以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)第1実施例
図1は、全体としてクラス分類適応処理を適用してSD画像信号からHD画像信号を生成する2次元ノンセパラブルフイルタによるアツプコンバータを示している。このアツプコンバータ10に入力端INを通じて入力されるSD画像信号S は、注目SD画素を中心とした所定数の画素からなるブロツク単位毎にクラス分類部12に送出され、さらにSD画像信号S1 は予測演算部13に送出される。クラス分類部12は、入力SD画像信号S1の注目画素に対する周辺のSD画像信号S1のSD画素NO特徴に基づいて、注目画素に対するクラスコードd0を生成し、これをクラスコードd0は、アドレスデータとして記憶手段である予測係数ROM(Read Only Memory)14に送出する。
この場合予測係数ROM14には、低解像度の画像信号から高解像度の画像信号を生成するためのHD補間画素を予測演算するときに用いられる予め学習により求められた予測係数が、クラスコードd0に対応付けられた予測データd1として格納されている。かくして予測係数ROM14は、クラスコードd0をアドレスデータとして予測データd1を読み出し、これを予測演算部13に送出する。
一方予測演算部13は、SD画像信号S1に対して予測データd1を用いた所定の予測演算を実行することにより、SD画像信号S1からHD補間画素を生成する。なお、予測演算部13に供給されるSD画像信号S1は、図示されていない遅延部を介して供給される。この遅延部の遅延時間は、予測データd1が予測演算部13に供給されるまでの時間に対応している。
予測演算部13においては、4つの予測演算部13A〜13Dから構成され、各予測演算部13A〜13Dは、SD画像信号S1に対して予測データd1を用いた積和演算を実行する。これにより、各予測演算部13A〜13Dは、それぞれ走査線1上の4種類の位置mode1、mode2、mode3及びmode4に対応するHD補間画素の予測値d2、d3、d4及びd5を生成する。また各予測演算部13A〜13Dにおいて生成された各HD補間画素d2、d3、d4及びd5は、選択部15に送出される。選択部15は、各予測値d2、d3、d4及びd5をバツフアメモリ(図示せず)を用いて時系列に並び替えて出力端OUTからHD画像信号S2として出力する。
図2は、図1のクラス分類部12の構成を示している。この図2からも明らかなように、入力端INを通じて入力されるSD画像信号S1は、まずアクテイビテイ分類部21に供給される。アクテイビテイ分類部21は、供給されるSP画像信号S1に対し、例えば、注目画素を中心とした3x3の9画素からなるブロツク単位毎に空間アクテイビテイの分類を行い、その特性を評価判定する。またアクテイビテイ分類部21は、空間アクテイビテイの分類及び評価に基づいてクラスコードc0を生成して、選択部25及びADRC(Adaptive Dynamic Range Coding)クラス分類部26に送出する。
一方で、SD画像信号S1 は、それぞれ異なつた3種類の画素のタツプパターンを設定する広領域タツプ選択部22、標準タツプ選択部23及び狭領域タツプ選択部24に並列に送出される。そして、広領域タツプ選択部22、標準タツプ選択部23及び狭領域タツプ選択部24の各々は、入力SD画像信号S1に対して空間クラスのタツプパターンp0、p1及び p2 を選択する。
図3は、図2のアクテイビテイ分類部21の構成を示している。この図3に示すように、入力端INから入力されるSD画像信号S1 は、まず処理部30に送出される。処理部30は、入力されたSD画像信号S1の注目SD画素を中心とした複数のSD画素のダイナミツクレンジDRを検出する。ダイナミツクレンジDRは、例えば図4に示される注目画素を中心とした9画素(図中◎で示す)から得られる近傍領域内最大値MAX及び近傍領域内最小値MINとを用いて次式
によつて定義される。この注目SD画素を中心とした複数のSD画素のダイナミツクレンジDRは、閾値判定部31に送出される。
閾値判定部31は、所定の閾値を用いて、ダイナミツクレンジDRと比較判定する。その結果、閾値判定部31は、閾値処理によつて得られたクラスコードc0を出力する。つまり、閾値判定部31の閾値処理によつて、ダイナミツクレンジの大きさが3段階(つまり、空間アクテイビテイが、高、中、小の3段階)で判定されることにより、空間アクテイビテイが判定され、その判定結果が2ビツトのクラスコードc0として出力される。
一般に、ダイナミツクレンジDRが大きい場合は空間アクテイビテイが高く、反対にダイナミツクレンジDRが小さい場合は空間アクテイビテイが低いと考えられる。これによりアクテイビテイ分類部21におけるダイナミツクレンジによる初段のクラス分類が実行される。
次に、広領域タツプ選択部22、標準タツプ選択部23、狭領域タツプ選択部24及びADRCクラス分類部26における次段のクラス分類について具体的に述べる。
まず、上述した3種類のクラスタツプパターンの選択部のうち、標準タツプ選択部23は、入力SD画像信号S1 の標準的な空間内変動に注目し、図5(B)に示すような一般的なクラスタツプパターンを選択する。それに対して広領域タツプ選択部22は、入力SD画像信号S1 の定常的な空間内に注目する。
すなわち広領域タツプ選択部22は、図5(A)に示すような広領域用のクラスタツプパターンを選択する。また狭領域タツプ選択部24は、入力SD画像信号S1 の非定常的な空間内変動に注目し、非定常的な信号変化に対して図5(C)に示すような狭領域用のクラスタツプパターンを選択する。
広領域タツプ選択部22、標準タツプ選択部23及び狭領域タツプ選択部24は、それぞれ選択したクラスタツプパターンp0、p1及びp2をそれぞれ選択部25に送出する。選択部25では、アクテイビテイ分類部21から送出されるクラスコードc0を選択制御信号としてクラスタツプパターンp0、p1及びp2からいずれか一つのクラスタツプパターンを選択し、選択したクラスタツプパターンp3ADRCクラス分類部26に送出する。
すなわち選択部25は、クラスコードc0が、空間アクテイビテイが低いことを示す場合、広領域タツプ選択部22からのクラスタツプパターンp0を選択し、クラスコードc0が空間アクテイビテイが高いことを示す場合、狭領域タツプ選択部24からのクラスタツプパターンp2を選択する。
ADRCクラス分類部26は、入力SD画像信号S1 のダイナミツクレンジDRに応じて得られたクラスコードc0を制御信号として、ADRCの再量子化ビツト数kを設定する。これによりSD画像信号S1 のダイナミツクレンジDRに応じて、空間クラスのタツプパターンp3の各タツプのレベル分解能を変えて設定することができる。
ADRCは、再量子化として定義される量子化ステツプ幅により、画素を再量子化するものである。ADRCコードc1(式中では、クラスタツプパターンのSD画素数iに応じてciを用いる)は、ダイナミツクレンジDR、再量子化ビツト数k、SD画素xi及びその近傍領域内の最小画素レベルMINとを用いて、次式
によつて表される。
空間クラスタツプパターンのレベル分解能の切り替えは、具体的には(2)式のADRC演算における再量子化ビツト数kをクラスコードc0に応じて切り替えることによつてなされる。これにより入力信号のダイナミツクレンジDRに応じて、レベル分解能を適応的に切り換えて設定することができる。つまりADRCクラス分類部26は、ダイナミツクレンジDRが大きい程、レベル分解能を細かく設定するようになされている。
このようにしてクラス分類部12では、クラスコードc0及びADRCコードc1とでなるクラスコードd0が生成される。このクラスコードd0は、アドレスデータとして後段の予測係数ROM14へ送出される。
予測係数ROM14は、HD補間画素を生成する際に用いる予測データd1とクラスコードc0及びc1とを組み合わせたクラスコードd0をアドレスデータとして読み出し、予測演算部13に送出する。予測演算部13A〜13Dの各々は、SD画像信号S1 でなるSD画素xiとクラス毎の予測データd1でなる予測係数wiを用いて予測演算を実行し、走査線1上の位置mode1〜mode4に相当するHD補間画素の推定画素y′を生成する。
このとき用いるSD画素xiは、例えば、図6に示すように配置された注目画素(図中◎で示す)及び周辺画素(図中○で示す)でなる13個の予測タツプデータで形成される。したがつて予測係数wiは、この場合、各予測演算部13A〜13Dに対して13個の予測係数からなる。
また予測演算部13A〜13Dの各々で使用されるSD画素は、同じであるが、予測係数ROM14からの予測係数wiは、予測演算部13A〜13Dの各々に対して異なる予測係数であるので、予測係数ROM14には、1つのクラスに対応して13個の予測係数Wiからなる予測係数群が4つ記憶されていることになる。
HD補間画素の推定画素y′は、上述した13個のSD画素xi及び予測係数wiを用いて数式
によつて変換されて生成される。つまり、予測演算部13A〜13Dの各々は、それぞれ供給されたSD画素Xiと予測係数Wiを用いて、(3)式により予測演算を行い、HD補間画素を生成する。
ここで用いられる予測係数wiは、予め学習によつて求められ、予測係数ROM14に格納されている。
ここで、予測係数ROM14に格納されているクラス毎の予測係数Wiを生成する際の学習手順について、図7のフローチャートを参照して説明する。
予測係数Wiは、図7に示す予測係数学習手順RT1に従つて求めることができ、まずステツプSP1でこの予測係数学習手順RT1を開始すると、続くステツプSP2において予測係数wiを学習するために、既に知られている画像に対応した学習データを生成する。
具体的には、図28に示すHD画像において、HD補間画素をHD注目画素として、このHD注目画素を周辺のHD補間画素及びSD画素でなる一組の学習データによつて予測係数を用いた線形一次結合モデルによつて表す。このとき用いた予測係数を各クラス毎に最小自乗法を用いて求める。なお、このように学習データを生成する際に、1つの画像のみを用いるのではなく複数の画像を用いて多数の学習データを生成すれば、より正確な予測係数を得ることができる。
続くステツプSP3では、ステツプSP2で生成した学習データの数が予測係数を得るのに必要なだけ生成されたか否か判定する。ここで、学習データ数が必要数に満たないと判定された場合にはステツプSP4に移る。
このステツプSP4では、クラス学習データをクラス分類する。クラス分類は、先ず、初めに学習サンプリングデータの局所的な平坦度を検出し、当該検出結果に応じてクラス分類に用いる画素を選択する。これにより入力信号の変化の小さいものを学習対象から除外してノイズの影響を排除することができる。その後、このクラス学習データのクラス分類は入力SD画像信号S1 をクラス分類する場合と同様の処理を実行することによつてなされる。
すなわちクラス学習データのクラス分類は、まず、学習データのダイナミツクレンジDRを分類評価してクラスコードc0を設定する。続いて、広領域、標準及び狭領域の3種類のタツプパターンからクラスコードc0に基づいて、いずれか一つのタツプパターンp3を空間クラスとして選択する。図8に示すように、このようにして得られたクラスコードc0及びADRCコードc1とを組み合わせてクラスコードd0を設定し、このクラスコードd0を予測データd1と対応させてROM14に記憶する。
ステツプSP5において、クラス分類された学習データに基づき、各クラス毎に正規化方程式を形成する。
このステツプSP5での処理を具体的に説明する。ここでは、一般化するために学習データとしてn個のサンプリング画素が存在する場合について述べる。まず、各サンプリング画素の画素レベルx1、……、xnと注目補間画素のサブサンプル以前の画素レベルyの関係を、クラス毎に予測係数w1、……、wnによるnタツプの線型一次結合モデルによる予測式で表す。この予測式を次式
に示す。
この(4)式における予測係数w1、……、wnを求めることにより、画素レベルyを推定する。
次に予測係数w1、……、wnを最小自乗法により生成する例を示す。最小自乗法は次のように適用される。
一般化した例として、Xを入力データ、Wを予測係数、Yを推定値として次の観測方程式を考える。
この(5)式の観測方程式により収集されたデータに対して最小自乗法を適用する。(5)式の例においては、n=13、mが学習データ数となる。
まず、(5)式の観測方程式をもとに、次の残差方程式を考える。
(6)式の残差方程式から、各wiの最確値は次式
を最小にする条件が成り立つ場合と考えられる。
すなわち(7)式のwiによる偏微分が次式
で表されるとき、この(8)式のiに基づくn個の条件を考え、この条件を満たすw1、w2、……、wnを算出すれば良い。そこで残差方程式(6)式から次式が得られる。
この(9)式及び(8)式により次式
が得られる。そして(6)式及び(10)式から次に示す正規方程式が得られる。
(11)式の正規方程式は、未知数の数nと同じ数の方程式を立てることが可能なので、これにより各wiの最確値を求めることができる。
この正規方程式は、掃き出し法(Gauss-Jordanの消去法)を用いて解くことができる。
予測係数学習手順RT1では、各クラス毎に未定係数w1、……、wnを求めるために未知数の数nと同じ数の正規化方程式が形成されるまでステツプSP2−SP3−SP4−SP5−SP2のループを繰り返す。
このようにして必要な数の正規化方程式が得られると、ステツプSP3では学習データが終了したか否かの判定に対して肯定結果が得られ、処理はステツプSP6の予測係数決定に移る。
このステツプSP6では、(11)式の正規化方程式を解いて各クラス毎の予測係数w1、……、wnを決定する。このようにして得られた予測係数を次のステツプSP7でクラス毎にアドレス分割されたROM等の記憶手段に登録する。この際、1つのクラスコードに対して、予測演算部13A〜13Dにそれぞれ対応する予測係数w1、……、wnからなる4つの予測係数群が登録される。以上の学習処理により、クラス分類適応処理の予測係数が生成され次のステツプSP8で予測係数学習手順RT1を終了する。
以上の構成において、上述したアツプコンバータ10及びそのアツプコンバータの各部の動作について説明する。
まず、入力端INを通じてアツプコンバータ10に入力されるSD画像信号S1は、クラス分類部12及び予測係数演算部13に対して並列に送出される。クラス分類部12は、SD画像信号S1に基づいてクラスコードd0を生成して予測係数ROM14に送出する。
予測係数ROM14は、予め学習によつて求められている予測データd1をクラスコードd0に応じて読み出し、予測係数演算部13に送出する。
予測係数演算部13は、各予測演算部13A〜13Dにおいて、入力端INから送出されてくるSD画像信号S1 及び予測係数ROM14から送出される予測データd1をもとにして走査線1上の4つの位置(mode1〜mode4)に対応したHD補間画素を生成する。
アクテイビテイ分類部21は、まず、入力されるSD画像信号S1 の注目SD画素を中心とした複数のSD画素のダイナミツクレンジDRを検出し、このダイナミツクレンジDRを所定の閾値との間で比較判定することによつてクラスコードc0を出力する。一般に、ダイナミツクレンジDRが大きい場合は空間アクテイビテイが高く、反対にダイナミツクレンジDRが小さい場合は空間アクテイビテイが低い。
一方で、ブロツク単位の入力SD画像信号S1は、それぞれ異なつた3種類の画素のタツプパターンを設定する広領域タツプ選択部22、標準タツプ選択部23及び狭領域タツプ選択部24に並列に送出される。そして、広領域タツプ選択部22、標準タツプ選択部23及び狭領域タツプ選択部24は、それぞれ空間クラスのタツプパターンp0、p1及びp2を設定する。
選択部25は、クラスコードc0をもとにして、例えばダイナミツクレンジDRが小さく、アクテイビテイの低いSD画像信号S1 に対しては、図5(A)に示すような比較的広い領域の信号変化のクラスタツプパターンp0を選択して、緩やかな信号変化をクラスに反映する。これに対して、ダイナミツクレンジDRが大きくアクテイビテイの高いSD画像信号S1 に対しては、図5(C)に示すような狭い領域のクラスタツプパターンp2を選択して、狭い領域の信号変化を可能な限りのクラス数で表現する。これにより選択部25は、ダイナミツクレンジDRから見た信号特性に応じて、その信号変化を反映させたタツプパターンp3でなる空間クラスを選択して、次段のADRCクラス分類部26に送出する。
ADRCクラス分類部26は、クラスコードc0を制御信号として、ダイナミツクレンジDRが小さいSD画像信号S1に対しては空間クラス分類用の各タツプの再量子化ビツト数kを小さく設定する。これにより各タツプのレベル分解能が低くなり、定常性を前提としたADRCコードc1を出力することができる。これに対してダイナミツクレンジDRが大きいSD画像信号S1に対しては、空間クラス分類用の各タツプの再量子化ビツト数kを多めに設定して、レベル分解能を高くしたADRCコードc1を出力する。これによりダイナミツクレンジDRが大きくアクテイビテイが高いSD画像信号S1の非定常的な信号変化をクラスに反映させることができる。
このようにして、クラス分類部12は、入力SD画像信号S1のダイナミツクレンジDRに応じて、クラス分類に用いる画素のタツプパターンを切り替えると共に、クラス分類用の各タツプの再量子化ビツト数kを切り替えることによつてレベル分解能を適応的に設定する。これにより入力SD画像信号S1のダイナミツクレンジDRの特性に応じて適切なクラス分類を実行することができる。
クラス分類部12は、クラスコードc0及びADRCコードc1とを組み合わせてなるクラスコードd0を次段の予測係数ROM14に送出する。予測係数ROM14は、このクラスコードd0に基づいて予測データd1を読み出して、予測演算部13に送出する。予測演算部13は、この予測データd1を用いてSD画素を変換することにより、HD補間画素を生成する。そしてこの生成されたHD補間画素が選択部に供給され、選択部15より時系列に並べ変えられ、HD画像信号として出力される。かくして、選択された予測データd1は、入力SD画像信号S1のダイナミツクレンジDRによる特性を反映することになり、SD画素から変換して生成するHD補間画素の精度を向上させることができ、HD画像信号S2の空間解像度の向上を成し得ることができる。
以上の構成によれば、アツプコンバータ10に入力されるSD画像信号S1をアクテイビテイ分類部21においてダイナミツクレンジDRに応じて閾値判定し、この結果として得られるクラスコードc0に基づいて3種類の空間クラスタツプパターン(広領域タツプパターン、標準領域タツプパターン又は狭領域タツプパターン)の中からSD画像信号S1のダイナミツクレンジDRの特性に応じたタツプパターンを設定することができ、かくして入力SD画像信号S1のダイナミツクレンジDR特性を反映したクラスタツプパターンを設定し得る。
また以上の構成によれば、クラスコードc1に応じて空間クラス分類用の各タツプの再量子化ビツト数kを変えて、各タツプのレベル分解能を切替えるようにすることにより、信号変化の定常性又は非定常性をタツプのレベル分解能によりクラス分類に反映することができる。かくして、入力SD画像信号S1のダイナミツクレンジDR特性に応じてタツプパターン及びタツプのレベル分解能を設定した適切なクラス分類がなされ、入力SD画像信号S1 の信号特性を反映した空間解像度の高いHD画像信号S2 を生成することができる。
(2)第2実施例
図9は、第2実施例によるアツプコンバータのアクテイビテイ分類部35を示している。このアクテイビテイ分類部35は、注目SD画素を中心とした複数のSD画素からなるブロツク単位毎に入力されるSD画像信号S1の空間内アクテイビテイを評価して、その特性に応じて注目画素のクラスを分類するようになされている。
すなわちADRCクラス分類部36には、入力端INから入力されるSD信号S1が供給され、ADRCクラス分類部36は、注目SD画素を中心とした複数のSD画素からなるSD信号S1 に対してADRCによるクラス分類処理を実行する。
ADRCクラス分類部36より出力されるADRCコードc(式中ではクラスタツプパターンのSD画素数iに応じてciを用いる)は、第1の実施例と同様にしてダイナミツクレンジDR、再量子化ビツト数k、SD画素xi及びその近傍領域内の最小画素レベルMINとから次式
によつて生成される。
ADRCクラス分類部36において生成されたADRCコードcは、次段の後処理部37に送出される。後処理部37は、ADRCコードcによるレベル分布パターンのバラツキ度を表す、例えばADRCコードcに対する標準偏差σを算出する。そして後処理部37は、算出したADRCコードcに対する標準偏差σを次段の閾値判定部38に送出する。閾値判定部38は、このADRCコードcに対する標準偏差σの閾値判定により、クラスコードc0を生成して出力する。ADRCコードcに対する標準偏差σは、ADRCコードci、ADRCコードciの平均値ca及びADRCコード数nを用いて次式
によつて表される。
図2に示す選択部25は、このようにして得られたクラスコードc0を用いて、第1の実施例と同様にして空間クラスのタツプパターンp3を選択する。さらに、ADRCクラス分類部26において、クラスコードc0に基づいて各タツプのレベル分解能が適応的に設定される。これにより入力SD画像信号S1の空間アクテイビテイの分類結果に基づいて空間クラスタツプパターン及びレベル分解能が設定され、第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(3)第3実施例
また第3実施例として、クラス分類する際、例えば図4に示す入力された注目SD画素近傍の9画素のデータ分布から標準偏差σを算出し、その算出された標準偏差σを閾値判定することにより、クラスコードc0データを生成するようにしてもよい。
すなわち、図3に示されるアクテイビテイ分類部21の処理部35において、入力注目画素近傍の9画素のデータ分布から標準偏差σが算出される。
つまり処理部35には、入力端INから入力されるSD信号S1 が供給され、処理部35は、入力注目画素近傍の9画素のデータ分布から標準偏差σを算出する。そして、処理部30は、算出した標準偏差σを次段の閾値判定部31に送出する。閾値判定部38は、この標準偏差σの閾値判定することにより、クラスコードc0を生成して出力する。標準偏差σは、SD画素xi、近傍領域内平均値xi及び近傍領域内画素数nを用いて次式
によつて定義される。
このように、第3実施例では、この標準偏差σを用いた閾値判定により、クラス分類を実行する。一般に標準偏差が大きい場合は、空間アクテイビテイが高く、反対に小さい場合には、空間アクテイビテイが低いといえる。したがつて、この標準偏差σの閾値判定に基づいて、空間クラスタツプパターンの切り替え及び空間クラス分類用のタツプのレベル分解能を切り替えることによつて、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(4)第4実施例
さらに第4実施例として、ADRCコードcによるレベル分布パターンのバラツキ度を表すADRCコードcを登録した度数分布表を生成し、その生成された度数分布表を用いて閾値判定することにより、クラスコードc0データを生成するようにしてもよい。
すなわち図10に示すような度数分布表において、閾値0、閾値1間に存在するADRCコードcを計測して、その対比によつてクラス分類する。この場合、例えばADRCコードが所定区間にかたまつているときは、空間アクテイビテイは低く、一方ADRCコードcが広く分布しているときは、空間アクテイビテイは高いといえる。
つまり第2実施例と同様に、ADRCクラス分類部36には、入力端INから入力されるSD信号S1 が供給され、ADRCクラス分類部36は、注目SD画素を中心とした複数のSD画素に対してADRCによるクラス分類処理を実行する。
ADRCクラス分類部36において生成されたADRCコードcは、次段の後処理部37に送出される。後処理部37は、ADRCコードcによるレベル分布パターンのバラツキ度を表す、図10に示されるようなADRCコードcを登録した度数分布表を生成する。そして後処理部37は、生成されたADRCコードcに対する度数分布表を表すデータを次段の閾値判定部38に送出する。閾値判定部38は、ADRCコードcに対する度数分布表において、閾値0と閾値1との間に存在する画素数を計測することにより、閾値判定を実行し、クラスコードc0を生成して出力する。
したがつて、このADRCコードcに対する度数分布表を用いた閾値判定に基づいて、空間クラスタツプパターンの切り替え及び空間クラス分類用のタツプのレベル分解能を切り替えることによつて、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(5)第5実施例
さらに第5実施例として、SD画素値の隣接画素差分の絶対値を度数分布表に登録して、その度数分布表を用いて、空間アクテイビテイを評価することにより、クラスコードをc0を生成するようにしてもよい。この場合、大きい差分絶対値を持つ画素が多いときは、空間アクテイビテイが高く、反対に小さい差分絶対値を持つ画素が多いときは空間アクテイビテイが低い。
すなわち図9に示されるアクテイビテイ分類部35のADRCクラス分類部36の代わりに、隣接画素の差分の絶対値を算出する隣接画素差分算出部を設ける。
つまり隣接画素差分算出部には、入力端INから入力されるSD信号S1 が供給され、隣接画素差分算出部は、注目SD画素を中心とした複数の周辺SD画素に対して隣接画素間の差分を算出し、その算出された差分の絶対値を生成する。隣接画素差分算出部において生成された差分絶対値は、次段の後処理部37に送出される。
後処理部37は、ADRCコードcによるレベル分布パターンのバラツキ度を表す、差分絶対値を登録した度数分布表を生成する。そして後処理部37は、生成された差分絶対値に対する度数分布表を表すデータを次段の閾値判定部38に送出する。
閾値判定部38は、差分絶対値に対する度数分布表において、閾値0と閾値1との間に存在する画素数を計測することにより、閾値判定を実行し、クラスコードc0を生成して出力する。
したがつて、この隣接画素の差分絶対値の閾値判定に基づいて、空間クラスタツプパターンの切り替え及び空間クラス分類用のタツプのレベル分解能を切り替えることによつて、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(6)第6実施例
図11は、第6実施例によるアツプコンバータ50を示している。このアツプコンバータ50は、初段のクラス分類部50Aのラプラシアンフイルタ51A〜51Eにおいて、複数の方向の1次元ラプラシアン処理を行い、それらの値を総合的に判断することにより、初段のクラス分類を実行する。続いて初段のクラス分類部50Aの分類結果に応じて、次段のクラス分類部50Bのクラスタツプパターンを設定する。そして、次段のクラス分類部50Bは、このクラスタツプパターンを用いて、クラス分類を実行する。
この第6実施例は、初段のクラス分類において、空間方向及び時間方向のアクテイビテイを評価している。図11を用いて、第6実施例の構成を説明する。
入力端INから入力されるSD画像信号S1は、クラス分類部50Aに供給される。そして、クラス分類部50Aに供給されたSD画像信号S1は、ラプラシアンフイルタ51A〜51E及び遅延部56Bに供給される。
5種類のラプラシアンフイルタ51A〜51Eは、供給されたSD画像信号S1のフレーム毎又はフイールド毎のブロツク単位の入力SD画像信号S1に対して、各フイルタ毎に異なつた方向にラプラシアン処理を施し、ラプラシアン値LO〜L4を出力する。
すなわちラプラシアン処理は、図12に示すように、一次元のラプラシアンフイルタ51A〜51Eによつて、水平方向(図12(A))、垂直方向(図12(B))、右下斜め方向(向かつて左上端から右下端の対角線の方向)(図12(C))、左下斜め方向(向かつて右上端から左下端の対角線の方向)(図12(D))及び時間方向(図12(E))のそれぞれの方向に対してラプラシアン処理を施す。
まず、ラプラシアンフイルタ51A〜51Dを通じてラプラシアン処理され、その結果として得られるラプラシアン値L0〜L3は、次段の絶対値回路52A〜52Dにそれぞれ送出される。
絶対値回路52A〜52Dは、それぞれラプラシアン値L0〜L3に対して絶対値化を施す。そしてその結果として得られる絶対値a0〜a3を最大値検出器53に送出する。
最大値検出器53は、絶対値a0〜a3の中から最大値を検出し、その検出された最大値を閾値TH0 を用いて閾値処理する。これにより、入力SD画像信号S1の平坦度が検出され、1ビツトで表現されたその平坦度を示す値(平坦度値)L10が出力される。さらに、最大値検出器53は、2ビツトで表現された最大値が検出された方向を示す値(最大値検出方向値)a10を出力する。同時に、ラプラシアンフイルタ51Eは、時間方向に対してのラプラシアン値L4を絶対値回路52Eに送出する。
そして絶対値回路52Eは、ラプラシアン値L4に対して絶対値化を施し、その結果得られる絶対値a4を比較器54に送出する。
比較器54は、絶対値a4を閾値TH1 を用いて閾値処理することによつて、1ビツトで表現された時間方向の変化を示す値(時間方向変化値)a11を出力する。そしてこの時間方向変化値a11に上述した最大値検出方向値a10及び平坦度値L10を加えた4ビツトのデータが制御信号CTとして、次段のクラス分類部50Bに送出される。
ラプラシアン値は、基本的には注目画素と両側の画素との空間差分の合計であるので、隣接画素の変化が大きいほどラプラシアンの値は大きくなる。初段のクラス分類部50Aは、空間内のエツジがある方向を検出するために、空間内の所定の方向のアクテイビテイを一次元のラプラシアンフイルタをかけることにより、その特徴を大きく分類する。
クラス分類部50Aから出力される制御信号CTは、クラス分類部50Bのセレクタ55A〜55I及び遅延回路56Aに送出される。
セレクタ55A〜55Iは、制御信号CTによつて選択されるSD画像データが供給されるラインを通じてレジスタアレイ57に接続されている。
レジスタアレイ57には、遅延回路56Bを通じて遅延された数ライン分のSD画像信号S1 が送出される。
セレクタ55A〜55Iは、制御信号CTに応じて選択的に切り替えられ、レジスタアレイ57から供給されるSD画像データをインデツクスに応じて選択し、9画素分の画素データを次段の1ビツトADRCクラス分類部58に送出する。つまりこの制御信号CTに応じて、次段のクラス分類部50Bのクラスタツプパターンが選択される。
ADRCクラス分類部58は、セレクタ55A〜55Iによつて選択された9個のタツプによつて形成されるクラスタツプパターンを用いて、1ビツトADRCクラス分類を実行し、9ビツトで表現されるADRCコードcを出力する。したがつて、クラス分類部50Bのクラスは、512(29)通りのクラスに分類される。
この結果アツプコンバータ50において、初段のクラス分類部50A(16通り)と次段のクラス分類部50B(512通り)とを掛け合わせた8192のクラスに分類することができる。このように初段の空間アクテイビテイにより選択されたクラスに応じて次段のADRCクラス分類における最適なタツプパターンを選択するようにしたことにより、次段以降のクラス分類において空間アクテイビテイの特徴を反映したより精度の高いクラス分類が成し得る。
次段の予測値演算部50Cは、HD補間画素の予測係数を記憶する予測係数RAM59、HD補間画素を生成するための予測タツプパターンを設定する予測タツプパターン設定部60と、予測タツプパターン及び予測係数を用いた演算によりHD補間画素を生成する予測演算部61とからなる。
予測係数RAM59は、1ビツトADRCクラス分類部58より供給されるADRCコードc及び遅延回路56Aを通じて遅延された制御信号CTの2つの信号をアドレスデータとして予測係数を読み出し、その読みだされた予測係数を予測演算部61へ送出する。
一方、レジスタアレイ57から送出されるSD画像信号S1が予測タツプパターン設定部60に送出される。
この予測タツプパターン設定部は、後段の予測演算部61で使用する予測タツプパターンを設定する。つまり入力されたSD画像信号S1から、後段の予測演算部61で予測係数RAMから読み出された係数と予測演算される予測タツプパターンを出力する。予測演算部61は、予測タツプパターンの画素データと予測係数を用いて線形一次結合によりHD補間画素を生成して出力する。
ここで、クラス分類部50Aで生成される4ビツトの制御信号CTとその制御信号CTにより選択されるクラス分類部50Bで用いられるクラスタツプパターンについて説明する。
図13は、クラス分類部50Aで生成される4ビツトの制御信号CTの16(24)通りの組み合わせを表すインデツクス(I0〜I3)である。図14〜図17は、インデツクス(I0〜I3)に対応して設けられた次段におけるクラス分類部50Bのタツプパターン構造の一例を示している。制御信号CTとタツプパターンとの関係は、空間方向において、変化の大きい方向(ラプラシアン値の大きい方向)にクラスタツプが存在し、ラプラシアン値の最大値が大きい程、タツプの空間の広がりが小さくなるような関係である。さらに、時間方向のラプラシアン値が大きいとタツプパターンが同一フイールド内のタツプから構成され、時間方向のラプラシアン値が小さいとタツプパターンが異なるフイールド上(例えば、フレーム)のタツプから構成される関係である。
図14(A)〜(D)に示されるタツプパターンは、それぞれインデツクス(0000)〜(0011)に対応して設けられたもので、水平方向への変化が大きいものに対して選択される。
ここで、図14(A)〜(D)に示すクラスタツプパターンをそれぞれ比較した場合、図14(C)及び(D)に示すインデツクス(0010)及び(0011)のクラスタツプパターンの水平方向の配置間隔を、図14(A)及び(B)に示すインデツクス(0000)及び(0001)のクラスタツプパターンの配置間隔に比して狭くすることにより、最大値である水平方向のラプラシアン値を大きく表現する。つまり、最大値である水平方向のラプラシアン値が大きい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを小さくし、最大値である水平方向のラプラシアン値が小さい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを大きくする。
また、図14(B)及び(D)に示すように、インデツクス(0001)及び(0011)の時間方向のビツト(4ビツト目)がオンのときは、クラスタツプパターンを同一フイールド内に配置することにより、時間方向の変化を大きく表現する。これに対して、図14(A)及び(C)に示すように、インデツクス(0000)及び(0010)の時間方向のビツト(4ビツト目)がオフのときは、異なるフイールド上にタツプを配置することにより、時間方向の変化を小さく表現する。
また、図15(C)及び(D)に示すインデツクス(0110)及び(0111)のクラスタツプパターンの垂直方向の配置間隔を、図15(A)及び(B)に示すインデツクス(0100)及び(0101)のクラスタツプパターンの配置間隔に比して狭くすることにより、最大値である垂直方向のラプラシアン値を大きく表現する。つまり、最大値である垂直方向のラプラシアン値が大きい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを小さくし、最大値である垂直方向のラプラシアン値が小さい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを大きくする。
また、図15(B)及び(D)に示すように、インデツクス(0101)及び(0111)の時間方向に変化があるとき、つまり、時間方向のビツト(4ビツト目)がオンのときは、クラスタツプパターンを同一フイールド内に配置することにより、時間方向の変化を大きく表現する。これに対して、図15(A)及び(C)に示すようにインデツクス(0100)及び(0110)の時間方向のビツトがオフのときは、異なるフイールド上にタツプを配置することにより、時間方向の変化を小さく表現する。
また、図16(C)及び(D)に示すインデツクス(1010)及び(1011)のクラスタツプパターンの右下がり方向の配置間隔を、図16(A)及び(B)に示すインデツクス(1000)及び(1001)のクラスタツプパターンの配置間隔に比して狭くすることにより、最大値である右下がり方向のラプラシアン値を大きく表現する。つまり、最大値である右下がり方向のラプラシアン値が大きい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを小さくし、最大値である右下がり方向のラプラシアン値が小さい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを大きくする。
また、図16(B)及び(D)に示すように、インデツクス(1001)及び(1011)の時間方向のビツトがオンのときは、クラスタツプパターンを同一フイールド内に配置して時間方向の変化を大きく表現する。これに対して、図16(A)及び(C)に示すようにインデツクス(1000)及び(1010)の時間方向のビツトがオフのときは、異なるフイールド上にタツプを配置することにより、時間方向の変化を小さく表現する。
さらに、図17(C)及び(D)に示すインデツクス(1110)及び(1111)のクラスタツプパターンの左下がり方向の配置間隔を、図17(A)及び(B)に示すインデツクス(1100)及び(1101)のクラスタツプパターンの配置間隔に比して狭くすることにより、最大値である左下がり方向のラプラシアン値を大きく表現する。つまり、最大値である左下がり方向のラプラシアン値が大きい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを小さくし、最大値である左下がり方向のラプラシアン値が小さい程、クラスタツプパターンの空間の広がりを大きくする。
また図17(B)及び(D)に示すように、インデツクス(1101)及び(1111)の時間方向のビツトがオンのときは、クラスタツプパターンを同一フイールド内に配置して時間方向の変化を大きく表現する。これに対して、図17(A)及び(C)に示すようにインデツクス(1100)及び(1110)の時間方向のビツトがオフのときは、異なるフイールド上にタツプを配置することにより、時間方向の変化を小さく表現する。
このように、クラスタツプパターンは、空間方向において、変化の大きい方向(ラプラシアン値の大きい方向)にクラスタツプが存在し、ラプラシアン値の最大値が大きい程、タツプの空間の広がりが小さくなるように設定される。さらに、時間方向のラプラシアン値が大きいとタツプパターンが同一フイールド内のタツプから構成され、時間方向のラプラシアン値が小さいとタツプパターンが異なるフイールド上(例えば、フレーム)のタツプから構成されるように設定する。
以上の構成において、上述した第6の実施例のアツプコンバータ50及びそのアツプコンバータ50の各部の動作について説明する。
まず、SD画像信号S1 が初段のクラス分類部50Aに入力されると、ラプラシアンフイルタ51A〜51Dによつて空間内の異なる複数のレベル方向に対してラプラシアンフイルタがかけられる。この結果として得られるラプラシアン値L0〜L3は、絶対値化回路52A〜52Dによつてそれぞれ絶対値化され、絶対値a0〜a3として出力される。
そして、絶対値a0〜a3が、最大値検出器53に送出され、その供給されたラプラシアン値の絶対値の中から最大値を求める。このとき、ラプラシアン値の絶対値の最大値がどの方向のラプラシアン(L10)であるかによつて、入力画像信号の空間内のエツジの方向が検出される。そして、この検出された最大値の方向を示す値(最大値検出方向値)a10を2ビツトで表現する。さらに、最大値を閾値処理することにより、入力SD画像信号S1の平坦度を表すことができ、その平坦度を表す値(平坦度値)L10 を1ビツトで表現する。
また、ラプラシアンフイルタ51Eによつて時間方向に対してのラプラシアン値L4が得られる。そのラプラシアン値L4が、絶対値化回路52Eによつて絶対値化され、絶対値a4として出力される。そして、その絶対値a4が、比較回路によつて閾値TH1を用いて閾値処理されることにより、時間方向の変化を表す値(時間方向変化値)a11として出力される。こうして入力SD画像信号S1 の信号特性の大まかな特徴を捉えることができる。
クラス分類部50Aは、2ビツトの最大値検出方向値a10、1ビツトの平坦度値L10及び1ビツトの時間方向変化値a11からなる4ビツトの制御信号CTを次段のクラス分類部50Bへ送出する。
次段のクラス分類部50Bは、4ビツトの制御信号CTに対応するインデツクス(I0〜I3)に基づいて空間クラスタツプパターンを設定する。すなわち、クラス分類部50Bは、制御信号CTに応じてセレクタ55A〜55Iを切り替え、レジスタアレイ57を通じて得られる入力SD画像信号S1に対するクラスタツプパターンを選択して、ADRCクラス分類部58に送出する。これにより、入力SD画像信号S1のアクテイビテイを反映したクラスタツプパターンに基づいた精度の高いクラス分類が成し得る。
また、レジスタアレイ57からSD画像信号S1 は、次段の予測値演算部50Cに送出される。予測タツプパターン部60において、予測演算部61で制御信号CT及びADRCコードcに応じて予測係数RAM59から読み出される予測係数と予測演算を実行するための予測タツプパターンが設定され、その設定された予測タツプパターンが予測演算部61に送出される。そして、予測演算部61において、制御信号CT及びADRCコードcに応じて予測係数RAM59から読み出された予測係数と予測タツプパターン部60からの予測タツプパターンを用いて、線形一次結合により予測演算処理が実行され、HD補間画素として出力される。
以上の構成によれば、初段のクラス分類部50Aのラプラシアンフイルタ51A〜51Eにおいて、複数の方向の1次元ラプラシアン処理を行い、それらの値を総合的に判断することにより初段のクラス分類を実行し、初段のクラス分類部50Aの分類結果に応じて、次段のクラス分類部50Bのクラスタツプパターンを設定した後、次段のクラス分類部50Bは、このクラスタツプパターンを用いて、クラス分類を実行するようにしたことにより入力SD画像信号S1のアクテイビテイ特性を反映した精度の高いクラス分類が成し得、かくして上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(7)第7実施例
図11との対応部分に同一符号を付した図18は、第7実施例によるアツプコンバータ65を示している。第7実施例では、第6実施例と同様に、初段のクラス分類部50Aのラプラシアンフイルタ51A〜51Eを用いた初段のクラス分類結果に応じて、次段のクラス分類部50Bのクラス分類のためのクラスタツプパターンを設定し、このクラスタツプパターンをもとにして次段のクラス分類を行うことにより、2段階でクラス分類を実行する。
図18を用いて、第7実施例のアツプコンバータ65の構成を説明する。入力端INから入力されるSD画像信号S1 は、クラス分類部65Aに供給される。そして、クラス分類部65Aに供給されたSD画像信号S1は、ラプラシアンフイルタ51A〜51E及び遅延部56Aにそれぞれ供給される。
5種類のラプラシアンフイルタ51A〜51Eは、供給されたSD画像信号S1のフレーム毎又はフイールド毎のブロツク単位の入力SD画像信号S1に対して、各フイルタ毎に異なつた方向にラプラシアン処理を施し、ラプラシアン値LO〜L4を出力する。これらのラプラシアンフイルタ51A〜51Eは、図11の第6実施例のアツプコンバータ50で使用されたラプラシアンフイルタと同一のものを使用する。そのラプラシアン値L0〜L4は、次段の量子化器66A〜66Eにそれぞれ送出される。
量子化器66A〜66Eは、各ラプラシアンL0〜L4を絶対値化した後、非線形の量子化を実行して、量子化値q0〜q4を出力する。例えば、量子化器66A〜66Eは、量子化によつて、入力SD画像信号S1を0、+1の2種類の量子化値q0〜q4に変換すると、全部で32(25)通りのクラスに分類することができる。つまり絶対値が小さい場合には、0を、絶対値が大きい場合には、1を割り当てるように量子化する。そして量子化値q0〜q4は、合成部67に送出され、合成部67は、量子化値q0〜q4を合成して5ビツトのクラスコードを生成し、初段のクラス分類を表す制御信号CTとしてこれを次段のクラス分類部65Bへ送出する。
クラス分類部65Bは、第6実施例と同様に、制御信号CTに基づいてセレクタ55A〜55Iを切り替え、レジスタ57を通じて送出されてくるSD画素による9画素のタツプパターンを選択する。セレクタ55A〜55Iによつて選択された9画素のタツプパターンが、1ビツトADRCクラス分類部58に送出され、1ビツトADRCクラス分類部58は、入力されたクラスタツプパターンに対してADRCを実行することにより、512(29)通りのクラスコードを発生するために第2段のクラス分類を実行する。これにより初段のクラス分類部65Aのクラスと次段のクラス分類部65Bのクラスとを掛け合わせた16384通りのクラスが成し得る。
ADRCクラス分類部65は、9ビツトのクラスコードを生成し、遅延回路56Bを介して供給された初段のクラスコードとともに、予測値演算部65Cに供給される。
演算部65Cは、上述した第6実施例と同様であるため、説明は、省略する。また初段のクラス分類部65Aからの制御信号CTに対応するクラス分類部65Bで使用されるクラスタツプパターンについては、図示を省略する。しかしながら、クラスタツプパターンとして、ラプラシアン値が大きい程、タツプパターンの空間の広がりが小さくなり、ラプラシアン値が大きい方向にタツプが広がるようなタツプパターンが設定される。また時間方向のラプラシアン値が大きいとタツプパターンが同一フイールド内のタツプから構成され、時間方向のラプラシアン値が小さいとタツプパターンが異なるフイールド上(例えば、フレーム)のタツプから構成されるようなタツプパターンが設定される。
以上の構成によれば、上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
(8)第8実施例
図1及び図2との対応する部分に同一符号を付して示す図19は、第8の実施例によるアツプコンバータのクラス分類部70を示す。入力端INから入力されるSD画像信号S1 は、ADRCクラス分類部71及び複数のクラスタツプ選択部72(72A〜72G)に並列に送出される。ADRCクラス分類部71は、入力SD画像信号S1 から注目SD画素に対する周辺の4画素を用いたADRCによる画素レベル分布のパターンに応じてクラス分類を実行し、その結果として得られるADRCコードcを選択部73に送出する。一方、選択部73には入力SD画像信号S1 の信号特性に応じた空間クラスタツプパターンを設定するクラスタツプ選択部72A〜72Gより空間クラスとして分類された各タツプパターンが送出される。
すなわち、各クラスタツプ選択部72A〜72Gでは、図20及び図21に示すように、注目画素に対する周辺の4画素について1ビツトADRCを施した結果得られた各ADRCコードcによるレベル分布(73A、73B、74A、74B、75A、75B、76A、76B、77A、77B、78A、78B、79A、79B、80A、80B)に対して、それぞれの信号特性を表すためのクラスタツプパターン(81、82、83、84、85、86、87)が対応付けられて設定される。
例えば、ADRCコードcによるレベル分布73A及び73Bのそれぞれについては、右下斜め方向(向かつて左上端から右下端の対角線方向)にレベル分布の特徴が見られる。よつて、画像のエツジがその方向にあると考えられるので、右下がりの斜め方向のクラスタツプパターン81を対応させる。同様にして、ADRCコードcによるレベル分布74A及び74Bのそれぞれについては、左下斜め方向(向かつて右上端から左下端の対角線方向)にレベル分布の特徴が見られるので、左下がりの斜め方向のクラスタツプパターン82を対応させる。
また、ADRCコードcによるレベル分布75A及び75B、76A及び76Bのそれぞれについては、左側と右側に偏つたレベル分布の特徴が見られるので、それぞれ左側と右側に偏つた予測タツプを集めたクラスタツプパターン83及び84をそれぞれ対応させる。
さらに、ADRCコードcによるレベル分布77A及び77B、78A及び78Bのそれぞれについては、上側と下側に偏つたタツプのレベル分布の特徴が見られるので、それぞれ上側と下側に偏つたクラスタツプを集めたクラスタツプパターン85及び86をそれぞれ対応させる。さらに、ADRCコードcによるレベル分布79A及び79B及びレベル分布80A、80Bのそれぞれについては、定常的なレベル分布の特徴が見られるので、全てのクラスタツプを用いたクラスタツプパターン87を対応させる。
これにより、クラスタツプ選択部72A〜72Gにおいて設定されたクラスタツプパターンが、選択部73においてADRCコードcに応じて選択され、その選択されたクラスタツプパターンP10が、次段のADRCクラス分類部26に送出される。ADRCクラス分類部26は、選択されたクラスタツプパターンP10によつてSD画像信号S1に対して1ビツトADRCを施し、その結果として得られるADRCコードd0を予測係数を読み出すためのアドレスデータとしての予測係数ROM14に送出する。
以上の構成において、第8実施例のアツプコンバータのクラス分類部70の動作について説明する。
まず入力SD画像信号S1が、初段のADRCクラス分類部71に供給され、初段のADRCクラス分類部71において、注目画素に対する周辺画素の4画素による1ビツトADRCを実行することにより、クラスコードcが発生される。
また、入力SD画像信号S1 は、クラスタツプ選択部72A〜72Gにおいて信号特性を反映した異なる複数のクラスタツプパターン81〜87に分類される。
そして初段のADRCクラス分類部71からのクラスコードcによつて、その複数のクラスタツプパターン81〜87から1つのクラスタツプパターンP10 が選択され、次段のADRCクラス分類部26に送出される。ADRCクラス分類部26は、選択されたクラスタツプパターンP10を形成する入力SD画像信号S1 を1ビツトADRCを実行することにより、クラスコードd0を生成し、アドレスデータとして後段の予測係数ROM14に送出する。
以上の構成によれば、予測係数を選択するためのアドレスデータを生成する際、第1段のADRCクラス分類部71によつて検出された入力SD画像信号S1の空間アクテイビテイに応じて、クラスタツプパターンを選択する。そして、選択されたクラスタツプパターンP10を用いて、第2段のADRCクラス分類26を実行することによつて、空間アクテイビテイを反映したクラスコードd0を生成することができ、かくして上述した第1実施例と同様の効果を得ることができる。
また以上の構成によれば、予測演算に用いる予測タツプパターンを空間アクテイビテイに応じて変えることによつて、予測タツプが少なくないときの演算処理を短縮し得る。
なお、第1実施例のように、第1段のADRCクラス分類部71からの出力信号に基づいて、第2段のADRCクラス分類部26の量子化ビツト数を切り換えるようにしてもよい。
(9)第9実施例
図22は、第9実施例によるアツプコンバータ90を示している。このアツプコンバータ90は、初段のクラス分類部において、1ビツトADRCによる空間内アクテイビテイの大まかなクラス分類を実行し、次段のクラス分類部でより詳細な多ビツトADRCを実行する。
アツプコンバータ90において、入力端INを通じて入力されるSD画像信号S1 は、初段ブロツク91、遅延回路97及び101にそれぞれ送出される。初段ブロツク91は、図23に示すように、現フレーム又はフイールドにおける注目画素データ(図中◎で示す)を中心とするn×m画素(例えば、図中5×5画素)にブロツク化し、その結果として得られるブロツクデータb1を1ビツトADRCクラス分類部92に送出する。
1ビツトADRCクラス分類部92は、5×5画素のブロツクデータb1に対して1ビツトADRC処理を実行し、この結果として得られるADRCコードc10を遅延回路93Aを通じてタイミングを調整してROM94に送出する。さらに、1ビツトADRCクラス分類部92は、計算時に算出したダイナミツクレンジDRを比較回路95に送出する。1ビツトADRCクラス分類部92は、このとき、同時に、ダイナミツクレンジDR及び画素最小レベルMINを多ビツトADRCクラス分類部96に送出する。
ここで、比較回路95は、ダイナミツクレンジDRを閾値THと比較して得られる比較結果CRを遅延回路93Bを通じてROM94に送出する。そして、この比較結果CRをもとに、ダイナミツクレンジDRが閾値THに比して小さい場合(CR=0)は、多ビツトADRCクラス分類部96によるクラス分類は実行されない。これに対して、ダイナミツクレンジDRが閾値THに比して大きい場合(CR=1)は、多ビツトADRCクラス分類部96によるクラス分類を実行する。しかしながら、この実施例の場合、多ビツトADRCクラス分類部96は常時実行されている。
したがつて、後段のROM94において、多ビツトADRCクラス分類部96からのADRCコードc11を無視することにより、多ビツトADRCクラス分類部を実行しないようにみなしている。また、もし、多ビツトADRCクラス分類部96を実行させないようにするためには、図22の点線で示すように、比較結果CRを多ビツトADRCクラス分類部96に供給し、多ビツトADRCクラス分類部96を実行させないように制御すればよい。
一方、入力端INより遅延回路97を通じて遅延することによつてタイミング調整したSD画像信号S1 は、次段ブロツク98に供給され、次段ブロツク98において、図23に示すように、例えば、注目画素を含む3×3画素からなる9画素のブロツクデータb2が設定され、多ビツトクラス分類部96に送出される。多ビツトADRCクラス分類部96は、1ビツトADRCクラス分類部92で算出されたダイナミツクレンジDR及び画素最小レベルMINを用いてブロツクデータb2をクラス分類し、この結果として得られるADRCコードc11をROM94に送出する。
図24に示すように、1ビツトADRCクラス分類部92のクラス分類結果として得られるADRCコードc10と多ビツトADRCクラス分類部96のクラス分類結果として得られるADRCコードc11とによるクラス分類に応じた階層的な構造を持つたクラスコードd0のテーブルが予め学習によつて求められ、ROM94に格納されている。クラス分類部90は、比較結果CRをもとに1ビツトADRCクラス分類部92及び多ビツトADRCクラス分類部96のクラス分類によつて得られるADRCコードc10及びc11に応じてクラスコードd0を読み出して、後段の予測係数RAM99に送出する。この予測係数RAM99にも、予め学習によつて求められ、階層化されたクラスコードd0に応じて予測係数が登録されている。
予測係数RAM99からは、クラスコードd0をアドレスデータとして逐次、予測係数群が読み出され、SD画像信号S1 と積和演算することによりHD補間画素を演算する予測演算部100に送出される。一方、予測演算部100には、遅延回路101を通じて遅延されたSD画像信号S1が予測タツプ設定部102に供給され、予測タツプパターン設定部102は、予測演算部100によつて使用される図25に示すような予測タツプパターンを予測演算部100に送出する。予測タツプ設定部102では、図25に示すような予測タツプパターンを用いて補間画素を生成する。これにより、予測演算部100において、SD画像信号S1に対応した予測係数群との間で線形予測演算が実行され、補間画素が生成される。
以上の構成において、第9実施例のアツプコンバータ90及びそのアツプコンバータ90の各部の動作について説明する。
まずアツプコンバータ90の初段ブロツク91に入力されたSD画像信号S1は、注目SD画素を中心とする5×5画素のブロツク単位で抽出され、1ビツトADRCクラス分類部92においてクラス分類される。そして、1ビツトADRCクラス分類部92より出力されるダイナミツクレンジDRを比較回路95において所定の閾値THを用いて閾値処理する。
このとき、閾値THに比してダイナミツクレンジDRが大きい場合は、多ビツトADRCクラス分類部96のクラス分類を実行して、1ビツトADRCクラス分類部92及び多ビツトADRCクラス分類部96のクラス分類結果をもとにしてROM94からクラスコードd0を読み出す。これに対して、ダイナミツクレンジDRが閾値THに比して小さい場合は、多ビツトADRCクラス分類部96のクラス分類を実行せずに、1ビツトADRCクラス分類部92のクラス分類結果のみによつてROM94からクラスコードを読み出す。
このようにして、1ビツトADRCクラス分類部92及び/又は多ビツトADRCクラス分類部96のクラス分類の結果に応じて、クラスコードd0がROM94より読み出され、アドレスデータとして予測係数RAM99に送出される。このように、初段で粗く空間内アクテイビテイを評価し、次段で空間内アクテイビテイに応じた精細なクラス分類を実行することによつて、入力SD画像信号S1の空間内アクテイビテイの特性を反映した適切なクラス分類が実行し得る。
予測係数RAM99は、クラスコードd0に応じて予測係数を読み出し、予測演算部100に送出する。予測演算部100は、予測タツプパターン設定部102において選択された予測タツプパターンに対して上述した予測係数を用いて予測演算を施すことにより、HD補間画素を生成して出力する。
以上の構成によれば、初段で粗く、次段で細かくクラス分類することによつて、初段で捉えた入力SD画像信号S1 の信号特性に応じて、次段でより適切に細分化されたクラス分類が実行し得る。これにより、上述した実施例と同様の効果が得られ、さらに、クラス分類が初段のみで終了した場合、クラス分類の処理を短縮し得る。
(10)他の実施例
なお、上述の実施例においては、入力画像信号のデータ圧縮によるクラス分類法としてADRCクラス分類法を用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばDPCM(Differential Pulse Code Modulation)やVQ(Vector Quantization)やMSB(Most Significant Bit)を用いる手法や2値化又は離散余弦変換(DCT)等の手法を用いてデータ圧縮することにより、クラス分類を行うようにしても良い。
また上述の実施例においては、クラス分類部12において2段階又は3段階に亘つたクラス分類法を実行した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、初段の大まかなクラス分類に続いて順次、適応性を上げるようにすれば、さらに多段のクラス分類を実行するようにしても良い。これにより、より精度の高いクラス分類が成し得る。
さらに、上述の実施例においては、アツプコンバータとして2次元ノンセパラブルフイルタを用いた場合について述べたが、本発明はこれに限らず、図1との対応部分に同一符号を付した図26に示すような垂直/水平セパラブルのフイルタ構成でなるアツプコンバータ110を用いても良い。
このアツプコンバータ110においては、まず、入力端子INを通じて入力されたSD信号S1 が、クラス分類部12と予測演算部111にそれぞれ供給される。予測演算部111は、走査線の位置mode1、mode2に対応する垂直予測演算部111A及び水平予測演算部111Bと走査線の位置mode3、mode4に対応する垂直予測演算部111C及び水平予測演算部111Dの2種類に分かれる。クラス分類部12では、上述した実施例のクラス分類部を適応することにより、入力SD信号S1に応じたクラスコードd0が生成され、タツプ予測係数を予め記憶している記憶手段である予測係数ROM112に送出する。予測係数ROM112は、タツプ予測係数の垂直成分と水平成分を記憶する垂直係数ROM112Aと水平係数ROM112Bとに分かれている。クラスコードd0は、垂直係数ROM112Aと水平係数ROM112Bのそれぞれに供給される。
まず、垂直係数ROM112Aより出力される垂直予測係数d6は、垂直予測演算部111A及び111Cに供給される。そして、垂直予測演算部111A及び111Cは、入力SD信号S1 と垂直予測係数d6による積和演算により垂直推定値d7、d8を生成する。この垂直推定値d7、d8は、次段の水平予測演算部111B及び111Dに供給される。
水平係数ROM112Bより生成される水平予測係数d9は、水平予測演算部111B及び111Dに供給される。そして、水平予測演算部111B及び111Dは、垂直推定値d7、d8と水平予測係数d9との積和演算によりHD画素d10、d11信号を生成する。このHD画素d10、d11信号は、選択部に供給され、選択部15において適切な並び替えにより出力端OUT より最終的な出力であるHD信号S2 が出力される。
さらに上述の実施例においては、HD注目画素と注目画素周辺の伝送画素との相関関係を表す予測係数を用いてSD画素から注目画素周辺のHD画素を生成した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、予測係数に代えて各クラス毎のHD補間画素の予測値を予め設定して記憶手段に格納するようにしても良い。予測値によるSD画像信号のHD画像信号への信号変換は、図1との対応部分に同符号を付した、図27に示すようなアツプコンバータ115を用いる。
このアツプコンバータ115には、入力端INを通じてクラス分類部12にSD画像信号S1が送出される。このクラス分類部12は、新たに生成する補間画素であるHD補間画素周辺のSD画素の特徴に基づいてクラスコードd0を生成して予測値ROM116A〜116Dに送出する。予測値ROM116A〜116Dには、予め学習により求めておいたHD補間画素の予測データである予測値が各クラス毎にクラスコードd0に対応付けされて格納してある。予測値ROM116は、クラスコードd0をアドレスデータとしてHD補間画素の予測値d20〜d23を読み出し、選択部15を通じて出力端OUTより出力する。これにより予測値d20〜d23を入力画像SD信号S1の信号画素のHD補間画素とした高解像度の画像信号を得ることができる。
ここで、予測値を求める第1の方法としては加重平均法を用いた学習法がある。加重平均法は、注目画素周辺のSD画素を用いて注目画素をクラス分類し、クラス毎に積算した注目画素(すなわちHD画素)の画素値を注目画素の個数に応じてインクリメントされた度数によつて割り算するといつた処理を様々な画像に対して行うことにより予測値を求める。
さらに予測係数を求める第2の方法としては、正規化による学習法がある。この学習法は、先ず注目画素を含む複数の画素からなるブロツクを形成し、ブロツク内のダイナミツクレンジによつて注目画素の画素値からそのブロツクの基準値を減算した値を正規化する。次に、この正規化された値の累積値を累積度数で割り算することにより予測値を得る。
さらに、上述した実施例においては、入力されたSD画像信号の空間アクテイビテイを評価し、その評価結果に基づいて、クラス分類を実行するためのタツプパターンを選択するようにしたが、本発明はこれに限らず、入力されたSD画像信号の空間アクテイビテイを評価し、その評価結果に基づいて、予測演算部で予測係数と線形一次結合により演算される予測タツプパターンを選択するようにしてもよい。この場合、例えば、図11のクラス分類部50Aからの制御信号CTが、演算部50Cの予測タツプパターン部60に供給されることになる。
さらに、上述した実施例においては、初段のクラス分類部からのクラスコードと次段のクラス分類部からのクラスコードの両方に基づいて、予測係数メモリの予測係数を読み出すようになされているが、本発明はこれに限らず、初段のクラス分類部からのクラスコードと次段のクラス分類部からのクラスコードのうちどちらか一方のクラスコードを用いて予測係数メモリの予測係数を読み出すような構成にしてもよい。
さらに、上述の実施例においては、SD画像信号をHD画像信号に信号変換した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、画像拡大する際の補間画素を生成するのに用いても良い。さらに、NTSC方式の信号をPAL(Phase Alternation by Line が語源)方式の信号に変換するコンバータ等の画素数の少ない信号をより画素数の多い信号に変換する信号変換装置に適用してもよい。さらに、元の信号に対してより高精度の信号を生成するようなYC分離器などに適用してもよい。
なお、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、様々な変形や応用例が考えうる。したがつて、本発明の要旨は、実施例に限定されるものではない。
1……HD画像、2、3……補間フイルタ、4A〜4D……2次元フイルタ、5、8、15、73……選択部、6A、6B……垂直補間フイルタ、7A、7B……水平補間フイルタ、10、50、65、90、110、115……アツプコンバータ、12……クラス分類部、13、100……予測演算部、14……予測係数ROM、21、35……アクテイビテイ分類部、22……広領域タツプ選択部、23……標準タツプ選択部、24……狭領域タツプ選択部、26、36、58、71……ADRCクラス分類部、31、38……閾値判定部、51A〜51E……ラプラシアンフイルタ、52A〜52E……絶対値回路、53……最大値検出器、54……比較器、55A〜55I……セレクタ、56A、56B、93A、93B、97……遅延回路、57……レジスタアレイ、59、99……予測係数RAM、66A〜66E……量子化器、72A〜72G……クラスタツプ選択部。