニトリル水溶液に溶解
した水溶液に、タマゴリゾチーム10mgを加えて、4
0℃で48時間インキュベートした。得られた反応液を
濃縮し、ODSカラムを装着した高速液体カラムクロマ
トグラフィー(アセトニトリル:水=1:99→1:
9)で精製し、さらに、濃縮して0.1gのフェネチル
アルコール−N,N',N'',N'''−テトラアセチル−
β−チトテトラオシド(香料配糖体2)を得た。
【0042】上記香料配糖体2は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、935にM+1の
ピークが、またフラグメントとして121、811にピ
ークが認められ、これにより香料配糖体であることが確
認された。
【0043】
【実施例3】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりフェネチルアルコールから
誘導したフェネチルアルコール−N−アセチルグルコサ
ミニド1gとN,N'−ジアセチル−β−チトジオース
1gとを50%アセトニトリル水溶液に溶解した水溶液
に、タマゴリゾチーム10mgを加えて、40℃で48
時間インキュベートした。得られた反応液を濃縮し、O
DSカラムを装着した高速液体カラムクロマトグラフィ
ー(アセトニトリル:水=1:99→1:9)で精製
し、さらに、濃縮して0.1gのフェネチルアルコール
−N,N',N''−トリアセチル−β−チトトリオシド
(香料配糖体3)を得た。
【0044】上記香料配糖体3は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、732にM+1の
ピークが、またフラグメントとして121、608にピ
ークが認められ、これにより香料配糖体であることが確
認された。
【0045】
【実施例4】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりゲラニオールから誘導した
ゲラニオール−N−アセチルグルコサミニド1gとN,
N',N'',N'''−テトラアセチル−β−チトテトラオ
ース1gとを50%アセトニトリル水溶液に溶解した水
溶液に、タマゴリゾチーム10mgを加えて、40℃で
48時間インキュベートした。得られた反応液を濃縮
し、ODSカラムを装着した高速液体カラムクロマトグ
ラフィー(アセトニトリル:水=1:99→1:9)で
精製し、さらに、濃縮して0.2gのゲラニオール−
N,N',N'',N''',N''''−ペンタアセチル−β−
チトペンタオシド(香料配糖体4)を得た。
【0046】上記香料配糖体4は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、1170にM+1
のピークが、またフラグメントとして152、1016
にピークが認められ、これにより香料配糖体であること
が確認された。
【0047】
【実施例5】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりゲラニオールから誘導した
ゲラニオール−N−アセチルグルコサミニド1gとN,
N',N''−トリアセチル−β−チトトリオース1gと
を50%アセトニトリル水溶液に溶解した水溶液に、タ
マゴリゾチーム10mgを加えて、40℃で48時間イ
ンキュベートした。得られた反応液を濃縮し、ODSカ
ラムを装着した高速液体カラムクロマトグラフィー(ア
セトニトリル:水=1:99→1:9)で精製し、さら
に、濃縮して0.2gのゲラニオール−N,N',
N'',N'''−テトラアセチル−β−チトテトラオシド
(香料配糖体5)を得た。
【0048】上記香料配糖体5は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、967にM+1の
ピークが、またフラグメントとして152、811にピ
ークが認められ、これにより香料配糖体であることが確
認された。
【0049】
【実施例6】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりゲラニオールから誘導した
ゲラニオール−N−アセチルグルコサミニド1gとN,
N'−ジアセチル−β−チトジオース1gとを50%ア
セトニトリル水溶液に溶解した水溶液に、タマゴリゾチ
ーム10mgを加えて、40℃で48時間インキュベー
トした。得られた反応液を濃縮し、ODSカラムを装着
した高速液体カラムクロマトグラフィー(アセトニトリ
ル:水=1:99→1:9)で精製し、さらに、濃縮し
て0.1gのゲラニオール−N,N',N''−トリアセ
チル−β−チトトリオシド(香料配糖体6)を得た。
【0050】上記香料配糖体6は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、764にM+1の
ピークが、またフラグメントとして152、608にピ
ークが認められ、これにより香料配糖体であることが確
認された。
【0051】
【実施例7】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりシス−3−ヘキセニルアル
コールから誘導したシス−3−ヘキセニルアルコール−
N−アセチルグルコサミニド1gとN,N',N'',
N'''−テトラアセチル−β−チトテトラオース1gと
を50%メタノール水溶液に溶解した水溶液に、タマゴ
リゾチーム10mgを加えて、40℃で48時間インキ
ュベートした。得られた反応液を濃縮し、ODSカラム
を装着した高速液体カラムクロマトグラフィー(アセト
ニトリル:水=1:99→1:9)で精製し、さらに、
濃縮して0.2gのシス−3−ヘキセニルアルコール−
N,N',N'',N''',N''''−ペンタアセチル−β−
チトペンタオシド(香料配糖体7)を得た。
【0052】上記香料配糖体7は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、1116にM+1
のピークが、またフラグメントとして98、1016に
ピークが認められ、これにより香料配糖体であることが
確認された。
【0053】
【実施例8】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりメントールから誘導したメ
ントール−N−アセチルグルコサミニド1gとN,
N',N'',N'''−テトラアセチル−β−チトテトラオ
ース1gとを50%メタノール水溶液に溶解した水溶液
に、タマゴリゾチーム10mgを加えて、40℃で48
時間インキュベートした。得られた反応液を濃縮し、O
DSカラムを装着した高速液体カラムクロマトグラフィ
ー(アセトニトリル:水=1:99→1:9)で精製
し、さらに、濃縮して0.2gのメントール−N,
N',N'',N''',N''''−ペンタアセチル−β−チト
ペンタオシド(香料配糖体8)を得た。
【0054】上記香料配糖体8は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、1172にM+1
のピークが、またフラグメントとして154、1016
にピークが認められ、これにより香料配糖体であること
が確認された。
【0055】
【実施例9】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりシトロネロールから誘導し
たシトロネロール−N−アセチルグルコサミニド1gと
N,N',N'',N'''−テトラアセチル−β−チトテト
ラオース1gとを50%メタノール水溶液に溶解した水
溶液に、タマゴリゾチーム10mgを加えて、40℃で
48時間インキュベートした。得られた反応液を濃縮
し、ODSカラムを装着した高速液体カラムクロマトグ
ラフィー(アセトニトリル:水=1:99→1:9)で
精製し、さらに、濃縮して0.2gのシトロネロール−
N,N',N'',N''',N''''−ペンタアセチル−β−
チトペンタオシド(香料配糖体9)を得た。
【0056】上記香料配糖体9は、ファブ(Fab)マ
ススペクトログラフでの分析により、1172にM+1
のピークが、またフラグメントとして154、1016
にピークが認められ、これにより香料配糖体であること
が確認された。
【0057】
【実施例10】 香料配糖体の製造例 実施例1と同様の方法によりシンナミルアルコールから
誘導したシンナミルアルコール−N−アセチルグルコサ
ミニド1gとN,N',N'',N'''−テトラアセチル−
β−チトテトラオース1gとを50%メタノール水溶液
に溶解した水溶液に、タマゴリゾチーム10mgを加え
て、40℃で48時間インキュベートした。得られた反
応液を濃縮し、ODSカラムを装着した高速液体カラム
クロマトグラフィー(アセトニトリル:水=1:99→
1:9)で精製し、さらに、濃縮して0.2gのシンナ
ミルアルコール−N,N',N'',N''',N''''−ペン
タアセチル−β−チトペンタオシド(香料配糖体10)
を得た。
【0058】上記香料配糖体10は、ファブ(Fab)
マススペクトログラフでの分析により、1150にM+
1のピークが、またフラグメントとして134、101
6にピークが認められ、これにより香料配糖体であるこ
とが確認された。
【0059】<本発明の香料配糖体の評価>本発明の香
料配糖体を評価するために、上記各実施例で得られた香
料配糖体(香料配糖体1〜10)を用いて専門パネラー
が、人の皮膚表面における香料配糖体の香気放出の持続
性試験を行った。
【0060】すなわち、専門パネラーが自らの皮膚に、
上記香料配糖体1の10%エタノール液を0.01ml
塗布し、その直後、1時間後、6時間後に以下の評価基
準で官能評価を行った。さらに、これと全く同様の試
験、評価を香料配糖体2〜10についても行った。
【0061】(評価基準) ++: 香気がかなり感じられる + : 香気が感じられる ± : 香気がやや感じられる − : 香気が感じられない
【0062】また、比較のために、上記各実施例におい
て香料配糖体の原料として用いた各種香料(フェネチル
アルコール、ゲラニオール、シス−3−ヘキセニルアル
コール、メントール、シトロネロール、シンナミルアル
コール)及びこれら各香料のマルトペンタオシドを用い
て上記と同様の試験、評価を行った。結果を表1に示
す。
【0063】
【表1】
【0064】この結果から、上記各実施例で得られた香
料配糖体1〜10は何れも、香料そのものや、本発明の
香料配糖体とは異なる糖が結合した香料配糖体に比べ
て、人の皮膚表面における香気放出の持続性に優れるこ
とがわかる。
【0065】
【実施例11〜20】 オーデコロン 上記各実施例で得られた香料配糖体1〜10を用いてオ
ーデコロンを作製した。すなわち、表2に示す処方成分
を室温で撹拌可溶化してオーデコロンを得た。
【0066】
【表2】
【0067】
【発明の効果】本発明の香料配糖体は新規な香料配糖体
であり、香気放出性と香気放出持続性に優れる。また、
前記香料配糖体を含有する組成物は香気を持続的に発生
することができるため、補給なしに長時間にわたって香
気発生の効果を保つことが可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // A23L 1/22 A23L 1/22 C

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)に表される香料配糖
    体。 【化1】 但し、式(1)中Rは香料残基を表し、nは1〜3の自
    然数を表す。
  2. 【請求項2】 香料残基が、フェネチルアルコール残
    基、ゲラニオール残基、シトロネロール残基、シンナミ
    ルアルコール残基、シス−3−ヘキセニルアルコール残
    基又はメントール残基である請求項1記載の香料配糖
    体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の香料配糖体を含有
    する組成物。
  4. 【請求項4】 香粧品であることを特徴とする請求項3
    記載の組成物。
  5. 【請求項5】 リゾチーム及び/又はα−アミラーゼを
    触媒として用いて、下記一般式(2)に表される糖と、
    下記一般式(3)に表される香料のN−アセチルグルコ
    サミニドと、を反応させることを特徴とする請求項1又
    は2記載の香料配糖体の製造法。 【化2】 但し、式(2)中nは1〜3の自然数を表す。 【化3】 但し、式(3)中Rは香料残基を表す。
  6. 【請求項6】 請求項3又は4記載の組成物に、前記組
    成物が含有する香料配糖体のN−アセチルグルコサミン
    残基間のβ−1,4結合を加水分解できる糖鎖切断酵素
    と、前記酵素による加水分解で得られる短糖鎖香料配糖
    体を糖と香料に加水分解できる配糖体加水分解酵素とを
    作用させ、香料を持続的に生成させる香気の発生方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1553101A4 (en) * 2002-10-09 2009-09-30 Kao Corp N-acetylglucosamine derivatives and their use
CN102241710A (zh) * 2011-04-21 2011-11-16 南通大学 红景天苷类似物及其制备方法和用途

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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