JP3693187B2 - 信号変換装置及び信号変換方法 - Google Patents
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Description
【目次】
以下の順序で本発明を説明する。
産業上の利用分野
従来の技術(図10〜図12)
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段(図1〜図9)
作用
実施例(図1〜図9)
発明の効果
【0002】
【産業上の利用分野】
本発明は信号変換装置及び信号変換方法に関し、例えばNTSC等の標準解像度信号(SD:Standard Difinition )をハイビジヨン等の高解像度信号(HD:High Difinition )に変換するアツプコンバータに適用して好適なものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、この種のアツプコンバータにおいては、SD画像信号に対して周波数補間処理を施すことにより、画素数を増やしてHD画像信号を形成している。例えば図10に示すように、HD画像の走査線1上で大きな「○」印及び大きな「△」印でなるSD画像信号に対して水平及び垂直方向にそれぞれ2倍の周波数補間を施すことにより、小さな「○」印及び小さな「△」印でなるHD画像信号を生成する。
【0004】
アツプコンバータによる補間例としては、SD画像信号のフイールドデータから、4種類の位置のHD画素を生成する方法がある。例えば図中の「◎」印のSD画素に注目すると、その近傍の4種類mode1,mode2,mode3 及びmode4 の位置のHD画素を補間により生成する。
このとき用いる補間フイルタとしては、図11に示す空間内2次元ノンセパラブルフイルタ2や、図12に示す水平/垂直セパラブルフイルタ3がある。
【0005】
2次元ノンセパラブルフイルタ2は4種類の位置のHD画素mode1,mode2,mode3 及びmode4 それぞれに対して2次元フイルタ4A〜4Dによつて独立に補間処理を実行し、各補間結果を選択部5において直列化しHD画像信号を得る。
水平/垂直セパラブルフイルタ3は垂直補間フイルタ6Aによりmode1及びmode3用の処理を実行し、垂直補間フイルタ6Bによりmode2及びmode4用の処理を実行してHD画像信号の2本の走査線データを形成する。次に各走査線に対して水平フイルタ7A及び7Bを用いて4種類の位置のHD画素を補間して選択部8において直列化することによりHD画像信号を生成する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで上述したような従来のアツプコンバータでは補間フイルタとして理想フイルタを使用した場合でも、画素数は増えるものの空間解像度はSD画像信号と変わらない。また実際には理想フイルタを用いることはできないため、SD画像信号より解像度の低下したHD画像信号を生成することしかできないという問題がある。
【0007】
このような問題を解決する方法として、入力SD画像信号の特徴に基づいてSD画像信号をいくつかのクラスに分類し、予め学習により生成されたクラス毎の予測データでなる予測係数を用いて高解像度のHD画像信号を生成するクラス分類適応処理方法が提案されている(特開平5-328185号公報参照)。
【0008】
ところがクラス分類適応処理法を用いてHD画像信号を生成する場合、学習によつて予測係数を生成するときに入力SD画像信号の特徴に応じて適切なクラス分類が行なわれないとHD画像信号の予測精度が低下するという問題があつた。
すなわちクラス分類の能力が十分でないと、本来、別のクラスに分かれるべきHD画像信号が同じクラスに分類される。このため学習により得られる予測係数は、性質の異なるHD画像信号の平均値を予測することになり、その結果、解像度復元能力が低下するという問題があつた。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、入力信号の特徴に応じた適切なクラス分類のできる信号変換装置及び信号変換方法を提案しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、入力画像信号をより高解像度な画像信号に変換する信号変換装置において、入力画像信号の時空間領域でのレベル分布パターンに応じて入力画像信号をクラス分類処理する第1のクラス分類手段と入力画像信号の周波数特性に応じて入力画像信号をクラス分類処理する第2のクラス分類手段とを有し、第1及び第2のクラス分類手段がそれぞれ別個に入力画像信号に対しクラス分類処理して得られたクラス分類処理結果を組み合わせてなるクラスを出力するクラス分類部と、入力画像信号からより高解像度な画像信号を生成するために予め設定された予測係数がクラス毎に対応付けして記憶されている予測係数記憶手段と、予測係数記憶手段に記憶されている予測係数のうちクラス分類部からのクラスに対応する予測係数と、入力画像信号とを用いて予測演算処理することにより、入力画像信号からより高解像度な画像信号を生成する予測演算部とを設けるようにした。また本発明においては、入力画像信号をより高解像度な画像信号に変換する信号変換装置において、入力画像信号の時空間領域でのレベル分布パターンに応じて入力画像信号をクラス分類処理する第1のクラス分類手段と入力画像信号の周波数特性に応じて入力画像信号をクラス分類処理する第2のクラス分類手段とを有し、第1及び第2のクラス分類手段がそれぞれ別個に入力画像信号に対しクラス分類処理して得られたクラス分類処理結果を組み合わせてなるクラスを出力するクラス分類部と、入力画像信号からより高解像度な画像信号を生成するために予め設定された予測値がクラス毎に対応付けして記憶されている予測値記憶手段と設け、クラス分類部からのクラスに応じて予測値記憶手段から読み出した予測値を用いて入力画像信号をより高解像度な画像信号に変換するようにした。
【0011】
【作用】
このように信号変換装置では、時空間領域でのレベル分布パターンに応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果と周波数特性に応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果とを組み合わせたクラスに対応する予測係数を用いて予測演算処理する。また信号変換装置では、時空間領域でのレベル分布パターンに応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果と周波数特性に応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果とを組み合わせたクラスに対応する予測値を用いて入力画像信号を変換する。
【0012】
【実施例】
以下図面について本発明の一実施例を詳述する。
【0013】
図1に示す10は全体としてクラス分類適応処理を適用してSD画像信号からHD画像信号を生成する2次元ノンセパラブルフイルタによるアツプコンバータを示す。このアツプコンバータ10に入力端11を通じて入力されるSD画像信号S1 は、クラス分類部12及び予測演算部13に並列に送出される。クラス分類部12では新たに生成するHD画像信号の周辺のSD画像信号S1 の特徴に基づいてクラスデータd0を生成する。クラスd0は記憶手段である予測係数ROM(Read Only Memory)14にアドレスデータとして送出される。
【0014】
予測係数ROM14には、予め学習により求められたクラス毎の予測係数がクラスd0に対応して格納されている。予測係数ROM14ではクラスd0をアドレスデータとして予測データd1を読み出して予測演算部13に送出する。予測演算部13は、SD画像信号S1 に対して予測データd1を用いた所定の予測演算を実行することによりHD画像信号S2 に変換して出力端16より送出する。
【0015】
アツプコンバータ10の予測演算部13は4つの予測演算部13A〜13Dから形成され、各演算部においてそれぞれ走査線1上の4種類の位置mode1 、mode2 、 mode3及びmode4 に対応するHD画素d2、d3、d4及びd5を生成する。各予測演算部13A〜13DではそれぞれSD画像信号S1 に対して予測データd1を用いた積和演算を実行する。各予測演算部13A〜13Dにおいて生成された各HD画素d2、d3、d4及びd5は選択部15に送出される。選択部15では各HD画素d2、d3、d4及びd5をバツフアメモリ(図示せず)を用いて所望の時系列に並び替えて出力端16からHD画像信号S2 として出力する。
【0016】
図2に示すようにクラス分類部12では、入力端20を通じて入力されるSD画像信号S1 がADRCクラス分類部21及びアダマール変換クラス分類部22に並列に送出される。ADRCクラス分類部21及びアダマール変換クラス分類部22はそれぞれクラスc0及びc1を生成し、後段の予測係数ROM14に送出する。予測係数ROM14では図3に示すように、ADRCクラスc0と周波数クラスc1と独立した2種類のクラスを組み合わせて新たにクラスd0を生成し、このクラスd0に基づいて予測係数ROM14に予め格納されている予測データd1を読み出す。
【0017】
クラス分類部12では、図4に示すような入力SD画像信号S1 (図中◎で示す)に対してクラス生成タツプ(図中○で示す)でなる7画素を入力SD画像信号S1 のクラス生成タツプとしてサンプリングする。これらの7画素を用いて入力信号の波形特性に応じてクラスを生成する。
【0018】
ADRCクラス分類部21では、上述した7画素分のPCMデータに対してADRCにより再量子化によるデータ圧縮処理を施してクラス数を削減する。すなわち7画素のデータから定義されるダイナミツクレンジDRに基づいて7画素の最小値を除去し、各画素の画素レベルを適応的に1ビツト量子化することによつてクラス数を128 クラスに削減する。ADRCはVTR(Video Tape Recorder) 用信号圧縮方式として開発されたものであるが、少ないクラス数で入力信号の波形特性を表現するのに適している。
【0019】
ADRCによるデータ圧縮処理は再量子化として定義される量子化ステツプ幅により、画素を再量子化するものである。再量子化により得られるADRCコードci はダイナミツクレンジDR、再量子化ビツト数k、SD画素xi 及びその近傍領域内の最小画素レベルMINとを用いて次式
【数1】
によつて表される。
このようにして入力SD画像信号S1 に対して(1)式で定義されるADRCコードci を用いてADRCクラスc0が生成される。このようにして得られるADRCクラスc0は時空間領域に属するもので、表現される画素の状態は有限クラス数では注目画素近傍の信号変化に重点を置いたものとなる。
【0020】
一方、アダマール変換クラス分類部22ではアダマール変換により周波数特性によるクラス分類を実行する。アダマール変換は互いに直交する複数の直交変換基底より構成される直交変換である。このアダマール変換によつて入力SD画像信号S1 に対して直交変換を施し、入力SD画像信号S1 を互いに独立で無相関な複数の直交変換成分に分離する。
【0021】
すなわちアダマール変換クラス分類部22では1次元の入力SD画像信号S1 に対して4次アダマール変換を施す。4次アダマール変換は入力データX、アダマール変換行列H、出力Yとして次式
【数2】
によつて表される。
この(2)式のアダマール変換行列Hの係数から分かるようにアダマール変換は加減算のみで出力が得られるため回路の負担が小さい。
【0022】
4次アダマール変換ではアダマール変換行列Hの中に4つのアダマール基底が存在する。各基底は互いに直交しており、いくつかの周波数成分への分離が可能となる。
アダマール基底と入力信号との演算により、4個のアダマール成分y1〜y4が得られる。4個のアダマール成分y1〜y4は次段の予測係数ROM14に送られる。このアダマール変換クラス分類部22より得られる周波数クラスc1は入力SD画像信号S1 の比較的広い範囲に亘る信号特性を把握して画素に反映する。
【0023】
クラス分類部12は図3に示すように、ADRCクラスc0及び周波数クラスc1の2種類のクラス分類結果を用いて特定クラスd0を生成する。このように1つの入力SD画像信号S1 に対して2種類のクラス分類法を組み合わせたクラス分類を実行することにより、1種類だけのクラス分類に比して、より広範囲の信号特性に対応したクラス分類ができる。
【0024】
クラス分類部12より出力されるクラスd0は予測係数ROM14に送出される。予測係数ROM14はクラスd0をROMのアドレスとして予測データd1を読み出して予測演算部13に送出する。予測演算部13A〜13Dでは予測データd1を用いて入力SD画像信号S1 に対して予測演算を実行する。この結果、各予測演算部13A〜13DにおいてHD画像上の位置mode1 〜mode4 に相当するHD補間画素の推定画素y′がそれぞれ生成される。
【0025】
予測演算部13A〜13Dにおいて生成される推定画素y′は図5に示すように入力SD画像信号S1 による注目画素(図中◎で示す)及び周辺画素(図中○で示す)でなる13個のタツプデータxi と、予測係数ROM14からクラスC0に応じて読み出された予測データd1でなる予測係数wi を用いて次の予測式
【数3】
を用いて生成する。
【0026】
ここで用いられる予測係数wi は予め学習によつて求められ、予測係数ROM13に格納されている。
【0027】
予測係数の学習は実際上、図6に示す予測係数学習回路30によつて実行される。すなわちHD画像信号S20を間引きフイルタ31によつてSD画像信号S10に変換してクラス分類部12と同様の構成でなるクラス分類部32に送出する。クラス分類部32はSD画像信号S10を用いてクラス分類処理を実行し、各クラス分類法毎にそれぞれ得られるクラスc0及びc1に基づいてクラスd0を設定する。
【0028】
一方、予測係数算出回路33は、各クラス毎に対応したHD補間画素の予測データd1を入力HD画像信号S20から得られるHD画素及びSD画素でなる一組の学習データを用いて算出する。具体的には上述した学習データから予測データでなる予測係数を用いて線形一次結合モデルをたて、最小自乗法を用いて予測係数を求める。これにより、予測係数ROM14にはクラスd0に対応付けられた予測データd1が登録される。
【0029】
次に予測係数ROM14に格納する予測式(3)式の予測係数の学習について、具体的な算出方法を図7に示す予測係数学習手順にそつて説明する。すなわち予測係数学習手順はステツプSP0で開始されると、先ずステツプSP1において予測係数を学習するために、既に知られている画像に対応した学習データを生成する。
【0030】
具体的には、図10に示すHD画像において、HD画素をHD注目画素として、このHD注目画素を周辺のHD画素及びSD画素でなる一組の学習データによつて予測係数を用いた線形一次結合モデルによつて表す。このとき用いた予測係数を各クラス毎に最小自乗法を用いて求める。なお、このように学習データを生成する際に、1つの画像のみを用いるのではなく複数の画像を用いて多数の学習データを生成すれば、より正確な予測係数を得ることができる。
【0031】
ステツプSP2では、ステツプSP1で生成した学習データの数が予測係数を得るのに必要なだけ生成されたか否か判定する。ここで学習データ数が必要数に満たないと判定された場合には予測係数学習手順はステツプSP3に移る。
ステツプSP3では、クラス学習データをクラス分類する。クラス分類は先ず、初めに学習サンプリングデータの局所的な平坦度を検出し、当該検出結果に応じてクラス分類に用いる画素を選択する。これにより入力信号の変化の小さいものを学習対象から除外してノイズの影響を排除することができる。このクラス学習データのクラス分類は入力SD画像信号S1 をクラス分類する場合と同様の処理を実行することによつてなされる。
【0032】
続いて予測係数学習手順はステツプSP5において、クラス分類された学習データに基づき、各クラス毎に正規化方程式を形成する。
ステツプSP5での処理を具体的に説明する。ここでは一般化するために学習データとしてn個のサンプリング画素が存在する場合について述べる。先ず各サンプリング画素の画素レベルx1 、……、xn と注目補間画素のサブサンプル以前の画素レベルyの関係を、クラス毎に予測係数w1 、……、wn によるnタツプの線型一次結合モデルによる予測式で表す。この予測式を次式
【数4】
に示す。
この(4)式における予測係数w1 、……、wn を求めることにより、画素レベルyを推定する。
【0033】
次に予測係数w1 、……、wn を最小自乗法により生成する例を示す。最小自乗法は次のように適用される。
一般化した例として、Xを入力データ、Wを予測係数、Yを推定値として次の観測方程式を考える。
【数5】
この(5)式の観測方程式により収集されたデータに対して最小自乗法を適用する。(5)式の例においては、n=13、mが学習データ数となる。
【0034】
先ず、(5)式の観測方程式をもとに、次の残差方程式を考える。
【数6】
(5)式の残差方程式から、各wi の最確値は次式
【数7】
を最小にする条件が成り立つ場合と考えられる。
すなわち(7)式のwi による偏微分が次式
【数8】
のときに、この(8)式のiに基づくn個の条件を考え、これを満たすw1 、w2 、……、wn を算出すれば良い。そこで残差方程式(8)式から次式が得られる。
【数9】
この(9)式と(8)式とにより次式
【数10】
が得られる。そして(6)式及び(10)式から次に示す正規方程式が得られる。
【数11】
(11)式の正規方程式は、未知数の数nと同じ数の方程式を立てることが可能なので、これにより各ωi の最確値を求めることができる。
この正規方程式は、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)を用いて解くことができる。
【0035】
この予測係数算出処理手順では、各クラス毎に未定係数w1、……、wnを求めるために未知数の数nと同じ数の正規化方程式が形成されるまでステツプSP1−SP2−SP3−SP5−SP1のループを繰り返す。
【0036】
このようにして必要な数の正規化方程式が得られると、ステツプSP2では学習データが終了したか否かの判定に対して肯定結果が得られ、処理はステツプSP4の予測係数決定に移る。
【0037】
ステツプSP4では、(11)式の正規化方程式を解いて各クラス毎の予測係数w1、……、wnを決定する。このようにして得られた予測係数を次のステツプSP6でクラス毎にアドレス分割されたROM等の記憶手段に登録する。以上の学習により、クラス分類適応処理の予測係数が生成され次のステツプSP7で予測係数算出処理手順を終了する。
【0038】
以上の構成において、アツプコンバータ10の入力端11よりSD画像信号S1 が入力されると、SD画像信号S1 はクラス分類部12及び予測係数演算部13に並列に送出される。クラス分類部12ではSD画像信号S1 に基づいてクラスデータd0を生成して予測係数ROM14に送出する。予測係数ROM14では予め学習によつて求められている予測係数d1をクラスデータd0に応じて読み出し、予測係数演算部13に送出する。
【0039】
クラス分類部12には、入力端20を通じて入力されるSD画像信号S1 がADRCクラス分類部21及びアダマール変換クラス分類部22に同時に送出される。ADRCクラス分類部21では入力SD画像信号S1 をADRCによつてデータ圧縮してADRCクラスc0を生成する。一方、アダマール変換クラス分類部22では入力SD画像信号S1 をアダマール変換により互いに独立した複数の直交成分に分離して周波数クラスc1を生成する。
【0040】
クラス分類部12ではADRCクラスc0及び周波数クラスc1とを組み合わせてクラスd0を生成して予測係数ROM14に送出する。このようにして生成されたクラスd0はADRCクラスc0及び周波数クラスc1の2種類のクラス分類結果を合わせたものとなる。従つて、入力SD画像信号S1 は時空間領域のADRCクラスd0と周波数領域の周波数クラスd1とを合わせたクラス分類特性を有することになる。これにより1種類のクラス分類だけを用いた場合に比して、より広い範囲の信号特性に対応することができる。つまりSD画像信号S1 の特徴に応じた適切なクラス分けができるようになる。
【0041】
予測係数演算部13では各予測演算部13A〜13Dにおいて入力端11から送出されてくるSD画像信号S1 及び予測係数ROM14から送出される予測データd1をもとにして走査線上の4つの位置(mode1 〜mode4)に対応したHD画像信号S2 を生成する。
【0042】
以上の構成によれば、入力SD画像信号S1 に対してADRCクラス分類及びアダマール変換クラス分類を施してその結果得られるADRCクラスc0、周波数クラスc1の両方の特性を合わせたクラスd0を用いて対応する予測係数を選択できる。これにより1種類のクラス分類だけを用いた場合に比較して、より広範囲に入力信号特性に対応したクラス分類ができる。
これにより入力SD画像信号S1 の多様な信号特性に対応した適切なクラス分類がなし得、HD画像信号を生成する際に用いる予測係数の精度を向上させて、空間解像度の向上したHD画像信号を得ることができる。
【0043】
なお上述の実施例においては、入力画像信号をADRCクラス分類とアダマール変換クラス分類の独立した組み合わせによるクラスに基づいてクラス分類した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ADRCクラス分類とアダマール変換クラス分類とを従属的に組み合わせたクラスによつてクラス分類するようにしても良い。これにより、より精度の高いクラス分類がなし得る。
【0044】
また上述の実施例においては、タツプデータのデータ圧縮にADRCの手法を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばDPCM(Differential Pulse Code Modulatin )やVQ(Vector Quantization )の手法を用いてデータ圧縮しても良い。
【0045】
さらに上述の実施例においては、周波数領域のクラス分類法としてアダマール変換クラス分類法を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば直交変換手法として、フーリエ変換、カルーネンレーベ変換、ハール変換、離散余弦変換(DCT)等の手法を用いても良い。
【0046】
また上述の実施例においては、アツプコンバータとして2次元ノンセパラブルフイルタを用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図1との対応部分に同符号を付した、図8に示すような垂直/水平セパラブル構成でなるアツプコンバータ40を用いても良い。
【0047】
アツプコンバータ40においては、先ず、入力端41を通じて入力されたSD画像信号S1 がクラス分類部12と予測演算部43に供給される。予測演算部43は走査線の位置mode1、mode2に対応する垂直予測演算部43A及び水平予測演算部43Bと走査線の位置mode3、mode4に対応する垂直予測演算部43C及び水平予測演算部43Dの2種類に分かれる。クラス分類部12では入力SD画像信号S1 に応じたクラスd0が生成され、タツプ予測係数を予め記憶している記憶手段である予測係数ROM44に送出する。予測係数ROM44はタツプ予測係数の垂直成分と水平成分を記憶する垂直係数ROM44Aと水平係数ROM44Bとに分かれている。クラスd0は垂直係数ROM44Aと水平係数ROM44Bのそれぞれに供給される。
【0048】
まず垂直係数ROM44Aより出力される垂直予測係数d6は垂直予測演算部43A及び43Cに供給される。
入力SD画像信号S1 と垂直予測係数d6による積和演算により垂直推定値d7、d8が生成される。この垂直推定値d7、d8は次段の水平予測演算部43B及び43Dに供給される。
【0049】
水平係数ROM44Bより生成される水平予測係数d9は水平予測演算部43B及び43Dに供給され、垂直推定値d7、d8との積和演算によりHD画素d10 、d11 信号を得る。
このHD画素d10 、d11 信号は選択的に伝送され、選択部15において適切に並び替えられ、出力端46より最終的な出力であるHD画像信号S2 として出力される。これにより上述した実施例と同様の効果が得られる。
【0050】
また上述の実施例においては、HD注目画素と注目画素周辺の伝送画素との相関関係を表す予測係数を用いてSD画素から注目画素周辺のHD画素を生成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、予測係数に代えて各クラス毎のHD注目画素の予測値を予め設定して記憶手段に格納するようにしても良い。予測値によるSD画像信号のHD画像信号への信号変換は、図1との対応部分に同符号を付した、図9に示すようなアツプコンバータ60を用いる。
【0051】
このアツプコンバータ60には入力端61を通じてクラス分類部12にSD画像信号S1 が送出される。このクラス分類部12は、新たに生成するHD画像信号の周辺のSD画像信号S1 の特徴に基づいてクラスd0を生成して予測値ROM62A〜62Dに送出する。予測値ROM62A〜62Dには予め学習により求められた注目画素周辺のHD画素の予測値がクラス毎にクラスd0に対応して格納されている。予測値ROM62A〜62Dはクラスd0をアドレスデータとして予測値d20 〜d23 を読み出し、選択部15を通じて出力端63よりHD画像信号S2 として出力する。
【0052】
ここで予測値を求める第1の方法としては加重平均法を用いた学習法がある。加重平均法は、注目画素周辺のSD画素を用いて注目画素をクラス分類し、クラス毎に積算した注目画素(すなわちHD画素)の画素値を注目画素の個数に応じてインクリメントされた度数によつて割り算するといつた処理を様々な画像に対して行うことにより予測値を求める。
【0053】
さらに予測係数を求める第2の方法としては、正規化による学習法がある。この学習法は、先ず注目画素を含む複数の画素からなるブロツクを形成し、ブロツク内のダイナミツクレンジによつて注目画素の画素値からそのブロツクの基準値を減算した値を正規化する。次にこの正規化された値の累積値を累積度数で割り算することにより予測値を得る。
【0054】
また上述の実施例においては、SD画像信号をHD画像信号に信号変換した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像拡大する際の補間画素を生成するのに用いても良い。
【0055】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、時空間領域でのレベル分布パターンに応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果と周波数特性に応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果とを組み合わせたクラスに対応する予測係数を用いて予測演算処理するようにしたことにより、1種類のクラス分類法のみを用いる場合と比べて、予測演算処理の結果得られる画像信号の品質を格段と向上させることができる。また本発明によれば、時空間領域でのレベル分布パターンに応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果と周波数特性に応じて入力画像信号をクラス分類処理した結果とを組み合わせたクラスに対応する予測値を用いて入力画像信号を変換するようにしたことにより、1種類のクラス分類法のみを用いる場合と比べて、当該変換の結果得られる画像信号の品質を格段と向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2次元ノンセパラブルフイルタで構成されるアツプコンバータを示すブロツク図である。
【図2】図1のクラス分類部、予測係数ROM及び予測演算部の説明に供するブロツク図である。
【図3】クラス分類部から出力されるクラスの説明に供する図表である。
【図4】クラス生成のタツプパターンを示す略線図である。
【図5】学習データの予測タツプパターンを示す略線図である。
【図6】予測データの登録の説明に供するブロツク図である。
【図7】予測係数の学習手順を示すフローチヤートである。
【図8】垂直/水平セパラブルフイルタによるアツプコンバータを示すブロツク図である。
【図9】予測値を用いて補間画素を生成するアツプコンバータを示すブロツク図である。
【図10】SD/HD画素の空間配置例を示す略線図である。
【図11】従来の2次元ノンセパラブルフイルタを示すブロツク図である。
【図12】従来の垂直/水平セパラブルフイルタを示すブロツク図である。
【符号の説明】
2、3……補間フイルタ、4A〜4D……2次元フイルタ、5、8、15……選択部、6A、6B……垂直補間フイルタ、7A、7B……水平補間フイルタ、10、40、60……アツプコンバータ、11、20、41、61……入力端、12、32……クラス分類部、13、43……予測演算部、14、44……予測係数ROM、16、23、46、63……出力端、21……ADRCクラス分類部、22……アダマール変換部クラス分類部。
Claims (6)
- 入力画像信号をより高解像度な画像信号に変換する信号変換装置において、
上記入力画像信号の時空間領域でのレベル分布パターンに応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第1のクラス分類手段と上記入力画像信号の周波数特性に応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第2のクラス分類手段とを有し、上記第1及び上記第2のクラス分類手段がそれぞれ別個に上記入力画像信号に対しクラス分類処理して得られたクラス分類処理結果を組み合わせてなるクラスを出力するクラス分類部と、
上記入力画像信号からより高解像度な上記画像信号を生成するために予め設定された予測係数が上記クラス毎に対応付けして記憶されている予測係数記憶手段と、
上記予測係数記憶手段に記憶されている上記予測係数のうち上記クラス分類部からの上記クラスに対応する上記予測係数と、上記入力画像信号とを用いて予測演算処理することにより、上記入力画像信号からより高解像度な上記画像信号を生成する予測演算部と
を具えることを特徴とする信号変換装置。 - 上記予測係数記憶手段は、メモリであつて、上記クラス分類部からの上記クラスは、上記メモリから当該クラスに対応する上記予測係数を読み出すためのメモリアドレスでなる
ことを特徴とする請求項1に記載の信号変換装置。 - 入力画像信号をより高解像度な画像信号に変換する信号変換装置において、
上記入力画像信号の時空間領域でのレベル分布パターンに応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第1のクラス分類手段と上記入力画像信号の周波数特性に応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第2のクラス分類手段とを有し、上記第1及び上記第2のクラス分類手段がそれぞれ別個に上記入力画像信号に対しクラス分類処理して得られたクラス分類処理結果を組み合わせてなるクラスを出力するクラス分類部と、
上記入力画像信号からより高解像度な上記画像信号を生成するために予め設定された予測値が上記クラス毎に対応付けして記憶されている予測値記憶手段と
を具え、
上記クラス分類部からの上記クラスに応じて上記予測値記憶手段から読み出した上記予測値を用いて上記入力画像信号をより高解像度な上記画像信号に変換する
ことを特徴とする信号変換装置。 - 上記予測値記憶手段は、メモリであつて、上記クラス分類部からの上記クラスは、上記メモリから当該クラスに対応する上記予測値を読み出すためのメモリアドレスでなる
ことを特徴とする請求項3に記載の信号変換装置。 - 入力画像信号をより高解像度な画像信号に変換する信号変換方法において、
上記入力画像信号の時空間領域でのレベル分布パターンに応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第1のステツプと、
上記第1のステツプによるクラス分類処理とは別個に、上記入力画像信号の周波数特性に応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第2のステツプと、
上記第1のステツプによるクラス分類処理結果と上記第2のステツプによるクラス分類処理結果とを組み合わせたクラスを生成する第3のステツプと、
上記入力画像信号からより高解像度な上記画像信号を生成するために予め設定された予測係数が上記クラス毎に対応付けして記憶されている予測係数記憶手段から、上記3のステツプによつて生成した上記クラスに対応する上記予測係数を読み出す第4のステツプと、
上記読み出した予測係数と上記入力画像信号とを用いて予測演算処理することにより、上記入力画像信号からより高解像度な上記画像信号を生成する第5のステツプと
を具えることを特徴とする信号変換方法。 - 入力画像信号をより高解像度な画像信号に変換する信号変換方法において、
上記入力画像信号の時空間領域でのレベル分布パターンに応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第1のステツプと、
上記第1のステツプによるクラス分類処理とは別個に、上記入力画像信号の周波数特性に応じて上記入力画像信号をクラス分類処理する第2のステツプと、
上記第1のステツプによるクラス分類処理結果と上記第2のステツプによるクラス分類処理結果とを組み合わせたクラスを生成する第3のステツプと、
上記入力画像信号からより高解像度な上記画像信号を生成するために予め設定された予測値が上記クラス毎に対応付けして記憶されている予測値記憶手段から、上記第3のステツプによつて生成した上記クラスに対応する上記予測値を読み出す第4のステツプと、
上記読み出した予測値を用いて上記入力画像信号をより高解像度な上記画像信号に変換する第5のステツプと
を具えることを特徴とする信号変換方法。
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-
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