JPH10130134A - 皮膚化粧料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】皮膚機能を亢進させ、老化皮膚改善効果（荒れ
肌改善効果、角質改善効果、美肌効果等）に優れた皮膚
化粧料を提供する。 【解決手段】表皮細胞角質化促進物質の一種以上と、表
皮細胞セラミド合成促進物質の一種以上とを含有するこ
とを特徴とする皮膚化粧料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、表皮細胞角質化促
進物質と表皮細胞セラミド合成促進物質とを含有するこ
とを特徴とする老化皮膚改善効果（荒れ肌改善効果、角
質改善効果、美肌効果等）に優れた皮膚化粧料に関す
る。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】皮膚
表皮における角質層は、皮膚の保湿能や、生体の物理的
保護を始めとする一連の生理的機能、すなわちバリヤー
機能を持つ。しかし、いわゆる荒れ肌などは、健全な角
質層の形成が妨げられていることが多い。更に、荒れ肌
は乾燥して滑らかさのない肌で、角質剥離現象が生じ易
い皮膚であること、また角質層の形態的・機能的不均一
性も知られている。そして、このような現象は、日常的
に多く見られると同時に、老化した皮膚にも荒れ肌が見
られる。

【０００３】このような、荒れ肌およびこれを伴う老化
皮膚の防止方法としては、皮膚の血行を促進することや
細胞自体を賦活化する事が考えられる。賦活化の方法と
しては、皮膚細胞の増殖、分化、物質の分泌、またその
他の細胞による間接的な生理作用の活発化などを検討し
ているが、未だ顕著な老化皮膚改善効果を発揮するまで
には至っていない。

【０００４】賦活化の方法の一例として、ジイソプロピ
ルアミンジクロロアセテート（以下、ＤＡＤＡと略す）
の使用が考えられている。ＤＡＤＡは、肝機能障害およ
び脳出血や高血圧などの症状改善剤としての効果がある
ことが知られており（平山千里ら、肝胆膵．第６巻、第
４号、６３７頁−６４５頁、１９８３年）、この効果を
利用した肝機能障害改善薬として、ＤＡＤＡとグルコン
酸カルシウム等量混合物のリバオールが市販（三共）さ
れている。また、ＤＡＤＡは、皮膚では末梢血流量を増
加させる効果のあることが知られている（武田克之、森
川俊宏、皮膚と泌尿、２５巻、６９頁−８２頁、１９６
３年）。この、皮膚に対する効果を利用して、これまで
皮膚化粧料（特開昭５３−１３６５２８号公報）として
使われているが、肌荒の改善、老化防止効果の点で、必
ずしも満足すべきものではない。

【０００５】また、カルシウムイオンを陽イオンとして
含む物質も、表皮細胞の角質化を促す物質として知られ
ている（Henningsら、Cell、１９巻、２４５頁、１９８
０年）が、肌荒の改善、老化防止効果の点から必ずしも
満足すべきものではない。

【０００６】更に、ニコチン酸とその誘導体も皮膚の血
行促進効果を持つことが、従来から知られているが（Br
itish Journal of Dermatology : J.S.C.ENGLISH etc.,
116,341-349,1987）、肌荒の改善、老化防止効果の点か
ら必ずしも満足すべきものではない。

【０００７】このように、単に、皮膚の血行を促進させ
るだけでは、それによって起こる皮膚内での変化が、健
全な角質層を形成させるという目的にかなった方向に必
ずしも働かず、また皮膚の血行を促進させるという間接
的な方法であることから、十分な効果を発揮することが
できなかった。また、表皮細胞の角質化を促すだけで
は、健全な角質層を形成させるには十分でなかった。

【０００８】本発明の目的は、老化皮膚改善効果（荒れ
肌改善効果、角質改善効果、美肌効果等）に優れた皮膚
化粧料を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
実情からみて鋭意研究を重ねた結果、皮膚表面の終末分
化である角質化を促進する物質と、角質細胞間脂質の主
成分であるセラミドの合成を促進する物質とを組合せて
用いることによって、より確実にしかもより総合的に表
皮細胞に働きかけることが可能となり、健全な角質層を
形成させ、顕著な老化皮膚改善効果を発揮する皮膚化粧
料が得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。

【００１０】すなわち、本発明の目的は、（１）表皮細
胞角質化促進物質の一種以上と、表皮細胞セラミド合成
促進物質の一種以上とを含有することを特徴とする皮膚
化粧料、（２）表皮細胞角質化促進物質が、カルシウム
イオンを陽イオンとして含む物質、ＤＡＤＡより選ばれ
る少なくとも一種である上記（１）記載の皮膚化粧料、
（３）表皮細胞セラミド合成促進物質が、ニコチン酸お
よびその誘導体より選ばれる一種以上である上記（１）
〜（２）記載の皮膚化粧料、（４）表皮細胞セラミド合
成促進物質が、ニコチニルアルコールおよびその塩より
選ばれる一種以上である上記（１）〜（２）記載の皮膚
化粧料によって達成される。

【００１１】

【発明の実施の形態】

【００１２】以下に、本発明の実施の形態を詳述する。

【００１３】本発明に用いられる表皮細胞角質化促進物
質としては、カルシウムイオンを陽イオンとして含む物
質、ＤＡＤＡ等を挙げることができる。ここで、カルシ
ウムイオンを陽イオンとして含む物質としては水酸化カ
ルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、乳酸
カルシウム、クエン酸カルシウム等を挙げることができ
る。

【００１４】本発明に用いられる表皮細胞角質化促進物
質の含有量は、本発明の皮膚化粧料の全重量中に、０．
００１〜５重量％（以下、単に％で示す）が好ましい。

【００１５】本発明に用いられる表皮細胞セラミド合成
促進物質として挙げられるニコチン酸およびその誘導体
としては、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、メチルニコ
チン酸、エチルニコチン酸、ベンジルニコチン酸、ニコ
チン酸トコフェロール、クエン酸ニカメタート等があ
る。また、ニコチニルアルコールおよびその塩として
は、ニコチニルアルコール、酒石酸ニコチニルアルコー
ル等がある。これらの物質が、表皮細胞のセラミド合成
を促進させることは、本発明者らが既に見出し提案した
（特願平７−１１６３６７号）。

【００１６】本発明に用いられる表皮細胞セラミド合成
促進物質の含有量は、本発明の皮膚化粧料の全重量中
に、０．００１〜１０％が好ましい。

【００１７】本発明の皮膚化粧料は、常法に従って、ロ
ーション類、乳液類、クリーム類、軟膏類、パック類、
パウダー類等の剤型にすることが可能である。また、本
発明の皮膚化粧料には、界面活性剤、保湿剤、pH調整
剤、増粘剤、殺菌剤、防腐剤、抗酸化剤、香料、色素、
紫外線吸収剤、顔料等を、本発明の目的を達成する範囲
内で適宜配合することができる。

【００１８】

【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳細に説
明する。配合量（％）は重量％を意味する。実施例に記
載の（１）荒れ肌改善効果試験、（２）角質改善効果試
験、（３）官能テスト（美肌効果試験）は下記の通りで
ある。

【００１９】（１）肌荒れ改善効果試験 下脚に荒れ肌を持つ中高年被験者２０名を対象として４
週間連続塗布効果を調べた。すなわち、被験者の左側下
脚試験部位に１日２回約１ｇの試料を塗布し、試験開始
前および終了後の皮膚の状態を下記の判定基準により判
定した。なお、右側下脚は試料を塗布せず対照とした。 ［皮膚乾燥の判定基準］ − ：正常 ± ：軽微乾燥、落屑なし ＋ ：乾燥、落屑軽度 ＋＋ ：乾燥、落屑中等度 ＋＋＋：乾燥、落屑顕著 試験前後の試験部位と対照部位の判定結果を比較し、皮
膚乾燥度が２段階以上改善された場合（例えば＋→−，
＋＋→±）を「有効」、１段階改善された場合を「やや
有効」、変化がなかった場合を「無効」とした。試験結
果は「有効」、「やや有効」となった被験者の人数で示
した。

【００２０】（２）角質改善（角質細胞の抗剥離性増
大）効果試験 前述の肌荒れ改善効果試験開始前および終了後の試験部
位にスコッチテープ（ニチバンメンディングテープ）を
接着し、これを剥離したときテープに付着した角質細胞
の状態を走査型電子顕微鏡によって詳細に調べ、下記の
判定基準によって皮膚角質層細胞の剥離性を分類し、角
質改善効果を求めた。 ［角質改善（角質細胞の抗剥離性増大）効果の判定基
準］ 評価点１：スケールを認めず。 評価点２：小スケール点在 評価点３：小〜中スケール顕著 評価点４：大スケール顕著 判定は４週間連続塗布後の試験部位の評価点と対照部位
のそれとの差が２点以上の場合を「有効」、１点の場合
を「やや有効」、０点の場合を「無効」とした。試験結
果は「有効」、「やや有効」となった被験者の人数で示
した。

【００２１】（３）官能テスト（美肌効果試験） 荒れ肌、小じわ、乾燥肌等を訴える女子被験者（３５〜
５５才）２０人に試料を１日２回（朝、夕）連続１ヶ月
間塗布して効果を評価した。試験結果は、皮膚の湿潤
性、平滑性、弾力性の各項目に対して、「皮膚に潤いが
生じた」，「皮膚が滑らかになった」，「皮膚に張りが
生じた」と回答した人数で示した。

【００２２】実施例１、比較例１〜２［スキンクリー
ム］ 表１の組成により、本発明および比較用のＯ／Ｗ乳化型
スキンクリームを調製し、前記諸試験を実施した。

【００２３】（１）組成

【００２４】

【表１】

【００２５】（２）調製法 成分（Ｃ）を約８０℃で均一に混合溶解し、予め約８０
℃で均一に混合溶解しておいた成分（Ａ）中に加えて乳
化した後、予め約５０℃で均一に混合溶解しておいた成
分（Ｂ）を添加し、約３０℃まで冷却して調製した。

【００２６】（３）結果 実施例１、比較例１〜２の諸試験結果を表２に示す。

【００２７】

【表２】

【００２８】表２から分る通り、比較例１〜２のスキン
クリームと比較して、実施例１の本発明のスキンクリー
ムは、諸試験の全てに亘って良好な結果を示した。

【００２９】実施例２、比較例３〜４［スキンミルク］ 表３の組成により、本発明および比較用のＷ／Ｏ乳化型
スキンミルクを調製し、前記諸試験を実施した。

【００３０】（１）組成

【００３１】

【表３】 ^* セチル・ジメチコン・コポリオール 〔ＴＨ．ＧＯＬＤＳＣＨＭＩＤＴ ＡＧ（独）製〕

【００３２】（２）調製法 （Ａ）、（Ｂ）成分各々を、約８０℃にて均一に溶解
し、攪拌下（Ｂ）成分を（Ａ）成分に加えて乳化分散し
た後、約３０℃まで冷却して調製した。

【００３３】（３）結果 実施例２、比較例３〜４の諸試験結果を表４に示す。

【００３４】

【表４】

【００３５】表４から分る通り、比較例３〜４のスキン
ミルクと比較して、実施例２の本発明のスキンミルク
は、諸試験の全てに亘って良好な結果を示した。

【００３６】実施例３［エッセンス］ 表５〜６の組成により、ローションとパウダーからなる
用時調製用の本発明のエッセンスを調製した。

【００３７】（１）組成および調製法

【００３８】

【表５】 ^**水酸化大豆リン脂質の５０％グリセリン溶液〔日光ケ
ミカル（株）〕

【００３９】各成分を混合溶解してローションを調製し
た。

【００４０】

【表６】

【００４１】各成分を分散混合してパウダーを調製し
た。

【００４２】（２）官能テスト（美肌効果試験） 前記の官能テストを実施した。すなわち、パネラーを二
群（各群２０人）に分け、一方の群（Ａ群）には実施例
３のエッセンスを使用時に１剤と２剤を適量混合して使
用させた。他方の群（Ｂ群）には、１剤のローションの
みを使用させた。

【００４３】（３）結果 その結果、「湿潤性」、「平滑性」、「弾力性」の各項
目とも、Ｂ群よりもＡ群の方が良好な評価が得られた。

【００４４】

【発明の効果】以上記載したように、本発明の皮膚化粧
料が、皮膚機能を亢進させ、老化皮膚改善効果（荒れ肌
改善効果、角質改善効果、美肌効果等）に優れているこ
とは明らかである。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表皮細胞角質化促進物質の一種以上と、
   表皮細胞セラミド合成促進物質の一種以上とを含有する
   ことを特徴とする皮膚化粧料。
2. 【請求項２】 表皮細胞角質化促進物質が、カルシウム
   イオンを陽イオンとして含む物質、ジイソプロピルアミ
   ンジクロロアセテートより選ばれる少なくとも一種であ
   る請求項１記載の皮膚化粧料。
3. 【請求項３】 表皮細胞セラミド合成促進物質が、ニコ
   チン酸およびその誘導体より選ばれる一種以上である請
   求項１または請求項２記載の皮膚化粧料。
4. 【請求項４】 表皮細胞セラミド合成促進物質が、ニコ
   チニルアルコールおよびその塩より選ばれる一種以上で
   ある請求項１または請求項２記載の皮膚化粧料。