JPH10120943A - 粉体塗料組成物 - Google Patents

粉体塗料組成物

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JPH10120943A
JPH10120943A JP27324096A JP27324096A JPH10120943A JP H10120943 A JPH10120943 A JP H10120943A JP 27324096 A JP27324096 A JP 27324096A JP 27324096 A JP27324096 A JP 27324096A JP H10120943 A JPH10120943 A JP H10120943A
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JP
Japan
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polyester resin
component
acid
powder coating
various
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JP27324096A
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English (en)
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Koichi Yamaguchi
浩一 山口
Hirobumi Takeda
博文 竹田
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 とりわけ、硬度ならびに機械的物性などに
も、さらには、新たに、耐ティッピング性などにも優れ
るという硬化塗膜を与えることの出来る、極めて実用性
の高い、粉体塗料組成物を提供するにある。 【解決手段】 70mgKOH/g以上の高水酸基価を
有するポリエステルと、上記ポリエステルよりも20以
上は低いという、比較的、低水酸基価を有するポリエス
テルと、ウレトジオン結合含有ポリイソシアネート系硬
化剤とを含有することから成る塗料を用いるということ
によって、叙上のような諸性能ないしは諸特性を、最大
限に発揮し得ることと為したものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の実施の形態】本発明は、新規にして有用なる粉
体塗料組成物に関する。さらに詳細には、本発明は、そ
れぞれ、特定の2種類の水酸基含有ポリエステル樹脂な
るベース樹脂成分と、特定のポリイソシアネート化合物
を硬化剤成分として含有することから成るか、あるい
は、それぞれ、特定の2種類の水酸基含有ポリエステル
樹脂なるベース樹脂成分と、特定のポリイソシアネート
化合物と、さらに、アミノプラストとを硬化剤成分とし
て含有することから成る、とりわけ、塗膜外観、硬度な
らびに機械的物性などや、新たに、耐チッピング性にも
優れた塗膜を与えることの出来る、極めて実用性の高い
粉体塗料組成物に関するし、さらには、自動車車両用塗
料としても好適な粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】有機溶剤を含有しない塗料の一形態とし
て、粉体塗料があるが、近年、大気汚染をはじめとする
環境問題などの観点より、その無公害性が注目され、使
用量や其の用途もまた、年々、増加している。斯かる粉
体塗料に使用されるバインダー樹脂の種類も亦、その用
途に応じて、種々の形の高分子化合物に及んでいる。
【0003】そのうちでも、塗膜外観、機械的物性ある
いは塗料の保存安定性などの性能の優れた粉体塗料とし
て、ポリエステル系粉体塗料が挙げられる。就中、代表
的なものとして、水酸基含有ポリエステル樹脂を主剤と
するという形のポリエステル系粉体塗料が挙げられ、現
在、広く用いられている。
【0004】しかしながら、近年は、更なる性能の向上
化が、あるいは上述した粉体塗料の新しい用途として
の、特に自動車車両用塗料用途には、更なる硬度ならび
に機械的物性の向上化が求められて来ている。また、特
に、新たなる要求として、耐チッピング性が必要とされ
て来ている。
【0005】ところが、近年、必要とされる硬度を得る
べく、それぞれ、1) 軟化点の高いポリエステル樹脂
を用いた場合には、塗膜外観の低下や、機械的物性なら
びに耐チッピング性が低下してしまったり、2) 水酸
基価の高い、つまり、架橋性の高いポリエステル樹脂を
用いた場合には、塗膜の基材に対する付着性が低下して
しまうなど、必要とされる要求を満たすような、優れた
塗膜を与える粉体塗料組成物は、未だに得られていない
というのが実状である。
【0006】また、硬化剤として多く用いられるイソシ
アネート化合物のうちでも最も代表的なものであるεー
カプロラクタムなどをブロック剤として用いた、いわゆ
るブロック化ポリイソシアネート化合物は、焼き付け硬
化時に、そのブロック剤が飛散するわけであるが、環境
保護の観点からも、出来るだけ、εーカプロラクタムの
ようなブロック剤の少ない化合物の使用が望まれつつあ
る。
【0007】新規なイソシアネート化合物として、分子
中にウレトジオン結合を有するポリイソシアネート化合
物があり、これらは、ブロック剤を殆ど飛散させないと
いう特徴があるが、硬化性が低く、必要とされる機械的
物性などが得られ難いという欠点を有していた。
【0008】加えて、従来型の水酸基含有ポリエステル
樹脂を主剤として用いる系で以て、斯かるポリイソシア
ネート化合物に代わるべき、好適なる硬化剤は無いとい
うのが実状である。
【0009】以上に記述した通り、いずれにしても、自
動車車両用途などにおいて、近年、必要とされる諸性能
を満たすというような、極めて実用性の高いポリエステ
ル系粉体塗料は存在していないというのが実状である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、上述したような、従来型技術における種々の問題点
を解消するべく、鋭意、研究を開始した。したがって、
本発明が解決しようとする課題は、一にかかって、塗料
の保存安定性が良好であるということは、もとよりのこ
と、とりわけ、硬度ならびに機械的物性など、さらに
は、耐チッピング性などにも優れた塗膜を与えるとい
う、極めて実用性の高い新規な粉体塗料組成物を、特
に、自動車車両用として好適なる粉体塗料を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、それぞれ、設計思想
の異なれるベース樹脂成分としての、特定の2種類の水
酸基含有ポリエステル樹脂と、片や、特定の硬化剤成分
とを、必須の被膜形成成分して配合せしめることによっ
て得られる組成物が、硬度ならびに機械的物性などに優
れた塗膜を与えるものであるということを見出すに及ん
で、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0012】すなわち、本発明は、基本的には、その一
つとして、それぞれ、ベース樹脂成分としての、水酸基
価が70mgKOH/g以上で、酸価が6mgKOH/
g以下で、かつ、軟化点が130℃以下のポリエステル
樹脂(A)と、水酸基価がポリエステル樹脂(A)より
も少なくとも20以上低い、ポリエステル樹脂(B)
と、硬化剤(C)としての、分子中にウレトジオン結合
を有するポリイソシアネート化合物とを、必須の被膜形
成成分として含有することから成るか、
【0013】あるいは、その二つとして、それぞれ、ベ
ース樹脂成分としての、水酸基価が70mgKOH/g
以上で、酸価が6mgKOH/g以下で、かつ、軟化点
が130℃以下のポリエステル樹脂(A)と、水酸基価
がポリエステル樹脂(A)よりも少なくとも20以上低
い、ポリエステル樹脂(B)と、硬化剤(C)として
の、分子中にウレトジオン結合を有するポリイソシアネ
ート化合物と、さらに、アミノプラストとを、必須の被
膜形成成分として含有することから成る、
【0014】塗料の保存安定性などの性能も良好であっ
て、とりわけ、硬度ならびに機械的物性などに優れた、
さらには、耐チッピング性などにも優れた、極めて実用
性の高い粉体塗料組成物を提供しようとするものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】このように、本願は、それぞれ、
ベース樹脂成分としての、水酸基価が約70mgKOH
/g以上で、酸価が約6mgKOH/g以下で、かつ、
軟化点が約130℃以下のポリエステル樹脂(A)と、
水酸基価がポリエステル樹脂(A)よりも20以上低い
ポリエステル樹脂(B)と、片や、硬化剤(C)成分と
しての、分子中にウレトジオン結合を有するポリイソシ
アネート化合物とを、必須の被膜形成成分として含有す
ることから成る、粉体塗料組成物を請求しているし、
【0016】ベース樹脂成分としての、水酸基価が約7
0mgKOH/g以上で、酸価が約6mgKOH/g以
下で、かつ、軟化点が130℃以下のポリエステル樹脂
(A)と、水酸基価がポリエステル樹脂(A)よりも2
0以上低いポリエステル樹脂(B)と、片や、硬化剤
(C)成分としての、それぞれ、分子中にウレトジオン
結合を有するポリイソシアネート化合物と、アミノプラ
ストとを、必須の被膜形成成分として含有することから
成る、粉体塗料組成物をも請求しているし、
【0017】また、本願は、前記したポリエステル樹脂
(A)として、特に、約80〜約400mgKOH/g
なる範囲内の水酸基価を有するものであり、しかも、前
記したポリエステル樹脂(B)が約10〜約50mgK
OH/gなる範囲内の水酸基価を有するものであるとい
う、特定の組成物をも請求しているし、
【0018】さらに、本願は、前記した粉体塗料組成物
が、特に、自動車車両用の塗料組成物として有用なもの
であるという、特定の組成物をも請求している。
【0019】以下に、本発明の粉体塗料組成物について
の構成を、詳細に、述べることにする。
【0020】まず、上述したように、本発明は、それぞ
れ、ベース樹脂成分としての、水酸基価が70以上で、
酸価が6以下で、かつ、軟化点が130℃以下のポリエ
ステル樹脂(A)と、水酸基価がポリエステル樹脂
(A)よりも少なくとも20以上低いポリエステル樹脂
(B)と、片や、硬化剤(C)としての、分子中にウレ
トジオン結合を有するポリイソシアネート化合物とを、
必須の被膜形成成分として含有することから成る、粉体
塗料組成物を提供しようとするものであるし、
【0021】それぞれ、ベース樹脂成分としての、水酸
基価が70以上で、酸価が6以下で、かつ、軟化点が1
30℃以下のポリエステル樹脂(A)と、水酸基価がポ
リエステル樹脂(A)よりも少なくとも20以上低いポ
リエステル樹脂(B)と、片や、硬化剤(C)として
の、分子中にウレトジオン結合を有するポリイソシアネ
ート化合物と、アミノプラストとを、必須の被膜形成成
分として含有することから成る、粉体塗料組成物を提供
しようとするものである。
【0022】ここいおいて、本発明に係る粉体塗料組成
物の必須の構成成分の一つである、前記したポリエステ
ル樹脂(A)は、官能基量が多く、しかも、柔軟性が高
いという特定の分子設計になるポリエステルであり、た
とえば、種々の、多価酸成分と、多価アルコール成分と
を、主原料として用いて、常法により、反応せしめるこ
とによって得られるというような、エステル結合により
構成されていて、官能基として、水酸基を有する化合物
であり、しかも、前記したポリエステル樹脂(B)と
は、明らかに、大幅に、水酸基価が異なるし、設計思想
も亦、異なるという別種のポリエステル樹脂を指称する
というものである。
【0023】上記した多価酸として特に代表的なるもの
のみを例示するにとどめれば、アジピン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、(無水)
グルタル酸、スベリン酸、マレイン酸、フマル酸、(無
水)コハク酸または1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、(無水)フタル酸、テトラヒドロ(無水)フタル
酸、ヘキサヒドロ(無水)フタル酸、メチルヘキサヒド
ロ(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸また
は2,6−ナフタレンジカルボン酸、
【0024】あるいは4,4−ジフェニルジカルボン
酸、その他のC12〜C28なる高級二塩基酸の如き、各種
のジカルボン酸(無水物)または其れらのジメチルエス
テルや、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、シク
ロペンタンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセント
リカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトタカルボン
酸または(無水)ピロメリット酸などのような、種々の
化合物などである。
【0025】他方、上記した多価アルコールとして特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンンジ
オールもしくはネオペンチルグリコール、シクロヘキサ
ンジメタノール、オクタンジオール、ジエチルプロパン
ジオール、ブチルエチルプロパンジオール、2−メチル
−1,3−プロパンジオールまたは2,2,4−トリメ
チルペンタンジオール、ビスヒドロキシエチルテレフタ
レート、
【0026】あるいは水添ビスフェノールA、ビスフェ
ノールAアルキレンオキサイド付加物または水添ビスフ
ェノールAアルキレンオキサイド付加物;あるいは亦、
グリセリン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、
トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトールまたはトリスヒドロキシエチルイソシ
アヌレートなどであるし、
【0027】さらには、「カージュラ E10」(オラ
ンダ国シェル化学社製の、分枝状脂肪族カルボン酸のグ
リシジルエステルの商品名)などのような、種々のモノ
エポキシ化合物や、「デナコールEX−211」[ナガ
セ化成(株)の、脂肪族ジグリシジルエーテルの商品
名]や、「エピクロン1050」[大日本インキ化学工
業(株)製の、ビスフェノールA型ジグリシジルエーテ
ルの商品名]などのような種々の多官能エポキシ化合物
などである。
【0028】上掲したようなエポキシ化合物は、反応の
初期の段階において、他の原料と共に仕込んでもよい
し、場合により、反応の後半において仕込み、付加反応
を通して、樹脂の末端カルボキシル基に導入せしめるこ
とも可能である。
【0029】そのほかに、ジメチロールプロピオン酸、
ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、ε−カプロ
ラクトンまたはパラヒドロキシ安息香酸なども亦、使用
可能である。
【0030】以上に掲げたような、種々の、多価酸成分
と、多価アルコール成分とを用いて得られる、当該ポリ
エステル樹脂(A)の水酸基価としては、約70(mg
KOH/g固形分;以下同様)以上、好ましくは約80
〜約400なる範囲内が好適である。さらには、100
〜300なる範囲内であることが、一層、好ましい。
【0031】水酸価が約70よりも小さいというような
場合には、どうしても、とりわけ、塗膜の硬度や耐チッ
ピング性などが、充分には得られ難いということになる
し、一方、400を遥かに超えて、徒に大きいというよ
うな場合には、さらには、約400よりも大きいという
ような場合には、どうしても、とりわけ、塗膜の基材に
対する付着性などが低下するというようになり易くなる
ので、いずれの場合も好ましくない。
【0032】酸価としては、約6(mgKOH/g固形
分;以下同様)以下なる範囲内が好適である。さらに
は、2〜4なる範囲内であることが、一層、好ましい。
【0033】酸価が約6よりも大きいというような場合
には、どうしても、とりわけ、塗膜の付着性や耐チッピ
ング性などが低下するというようになり易いし、一方、
極端に小さくなって、余りにも小さくなるというような
場合には、さらには、約2よりも小さくなるという場
合、どうしても、とりわけ、塗膜の機械的物性などが劣
るというようになり易くなるので、いずれの場合も好ま
しくない。
【0034】また、当該ポリエステル樹脂(A)の数平
均分子量としては、約1,000〜約4,000なる範
囲内が、さらに好ましくは、1,500〜3,000な
る範囲内が適切である。
【0035】数平均分子量が約1,000よりも小さい
ような場合には、どうしても、塗膜の機械的物性などが
劣るようになり易いし、一方、約4,000を超えて余
りにも大きくなるような場合も、どうしても、塗膜の機
械的物性などが低下し易くなるので、いずれの場合も好
ましくない。
【0036】さらに、当該ポリエステル樹脂(A)の、
環球法による軟化点としては、約130℃以下なる範囲
内が適切であるし、好ましくは、70〜110℃なる範
囲内が適切である。
【0037】約130℃を超えて余りにも高くなるよう
な場合には、どうしても、塗膜の機械物性などが劣るよ
うになり易くなるし、一方、極端に小さくなって、余り
も小さくなるというような場合には、さらには、約70
℃よりも低いというような場合には、どうしても、粉体
塗料の耐ブロッキング性などが劣るようになって来るの
で、いずれの場合も好ましくない。
【0038】次いで、本発明に係る粉体塗料組成物のも
う一つの必須構成成分である、前記した、水酸基価がポ
リエステル樹脂(A)よりも少なくとも20以上低い、
ポリエステル樹脂(B)は、前述したポリエステル樹脂
(A)と同様に、種々の、多価酸成分と、多価アルコー
ル成分とを、主原料として用いて、常法により、反応せ
しめることによって得られるというような、エステル結
合により構成されていて、官能基として、水酸基を有す
る化合物であり、しかも、前述したポリエステル樹脂
(A)とは、明らかに、大幅に、水酸基価も異なるし、
設計思想も亦、異なるという形のポリエステル樹脂を指
称するというものである。
【0039】当該ポリエステル樹脂(B)に使用すべ
き、それぞれ、上掲したような多価酸および上掲したよ
うな多価アルコールとしては、ポリエステル樹脂(A)
と同様である。
【0040】しかしながら、3官能以上の多価酸および
多価アルコールならびに多官能エポキシ化合物について
は、必要とされる水酸基価や酸価などの面からも、自ず
と、その使用量は制限されるということである。
【0041】当該ポリエステル樹脂(B)の水酸基価と
しては、できれば、約10〜約50なる範囲内が適切で
あるし、さらには、10〜40なる範囲内が適切であ
り、特に、15〜25なる範囲内が、一層、好ましい。
【0042】水酸価が約10よりも小さいというような
場合には、どうしても、とりわけ、塗膜の機械的物性な
どが、充分には得られ難くなるし、一方、約50よりも
大きいというような場合には、どうしても、とりわけ、
塗膜の基材に対する付着性などが低下するというように
なり易いので、いずれの場合も好ましくない。
【0043】酸価としては、約2〜約20なる範囲内が
適切であるし、さらには、2〜10なる範囲内が、一
層、好ましい。
【0044】酸価が約2よりも小さいというような場合
には、どうしても、とりわけ、塗膜の機械的物性などが
劣るというようになり易いし、一方、約20よりも大き
いというような場合には、どうしても、とりわけ、塗膜
の耐水性などが低下するというようになり易いので、い
ずれの場合も好ましくない。
【0045】また、当該ポリエステル樹脂(B)の数平
均分子量としては、約2,000〜約10,000なる
範囲内が、さらに好ましくは、3,500〜8,000
なる範囲内が適切である。
【0046】数平均分子量が約2,000よりも小さい
ような場合には、どうしても、塗膜の機械的物性などが
劣るようになり易いし、一方、約10,000を超えて
余りにも大きくなるような場合には、どうしても、塗膜
の平滑性などが低下し易くなるので、いずれの場合も好
ましくない。
【0047】さらに、当該ポリエステル樹脂(B)の、
環球法による軟化点としては、約90〜約150℃なる
範囲内が、好ましくは、110〜130℃なる範囲内が
適切である。
【0048】約90℃よりも低いような場合には、どう
しても、塗膜の硬度などが劣るようになり易いし、一
方、約150℃を超えて余りにも高くなるような場合に
は、どうしても、塗膜の平滑性などが劣るようになり易
くなるので、いずれの場合も好ましくない。
【0049】一方、本発明に係る粉体塗料組成物を調製
するに当たって、硬化剤(C)成分の一つとして用いら
れる、これらのポリエステル樹脂(A)および(B)な
る夫々の樹脂中の水酸基と反応し得る官能基を、分子中
にウレトジオン結合を有するポリイソシアネート化合物
とは、分子中に、次の構造式(I)
【0050】
【化1】
【0051】で示されるウレトジオン結合を有するとい
う、いわゆるノンブロックないしはセルフブロック・タ
イプの化合物である。
【0052】かかるウレトジオン結合を有するポリイソ
シアネ−ト化合物として特に代表的なもののみを例示す
るにとどめれば、「VESTAGON BF1540」
または「VESTAGON EP−BF1300」(い
ずれも、ドイツ国ヒュルス社製のポリイソシアネ−トの
商品名)や、「クレラン TPLS2147」[住友バ
イエルウレタン(株)製の、ポリイソシアネ−トの商品
名]などである。
【0053】そのほかにも、本発明の目的を逸脱しない
ような範囲内で、あるいは本発明の効果を損なわない範
囲内で以て、本発明に係る粉体塗料組成物を調製するに
当たり、これらのポリエステル樹脂(A)および(B)
の水酸基と反応する官能基を有するというような形の化
合物を、当該ウレトジオン結合含有ポリイソシアネート
化合物と併用するというようにしてもよいことは、勿論
である。そうした場合には、塗料中のブロック剤量が、
出来るだけ、少ない方が望ましい。
【0054】こうした形の、硬化剤(C)として併用す
ることの出来る、その他の化合物として特に代表的なも
ののみを挙げるにとどめれば、ポリイソシアネ−ト類、
ブロック・ポリイソシアネート類またはアミノプラスト
などである。
【0055】ここにおいて、まず、上記したポリイソシ
アネート化合物として特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、ヘキサメチレンジイソシアネートもしく
はトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートの如き、
各種の脂肪族ジイソシアネート類;
【0056】キシリレンジイソシアネートもしくはイソ
ホロンジイソシアネートの如き、各種の環状脂肪族ジイ
ソシアネート類;またはトリレンジイソシアネートもし
くは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの如
き、各種の芳香族ジイソシアネート類などで代表される
ような種々の有機ジイソシアネート類;
【0057】あるいは此等の有機ジイソシアネートと、
多価アルコール類、低分子量ポリエステル樹脂類(ポリ
エステル・ポリオール類)または水などとの付加物など
であるし、さらには、上掲されたような有機ジイソシア
ネート類同志の重合体(イソシアヌレート型ポリイソシ
アネート化合物をも含む。)や、イソシアネート・ビウ
レット体などである。
【0058】次いで、上記したブロック・ポリイソシア
ネート化合物として特に代表的なもののみを例示するに
とどめれば、上掲したような各種のポリイソシアネート
化合物を、ε−カプロラクタムなどのような、公知慣用
の種々のブロック化剤で以てブロック化せしめて得られ
るという形の化合物などであるが、
【0059】該ブロック・ポリイソシアネート化合物と
しての市販品のうちでも特に代表的なもののみを挙げる
にとどめれば、「VESTANAT B1358/10
0」または「VESTAGON B1065」もしくは
「VESTAGON B1530」(いずれも、ドイツ
国ヒュルス社製の、ブロックポリイソシアネ−トの商品
名)や、「クレランUI」[住友バイエルウレタン
(株)製の、ブロックポリイソシアネ−トの商品名]な
どである。
【0060】また、上記したアミノプラストとして特に
代表的なもののみを例示するにとどめれば、メラミン、
尿素、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ステログ
アナミンまたはスピログアナミンの如き、各種のアミノ
基含有化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデ
ヒド、アセトアルデヒドまたはグリオキザールの如き、
各種のアルデヒド系化合物成分とを、公知慣用の種々の
方法により反応させて得られる縮合物;
【0061】あるいは此等の各種の縮合物を、アルコー
ル類で以てエーテル化せしめて得られる形の種々の化合
物などであるが、通常、塗料用として使用されているよ
うな形のものであれば、そうした形の化合物のいずれも
が、使用できるということは、勿論である。
【0062】それらのうちでも、C1 〜C4 なるアルコ
ール類で以て、部分的に、あるいは完全にエーテル化せ
しめた形の化合物などの使用が望ましく、こうした形の
アミノプラストの具体例としては、ヘキサメチルエーテ
ル化メチロールメラミン、ヘキサブチルエーテル化メチ
ロールメラミン、メチルブチル混合エーテル化メチロー
ルメラミン、メチルエーテル化メチロールメラミン、ブ
チルエーテル化メチロールメラミンまたはイソブチルエ
ーテル化メチロールメラミン、あるいは其れらの縮合物
などが挙げられる。
【0063】また、そのほかにも、ヘキサメトキシグリ
コ−ルウリルまたはヘキサブトキシグリコ−ルウリルな
どのような各種の双環状化合物や、カルボキシル基含有
ポリエステル樹脂と、ジエタノ−ルアミンのような各種
のアルカノ−ルアミンとの縮合反応によって得られると
いう形の種々の酸アミド類なども挙げられるし、さらに
は、N−メチロ−ルアクリルアミドのブチルエ−テルな
どのような各種の重合性単量体を、単独で以て、あるい
は共重合可能なる其の他の単量体類と共重合せしめるこ
とによって得られるという形の種々の高分子化合物など
も挙げられる。
【0064】塗膜の外観や塗膜の硬化性などの改良に際
して、アミノプラスト類の一部併用は有効であるけれど
も、ただし、そのような場合には、当該アミノプラスト
は、通常、液体および半固形のものが多いために、塗料
の安定性などの面、就中、耐ブロッキング性などの面か
らも、自ずと、その使用量は制限されるということであ
る。
【0065】本発明の効果を充分に満たすというために
は、以上に例示したような、それぞれの必須成分たる、
(A)成分と(B)成分との使用比率としては、(A)
/(B)なる重量部比が、約90〜約10/約10〜約
90という範囲内にあることが望ましい。さらには、約
70〜約20/約30〜約80という範囲内にあること
が望ましい。
【0066】また、以上に例示したような必須成分
(C)の使用量としては、(A)成分と(B)成分との
合計使用量100重量部に対して、約10〜約100重
量部なる範囲内が適切である。
【0067】当該(C)成分の使用量が約10重量部よ
りも少ないとような場合には、どうしても、本発明の目
的とする効果が、充分には、発現され得なくなり易い
し、一方、約100重量部よりも余りに多くなるという
ような場合には、どうしても、塗料の貯蔵安定性などが
劣るようになり易くなるので、いずれの場合も好ましく
ない。さらに好ましくは、20〜50重量部なる範囲内
が適切である。
【0068】上述したような、本発明における各必須構
成成分を用いて、粉体塗料を調製するには、公知慣用の
種々の方法を適用することが出来る。それらのうちでも
特に代表的なる方法としては、たとえば、まず、上述し
たような各必須構成成分を混合せしめ、さらに必要に応
じて、顔料または流展剤などのような、公知慣用の種々
の添加剤成分をも混合せしめ、次いで、それらを溶融混
練せしめ、しかるのち、微粉砕(化)工程ならびに分級
(化)工程を経て、目的とする粉体塗料と為すという、
いわゆる機械的粉砕方式がある。
【0069】本発明に係る粉体塗料組成物には、本発明
の目的を逸脱しないような範囲内で、あるいは本発明の
効果を損なわないような範囲内で、さらに、有機系ない
しは無機系の顔料類をはじめ、流動調整剤、光安定剤、
紫外線吸収剤または酸化防止剤などのような、公知慣用
の種々の添加剤類;
【0070】ニトロセルロースまたはセルロースアセテ
ートブチレートの如き、各種の繊維素誘導体類;あるい
は塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、石油樹
脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリ
コン樹脂またはイソプレン・ゴム、塩化ゴムの如き、各
種の樹脂類や熱可塑性樹脂をも添加せしめるということ
が出来るのは、勿論である。
【0071】また、「バイロン 200」[東洋紡
(株)製の、高分子量線状ポリエステル樹脂の商品名]
などのような、本発明における必須の構成成分であるポ
リエステル樹脂(A)および(B)の範疇外のポリエス
テル樹脂であっても、本発明の目的を逸脱しないような
範囲内で、あるいは本発明の効果を損なわないような範
囲内で以て使用することが出来るのは、勿論である。
【0072】さらに亦、焼き付け時の硬化を促進化せし
めるという目的で以て、触媒を添加することが出来る。
その際に、斯かる触媒としては、アミノプラスト硬化剤
の使用時においては、一般的には、酸性の化合物が用い
られるが、それらのうちでも特に代表的なもののみを例
示するにとどめれば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、燐酸ま
たはスルホン酸などであるが、該酸性化合物のうちで
も、スルホン酸基を有する化合物;あるいはスルホン酸
のアルカリ金属塩またはアミン塩からなる基を有する化
合物の使用が望ましい。
【0073】これらの化合物のうちでも特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、ベンゼンスルホン酸、
パラトルエンスルホン酸またはドデシルベンゼンスルホ
ン酸などであるし、さらには、此等のナトリウム塩、ア
ンモニウム塩またはアミン塩などである。
【0074】使用される触媒は、通常、(A)成分と
(B)成分との合計の固形分100重量部に対して、約
0.1〜約10重量部の範囲内が、好ましくは、0.1
〜5重量部の範囲内が適切であり、こうした使用量で以
て添加される。
【0075】添加の時点としては、塗料の調製時であっ
てもよいし、それぞれ、(A)成分または(B)成分の
調製時などにおいて、予め、樹脂中に添加せしめるとい
うようにしてもよいことは勿論であり、これらのうち
の、いずれの時点でもよいことは、勿論である。
【0076】ポリイソシアネート類またはブロック・ポ
リイソシアネート類を硬化剤として使用する場合には、
触媒を添加することが望ましい。その際に、斯かる触媒
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
ジブチル錫ジラウレ−ト、ジブチル錫オクテート、モノ
ブチル錫酸、PbO、酢酸亜鉛、オクチル酸亜鉛または
アセチルアセトン亜鉛などであるし、そのほかにも、酢
酸鉛、三酸化アンチモンまたはテトライソプロピルチタ
ネ−トなどのような各種の金属化合物なども亦、挙げら
れる。本発明のような特殊な硬化系にあっては、亜鉛系
の金属触媒の使用が望ましい。
【0077】特に、本発明に係る粉体塗料組成物を、自
動車車両用、就中、自動車中塗り用として用いるという
ような場合には、耐チッピング性の向上を目的として、
公知慣用の種々のエポキシ樹脂と、公知慣用の種々の硬
化触媒と、さらには、公知慣用の種々の熱可塑性樹脂と
の添加が望ましい。
【0078】使用すべきエポキシ樹脂として特に代表的
なもののみを例示するにとどめれば、ビスフェノールA
タイプの「エピクロン1050、2050もしくは30
50」[いずれも、大日本インキ化学工業(株)製品]
や、水添ビスフェノルAタイプの「ST−5080もし
くはST−5100」または「ZX−1164」[いず
れも、東都化成(株)製品]などである。
【0079】各種の熱可塑性樹脂にあっては、塗料配合
時において添加するというほかに、ポリエステル樹脂中
に、予め添加し、溶融混合しておいてもよい。
【0080】また、本発明に係る粉体塗料組成物に、中
塗り用塗料としての隠ぺい性を向上させるために、「M
A−100」[三菱化学(株)製の、カーボンブラック
顔料の商品名]などのような、公知慣用の種々の有機顔
料を添加するということは、特に有効である。
【0081】かくして得られる、本発明に係る粉体塗料
組成物は、常法により、種々の基材類に塗布され、次い
で、常法に従って、乾燥せしめ、焼き付けるということ
によって、とりわけ、塗膜外観、硬度ならびに機械的物
性や、さらには、耐チッピング性などに優れた塗膜を与
えることが出来るというものである。
【0082】そして、かくして得られる、本発明に係る
粉体塗料組成物は、とりわけ、自動車上塗り用の塗料な
どとして、あるいは自動車中塗り用の塗料などとして、
さらには、自動車部品用の塗料などとして、あるいは建
材用の塗料などとして、さらには、各種の金属製品用の
塗料などとして、広範に、利用し適用することが出来
る。
【0083】特に、自動車車両用として、さらには、自
動車中塗り用の塗料として好適である。
【0084】中塗り用として使用する際には、耐チッピ
ング性の向上を目的として、前掲したような、それぞ
れ、「エピクロン1050もしくは3050」などの種
々のエポキシ化合物を併用するようにすることが望まし
い。
【0085】さらには、かかる中塗り塗料の硬化性を向
上させるというために、触媒を使用することが望まし
い。
【0086】特に、近年に到り、環境上の問題などから
も、自動車車両用途では、上塗りならびに中塗りの双方
を、共に、粉体塗装とするという試みなども為されてい
るし、さらには、水性塗料と粉体塗料とを組み合わせて
用いるという試みなどもまた、為されてはいるけれど
も、
【0087】そうした際には、たとえば、本発明に係る
粉体塗料組成物を、それぞれ、上塗りならびに中塗り
を、共に、あるいは何れか一方に、用いるということに
より、さらには、水性塗料を用いるという一方で、上塗
りならびびに中塗りを、共に、あるいは何れか一方に、
本発明に係る粉体塗料組成物を用いるということによ
り、
【0088】低公害性であって、しかも、諸物性などに
も優れるという、極めて実用性の高い塗装法を提供する
ことが出来るし、ひいては、とりわけ、硬度ならびに機
械的物性などに優れるし、さらには、耐チッピング性と
いう新たなる性能をも発現するという、極めて実用性の
高い被覆物を得ることも亦、出来るということである。
【0089】
【実施例】次に、本発明を、参考例、実施例および比較
例により、一層、具体的に説明することにするが、本発
明は、これらの例示例のみに限定されるものではない。
以下において、部および%は、特に断りの無い限り、す
べて、重量基準であるものとする。
【0090】参考例1〔ポリエステル樹脂[A]の調製
例〕 攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた
反応容器に、エチレングリコールの67部、ネオペンチ
ルグリコ−ルの104部、1,4−シクロヘキサンジメ
タノ−ルの114部、1,6−ヘキサンジオールの67
部およびトリメチロ−ルプロパンの179部を仕込ん
で、窒素雰囲気下に攪拌を続けながら、150℃にまで
昇温した。
【0091】次いで、テレフタル酸の584部、イソフ
タル酸の65部およびジブチル錫オキサイドの0.5部
を、さらに加えて、240℃にまで昇温した。同温度で
脱水縮合反応を続けるということによって、水酸基価が
123mgKOH/gで、酸価が4mgKOH/gで、
かつ、環球法による軟化点が98℃なる目的ポリエステ
ル樹脂を得た。以下、これをポリエステル樹脂[A−
1]と略記する。
【0092】参考例2(同上) 攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた
反応容器に、ネオペンチルグリコ−ルの55部およびト
リメチロ−ルプロパンの546部を仕込んで、窒素雰囲
気下に攪拌を続けながら、150℃にまで昇温した。
【0093】次いで、テレフタル酸の480部およびジ
ブチル錫オキサイドの0.5部を、さらに加えて、24
0℃にまで昇温した。同温度で脱水縮合反応を続けると
いうことによって、水酸基価が320mgKOH/g
で、酸価が2mgKOH/gで、かつ、環球法による軟
化点が103℃なる目的ポリエステル樹脂を得た。以
下、これをポリエステル樹脂[A−2]と略記する。
【0094】参考例3〔ポリエステル樹脂[B]の調製
例〕 攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた
反応容器に、ネオペンチルグリコ−ルの446部、トリ
メチロ−ルプロパンの28部を仕込んで、窒素雰囲気下
に攪拌を続けながら、150℃にまで昇温した。
【0095】次いで、テレフタル酸の558部、1,4
−シクロヘキサンジカルボン酸の137部およびジブチ
ル錫オキサイドの0.5部を、さらに加えて、240℃
にまで昇温した。同温度で脱水縮合反応を続けるという
ことによって、水酸基価が39mgKOH/gで、酸価
が6mgKOH/gで、かつ、環球法による軟化点が1
17℃なる目的ポリエステル樹脂を得た。以下、これを
ポリエステル樹脂[B−1]と略記する。
【0096】参考例4(同上) 攪拌機、温度計、精留塔および窒素ガス導入口を備えた
反応容器に、ネオペンチルグリコ−ルの418部、1,
6−ヘキサンジオールの50部およびトリメチールプロ
パンの20部を仕込んで、窒素雰囲気下に攪拌を続けな
がら、150℃にまで昇温し、続いてジメチルテレフタ
レートの350部と、酢酸亜鉛の1部とからなる混合物
を仕込んで、生成するメタノールを、反応系外に除去し
ながら、アルコール交換反応を行なった。
【0097】次いで、ここへ、さらに、テレフタル酸の
254部、イソフタル酸の138部およびジブチル錫オ
キサイドの0.5部を加えて、240℃にまで昇温し
た。同温度で脱水縮合反応を続けるということによっ
て、水酸基価が24mgKOH/gで、酸価が3mgK
OH/gで、かつ、環球法による軟化点が112℃なる
目的ポリエステル樹脂を得た。以下、これをポリエステ
ル樹脂[B−2]と略記する。
【0098】なお、本発明における実施例においては、
硬化剤(C)として、それぞれ、次のような種々の化合
物を用いた。
【0099】(C−1)
【0100】「BF−1540」……………「VEST
AGON BF−1540」の略記であって、ドイツ国
ヒュルス社製の、ウレトジオン結合を有するポリイソシ
アネート化合物の商品名
【0101】(C−2)
【0102】「サイメル 300」………… 三井サイ
テック(株)製の、ヘキサメトキシメチル化メラミン・
ホルムアルデヒド樹脂の商品名
【0103】(C−3)
【0104】「B−1530」………………「VEST
AGON B−1530」の略記であって、ドイツ国ヒ
ュルス社製の、ブロックポリイソシアネート化合物の商
品名
【0105】粉体塗料の調製方法
【0106】まず、第1表ならびに第3表に示すよう
に、それぞれ、参考例1および2で得られた、[A−
1]および[A−2]なるポリエステル樹脂(A)と、
それぞれ、参考例3および4で得られた、[B−1]お
よび[B−2]なるポリエステル樹脂(B)と、
【0107】上述した、それぞれ、(C−1)〜(C−
3)なる、各種の硬化剤(C)とを、さらに、粉体塗料
の調製に際して用いられるような、それぞれ、各種の樹
脂類、硬化剤類、添加剤類および顔料をも、90℃にお
いて、「コニーダー PR−46型」(スイス国ブス社
製のニーダーの商品名)で以て溶融混練せしめ、しかる
のち、冷却して、粉砕化せしめた。
【0108】次いで、150メッシュの篩(スクリー
ン)を用いて、それぞれの、該篩を通過した粉砕分級物
を集めるということによって、各種の粉体塗料を得た。
【0109】しかるのち、それぞれの粉体塗料について
の、諸性能の評価判定の検討を行なった。その際の評価
試験の基準ないしは評価判定の基準としては、次に示し
ているようなものである。
【0110】実施例1〜6ならびに比較例1〜3
【0111】すなわち、第1表に示すような組成割合で
以て調製した、それぞれの粉体塗料を、静電スプレー塗
装機で以て、燐酸亜鉛処理を施した鋼板上に、約60マ
イクロ・メータないしはミクロン(μm)となるように
塗装せしめ、180℃で、20分間のあいだ、焼き付け
を行なうということによって、各種の試験板(つまり、
硬化塗膜の載っている塗装板)を得た。
【0112】次いで、それぞれの塗装板について、第2
表に示すような、各種の試験項目に亘っての、塗膜諸性
能の評価判定を行なった。それらの結果は、まとめて、
同表に示す。
【0113】
【表1】
【0114】《第1表の脚注》 「タイペーク CR−90」…石原産業(株)製の、ル
チル型酸化チタンの商品名
【0115】「アクロナール4F」…………ドイツ国B
ASF社製の、流動調整剤の商品名
【0116】
【表2】
【0117】
【表3】
【0118】
【表4】
【0119】《第2表の脚注》評価判定の要領は、次の
通りにした。
【0120】粉体塗料中の揮発分量(%)………粉体塗
料塗装後に、その焼付前と焼付後との重量変化から、下
記するような算出式より求めた。
【0121】
【式1】
【0122】60度光沢………60度鏡面反射率(%)
による評価判定。
【0123】耐水試験…………試験板を、95℃の温水
中に、1時間のあいだ浸漬するということにより行なっ
た。
【0124】碁盤目密着性……常法により、試験板の表
面上に、カッターナイフで、縦横に、1mm間隔で切り
込みを入れ、100個の升目を塗膜上に作製せしめたの
ち、セロファン・テープを貼り付けて勢いよく剥がし、
その際に、テープと共に剥がれずに試験板上に残った升
目の数を数えるというようにして行なったものである。
此の数が多いほど付着性が良好であるということを意味
している。
【0125】デュポン衝撃値…常法に従っての、デュポ
ン衝撃試験器による評価判定試験(1/2インチ)。5
00gの荷重を落下させたときに、塗膜表面上に、割れ
などの、いわゆる塗膜欠陥を生じないような高さ(c
m)で以て表示したものである。此の値が大きいほど、
耐衝撃性が良好であるということを意味している。
【0126】エリクセン………常法に従っての、エリク
セン試験器による評価判定試験。此の値が大きいほど、
塗膜の可撓性が良好であるということを意味している。
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】実施例7〜10ならびに比較例4〜6 第3表に示すような組成割合で以て調製した、それぞれ
の粉体塗料を、静電スプレー塗装機で以て、カチオン電
着処理を施した鋼板上に、約50μmとなるように塗装
せしめ、180℃で、20分間のあいだ、焼き付けを行
なってから冷却をし、次いで、下記のようにして調製し
た上塗り塗料を、約40μmとなるように塗装せしめ、
140℃で、20分間のあいだ、焼き付けを行なうとい
うことによって、各種の試験板(つまり、中塗り塗料と
して、粉体塗料を塗装した硬化塗膜の載った塗装板)を
得た。
【0130】上塗り塗料の調製方法
【0131】市販の溶剤系樹脂をベースにして当該塗料
を調製した。その際の各成分の仕込み数量は、固形分重
量比であるものおとする。
【0132】 「ベッコゾールEC−1500−65」 108 [大日本インキ化学工業(株)製の、 短油アルキド樹脂の商品名] 「スーパーベッカミンL−117−60」 50 (同上社製の、ブチルエーテル化メ ラミン樹脂の商品名) 「BYK−344」 0.1 [ビックケミージャパン(株)製の、 レベリング剤の商品名] 「タイペーク CR−90」 45 [石原産業(株)製の、ルチル型酸化 チタンの商品名] 「ソルベッソ100」 20 (エッソ化学社製の、溶剤の商品名)
【0133】以上の各成分を、常法により、配合し、塗
料化せしめたのち、塗料粘度が「フォードカップNo.
4」で以て、25秒となるように、「ソルベッソ10
0」によって希釈せしめるということによって、目的と
する上塗り塗料を得た。
【0134】次いで、それぞれの塗装板について、第4
表に示すような、各種の評価判定試験項目に亘っての、
塗膜性能の評価判定を行なった。それらの結果は、まと
めて、同表に示す。
【0135】
【表7】
【0136】
【表8】
【0137】
【表9】
【0138】
【表10】
【0139】
【表11】
【0140】
【表12】
【0141】
【表13】
【0142】《第4表の脚注》評価判定の要領は、次の
通りにした。
【0143】耐チッピング性………7号砕石の50g
を、5気圧で以て、連続的に塗面に直角に当てて、目視
により、塗面の状態を評価判定するということにより行
なった。
【0144】 ○…殆ど、上塗り塗膜と中塗り塗膜との間の剥離が認め
られない場合 △…上記剥離が認められる場合 ×…上記剥離が著しい場合
【0145】
【表14】
【0146】
【表15】
【0147】上掲したような、諸々の実施例ならびに比
較例が示しているように、本発明に係る粉体塗料組成物
は、とりわけ、硬度、機械的物性ならびに耐チッピング
性などに優れた硬化塗膜を与えるというものであること
が、無理なく、知り得よう。
【0148】
【発明の効果】以上に詳説した通り、本発明に係る粉体
塗料組成物は、とりわけ、硬度ならびに機械的物性など
は、勿論のこと、加えて、新たに、耐チッピング性など
にも優れた硬化塗膜を与えるという、極めて実用性の高
いものである。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基価が約70mgKOH/g以上
    で、酸価が約6mgKOH/g以下で、かつ、軟化点が
    約130℃以下のポリエステル樹脂(A)と、水酸基価
    がポリエステル樹脂(A)よりも20以上低いポリエス
    テル樹脂(B)と、硬化剤(C)成分としての、分子中
    にウレトジオン結合を有するポリイソシアネート化合物
    とを、必須の被膜形成成分として含有することを特徴と
    する、粉体塗料組成物。
  2. 【請求項2】 水酸基価が約70mgKOH/g以上
    で、酸価が約6mgKOH/g以下で、かつ、軟化点が
    130℃以下のポリエステル樹脂(A)と、水酸基価が
    ポリエステル樹脂(A)よりも20以上低いポリエステ
    ル樹脂(B)と、硬化剤(C)成分としての、それぞ
    れ、分子中にウレトジオン結合を有するポリイソシアネ
    ート化合物と、アミノプラストとを、必須の被膜形成成
    分として含有することを特徴とする、粉体塗料組成物。
  3. 【請求項3】 前記したポリエステル樹脂(A)が、約
    80〜約400mgKOH/gなる範囲内の水酸基価を
    有するものであり、しかも、前記したポリエステル樹脂
    (B)が約10〜約50mgKOH/gなる範囲内の水
    酸基価を有するものである、請求項1または2に記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】 前記した粉体塗料組成物が自動車車両用
    塗料組成物である、請求項1〜3のいずれかに記載の組
    成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012527513A (ja) * 2009-05-20 2012-11-08 ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウレトジオンと他の官能基を有する化合物を含有する硬化可能な塗料組成物および硬化した塗膜

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