JPH10137975A - 高強度Cr−Mo鋼の被覆アーク溶接金属及び被覆アーク溶接方法 - Google Patents

高強度Cr−Mo鋼の被覆アーク溶接金属及び被覆アーク溶接方法

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JPH10137975A
JPH10137975A JP30701996A JP30701996A JPH10137975A JP H10137975 A JPH10137975 A JP H10137975A JP 30701996 A JP30701996 A JP 30701996A JP 30701996 A JP30701996 A JP 30701996A JP H10137975 A JPH10137975 A JP H10137975A
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武 中川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SR処理後の室温及び高温強度、靱性、クリ
ープ強度、耐焼戻し脆化特性、耐高温割れ性並びに耐低
温割れ性が優れていると共に、耐SR割れ性が良好であ
る高強度Cr−Mo鋼の被覆アーク溶接金属及び被覆ア
ーク溶接方法を提供する。 【解決手段】 被覆アーク溶接によって形成される溶接
金属は、C:0.04乃至0.15重量%、Si:0.
15乃至0.50重量%、Mn:0.50乃至1.40
重量%、Cr:2.00乃至3.25重量%、Mo:
0.90乃至1.20重量%及びV:0.20乃至0.
70重量%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物か
らなる。この不可避的不純物は、Pが0.015重量%
以下、Cuが0.50重量%以下、Niが0.50重量
%以下、Bが0.0050重量%以下、Alが0.05
0重量%以下、Tiが0.050重量%以下、Nが0.
0200重量%以下に規制されている。そして、625
℃の温度で10時間の熱処理を施した溶接金属原質部の
みから電解抽出により採取した残渣の組成は、Fe:3
5重量%以下及びV:10重量%以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度Cr−Mo
鋼(Cr:2.00乃至3.25重量%、Mo:0.9
0乃至1.20重量%)の溶接に使用され、特に、Cr
及びMoの他にVを必須成分として含有し、更に必要に
応じて、Nb、Ti、B及びCa等を含有する高強度C
r−Mo鋼の溶接に有効であって、耐SR割れ性が良
好、即ち、析出時効による粒界割れが生じ難い高強度C
r−Mo鋼の被覆アーク溶接金属及び被覆アーク溶接方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】2.25〜3%Cr−1%Mo鋼は高温
特性に優れているため、ボイラー及び化学反応容器等の
高温高圧環境下において使用される材料として、従来よ
り広く適用されている。近時、設備の高効率操業を図る
ため、これらの構造物の使用環境はより一層高温高圧化
される傾向にあり、従来の鋼材からなる溶接構造物を大
型厚肉化したり、V及びNb等を添加した高強度Cr−
Mo鋼により溶接構造物を製造して、その強度を高める
方法が開発されている。
【0003】そして、このような高強度Cr−Mo鋼か
らなる溶接構造物においても大型厚肉のものが多いの
で、その溶接には、一般的に、溶接効率が良好であるサ
ブマージアーク溶接が適用されているが、特に、ノズル
及び配管等の溶接時においては、被覆アーク溶接を適用
することが必要とされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高強度
Cr−Mo鋼を溶接した場合、その溶接構造物に対して
はSR(応力除去焼鈍)処理を施すことが必要とされて
おり、Vを必須成分として含有する高強度Cr−Mo鋼
溶接構造物の大型厚肉化が進むにつれて、溶接部におい
ては引張成分の残留応力及び拘束等が増大するという問
題点がある。従って、析出時効による粒界割れ、いわゆ
るSR割れの発生が今後の大きな問題となる。
【0005】ところで、Vが添加された高強度Cr−M
o鋼溶接用の被覆アーク溶接棒に関しては、溶接金属の
高強度化及びそれに伴う靱性低下の防止効果の向上を図
ったものが開示されている(特開昭59−178197
号公報、特開昭60−261690号公報、特開昭62
−137196号公報、特開昭62−224497号公
報、特開昭63−242491号公報、特開平2−22
0797号公報、特開平3−294089号公報及び特
開平4−266494号公報等)。しかし、これらの溶
接棒を使用してCr−Mo鋼を溶接しても、優れた耐S
R割れ性を有する溶接金属を得ることはできず、優れた
特性を有する高強度Cr−Mo鋼の溶接金属を得るため
の溶接棒として、最適であるとはいえない。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、SR処理後の室温及び高温強度、靱性、ク
リープ強度、耐焼戻し脆化特性、耐高温割れ性(凝固時
において割れが発生し難いこと)並びに耐低温割れ性
(水素による遅れ破壊が発生し難いこと)が優れている
と共に、耐SR割れ性が良好である高強度Cr−Mo鋼
の被覆アーク溶接金属及び被覆アーク溶接方法を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る高強度Cr
−Mo鋼の被覆アーク溶接金属は、被覆アーク溶接によ
って形成される溶接金属において、C:0.04乃至
0.15重量%、Si:0.15乃至0.50重量%、
Mn:0.50乃至1.40重量%、Cr:2.00乃
至3.25重量%、Mo:0.90乃至1.20重量%
及びV:0.20乃至0.70重量%を含有し、残部が
Fe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純物のう
ち、Pが0.015重量%以下、Cuが0.50重量%
以下、Niが0.50重量%以下、Bが0.0050重
量%以下、Alが0.050重量%以下、Tiが0.0
50重量%以下、Nが0.0200重量%以下に規制さ
れた組成を有し、625℃の温度で10時間の熱処理を
施した溶接金属原質部のみから電解抽出により採取した
残渣の組成は、Fe:35重量%以下及びV:10重量
%以上であることを特徴とする。この溶接金属は、更
に、Nb:0.040重量%以下、W:2.00重量%
以下及びCo:1.00重量%以下からなる群から選択
された少なくとも1種の元素を含有することが好まし
い。
【0008】本発明に係る高強度Cr−Mo鋼の被覆ア
ーク溶接方法は、心線及び被覆剤のいずれか一方又は両
方の合計で、溶接棒全重量あたり、C:0.05乃至
0.17重量%、Si:0.20乃至2.00重量%、
Mn:0.70乃至2.50重量%、Cr:1.20乃
至2.60重量%、Mo:0.50乃至1.10重量%
及びV:0.15乃至0.80重量%を含有し、Pが
0.015重量%以下、Cuが0.50重量%以下、N
iが0.50重量%以下、Bが0.0050重量%以
下、Alが0.050重量%以下、Tiが0.050重
量%以下、Nが0.0150重量%以下に規制された組
成を有し、前記心線は残部がFe及び不可避的不純物か
らなり、溶接棒全重量あたりの被覆剤を25乃至40重
量%とした被覆アーク溶接棒を使用し、溶接入熱を10
乃至40(kJ/cm)として被覆アーク溶接する被覆
アーク溶接方法であって、得られた溶接金属を、C:
0.04乃至0.15重量%、Si:0.15乃至0.
50重量%、Mn:0.50乃至1.40重量%、C
r:2.00乃至3.25重量%、Mo:0.90乃至
1.20重量%及びV:0.20乃至0.70重量%を
含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、不可
避的不純物のうち、Pが0.015重量%以下、Cuが
0.50重量%以下、Niが0.50重量%以下、Bが
0.0050重量%以下、Alが0.050重量%以
下、Tiが0.050重量%以下、Nが0.0200重
量%以下に規制された組成を有し、625℃の温度で1
0時間の熱処理を施した溶接金属原質部のみから電解抽
出により採取した残渣の組成が、Fe:35重量%以下
及びV:10重量%以上であるものとすることを特徴と
する。
【0009】この被覆アーク溶接棒は、更に、心線及び
被覆剤のいずれか一方又は両方の合計で、溶接棒全重量
あたり、Nb:0.050重量%以下、W:2.00重
量%以下及びCo:1.00重量%以下からなる群から
選択された少なくとも1種の元素を含有し、前記溶接金
属は、更に、Nb:0.040重量%以下、W:2.0
0重量%以下及びCo1.00重量%以下からなる群か
ら選択された少なくとも1種の元素を含有することが望
ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】本願発明者等が本発明の課題を解
決すべく、鋭意実験研究を重ねた結果、被覆アーク溶接
により高強度Cr−Mo鋼を溶接する際に、溶接入熱を
適切な範囲に規定すると共に、溶接金属中のC及びV含
有量を規定することにより、高強度Cr−Mo鋼の溶接
金属の耐SR割れ性を改善することができることを見い
出した。即ち、本願発明者等は、高強度Cr−Mo鋼の
溶接金属を炭化物が析出しやすい温度(例えば、625
℃)で熱処理すれば、粒内は炭化物の析出による析出硬
化を示し、旧オーステナイト粒界にはFeを主体とする
セメンタイトが膜状に多量に析出して粒界強度が低下す
るため、粒内強度と粒界強度との差が大きくなり、SR
割れが旧オーステナイト粒界に沿って生じ易くなること
を見い出した。
【0011】そこで、本発明においては、Feよりも炭
化物形成傾向が大きく、高強度Cr−Mo鋼の必須成分
であるVを、溶接金属中のV含有量が0.20乃至0.
70重量%となるように溶接棒に添加すると共に、溶接
金属中のC含有量が0.04乃至0.15重量%となる
ようにCを溶接棒に添加する。また、溶接金属中のVが
窒化物として消費されないようにするために、溶接金属
中のN含有量を0.0200重量%以下となるように溶
接棒中のN含有量を規制する。これにより、SR処理後
において、V炭化物が溶接金属の結晶粒内に析出するこ
とを促進し、その結果、セメンタイトが膜状に旧オース
テナイト粒界に析出することを抑制して、粒界強度の低
下を防止することができるので、高強度Cr−Mo鋼の
被覆アーク溶接金属において、耐SR割れ性を改善する
ことができる。
【0012】以下、本発明における高強度Cr−Mo鋼
の被覆アーク溶接金属及び被覆アーク溶接方法につい
て、更に説明する。先ず、被覆アーク溶接金属中の特定
成分の組成限定理由について説明する。
【0013】溶接金属中のC含有量:0.04乃至0.
15重量% Cは焼入れ性に大きな影響を及ぼし、室温及び高温強度
並びに靱性を確保する上で重要な元素である。溶接金属
中のC含有量が0.04重量%未満であると、強度及び
靱性が低下する。また、本発明においては、Vの添加量
を増加させて、V炭化物を優先的に粒内に析出させるこ
とにより、セメンタイトの析出を抑制しているが、溶接
金属中のC含有量が0.15重量%を超えると、セメン
タイトの旧オーステナイト粒界への析出を抑制すること
が困難になり、耐SR割れ性が低下してしまう。また、
強度が高くなりすぎて、耐低温割れ性及び靱性が低下す
る。従って、溶接金属中のC含有量は0.04乃至0.
15重量%とする。好ましくは、C含有量は0.06乃
至0.11重量%である。
【0014】溶接金属中のSi含有量:0.15乃至
0.50重量% Siはビードのなじみ性を改善する効果を有する元素で
ある。溶接金属中のSi含有量が0.15重量%未満で
あると、この効果が低下して作業性が劣化する。一方、
Si含有量が0.50重量%を超えると、不純物として
存在するPの粒界への偏析を促進するので、耐焼戻し脆
化特性及び耐SR割れ性が低下する。また、強度が高く
なりすぎて靱性低下の原因ともなる。従って、溶接金属
中のSi含有量は、0.15乃至0.50重量%とす
る。好ましくは、Si含有量は0.20乃至0.40重
量%である。
【0015】溶接金属中のMn含有量:0.50乃至
1.40重量% Mnは、特に、Vを添加した溶接金属の靱性を向上させ
る効果を有する。溶接金属中のMn含有量が0.50重
量%未満であると、その効果が低下して、靱性が不十分
となる。一方、Mn含有量が1.40重量%を超える
と、クリープ強度が低下すると共に、不純物として存在
するPの粒界への偏析を促進するので、耐焼戻し脆化特
性及び耐SR割れ性も低下する。従って、溶接金属中の
Mn含有量は0.50乃至1.40重量%とする。好ま
しくは、Mn含有量は0.80乃至1.30重量%であ
る。
【0016】溶接金属中のCr含有量:2.00乃至
3.25重量%、溶接金属中のMo含有量:0.90乃
至1.20重量% Cr及びMoは、高強度2.25〜3%Cr−1%Mo
鋼の基本成分である。溶接金属中のCr含有量が2.0
0重量%未満若しくは3.25重量%を超える場合、又
は溶接金属中のMo含有量が0.90重量%未満若しく
は1.20重量%を超える場合においても本発明の効果
は認められるが、実際には対象とする高温環境下では使
用されない母材成分範囲である。従って、溶接金属中の
Cr含有量は2.00乃至3.25重量%とし、Mo含
有量は0.90乃至1.20重量%とする。好ましくは
Cr含有量が2.20乃至3.25重量%であり、Mo
含有量が0.95乃至1.10重量%である。
【0017】溶接金属中のV含有量:0.20乃至0.
70重量% Vは、本発明において最も重要な元素であり、Feより
も炭化物形成傾向が大きい。このため、高強度Cr−M
o鋼の溶接金属中のV含有量を所定量以上に増加させる
と、SR処理後の粒内に微細なV炭化物が優先的に析出
し、Feを主体とするセメンタイトが旧オーステナイト
粒界へ膜状に析出することを抑制することができる。こ
れにより、耐SR割れ性を大幅に改善することができ
る。また、Vは溶接金属の室温及び高温強度並びにクリ
ープ強度を高める効果も有している。溶接金属中のV含
有量が0.20重量%未満であると、これらの効果を十
分に得ることができない。一方、溶接金属中のV含有量
が0.70重量%を超えると、強度が高くなりすぎて、
靱性及び耐焼戻し脆化特性が低下する。また、粒内の析
出硬化の程度が大きすぎる場合には、粒界強度との差が
大きくなることにより、耐SR割れ性も低下する。従っ
て、溶接金属中のV含有量は0.20乃至0.70重量
%とする。好ましくはV含有量は0.30乃至0.40
重量%である。
【0018】溶接金属中のP含有量:0.015重量%
以下 高強度Cr−Mo鋼には、高温強度及びクリープ強度を
高めるために析出硬化の作用を有するV及びNb等を添
加しており、同様に、溶接金属においても、V及びNb
等を添加している。このため、溶接部に生じる引張残留
応力が大きい場合には、溶接金属にSR割れが発生する
虞がある。Pは旧オーステナイト粒界に偏析し、粒界強
度を低下させる元素であるので、特に、溶接金属中のP
含有量が高い場合には粒界強度が低下することから、S
R割れが発生する危険性が高い。また、Pが粒界に偏析
することにより、耐焼戻し脆化特性が低下する。溶接金
属中のP含有量が0.015重量%を超えると、SR割
れが発生したり、耐焼戻し脆化特性が低下する。従っ
て、溶接金属中に不可避的不純物として存在するPの含
有量は0.015重量%以下に規制する。好ましくは、
P含有量を0.008重量%以下となるように規制す
る。
【0019】溶接金属中のCu含有量:0.50重量%
以下、Ni含有量:0.50重量%以下、B含有量:
0.0050重量%以下 溶接金属中のCuが0.50重量%を超えるか、溶接金
属中のNiが0.50重量%を超えるか、又は溶接金属
中のB含有量が0.0050重量%を超えて多量に含有
されると、耐高温割れ性が低下する。従って、本発明に
おいては、高温割れを防止するために、溶接金属中に不
可避的不純物として存在するCu含有量を0.50重量
%以下、Ni含有量を0.50重量%以下及びB含有量
を0.0050重量%以下に規制する。好ましくは、C
u含有量を0.10重量%以下、Ni含有量を0.10
重量%以下、B含有量を0.0010重量%以下となる
ように規制する。
【0020】溶接金属中のAl含有量:0.050重量
%以下、Ti含有量:0.050重量%以下 溶接金属中のAlが0.050重量%を超えるか、又は
溶接金属中のTi含有量が0.050重量%を超えて多
量に含有されると、強度が高くなりすぎて靱性及び耐焼
戻し脆化特性が劣化する。従って、本発明においては、
靱性及び耐焼戻し脆化特性の劣化を防止するために、溶
接金属中に不可避的不純物として存在するAl含有量を
0.050重量%以下に規制すると共に、Ti含有量を
0.050重量%以下に規制する。好ましくは、Al含
有量を0.010重量%以下、Ti含有量を0.010
重量%以下となるように規制する。
【0021】溶接金属中のN含有量:0.0200重量
%以下 本発明においては、V炭化物を優先的に析出させて、F
eを主体とするセメンタイトの旧オーステナイト粒界へ
の析出を抑制することにより耐SR割れ性を改善してい
る。しかしながら、溶接金属中のN含有量が0.020
0重量%を超えると、窒化物を形成するためにVが消費
されるので、V炭化物を析出させることが困難になる。
その結果、セメンタイトの析出を抑制することができな
くなって、粒界強度が大きく低下するので、耐SR割れ
性が劣化してしまう。従って、溶接金属中に不可避的不
純物として存在するNの含有量は0.0200重量%以
下に規制する。好ましくは、N含有量を0.0150重
量%以下となるように規制する。
【0022】なお、上述のP、Cu、Ni、B、Al、
Ti及びN以外の不可避的不純物、例えば、S、Sn、
As及びSbについても、溶接金属中の含有量を低下さ
せることにより、耐SR割れ性及び耐焼戻し脆化特性を
更に一層向上させることができる。従って、本発明にお
いては、溶接金属中の不可避的不純物としてのS、S
n、As及びSbを、夫々、0.010重量%以下に規
制することが望ましい。より好ましくは、不可避的不純
物としてのS、Sn、As及びSbは、夫々、0.00
5重量%以下である。
【0023】625℃の温度で10時間の熱処理を施し
た溶接金属原質部のみから電解抽出により採取した残渣
中のFe含有量:35重量%以下、V含有量:10重量
%以上 溶接金属に625℃の温度で10時間の熱処理を施し、
溶接金属原質部のみから試料を加工し、電解抽出により
採取した残渣中のFe含有量が35重量%以下であると
共に、V含有量が10重量%以上であると、粒内におけ
る微細なV炭化物の析出が促進され、旧オーステナイト
粒界へのセメンタイトの析出が抑制される。その結果、
粒界強度の低下を防止することができ、耐SR割れ性が
大きく改善される。従って、625℃の温度で10時間
の熱処理を施した溶接金属原質部のみから電解抽出によ
り採取した残渣中のFe含有量は35重量%以下とし、
V含有量は10重量%以上とする。好ましくは、Fe含
有量は20重量%以下であり、V含有量は15乃至45
重量%である。
【0024】溶接金属中のNb含有量:0.040重量
%以下、W含有量:2.00重量%以下、Co含有量:
1.00重量%以下 Nb、W及びCoの少なくとも1種が溶接金属中に添加
されることにより、その添加量が微量であっても、Vの
単独添加により高強度化を図った場合と比較して、更に
一層、室温及び高温強度並びにクリープ強度を向上させ
ることができる。しかしながら、Nb含有量が0.04
0重量%を超えるか、W含有量が2.00重量%を超え
るか、又はCo含有量が1.00重量%を超えると、強
度が高くなりすぎて、靱性が低下する。また、耐焼戻し
脆化特性及び耐SR割れ性も低下する。従って、溶接金
属中にNb、W及びCoの少なくとも1種を添加する場
合は、Nb含有量が0.040重量%以下、W含有量が
2.00重量%以下、Co含有量が1.00重量%以下
の範囲で添加することが望ましい。より好ましくは、溶
接金属中のNb含有量は0.005乃至0.020重量
%、W含有量は0.05乃至1.00重量%、Co含有
量は0.05乃至0.50重量%である。
【0025】次に、本発明に係る高強度Cr−Mo鋼の
被覆アーク溶接方法における被覆アーク溶接棒の成分限
定理由及び被覆率について説明する。なお、以下に示す
成分は溶接棒における心線及び被覆剤のいずれか一方に
含有されていても、両方に含有されていてもよく、両方
に含有される場合はその合計量を規定するものである。
【0026】被覆アーク溶接棒中のC含有量:0.05
乃至0.17重量% 前述の如く、Cは溶接金属の室温及び高温強度、クリー
プ強度並びに靱性を確保するために添加するものであ
り、溶接金属中のC含有量を0.04乃至0.15重量
%にするために、歩留まりを考慮して溶接棒全体におけ
るC含有量を規定する必要がある。従って、被覆アーク
溶接棒中のC含有量は0.05乃至0.17重量%とす
る。好ましくは、C含有量は0.07乃至0.13重量
%である。
【0027】被覆アーク溶接棒中のSi含有量:0.2
0乃至2.00重量% 前述の如く、Siはビードのなじみ性を改善する効果を
有しているので、溶接金属中のSi含有量を0.15乃
至0.50重量%にするために、歩留まりを考慮して被
覆アーク溶接棒全体におけるSi含有量を規定する必要
がある。従って、被覆アーク溶接棒中のSi含有量は
0.20乃至2.00重量%とする。好ましくは、Si
含有量は0.90乃至1.60重量%である。
【0028】被覆アーク溶接棒中のMn含有量:0.7
0乃至2.50重量% 前述の如くMnは、特に、Vが添加された溶接金属の靱
性を向上させる効果を有しているので、溶接金属中のM
n含有量を0.50乃至1.40重量%とするために、
歩留まりを考慮して被覆アーク溶接棒全体におけるMn
含有量を規定する必要がある。従って、被覆アーク溶接
棒中のMn含有量は0.70乃至2.50重量%とす
る。好ましくは、Mn含有量は1.00乃至2.00重
量%である。
【0029】被覆アーク溶接棒中のCr含有量:1.2
0乃至2.60重量%、被覆アーク溶接棒中のMo含有
量:0.50乃至1.10重量% Cr及びMoは、高強度2.25〜3%Cr−1%Mo
鋼の基本成分であり、所定量を被覆アーク溶接棒に含有
させる必要がある。即ち、溶接金属中のCr含有量を
2.00乃至3.25重量%にすると共に、溶接金属中
のMo含有量を0.90乃至1.20重量%とするため
に被覆アーク溶接棒全体におけるCr及びMo含有量を
規定する必要がある。従って、被覆アーク溶接棒中のC
r含有量は1.20乃至2.60重量%とし、Mo含有
量は0.50乃至1.10重量%とする。好ましくは、
Cr含有量が1.60乃至2.30重量%であり、Mo
含有量が0.70乃至0.90重量%である。
【0030】被覆アーク溶接棒中のV含有量:0.15
乃至0.80重量% 前述の如く、Vは本発明において最も重要な元素であ
り、溶接金属中のV含有量を0.20乃至0.70重量
%とするために、歩留まりを考慮して被覆アーク溶接棒
全体におけるV含有量を規定する必要がある。従って、
被覆アーク溶接棒中のV含有量は0.15乃至0.80
重量%とする。好ましくはV含有量は0.35乃至0.
55重量%である。
【0031】被覆アーク溶接棒中のP含有量:0.01
5重量%以下 前述の如く、Pは粒界に偏析して耐焼戻し脆化特性を劣
化させたり、粒界強度を低下させて、耐SR割れ性を低
下させる元素であるため、溶接金属中のP含有量を0.
015重量%以下に規制するために、歩留まりを考慮し
て被覆アーク溶接棒全体におけるP含有量を規定する必
要がある。従って、被覆アーク溶接棒中のP含有量は
0.015重量%以下に規制する。好ましくは、P含有
量を0.008重量%以下となるように規制する。
【0032】被覆アーク溶接棒中のCu含有量:0.5
0重量%以下、Ni含有量:0.50重量%以下、B含
有量:0.0050重量%以下 前述の如く、Cu、Ni及びBは溶接金属の高温割れに
対して有害な元素であり、できるだけ低減させることが
好ましい。溶接金属中のCu含有量を0.50重量%以
下、Ni含有量を0.50重量%以下にし、B含有量を
0.0050重量%以下に規制するために、歩留まりを
考慮して被覆アーク溶接棒全体におけるCu、Ni及び
B含有量を規定する必要がある。従って、被覆アーク溶
接棒中のCu含有量は0.50重量%以下に規制すると
共に、Ni含有量は0.50重量%以下、B含有量は
0.0050重量%以下に規制する。好ましくは、Cu
含有量を0.10重量%以下、Ni含有量を0.10重
量%以下、B含有量を0.0010重量%以下となるよ
うに規制する。
【0033】被覆アーク溶接棒中のAl含有量:0.0
50重量%以下、Ti含有量:0.050重量%以下 前述の如く、Al及びTiは溶接金属の靱性を劣化させ
る元素であり、できるだけ低減させることが好ましい。
溶接金属中のAl含有量を0.050重量%以下に規制
し、Ti含有量を0.050重量%以下に規制するため
に、歩留まりを考慮して被覆アーク溶接棒全体における
Al及びTi含有量を規定する必要がある。従って、被
覆アーク溶接棒中のAl含有量は0.050重量%以下
に規制すると共に、Ti含有量は0.050重量%以下
に規制する。好ましくは、Al含有量を0.010重量
%以下、Ti含有量を0.010重量%以下となるよう
に規制する。
【0034】被覆アーク溶接棒中のN含有量:0.01
50重量%以下 前述の如く、本発明においては、V炭化物を優先的に析
出させて、Feを主体とするセメンタイトの旧オーステ
ナイト粒界への析出を抑制することにより耐SR割れ性
を改善している。そこで、溶接金属中のN含有量を0.
0200重量%以下に規制するために、大気からの混入
分等も考慮して被覆アーク溶接棒全体におけるN含有量
を規定する必要がある。従って、被覆アーク溶接棒中の
N含有量は0.0150重量%以下に規制する。好まし
くは、N含有量を0.0100重量%以下となるように
規制する。
【0035】なお、前述の如く、P、Cu、Ni、B、
Al、Ti及びN以外の不可避的不純物、例えば、S、
Sn、As及びSbについても、溶接金属中の含有量を
低下させることにより、耐SR割れ性及び耐焼戻し脆化
特性を更に一層向上させることができる。そこで、溶接
金属中に含有されるこれらの不可避的不純物の含有量
を、夫々、0.010重量%以下に規制するために、被
覆アーク溶接棒全体におけるS、Sn、As及びSbを
規定することが望ましい。従って、被覆アーク溶接棒中
の不可避的不純物としてのS、Sn、As及びSbは、
夫々、0.010重量%以下とすることが望ましい。ま
た、より好ましくは、不可避的不純物としてのS、S
n、As及びSbを、夫々、0.005重量%以下に規
制する。
【0036】被覆アーク溶接棒中のNb含有量:0.0
50重量%以下、W含有量:2.00重量%以下、Co
含有量:1.00重量%以下 前述の如く、Nb、W及びCoの少なくとも1種の元素
を溶接金属中に添加することにより、更に一層、室温及
び高温強度並びにクリープ強度を向上させることができ
るので、溶接金属中にNb、W及びCoの少なくとも1
種を含有させる場合、その含有量を所望量に規定するた
めに、被覆アーク溶接棒全体におけるNb、W及びCo
の含有量を規定する必要がある。従って、被覆アーク溶
接棒中にNb、W及びCoの少なくとも1種を含有させ
る場合は、その含有量を夫々、0.050重量%以下、
2.00重量%以下、1.00重量%以下とすることが
望ましい。より好ましくは、被覆アーク溶接棒中のNb
含有量は0.010乃至0.030重量%、W含有量は
0.05乃至1.00重量%であり、Co含有量は0.
05乃至0.50重量%である。
【0037】被覆剤の被覆率:25乃至40重量% 本発明において使用する溶接棒は、上記成分の他に、ア
ーク安定剤及びスラグ生成剤等を被覆剤中に含有し、こ
の被覆剤が固着剤により心線に25乃至40重量%被覆
されているものとする。アーク安定剤及びスラグ生成剤
として、一般的な石灰等の金属炭酸塩、蛍石等の金属フ
ッ化物、アルミナ及びルチール等の酸化物、Mg、鉄
粉、アルカリ成分等を必要に応じて添加することができ
る。固着剤としては、珪酸ソーダ又は珪酸カリを含有す
る水ガラスを使用することができる。
【0038】被覆率については、溶接棒全重量あたりの
被覆剤の被覆率が25重量%未満であると、保護筒を十
分に形成することができないので、アークが集中せず、
スパッタが多発して作業性が極めて悪くなる。また、ス
ラグが十分に形成されず、ビード形状も劣化する。一
方、被覆率が40重量%を超えると、スラグの発生量が
極めて多くなり、開先内における運棒が困難になる。ま
た、スラグ巻き込みが発生し、スラグの剥離性が低下す
るので、溶接作業性が極めて悪いものとなる。従って、
溶接棒全重量あたりの被覆剤の被覆率は25乃至40重
量%とする。なお、好ましくは、被覆率は28乃至35
重量%である。
【0039】このように、被覆アーク溶接棒全体におけ
る化学組成を規定することにより、得られる溶接金属中
の化学成分の含有量を前述の如く調整することができ
る。更に、本発明に係る高強度Cr−Mo鋼の被覆アー
ク溶接方法における溶接条件の限定理由について説明す
る。
【0040】溶接入熱:10乃至40(kJ/cm) 本願発明者等は、被覆アーク溶接時の溶接入熱を適切に
選択すると、強度、靱性、耐焼戻し脆化特性、耐高温割
れ性、耐低温割れ性及び耐SR割れ性がバランス良く良
好である溶接金属を得ることができることを見い出し
た。溶接入熱が10(kJ/cm)未満であると、焼入
れ性が大きくなるので強度は向上するが、靱性、耐低温
割れ性及び耐SR割れ性が低下する。一方、溶接入熱が
40(kJ/cm)を超える場合は、焼入れ性が低下す
るので組織が粗大化し、耐SR割れ性に対しては影響し
ないが、強度、靱性及び耐焼戻し脆化特性が低下する。
また、ビード形状が梨の実型(縦長)になりやすく、耐
高温割れ性も低下する。従って、溶接入熱は10乃至4
0(kJ/cm)とする。好ましくは、溶接入熱は20
乃至30(kJ/cm)とする。
【0041】
【実施例】以下、本発明に係る高強度Cr−Mo鋼の被
覆アーク溶接金属の実施例についてその比較例と比較し
て具体的に説明する。
【0042】図1は本実施例において使用する溶接母材
の形状を示す模式的断面図である。図1に示すように、
本実施例において使用する高強度Cr−Mo鋼からなる
溶接母材1は、V形状の開先を有し、このV形状の開先
部の下部には、溶接母材1と同一の化学組成を有する裏
当金2が配置されている。本実施例においては、このV
形状の開先角度を10°として、その下部の裏当金が配
置されている部分のギャップ幅を22mmとした。ま
た、溶接母材1の板厚を19mmとした。
【0043】本実施例及び比較例においては、下記表1
乃至3に示す化学組成を有し、被覆剤中の他の成分とし
て下記表4に示す組成を有する被覆アーク溶接棒を使用
し、図1に示す開先形状に加工され下記表5に示す組成
を有する溶接母材の開先部に下記表6に示す溶接条件に
て、極性をACとして溶接金属を形成した。但し、高強
度Cr−Mo鋼の基本成分であるCr:2.00乃至
3.25重量%、Mo:0.90乃至1.20重量%の
範囲を外れた溶接金属が得られることが予想される成分
の溶接棒については試験の対象外とした。
【0044】先ず、表1乃至6に示す種々の条件を組み
合わせて形成した溶接金属について、全ての条件が本発
明の範囲内であるものを実施例とし、少なくとも1種の
条件が本発明の範囲から外れているものを比較例とし
て、それらの化学成分を分析すると共に、抽出残渣のE
DX分析(エネルギー分散型X線検出器による分析)を
実施した。溶接金属の形成条件及び組成の測定結果を下
記表7乃至9に示す。
【0045】図2は温度を縦軸にとり、時間を横軸にと
って、抽出残渣のEDX分析用試験材の熱処理条件を示
すグラフ図である。図2に示すように、試験材の温度が
300℃を超えると、温度上昇が毎時25℃以下になる
ように加熱条件を調整し、試験材の温度が625℃にな
ると、その温度で10時間保持する。そして、試験材の
温度が300℃以下になるまで、温度降下が毎時25℃
以下となるように試験材を冷却する。なお、試験材の温
度が300℃以下の範囲では、加熱及び冷却条件は規定
しない。
【0046】図3はEDX分析用試験材の溶接金属から
の採取位置を示す模式的断面図である。図3に示すよう
に、溶接母材1及び裏当金2の開先部に形成された溶接
金属3の最終ビード原質部8から所定のサイズの角柱状
試験片9を採取した。そして、この試験片9を下記表1
0に示す条件によって溶解して、析出物を抽出し、その
残渣をEDX分析した。これらのEDX分析結果を下記
表11に示す。
【0047】但し、実施例No.1乃至6は高強度2.
25%Cr−1%Mo鋼に本発明を適用した例であり、
実施例No.7は高強度3%Cr−1%Mo鋼に本発明
を適用した例である。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】次に、この溶接金属3の一部から種々の機
械的試験を行うための試験片を採取した。機械的試験の
内容は、室温及び高温引張試験、シャルピー衝撃試験、
焼戻し脆化試験及びクリープ破断試験の4種である。こ
れらの試験片は下記表12に示す形状とし、下記表12
に併せて示すSR条件によって熱処理を施した試験材の
板厚中央から採取した。
【0060】
【表12】
【0061】図4は温度を縦軸にとり、時間を横軸にと
って、機械的試験のSR条件を示すグラフ図である。図
4に示すように、試験片の温度が300℃を超えると、
温度上昇が毎時55℃以下になるように加熱条件を調整
し、試験片の温度が700℃になると、その温度で7時
間又は26時間保持する。次に、試験片の温度が300
℃以下になるまで、温度降下が毎時55℃以下となるよ
うに試験片を冷却する。なお、試験片の温度が300℃
以下の範囲では、加熱及び冷却条件は規定しない。
【0062】また、焼戻し脆化試験については、所定の
SR処理に加えて、ステップクーリング処理を施した。
図5は温度を縦軸にとり、時間を横軸にとって、ステッ
プクーリング処理条件を示すグラフ図である。図5に示
すように、試験片の温度が300℃を超えると、温度上
昇が毎時50℃以下になるように加熱条件を調整し、試
験片の温度を593℃まで加熱して、1時間保持する。
その後、同様の要領で538℃で15時間、524℃で
24時間、496℃で60時間保持するが、これらの冷
却段階においては、毎時5.6℃の温度で試験片が冷却
されるように調整する。更に、496℃に保持された試
験片を、毎時2.8℃の温度で冷却して468℃とし、
この温度で100時間保持する。そして、試験片の温度
が300℃以下になるまで、温度降下が毎時28℃以下
となるように試験片を冷却する。SR条件と同様に、試
験片の温度が300℃以下の範囲では、加熱及び冷却条
件は規定していない。
【0063】更に、前記溶接金属3からリング割れ試験
のための円筒形試験片を採取した。図6(a)は円筒形
試験片の溶接金属からの採取位置及び方向を示す模式的
断面図であり、(b)は円筒形試験片の形状を示す側面
図、(c)は同じくその断面図、(d)は断面図におけ
るノッチ部Aを拡大して示す断面図、(e)は円筒形試
験片を使用したリング割れ試験方法を示す模式的断面図
である。
【0064】図6(a)に示すように、溶接母材1と裏
当金2との開先部に形成された溶接金属3の最終ビード
を含むように、ノッチ及びスリットを有する円筒形試験
片4を採取した。このとき、図6(c)に示すノッチ5
が溶接金属3の原質部上方に、スリット6が下方に位置
するように採取した。なお、円筒形試験片4は、図6
(b)に示すように、円筒形の長手方向の長さを20m
mとし、その外径を10mm、内径を5mmとした。
【0065】また、図6(c)に示すように、円筒形試
験片4は、試験片4の長手方向に、円筒の内部の空洞部
にまで至るスリット6を0.5mmの幅で有し、このス
リットの反対側の外周面には試験片の長手方向にノッチ
5を有している。図6(c)のノッチ部Aにおける拡大
図である図6(d)に示すように、ノッチ5は、深さが
0.5mm、幅が0.4mmであり、底部の曲率半径が
0.2mmであるU字形の溝となっている。このような
形状の試験片をリング割れ試験に使用した。
【0066】なお、リング割れ試験は、「応力除去焼鈍
割れに関する研究(第2報)」(内木ら、溶接学会誌:
Vol.33、No.9(1964)P.718)を参
考にして、図6(e)に示すように、矢印で示す方向
に、円筒型試験片4に曲げ応力を印加して、試験片4の
スリット6を溶加材を使用せずに被覆アーク溶接し、ノ
ッチ5の底部に引張残留応力を生じさせたまま熱処理を
行って、ノッチ5の底部におけるSR割れの発生の有無
を観察することにより、耐SR割れ性を評価するもので
ある。
【0067】図7は温度を縦軸にとり、時間を横軸にと
って、リング割れ試験の熱処理条件を示すグラフ図であ
る。図7に示すように、試験片の温度が300℃を超え
ると、温度上昇が毎時25℃以下になるように加熱条件
を調整し、試験片の温度が625℃になると、その温度
で例えば10時間保持する。そして、試験片の温度が3
00℃以下になるまで、温度降下が毎時25℃以下とな
るように試験片を冷却する。なお、機械試験のSR条件
等と同様に、試験片の温度が300℃以下の範囲では、
加熱及び冷却条件は規定しない。
【0068】その他に、高温割れについては、溶接終了
後、直ちにX線透過試験によって評価した。また、低温
割れについては、試験材をそのまま3日間放置し、X線
透過試験によって欠陥部を観察した後、光学顕微鏡観察
及び走査型電子顕微鏡観察によって割れを評価した。更
に、一部の試験片については、カーボン抽出レプリカに
よる析出物を走査電子顕微鏡により観察すると共に、電
子線回折によって同定を実施した。
【0069】以下に、種々の評価試験における評価基準
を説明する。強度については、室温引張強さが600
(N/mm2)以上であると共に、高温(454℃)引
張強さが507(N/mm2 )以上のものを良好とし
た。靱性及び耐焼戻し脆化特性を評価するシャルピー衝
撃試験については、夫々、vTr55(55Jを示すシ
ャルピ−遷移温度)が−50℃以下であると共に、Δv
Tr55(ステップクーリング後のvTr55の遷移量
(vTr'55-vTr55))が20℃以下であるものを良好とし
た。なお、vTr’55とは、ステップクーリング後の
vTr55を示す。クリープ強度については、207
(N/mm2)の負荷応力を印加した試験片を538℃
の温度で保持して、クリープ破断時間を測定することに
より評価し、クリープ破断時間が900時間以上である
ものを良好とした。
【0070】また、高温割れ及び低温割れ試験について
は、全ての観察試験において、割れがないものを○(良
好)とし、割れが発生しているものを×(不良)とし
た。耐SR割れ性を評価するリング割れ試験について
は、図7に示すように、試験片に対して625℃の温度
で1、5、10、50、100及び500時間の6条件
で熱処理を施した後、光学顕微鏡によって観察すること
により割れを評価したが、10時間以上の熱処理でノッ
チ5の底部に割れが発生しないものを良好とした。従っ
て、625℃×10時間の熱処理で割れが発生したもの
は不良である。溶接作業性、耐高温割れ性、耐低温割れ
性及び耐SR割れ性の評価結果を下記表13に示し、溶
接金属の機械的性能及び総合評価を下記表14に示す。
【0071】
【表13】
【0072】
【表14】
【0073】上記表1〜9、11、13及び14に示す
ように、実施例No.1乃至7は、被覆アーク溶接棒、
溶接金属及び電解抽出残渣の化学組成が本発明の範囲内
であるので、機械的性能及び各耐割れ性とも良好なもの
となった。
【0074】一方、比較例No.8は、溶接棒中のC及
びMn含有量が本発明範囲の下限未満であるので、溶接
金属中のC及びMn含有量も本発明の範囲から外れて、
強度及び靱性が低下すると共に、クリープ破断時間も短
くなった。比較例No.9は、溶接棒中のSi含有量が
本発明範囲の下限未満であるので、溶接金属中のSi含
有量が本発明の範囲から外れており、これにより、溶接
作業性が極めて悪いものとなった。従って、溶接金属の
組成分析以外の各種試験を中止した。
【0075】比較例No.10は、溶接棒中のSi及び
Mnが本発明範囲の上限を超えているので、溶接金属中
のSi及びMn含有量が本発明の範囲から外れ、これに
より、靱性、耐焼戻し脆化特性及びクリープ強度が低下
すると共に、耐SR割れ性も低下した。比較例No.1
1は、溶接棒中のC及びN含有量が本発明範囲の上限を
超えているので、溶接金属中のC及びN含有量が本発明
の範囲から外れており、これにより、強度が高くなって
靱性及び耐焼戻し脆化特性が低下した。また、一部に
は、低温割れも観察された。更に、電解抽出のEDX分
析においては、残渣中のFe含有量が本発明範囲の上限
を超えているので、カーボン抽出レプリカの走査電子顕
微鏡による観察及び電子線回折による同定によると、旧
オーステナイト粒界へのセメンタイトの析出が著しく増
加していた。そのため、耐SR割れ性の評価が劣化し
た。
【0076】比較例No.12は、溶接棒中のP含有量
が本発明範囲の上限を超えていると共に、V含有量が本
発明範囲の下限未満であるので、溶接金属中のP及びV
含有量が本発明の範囲から外れている。また、電解抽出
のEDX分析においては、残渣中のFe含有量が本発明
範囲の上限を超えていると共に、V含有量が本発明範囲
の下限未満であるので、カーボン抽出レプリカの走査電
子顕微鏡による観察及び電子線回折による同定による
と、粒内におけるV炭化物の析出が少なくなり、旧オー
ステナイト粒界へのセメンタイトの析出が著しく増加し
ていた。そのため、耐SR割れ性が劣化すると共に、高
温強度が不足し、耐焼戻し脆化特性及びクリープ破断時
間も短かった。
【0077】比較例No.13は、溶接棒中のV含有量
が本発明範囲の上限を超えているので、溶接金属中のV
含有量も本発明の範囲から外れ、これにより、強度が高
くなって靱性及び耐焼戻し脆化特性が低下した。また、
溶接金属中のV含有量が本発明範囲の上限を超えている
ことから、粒内の析出効果の程度が大きくなりすぎて、
耐SR割れ性が低下した。比較例No.14は、被覆ア
ーク溶接棒中のCu、Ni及びBが本発明範囲の上限を
超えているので、溶接金属中のCu、Ni及びB含有量
が本発明の範囲から外れている。また、溶接入熱が本発
明範囲の上限を超えているので、耐高温割れ性が極めて
悪いものとなった。従って、組成分析以外の各種試験を
中止した。
【0078】比較例No.15は、被覆アーク溶接棒中
のAl及びTi含有量が本発明範囲の上限を超えている
ので、溶接金属中のAl及びTi含有量も本発明の範囲
から外れ、これにより、強度が高くなって靱性及び耐焼
戻し脆化特性が低下した。比較例No.16は、被覆ア
ーク溶接棒中のNb、W及びCo含有量が本発明の好ま
しい範囲の上限を超えて添加されているので、溶接金属
中のNb、W及びCo含有量も本発明の範囲から外れ、
また、溶接入熱が本発明範囲の下限未満であるので、強
度が高くなって靱性及び耐焼戻し脆化特性が低下すると
共に、耐SR割れ性も劣化し、一部に低温割れが観察さ
れた。
【0079】比較例No.17は被覆率が本発明範囲の
下限未満であるので、アーク安定性が極めて悪くなり、
また、ビード形状が劣化したので、溶接を途中で中断し
た。比較例No.18は被覆率が本発明範囲の上限を超
えているので、スラグの発生量が増加して運棒が困難と
なった。また、スラグの剥離も困難となり、作業性が極
めて悪いものとなったので、溶接を途中で中断した。
【0080】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
溶接金属及び電解抽出により採取した残渣の化学組成を
所定の範囲に設定しているので、SR後の室温及び高温
強度、靱性、クリープ強度、耐焼戻し脆化特性、耐高温
割れ性、耐低温割れ性並びに耐SR割れ性を向上させる
ことができる。また、本発明方法によれば、被覆アーク
溶接に使用する被覆アーク溶接棒の化学組成を適切な範
囲に規定すると共に、溶接条件を適切に選択しているの
で、これにより得られる溶接金属の組成を所望の範囲に
調整することができ、優れた特性を有する溶接金属を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例において使用する溶接母材の形状を示
す模式的断面図である。
【図2】温度を縦軸にとり、時間を横軸にとって、抽出
残渣のEDX分析用試験材の熱処理条件を示すグラフ図
である。
【図3】EDX分析用試験片の溶接金属からの採取位置
を示す模式的断面図である。
【図4】温度を縦軸にとり、時間を横軸にとって、機械
的特性試験のSR条件を示すグラフ図である。
【図5】温度を縦軸にとり、時間を横軸にとって、ステ
ップクーリング処理条件を示すグラフ図である。
【図6】(a)は円筒形試験片の溶接金属からの採取位
置及び方向を示す模式的断面図であり、(b)は円筒形
試験片の形状を示す側面図、(c)は同じくその断面
図、(d)は断面図におけるノッチ部Aを拡大して示す
断面図、(e)は円筒形試験片を使用したリング割れ試
験方法を示す模式的断面図である。
【図7】温度を縦軸にとり、時間を横軸にとって、リン
グ割れ試験の熱処理条件を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1;溶接母材 2;裏当金 3;溶接金属 4、9;試験片 5;ノッチ 6;スリット 8;最終ビード原質部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被覆アーク溶接によって形成される溶接
    金属において、C:0.04乃至0.15重量%、S
    i:0.15乃至0.50重量%、Mn:0.50乃至
    1.40重量%、Cr:2.00乃至3.25重量%、
    Mo:0.90乃至1.20重量%及びV:0.20乃
    至0.70重量%を含有し、残部がFe及び不可避的不
    純物からなり、不可避的不純物のうち、Pが0.015
    重量%以下、Cuが0.50重量%以下、Niが0.5
    0重量%以下、Bが0.0050重量%以下、Alが
    0.050重量%以下、Tiが0.050重量%以下、
    Nが0.0200重量%以下に規制された組成を有し、
    625℃の温度で10時間の熱処理を施した溶接金属原
    質部のみから電解抽出により採取した残渣の組成は、F
    e:35重量%以下及びV:10重量%以上であること
    を特徴とする高強度Cr−Mo鋼の被覆アーク溶接金
    属。
  2. 【請求項2】 更に、Nb:0.040重量%以下、
    W:2.00重量%以下及びCo:1.00重量%以下
    からなる群から選択された少なくとも1種の元素を含有
    することを特徴とする請求項1に記載の高強度Cr−M
    o鋼の被覆アーク溶接金属。
  3. 【請求項3】 心線及び被覆剤のいずれか一方又は両方
    の合計で、溶接棒全重量あたり、C:0.05乃至0.
    17重量%、Si:0.20乃至2.00重量%、M
    n:0.70乃至2.50重量%、Cr:1.20乃至
    2.60重量%、Mo:0.50乃至1.10重量%及
    びV:0.15乃至0.80重量%を含有し、Pが0.
    015重量%以下、Cuが0.50重量%以下、Niが
    0.50重量%以下、Bが0.0050重量%以下、A
    lが0.050重量%以下、Tiが0.050重量%以
    下、Nが0.0150重量%以下に規制された組成を有
    し、前記心線は残部がFe及び不可避的不純物からな
    り、溶接棒全重量あたりの被覆剤を25乃至40重量%
    とした被覆アーク溶接棒を使用し、溶接入熱を10乃至
    40(kJ/cm)として被覆アーク溶接する被覆アー
    ク溶接方法であって、得られた溶接金属を、C:0.0
    4乃至0.15重量%、Si:0.15乃至0.50重
    量%、Mn:0.50乃至1.40重量%、Cr:2.
    00乃至3.25重量%、Mo:0.90乃至1.20
    重量%及びV:0.20乃至0.70重量%を含有し、
    残部がFe及び不可避的不純物からなり、不可避的不純
    物のうち、Pが0.015重量%以下、Cuが0.50
    重量%以下、Niが0.50重量%以下、Bが0.00
    50重量%以下、Alが0.050重量%以下、Tiが
    0.050重量%以下、Nが0.0200重量%以下に
    規制された組成を有し、625℃の温度で10時間の熱
    処理を施した溶接金属原質部のみから電解抽出により採
    取した残渣の組成が、Fe:35重量%以下及びV:1
    0重量%以上であるものとすることを特徴とする高強度
    Cr−Mo鋼の被覆アーク溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記被覆アーク溶接棒は、更に、心線及
    び被覆剤のいずれか一方又は両方の合計で、溶接棒全重
    量あたり、Nb:0.050重量%以下、W:2.00
    重量%以下及びCo:1.00重量%以下からなる群か
    ら選択された少なくとも1種の元素を含有し、前記溶接
    金属は、更に、Nb:0.040重量%以下、W:2.
    00重量%以下及びCo1.00重量%以下からなる群
    から選択された少なくとも1種の元素を含有することを
    特徴とする請求項3に記載の高強度Cr−Mo鋼の被覆
    アーク溶接方法。
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