JPH10138606A - 多色画像形成方法 - Google Patents

多色画像形成方法

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JPH10138606A
JPH10138606A JP29993396A JP29993396A JPH10138606A JP H10138606 A JPH10138606 A JP H10138606A JP 29993396 A JP29993396 A JP 29993396A JP 29993396 A JP29993396 A JP 29993396A JP H10138606 A JPH10138606 A JP H10138606A
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JP
Japan
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image
resin
toner
transparent
sheet
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Pending
Application number
JP29993396A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Kurimoto
雅之 栗本
Osamu Ide
収 井出
Yasunari Kishimoto
康成 岸本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粉体トナーを利用する多色画像形成方法におい
て、画像全域に均一な光沢度を得ると共に、粒状性が良
好で、かつ色調再現性に優れた、銀塩写真方式で作製さ
れた画像に近い滑らかな高画質多色画像を形成する方法
を提供する。 【解決手段】 多色画像形成方法は、画像情報により変
調された光を用いて、潜像担持体上に潜像を形成する露
光工程、該潜像担持体上に、少なくともシアン、マゼン
タ、イエローの粉体トナーを用いて、トナー像を形成す
る現像工程、該トナー像を転写体上に転写する転写工
程、転写体上のトナー像を定着する定着工程、画像表面
に透明な接着剤層を有するシート部材を密着させて最終
画像を形成する工程を有し、前記シート部材を接着する
前の画像の厚みの平均厚みをA、シート部材を接着した
後の画像の厚みの平均厚みをBとした場合、下記関係式 0.7≦B/A≦1.2 を満たすことを特徴とする。シート部材として、白色ま
たは有色シートまたは透明樹脂フィルムが使用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真法、静電
記録法のような、粉体トナーを利用して多色画像を形成
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真方式で多色画像を形成す
る場合には、例えば次のような処理が行われる。まず、
原稿からの反射光をカラーCCDにより色分解して、画
像処理装置で画像処理、色補正を施して複数色の画像信
号を得る。その信号を色別に、例えば半導体レーザーを
用いて変調されたレーザー光線として、Se、アモルフ
ァスシリコンなどの無機感光体、またはフタロシアニン
顔料、ビスアゾ顔料などを電荷発生層として用いた有機
感光体に一色ずつ複数回照射することにより、複数個の
静電潜像を形成する。これらを例えば、Y(イエロ
ー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の4色
のカラートナーを用いて順番に現像して、形成されたト
ナー像を感光体から用紙等の転写体に転写する。その
後、転写したトナー像を熱定着ロール等で加熱定着し
て、画像を形成する。
【0003】また、前記カラートナーは、例えばポリエ
ステル樹脂、スチレン/アクリル共重合体、スチレン/
ブタジエン共重合体等の結着樹脂に、色材としての顔料
を分散含有させた粒径1〜15μmの粒子に、例えば酸
化けい素、酸化チタン、酸化アルミニウム等の5〜10
0nmの無機微粒子、またはポリメチルメタクリレート
(PMMA)、ポリビニリデンフルオライド(PVD
F)等の樹脂微粒子を付着させることによって得られ
る。また、高画質カラー画像を得るための手段として、
前記色材として可視光線と同程度の一次粒子径をもつ高
分散顔料を樹脂中に凝集が起こらぬように溶融分散した
ものを用いる方法によって色調再現性が向上することが
特開平4−242752号公報において報告されてい
る。
【0004】ところで、前記のような方法等で転写体上
に得られた多色画像には、定着されたトナー粒子の形状
が残っているとともに、結着樹脂や色材の転写体(例え
ば、紙)へのしみ込みにより、転写体自身の起伏形状も
残っており、印刷や銀塩写真方式で得られた画像と比較
して、不規則に荒れた表面形状となっている。このた
め、画像表面での光の乱反射が生じ、仮に小粒径トナー
を用いて均一な画像を転写したり、トナー層中での顔料
/樹脂界面での散乱を防ぐためには高分散顔料を使用し
ても、粒状性、光沢、さらには色調等が悪い画像となる
ことが分かっている。
【0005】前記のトナー粒子形状、および結着樹脂の
しみ込みによる転写体自身の起伏形状は、画像の濃度に
よって大きく異なっており、背景部や低濃度部、高濃度
部という画像の種類によって、光沢や粒状性が変わり、
銀塩写真方式で得られた画像と比較して滑らかさのない
不自然な画像となる。また、前記のトナー粒子形状およ
び転写材起伏形状は、転写材の種類によって大きく異な
っており、表面のあれた転写体では高い画像光沢や粒状
性を得ることが困難となっている。前記の問題点を解決
するために、単に現像重量を増加させた場合、高濃度部
では高光沢が得られるものの、非画像部では効果が得ら
れず、さらに帯電量が低下するため非画像部がかぶって
しまうという欠点をもつ。
【0006】ところで、前記のような問題点を解決する
ため、例えば、特開平4−278967号、特開平4−
204669号、4−204670号、特開平7−72
696号、特開昭63−123055号および特開平5
−232840号公報に記載のように、カラートナーに
加えて透明トナーを転写体に転写、定着する方法や、特
開昭63−92964号および同63−92965号公
報等に記載のように転写体上に、予め透明樹脂を被覆す
る方法が提案されている。しかしながら、これらの方法
では画像構造、すなわち現像された部分と白紙部分でト
ナー層の高さだけの機械的な起伏が残ったり、結着樹脂
の特性と透明トナー層の厚みによっては、トナーが溶け
すぎて転写体へのしみ込みが起こったり、トナーが充分
に溶けずにトナー粒子形状が残ってしまう等、画像表面
の機械的な起伏形状が制御できず、表面での乱反射等に
より、充分な粒状性や光沢を得ることができず、期待さ
れた効果が得られない。
【0007】さらに、画像表面の光沢度の制御及び耐摩
耗性、耐傷性を付与する方法として、印刷画像の後加工
として、画像表面に透明な樹脂層を形成することや、透
明な樹脂からなるフィルムを画像表面に接着することが
行われている。画像表面に透明な樹脂層を形成する方法
としては、ビニル引き、プレスコート等があげられる。
ビニル引きは、画像表面に直接塩化ビニル合成樹脂を含
む塗料を塗布、乾燥するものである。プレスコートは、
上記ビニル引きをした画像表面を金属ロール等で加熱加
圧して、金属ロール表面の形状を透明な樹脂層に転写す
るものである。上記の方法を粉体トナーを利用して作製
した画像表面に用いた場合、合成樹脂を含む塗料中にト
ナー樹脂を溶解する溶剤が含まれているために、ビニル
引き後、塗料中に画像中の色材が溶出するために画像が
にじみ、その結果、均一な光沢度は得られるものの、色
調再現性に優れた、粒状性の良い高画質多色画像を得る
ことはできない。
【0008】また、画像表面に透明な樹脂からなるフィ
ルムを接着する方法としては、ラミネート加工がある。
ラミネート加工はポリプロピレン、塩化ビニル、ポリエ
ステル、ポリエチレン、アセテート、セロファン等の透
明な樹脂からなるフィルム表面に接着剤層を塗布して乾
燥したものを、画像表面に加熱加圧接着する方法であ
る。この方法によれば、画像表面に接着する透明な樹脂
からなるフィルムの表面形状を適宜選択することによ
り、均一でかつ、所望の光沢度の最終画像を容易に得る
ことが可能である。また、ラミネート加工を応用し、粉
体トナーを利用して均一な光沢度を有する最終画像を作
製することもできる。すなわち、粉体トナーを利用し
て、透明な転写体上に画像を作製し、その表面に白色シ
ートを接着して最終画像を作製する方法がある。作製さ
れた最終画像は、透明な転写体の画像を形成した面と反
対側の面が画像表面となるため、透明な転写体の表面形
状を適宜選択することによって所望の銀塩写真方式で作
製した画像に近い均一な光沢度を有する最終画像を得る
ことができる。
【0009】しかしながら、これらの方法では、均一な
光沢度は得られるものの、最終画像内部に空隙が残留
し、透明な転写体または透明な樹脂からなるフィルムを
介して入射した光が、この空隙部分で乱反射されるた
め、色調再現性に優れた、粒状性の良い画像を得ること
はできない。また、透明な樹脂からなるフィルムを接着
する場合、その接着工程を最適化してもなお、色調再現
性に優れた、粒状性の良い画像を得ることができていな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おける上述した実情を鑑みて、その問題点を解消するた
めになされたものである。すなわち、本発明の目的は、
粉体トナーを利用する多色画像形成方法において、画像
全域に均一な光沢度を得るとともに、粒状性が良好で、
かつ色調再現性に優れた、銀塩写真方式で作製された画
像に近い、滑らかな高画質多色画像を形成する方法を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の目
的を達成する方法の検討を重ねた結果、粉体トナーを利
用して転写体上に形成した画像表面に少なくとも透明な
接着剤層を有する白色また有色シートまたは透明なフィ
ルムを接着して得られた最終画像について、色調再現
性、粒状性を阻害している原因としては、前記シートま
たはフィルムを接着する前後の画像の構造の変化が原因
となっていることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】すなわち、本発明の多色画像記録方法は、
画像情報により変調された光を用いて、潜像担持体上に
静電潜像を形成する露光工程、該潜像担持体上に、少な
くともシアン、マゼンタ、イエローの粉体トナーを用い
て、トナー像を形成する現像工程、該トナー像を転写体
上に転写する転写工程、転写体上のトナー像を定着する
定着工程、定着画像表面に透明な接着剤層を有するシー
ト部材を密着させて最終画像を形成する工程を有し、前
記シート部材を接着する前の画像の厚みの平均厚みを
A、シート部材を接着した後の画像の厚みの平均厚みを
Bとした場合、下記関係式: 0.7≦B/A≦1.2 を満たすことを特徴とする。本発明の第1の態様は、転
写体が透明な転写体であり、かつ透明な接着剤層を有す
るシート部材が不透明な白色または有色シートである場
合である。また、第2の態様は、接着剤層を有するシー
ト部材が透明樹脂フィルムである場合である。
【0013】また、本発明の前記多色画像形成方法にお
いて、使用される透明な接着剤層の厚みは8〜50μm
であることが好ましく、また前記接着工程時の接着剤の
粘度aと粉体トナー樹脂の粘度bの関係がa×10<b
を満たすことが望ましい。また、前記多色画像形成方法
において、転写体上に形成した定着画像の上に粉体トナ
ーと相溶しない透明樹脂層を設けることが望ましく、特
に、この透明樹脂が、粉体トナーを形成する樹脂と同じ
樹脂よりなることが望ましい。
【0014】さらに、前記多色画像形成方法において、
透明な接着剤層を有するシート部材の接着剤層表面に粉
体トナーと相溶しない透明樹脂層を設けてもよく、そし
て、その場合、透明樹脂層が粉体トナーを形成する樹脂
と同じ樹脂を用いるのがより好ましい。また、前記透明
な転写体上に形成した定着画像の上に粉体トナーと相溶
しない透明樹脂層を設けたものと、前記透明な接着剤層
を有するシート部材の接着剤層表面に、粉体トナーと相
溶しない樹脂層を設けたものを同時に使用してもよい。
【0015】本発明において、上記(A)及び(B)の
関係を満たすか否かについて、画像構造の解析は次のよ
うにして行なうことができる。前記多色画像形成方法
で、転写体上に形成した粉体トナーによる定着画像及び
前記画像表面に透明接着剤層を有するシート部材を接着
した最終画像を、エポキシ樹脂製の包埋剤中へ包埋す
る。包埋剤を硬化した後に、ダイヤモンドナイフで、前
記2つの画像を切断して、超薄膜切片(厚さ0.05〜
0.2μm)に切り出す。切り出した超薄膜切片を透過
型電子顕微鏡に装填して観察することによって、表面に
シート部材を接着する前後の転写体上の画像構造を観察
することができる。この観察を転写体上の定着画像の各
部位について複数以上行なうことにより、転写体上の定
着画像の構造を解析することが可能である。
【0016】画像断面の観察像は、ネガフィルムに撮影
後、印画紙に焼きつけ、印画紙上の画像をCCDカメラ
で撮影し、撮影した画像をデジタル信号化してデジタル
データとして保存するか、透過型電子顕微鏡での観察像
を直接CCDカメラで撮影し、撮影した画像をデジタル
信号化してデジタルデータとして保存する。そして保存
した画像のデジタルデータを周知の画像処理装置で画像
処理を行なって画像構造を解析する。
【0017】次に画像処理の方法について述べる。ま
ず、デジタルデータを観察画像に変換してディスプレイ
上に表示し、包埋剤部、色材を含有する定着画像部、転
写体部、シート部材部、接着剤部を検出してそれぞれの
境界を決定する。次いで、定着画像表面を基準線として
定着画像中央部の垂直方向の測定部位について、垂直方
向(厚み方向)の厚みを測定する。定着画像全体の厚み
は、表面にシート部材を接着する前の厚み及び表面にシ
ート部材を接着した後の厚みについて、それぞれ10点
測定して平均を算出して、それぞれの定着画像の平均厚
みA及びBを求める。図1および図2はその場合を説明
するものである。すなわち、図1は、シート部材の接着
前における転写体上に粉体トナーによる定着画像を形成
した断面状態を示す模式図であり、図2は、シート部材
の接着後における転写体上に粉体トナーによる定着画像
を形成した断面状態を示す模式図である。図中、1は転
写体、2は粉体トナー画像部、3は定着画像表面(基準
線)、4は接着剤層、5はシート部材、6は包埋剤であ
り、7は測定部位である。
【0018】なお、シート部材を接着した画像の観察を
走査型電子顕微鏡、光学顕微鏡を用いて画像の観察を行
なったところ、透明な転写体または樹脂フィルムを介し
て観察するために、走査型電子顕微鏡では観察が不可能
であり、光学顕微鏡では高倍率での観察ができなかった
ために、本発明においては上記の画像構造解析方法を用
いる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の多色画像形成方法につい
て、実施の形態を詳細に述べる。まず、画像情報により
変調された光を用いて、その露光によって潜像担持体上
に静電潜像を形成する露光工程、該潜像担持体上に、少
なくともシアン、マゼンタ、イエローの粉体トナーを用
いて、トナー像を形成する現像工程、該トナー像を透明
な転写体上に転写する転写工程、転写体上のトナー像を
定着する定着工程によって、転写体上に粉体トナーより
なる定着画像を形成する。
【0020】露光工程および現像工程は、従来公知の如
何なる方法を用いて実施してもよい。潜像担持体として
は、電子写真感光体、誘電記録体等が使用され、公知の
方法によって、静電潜像が形成される。形成された静電
潜像は、次いで、シアン、マゼンタ及びイエロートナー
よりなる粉体トナーを用いて、現像されるが、本発明に
使用するイエロー、マゼンタ、及びシアントナーは、結
着樹脂に顔料や染料などの色材を分散含有させて得られ
るものである。なお、上記のカラートナーの外に、ブラ
ックのトナーを使用してもよい。
【0021】色材及び結着樹脂は、いずれも従来公知の
ものが利用でき、特に限定されるものではない。例え
ば、色材としては次のものがあげられる。 イエロー色材:ベンジジンイエロー、キノリンイエロ
ー、ハンザイエロー マゼンタ色材:ローダミンB、ローズベンガル、ピグメ
ントレッド シアン色材:フタロシアニンブルー、アニリンブルー、
ピグメントブルー ブラック色材:カーボンブラック、アニリンブラック、
カラー顔料のブレンド 等があげられる。
【0022】また、結着樹脂としては、例えば、スチレ
ン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチ
レン−ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド
樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができるが、転写体
上への粉体トナー画像の定着を考慮して、定着時におけ
る粉体トナーの粘度が102 Pa・sないし105 Pa
・sのものを好適に用いられる。定着時における粉体ト
ナーの粘度が102 Pa・s未満の場合は、定着ロール
で定着した際に定着ロールへのオフセットが生じる。ま
た、105 Pa・sを越える場合は、粉体トナーが十分
に溶融軟化していなく、転写体への接着及びトナー粒子
同士の接着が不十分となってしまうために、充分な定着
強度が得られない。
【0023】また、より好ましい色調再現性を得るため
には、色材としては、一次粒子径が0.01〜1μmの
範囲、好ましくは0.1〜1μmの範囲であり、かつ、
一次粒径と同等の大きさにして樹脂中に溶融分散させた
ものを用いるのが好ましい。ここでいう樹脂中に溶融分
散させた色材とは、樹脂を加熱により溶融、または溶剤
に溶解したものと、色材化工程で得られる色材のウエッ
トケーキとを混練して、色材を樹脂中に一次粒子状態で
分散させ、冷却や溶媒の除去によって固化した後、粉砕
したものをいう。
【0024】トナーを現像する際には、トナー粒子表面
に流動性を付与する微粒子として、例えば、無機粉体を
付着させてもよい。無機粉体としては、当業界で一般的
に使用されているシリカ、酸化チタン、酸化スズ、酸化
アルミニウム等よりなるものであって、粒子径が0.0
01〜0.1μmのものが使用できる。トナー粒子に付
着させる無機粉体は、帯電環境安定性等を付与するため
に各種処理剤で処理したものを用いてもよい。
【0025】さらに、本発明に使用する粉体トナーの粒
子径は粒状性の改善のために、粒子径1〜9μmの範囲
が好ましい。トナー粒子径が9μmより大きい場合に
は、トナー粒子が認識されてしまって、粒状性を著しく
乱すことになり、本発明の効果が充分に得られない。ま
た、トナー粒子径が1μm未満である場合には、逆極性
に帯電されたトナーが増えて、背景部のかぶりが発生
し、満足すべき画像が得られない。
【0026】本発明における転写工程においては、潜像
担持体上に形成した粉体トナー像を転写体上に転写する
従来公知の方法、例えば、静電転写、粘着転写等が使用
できる。また、定着工程においては、転写体上のトナー
像を定着する方法として、オーブン定着、ラジアント定
着、ロール定着等の加熱手段を有する定着方法が使用で
きる。
【0027】本発明において、粉体トナー像を形成する
転写体としては、木材パルプ繊維の紙シート、加工紙、
合成紙、プラスティックシート、金属シート等、画像の
転写を受けることができるものであれば、如何なるもの
であってもよい。ただし、通常の木材パルプ繊維の紙シ
ートでは、転写体にすき間が多いため、最終画像形成時
に透明な接着剤が転写体内部に浸透しやすく、シート部
材と転写体の間に接着剤が残留せずに、接着強度が不十
分になる。したがって、CaO、BaO、SrO、Zn
2 、TiO2 、BaSO4 等の白色顔料を分散した樹
脂を紙シート表面に塗布してすき間を充填したものが好
ましく利用できる。
【0028】また、転写体は透明な転写体であってもよ
い。透明な転写体としては、例えばポリエステル樹脂、
アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹
脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、アセテート樹
脂、ポリプロピレン樹脂等、フィルムの形態に成型する
ことが可能であり、画像の転写を受けることができ、光
学的に透明な樹脂で、かつ接着工程後に変色しないもの
であれば特に限定はされない。転写体として、オーバー
ヘッドプロジェクタ(OHP)用フィルムを用いること
もできる。
【0029】本発明で用いる転写体の厚みは、電子写真
装置内の転写体の搬送性を考慮して、50〜500μm
の範囲のものが好ましい。なお、本明細書で使用する
「透明」とは、ASTM D1003記載の測定方法に
よって得られる測定値が10以下のことを意味する。
【0030】本発明の最終の工程において、定着画像表
面に、透明な接着剤層を有するシート部材を密着させて
最終画像を形成する。その場合に使用するシート部材と
しては、不透明な白色または有色シートおよび透明樹脂
フィルムがあげられるが、転写体が不透明なものである
場合には、シート部材は透明樹脂フィルムであることが
必要である。
【0031】前記転写体上の定着画像表面に接着させる
シート状部材が、白色または有色シートの場合の具体例
としては、例えば木材パルプ繊維の紙シート、加工紙、
合成紙、着色プラスティックシート、金属シート等があ
げられ、表面に接着剤層を形成できるものであれば、如
何なるものであってもよい。ただし、通常の木材パルプ
繊維の紙シートでは、転写体にすき間が多いため、最終
画像形成時に透明な接着剤が転写体内部に浸透しやす
く、不透明なシート部材と透明な転写体の間に接着剤が
残留せずに、接着強度が不十分になる。そこでCaO、
BaO、SrO、ZnO2 、TiO2 、BaSO4 等の
白色顔料を分散した樹脂を紙シート表面に塗布して隙間
を充填したものが好ましく利用できる。
【0032】また、透明転写体上の定着画像表面に接着
させるシート状部材が透明樹脂フィルムである場合の具
体例としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、ポリエチレン樹脂、アセテート樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂等、フィルムの形態に成型することが可能で
あり、光学的に透明な樹脂で、かつ接着工程後に変色し
ないものであれば特に限定はされない。
【0033】シート部材の厚みは、白色または有色シー
トの場合は、5〜500μmの範囲のものが使用され
る。白色または有色シートの厚みが5μmより小さい
と、接着工程時に最終画像表面にしわが発生したり、シ
ート自体の強度が小さいため、接着工程時に破れる。ま
た、シートの厚みが500μmより大きい場合は、作製
した最終画像が厚くなり過ぎるために、銀塩写真方式で
作製した画像と比較して著しく違和感を与える感じの画
像となる。
【0034】また、透明樹脂フィルムの場合は、厚み2
〜250μmのものが使用される。透明フィルムの厚み
が2μmより小さいと、接着工程時に最終画像表面にし
わが発生して所望の画像を得られなかったり、フィルム
自体の強度が小さいため、接着工程時に破れてしまう。
また、転写体上の画像部と背景部との段差の大きさによ
っては、最終画像表面に起伏形状が残留し、フィルムの
表面形状によらず均一な光沢度が得られ難くなる。ま
た、フィルムの厚みが250μmより大きい場合は、最
終画像表面より入射した光がフィルム内部を散乱して暗
い画像となり、色調再現性に優れた画像を得ることがで
きない。好ましくは、接着工程に耐え得るフィルムの強
度、色調再現性及び均一な光沢度を得やすい等の観点か
ら、10〜150μmの範囲のものを使用することが望
ましい。
【0035】本発明において、転写体が透明な転写体
で、シート部材が白色または有色シートである場合、作
製した最終画像は、転写体から入射した光が転写体、画
像、接着剤を透過し、シート部材によって反射された光
を使用者が見ることによって観察されるので、上記転写
体の画像を形成しない面が最終画像の表面となる。した
がって、透明な転写体の定着画像が形成されていない面
の形状を適宜選択することによって、所望の均一な光沢
度を得ることが可能になる。また、転写体が不透明なも
のであって、透明樹脂フィルムが粉体トナーを用いて転
写体上に作製した定着画像に接着される場合には、その
透明樹脂フィルムによって均一な光沢度が得られるた
め、上記透明樹脂フィルムの接着剤層が形成されない面
が最終画像の表面となる。したがって、透明樹脂フィル
ムの接着剤層が形成されていない面の形状を適宜選択す
ることによって、所望の均一な光沢度を得ることが可能
になる。
【0036】本発明に用いる上記シート部材の上に形成
する透明な接着剤層の接着剤としては、アクリル樹脂、
ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等、
広く一般的に使用される種類のものを選択して使用する
ことができる。また、透明な接着剤層は、熱、圧力、紫
外光照射、硬化剤混合の中から選択される少なくとも一
つ以上の手段をもって硬化する接着剤より形成されてい
てもよい。
【0037】また、上記シート部材の上に上記樹脂から
なる透明な接着剤層を形成する方法としては、前記樹脂
を溶解しうる溶剤中に溶解して塗料化し、得られた該塗
料をスプレー塗布、ロールコーター、アプリケータ等で
シート部材の上に塗布した後、赤外線ヒータ、加熱ロー
ラ、オーブン等の加熱手段を用いて加熱、乾燥して、接
着剤層を形成する方法や、上記樹脂からなる粘着フィル
ムをシート部材上に圧着する方法等があるが、これらの
方法に限定されるものではない。
【0038】本発明において使用する透明な接着剤層の
厚みは、8〜50μmであることが好ましい。厚みが8
μmより小さいと、画像部と背景部の段差を充填するだ
けの接着剤量が得られ難く、画像に空隙が残留しやすく
なるため、所望の色調、粒状性を有する画像を得ること
が難しくなる。また、厚みが50μmより大きいと、加
熱手段で硬化する接着剤を用いた場合には、接着剤層の
厚みが厚すぎるために、一回の接着工程で内部まで硬化
に必要な熱が伝わらずに、未硬化の接着剤部が残留して
しまう。また、紫外線照射によって硬化する接着剤を用
いた場合においても、接着剤層が厚いために接着剤層内
部まで硬化に必要な紫外光が到達できずに未硬化の接着
剤部が残留しやすくなる。このような状態の最終画像
は、転写体とシート部材が未硬化の接着剤部から容易に
剥離して実用に供しえなくなるので、それを防止するた
めに、接着剤の充分な硬化を得られるように、複数回以
上の接着工程を必要とするため、作業性の観点から望ま
しくはない。また、より好ましくは、画像部と背景部の
段差を充填し、かつ一度の接着工程で充分な接着剤の硬
化が容易に得られるという観点から、10〜30μmの
厚さのものを使用することが特に望ましい。
【0039】さらに、接着工程時における接着剤の粘度
aと接着工程時における粉体トナー樹脂の粘度bは、a
×10<bの関係を満たすことが望ましい。以下に記す
ように、接着工程によって転写体上の粉体トナーの画像
構造を変化させない条件で、シート部材を転写体上の画
像表面に接着する際に、接着剤の粘度aと接着工程時に
おける粉体トナー樹脂の粘度bの関係がa×10<bの
関係を満たすと、接着工程時に画像部と背景部の段差部
分に接着剤が流れ込みやすくなり、空隙の残留しない最
終画像を容易に得ることが可能となる。
【0040】本発明においては、前記シート部材を接着
する前の画像の平均厚みAと、シート部材を接着した後
の画像の平均厚みBとの間に、0.7≦B/A≦1.2
の関係があることが必要である。すなわち、シート部材
を接着する前の画像の10か所について、断面方向から
見た場合の画像の厚みの平均値を(A)とし、シート部
材を接着した後の画像の10か所について断面方向から
見た場合の画像の厚みの平均値を(B)とした場合、B
/Aが0.7より小さい場合は、画像の厚みが接着工程
によって薄くなっており、すなわち画像の面積が広がっ
ており、所望の色調再現性、粒状性を得ることができな
い。B/Aが1.2より大きい場合は、画像の厚み及び
幅が接着剤によって大きくなっており、すなわち画像の
面積が広がっているため、やはり色調再現性に優れた、
粒状性の良い画像を得ることができない。
【0041】本発明において、色調再現性に優れた粒状
性の良い画像を得るためにB/Aを上記の範囲に設定し
たのは、前記した画像構造の観察、解析方法を用いて透
明な転写体上に粉体トナー用いて形成した定着画像表面
にシート部材を接着する前後の画像構造を解析した結
果、判明した次の事実に基づくのである。すなわち、シ
ート部材を接着する前と比較して、シート部材を接着し
た後の画像部の厚みが接着工程によって薄くなり、かつ
画像部の幅が転写体と水平方向に広がっている状態が観
察され、色調再現性、粒状性を阻害する原因は、画像が
転写体と水平方向に広がり、画像を形成する画素の面積
が広がることにあることが判明した。この事実から、シ
ート部材を接着する前後の画像の厚みの変化(画素の面
積の変化)を制御して、B/Aを上記の範囲に設定する
ことにより、色調再現性に優れた、粒状性の良い画像を
得られることが分かった。
【0042】さらに、転写体上の粉体トナーよりなる定
着画像部と接着剤層の界面について詳細に観察した結
果、粉体トナーよりなる定着画像部が接着剤層に相溶し
ている状態がある場合が確認された。ここでいう相溶し
ている状態とは、図3に示すように、2つの異なる物質
からなる層(例えば、接着剤層と粉体トナー層)が接触
している界面が不明瞭になっており、2つの物質の中間
層のような層が存在する状態をいう。図3において、8
が粉体トナーよりなる定着画像が接着剤層に相溶してい
る相溶部分である。なお、他の符号は図1および2の場
合と同意味を有する。上記相溶している部分には、定着
画像内部に含有させた色材が含まれているため、粉体ト
ナーと接着剤が相溶していると、定着画像の転写体表面
と垂直方向の厚み及び水平方向の幅が広がってしまう。
このため、色調再現性に優れた、粒状性の良い最終画像
を得ることができない。また、解析結果から、相溶して
いる部分の厚みは水平方向と垂直方向で同じであること
も確認された。
【0043】また、最終画像内部に空隙が残留した画像
内部の構造観察からは、画像部と背景部の境界部分に空
隙が存在する場合があることが確認された。画像部、す
なわちトナーが定着された部分と背景部、即ち転写体表
面部分の境界部分は背景部より画像部が機械的に高くな
っており、接着工程においてこの段差を接着剤が充填し
ていなかったことにより、最終画像に空隙が残留してし
ていることが判明した。このような空隙が残留した最終
画像においては、入射した光が空隙部で散乱されてしま
い、所望の色調、粒状性を得ることができない。
【0044】ところで、本発明においては転写体上に形
成する粉体トナーよりなる定着画像部の上に、透明な接
着剤層を形成したシート部材を接着する接着工程の前後
で画像構造の変化の割合B/Aが上記の範囲内であれ
ば、所望の画質の最終画像を得ることが可能となるが、
一方、シート部材の表面に形成する透明な接着剤は、粉
体トナーを形成する樹脂を相溶するものが多いため、接
着工程によって本発明の画像構造の変化の割合の好適な
範囲より逸脱してしまう場合もある。その場合には、粉
体トナーよりなる定着画像と接着剤層を直接接触させな
いように接着することによって、接着剤と粉体トナー樹
脂の相溶による画像構造の変化を伴わずに、所望の画質
の最終画像を得ることが可能になる。図4はその場合を
示すものであって、定着画像表面3と接着剤層4の間に
透明樹脂層9が設けられている。なお、他の符号は図1
および2と同様である。
【0045】定着画像と接着剤層を直接接触させない方
法としては、転写体上に形成する定着画像部の上に、粉
体トナー樹脂と相溶しない樹脂層を形成した後、透明な
接着剤層を形成したシート部材を接着する方法がある。
粉体トナー樹脂を相溶しない樹脂としては、トナー用結
着樹脂、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレ
ン−アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビ
ニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等を用い、
より好ましくは転写体上に形成した粉体トナー樹脂と同
じ樹脂を用いることが望ましい。
【0046】前記透明、かつ転写体上の粉体トナー樹脂
を相溶しない樹脂層を転写体上の画像に形成するために
は、例えば、前記トナー用樹脂に色材を含有させないで
混練、粉砕して得られた透明トナーを電子写真方式を使
用して転写体上の画像表面に転写、定着する方法が使用
でき、それにより透明な樹脂層を形成することができ
る。また、他の方法としては、前記トナー用樹脂を溶剤
に溶解した後、アプリケータ、スプレー等の塗布方法を
用いてフィルム状に成型したものを、転写体とシート部
材の間に挿入して接着を行なうこともできる。定着画像
上に透明樹脂層を設けると、転写体上の画像部と背景部
の段差をあらかじめ小さくするという利点を有し、最終
画像に空隙が残留し難くなる。
【0047】また、シート部材上の透明な接着剤層表面
に転写体上の粉体トナー樹脂を相溶しない透明な樹脂層
を形成した後、粉体トナー画像を形成した転写体と接着
しても同様の効果を得ることができる。この透明な樹脂
としては、上記のトナー用結着樹脂を用いることがで
き、その場合、転写体上の粉体トナー画像を形成する樹
脂を用いることが望ましい。透明、かつ転写体上の粉体
トナー樹脂を相溶しない樹脂層を接着剤層表面に形成す
る方法としては、前記の粉体トナー画像上に透明樹脂層
を形成する方法を用いることができる。なお、粉体トナ
ー樹脂を相溶しない透明樹脂層を形成する手段について
は、ここに例示した以外にも幾つもの方法があり、本発
明の主旨を満たしていれば実現方法は、示されたものに
限定されるわけではない。
【0048】
【実施例】以下の実施例および比較例において用いた画
像内部の解析方法について説明する。転写体上に粉体ト
ナーを用いて30×30mmの矩形で画像面積率100
%のブルーの画像を複数個作製した。次にその半数を含
むように転写体を切り出して、切り出した一方の転写体
の表面に少なくとも透明な接着剤層を有するシート部材
を接着した。次いで、シート部材を接着していない定着
画像および接着した定着画像をエポキシ樹脂からなる包
埋剤中に包埋し、硬化後ダイヤモンドナイフで画像の中
央部に沿って10か所について切り出して超薄膜切片を
作製し、作製した超薄膜切片を透過型電子顕微鏡に装填
して透過電子像をネガフィルムに撮影した。撮影後のネ
ガフィルムを現像後、印画紙に焼きつけて、得られた写
真をCCDカメラで撮影し、撮影した画像をデジタル信
号化してデジタルデータとして保存した。次に、保存し
た画像のデジタルデータを画像処理装置で画像処理を行
ない、内部に色材を含有する画像部、転写体部、接着後
の画像についてはさらに、接着剤部、白色シート部また
は透明樹脂フィルム部および/または透明樹脂層部の境
界を決定した後、各切片の画像部の厚みを求めて、平均
値を算出した。
【0049】粒状性の評価は、転写体上に粉体トナーを
用いて作製した30×30mmの矩形で画像面積率30
%のブルーの定着画像表面にシート部材を接着して得ら
れた最終画像を用いて、目視評価により行った。20人
の評価者を対象として、1.非常にきめが粗い、2.き
めが粗い、3.普通、4.きめが細かい、5.非常にき
めが細かいの5つに分類して評価してもらい、その平均
値を求めた。平均値が2未満の場合を×、2以上で4未
満の場合を○、4以上の場合を◎とした。
【0050】色調再現性の測定は、転写体上に粉体トナ
ーを用いて作製した30×30mmの矩形で画像面積率
50%のシアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリー
ン、ブルーの定着画像表面にシート部材を接着して得ら
れた最終画像を使って、目視評価により行った。20人
の評価者を対象として、1.非常に色調再現性が悪い、
2.色調再現性が悪い、3.普通、4.色調再現性が良
い、5.非常に色調再現性が良いの5つに分類して評価
してもらい、その平均値を求めた。平均値が3未満の場
合を×、3以上で4未満の場合を○、4以上の場合を◎
とした。
【0051】定着画像表面の光沢度の均一さについて
は、Gloss Meter GM−26D(村上色彩
技術研究所製)を使用して、最終画像表面の10か所に
ついて測定して得られた値を平均化し、測定値の最大値
または最小値と平均値との差が、10以上のものを×、
5以上で10未満までのものを○、5未満のものを◎と
した。総合画質の評価は、目視評価により行った。20
人の評価者を対象として、1.非常に粗く深みがない、
2.粗く深みがない、3.普通、4.滑らかで深みがあ
る、5.非常に滑らかで深みがある、の5つに分類して
評価してもらい、その平均値を求めた。平均値が3未満
の場合を×、3以上4未満の場合を○、4以上の場合を
◎とした。
【0052】粘度の測定には、測定温度を実際の接着工
程の接着温度を測定して同一の値に設定し、接着剤につ
いては回転粘度計 VT−04(リオン株式会社製)を
使用し、粉体トナー樹脂については回転平板レオメータ
RD−2(レオメトリックス社製)を使用した。トナー
の平均粒径はコールターマルチサイザーII(コールター
社製)を用いて測定して、重量平均粒径d50を適用し
た。
【0053】以下に、本発明の具体的な実施例について
示す。 <実施例1>粉体トナーは富士ゼロックス社製Acol
or用のシアン、マゼンタ、およびイエローを用いた。 (画像作成方法)本発明に使用した装置として、図5に
示す構造のものを利用した。すなわち、富士ゼロックス
社製のAcolor630を改造した装置を利用した。
この装置により、照明11から原稿12に照射した反射
光を、カラーCCD 13により読み取って、画像処理
装置14でイエロー、マゼンタ、シアンの3色の信号に
色分解し、画像処理を加えて各色ごとに、一色ずつ順番
に、半導体レーザー15から光信号として出力した。そ
の光信号を、光学系16を通して、予め帯電器17によ
って帯電された感光体18に露光して、画像部分が低電
位になる静電潜像を作製した。上記の方法で得られた帯
電した粉体トナーを含む現像剤を現像器19〜21に仕
込み、現像バイアスを印加することにより現像を行なっ
て、粉体トナーを静電気力により、感光体上の静電潜像
に付着させた。形成された粉体トナー像を転写ドラム2
3に静電吸着された転写体24に一色ずつ、転写コロト
ロン25で与えられた電界により転写した。これをイエ
ロー、マゼンタ、シアンの順に3回繰り返し、転写体上
に粉体トナー像を得た。これを定着器26によって、加
熱定着して粉体トナーよりなる定着画像を得た。なお、
22は黒色用の現像器である。
【0054】また、現像されたトナー重量は、各色で同
一として、面積率100%画像部分で6.5(g/
2 )とした。なお、転写体として、Acolor用O
HPフィルム(富士ゼロックス社製)を用いた。
【0055】次に、接着剤として厚さ5μmの紫外線硬
化型アクリル樹脂製粘着シートを表面に圧着した厚さ7
5μmのポリエチレンテレフタレートの白色シートを、
上記粉体トナー画像表面に対して接着剤面を重ね合わ
せ、改造したAcolor630の定着器27によって
圧着した後、デュポン社製STUDIO FRAMEを
用いて60秒間紫外光を照射して、最終画像を作製し
た。
【0056】<実施例2>接着剤として熱硬化型アクリ
ル樹脂製接着剤層を厚さ20μmになるように形成した
厚さ10μmのポリプロピレンフィルム製白色シート
を、実施例1の方法で作製した粉体トナーよりなる定着
画像の表面に重ね合わせ、改造したAcolor630
の定着器27によって接着温度100℃、送り速度30
mm/sの条件で加熱接着して、最終画像を作製した。
接着工程における、接着剤の粘度は5×102 Pa・
s、粉体トナー樹脂の粘度は1×104 Pa・sであっ
た。
【0057】<実施例3> (透明トナーの製造)結着樹脂:線状ポリエステル樹脂
(テレフタル酸/ビスフェノールA エチレンオキサイ
ド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得られた線
状ポリエステル;Tg=62℃、Mn=4,000、M
w=35,000、酸価=12、水酸価=25) 上記樹脂をエクストルーダーで溶融混練し、ジェットミ
ルで粉砕した。粉砕物を風力式分級機で分級して平均粒
径7μmの粒子を作製した後、粒子表面に、流動化剤と
して、疎水性シリカ微粉末(R972,日本アエロジル
社製、平均粒径0.016μm)0.76重量%を添加
し、ヘンシェルミキサーで混合して透明トナーを得た。 (透明トナー用現像剤の調製)上記の透明トナー組成物
と、メチルメタクリレート−スチレン共重合体で被覆し
た粒径約50μmのフェライトよりなるキャリアを用
い、キャリア100重量部に対して上記透明トナー組成
物8重量部を添加し、ターブラシェイカーミキサーで混
合して、透明トナーを含む2成分現像剤を得た。
【0058】実施例1の粉体トナー画像形成方法におい
て、上記透明トナーを含む現像剤を現像器22に仕込ん
で、透明な転写体上に転写した粉体トナー像の上に画像
面積率100%の透明トナー層を転写し、定着器26で
加熱定着して、表面に透明樹脂層を設けた粉体トナーよ
りなる定着画像を得た。透明トナーの現像重量は15.
0(g/m2 )とした。次いで塩化ビニル合成樹脂を含
む塗布液を塗布、乾燥して形成された厚さ20μmの接
着剤層を表面に設けた厚さ100μmのポリエチレンテ
レフタレート製白色シートを、画像表面に透明樹脂層を
設けた定着画像と重ね合わせて、改造したAcolor
630の定着器27によって、接着温度100℃、送り
速度30mm/sの条件で加熱接着して最終画像を作製
した。接着工程における、接着剤の粘度は3×103
a・s、粉体トナー樹脂の粘度は1×104 Pa・sで
あった。
【0059】<実施例4>表面に厚さ30μmの熱硬化
型ウレタン樹脂製接着剤層を形成した厚さ100μmの
ポリエチレンテレフタレート製白色シートの接着剤層表
面に、スチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体か
らなる厚さ10μmのシートを重ね合わせ、さらに上記
シート表面と実施例1の方法で作製した粉体トナーより
なる定着画像を重ね合わせ、改造したAcolor63
0の定着器27によって接着温度100℃、送り速度3
0mm/sの条件で加熱接着して最終画像を作製した。
接着工程における、接着剤の粘度は4×102 Pa・
s、粉体トナー樹脂の粘度は1×104 Pa・sであっ
た。
【0060】<実施例5>実施例3で作製した、透明な
転写体上の粉体トナー画像表面に透明樹脂層を有する粉
体トナー画像を使用し、厚さ50μmの熱硬化型ウレタ
ン樹脂製接着剤層を形成した厚さ250μmのポリエチ
レンテレフタレート製白色シートを使用した以外は、実
施例4と同じ方法で最終画像を作製した。 <実施例6>熱硬化型アクリル樹脂製接着剤層を厚さ7
0μmになるように形成した厚さ150μmのポリエチ
レンテレフタレート製白色シートを使用した以外は、実
施例2の方法と同じ方法で最終画像を作製した。ただ
し、転写体とフィルムが接着剤部で剥がれてしまうの
で、接着操作を3回行なった。
【0061】<比較例1>実施例1の方法で厚さ800
μmの転写体上に形成した粉体トナーよりなる定着画像
の上に、接着剤として厚さ10μmの熱硬化型アクリル
樹脂製接着剤を表面に形成した厚さ125μmのポリエ
チレンテレフタレート製白色シートを重ね合わせ、改造
したAcolor630の定着器27によって接着温度
100℃、送り速度30mm/sの条件で加熱接着して
最終画像を作製した。接着剤の粘度は5×102 Pa・
s、粉体トナー樹脂の粘度は1×104 Pa・sであっ
た。 <比較例2>実施例3において、転写体上の粉体トナー
よりなる定着画像の上に透明な樹脂層を形成しなかった
以外は、実施例3と同じ方法で最終画像を得た。 <比較例3>実施例4の方法で、接着剤層表面にエポキ
シ樹脂からなる厚さ10μmのシートを使用した以外
は、実施例4と同じ方法で最終画像を作製した。
【0062】(評価試験)実施例1〜6および比較例1
〜3において、人物を含む写真を原稿にして、最終画像
を作製した場合について、形成された最終画像を使っ
て、評価を行った。その結果を表1に示す。
【表1】 以上の結果から明らかなように、本発明に係る実施例
は、総合的に画質の評価が高い。
【0063】<実施例7>粉体トナーは富士ゼロックス
社製Acolor用のシアン、マゼンタ、およびイエロ
ーを用いた。 (画像作成方法)本発明に使用した装置として、図5に
示す構造のものを利用した。また、現像されたトナー重
量は、各色で同一として、面積率100%画像部分で
6.5(g/m2 )とした。また、転写体は、OKスー
パーアート紙(新王子製紙社製)を用いた。次に、接着
剤として厚さ5μmの紫外線硬化型アクリル樹脂製接着
シートを表面に圧着した厚さ100μmのポリエチレン
テレフタレートフィルムを、上記粉体トナーよりなる定
着画像表面に対して接着剤面を重ね合わせ、改造したA
color630の定着器27によって圧着した後、デ
ュポン社製STUDIO FRAMEを用いて60秒間
紫外光を照射して、最終画像を作製した。
【0064】<実施例8>接着剤として熱硬化型アクリ
ル樹脂製接着剤層を厚さ20μmになるように形成した
厚さ8μmのポリプロピレンフィルムを実施例1の方法
で作製した粉体トナーよりなる定着画像の表面に重ね合
わせ、改造したAcolor630の定着器27によっ
て接着温度100°C、送り速度30mm/sの条件で
加熱接着して最終画像を作製した。接着工程における、
接着剤の粘度は5×102 Pa・s、粉体トナー樹脂の
粘度は1×104 Pa・sであった。
【0065】<実施例9>実施例7の粉体トナー画像形
成方法において、実施例3におけると同様の透明トナー
を含む現像剤を現像器22に仕込んで、転写体上に転写
した粉体トナー像の上に画像面積率100%の透明トナ
ー層を転写し、定着器26で加熱定着して、表面に透明
樹脂層を設けた粉体トナーよりなる定着画像を得た。透
明トナーの現像重量は15.0(g/m2 )とした。次
いで塩化ビニル合成樹脂を含む塗料を塗布、乾燥して厚
さ20μmの接着剤層を表面に設けた厚さ75μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルムを、画像表面に透明
樹脂層を設けた粉体トナーよりなる定着画像と重ね合わ
せ、改造したAcolor630の定着器27によって
接着温度100℃、送り速度30mm/sの条件で加熱
接着して最終画像を作製した。接着工程における、接着
剤の粘度は3×103 Pa・s、粉体トナー樹脂の粘度
は1×104 Pa・sであった。
【0066】<実施例10>表面に厚さ30μmの熱硬
化型ウレタン樹脂製接着剤層を形成した厚さ100μm
のポリエチレンテレフタレートフィルムの接着剤層表面
に、スチレン−n−ブチルメタクリレート共重合体から
なる厚さ10μmのシートを重ね合わせて、該シート表
面と実施例7の方法で作製した粉体トナーよりなる定着
画像を重ね合わせ、改造したAcolor630の定着
器27によって接着温度100℃、送り速度30mm/
sの条件で加熱接着して最終画像を作製した。接着工程
における、接着剤の粘度は4×102 Pa・s、粉体ト
ナー樹脂の粘度は1×104 Pa・sであった。
【0067】<実施例11>実施例9で作製した転写体
上の粉体トナーよりなる定着画像表面に透明樹脂層を有
する粉体トナー画像を使用し、厚さ50μmの熱硬化型
ウレタン樹脂製接着剤層を形成した厚さ200μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルムを使用した以外は、
実施例10と同じ方法で最終画像を作製した。 <実施例12>熱硬化型アクリル樹脂製接着剤層を厚さ
70μmになるように形成した厚さ100μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルムを使用した以外は、実施
例8の方法と同じ方法で最終画像を作製した。ただし、
転写体とフィルムが接着剤部ではがれるため、接着操作
を3回行なった。
【0068】<比較例4>実施例7の方法で転写体上に
形成した粉体トナーよりなる定着画像の上に、塩化ビニ
ル系合成樹脂を混合した塗料をアプリケータを使用して
厚さ12μmに塗布し、赤外線ヒータで100℃に加熱
して塗料中の溶剤を蒸発させ定着して接着し、最終画像
を作製した。接着工程における、接着剤の粘度は4×1
1 Pa・s、粉体トナー樹脂の粘度は1×104 Pa
・sであった。 <比較例5>実施例7の方法で転写体上に形成した粉体
トナーよりなる定着画像の上に、接着剤として厚さ50
μmの熱硬化型アクリル樹脂製接着剤を表面に形成した
厚さ300μmのポリエチレンテレフタレートを重ね合
わせ、改造したAcolor630の定着器27によっ
て接着温度100℃、送り速度30mm/sの条件で加
熱接着して最終画像を作製した。接着剤の粘度は5×1
2 Pa・s、粉体トナー樹脂の粘度は1×104 Pa
・sであった。 <比較例6>実施例9において、転写体上の粉体トナー
よりなる定着画像の上に透明な樹脂層を形成しなかった
以外は、実施例9と同じ方法で最終画像を得た。 <比較例7>実施例10の方法で、接着剤層表面にエポ
キシ樹脂からなる厚さ10μmのシートを使用した以外
は、実施例10と同じ方法で最終画像を作製した。
【0069】(評価試験)実施例7〜12および比較例
4〜7において、人物を含む写真を原稿にして、最終画
像を作製した場合について、形成された最終画像を使っ
て、評価を行った。その結果を表2に示す。
【表2】 以上の結果から明らかなように、本発明に係る実施例
は、総合的に画質の評価が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シート部材接着前の定着画像の状態を示す断
面図および測定点を表した模式図である。
【図2】 シート部材接着後の定着画像の状態を示す断
面図および測定点を表した模式図である。
【図3】 シート部材接着後の接着剤と粉体トナーより
なる定着画像が相溶した画像の状態を示す断面図および
測定点を表した模式図である。
【図4】 シート部材接着後の、定着画像表面に透明な
樹脂層を設けた場合の定着画像の状態を示す断面図およ
び測定点を表した模式図である。
【図5】 本発明を実施する装置の一例を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
1…転写体、2…粉体トナーよりなる定着画像部、3…
定着画像表面(基準線)、4…接着剤層、5…シート部
材、6…包埋剤、7…測定部位、8…相溶部分、9…透
明樹脂層、11…照明、12…原稿、13…カラーCC
D、14…画像処理装置、15…半導体レーザー、16
…光学系、17…帯電器、18…感光体、19〜22…
現像器、23…転写ドラム、24…転写体、25…転写
コロトロン、26…定着器、27…定着器。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像情報により変調された光を用いて、
    潜像担持体上に静電潜像を形成する露光工程、該潜像担
    持体上に、少なくともシアン、マゼンタ、イエローの粉
    体トナーを用いて、トナー像を形成する現像工程、該ト
    ナー像を転写体上に転写する転写工程、転写体上のトナ
    ー像を定着する定着工程、定着画像表面に透明な接着剤
    層を有するシート部材を密着させて最終画像を形成する
    工程を有し、前記シート部材を接着する前の画像の平均
    厚みをA、シート部材を接着した後の画像の平均厚みを
    Bとした場合、下記関係式 0.7≦B/A≦1.2 を満たすことを特徴とする多色画像形成方法。
  2. 【請求項2】 転写体が透明な転写体であり、かつシー
    ト部材が白色または有色シートであることを特徴とする
    請求項1記載の多色画像形成方法。
  3. 【請求項3】 シート部材が透明樹脂フィルムであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の多色画像形成方法。
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