JPH10130884A - 耐熱性陽極酸化皮膜の処理方法 - Google Patents

耐熱性陽極酸化皮膜の処理方法

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JPH10130884A
JPH10130884A JP30107596A JP30107596A JPH10130884A JP H10130884 A JPH10130884 A JP H10130884A JP 30107596 A JP30107596 A JP 30107596A JP 30107596 A JP30107596 A JP 30107596A JP H10130884 A JPH10130884 A JP H10130884A
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JP
Japan
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treatment
sealing
cracks
aluminum
anodically oxidized
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JP30107596A
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English (en)
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Yasuo Higashihara
安男 東原
Takamasa Iwasa
剛政 岩佐
Isao Ichihara
功 市原
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NAGAYAMA KOGYOSHO KK
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NAGAYAMA KOGYOSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 埃等の付着をなくしながら、長時間の経過後
に高温加熱処理してもクラックの発生を阻止できる耐熱
性陽極酸化皮膜の処理方法を提供する。 【解決手段】 陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウム
(その合金も含む)を第1工程として半封孔処理し、こ
の後第2工程として室温以上の温度で乾燥し、次いで第
3工程として外気と遮断状態で封入処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム又は
その合金(以下アルミニウムと略称する)に施した陽極
酸化皮膜の表面に焼付塗装等を行う場合に、埃や手垢等
が付着することなく、また、長時間の経過後に高温加熱
処理してもクラックが発生しない耐熱性陽極酸化皮膜の
処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、アルミニウム製品においては、
アルミニウムに陽極酸化皮膜を形成した後、この皮膜を
封孔処理し、又は封孔処理することなく、皮膜の表面を
後処理することが行われている。例えば、アルミニウム
製建築材のうち長尺型材等の場合は、皮膜を封孔処理す
ることなく未封孔状態のままで、電気泳動手段により塗
料分子を皮膜に付着させて焼付処理する。また、塗装手
段として吹付方法も多く用いられ、この場合は、皮膜の
形成後に封孔処理を施して吹付塗装する。更に、複写機
やファクシミリ及びレーザープリンタの感光ドラムなど
として用いる場合は、皮膜の形成後に封孔処理を施し、
その表面に下地層や電荷発生層など複数の塗膜層を焼付
塗装する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】所で、以上のように、
陽極酸化皮膜に封孔処理を施さない場合は、後処理に移
行するとき大気中の埃などが皮膜に付着し易く、また、
取扱い時に作業者の手垢等も付着し易い。これら埃や手
垢などは、一旦付着すると容易には除去することができ
ないので、不良品となる。また、付着を気付かずに製品
化すると、特に感光ドラム等の場合には、埃等が感光紙
面上に汚れとなって表出するので影響が大きい。従っ
て、取扱に細心の注意を必要として作業性が悪い。
【0004】一方、封孔処理を施す場合は、焼付塗装等
を行うとき、皮膜にクラックが発生する。このとき、加
熱温度を高くすればする程塗装時の作業効率は向上する
が、皮膜にクラックが発生し易くなる。特に感光ドラム
等の場合、120〜150℃の高温で焼付塗装すると、
塗膜層の強度や耐久性を高めることができるが、このよ
うな高温下で焼付塗装するとクラックが発生してしま
う。また、感光ドラム等を外国に出荷するような場合
で、封孔処理してから長時間経過した後、焼付塗装を行
うときにもクラックが発生する。
【0005】そこで、上記各種問題を解決しようとして
研究を重ねた結果、次のことが判明した。先ず、クラッ
クの発生と陽極酸化皮膜の封孔度つまりアドミッタンス
値との間には重要な関係があり、アドミッタンス値を一
定範囲とすることによりクラックの発生を阻止できる。
【0006】即ち、Al素地と、その表面に施された陽
極酸化皮膜Al2 3 とは、加熱時の伸び率がそれぞれ
異なる。このとき、Al2 3 のポア全体が、封孔処理
により形成される二酸化アルミニウム水和物Al2 3
・H2 Oで閉鎖されると、ポアによる伸び率の差を吸収
できなくなってクラックが発生する。しかし、半封孔処
理によりアドミッタンス値を一定範囲とすれば、ポアの
全体がAl2 3 ・H2 Oで閉鎖されてしまうことな
く、ポア一部が開口状態に保持されるので、このポアに
よりAlとAl2 3 との伸び率の差を吸収できて、ク
ラックの発生を阻止できる。ここで、半封孔処理とは、
未封孔及び完全封孔処理を含まない中間処理状態を言
う。
【0007】また、たとえ以上のように半封孔処理して
も皮膜を放置しておくと、大気中の水分により封孔状態
が進行し、つまりAl2 3 ・H2 Oが成長してアドミ
ッタンス値が低下し、クラックの発生原因となる。さら
に、皮膜をある程度封孔処理しておけば、埃等の付着を
激減させることができる。尚、最近、アドミッタンス値
を調整することにより、高温加熱時のクラックの発生を
防止するようにした感光ドラムが提案された(特開平7
ー295266号公報)。しかし、この公報のもので
は、アドミッタンス値をたとえ半封孔処理状態に調整し
たとしても、経時的にAl2 3 ・H2 Oが成長するの
で、半封孔処理してから長時間経過後に高温加熱を行う
場合、クラックの発生は避けられず、特に、外国への出
荷時等に問題が生じる。また、アドミッタンス値が未封
孔状態のものも含むため、たとえクラックの発生を阻止
できたとしても、作業時に埃や手垢などが付着し易くな
って不良品の発生率が高くなる。
【0008】本発明は以上の点に着目してなしたもの
で、その目的は、アドミッタンス値が一定範囲となるよ
うに半封孔処理し、かつ、封孔状態の進行を抑制するこ
とにより、埃等の付着をなくしながら、長時間の経過後
に高温加熱処理してもクラックの発生を阻止できるよう
にすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、陽極酸化皮膜が形成されたアルミニウ
ム(その合金も含む)を第1工程として半封孔処理し、
この後第2工程として室温以上の温度で乾燥し、次いで
第3工程として外気と遮断状態で封入処理するようにし
ている。
【0010】先ず、第1工程で、陽極酸化皮膜Al2
3 を半封孔処理することにより、そのポアの全体が二酸
化アルミニウム水和物Al2 3 ・H2 Oで閉鎖されて
しまうことなく、ポア一部が開口状態に保持される。そ
して、このポアがAlとAl2 3 との伸び率の差を吸
収することになるので、高温加熱処理するときのクラッ
クの発生が阻止される。また、Al2 3 ・H2 Oによ
り埃等の付着もなくなって、次工程に移行するときの作
業性が高められる。尚、陽極酸化処理用の電解浴として
は、既知の硫酸、蓚酸、これらの混合浴等が用いられ
る。
【0011】このとき、アドミッタンス値が11〜69
0μS(マイクロシーメンス)の範囲となるように半封
孔処理することが好ましい。その理由は、アドミッタン
ス値が11μS以下の場合、完全封孔に近い状態となっ
てクラックの発生を招き易くなり、また、690μS以
上の場合には、未封孔に近い状態となって埃等が付着し
易くなるからである。特に、アドミッタンス値は20〜
500μSの範囲とすることが好ましい。この範囲とす
る場合は、120〜160℃程度の高温で加熱処理して
もクラックの発生が阻止され、また、高温加熱により処
理時間が短縮されて作業効率も高められる。
【0012】また、第1工程での半封孔処理は、既知の
封孔処理手段により行われる。例えば高温の蒸気、高温
の純水、純水に無金属封孔剤を添加した水溶液、酢酸ニ
ッケルなどの封孔助剤を添加した高温の水溶液などを用
いて行われる。
【0013】次に、第2工程において室温以上の温度で
半封孔処理面が乾燥される。即ち、第1工程で処理され
た皮膜を放置すると、その表面に付着した水分により封
孔状態が進行し、つまりAl2 3 ・H2 Oが新たに生
成されてアドミッタンス値が低下することになるので、
第2工程で皮膜の乾燥が行われる。
【0014】このとき、埃などが除去された清浄な空気
又はアルゴンガス等の不活性ガス中において、アルミニ
ウムを50〜120℃の温度で加熱乾燥させることが好
ましい。このようにすれば、皮膜の表面を迅速に乾燥で
きるので、アドミッタンス値の低下が防止され、また作
業性も高められる。また、この加熱乾燥によっても皮膜
にクラックが発生することはない。
【0015】そして、第3工程でアルミニウムを外気と
遮断状態で封入処理する。この封入処理により、大気中
の水分による封孔状態の進行が抑制されて、長時間経過
後に高温加熱処理する場合のクラックの発生が阻止され
る。この封入処理を行う場合は、水分を通過させない合
成樹脂などの容器又は袋を用い、その内部にシリカゲル
や生石灰等の乾燥剤と共にアルミニウムを封入すること
が望ましい。このようにすれば、封孔状態の進行を一層
良好に阻止できる。この点に関しては、後の実施例の項
で詳述する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる耐熱性陽極
酸化皮膜の処理方法を実施例を挙げて説明する。 実施例1 試験片として、5×10cmの平板状のアルミニウム合
金(6063S)を用いた。そして、この試験片を弱ア
ルカリ性の脱脂剤で脱脂洗浄した後、硝酸により中和処
理する。また、電解浴として濃度180g/lの硫酸液
を用い、この浴中において試験片を、浴温20℃、電流
密度1.0A/dm2 、電解時間25分の条件下で定電
流電解する。この結果、アルミニウムの表面に厚さ7.
0μmの陽極酸化皮膜が形成された。
【0017】次に、上記試験片の陽極酸化皮膜を半封孔
処理する。このとき、封孔処理液として、酢酸ニッケル
からなる封孔助剤を添加した水溶液を用い、この液中に
試験片を浸漬し、液温70℃、時間4分の条件下で半封
孔処理を行った。
【0018】そして、半封孔処理された試験片を熱風循
環方法により乾燥処理する。このとき、大気環境下で温
度80℃、5分間にわたって熱風循環を行った。
【0019】さらに、合成樹脂製の密閉容器(30×2
0×40cm)を用い、その内部にシリカゲル50gと
共に半封孔処理した試験片を封入した。
【0020】この後、陽極酸化皮膜のアドミッタンス値
の経時的変化(4Hr〜30日間)を測定し、また、1
20〜160℃の温度範囲で1時間にわたって加熱試験
を行ったときのクラックの発生状況を調べた。
【0021】実施例2 同実施例では、陽極酸化皮膜の半封孔処理条件を液温6
5℃とし、その他は実施例1の場合と同一条件としてい
る。
【0022】この実施例2についても、実施例1の場合
と同様に、陽極酸化皮膜のアドミッタンス値の経時的変
化と、加熱試験を行ったときのクラックの発生状況とを
調べた。
【0023】これら実施例1,2についての試験結果
は、図1の通りである。
【0024】比較例1 同比較例では、実施例1と同一条件で半封孔処理及び乾
燥処理が施された試験片を、封入処理することなく、大
気中に放置した。
【0025】比較例2 同比較例では、実施例2と同一条件で半封孔処理及び乾
燥処理が施された試験片を、封入処理することなく、大
気中に放置した。
【0026】これら比較例1,2についても、各実施例
の場合と同様に、陽極酸化皮膜のアドミッタンス値の経
時的変化と、加熱試験を行ったときのクラックの発生状
況とを調べた。その結果は、図2の通りである。図1,
2において、○印はクラックが発生しないことを、ま
た、×印はクラックの発生を示している。また、実施例
及び比較例についての加熱試験は、正確なクラック発生
状況を調べるため、2つのサンプルを用いて2回繰り返
して行っている。
【0027】上記実施例及び比較例のアドミッタンス値
(μS)は、アノテストYD測定器(独国、フィシャー
製)を用いて測定した。測定は、JIS H8683に
基づいて行った。
【0028】また、上記各実施例において、密閉容器内
にシリカゲルと共に試験片を封入したときの湿度(%)
の経時的変化は、図3の通りである。同図のように、容
器内の湿度は、長期間にわたって大気環境下での湿度よ
りも低く保持される。
【0029】そして、図1で明らかなように、実施例
1,2によるものは、4Hr〜30日間にわたる経時変
化があっても、アドミッタンス値の急激な低下が起こら
ない。また、120〜160℃の温度で加熱してもクラ
ックは発生しない。一方、比較例1,2によるものは、
図2で明らかなように、経時変化によるアドミッタンス
値の急激な低下が起こる。また、4日間程度経過したも
のでは、加熱試験の結果クラックの発生は認められない
ものの、10日間以上経過したものの加熱試験では、ク
ラックが発生する。
【0030】また、各実施例のように、容器内に乾燥剤
と共に半封孔処理されたアルミニウムを封入することに
より、その封孔状態の進行が確実に阻止される。即ち、
図4のAに示すように、アルミニウムのAl2 3 を半
封孔処理することにより、そのポアPの開口側にAl2
3 ・H2 Oが開口状態で形成される。そして、Al2
3 を封入することなく大気中に放置すると、大気中の
水分によりAl2 3・H2 Oが成長してポアPの開口
側を閉鎖し、アドミッタンス値の低下を招く。これに対
し、Al2 3 を乾燥剤と共に容器内に封入するときに
は、大気に対し遮断されることと、図3のように乾燥剤
が容器内の水分を吸着除去し、Al2 3 ・H2 Oの成
長を阻害することとが相俟って、図4のBに示すよう
に、容器内の水分一部によりAl2 3 ・H2 Oが若干
成長するものの、このAl2 3 ・H2 OがポアPの開
口側を閉鎖してしまうことなく、ポアPが開放状態に保
持される。従って、アドミッタンス値の低下を招くこと
なく、高温加熱時のクラックの発生が確実に阻止され
る。
【0031】以上の実施例においては、アルミニウム合
金を用いたが、純アルミニウムを用いる場合にも同様の
効果が得られる。また、本発明は、乾燥剤を用いること
を特定するものではなく、乾燥剤を用いることなくアル
ミニウムを密閉容器等に封入処理するだけでも、充分な
効果が得られる。
【0032】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、陽極酸
化皮膜への埃などの付着をなくしながら、長時間の経過
後に高温加熱処理してもクラックの発生を阻止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例による試験データを示す表で
ある。
【図2】各比較例による試験データを示す表である。
【図3】容器内に乾燥剤と共にアルミニウムを封入した
ときの湿度の経時的変化を示す表である。
【図4】本発明を説明するための模式図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極酸化皮膜が施されたアルミニウム又
    はその合金を半封孔処理する第1工程と、室温以上の温
    度で乾燥する第2工程と、外気と遮断状態で封入処理す
    る第3工程とからなる耐熱性陽極酸化皮膜の処理方法。
JP30107596A 1996-10-25 1996-10-25 耐熱性陽極酸化皮膜の処理方法 Pending JPH10130884A (ja)

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