JPH10136317A - 画像信号変換装置および方法 - Google Patents

画像信号変換装置および方法

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JPH10136317A
JPH10136317A JP8290073A JP29007396A JPH10136317A JP H10136317 A JPH10136317 A JP H10136317A JP 8290073 A JP8290073 A JP 8290073A JP 29007396 A JP29007396 A JP 29007396A JP H10136317 A JPH10136317 A JP H10136317A
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Tetsujiro Kondo
哲二郎 近藤
Yasuhiro Fujimori
泰弘 藤森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 標準解像度の画像信号を高解像度の画像信号
に変換する信号変換を高性能に行う。 【解決手段】 入力SD画像信号のクラス情報に応じ
て、複数のHD画素の予測値と対応するパターンPがパ
ターンROM15から出力される。入力SD画像信号か
ら制御値生成部12は、クラス分類適応予測によって、
HD平均値予測値Y’を生成し、制御値生成部13は、
クラス分類適応予測によって、HD標準偏差予測値σ’
を生成する。パターンPは、複数のHD画素を平均値分
離および標準偏差による正規化の処理を経たものであ
り、予め学習により獲得される。演算部16は、パター
ンPと予測値Y’およびσ’を使用して、複数のHD画
素予測値を同時に生成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、入力された画像
信号より高い解像度を有する画像信号を得ることができ
るクラス分類適応処理を用いた画像信号変換装置および
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、画像信号を異なるフォーマットに
変換する装置として、例えば標準TV信号(SD(Stan
dard Definition )信号)をHD(High Definition )
フォーマット信号に変換するアップコンバータがある。
このアップコンバータに使用されている技術について以
下、説明する。まず、標準TV信号(SD信号)とHD
信号の各画素の空間配置例を図11に示す。ここでは、
説明の簡素化のため、HD信号の画素数を水平方向、垂
直方向に各々2倍としている。図中の二重丸のSD画素
に注目すると、近傍4種類の位置にHD画素が存在す
る。この4種類の位置に存在するHD画素を予測するモ
ードをそれぞれmode1、mode2、mode3、mode4と称す
る。このようなモードを規定するのは、係数の種類の増
大を抑え、予測演算部等の回路規模を小さくするためで
ある。
【0003】従来のアップコンバータにおいては、入力
SD信号に補間フィルタを適用することで補間画素を生
成し、HDフォーマットの信号を出力する。このアップ
コンバータの簡素な構成例としては、SD信号のフィー
ルド内データから、4種類の位置のHD画素を生成する
ことが考えられる。そこで用いられる補間フィルタの構
成は、垂直方向の処理と水平方向の処理とを分離しない
空間内2次元ノンセパラブルフィルタと、これらの処理
を分離して行う垂直/水平セパラブルフィルタに分類さ
れる。これらの補間フィルタの構成例を図12および図
13に示す。
【0004】図12に示すノンセパラブル補間フィルタ
は、空間内2次元フィルタを使用するものである。入力
端子81からSD信号が供給され、入力SD信号は、mo
de1用2次元フィルタ82、mode2用2次元フィルタ8
3、mode3用2次元フィルタ84およびmode4用2次元
フィルタ85へそれぞれ供給される。すなわち、4種類
の位置のHD画素毎に独立した2次元フィルタを用いて
補間処理を実行する。その結果、それぞれのフィルタ8
2〜85の出力は、HD信号として選択部86におい
て、直列化がなされ、出力端子87から出力HD信号が
取り出される。
【0005】また、図13に示す補間フィルタは、垂直
/水平セパラブルフィルタを使用するものである。入力
端子91からSD信号が供給され、入力SD信号は、垂
直補間フィルタ92および93において、HD信号の2
本の走査線データが生成される。例えば、垂直補間フィ
ルタ92では、mode1用およびmode2用の処理が行わ
れ、垂直補間フィルタ93では、mode3用およびmode4
用の処理が行われる。
【0006】これらの処理が行われると垂直補間フィル
タ92および93からの出力信号は、水平補間フィルタ
94および95へ供給される。この水平補間フィルタ9
4および95では、各走査線毎に水平フィルタを用い4
種類の位置のHD画素が補間され、選択部96へ供給さ
れる。選択部96では、供給されたHD信号の直列化が
なされ、出力端子97から出力HD信号が取り出され
る。
【0007】しかしながら、従来のアップコンバータに
おいて、補間フィルタとして理想フィルタを使用して
も、画素数は増えるものの空間解像度はSD信号と変わ
らない。実際には、理想フィルタを用いることが出来な
いため、SD信号より解像度の低下したHD信号を生成
することしかできないという問題がある。
【0008】そこで、これらの問題を解決するために、
補間のためのクラス分類適応処理を適用することが提案
されている。このクラス分類適応処理は、入力SD信号
の例えば輝度レベルの特徴に基づき、クラス分類を行
い、分類されたクラスに対応した予測係数が予測タップ
を構成する入力SD信号の複数の画素値との線形1次結
合によりHD信号を生成する処理である。このとき、用
いられている予測係数は、クラス毎に予め学習により獲
得されたものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先に提案されているク
ラス分類適応予測を使用したアップコンバータは、1画
素毎にHD画素を予測する処理である。しかしながら、
解像度をより高いものに向上させるには、複数画素を同
時にに予測した方が有利な場合が多い。
【0010】従って、この発明は、クラス分類適応予測
によってより解像度の高い出力画像信号を得るようにし
た信号変換装置であって、複数画素をクラス分類適応予
測により同時に生成することによって、より解像度を高
くすることが可能な画像信号変換装置および方法の提供
を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、第1のディジタル画像信号より画素数の多い第2の
ディジタル画像信号に変換するようにした画像信号変換
装置において、入力される第1のディジタル画像信号の
特性に基づき分類されるクラスに対応して、第2のディ
ジタル画像信号の互いに近接する複数の予測画素値を同
時に生成するクラス分類適応予測手段を備えたことを特
徴とする画像信号変換装置である。このクラス分類適応
予測手段は、クラスに対応して、予め学習により獲得さ
れた第2のディジタル画像信号の互いに近接する複数の
画素値のパターンを記憶する記憶手段と、パターンを予
測画素値に変換する演算に必要とされるパラメータを、
入力される第1のディジタル画像信号を使用してクラス
分類適応予測により生成するパラメータ生成手段と、パ
ターンおよびパラメータとにより予測画素値を演算する
演算手段とからなる。
【0012】パラメータとしては、複数の画素値の平均
値および正規化値が使用され、平均値分離および正規化
値による正規化によってパターンが形成される。ADR
Cによりパターンを生成する場合では、複数の画素から
なるブロックの基準値がパラメータとして使用される。
【0013】請求項10の発明は、第1のディジタル画
像信号より画素数の多い第2のディジタル画像信号に変
換するようにした画像信号変換装置において、入力され
る第1のディジタル画像信号の特性に基づき分類される
クラスに対応して、第2のディジタル画像信号の互いに
近接する複数の予測画素値を同時に生成する第1のクラ
ス分類適応予測手段と、入力される第1のディジタル画
像信号の特性に基づき分類されるクラスに対応して、第
2のディジタル画像信号の単一の予測画素値を生成する
第2のクラス分類適応予測手段と、第1のクラス分類適
応予測手段からの予測画素値と第2のクラス分類適応予
測からの予測画素値とを組み合わせて出力する手段とか
らなることを特徴とする画像信号変換装置である。
【0014】複数のHD画素値を同時に予測するので、
単一画素を予測するのに比して、より高性能の信号変換
を行うことが可能となる。また、複数画素の同時予測
と、単一画素の予測とを組み合わせることによって、複
数画素のパターンの歪みが目立つことを防止することが
できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例について
図面を参照しながら詳細に説明する。まず、この発明の
理解を容易とするため、先に提案されているクラス分類
適応処理を用いた、単一画素予測方式のアップコンバー
タを説明する。クラス分類適応処理を用いたアップコン
バータでは、入力SD信号の特徴に基づき、入力信号を
いくつかのクラスに分類し、予め学習により生成された
クラス毎の適応予測手法に従い、出力HD信号を生成す
る。
【0016】一例として、図1Aに示すような入力SD
信号(8ビットPCM(Pulse CodeModulation )デー
タ)に対してクラス生成タップを設定し、入力SD信号
の波形特性によりクラスを生成する。この図1Aの例で
は、注目SD画素(二重丸で示す)を中心として7タッ
プ(7個のSD画素)でクラスが生成される。例えば、
7タップデータに対し1ビットADRC(Adaptive Dyn
amic Range Coding )を適用すると、7画素のデータか
ら定義されるダイナミックレンジに基づき、7画素の最
小値を除去した上で、各タップの画素値を適応的に1ビ
ット量子化するので、128クラスが生成される。
【0017】ADRCは、VTR用信号圧縮方式として
開発されたものであるが、少ないクラス数で、入力信号
の波形特性を表現するのに適している。ADRCの他に
もクラス分類法としては、下記のものを採用することが
できる。
【0018】1)PCMデータを直接使用する。
【0019】2)DPCM(Differential PCM)を適用
してクラス数を削減する。
【0020】3)VQ(Vector Quantization )を適用
してクラス数を削減する。
【0021】4)周波数変換(DCT(Discrete Cosin
e Transform Coding)、アダマール変換、フーリエ変換
等)の値に基づいたクラス分類を行う。
【0022】こうして分類されたクラス毎に適応処理を
実行するが、その適応処理の一例として、予め学習によ
り生成されたクラス毎の予測係数を用いた予測処理が挙
げられる。予測処理のときに使用される予測タップの一
例を図1Bに示す。この一例は、注目SD画素を中心と
したフレーム内13タップから予測タップが構成され
る。予測式の一例を式(1)に示す。
【0023】
【数1】
【0024】y´:推定HD画素値 xi :SD信号予測タップ画素値 wi :予測係数 このように、クラス毎に生成された予測係数と入力デー
タとの積和演算、例えば線形1次結合によりHD画素値
を推定する。単一画素予測方式のクラス分類適応処理の
回路構成を図2に示す。1で示す入力端子から入力SD
信号が供給され、供給された入力SD信号は、クラス分
類部2および予測タップ選択部3へ供給される。クラス
分類部2では、上述した図1Aに示すようなクラスタッ
プに基づき、入力SD信号に対するクラスが生成され
る。生成されたクラスは、クラス分類部2から予測係数
ROM4へ供給される。
【0025】予測係数ROM4では、生成されたクラス
をアドレスとして予測係数が出力される。予測係数は、
予測係数ROM4から予測演算部5へ供給される。予測
タップ選択部3は、入力SD信号から上述した図1Bに
示すように13タップからなる予測タップを選択する。
選択された13タップからなる予測タップは、予測タッ
プ選択部3から予測演算部5へ供給される。予測演算部
5では、供給された予測係数および予測タップから前述
した式(1)に示す予測演算が実行され、その演算結果
は、出力端子6から出力される。
【0026】上述した予測係数は、予め学習により生成
しておくが、その学習方法について述べる。式(1)の
線形1次結合モデルに基づく予測係数を最小自乗法によ
り生成する例を示す。最小自乗法は、以下のように適用
される。一般化した例として、Xを入力データ、Wを予
測係数、Yを推定値として次の式を考える。
【0027】 観測方程式:XW=Y (2)
【0028】
【数2】
【0029】上述の観測方程式(2)により収集された
データに最小自乗法を適用する。式(1)の例において
は、n=13、mが学習データ数となる。式(2)の観
測方程式をもとに、式(4)の残差方程式を考える。
【0030】 残差方程式:XW=Y+E (4)
【0031】
【数3】
【0032】式(4)の残差方程式から、各wi の最確
値は、次式で表す誤差の自乗和を最小にする条件が成り
立つ場合と考えられる。すなわち、式(5)の条件を考
慮すれば良いわけである。
【0033】
【数4】
【0034】
【数5】
【0035】式(5)のiに基づくn個の条件を考え、
これを満たすw1 、w2 、・・・、wn を算出すれば良
い。そこで、残差方程式(4)から式(6)が得られ
る。
【0036】
【数6】
【0037】式(5)および式(6)により式(7)が
得られる。
【0038】
【数7】
【0039】そして、式(4)および式(7)から、正
規方程式(8)が得られる。
【0040】
【数8】
【0041】式(8)の正規方程式は、未知数の数nと
同じ数の方程式を立てることが可能であるので、各wi
の最確値を求めることができる。そして、掃き出し法
(Gauss-Jordanの消去法)を用いて連立方程式を解く。
【0042】この場合の学習においては、対象信号と教
師信号との間で上述の線形1次モデルを設定し、最小自
乗法により予め予測係数を生成しておく。その学習方法
の一例となるフローチャートを図3に示す。このフロー
チャートは、ステップS1から学習処理の制御が始ま
り、ステップS1の学習データ形成では、例えば上述し
た図1Bに示す13タップから学習データが形成され
る。ここで、注目SD画素近傍のブロック内のダイナミ
ックレンジが所定のしきい値より小さいもの、すなわち
アクティビティーの低いものは、学習データとして扱わ
ない制御がなされる。ダイナミックレンジが小さいもの
は、ノイズの影響を受けやすく、正確な学習結果が得ら
れないおそれがあるからである。
【0043】ステップS2のデータ終了では、入力され
た全データ、例えば1フレームまたは1フィールドのデ
ータの処理が終了していれば、ステップS5の予測係数
決定へ制御が移り、終了していなければ、ステップS3
のクラス決定へ制御が移る。ステップS3のクラス決定
は、上述した図1Aに示すように、注目SD画素近傍の
画素位置の動き評価値に基づいたクラス決定がなされ
る。ステップS4の正規方程式では、上述した式(8)
の正規方程式が作成される。全データの処理が終了後、
ステップS2のデータ終了から制御がステップS5へ移
る。このステップS5の予測係数決定では、この正規方
程式が行列解法を用いて解かれ、予測係数が決定され
る。ステップS6の予測係数登録で、予測係数をメモリ
にストアし、このフローチャートが終了する。以上が予
測演算方式によるクラス分類適応処理の概要である。
【0044】この発明は、分類されたクラス毎に予め用
意された複数画素パターンを出力する。すなわち、複数
のHD画素を同時に出力するものである。図4に示すこ
の発明の第1の実施例は、上述した図11に示すSD画
素とHD画素の関係に基づいて、mode1〜mode4で示す
4個のHD画素を同時に出力するものである。
【0045】入力端子10から供給される入力SD信号
は、クラス分類部11、制御値生成部12および制御値
生成部13に供給される。クラス分類部11は、上述し
たように、ADRC等によって、クラスタップとして選
択された複数のSD画素のレベル分布等に応じてクラス
情報を発生する。クラス分類部11で生成されたクラス
情報は、適応処理部14のパターンROM15にアドレ
スとして、供給される。適応処理部14は、パターンR
OM15と演算部16から構成されている。
【0046】パターンROM15は、分類されたクラス
毎に予め用意された複数画素パターンPを出力する。こ
のパターンPは、平均値分離、正規化値例えば標準偏差
による正規化が施された基本波形であり、予め生成され
て記憶されている。第1の実施例では、平均値および標
準偏差がパラメータとして使用される。このパターンR
OM15から読出されたパターンPが演算部16に供給
される。図11中のmode1〜mode4で示す4個のHD画
素をy0 、y1 、y2 、y3 で表すと、この4画素の平
均値Yは、次の式(9)で示すものである。
【0047】
【数9】
【0048】また、これらの4画素の標準偏差σは、次
の式(10)で表される。
【0049】
【数10】
【0050】パターンROM15には、平均値分離およ
び標準偏差による正規化で得られたパターンPが記憶さ
れている。パターンPは、次の式(11)で表すもので
ある。
【0051】
【数11】
【0052】予め学習によって、クラス分類部11で生
成されたクラス毎に最適なパターンPがパターンROM
に記憶されている。このように、平均値分離および標準
偏差による正規化の処理で得られたパターンPを記憶す
ることによって、少ないメモリ容量のROMによって、
クラス毎に精度良く、パターンを記憶することができ
る。
【0053】そして、パターンPが供給される演算部1
6に対して、制御値生成部12からのHD平均値予測値
Y’と、制御値生成部13からのHD標準偏差予測値
σ’とが供給される。演算部16は、パターンPに対し
て、これらの予測値Y’およびσ’を使用して補正演算
を実行し、4個のHD画素の予測値y0 ’〜y3 ’を同
時に生成する。例えばHD画素の予測値y0 ’は、パタ
ーン中のy0 に対応する値にσ’を乗算し、Y’を加算
することによって生成することができる。生成されたH
D画素予測値y0 ’〜y3 ’が走査変換部17に供給さ
れ、所望の順序例えばテレビジョンラスターの走査順に
一致した順序に変換され、出力端子18に取り出され
る。
【0054】制御値生成部12は、入力SD信号がそれ
ぞれ供給されるクラス分類部17と、予測タップ選択部
18と、予測係数ROM19と、予測演算部20とから
なる。予測係数ROM19には、予め学習により獲得さ
れた予測係数wi がクラス毎に格納されている。予測タ
ップ選択部18では、例えば図5に示すように、注目S
D画素x5 を中心とする3×3の9画素のSD画素x1
〜x9 が選択される。この選択された9個のSD画素の
値と予測係数wi とにより次の式(12)に従って、予
測演算部20がHD平均値予測値Y’を生成する。
【0055】
【数12】
【0056】制御値生成部13も、制御値生成部12と
同様に、クラス分類部と、予測タップ選択部と、予測係
数ROMと、予測演算部とを有する。この制御値生成部
13は、予測タップとして選択された9個のSD画素の
値と予測係数vi により次の式(13)に従って、HD
標準偏差予測値σ’を生成する。
【0057】
【数13】
【0058】制御値生成部12中の予測係数ROM21
に記憶されている予測係数wi は、上述した単一のHD
画素を生成するクラス分類適応予測の場合と同様にして
学習により求めることができる。但し、ここでは、HD
画素値yではなく、4個のHD画素値のHD平均値Yと
HD平均値予測値Y’との誤差の自乗和を最小とするよ
うに、係数wi が学習により決定される。制御値生成部
13中の予測係数ROMに記憶されている予測係数vi
は、4個のHD画素値のHD標準偏差σとHD標準偏差
予測値σ’との誤差の自乗和を最小とするように、予め
学習により決定される。
【0059】パターンROM15に記憶されるパターン
Pの生成は、ベクトル量子化の手法と類似の方法により
行うことができる。ベクトル量子化について図6を参照
して説明する。例えばX0〜X3の4個の画素にベクト
ル量子化を適用する場合を考える。4画素により構成さ
れるブロックデータは、4個の独立成分により構成され
る4次元ベクトルで表現される。各ブロックのデータ
は、図6に示されるような4次元ベクトル空間内に存在
する。このベクトル空間は、X0〜X3までの座標軸で
構成されている。
【0060】画像データから生成される4次元ベクトル
のベクトル空間内の存在領域を調べると、ベクトル空間
内に一様に分布するのではなく、存在領域が偏ってい
る。それは、画像に局所的相関が存在するからである。
そこで近接する複数のベクトルを集めて一つのクラスを
生成する。図6では、クラス0、クラス1、・・・クラ
スNが示されている。クラスNに注目すると、その中に
は、ベクトルv0、v1、・・・、vkが含まれてい
る。このクラスNに対して代表ベクトルが選択される。
【0061】このように生成されたクラス毎に代表ベク
トルを決定する。この代表ベクトルは、予めブロックデ
ータを対象とした学習により決定され、コードブックに
登録しておく。任意の入力ベクトルに対して、コードブ
ックに登録されている代表ベクトルとの一致度が調べら
れる。最も近似した代表ベクトルのクラスが選択され
る。例えばノルム最小規範の条件を満たすものとして代
表ベクトルが求められる。
【0062】上述したベクトル量子化の手法と同様に、
mode1〜mode4の4個のHD画素に関して、クラス毎に
基本波形であるパターンPを予め学習によって求める。
より具体的にパターンPの学習について説明すると、4
個のHD画素が平均値分離および標準偏差による正規化
の処理を受ける。この処理後の値の分布がクラス毎に調
べられる。画像の局所的相関と、平均値分離および標準
偏差による正規化の処理と、クラス分類とに基づいて、
値の分布が集中したものとなる。
【0063】そして、その分布に対して、代表ベクトル
を求めたのと同様にして、最も近似した値、すなわち、
パターンPが決定される。このようにしてクラス毎に求
めたパターンPがパターンROM15に格納される。適
応処理部14の演算部16では、パターンPと制御値生
成部からの予測値Y’およびσ’を使用して、4個のH
D画素予測値y0 ’〜y3 ’を同時に出力する。
【0064】図7は、この発明の第2の実施例を示す。
上述した第1の実施例と同様の構成であるが、制御値生
成部12および13が予め学習により用意された予測制
御値を出力する点が相違する。制御値生成部12は、ク
ラス分類部23および制御値ROM24により構成され
る。クラス分類部23は、図4中のクラス分類部19と
同様に、周辺の複数のSD画素の特徴に基づいてクラス
分類処理を行う。そして、クラス分類部23からのクラ
ス情報が制御値ROM24にアドレスとして供給され
る。
【0065】制御値ROM24には、予め学習によっ
て、制御値であるHD平均値予測値Y’がクラス毎に格
納されている。従って、制御値ROM24から、適応処
理部14の演算部16に対して、ROM24からHD平
均値予測値Y’が供給される。制御値を学習する場合に
は、例えば学習対象の多数のHD平均値Yの平均値を求
めるようになされる。
【0066】図8は、この発明の第3の実施例を示す。
第3の実施例は、上述した複数画素の同時予測と、前述
した単一画素予測(クラス分類適応予測)とを組み合わ
せたものである。図8において、破線で囲んで示す30
は、複数画素予測部を示し、31は、単一画素予測部を
示す。
【0067】複数画素予測部30は、上述した図4ある
いは図7に示す構成のものである。また、後述する第4
の実施例(図9)あるいは第5の実施例(図10)の構
成も複数画素予測部30に対して適用できる。この複数
画素予測部30は、入力SD画像信号が供給されるクラ
ス分類部11、制御値生成部12、制御値生成部13
と、クラス分類部11からのクラス情報が供給されるパ
ターンROM15と、パターンPと制御値Y’および
σ’からHD画素予測値を生成する演算部16とにより
構成される。複数画素予測部30からのHD画素予測値
が走査変換部17に供給される。
【0068】単一画素予測部31は、入力SD画像信号
が供給されるクラス分類部32および予測タップ選択部
33と、クラス分類部32からのクラス情報に応答して
予測係数を出力する予測係数ROM34と、予測タップ
選択部33で選択された画素と予測係数とから線形1次
結合によって一つのHD画素予測値を発生する予測演算
部35とにより構成されている。予測演算部35からの
HD画素予測値が走査変換部17に供給される。
【0069】走査変換部17では、複数画素予測部30
からの複数のHD画素予測値と、単一画素予測部31か
らのHD画素予測値とを受け取って、これらを組み合わ
せると共に、所望の順序(例えばテレビジョン走査の順
序)に並べる。基本的には、大半の部分において複数画
素予測部30からの複数のHD画素予測値が出力HD画
素として選択される。但し、複数画素パターン境界等
で、パターン歪みが目立つおそれがある箇所では、単一
画素予測部31からのHD画素予測値が出力HD画素と
して選択される。この選択は、予め定めた規則に従った
方法、およびHD画素予測値を見てパターン歪みが発生
するおそれがある時に単一画素予測部31の出力を選択
するように、ダイナミックに行う方法の何れのものでも
可能である。
【0070】この図8に示す第3の実施例は、複数画素
予測と単一画素予測を組み合わせているので、複数画素
予測の場合に、複数画素のパターン同士の境界が復元H
D画像中で目立つパターン歪みを防止することができ
る。
【0071】図9は、この発明の第4の実施例を示す。
上述した実施例では、複数のHD画素予測値を発生する
パターンPは、平均値分離と標準偏差による正規化の処
理をされたものである。これに対して、第4の実施例お
よび次に述べる第5の実施例は、ADRC処理により生
成された複数画素パターンP’を出力するようにしたも
のである。従って、パラメータがADRCの符号化の基
準値である。この基準値を重要語と称する。4個のHD
画素y0 〜y3 をADRCで符号化する場合では、下記
の式(14)に基づいてADRCコードci が生成され
る。
【0072】 ci =(yi −MIN)/(DR/2k ) (14) ci :ADRCコード (i=0,・・・,3) yi :対象HD画素値 (i=0,・・・,3) MIN:4画素からなるブロックの最小値 DR:4画素からなるブロックのダイナミックレンジ
(MAX−MIN) k:再量子化ビット数 なお、ADRCでは、基準値として最小値MINに限ら
ず、ブロックの最大値MAXあるいは平均値を採用し、
最大値MAXから画素値を減算した値、画素値から平均
値を減算した値を再量子化しても良い。
【0073】図9において、入力端子10からのSD画
像信号がクラス分類部11に供給され、生成されたクラ
ス情報が適応処理部44のADRC ROM45にアド
レスとして供給される。ADRC ROM45には、4
画素と対応したADRCコードci の組がパターンP’
として記憶されている。このパターンP’は、予め学習
により獲得され、ROM45に格納されている。例えば
上述したベクトル量子化と類似の手法によりパターン
P’を得ることができる。
【0074】また、入力SD信号が重要語生成部42お
よび43に供給される。重要語生成部42は、ダイナミ
ックレンジDRの予測値DR’を出力する。重要語生成
部43は、最小値MINの予測値MIN’を出力する。
重要語生成部42は、入力SD画像信号が供給されるク
ラス分類部49と、予測タップ選択部50と、クラス分
類部49からのクラス情報がアドレスとして供給される
予測係数ROM51と、予測係数ROM51からの予測
係数と予測タップ選択部50からの画素値とを受け取っ
て、両者の線形1次結合により予測値DR’を生成する
予測演算部52とから構成されている。重要語生成部4
3も、重要語生成部42と同様の構成である。
【0075】例えば9個のSD画素と4個のHD画素と
の関係を学習することによって、誤差の最も少ないダイ
ナミックレンジの予測値を発生するような予測係数が獲
得され、この予測係数が予測係数ROM51に格納され
る。同様に予め学習により獲得された予測係数を使用し
て最小値の予測値MIN’が生成される。これらの予測
された重要語DR’およびMIN’がADRC復号部4
6に供給される。
【0076】ADRC復号部46には、ADRC RO
M45からパターンP’(ADRCコードci の組)が
供給される。再量子化ビット数kは、所定の値とされて
いるので、式(14)に基づいて、ADRC復号部46
は、HD画素予測値y0 ’〜y3 ’を生成する。このH
D画素予測値が走査変換部17に供給され、所望の順序
(例えばテレビジョンラスターの順序)でもって出力端
子18に対して出力される。
【0077】図10は、この発明の第5の実施例を示
す。ADRCの符号化方式によって発生するADRCコ
ードの組をパターンP’として記憶しているADRC
ROM45が設けられ、重要語生成部42および43に
よって、予測値DR’およびMIN’を生成するのは、
上述した第4の実施例と同様である。
【0078】第5の実施例では、重要語生成部42およ
び43が予め学習により獲得された予測値を出力する。
重要語生成部42では、クラス分類部53からのクラス
情報が重要語ROM54に供給され、重要語ROM54
からダイナミックレンジの予測値DR’が出力される。
同様に、重要語生成部43にも、重要語ROMが設けら
れ、この重要語ROMからクラスに応じた最小値の予測
値MIN’が出力される。これらの予測値DR’および
MIN’と、パターンP’よりADRC復号部46がH
D画素の予測値を生成する。
【0079】予測値の学習方法としては、重心法と称さ
れる手法が用いられる。すなわち、学習時に各クラス毎
に重要語の教師信号を収集し、その平均値を生成し、平
均値をROMに格納するようになされる。なお、再量子
化ビット数kは、任意に選定できるが、ビット数を多く
すると、精度が向上できる。
【0080】なお、パターンを生成するための方法とし
ては、上述したもの以外の方法を使用することができ
る。
【0081】
【発明の効果】この発明に依れば、複数画素を同時にク
ラス分類適応予測により予測するので、単一画素の予測
方式と比較してより高性能なアップコンバージョンを行
うことが可能である。また、この発明では、モード毎に
異なる予測演算を行うことが不要となり、構成および処
理の簡略化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で使用されるクラス分類適応予測処理
の説明のための画素の配置を示す略線図である。
【図2】単一画素の予測に適用されるクラス分類適応予
測装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】クラス分類適応予測における予測係数を学習す
るためのフローチャートである。
【図4】この発明の第1の実施例のブロック図である。
【図5】この発明の第1の実施例における予測タップの
一例を示す略線図である。
【図6】この発明の第1の実施例におけるパターンの学
習方法の説明のための略線図である。
【図7】この発明の第2の実施例のブロック図である。
【図8】この発明の第3の実施例のブロック図である。
【図9】この発明の第4の実施例のブロック図である。
【図10】この発明の第5の実施例のブロック図であ
る。
【図11】SD画素とHD画素の配置を示す配置図であ
る。
【図12】従来の2次元ノンセパラブル構成のアップコ
ンバータを示す。
【図13】従来の垂直/水平セパラブル構成のアップコ
ンバータを示す。
【符号の説明】
12,13・・・制御値生成部、14・・・適応処理
部、15・・・パターンROM、30・・・複数画素予
測部、31・・・単一画素予測部、42,43・・・重
要語生成部、45・・・ADRC ROM、46・・・
ADRC復号部

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のディジタル画像信号より画素数の
    多い第2のディジタル画像信号に変換するようにした画
    像信号変換装置において、 入力される上記第1のディジタル画像信号の特性に基づ
    き分類されるクラスに対応して、上記第2のディジタル
    画像信号の互いに近接する複数の予測画素値を同時に生
    成するクラス分類適応予測手段を備えたことを特徴とす
    る画像信号変換装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記クラス分類適応予測手段は、 上記クラスに対応して、予め学習により獲得された上記
    第2のディジタル画像信号の互いに近接する複数の画素
    値のパターンを記憶する記憶手段と、 上記パターンを予測画素値に変換する演算に必要とされ
    るパラメータを、入力される第1のディジタル画像信号
    を使用してクラス分類適応予測により生成するパラメー
    タ生成手段と、 上記パターンおよび上記パラメータとにより上記予測画
    素値を演算する演算手段とからなることを特徴とする画
    像信号変換装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記パターンは、上記複数の画素値に対して平均値分離
    および正規化値による正規化の処理を施したものであ
    り、 上記パラメータ生成手段が上記複数の画素値の平均値と
    正規化値とを、入力される第1のディジタル画像信号を
    使用してクラス分類適応予測により生成することを特徴
    とする画像信号変換装置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記平均値および正規化値を生成する予測係数を最小自
    乗法により得、上記予測係数が上記パラメータ生成手段
    内に記憶されることを特徴とする画像信号変換装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記平均値および正規化値を生成する予測値を学習によ
    り得、上記予測値が上記パラメータ生成手段内に記憶さ
    れることを特徴とする画像信号変換装置。
  6. 【請求項6】 請求項2に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記パターンは、上記複数の画素値をADRC符号化の
    処理を施したものであり、 上記パラメータ生成手段が上記複数の画素値のADRC
    符号化の際の基準値を、入力される第1のディジタル画
    像信号を使用してクラス分類適応予測により生成するこ
    とを特徴とする画像信号変換装置。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記基準値は、上記複数の画素値からなるブロックのダ
    イナミックレンジ、最小値、最大値の内の2個の値であ
    ることを特徴とする画像信号変換装置。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記基準値を生成する予測係数を最小自乗法により得、
    上記予測係数が上記パラメータ生成手段内に記憶される
    ことを特徴とする画像信号変換装置。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載の画像信号変換装置にお
    いて、 上記基準値を生成する予測値を学習により得、上記予測
    値が上記パラメータ生成手段内に記憶されることを特徴
    とする画像信号変換装置。
  10. 【請求項10】 第1のディジタル画像信号より画素数
    の多い第2のディジタル画像信号に変換するようにした
    画像信号変換装置において、 入力される上記第1のディジタル画像信号の特性に基づ
    き分類されるクラスに対応して、上記第2のディジタル
    画像信号の互いに近接する複数の予測画素値を同時に生
    成する第1のクラス分類適応予測手段と、 入力される上記第1のディジタル画像信号の特性に基づ
    き分類されるクラスに対応して、上記第2のディジタル
    画像信号の単一の予測画素値を生成する第2のクラス分
    類適応予測手段と、 上記第1のクラス分類適応予測手段からの予測画素値と
    上記第2のクラス分類適応予測からの予測画素値とを組
    み合わせて出力する手段とからなることを特徴とする画
    像信号変換装置。
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